JP5003516B2 - 通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シリアルバスを介して二値信号の通信を行う通信装置に関する。
近年、通信技術の進展により、シリアルバスを介した各種情報の収集・管理や各種機器の制御・操作等を行う技術の進歩がめざましい。例えば、プラントでは、プラント内に設けられたフィールド機器と呼ばれる現場機器(測定器、操作器)と、これらを制御する制御機器(コントローラ)とがシリアルバスの一種であるフィールドバス(例えば、FOUNDATION FIELDBUS、PROFIBUS-DP、PROFIBUS-PA等)を介して接続されて分散制御システム(DCS:Distributed Control System)が構築されており、この分散制御システムによりプラントが高度に自動化されて操業されている。また、例えば自動車等の車両では、CAN(Controller Area Network)バスに代表されるシリアルバスが用いられており、エンジン制御、トランスミッション制御、ドアロック制御等の各種制御がシリアルバスを介して行われている。
ここで、上記のプラントに敷設されるフィールドバスを例に挙げると、フィールドバスの数及び長さ並びに1つのフィールドバスに接続されるフィールド機器の数は、プラントの規模が大きくなるほど増大する傾向がある。このため、プラントでは規模が大きくなる程フィールドバスの配線トラブルが生じやすい。ここで、フィールドバスの配線トラブルとしては、例えばフィールドバスを終端する終端装置であるターミネータの設置不足や設置過多、フィールドバスの物理的な切断、フィールドバスに接続される線路(スタブ)の長さ異常、フィールドバス自体の長さ異常等が挙げられる。
従来、フィールドバスに異常が生じた場合には、フィールドバスを介して伝送される信号波形をオシロスコープ等の専用解析ツールを用いて解析することによりその異常の発生原因を特定していた。また、以下の特許文献1には、一般的なプロトコルを用いて通信を行うフィールド機器(スマートフィールド機器)と、一般的なプロトコルを用いなくても良いコントローラとの間を接続してゲートウェイやブリッジとして機能するリンキングデバイスに診断機能を設けることで、配線不良を自動検出するシステムが開示されている。
特開2003−44133号公報
ところで、上述した特許文献1に開示された技術を用いれば配線不良の自動的検出が可能ではあるが、その検出はセグメント単位での検出に留まるため、セグメント内に複数のフィールド機器が接続されている場合には配線不良を特定することは困難である。このため、セグメント内に複数のフィールド機器が接続されている場合に異常が生じた場合には、依然としてオシロスコープ等の専用解析ツールによる信号波形の解析を行う必要があり、容易に異常原因を特定できずに長時間を要し、保守に要するコストの上昇を招くという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、シリアルバスにおいて生ずる異常原因を専用解析ツールを用いることなく容易、短時間、且つ低コストで特定することができる通信装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の通信装置は、シリアルバス(B)を介して二値信号の通信を行う通信装置(3)において、前記シリアルバスで生ずる異常の種類に応じた前記二値信号の波形の特徴的な変化を示すデータであって、所定期間において前記二値信号の電圧値が前記二値信号に設定される上限電圧値及び下限電圧値に対してそれぞれ許容される電圧範囲である第1許容範囲及び第2許容範囲を超えた頻度及び程度の少なくとも一方を前記シリアルバスで生ずる異常の種類毎に示すデータである第1特徴データ(D1)を記憶する記憶部(15)と、前記シリアルバスを介した前記二値信号の波形をサンプリングするサンプリング部(13)と、前記サンプリング部で得られた前記二値信号の波形のサンプリングデータを用いて前記シリアルバスを介した前記二値信号の波形の特徴的な変化を示す第2特徴データを求める特徴算出部(14a)と、前記記憶部に記憶された前記第1特徴データと前記特徴算出部で求められた前記第2特徴データとを比較して前記シリアルバスで生ずる異常の種類を判定する判定部(14b)とを備える。
