JP2008274985A - タッチダウン軸受 - Google Patents

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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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Abstract

【課題】タッチダウン時の耐久性(耐摩耗性、耐剥離性、耐クラック性)に優れたタッチダウン軸受を提供する。
【解決手段】タッチダウン軸受6の玉63を以下の方法で作製する。セラミックス製の球状体を遊星ボールミルのミルポット内に入れて、遊星ボールミルを作動させ、この球状体に、ミルポット内に発生する公転に伴う遠心力と自転に伴う遠心力を付与することで、球状体同士を衝突させるとともに、球状体をミルポットの内壁へ衝突させて、球状体の表面に残留応力を導入するボールミル工程を行った後に、仕上げ研磨加工を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気軸受とともに設置され、磁気軸受の制御不能時に軸受として機能するタッチダウン軸受に関する。
タッチダウン軸受は、磁気軸受とともに設置される転がり軸受であり、通常時には回転輪(内輪または外輪)が回転部材(軸またはハウジング)と接触せず、磁気軸受が何らかのトラブルで制御不能になった時に、回転輪の回転部材との対向面が回転部材に接触して(タッチダウンして)軸受として機能することにより、磁気軸受および回転部材を保護するものである。
真空中で使用されるタッチダウン軸受の場合には、潤滑油やグリースは、飛散して汚染の原因となる恐れがあって使用できないため、転動体および内外輪の表面に固体潤滑剤からなる被膜(二硫化モリブデン等からなるコーティング被膜や、金、銀、鉛等の軟質金属からなるメッキ被膜)を形成することが行われている。また、現在使用されているタッチダウン軸受の内輪、外輪、および転動体は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼やSUS440C等のマルテンサイト系ステンレス鋼によって形成されている。
下記の特許文献1には、タッチダウン軸受の少なくとも回転輪および転動体を比透磁率が1.4以下の材料で形成することにより、空回り(通常時には回転部材と接触しないため回転しないはずの回転輪が、磁気軸受の磁場によって、回転部材と接触しない状態で回転する現象)を防止することが記載されている。
窒化珪素、炭化珪素、ジルコニア、アルミナ等のセラミックスは、比透磁率が1.4以下の材料であり、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼やSUS440C等のマルテンサイト系ステンレス鋼よりも硬いことから耐摩耗性にも優れているため、タッチダウン軸受の転動体の材料として使用することが望まれている。しかし、セラミックス製の転動体の表面に固体潤滑剤からなる被膜を強固に形成することは困難である。また、セラミックス製の転動体には、タッチダウン時の耐久性(耐摩耗性、耐剥離性、耐クラック性)の点で更なる改善の余地がある。
下記の特許文献2には、セラミックス製品の表面強靱化方法として、硬さが、Hv(ビッカース硬さ)で500以上、且つ、対象となるセラミックス製品のHvに50を足した値以下であり、平均粒子サイズが0.1μm〜200μmであり、表面が凸曲面の微粒子からなる噴射材(ショット)を用いて、セラミックス製品の表面に均一に分布した直線状の転位組織を形成する方法が記載されている。
また、下記の特許文献3には、駆動力によって回転する公転軸を中心として回転する公転回転アームと、垂直から前記公転軸側へ傾斜した自転軸を介して前記公転回転アームに自転自在に支持されているミルポットと、前記公転軸の周りの全周に亘って前記公転回転アームの上方に固定して配置され、前記公転回転アームの回転に伴って公転する前記ミルポットの外周面が接触して前記ミルポットに自転を生じさせる外周ポット受けと、を有することを特徴とする遊星ボールミが記載されている。
特開2002−221226号公報 特開2004−136372号公報 特開2006−43578号公報
