JP4489311B2 - 信号分析装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数および振幅が連続的に変化する入力信号に対して周波数分析を行い、入力信号の特性を高精度に求める信号分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
音声信号等の一次元時系列信号の分析には周波数分析が不可欠であり、代表的な周波数分析手法としてはフーリエ変換、バンドパスフィルタ、ウェーブレット変換等がある。
【0003】
また、入力信号に対応する一連のディジタルデータに窓関数を乗じ、離散フーリエ変換を施し、変換後の複素数データの二乗和の平方根を算出して、離散的な周波数点での振幅として表示するようにした周波数分析装置が従来から知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、通常の離散フーリエ変換を利用した周波数分析装置では、解像度すなわち基準周波数点の間隔が離散的なために測定周波数と基準周波数とが一致しないと振幅スペクトルは複数に分散してしまう。
【0005】
また、フーリエ変換は周期性定常信号の分析に対しては非常に有効であるが、実世界に存在する信号は基本的に定常ではなく、特にこの中でも周期的な特性が連続的に変化する準周期性定常信号(以下準定常信号と呼ぶ)が頻繁に観察される。しかし、準定常信号の分析に離散フーリエ変換を適用すると、以下のような問題が生じる。
【0006】
第一に、フーリエ変換は本来無限長の信号に対して適用されるが、実際の分析においては入力信号を有限時間で打ち切って適用する必要がある。この操作により、振幅スペクトルは、エネルギーが局在する中心の周波数(以下中心周波数と呼ぶ)だけではなく実際にはエネルギーが存在しない領域まで値を持つことになる。これをリーケージと呼ぶ。入力が定常信号である場合には積分時間を長くすることでリーケージを低減することができるが、準定常信号のような非定常信号を分析する場合にはこの手法は使用できない。なぜなら、積分時間を長くすると、その時間に含まれる信号の非定常変化の検出精度が低下するからである。
【0007】
第二に、振幅や周波数が時間変化する準定常信号を離散フーリエ変換により振幅スペクトル分析すると、時間変化の影響がやはりリーケージという形で現れる。例えば、周波数の時間変化率の異なる複数の準定常信号に離散フーリエ変換を実行して振幅スペクトルを観察すると、中心周波数が同じであっても周波数時間変化率の違いによってスペクトルの形状が大きく異なってしまう。さらに、振幅スペクトルの形状から周波数時間変化の増減の方向を推定することはできない。同様のことは、振幅の時間変化率の異なる複数の準定常信号についても当てはまる。従って、例えば振幅スペクトルのピークの周波数とその周波数成分の振幅で準定常信号を分析するようなモデルでは、準定常信号の周波数時間変化率や振幅時間変化率を正確に求めることはできない。
【0008】
リーケージによる振幅スペクトル精度の低下を改善するものとして、例えば特開平6-230047号公報に記載される手法がある。この手法は、離散フーリエ変換で得られた振幅スペクトルに対し、使用者が所望の周波数を指定すると、その周波数の近傍における振幅スペクトルの振幅値の二乗の和の平方根を算出する方法を開示している。これにより、入力信号の周波数が変化する場合でも所望周波数における正確な振幅値を得ることができるとしている。しかしこの手法では、ある特定の周波数成分の振幅が求められるだけで、その入力信号の中心周波数の時間変化率を知ることはできない。また、中心周波数が隣接する複数の信号が存在した場合、それぞれの振幅スペクトルを正確に求めることはできない。
【0009】
周波数の時間変化率を得るものとして、例えば特許第2842473号は周波数の時間変化率を推定し、周波数を精度良く測定して信号を追尾する方法を開示している。まず時刻/周波数空間上の信号強度分布から直線状のパターンを検出してその中心周波数を求める。これとは別に振幅スペクトルを時間的に積分し、前記中心周波数情報を利用してこの積分の最大値を求め、これを基に精密な周波数を得る。しかしこの方法では、周波数の時間変化率を検知するために時間をずらした複数の離散フーリエ変換を実行しなければならない。