この発明によると、シリアルバスを介した二値信号が通信装置で受信されるとサンプリング部でサンプリングされ、このサンプリングデータを用いて二値信号の波形の特徴的な変化を示す第2特徴データが特徴算出部で求められ、記憶部に記憶された第1特徴データと特徴算出部で求められた第2特徴データとが判定部において比較されてシリアルバスで生ずる異常の種類が判定される
また、本発明の通信装置は、前記第1許容範囲及び前記第2許容範囲を超えた頻度を示すデータが、前記所定期間において前記二値信号の電圧値が前記第1許容範囲及び第2許容範囲を超えた回数を示すデータと、前記所定期間において前記二値信号の電圧値が前記第1許容範囲及び第2許容範囲を連続して超えた連続回数を示すデータとの少なくとも一方を含み、前記第1許容範囲及び前記第2許容範囲を超えた程度を示すデータは、前記二値信号の電圧値と前記上限電圧値との差及び前記二値信号の電圧値と前記下限電圧値との差に対する所定の閾値を示すデータであることを特徴としている。
また、本発明の通信装置は、前記特徴算出部が、前記所定期間において前記サンプリングデータが前記第1許容範囲及び前記第2許容範囲を超えた頻度及び程度の少なくとも一方を示すデータを前記第2特徴データとして求めることを特徴としている。
また、本発明の通信装置は、前記特徴算出部で得られた前記第2特徴データを用いて、前記記憶部に記憶された前記第1特徴データを更新する更新部(14c)を備えることを特徴としている。
更に、本発明の通信装置は、前記判定部の判定結果を、前記シリアルバスを介して送信する通信部(12)を備えることを特徴としている。
本発明によれば、シリアルバスを介した二値信号の波形をサンプリングし、このサンプリングデータを用いて二値信号の波形の特徴的な変化を示す第2特徴データを求め、この第2特徴データと記憶部に記憶された第1特徴データとを比較してシリアルバスで生ずる異常の種類を判定しているため、シリアルバスにおいて生ずる異常原因を専用解析ツールを用いることなく容易、短時間、且つ低コストで特定することができるという効果がある。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による通信装置について詳細に説明する。尚、以下の説明では、シリアルバスがフィールドバスであって、本実施形態の通信装置がフィールド機器に実装されている態様を例に挙げて説明する。図1は、本発明の一実施形態による通信装置が用いられる通信システムを模式的に示す図である。図1に示す通信システム1は、フィールドバスBに接続されたホスト機器2と複数のフィールド機器3とを備えており、マスターにされるホスト機器2とスレーブにされる複数のフィールド機器3との間でフィールドバスBを介した通信が実現される。例えば、フィールドバスBがPROFIBUS-DPの場合には、ホスト機器2と複数のフィールド機器3との間でマスター・スレーブ方式の通信が実現される。尚、図1に示す通信システムは、例えばプラント又は工場内に設けられる。
フィールドバスBは、ホスト機器2とフィールド機器3との間で送受信される二値信号を伝送するバスであり、例えばPROFIBUS-DPである。尚、説明を簡単にするために、フィールドバスBの両端は、ターミネータ(図示省略)により終端されるとする。ホスト機器2は、複数のフィールド機器3で得られる各種物理量の測定結果(例えば、温度、流量、圧力等の測定結果)をフィールドバスBを介して収集するとともに、フィールドバスBを介して制御信号を送信して複数のフィールド機器3を制御する。
フィールド機器3は、例えばプラントに設けられたモータ、ポンプ等の機器に対して設けられ、例えばポンプで吸い出される液体の物理量(例えば、温度、流量、圧力等)を測定してその結果をフィールドバスBを介してホスト機器2に送信する。また、フィールド機器3は、ホスト機器2からフィールドバスBを介して送信される制御信号に基づいて、例えばモータの回転数を制御したり、バルブの開度等を操作する。