本発明の課題は、タッチダウン時の耐久性(耐摩耗性、耐剥離性、耐クラック性)に優れたタッチダウン軸受を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、磁気軸受とともに設置され、通常時には内輪または外輪からなる回転輪が軸またはハウジングからなる回転部材と接触せず、磁気軸受の制御不能時に回転輪が回転部材と接触して軸受として機能するタッチダウン軸受において、表層部に絶対値で50MPa以上1500MPa以下の圧縮残留応力が導入されたセラミックス製球状体を転動体として備えていることを特徴とするタッチダウン軸受を提供する。
前記セラミックス製球状体は、遊星ボールミルのミルポット内に、同じセラミックス製球状体を複数個入れて、遊星ボールミルを作動させ、前記球状体に、ミルポット内に発生する公転に伴う遠心力と自転に伴う遠心力を付与することで、前記球状体同士を衝突させるとともに、前記球状体をミルポットの内壁へ衝突させて前記球状体の表面に残留応力を導入するボールミル工程の後に仕上げ研磨加工を行って得ることができる。
本発明のタッチダウン軸受によれば、表層部に絶対値で50MPa以上1500MPa以下の圧縮残留応力が導入されたセラミックス製球状体を転動体として備えているため、このような圧縮残留応力が導入されていないセラミックス製球状体を転動体として備えているタッチダウン軸受と比較して、タッチダウン時の耐久性(耐摩耗性、耐剥離性、耐クラック性)に優れたものとなる。また、表層部に絶対値で50MPa以上1500MPa以下の圧縮残留応力が導入されたセラミックス製球状体は、このような圧縮残留応力が導入されていないセラミックス製球状体と比較して、表面に固体潤滑剤からなる被膜を強固に形成できるため、本発明のタッチダウン軸受を、真空中で使用された場合の潤滑性能に優れたものとすることができる。
前記ボールミル工程は、例えば、特許文献3に記載の遊星ボールミルを使用して行うことができる。また、ミルポットとしては、ステンレススチール製で、メノー、アルミナ、ジルコニア、クロム鋼、または窒化珪素からなる内張り材が設けてあるものが挙げられる。ミルポットの内張り材は、処理されるセラミック製球状体と同じ材質であることが好ましい。
遊星ボールミルの作動条件としては、公転速度:300rpm以上1000rpm以下(より好ましくは500rpm以上700rpm以下)、自転速度:600rpm以上2000rpm以下(より好ましくは1000rpm以上1400rpm以下)で、回転時間:1時間以上8時間以下(より好ましくは3時間以上5時間以下)が好ましい。
また、ミルポット内へ入れるセラミックス製球状体の量は、最密充填量(ミルポットに最も密に充填した場合に入る量)の50%以上90%以下であることが好ましい。最密充填量の50%未満であると、衝突エネルギーが大きいためボールミル工程の処理時間を短くできるが、ポット内でのセラミック製球状体の動きが激しくなりすぎるため均一な表面が得られにくい。最密充填量の90%を超えると、ポット内でセラミック製球状体の動ける範囲が小さくなるため衝突回数は増えるが、衝突エネルギーが小さくなって処理に時間がかかるようになる。最密充填量の50%以上90%以下とすることで、衝突回数と衝突エネルギーのバランスがとれて効果的に処理できるようになる。より好ましい範囲は、最密充填量の70%以上90%以下である。
前記仕上げ研磨加工は、ボールラップ盤による加工、バレル加工等の一般的な方法で行うことができる。
このようなボールミル工程と仕上げ研磨工程からなる方法以外で、「表層部に絶対値で50MPa以上1500MPa以下の圧縮残留応力が導入されたセラミックス製球状体」を得る方法としては、ショットブラスト処理による方法がある。
ショットブラスト処理は、被処理物の表面に噴射材を噴射する処理であるが、処理時の環境温度は常温であることが好ましく、噴射材は窒化ケイ素よりも硬さが低く且つ表面が凸曲面でエッジを有していない微粒子(例えばアルミナ粒子)であることが好ましい。
また、ショットブラスト処理前後の被処理物の表面粗さRaの変化が、0.02μm未満であることが好ましい。表面粗さRaの変化が0.02μm以上となると、ショットブラスト処理の効果が不十分となるおそれがある。また、被処理物の表面粗さはできるだけ小さい方が好ましい。さらに、表面粗さRaの変化が0.02μm未満となるようなショットブラスト処理であれば、処理による寸法変化も小さいため好ましい。なお、ショットブラスト処理の後にバレル処理やホーニング処理を施して、表面粗さを良好にしてもよい。
