JP5003136B2 - 転がり支持装置用セラミックス製球状体の製造方法、この方法で得られた転動体を有する転がり支持装置 - Google Patents

転がり支持装置用セラミックス製球状体の製造方法、この方法で得られた転動体を有する転がり支持装置 Download PDF

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Description

本発明は、セラミックス製球状体の製造方法、この方法で得られた転動体を有する転がり支持装置に関する。
本発明において、転がり支持装置とは、互いに対向配置される軌道面を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道面間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する装置、具体的には、転がり軸受(ボールベアリング、ローラベアリング等)、ボールねじ、リニアガイド、ボールスプライン、リニアボールベアリング等を指す。
工作機械主軸用軸受には、下記の特許文献1に記載されているように、dmn値(軸受の内径と外径との平均寸法dm≒転動体のピッチ円の直径(単位:mm)と、回転速度n(単位:min-1)との積)が140万以上となる高速回転下での寿命を十分に長くすることが求められている。
一方、半導体装置、液晶パネル、ハードディスク等は、製造工程で各種薬品で洗浄されるため、その製造過程で使用する装置に組み込まれた転がり支持装置には、腐食環境下で良好に作動することが要求される。また、潤滑油やグリース等の潤滑剤は、飛散して汚染の原因となる恐れがあるため使用できない。
腐食環境下で使用可能な転がり軸受としては、常圧焼結法で製造されたセラミックス製の外輪と、ガス圧焼結法又はHIP法で製造されたセラミックス製の内輪を備えた耐食性転がり軸受(特許文献2を参照)や、内輪、外輪、および転動体が炭化ケイ素製である転がり軸受(特許文献3を参照)等が知られている。
下記の特許文献4には、セラミックス製品の表面強靱化方法として、硬さが、Hv(ビッカース硬さ)で500以上、且つ、対象となるセラミックス製品のHvに50を足した値以下であり、平均粒子サイズが0.1μm〜200μmであり、表面が凸曲面の微粒子からなる噴射材(ショット)を用いて、セラミックス製品の表面に均一に分布した直線状の転位組織を形成する方法が記載されている。また、このように噴射材の硬さと形状、噴射条件を特定することで、ショットブラスト後の熱処理が不要になり、熱処理による特性の劣化が防止できると記載されている。
なお、下記の特許文献5には、モータにより一定速度で回転する底部円板と、該円板を底面として周囲に立設された円筒状側壁と、該円筒状側壁の上部開口を閉止する蓋からなり、底部円板内面側と円筒状側壁内面側は、ともに砥粒が付着されて砥材面を形成していると共に、蓋の中央にはホースアダプターが設けられ、加工時、発生する粉塵を吸出するバキュームノズルが接続可能となっていることを特徴とする脆性材料の球体成形加工装置が記載されている。
また、下記の特許文献6には、駆動力によって回転する公転軸を中心として回転する公転回転アームと、垂直から前記公転軸側へ傾斜した自転軸を介して前記公転回転アームに自転自在に支持されているミルポットと、前記公転軸の周りの全周に亘って前記公転回転アームの上方に固定して配置され、前記公転回転アームの回転に伴って公転する前記ミルポットの外周面が接触して前記ミルポットに自転を生じさせる外周ポット受けと、を有することを特徴とする遊星ボールミが記載されている。
一方、下記の特許文献7には、セラミックス焼結体の表面強靱化方法として、砥粒による噴射加工(ホーニング)法が記載されている。具体的には、砥粒を2×10-4J以下の運動エネルギーで衝突させることにより、セラミックス焼結体の表面粗さを10μm以下、残留圧縮応力を350MPa未満にすることが記載されている。実施例では、砥粒の運動エネルギー1.5×10-4〜5.6×10-10 Jの液体ホーニングで、セラミックス焼結体の表面粗さ(最大粗さRmax)を10μm以下にしている。