図2は、本発明の一実施形態による通信装置が実装されたフィールド機器3の内部構成を示すブロック図である。図2に示す通り、フィールド機器3は、通信インターフェイス11、通信制御部12(通信部)、サンプリング部13、制御部14、記憶部15、及び表示部16を備える。通信インターフェイス11は、線路L1,L2を介してフィールドバスBに接続されており、ホスト機器2からフィールドバスBを介して送信されてくる二値信号を受信するとともに、ホスト機器2に送信すべき二値信号(例えば、上述した各種測定結果を示す信号)を線路L1,L2に送出する。尚、通信インターフェイス11は、受信した二値信号に重畳されているノイズ除去等のためにバンドパスフィルタ等のフィルタを用いた受信信号のフィルタリング処理も行う。
通信制御部12は、制御部14の制御の下で、通信インターフェイス11及びフィールドバスBを介したホスト機器2との間で行われる通信を制御する。具体的には、転送クロックに同期した二値信号の送受信制御を行う。また、例えば送信すべき二値信号に対してプリアンプルやポストアンブルを付加してフレームを作成する処理(フレーミング)、及び受信信号からプリアンプルやポストアンブルを削除してデータを復元する処理(アンフレーミング)等の処理も行う。また、通信制御部12は、制御部14から判定部14b(詳細は後述する)の判定結果が出力された場合には、その判定結果をホスト機器2に送信する制御を行う。
サンプリング部13は、通信インターフェイス11から出力されて通信制御部12に入力される受信信号を所定のサンプリング周期をもってサンプリングする。例えば、フィールドバスBで用いられる転送クロックの周期Tよりも短い周期(具体的には、転送クロックTの周期の4分の1よりも短い周期)で通信制御部12から出力される受信信号をサンプリングする。尚、このサンプリング部13は、安価なA/D変換器を用いて実現することができる。
制御部14は、フィールド機器3の動作を統括して制御する。具体的には、測定部(図示省略)で行われる物理量(例えば、温度、流量、圧力等)の測定動作、測定部で得られた測定結果を通信制御部12を用いてホスト機器2に送信する送信動作、ホスト機器2からの制御信号に基づいて操作器(例えば、バルブの開度)を操作する動作等の各種動作を制御する。
また、制御部14は、図2に示す通り、特徴算出部14a、判定部14b、及び更新部14cを備えている。特徴算出部14aは、サンプリング部13から出力されるサンプリングデータを用いて、通信制御部12から出力される受信信号(シリアルバスを介した二値信号)の波形の特徴的な変化を示す特徴データ(第2特徴データ)を求める。尚、特徴データの詳細については後述する。
判定部14bは記憶部15に記憶された特徴データD1(第1特徴データ)と特徴算出部14aで求められた特徴データとを比較してフィールドバスBの状態の判定(異常の発生の有無の判定、及び異常が生じている場合にはその種類の判定)を行う。尚、本実施形態では、フィールドバスBで生ずる異常として、フィールドバスBの片側のみがターミネータで終端されている場合に生ずる異常、スタブの総数(フィールド機器3の総数)がフィールドバスBの仕様を越えている場合に生ずる異常、及びフィールド機器3間のフィールドバスBの長さがフィールドバスBの仕様よりも短い場合(例えば、フィールド機器3間のフィールドバスBの長さが1[m]未満の場合)に生ずる異常を例に挙げて説明する。
更新部14cは、特徴算出部14aで得られた特徴データを用いて、記憶部15に記憶された特徴データD1を更新する。この更新部14cは、例えばフィールド機器3が初めてフィールドバスBに接続された場合に、特徴算出部14aで特徴データが算出されたタイミングで記憶部15の特徴データD1を更新する。尚、更新部14cが記憶部15に記憶された特徴データD1を更新する間隔は任意の期間に設定することができるが、例えば1年程度に設定するのが望ましい。