表面粗さRaの変化が0.02μm未満となるようにするためには、ショットブラスト処理の条件を以下のように設定することが好ましい。
噴射材の平均粒径:50μm以上100μm以下
噴射圧:0.1MPa以上0.6MPa以下(より好ましくは0.2MPa以上0.5MPa以下)
噴射速度:30m/s以上90m/s以下
噴射量:200g/min以上800g/min以下
このような条件でショットブラスト処理を施せば、圧縮残留応力をより好ましい値である150MPa以上1500MPa以下で導入することができる。
本発明のタッチダウン軸受によれば、タッチダウン時の耐久性(耐摩耗性、耐剥離性、耐クラック性)に優れたものとなる。また、表面に固体潤滑剤からなる被膜を強固に形成することで、真空中で使用された場合の潤滑性能に優れたものとなる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に相当するタッチダウン軸受を備えた磁気浮上式ターボ分子ポンプを示す断面図である。
このポンプにおいて、ロータ翼1と一体に回転するロータ軸2は、一組のアキシアル磁気軸受3と二組のラジアル磁気軸受4,5とにより、非接触状態で回転自在に支持されている。また、ラジアル荷重を受ける総玉タイプの深溝玉軸受6と、アキシアル荷重を受ける組み合わせアンギュラ玉軸受7が、タッチダウン軸受として設置されている。ロータ軸2は鉛直方向に延びる回転軸であって、ロータ軸2の下部にはフランジ21が一体に形成されている。アキシアル磁気軸受3は、このフランジ21を、対をなす電磁石3a,3bで挟むように配置されている。
図1の符号8Aは上部ケーシングであり、8Bは下部ケーシングである。符号81は、上部ケーシング8Aの一部をなす部材であって、ラジアル磁気軸受4,5および深溝玉軸受6のハウジングとなっている。符号82は吸気口であり、83は排気口であり、84は電源導入端子であり、85は保護ネットである。また、符号9はロータ軸2を高速回転させる電動モータである。
深溝玉軸受6はロータ軸2の上部に、アンギュラ玉軸受7はロータ軸2の下部のフランジ21の直ぐ上に設置されている。図2に深溝玉軸受6の設置位置の拡大図を、図3にアンギュラ玉軸受7の設置位置の拡大図を示す。
深溝玉軸受6の内輪(回転輪)61とロータ軸2との間には、半径方向に所定の隙間6Aが設けられている。この隙間6Aは、ラジアル磁気軸受4,5のロータ軸2に対する半径方向の隙間より小さい。アンギュラ玉軸受7の内輪(回転輪)71とロータ軸2との間には、半径方向に所定の隙間7Aが設けられている。この隙間7Aも、ラジアル磁気軸受4,5のロータ軸2に対する半径方向の隙間より小さい。アンギュラ玉軸受7の外輪72は、アキシャル磁気軸受3のハウジング31に取り付けられている。
したがって、ロータ軸2は、通常時には、ラジアル磁気軸受4,5とアキシアル磁気軸受3とにより、回転自在に支持される。また、これらの磁気軸受が制御不能となっ時に、深溝玉軸受6およびアンギュラ玉軸受7の内輪61,71がタッチダウンして、軸受として機能するようになる。
この深溝玉軸受6の玉(転動体)63およびアンギュラ玉軸受7の玉(転動体)73として、表層部に絶対値で50MPa以上1500MPa以下の圧縮残留応力が導入されて、表面に固体潤滑剤からなる被膜が形成された窒化珪素製球状体を使用する。
〔第1実施例〕
呼び番号6000の深溝玉軸受(内径10mm、外径26mm、幅8mm、玉の直径4.762mm)の玉を、ボールミル工程と仕上げ研磨工程からなる方法で作製する。
No. 1−1では、Hv1500の窒化珪素製素材を直径4.768mmの球状に加工し、表面粗さ(Ra)を0.002μmにした後、下記の方法でボールミル工程を行い、次いで、ボールラップ盤を用いて仕上げ研磨を行った。この玉の表面粗さ(Ra)は、ボールミル工程前と同じ0.002μmであった。
No. 1−2では、Hv1500の窒化珪素製素材を直径4.768mmの球状に加工し、表面粗さ(Ra)を0.002μmにした後、下記の方法でボールミル工程を行い、次いで、ボールラップ盤を用いて仕上げ研磨を行った。この玉の表面粗さ(Ra)は、ボールミル工程前と同じ0.002μmであった。