また、下記の特許文献8には、セラミックス焼結体の表面強靱化方法として、セラミックス焼結体を加熱した状態でホーニングすることが記載されている。なお、ホーニング加工は、玉の全面を均一に加工することが困難であり、通常5個以上の玉を使用する転がり軸受では、表面の状態に差がある玉を使用すると製品毎に寿命に差がでるため、好ましくない。
下記の特許文献9には、セラミックス焼結体の表面強靱化方法として、セラミックス焼結体を常温でショットブラストした後に、熱処理し、さらに表面改質層の一部を研磨処理で除去する方法が記載されている。表面改質層の厚さは数十μm〜数百μmであり、研磨で除去する厚さは5〜20μmが好ましいことや、投射材が100μm以下の微細粒子の場合は研磨処理工程を省略できることも記載されている。
下記の特許文献10には、最終仕上げ後の転がり接触面の残留応力を、引っ張り側を正として−1000〜250MPaの範囲に設定し、上記表面部の最表層面部の残留応力を、引っ張り側を正として−1000〜0MPaの範囲に設定することを特徴とするセラミックス製転動部品が記載されている。
特開2005−163893号公報 特開平8−121488号公報 特開平10−82426号公報 特開2004−136372号公報 特開2006−35334号公報 特開2006−43578号公報 特開平5−200720号公報 特開平5−201783号公報 WO02/246053号公報 特許3770288号公報
本発明の課題は、dmn値が140万以上となる高速回転下や潤滑剤を使用できない腐食環境下においても、寿命を十分に長くできる転がり軸受等の転がり支持装置を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、遊星ボールミルのミルポット内に、ヤング率が250GPa以上、ビッカース硬さが1300以上、破壊靱性が5.0MPa・√m以上、3点曲げ試験における最低抗折強度が500MPa・√m以上、および圧砕強度が100N/mm 2 以上を満たす窒化珪素焼結体からなる同じセラミックス製球状体を複数個入れて、遊星ボールミルを作動させ、前記球状体に、ミルポット内に発生する公転に伴う遠心力と自転に伴う遠心力を付与することで、前記球状体同士を衝突させるとともに、前記球状体をミルポットの内壁へ衝突させて、前記球状体の表面をなすセラミックス結晶に転位を導入するボールミル工程を有し、このボールミル工程で表層部の圧縮残留応力を500MPa以上にすることを特徴とする転がり支持装置用セラミックス製球状体の製造方法を提供する。
本発明の方法と特許文献4の方法を比較した結果を、得られたセラミックス製球状体の表面からの深さと破壊靱性値との関係を示すグラフにまとめて図1に示す。図1のグラフのNo. 1は、後述の実施形態に示す条件で得られた本発明の方法による結果であり、No. 3は、後述の実施形態に示す条件で得られた特許文献4の方法による結果である。
このグラフから、本発明の方法では、表面から約40μmの深さに転位が導入され、特許文献4の方法では、表面から約10μmの深さに転位が導入されていることが分かる。このように、本発明の方法によれば、特許文献4の方法よりも、セラミックス製球状体の表面の深い位置に転位が導入されるため、耐摩耗性および耐焼き付き性により優れたセラミックス製球状体を得ることができる。
本発明の方法のボールミル工程は、例えば、特許文献6に記載の遊星ボールミルを使用して行うことができる。また、ミルポットとしては、ステンレススチール製で、メノー、アルミナ、ジルコニア、クロム鋼、または窒化珪素からなる内張り材が設けてあるものが挙げられる。
遊星ボールミルの作動条件としては、公転速度:300rpm以上1000rpm以下(より好ましくは500rpm以上700rpm以下)、自転速度:600rpm以上2000rpm以下(より好ましくは1000rpm以上1400rpm以下)で、回転時間:1時間以上10時間以下(より好ましくは2時間以上7時間以下)が好ましい。