記憶部15は、フィールドバスBで生ずる異常の種類に応じた二値信号の波形の特徴的な変化を示す特徴データD1、並びに後述する電圧値の誤差α、上限電圧値V、及び下限電圧値Vを記憶する。この特徴データD1は、所定期間において、二値信号の電圧値が、二値信号に設定される上限電圧値及び下限電圧値に対してそれぞれ許容される電圧範囲である上限許容範囲(第1許容範囲)及び下限許容範囲(第2許容範囲)を超えた頻度及び程度の少なくとも一方を示すデータであり、これはフィールドバスBで生ずる異常の種類毎に設定される。ここで、特徴データD1について具体的に説明する。
図3はフィールドバスBに異常が生じていない正常な場合における受信信号の波形の一例を示す図であり、図4はフィールドバスBに異常が生じた場合において得られる受信信号の文献等に開示された代表的な波形の一例を示す図である。尚、図3,図4に示す通り、受信信号(二値信号)の上限電圧値はVであり、下限電圧値はVであるとする。上限電圧値Vは例えば2.5[V]であり、下限電圧値Vは例えば−2.5[V]である。
また、上限電圧値Vに対する受信信号の「H(ハイ)」レベルにおける電圧値の誤差が±αの範囲で認められており、下限電圧値Vに対する受信信号の「L(ロー)」レベルにおける電圧値の誤差が±αの範囲で認められるとする。つまり、受信信号の電圧値をVとすると、図3,図4において符号R1で指し示す上記の上限許容範囲はV−α≦V≦V+αで表される範囲であり、符号R2で指し示す上記の下限許容範囲はV−α≦V≦V+αで表される範囲である。尚、電圧値の誤差αは例えば0.1〜0.5[V]程度の範囲内における所定の電圧に設定される。
まず、図3を参照すると、フィールドバスBに異常が生じていない正常な場合には、受信信号の波形が矩形波形であることが分かる。また、受信信号の電圧値Vは、「H」レベルの場合の電圧値がほぼ上限電圧値Vであって上限許容範囲R1内に収まっており、「L」レベルの場合の電圧値がほぼ下限電圧値Vであって下限許容範囲R2内に収まっていることも分かる。
次に、図4(a)〜図4(c)を参照すると、フィールドバスBに何らかの異常が生じている場合には、受信信号の波形が図3に示した矩形波形から大きく変化していることが分かる。図4(a)は、フィールドバスBの片側のみがターミネータで終端されている場合に観測される受信信号の代表的な波形である。この図4(a)に示す波形は、「H」レベルの場合の電圧値が上限電圧値Vに一致することが殆ど無く、また「L」レベルの場合の電圧値が下限電圧値Vに一致することも殆ど無いという特徴を有するのが分かる。また、その電圧値Vが上限許容範囲R1及び下限許容範囲R2の双方を越える部分(例えば、図4(a)中において符号Q11〜Q17で指し示した部分)が頻出して、その越え方の程度(上限電圧値V又は下限電圧値Vとの差)も大きくなる特徴を有するのが分かる。
図4(b)は、スタブの総数(フィールド機器3の総数)がフィールドバスB(例えば、PROFIBUS)の仕様を越えている場合に観測される受信信号の代表的な波形である。この図4(b)を参照すると、受信信号の波形は、図4(a)に示す波形よりも図3に示す矩形波形に近い波形であり、図4(a)に示す波形のように電圧値Vが上限許容範囲R1及び下限許容範囲R2の双方を越えることが頻出する訳ではない。しかしながら、図4(b)に示す波形は、スパイク状のノイズのように、電圧値Vが単発的に上限許容範囲R1又は下限許容範囲R2を越える部分(例えば、図4(b)中において符号Q21〜Q29で指し示した部分)が繰り返し現れる特徴を有するのが分かる。
図4(c)は、フィールド機器3間のフィールドバスBの長さがフィールドバスB(例えば、PROFIBUS)の仕様で定められた1[m]未満の場合に観測される受信信号の代表的な波形である。この図4(c)を参照すると、受信信号の波形は、図4(a)に示す波形よりも図3に示す矩形波形に近い波形ではあるが、図4(b)に示す波形よりは崩れた波形であることが分かる。このため、その電圧値Vが上限許容範囲R1又は下限許容範囲R2を連続して越える部分(例えば、図4(c)中において符号Q31〜Q35で指し示した部分)が現れるという特徴を有するのが分かる。