No. 1−3では、Hv1500の窒化珪素製素材を直径4.762mmの球状に加工し、表面粗さ(Ra)を0.002μmにしたものを、そのまま玉3として用いた。
<ボールミル工程条件>
使用した装置:フリッチュ社製「遊星型ボールミル P−5」。ミルポットは、全容積45ミリリットル、クロム鋼製。
ミルポット内へ入れた窒化珪素製球状体の量:ミルポットの最密充填量の50体積%
公転速度:500rpm(No. 1−1)、300rpm(No. 1−2)
自転速度:1000rpm(No. 1−1)、600rpm(No. 1−2)
回転時間:7時間(No. 1−1)、4時間(No. 1−2)
なお、表面粗さの測定は、Hv1500の窒化珪素製で、10mm×10mmで厚さが5mmの板状試験片を用いて行った。すなわち、No. 1−1と1−2では、この試験片の表面に対して、上述のNo. 1−1と1−2の玉3に対する方法と同じ方法でボールミル工程と研磨を行ったものを用いた。No. 1−3では、この試験片をそのまま用いた。
また、No. 1−1と1−2の玉に対応させた試験片を用いて、ビッカース硬さを測定したところ、No. 1−1では1590、No. 1−2では1570であった。No. 1−3は処理を行っていないので1500のままである。
また、No. 1−1〜1−3の玉に対応させた試験片を用いて、破壊靱性値を測定したところ、No. 1−1では18MPa・√m、No. 1−2では13MPa・√m、No. 1−3では6MPa・√mであった。破壊靱性値は、ダイヤモンド圧子の押し込み条件を196N、20秒とし、発生した圧痕とクラックの大きさを測定し、その測定値から求めた。また、破壊靱性値を試験片の表面から各深さ位置で測定したところ、破壊靱性値が一定の値に収束する位置(強靱化深さ)はNo. 1−1で40μm、No. 1−2で30μmであり、No. 1−3の破壊靱性値は深さ方向で一定であった。
また、No. 1−1〜1−3の玉の圧縮残留応力をX線回折により測定したところ、圧縮残留応力の絶対値で、No. 1−1では1200MPa、No. 1−2では300MPa、No. 1−3では20MPaであった。
これらの結果を下記の表1にまとめて示す。
Figure 2008274985
また、窒化珪素製球体のX線回折によるピークの半値幅を測定して、破壊靱性値との関係を調べたところ図4のグラフが得られた。X線回折の条件は、CrKα線、電圧40kV、電流40mA、無歪回折角2θ0 =125.40°(β−Si3 4 (411))、コリメータレンズ直径1mm、測定時間120秒である。
圧縮残留応力の絶対値はX線回折ピークの半値幅に比例するため、図4のグラフから破壊靱性値が高いほど圧縮残留応力の絶対値が大きいことが分かる。
得られたサンプルNo. 1−1〜1−3の玉について、タッチダウン時の耐久性を、図5のボールオンディスク式タッチダウン試験装置を用いて調べた。
この試験は、真空中で回転するディスク上にアームで支持されたボールを落下させること(落下試験)を、ボールとディスクが焼き付く(完全に凝着する)まで行い、焼き付きが生じるまでの落下試験回数を調べるものである。
この試験装置は、ディスク41と、ディスク41が固定された回転軸42と、先端にボール10を保持するアーム43と、アーム43の基端が取り付けられた支持部材44と、アーム43の先端を吸着させるソレノイド45と、ウエイト46と、リセットレバー47と、を備え、これらが真空槽40内に配置されている。
リセットレバー47は、真空槽40の外からの操作で、アーム43をソレノイド45に吸着させるレバーであり、この操作後にバネの作用で初期位置に戻るようになっている。アーム43の基端は、支持部材44に対して、軸44aおよび軸受44bを介して取り付けられ、軸44aを中心とした回転運動が可能である。
ディスク41の回転軸42は、真空槽40内の下部に固定されたハウジング40aに対して、転がり軸受48により回転自在に支持されている。この回転軸42を回転させるモータ49が真空槽40の外に設置され、直動装置50により上下方向に移動可能になっている。モータ49の回転軸49aとディスク41の回転軸42は、真空槽40の下部の薄い隔壁40bを挟んで対向配置されている。モータ49の回転軸49aの先端が固定されている先端部材49bに磁石51が固定され、この磁石51と対をなして磁気カップリングを構成する磁石52が、ディスク41の回転軸42に固定されている。