【0010】
さらに、従来の手法では準定常信号の振幅の時間変化率を知ることはできない。
【0011】
以上の問題を解決し、特性が連続的に変化する準定常信号の分析において、スペクトルの精度を増し、さらに周波数及び振幅の時間変化率を求めることのできる方法および装置が必要とされている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は単一のスペクトル分布から入力信号の周波数・振幅の時間変化率を求め、また精度良くスペクトルを得ることができる装置を提供する。
【0013】
本発明の装置は、入力信号より窓関数を乗じて短時間の信号を切り出し周波数分析をしたデータを用いて入力信号の特性を明らかにする信号分析装置であって、ある周波数に局在するエネルギーを持つ信号でその周波数および振幅が時間と共に連続的に変化する1つまたは複数の単位信号を生成する手段と、前記入力信号のスペクトルと前記1つの単位信号または複数の単位信号の和のスペクトルとの振幅/位相空間における誤差を計算する手段と、該誤差を最小にするよう前記1つまたは複数の単位信号を変更する手段と、該変更した1つまたは複数の単位信号を前記入力信号の分析結果として出力する手段と、を備えている。この発明によると、本発明は振幅/位相空間でのスペクトルのリーケージ現象を利用しており、入力信号と近似の振幅/位相空間でのスペクトル分布を持つ単位信号を生成して入力信号を推定するので、スペクトル分析精度を向上することができる。
【0014】
またこの発明の1つの形態では、前記生成する手段は、入力信号の振幅スペクトルの二乗(以下パワースペクトルと呼ぶ)のローカルピーク(すなわち、パワースペクトルの極大点)の数に応じた数の単位信号を生成する構成をとる。この形態によると、複数の準定常信号を含む入力信号のスペクトル分析を精度良く行うことが可能になり、また計算に要する時間を削減することができる。
【0015】
この発明の別の形態では、前記1つまたは複数の単位信号のそれぞれは、入力信号の中心周波数およびその時間変化率、中心周波数の振幅およびその時間変化率をパラメータとして持つ構成をとる。この形態によると、単一のスペクトルから周波数および/または振幅が時間変化する準定常信号の変化率を求めることができる。
【0016】
この発明のさらに別の形態では、前記パラメータを関数でモデル化する構成をとる。この形態によると、準定常信号の時間変化率を正確に求めることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係る信号分析装置の全体構成を示すブロック図である。この装置は、具体的には本発明に従って作成されたプログラムを汎用コンピュータ上で走らせることによって実施される。分析対象である音声信号等の入力信号は入力信号受信部101で受信され、A/D変換部102に供給される。A/D変換部102は入力信号にA/D変換を施して、ディジタル化した入力信号を周波数分析部103に供給する。周波数分析部103はディジタル化入力信号に窓関数を乗じてある瞬間の信号を切り出した後、離散フーリエ変換を実行し入力信号のスペクトルを計算する。この結果はメモリ(図示せず)に記憶される。周波数分析部103はさらに入力信号のパワースペクトルを計算し、その結果を単位信号生成部104に供給する。
【0018】
単位信号生成部104は入力信号のパワースペクトルのローカルピークから、必要な単位信号の数を生成する。ここで、単位信号とはある中心周波数に局在するエネルギーを持つ信号であり、中心周波数およびその時間変化率、中心周波数の振幅およびその時間変化率をパラメータとして持つ信号である。各単位信号は単位信号制御部105で受信されA/D変換部106に供給される。A/D変換部106は各単位信号にA/D変換を施して、ディジタル化した各単位信号を周波数分析部107に供給する。周波数分析部107は各単位信号のスペクトルを計算し、加え合わせる。
【0019】