本実施形態では、前述した特徴データD1に含まれる上限許容範囲及び下限許容範囲を超えた頻度を示すデータとして、所定期間において受信信号の電圧値Vが上限許容範囲R1又は下限許容範囲R2を越えた回数Nを示すデータと、所定期間において受信信号の電圧値Vが上限許容範囲R1又は下限許容範囲R2を連続して越えた連続回数Mを示すデータとを用いる。尚、上記の所定期間は任意の期間で良いが、本実施形態では、説明を簡単にするため、フィールドバスBで用いられる転送クロックの1周期Tであるとする。
ここで、図2を用いて説明した通り、通信制御部12からの受信信号はサンプリング部13でサンプリングされているため、上記の回数N及び連続回数Mはサンプリング部13におけるサンプリング周期に依存する。つまり、サンプリング周期が短くなれば、転送クロックの1周期T内におけるサンプル数が増加するため、同じ波形の受信信号をサンプリングしても上記の回数N及び連続回数Mを増大させ、逆にサンプリング周期が短くなればサンプル数が減少するため上記の回数N及び連続回数Mを減少させる必要がある。
本実施形態では、説明を簡単にするために、サンプリング部13におけるサンプリング周期が転送クロックの1周期Tの10分の1の時間に設定されており、転送クロックの1周期T内に10個のサンプルを得るものとする。このため、記憶部15に記憶される特徴データD1には、上記の回数Nを示すデータとして例えば値「5」が含まれており、連続回数Mを示すデータとして例えば値「3」が含まれている。
また、本実施形態では、前述した特徴データD1に含まれる上限許容範囲及び下限許容範囲を超えた程度を示すデータとして、受信信号の電圧値Vと上限電圧値Vとの差、及び受信信号の電圧値Vと下限電圧値Vとの差に対する所定の閾値Xを示すデータを用いる。このため、記憶部15に記憶される特徴データD1には、上記の所定の閾値Xを示すデータとして例えば電圧差0.5[V]を示す値「0.5」が含まれている。
尚、前述した特徴算出部14aも、サンプリング部13から出力されるサンプリングデータを用いて、波形の特徴的な変化を示す特徴データとして、上限許容範囲R1及び下限許容範囲R2を超えた頻度及び程度を示すデータを求める。具体的には、上限許容範囲R1及び下限許容範囲R2を超えた頻度を示すデータとして前述した回数N及び連続回数Mを示すデータを求め、上限許容範囲R1及び下限許容範囲R2を超えた程度を示すデータとして、受信信号の電圧値Vと上限電圧値Vとの差、及び受信信号の電圧値Vと下限電圧値Vとの差のうちの大きい方を求める。
表示部16は、例えば液晶表示装置等の表示装置を備えており、フィールド機器3で得られた計測結果を示す情報、判定部14bで判定されたフィールドバスBで生ずる異常の種類を示す情報、フィールド機器3の内部状態を示す情報、その他の各種情報を表示する。尚、本実施形態では、フィールド機器3が表示部16を備える場合について説明するが、表示部16は省略されても良い。
次に、フィールド機器3の動作について説明する。図5は、フィールド機器3の動作の概要を示すフローチャートである。尚、本実施形態では、説明を簡単にするために、図5に示すフローチャートはフィールドバスBで用いられる転送クロックの周期Tで起動されるものとする。
図5に示したフローチャートの処理が開始されると、サンプリング部13において通信制御部12から出力される受信信号のサンプリングが行われる(ステップS1)。尚、受信信号のサンプリングは、実際にはサンプリング13で設定されたサンプリング周期で連続的に行われるが、ここでは説明を簡単にするために、ステップS1において転送クロックの1周期T分のサンプル(即ち、10個のサンプル)が得られるとし、このサンプル値の全てが制御部14に出力されるとする。
転送クロックの1周期T分のサンプルが得られると、そのサンプリング結果から受信信号の特徴データを求め、この特徴データと記憶部15に記憶された特徴データD1とを比較してフィールドバスBの状態を判定する処理が行われる(ステップS2)。図6は、図5中のステップS2で行われる処理の詳細を示すフローチャートである。図6に示す通り、ステップS2の処理が開始されると、まずサンプリング結果から受信信号の特徴データを求める処理(ステップSA)が特徴算出部14aで行われ、次いで特徴算出部14aで求められた特徴データと記憶部15に記憶された特徴データD1とを比較してフィールドバスBの状態を判定する判定する処理(ステップSB)が判定部14bで行われる。以下、各々の処理について詳細に説明する。