また、ミルポット内へのセラミックス製球状体の充填量としては、ミルポットの内容積の10体積%以上70体積%以下であることが好ましく、30体積%以上50体積%以下であることがより好ましい。
本発明の方法においては、前記ボールミル工程の後に、仕上げ研磨加工を行うことが好ましい。この仕上げ研磨加工は、特許文献5に記載の球体成形加工装置を使用して行うことができる。この仕上げ研磨加工で例えば表面から深さ3μmの位置まで研磨した場合でも、得られた表面の破壊靱性値は、図1に示すように、特許文献4の方法で得られた表面の破壊靱性値より高くなる。
また、セラミックス製球状体に対して前述のボールミル工程を行うと、球状体の表面粗さが粗くなったり、真円度が低下したりするが、このボールミル工程の後に特許文献5に記載の球体成形加工装置等を使用して仕上げ研磨加工を行うことにより、これらの不具合が解決される。よって、靱性、耐摩耗性、および耐焼き付き性に優れたセラミックス製転動体が得られる。
さらに、セラミックス球状体の物性によっては、ボールミル工程でセラミックス球状体に転位を導入する際に、表面に欠けが生じたり、球状体が割れたりすることがある。そのため、本発明の方法では、ヤング率が250GPa以上、ビッカース硬さが1300以上、破壊靱性が5.0MPa・√m以上、3点曲げ試験における最低抗折強度が500MPa・√m以上、および圧砕強度が100N/mm2 以上を満たす窒化珪素焼結体からなる球状体に、ボールミル工程を施す。
ヤング率が250GPa以上、ビッカース硬さが1300以上、破壊靱性が5.0MPa・√m以上、3点曲げ試験における最低抗折強度が500MPa・√m以上、および圧砕強度が100N/mm2 以上を満たす窒化珪素焼結体からなる球状体は、ボールミル工程で転位を導入する際に、表面の欠けや割れが生じ難い。
本発明はまた、互いに対向配置される軌道面を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道面間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転がり支持装置において、前記転動体は、ヤング率が250GPa以上、ビッカース硬さが1300以上、破壊靱性が5.0MPa・√m以上、3点曲げ試験における最低抗折強度が500MPa・√m以上、および圧砕強度が100N/mm 2 以上を満たす窒化珪素焼結体からなるセラミックス製球状体であり、本発明の方法で得られ、表面をなすセラミックス結晶に転位組織が均一に形成されていることを特徴とする転がり支持装置を提供する。
本発明の転がり支持装置は、本発明の方法で得られたセラミックス製転動体を備えているため、特許文献4の方法で表面が強靱化されたセラミックス製転動体を備えている転がり支持装置よりも、dmn値が140万以上となる高速回転下や潤滑剤を使用できない腐食環境下における寿命が長くなる。
本発明の方法では、遊星ボールミルを用いてセラミックス球状体に転位を導入しているが、セラミックス球状体に転位を導入する攪拌装置としては、通常のボールミル、アトライター、Vブレンダー等も使用できる。
本発明の方法によれば、特許文献4の方法よりも、靱性、耐摩耗性、および耐焼き付き性に優れたセラミックス製球状体が得られる。
本発明の転がり支持装置は、dmn値が140万以上となる高速回転下や潤滑剤を使用できない腐食環境下における寿命が長い。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
図2は、本発明の転がり支持装置の実施形態である転がり軸受の構造を示す部分縦断面図である。
この転がり軸受は、呼び番号6000の深溝玉軸受(内径10mm、外径26mm、幅8mm、玉の直径4.762mm)であり、外周面に軌道面1aを有する内輪(第1部材)1と、軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪(第2部材)2と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の玉(転動体)3と、玉3を保持する保持器4と、からなる。