入力信号のスペクトルと単位信号和のスペクトルは誤差最小化部108に送られる。誤差最小化部108は両スペクトルの振幅/位相空間での二乗誤差を計算する。二乗誤差は誤差判定部109に送られ、誤差が最小かどうかの判断を行う。最小と判断されれば出力部110に進む。最小でないと判断されれば単位信号制御部105に指示を送る。単位信号制御部105は受け取った誤差から、誤差を最小にするよう各単位信号のパラメータを変更し、また必要があれば新たな単位信号を生成するよう単位信号生成部104に指示する。以下、上述の処理が繰り返される。
【0020】
出力部110は単位信号和を誤差判定部109から受け取り、入力信号に含まれる信号成分として出力する。
【0021】
本発明では、FM信号およびAM信号に対して周波数変換を実行した時の振幅/位相空間でのスペクトルのリーケージに着目した。
【0022】
ここで、FM(Frequency Modulation)信号とは波形の瞬時周波数が時間とともに連続的に変化する信号を意味し、その中には瞬時周波数が非周期的に変化するものも含まれる。信号が音声信号である場合、FM信号は高さが変化する音として知覚される。
【0023】
またAM(Amplitude Modulation)信号とは波形の瞬時振幅が時間とともに連続的に変化する信号を意味し、その中には瞬時振幅が非定常に変化するものも含まれる。信号が音声信号である場合、AM信号は大きさが変化する音として知覚される。
【0024】
このようなFM信号およびAM信号両方の性質を持つ準定常信号は、瞬時周波数の変化パターンをf(t)、瞬時振幅の変化パターンをa(t)とすると、一般的に次のように表せる。
【0025】
【数1】
Figure 0004489311
【0026】
FM信号やAM信号を周波数変換した後、スペクトルを実数部と虚数部とに分けて観察すると、時間変化率についての差異が明確になる。まず図2を参照する。図2は中心周波数(cf)が2.5kHz、周波数時間変化率(df)がそれぞれ0、0.01、0.02kHz/msである3種類のFM信号に離散フーリエ変換を実行して得たスペクトルであり、(a)はその実数部、(b)はその虚数部を図示したものである。図から分かるように、3種類のFM信号はその周波数時間変化率dfの大きさによってスペクトルの形状に明らかな差異がある。次に図3は中心周波数(cf)が2.5kHz、振幅時間変化率(da)がそれぞれ0、1.0、2.0 dB/msである3種類のAM信号に離散フーリエ変換を実行して得たスペクトルであり、(a)はその実数部、(b)はその虚数部を図示したものである。FM信号の場合と同様に、3種類のAM信号はその振幅時間変化率daの大きさによってスペクトルの形状に明らかな差異がある。これは、横軸に周波数、縦軸に振幅をとる、従来の振幅スペクトルに基づく一般的な周波数分析手法では明確に確認することができない。それに引き換え本発明の一部を構成する離散フーリエ変換で得たスペクトルの実数部と虚数部を用いる手法は、スペクトルの形状から変化率の大きさを一意に決定できる。またこの特徴を利用することにより、時間をずらせた複数のスペクトルでなく、単一のスペクトルから周波数、振幅の時間変化率を得ることができる。
【0027】
図4は本発明の信号分析手順を示したフローチャートである。まず、入力信号である一次元時系列入力信号s(t)を取り込み(401)、ローパスフィルタ等によりフィルタした後、A/D変換を施し入力信号をディジタル化してs(n)を得る(402)。次に、入力信号の一部を切り出すためにハニング窓等の窓関数W(n)を乗じて一連のデータW(n)・s(n)を得る(403)。
【0028】
切り出した入力信号のスペクトルを求めるため周波数変換を行う。本実施形態ではフーリエ変換を使用するが、ウェーブレット変換等の他の手法を使用してもよい。一連のデータW(n)・s(n)に対して離散フーリエ変換を実行し、複素数データであるスペクトルS(f)を得る(404)。S(f)の実数部をSx(f)、虚数部をSy(f)とする。Sx(f)、 Sy(f)はメモリに記憶され、後述する誤差計算に使用される。
【0029】