ステップSAに示す処理が特徴算出部14aで開始されると、まずサンプリング部13から出力された複数のサンプルの中から1つのサンプルを特定するために用いる変数iの初期化が行われる(ステップS11)。例えば、この処理では、変数iの値が「1」に設定される。次に、i番目のサンプルの電圧値Vが下限許容範囲R2内であるか否か(即ち、V−α≦V≦V+αが満たされるか否か)が判断される(ステップS12)。この判断結果が「NO」である場合には、i番目のサンプルの電圧値Vが上限許容範囲R1内であるか否か(即ち、V−α≦V≦V+αが満たされるか否か)が判断される(ステップS13)。
この判断結果が「NO」である場合には、許容範囲を超えた頻度及び程度が特徴算出部14aに記憶される(ステップS14)。具体的には、サンプルの電圧値が上限許容範囲R1又は下限許容範囲R2を越えた回数を示す変数nの値がインクリメントされる。また、サンプルの電圧値が上限許容範囲R1又は下限許容範囲R2を連続して越えている場合には、連続回数を示す変数mの値がインクリメントされる。更に、電圧値Vと上限電圧値Vとの差及び電圧値Vと下限電圧値Vとの差が求められて記憶される。
ステップS14の処理が終了した場合、又はステップS12,S13の判断結果が「YES」の場合には、変数iの値が所定値であるか否かが判断される(ステップS15)。具体的には、変数iの値が転送クロックの1周期Tに含まれるサンプル数(例えば「10」)になったか否かが判断される。この判断結果が「NO」の場合には、変数iの値がインクリメントされて(ステップS16)、ステップS12の処理が再度行われる。
ステップS15の判断結果が「NO」である間は、ステップS12〜S14,S16の処理が繰り返し行われ、これにより、サンプリング部13から得られたサンプルの各々について上限許容範囲R1及び下限許容範囲R2を越えているか否かが判定され、越えている場合には越えた頻度及び程度が特徴算出部14aに記憶される。これに対し、ステップS15の判断結果が「YES」になると、特徴算出部14aにおけるサンプリング結果から受信信号の特徴データを求める処理(ステップSA)が終了する。
次に、ステップSBに示す処理が判定部14bで開始されると、まず特徴算出部14aで求められた特徴データ(変数n,mを示すデータ及び電圧値Vと上限電圧値V又は下限電圧値Vとの差を示すデータ)が判定部14bに出力されるとともに、記憶部15に記憶された特徴データD1が判定部14bに読み出される。そして、特徴算出部14aからの特徴データに含まれる変数nの値(上限許容範囲R1又は下限許容範囲R2を越えた回数を示す値)が、特徴データD1に含まれる変数Nの値以下であるか否かが判断される(ステップS17)。この判断結果が「YES」である場合には、判定部14bはフィールドバスBに異常が生じておらず正常であると判定する(ステップS18)。
これに対し、ステップS17の判断結果が「NO」である場合には、特徴算出部14aからの特徴データに含まれる変数mの値(上限許容範囲R1又は下限許容範囲R2を連続して越えた連続回数を示す値)が、特徴データD1に含まれる変数Mの値以下であるか否かが判断される(ステップS19)。この判断結果が「YES」である場合には、判定部14bはスタブの総数(フィールド機器3の総数)がフィールドバスBの仕様を越えている異常が生じていると判定する(ステップS20)。
これに対し、ステップS19の判断結果が「NO」である場合には、特徴算出部14aからの特徴データに含まれる電圧値Vと上限電圧値V又は下限電圧値Vとの差を示すデータのうちの大きい方の値が、特徴データD1に含まれる閾値Xの値以下であるか否かが判断される(ステップS21)。この判断結果が「YES」である場合には、判定部14bはフィールド機器3間のフィールドバスBの長さがフィールドバスBの仕様で定められた1[m]未満である異常が生じていると判定する(ステップS22)。他方、ステップS21の判断結果が「NO」である場合には、判定部14bはフィールドバスBの片側のみがターミネータで終端されている異常が生じていると判定する(ステップS23)。