内輪1と外輪2は、SUS440Cからなる素材を所定形状に加工し、通常の熱処理を施したものを用いた。
No. 1では、Hv1500の窒化珪素製素材を直径4.768mmの球状に加工し、表面粗さ(Ra)を0.002μmにした後、下記の方法でボールミル工程を行い、次いで、ボールラップ盤を用いて仕上げ研磨を行った。これを玉3として用いた。この玉3の表面粗さ(Ra)は、ボールミル工程前と同じ0.002μmであった。
<ボールミル工程条件>
使用した装置:フリッチュ社製「遊星型ボールミル P−5」。ミルポットは、全容積45ミリリットル(cc)、クロム鋼製。
ミルポット内への窒化珪素製球状体の充填量:ミルポットの内容積の50体積%
公転速度:500rpm
自転速度:1000rpm
回転時間:7時間
No. 2では、公転速度を300rpm、自転速度を600rpmとした以外はNo. 1と同じ方法でボールミル工程を行い、次いで、ボールラップ盤を用いて仕上げ研磨を行った。これを玉3として用いた。この玉3の表面粗さ(Ra)は、ボールミル工程前と同じ0.002μmであった。
No. 3では、Hv1500の窒化珪素製素材を直径4.762mmの球状に加工し、表面粗さ(Ra)を0.002μmにした後、硬さがHv1500で、平均粒径が150μmで、比重が3.98のアルミナビーズをショットとして用い、投射圧:0.5MPa、投射速度:50m/s、投射量:400g/min、投射時間:10sの条件でショットブラストを行った。これを玉3として用いた。この玉3の表面粗さ(Ra)は、ショットブラスト前より0.006μm粗い、0.008μmとなった。
No. 4では、Hv1500の窒化珪素製素材を直径4.762mmの球状に加工し、表面粗さ(Ra)を0.002μmにしたものを、そのまま玉3として用いた。
なお、表面粗さの測定は、Hv1500の窒化珪素製で、10mm×10mmで厚さが5mmの板状試験片を用いて行った。すなわち、No. 1と2では、この試験片の表面に対して、上述のNo. 1の玉3に対する方法と同じ方法でボールミル工程と研磨を行ったものを用いた。No. 3では、この試験片の表面に対して、上述のNo. 3の玉3に対する方法と同じ方法でショットブラストを行ったものを用いた。No. 4では、この試験片をそのまま用いた。
また、ビッカース硬さ試験機を用い、これらのNo. 1〜4の玉3に対応させた試験片の表面に、ダイヤモンド圧子を196N(20kgf)、20secの条件で押し込むことで、発生した圧痕とクラックの大きさを測定し、その測定値から破壊靱性値を求めた。その結果、No. 1では18MPa・√m、No. 2では14MPa・√m、No. 3では12MPa・√m、No. 4では7MPa・√mであった。
また、No. 1〜4について、試験片の表面から各深さ位置で破壊靱性値を測定した結果、破壊靱性値が一定の値に収束する位置(強靱化深さ)はNo. 1で40μm、No. 2で30μm、No. 3で10μmであり、No. 4では破壊靱性値が深さ方向で一定であった。
また、No. 1〜3の玉3に対応させた試験片を用いて、ビッカース硬度(Hv)を測定した結果、No. 1で1590であり、No. 2で1570であり、No. 3で1550でありった。なお、No. 4は処理を行っていないため、1500のままである。
また、No. 1〜4の玉3について、X線回折により圧縮残留応力を測定した。
また、窒化珪素製球のX線回折によるピークの半値幅を測定して、破壊靱性値と半値幅との関係を調べたところ、図3のグラフが得られた。X線回折の条件は、CrKα線、電圧40k、電流40mA、無歪回折角2θ0 =125.40°(β−Si3 4 (411))、コリメータレンズ直径1mm、測定時間120秒である。
転位密度はX線回折ピークの半値幅に比例するため、図3のグラフから破壊靱性値が高いほど転位の導入量が多いことが分かる。
Figure 0005003136