続いて入力信号のスペクトルのパワースペクトルp(f)={Sx(f)}2+{Sy(f)}2を計算する(405)。パワースペクトルは、例えば図6に示す曲線のように、典型的に複数のピーク(これらをローカルピークと呼ぶ)を持っている。一般的に振幅値は所定値を基準とするdB値で表示し、図6もこれに従っている。上述したように、有限時間による積分打ち切りおよび周波数や振幅の時間変化の影響等により、一般的にローカルピークはなまされており、振幅スペクトルはリーケージして山状の広がりを持つ。従来の信号分析手法ではこのローカルピークをもって入力信号に含まれる信号成分の周波数およびその振幅とするため、正確な周波数と振幅を得ることができない。また、中心周波数が隣接する複数の信号が入力信号に含まれていた場合、ローカルピークは見かけ上1つになってしまい、各信号を分離してそれぞれの振幅スペクトルを正確に求めることはできない。
【0030】
パワースペクトルにおけるローカルピークの数を検出し、また各ローカルピークの周波数とローカルピークの周波数成分の振幅とを求める(406)。ここではそれぞれ周波数cfi、振幅cai(i=1,2,…,k)を持つk個のローカルピークが検出されたとする。
【0031】
なお、パワースペクトルは、後述するようにローカルピークの数に応じて単位信号を発生させるためだけに使用されるので、ケプストラム等を用いてもよく、あるいはパワースペクトルを計算しなくてもよい。発生させるべき単位信号u(t)の数を予め絞り込んで、計算時間の短縮を図るためにステップ405および406は実行される。従ってステップ405および406は選択的なステップである。
【0032】
続いて単位信号を生成する過程を説明する。まずステップ406で検出したローカルピークの数と同数のk個の単位信号u(t)i(i=1,2,…,k)を発生させる(407)。単位信号はステップ406で求めた周波数cfiを中心周波数とし、さらに周波数、振幅の時間変化率をパラメータとして持つ関数であり、一例として、以下のような関数である。
【0033】
【数2】
Figure 0004489311
ここで、a(t)iは振幅の時間変化関数、f(t)iは瞬時周波数の時間変化関数を表す。先に求めたローカルピークの振幅、周波数を単に用いるのではなく関数で表すことで、準定常信号の変化率を得ることができる。
【0034】
振幅時間変化関数a(t)iおよび瞬時周波数時間変化関数f(t)iは、一例として以下のような式で表される。
【0035】
【数3】
Figure 0004489311
【数4】
Figure 0004489311
ここで、caiは振幅の増幅係数、daiは振幅の時間変化係数、cfiはローカルピークの中心周波数、dfiはローカルピーク中心周波数の時間変化係数を表す。a(t)i、f(t)iは演算上都合が良いという理由から上記の形で記述されているが、準定常状態を表す関数であればこの形にとらわれない。各時間変化係数の初期値は、単位信号ごとに所定の値を使用するか、またはユーザが適当と考える値を予め入力して設定する。
【0036】
各単位信号は、対応する入力信号のパワースペクトルの各ローカルピークを概略的に近似したものと考えることができる。当然、この時点では時間変化率その他が近似されてないので、入力信号のスペクトルと単位信号のスペクトルの形状とは異なる。
【0037】
発生させた各単位信号に対して、入力信号に対する場合と同様に、A/D変換し(408)、窓関数を乗じて信号を切り出し(409)、離散フーリエ変換を施して(410)、複素数データであるスペクトルU(f)i (i=1,2,…,k)を得る。U(f)iの実数部をUx(f)i、虚数部をUy(f)iとする。
【0038】
単位信号が複数生成されている場合は、スペクトルU(f)iの実数部Ux(f)i、虚数部Uy(f)iをそれぞれ足し合わせる。これを近似信号A(f)と呼ぶ(411)。A(f)の実数部と虚数部をそれぞれAx(f)、Ay(f)とする。入力信号が準定常信号を複数含む信号だとすれば、入力信号のパワースペクトルの各ローカルピークはそれぞれ対応する準定常信号により発生するものだと考えられる。従って、入力信号は単位信号の組み合わせで近似できるはずである。ただし近似信号を作成するとき各単位信号はそれぞれ位相Piだけ回転されて足し合わされる。なぜなら入力信号には位相の異なる複数の信号が含まれていると考えられるからである。Piの初期値は所定の値または使用者が入力する値に設定される。Ax(f)、Ay(f)は具体的には以下の式で表される。