試験の手順としては、先ず、真空槽40の蓋を開けて、ボール10をアーム43の先端に保持させた後、リセットレバー47を操作して、アーム43の先端をソレノイド45に吸着させる。次に、真空槽40の蓋を閉めて槽内を真空状態にする。
次に、直動装置50を操作してモータ49を上昇させ、磁石51が固定された先端部材49bを薄い隔壁40bに近づけて、この磁石51とディスク41の回転軸42の磁石52とによる磁気カップリングが有効な状態とする。図5(a)はこの状態を示す。図5(b)は、この状態での図5(a)のA−A断面を示す。
この状態で、モータ49を駆動して磁気カップリングを介して回転軸42を回転させることにより、ディスク41を所定の回転速度で回転させる。ディスクの回転速度が安定した後、直動装置50を操作してモータ49を後退させるとと同時に、ソレノイド45への通電を停止する。これに伴って、磁気カップリングが解除されてディスク41は慣性により回転し続け、アーム43はソレノイド45による吸着から解放されて、軸44aを中心としてディスク側に回転する。
これにより、ボール10はディスク41の上に衝突し、その瞬間にボール10とディスク41の接触部分の表面温度が上昇して凝着が生じる。凝着が生じてもディスク41は慣性で回転し続けるため、ボール10とディスク41の間の摩擦抵抗が小さいうちは両者が摺動状態でディスク41は回転し続ける。摩擦抵抗が大きくなって、ボール10がディスク41の上に衝突した時点でディスク41の回転が停止した場合に、焼き付きが生じたと判断する。
焼き付きが生じなかった場合は、再度リセットレバー47を操作して、ソレノイド45にアーム43を吸着させて、再度落下試験を行い、焼き付きが生じるまで繰り返す。
この試験を、No. 1−1〜1−3の各4個の玉を用意し、その表面にMoS2 を含有する固体潤滑剤被膜を3μmの厚さで形成した後に、以下の条件で行った。
ディスクの材質:アルミ合金「2017」
ディスクの直径:100mm
ディスクのボール落下位置:直径80mmの位置
ディスクの試験面側の表面粗さ(Ra):0.1μm
ディスク回転軸の軸受の潤滑:フッ素油塗布(2g/m2
ディスクの回転速度:3000min-1
ボールの落下距離:1mm
真空槽内の圧力:1×10-4Pa
温度:常温
この試験の結果、焼き付きが生じるまでの落下試験回数は、No. 1−1では18回、No. 1−2では16回、No. 1−3では6回であった。これにより、ボールミル工程により表層部に絶対値で50MPa以上1500MPa以下の圧縮残留応力が導入されたNo. 1−1とNo. 1−2の玉は、ボールミル工程が行われていないNo. 1−3の玉よりも耐焼き付き性に優れていることが分かる。
〔第2実施例〕
まず、窒化ケイ素(Hv1500)製の試験片(幅10mm,長さ10mm,厚さ5mm)に、平均粒径100μmのアルミナ粒子(Hv1300)を噴射材として用いたショットブラスト処理を施して、それによる強靱化,高硬度化,及び表面粗さRaの変化の度合いをそれぞれ評価した。
ショットブラスト処理の条件及び評価結果を表2に示す。なお、ショットブラスト処理により導入された圧縮残留応力の値は、X線回折により測定した。また、破壊靱性値は、「JIS R 1607」に規定された方法により測定した。
Figure 2008274985
No. 2−1と2−2は、ショットブラスト処理が施され、圧縮残留応力の絶対値が50MPa以上1500MPa以下の範囲内となっている。そして、ショットブラスト処理が施されていないNo. 2−3の数値から分かるように、ショットブラスト処理によりビッカース硬さ及び破壊靱性値が上昇している。
No. 2−4は、ショットブラスト処理は施されているものの、圧縮残留応力の絶対値が50MPa未満であるので、ショットブラスト処理の効果が現れておらず、ビッカース硬さ及び破壊靱性値が変化しなかった。また、No. 2−5は、ショットブラスト処理は施されているものの、圧縮残留応力の絶対値が1500MPaより大きいので、破壊靱性値の測定の際に大きなクラックが発生して試験片が破損した。
直径9.525mmの窒化珪素製ボールと、このボールにNo. 2−1、2−2、2−4と同じ方法で処理を行った各4個の玉を用意し、その表面にMoS2 を含有する固体潤滑剤被膜を3μmの厚さで形成した後に、第1実施例と同じ試験方法でタッチダウン時の耐久性を以下の条件で行った。