得られたサンプルNo. 1〜4の玉3と、前述の内輪1および外輪3と、フッ素樹脂製の保持器4を用いて、図2に示す転がり軸受を組み立てた。そして、組み立てた各転がり軸受を図4に示す日本精工(株)製の軸受回転試験機にかけて、腐食性液中に浸漬した状態での耐久性を調べた。
この試験機は、試験軸受10の内輪を先端部11aに取り付ける軸11と、外輪を内挿するハウジング12を備えている。ハウジング12の外周部にはプレート13が固定され、このプレート13に振動計14が取り付けられている。ハウジング12の外周部のプレート13とは反対の側に、ワイヤー15の一端が固定されている。このワイヤー15の他端に、試験軸受10にラジアル荷重を付与するための重り16が取り付けられている。
この試験機では、また、容器20を載せる台30にアーム31が固定され、その上に滑車32が取り付けてある。試験軸受10は、軸11とハウジング12との間に取り付けられた状態で容器20内に設置する。そして、この状態で、ワイヤー15を滑車32を介して台31の側部に垂下させる。容器20内には水Wが入っている。
また、軸11の回転装置として、モータ111とスピンドル112と連結継ぎ手113とからなる回転装置110を備えている。
この試験機により下記の条件で回転試験を行い、振動値を基準とした軸受寿命を測定した。すなわち、軸受に生じる振動を回転試験中に常時測定し、この振動値が初期値の3倍以上となった時点で試験を中止し、それまでの総回転数を寿命とした。なお、全ての転がり軸受に対してグリースおよび潤滑油による潤滑は行わなかった。
<回転試験条件>
雰囲気温度:常温
ラジアル荷重:9N
回転速度:3000min-1
そして、各試験用軸受の耐久性(回転寿命)を比較するために、サンプルNo. 4の転がり軸受の寿命を「1」とした時の相対値を算出した。その結果、寿命の相対値が、本発明の実施例に相当する方法で作製した玉3を用いたNo. 1と2では、No. 1で「10」、No. 2で「7」であり、特許文献4の方法で作製した玉3を用いたNo. 3では「3」であった。
このように、本発明の実施例に相当するNo. 1およびNo. 2の玉3を用いた転がり軸受は、No. 3および4を用いた転がり軸受と比較して、腐食性環境下での寿命が著しく長くなる。
〔第2実施形態〕
図5は、本発明の転がり支持装置の実施形態である転がり軸受の構造を示す部分縦断面図である。
この転がり軸受は、呼び番号70BNR10Tのアンギュラ玉軸受(内径70mm、外径100mm、幅20mm、玉の直径8.73mm)であり、外周面に軌道面1aを有する内輪(第1部材)1と、軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪(第2部材)2と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の玉(転動体)3と、玉3を保持する保持器4と、シール5と、からなる。
第1実施形態と同じ方法で作製したNo. 1〜3の玉と、SHX材を用いた以外は第1実施形態と同じ方法で作製した内輪1および外輪2と、フェノール樹脂製の保持器4を用いて、図5に示す転がり軸受を組み立てた。
そして、組み立てた各転がり軸受を図6に示す試験機にかけて、オイルエアー潤滑での耐焼付き性を調べる試験を行った。この試験機は、ベルト21で駆動される回転軸22を有し、この回転軸22とハウジング23との間に試験軸受24として、図4の転がり軸受を取り付ける。また、回転軸22のベルト21とは反対側の端部に、サポート軸受25が取り付けられている。また、各試験軸受24の軸受空間に向かう流路26を設け、その入口26aに、オイルエアー導入チューブのコネクタを取り付ける。さらに、試験軸受24の外輪の温度を測定する熱電対27が設けてある。
この試験機により下記の条件で回転速度を変えて回転試験を行い、2時間後に試験軸受24の外輪の温度が試験前よりどれくらい上昇するかを調べた。その結果を図7のグラフに示す。
<回転試験条件>
雰囲気温度:常温
アキシャル荷重:200N
回転速度:5000min-1、10000min-1、15000min-1、20000min-1、25000min-1、30000min-1