【0039】
【数5】
Figure 0004489311
【数6】
Figure 0004489311
【0040】
先にステップ404で計算した入力信号のスペクトルをメモリから読み込み、近似信号のスペクトルとの誤差Eを計算する(412)。誤差Eは、本実施形態では振幅/位相空間上の両信号のスペクトルの最小二乗距離を使用して以下の式で計算される。
【0041】
【数7】
Figure 0004489311
【0042】
誤差判定部109により誤差Eが最小化されたかどうかを判断する(413)。判断は、所定のまたは使用者が設定する許容誤差より誤差Eが小さくなったか否かで行われる。一回目の計算では通常は誤差が大きいのでステップ413から「NO」に進み、この誤差Eと各単位信号のパラメータは単位信号制御部105に送られ、最小化計算が行われる。
【0043】
最小化計算は、誤差Eが小さくなる方向に、近似信号を形成する各単位信号の各パラメータを推定して実行される(414)。選択的なステップ405および406を実行しなかったときつまりパワースペクトルのピーク数を検出しなかったとき、または最小化計算を繰り返しても誤差が許容誤差よりも小さくならなかったときは、単位信号の発生数を増減してさらに計算を繰り返す。
【0044】
最小化計算を実行するので、発生させる単位信号の個数や各単位関数のパラメータの初期値は適当な値であっても実際には信号分析を完了することができる。しかし、一般的に計算時間は増大し、また最小化計算中に局所解に陥る可能性が増加するので、予めある程度絞り込んだ値をそれぞれに設定しておくことが望ましい。
【0045】
本実施形態では、最小化計算に一例としてニュートン・ラプソン法を使用する。具体的には、あるパラメータを一つの値から別の値に変更したときのそれぞれの誤差E、E’を計算し、EとE’の勾配を計算して誤差Eがより小さくなるように次のパラメータを推定する。以後この計算を誤差Eが許容誤差より小さくなるまで実行する。実際には、これをすべてのパラメータに対して実行する。当然、他の計算手法、例えば遺伝的アルゴリズムを使用して誤差Eを最小化してもよい。
【0046】
推定されたパラメータは単位信号生成部104に供給され、推定されたパラメータを持つ新たな単位信号が生成される(407)。単位信号を増減したときは、その数に従って単位信号が生成される。新たな単位信号は上述したと同様にステップ408からステップ411を経由して新たな近似信号を作成する。入力信号のスペクトルと新たな近似信号のスペクトルの振幅/位相空間上の誤差を計算する。こうして計算を繰り返し、所要の許容誤差以下になったら最小値を得たと判断され、ステップ413から「YES」に進み、入力信号の分析は終了する。
【0047】
入力信号の分析結果は誤差が最小となった近似信号を形成している単位信号の各パラメータの集合として出力される。つまり、入力信号中に含まれる信号成分ごとの周波数と周波数の時間変化率、振幅と振幅の時間変化率である。
【0048】
【実施例】
以上の発明の実施形態を適用した実施例を説明する。図5は複数の準定常信号を含む入力信号s(t)の一例を示す。s(t)は図の信号s1、s2、s3の3種類のFM/AM信号を合成した信号である。図中のcf、df、ca、daは上述したのと同じパラメータである。入力信号としてs(t)を図1で示した分析装置に与えたとき、計算されるパワースペクトルを図6中の曲線で示す。パワースペクトルは有限時間による積分の打ち切りと変調の影響等でリーケージが発生しており、なだらかな3つのローカルピークがある。続いて、各ローカルピークに対応する3つの単位信号u1、u2、u3が単位信号生成部104で生成される。それぞれの単位信号はローカルピークの周波数と振幅を初期値cfi、caiとして持つ。またdfi、daiはここでは初期値0として与えられている。以上のことは各パラメータの推定過程を示す図7の計算回数0の点に対応している。