以上、ステップS18,S20,S21,S22,S23が終了すると、判定部14bにおける特徴算出部14aで求められた特徴データと記憶部15に記憶された特徴データD1とを比較してフィールドバスBにおいて異常が発生したか否かを判定する処理(ステップSB)が終了する。ステップS2に示した一連の処理が終了すると、制御部14は判定部14bの判定結果を表示部16に出力し、判定部14bの判定結果を表示させる(ステップS3)。尚、表示部16には、フィールドバスBで生じた異常の種類(スタブの総数異常、ケーブル長異常、ターミネータによる終端異常等)が表示される。
次いで、制御部14は、判定部14bの判定結果を通信制御部12に出力して判定部14bの判定結果を送信させる。これにより、判定部14bの判定結果がホスト機器2に通知される(ステップS4)。以上の処理で図5に示す一連の処理が終了する。尚、図5に示す例では、ステップS2の処理が終了した後に、常に判定部14bの判定結果を表示部16に表示するとともにホスト機器2に通知しているが、判定部14bによって何らかの異常が判定された場合のみ表示部16の表示及びホスト機器2への通知を行うのが好ましい。また、上記実施形態のように表示部16の表示及びホスト機器2への通知の両方を行わず、何れか一方のみを行っても良い。
以上の通り、本実施形態では、フィールドバスBで生ずる異常に応じた二値信号の波形の特徴的な変化を示す特徴データD1を予め記憶しておき、フィールドバスBを介した二値信号を受信して得られた受信信号をサンプリングし、これにより得られたサンプリングデータの特徴的な変化を示す特徴データを求め、この特徴データと上記の特徴データD1とを比較してフィールドバスBの状態を判定している。このため、フィールドバスBにおいて生ずる異常原因を専用解析ツールを用いることなく容易、短時間、且つ低コストで特定することができる。
以上、本発明の一実施形態による通信装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、上限許容範囲R1及び下限許容範囲R2を超えた程度を示すデータとして、電圧値と上限電圧値Vとの差及び電圧値と下限電圧値Vとの差を用いていたが、所定期間における平均値や変化傾向(トレンド)を用いても良い。尚、ここにいう所定期間とは、転送クロックの1周期Tであっても良く、これよりも長い期間であっても良い。
また、上記実施形態では、所定期間において電圧値が上限許容範囲R1等を越えた回数Nを示すデータ、所定期間において電圧値が上限許容範囲R1等を連続して越えた連続回数Mを示すデータ、及び閾値Xを示すデータを用いて異常の種類を判定する場合について説明した。しかしながら、判定部14bは必ずしもこれらのデータを全て用いて判定を行う必要はなく、また、判定に用いるデータはこれらに限られる訳でもない。つまり、種別を判別する上で必要なデータを用いて判別を行えば良い。
また、上記実施形態では二値信号の波形の特徴的な変化に着目して、フィールドバスBの状態判定を行う例について説明した。しかしながら、フィールドバスBに異常が生じていない正常な場合及び異常が生じた場合の各々の場合における代表的な形を記憶部15に記憶しておき、サンプリング部13で得られるサンプルとの相関を求めてフィールドバスBの状態判定を行っても良い。
更に、上記実施形態では、フィードバスBに異常が生じた場合において得られる受信信号の文献等に記載された代表的な波形を用いて特徴データD1が作成されていたが、文献に開示された波形と実際にフィールドバスBから得られる受信信号の波形とは異なる場合がある。このため、更新部14cが、特徴算出部14aで得られた特徴データを用いて、記憶部15に記憶された特徴データD1を更新するのが好ましい。このとき、更新部14cは、例えばフィールド機器3が初めてフィールドバスBに接続された場合に、特徴算出部14aで特徴データが算出されたタイミングで記憶部15の特徴データD1を更新し、或いは、例えば1年程度の間隔で更新するのが望ましい。