オイルエアーとして供給した潤滑油:VG22(鉱油)
オイルエアー供給量:0.2ミリリットル/min
図7のグラフから分かるように、本発明の実施例に相当する方法で作製した玉3を用いたNo. 1と2では、特許文献4の方法で作製した玉3を用いたNo. 3よりも外輪温度上昇値が小さかった。よって、本発明の実施例に相当する方法で作製した玉3を用いたNo. 1および2では、特許文献4の方法で作製した玉3を用いたNo. 3よりも、オイルエアー潤滑での耐焼付き性に優れている。
また、本発明の実施例に相当する方法で作製した玉3を用いたNo. 1と2では、回転速度が30000min-1(dmn値255万に相当)で外輪温度上昇値が25℃以下であった。これに対して、特許文献4の方法で作製した玉3を用いたNo. 3では、回転速度が15000min-1(dmn値127.5万に相当)で外輪温度上昇値が25℃であり、回転速度が30000min-1では50℃であった。
したがって、本発明の実施例に相当するNo. 1および2の玉3を用いた転がり軸受は、No. 3および4を用いた転がり軸受と比較して、dmn値が140万以上となる高速回転下での寿命を十分長くできることが分かる。
〔第3実施形態〕
呼び番号6206の深溝玉軸受(内径30mm、外径62mm、幅16mm、玉の直径9.525mm)用の内輪と外輪を、SUJ2からなる素材を所定形状に加工し、通常の熱処理を施すことにより作製した。また、玉を以下の方法で作製した。
No. 5では、Hv1450の窒化珪素製素材を直径9.535mmの球状に加工し、表面粗さ(Ra)を0.002μmにした後、下記の方法でボールミル工程を行い、次いで、ボールラップ盤を用いて仕上げ研磨を行った。これを玉として用いた。この玉の表面粗さ(Ra)は、ボールミル工程前と同じ0.002μmであった。
<ボールミル工程条件>
使用した装置:フリッチュ社製「遊星型ボールミル P−7」。ミルポットは、全容積45ミリリットル(cc)、クロム鋼製。
ミルポット内への窒化珪素製球状体の充填量:ミルポットの内容積の50体積%
公転速度:500rpm
自転速度:1000rpm
回転時間:7時間
No. 6では、Hv1450の窒化珪素製素材を直径9.525mmの球状に加工し、表面粗さ(Ra)を0.002μmにした後、硬さがHv1500で、平均粒径が150μmで、比重が3.98のアルミナビーズをショットとして用い、投射圧:0.5MPa、投射速度:50m/s、投射量:400g/min、投射時間:10sの条件でショットブラストを行った。これを玉として用いた。この玉の表面粗さ(Ra)は、ショットブラスト前より0.008μm粗い、0.010μmとなった。
No. 7では、Hv1450の窒化珪素製素材を直径9.525mmの球状に加工し、表面粗さ(Ra)を0.002μmにしたものを、そのまま玉として用いた。
No. 8では、Hv1450の窒化珪素製素材を直径9.535mmの球状に加工し、No. 9では、Hv1600の窒化珪素製素材を直径9.535mmの球状に加工し、いずれも表面粗さ(Ra)を0.002μmにした後、下記の核方法でボールミル工程を行い、次いで、ボールラップ盤を用いて仕上げ研磨を行った。これを玉として用いた。この玉の表面粗さ(Ra)は、ボールミル工程前と同じ0.002μmであった。
<ボールミル工程条件>
使用した装置:フリッチュ社製「遊星型ボールミル P−7」。ミルポットは、全容積45ミリリットル(cc)、クロム鋼製。
ミルポット内への窒化珪素製球状体の充填量:ミルポットの内容積の50体積%
公転速度:300rpm(No. 8)、800rpm(No. 9)。
自転速度:600rpm(No. 8)、1600rpm(No. 9)。
回転時間:7時間(No. 8)、7時間(No. 9)。
また、これらのNo. 5〜9の玉について、X線回折により圧縮残留応力を測定した。
これらの結果を下記の表2に示す。
Figure 0005003136