【0049】
これらの単位信号を足し合わせた近似信号のスペクトルが生成され、入力信号のスペクトルとの誤差が取られ最小化計算が繰り返されると、図7に示すように各パラメータはそれぞれの最適値に収束する。各パラメータの収束値は図5に示した準定常信号のパラメータに非常に近く、計算回数30回前後で十分な精度の結果が得られていることが分かる。
【0050】
図6に戻って、図中のバーは計算した単位信号の周波数および振幅を表す。入力信号の振幅スペクトルのローカルピークを周波数および振幅と推定する場合より正確に入力信号に含まれる信号を分析できていることが分かる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によると、一次元時系列信号の周波数分析において、信号成分のスペクトル分析精度を増すことができる。また時間をずらした複数のスペクトルでなく単一のスペクトルから複数の準定常信号成分の周波数、振幅の時間変化率を得ることができる。さらに、離散フーリエ変換の解像度つまり周波数間隔によらずに振幅スペクトルピークを正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に従った信号分析を実施する装置の構成を示すブロック図である。
【図2】離散フーリエ変換を行ったFM信号の一例を示した図であり、(a)はその実数部を、(b)は虚数部をそれぞれ示す図である。
【図3】離散フーリエ変換を行ったAM信号の一例を示した図であり、(a)はその実数部を、(b)は虚数部をそれぞれ示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に従った周波数分析方法を示すフローチャートである。
【図5】準定常信号を含む入力信号の一例を示す図である。
【図6】図4の入力信号のパワースペクトルと、本発明の一実施形態に従って該入力信号を分析した結果である単位信号のスペクトルを示す図である。
【図7】図4の入力信号を本発明の一実施形態に従って分析したときの、各単位信号のパラメータを推定した結果の一例を示す図。(a)は中心周波数、(b)は中心周波数の時間変化係数、(c)は振幅の増幅係数、(d)は振幅の時間変化係数のパラメータ推定過程をそれぞれ示す図である。
【符号の説明】
101 入力信号受信部
102、106 A/D変換部
103、107 周波数分析部
104 単位信号生成部
105 単位信号制御部
108 誤差最小化部
109 誤差判定部
110 出力部

Claims (4)

  1. 入力信号より窓関数を乗じて短時間の信号を切り出し周波数分析をしたデータを用いて入力信号の特性を明らかにする信号分析装置であって、ある周波数に局在するエネルギーを持つ信号でその周波数および振幅が時間と共に連続的に変化する1つまたは複数の単位信号を生成する手段と、前記入力信号のスペクトルと前記1つの単位信号または前記複数の単位信号の和のスペクトルとの振幅/位相空間における誤差を計算する手段と、該誤差を最小にするよう前記1つまたは複数の単位信号を変更する手段と、該変更した1つまたは複数の単位信号を前記入力信号の分析結果として出力する手段と、を含む信号分析装置。
  2. 前記生成する手段は、前記入力信号のパワースペクトルのローカルピークの数に応じた数の前記単位信号を生成する請求項1に記載の信号分析装置。
  3. 前記1つまたは複数の単位信号のそれぞれは、前記入力信号の中心周波数およびその時間変化率、前記中心周波数の振幅およびその時間変化率をパラメータとして持つ請求項1に記載の信号分析装置。
  4. 前記パラメータは関数でモデル化される請求項3に記載の信号分析装置。
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JPH02226300A (ja) * 1989-02-28 1990-09-07 Sony Corp 音韻区間情報形成装置

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