また更に、上記実施形態では、シリアルバスがフィールドバスB(例えば、FOUNDATION FIELDBUS、PROFIBUS-DP、PROFIBUS-PA等)であって、通信装置がフィールド機器3に実装されている態様を例に挙げて説明した。しかしながら、任意のシリアルバスを介して二値信号の通信を行う任意の通信装置に適用が可能である。
本発明の一実施形態による通信装置が用いられる通信システムを模式的に示す図である。 本発明の一実施形態による通信装置が実装されたフィールド機器3の内部構成を示すブロック図である。 フィールドバスBに異常が生じていない正常な場合における受信信号の波形の一例を示す図である。 フィールドバスBに異常が生じた場合において得られる受信信号の文献等に開示された代表的な波形の一例を示す図である。 フィールド機器3の動作の概要を示すフローチャートである。 図5中のステップS2で行われる処理の詳細を示すフローチャートである。
符号の説明
3 通信装置
12 通信制御部
13 サンプリング部
14a 特徴算出部
14b 判定部
14c 更新部
15 記憶部
B シリアルバス
D1 特徴データ

Claims (5)

  1. シリアルバスを介して二値信号の通信を行う通信装置において、
    前記シリアルバスで生ずる異常の種類に応じた前記二値信号の波形の特徴的な変化を示すデータであって、所定期間において前記二値信号の電圧値が前記二値信号に設定される上限電圧値及び下限電圧値に対してそれぞれ許容される電圧範囲である第1許容範囲及び第2許容範囲を超えた頻度及び程度の少なくとも一方を前記シリアルバスで生ずる異常の種類毎に示すデータである第1特徴データを記憶する記憶部と、
    前記シリアルバスを介した前記二値信号の波形をサンプリングするサンプリング部と、
    前記サンプリング部で得られた前記二値信号の波形のサンプリングデータを用いて前記シリアルバスを介した前記二値信号の波形の特徴的な変化を示す第2特徴データを求める特徴算出部と、
    前記記憶部に記憶された前記第1特徴データと前記特徴算出部で求められた前記第2特徴データとを比較して前記シリアルバスで生ずる異常の種類を判定する判定部と
    を備えることを特徴とする通信装置。
  2. 前記第1許容範囲及び前記第2許容範囲を超えた頻度を示すデータは、前記所定期間において前記二値信号の電圧値が前記第1許容範囲及び第2許容範囲を超えた回数を示すデータと、前記所定期間において前記二値信号の電圧値が前記第1許容範囲及び第2許容範囲を連続して超えた連続回数を示すデータとの少なくとも一方を含み、
    前記第1許容範囲及び前記第2許容範囲を超えた程度を示すデータは、前記二値信号の電圧値と前記上限電圧値との差及び前記二値信号の電圧値と前記下限電圧値との差に対する所定の閾値を示すデータである
    ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
  3. 前記特徴算出部は、前記所定期間において前記サンプリングデータが前記第1許容範囲及び前記第2許容範囲を超えた頻度及び程度の少なくとも一方を示すデータを前記第2特徴データとして求めることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の通信装置。
  4. 前記特徴算出部で得られた前記第2特徴データを用いて、前記記憶部に記憶された前記第1特徴データを更新する更新部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の通信装置。
  5. 前記判定部の判定結果を、前記シリアルバスを介して送信する通信部を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の通信装置。
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