この試験の結果、焼き付きが生じるまでの落下試験回数は、No. 2−1では7回、No. 2−2では14回、No. 2−3では5回、No. 2−4では6回であった。これにより、ショットブラスト処理により表層部に、絶対値で50MPa以上1500MPa以下の圧縮残留応力が導入されたNo. 2−1とNo. 2−2の玉は、圧縮残留応力が導入されていないNo. 2−3の玉および圧縮残留応力が前記範囲からはずれるNo. 2−4よりも、耐焼き付き性に優れていることが分かる。
本発明の一実施形態に相当するタッチダウン軸受を備えた磁気浮上式ターボ分子ポンプを示す断面図である。 図1の装置の上部に配置されたタッチダウン軸受(深溝玉軸受)を示す拡大図である。 図1の装置の下部に配置されたタッチダウン軸受(アンギュラ玉軸受)を示す拡大図である。 X線回折によるピークの半値幅と破壊靱性値との関係を示すグラフである。 タッチダウン時の耐久性を調べるために使用したボールオンディスク式タッチダウン試験装置を示す概略構成図(a)とそのA−A断面図(b)である。
符号の説明
1 ロータ翼
2 ロータ軸(回転部材)
3 アキシアル磁気軸受
3a 電磁石
3b 電磁石
4 ラジアル磁気軸受
5 ラジアル磁気軸受
6 深溝玉軸受(タッチダウン軸受)
6A 隙間
7 アンギュラ玉軸受(タッチダウン軸受)
7A 隙間
8A 上部ケーシング
8B 下部ケーシング
9 電動モータ
61 内輪(回転輪)
62 外輪
63 玉(転動体)
71 内輪(回転輪)
72 外輪
73 玉(転動体)
81 上部ケーシングの一部をなす部材(ハウジング)
82 吸気口
83 排気口
84 電源導入端子
85 保護ネット
10 ボール
40 真空槽
40a ハウジング
40b 薄い隔壁
41 ディスク
42 ディスクの回転軸
43 アーム
44 支持部材
44a 軸
44b 軸受
45 ソレノイド
46 ウエイト
47 リセットレバー
48 転がり軸受
49a 回転軸
49 モータ
49b 先端部材
50 直動装置
51 磁石
52 磁石

Claims (4)

  1. 磁気軸受とともに設置され、通常時には内輪または外輪からなる回転輪が軸またはハウジングからなる回転部材と接触せず、磁気軸受の制御不能時に回転輪が回転部材と接触して軸受として機能するタッチダウン軸受において、
    表層部に絶対値で50MPa以上1500MPa以下の圧縮残留応力が導入されたセラミックス製球状体を転動体として備えていることを特徴とするタッチダウン軸受。
  2. 磁気軸受とともに設置され、通常時には内輪または外輪からなる回転輪が軸またはハウジングからなる回転部材と接触せず、磁気軸受の制御不能時に回転輪が回転部材と接触して軸受として機能するタッチダウン軸受において、
    表層部に絶対値で50MPa以上1500MPa以下の圧縮残留応力が導入されて、表面に固体潤滑剤からなる被膜が形成されたセラミックス製球状体を転動体として備えていることを特徴とするタッチダウン軸受。
  3. 前記セラミックス製球状体は、遊星ボールミルのミルポット内に、同じセラミックス製球状体を複数個入れて、遊星ボールミルを作動させ、前記球状体に、ミルポット内に発生する公転に伴う遠心力と自転に伴う遠心力を付与することで、前記球状体同士を衝突させるとともに、前記球状体をミルポットの内壁へ衝突させて前記球状体の表面に残留応力を導入するボールミル工程の後に仕上げ研磨加工を行って得られたものである請求項1記載のタッチダウン軸受。
  4. 前記セラミックス製球状体は、前記仕上げ研磨工程の後に、前記球状体の表面に固体潤滑剤からなる被膜を形成して得られたものである請求項2記載のタッチダウン軸受。
JP2007115971A 2007-04-25 2007-04-25 タッチダウン軸受 Pending JP2008274985A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109975339A (zh) * 2017-12-28 2019-07-05 厦门钨业股份有限公司 一种TiCN基金属陶瓷性能的评估方法

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