得られたサンプルNo. 5〜9の玉と、前述の内輪および外輪と、フッ素樹脂製の保持器を用いて、転がり軸受を組み立てた。そして、組み立てた各転がり軸受について、ラジアル荷重:6958N(710kgf)、回転速度3000min-1の条件で回転試験を行った。
軸受の振動を測定し、振動が初期値の2倍になった時点で回転を停止し、剥離が玉、内輪、および外輪のいずれに生じているかを確認した。そして、内輪または外輪に剥離が生じていた場合には、新しい内輪または外輪に交換して、回転を続け、玉に剥離が生じるまでの時間を測定した。なお、2000時間回転しても玉に剥離が生じなかった場合は、その時点で試験を打ち切った。この結果を、図8に示す。
この結果から、玉の表層部の圧縮残留応力を500MPa以上にすることで、転がり軸受の寿命を長くできることが分かる。
セラミックス試験片の表面に対して、本発明の方法でボールミル工程を行った場合と、特許文献4の方法でショットブラストした場合の、セラミックス試験片の表面からの深さと破壊靱性値との関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態である転がり軸受の構造を示す部分縦断面図である。 X線回折によるピークの半値幅と破壊靱性値との関係を示すグラフである。 第1実施形態で使用した、腐食性液中に浸漬した状態での耐久性を調べる回転試験機を示す概略構成図である。 本発明の第2実施形態である転がり軸受の構造を示す部分縦断面図である。 第2実施形態で使用した、オイルエアー潤滑での耐焼付き性を調べる回転試験機を示す概略構成図である。 回転速度を変えて回転試験を行い、外輪温度上昇値の変化を調べた結果を示すグラフである。 第3実施形態の試験結果を示すグラフである。
符号の説明
1 内輪(第2部材)
1a 軌道面
2 外輪(第1部材)
2a 軌道面
3 玉(転動体)
4 保持器
10 試験軸受
11 軸
11a 軸の先端部
110 回転装置
111 モータ
112 スピンドル
113 連結継ぎ手
12 ハウジング
13 プレート
14 振動計
15 ワイヤー
16 重り
20 容器
30 台
31 アーム
32 滑車
21 ベルト
22 回転軸
23 ハウジング
24 試験軸受
25 サポート軸受
26 オイルエアー導入用流路
26a オイルエアー導入口
27 熱電対
W 水

Claims (3)

  1. 遊星ボールミルのミルポット内に、ヤング率が250GPa以上、ビッカース硬さが1300以上、破壊靱性が5.0MPa・√m以上、3点曲げ試験における最低抗折強度が500MPa・√m以上、および圧砕強度が100N/mm 2 以上を満たす窒化珪素焼結体からなる同じセラミックス製球状体を複数個入れて、遊星ボールミルを作動させ、前記球状体に、ミルポット内に発生する公転に伴う遠心力と自転に伴う遠心力を付与することで、前記球状体同士を衝突させるとともに、前記球状体をミルポットの内壁へ衝突させて、前記球状体の表面をなすセラミックス結晶に転位を導入するボールミル工程を有し、このボールミル工程で表層部の圧縮残留応力を500MPa以上にすることを特徴とする転がり支持装置用セラミックス製球状体の製造方法。
  2. 前記ボールミル工程の後に、仕上げ研磨加工を行うことを特徴とする請求項1記載の転がり支持装置用セラミックス製球状体の製造方法。
  3. 互いに対向配置される軌道面を備えた第1部材および第2部材と、両部材の軌道面間に転動自在に配設された複数個の転動体と、を少なくとも備え、転動体が転動することにより第1部材および第2部材の一方が他方に対して相対移動する転がり支持装置において、
    前記転動体は、ヤング率が250GPa以上、ビッカース硬さが1300以上、破壊靱性が5.0MPa・√m以上、3点曲げ試験における最低抗折強度が500MPa・√m以上、および圧砕強度が100N/mm 2 以上を満たす窒化珪素焼結体からなるセラミックス製球状体であり、請求項2記載の方法で得られ、表面をなすセラミックス結晶に転位組織が均一に形成されていることを特徴とする転がり支持装置。
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