JP2009024846A - タッチダウン軸受 - Google Patents

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宰彦 坂本
Masayuki Hosoya
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Abstract

【課題】耐焼きつき性及び耐磨耗性の向上が可能なタッチダウン軸受を提供する。
【解決手段】ロータ翼と一体に回転するロータ軸を、非接触状態で回転自在に支持するアキシャル磁気軸受及びラジアル磁気軸受を有する磁気浮上式ターボ分子ポンプに備えられ、アキシャル磁気軸受及びラジアル磁気軸受が制御不能となった時には、ロータ軸と内輪71の内径面71a及び端面71bが接触することにより機能するタッチダウン軸受(アンギュラ玉軸受7)であって、内輪71の内径面71a及び端面71bは、球状または略球状の金属粒子を衝突させることにより形成され、表面硬さがビッカース硬さでHv700以上、表面粗さが0.3〜1.2Raμmの範囲内、厚さが10μm〜100μmの範囲内となっている硬化層Sを有し、硬化層Sの表面に、固体潤滑剤によって形成された潤滑被膜Fを形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気軸受とともに設置され、磁気軸受の制御不能時に軸受として機能するタッチダウン軸受に関する。
タッチダウン軸受は、磁気軸受とともに設置される転がり軸受であり、通常時には、回転輪(内輪または外輪)が、回転部材(軸またはハウジング)と接触しない構成となっている。一方、磁気軸受が何らかのトラブルで制御不能になった時には、回転輪の回転部材との対向面が、回転部材に接触し(タッチダウンし)軸受として機能することにより、磁気軸受及び回転部材を保護する構成となっている。
このようなタッチダウン軸受の中でも、特に、真空環境中で使用されるタッチダウン軸受の場合には、潤滑油やグリースは、飛散して汚染の原因となるおそれがあるため使用が困難である。このため、転動体及び内外輪の表面に、固体潤滑剤からなる潤滑被膜(二硫化モリブデン等からなるコーティング被膜や、金、銀、鉛等の軟質金属からなるメッキ被膜)を形成することが行われている。また、現在使用されているタッチダウン軸受の内輪、外輪、及び転動体は、SUJ2等の高炭素クロム軸受鋼や、SUS440C等のマルテンサイト系ステンレス鋼等の金属材料によって形成されている。
ところで、上記のようなタッチダウン軸受においては、磁気軸受の制御不能時において、固体潤滑剤からなる潤滑被膜が形成されている内輪の内径面及び端面に、回転部材が接触すると、瞬時に潤滑被膜が磨耗するおそれがある。そして、潤滑被膜の磨耗が進行し、潤滑被膜の層が完全に失われると、内輪の内径面または端面において金属材料の表面が露呈してしまい、この面が回転部材と金属接触して、焼きつきが生じるおそれがある。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1に記載されているようなタッチダウン軸受が提案されている。
このタッチダウン軸受は、転動体を高速度工具鋼製とすることにより、内輪や外輪に用いられるステンレス鋼や軸受鋼と比較して、タッチダウン時に予想される温度(200〜300℃)下における硬さを高くするものである。
このようなタッチダウン軸受であれば、転動体の発熱による早期損傷を防止することが可能となり、軸受の耐久性を向上させることが可能となる。
特開2006−153240号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載の発明を含め、従来のタッチダウン軸受では、内輪の内径面及び端面における固体潤滑剤の定着性が低いため、固体潤滑剤からなる潤滑被膜の耐摩耗性が低く、磁気軸受の制御不能時において、前記潤滑被膜の磨耗が瞬時に進行するおそれがある。
固体潤滑剤からなる潤滑被膜の磨耗が瞬時に進行すると、短時間のうちに潤滑被膜の層が完全に失われてしまうため、タッチダウン軸受に潤滑不良が生じて、タッチダウン軸受の作動性が低下するという問題が発生する。
また、短時間のうちに潤滑被膜の層が完全に失われてしまうと、短時間のうちに内輪の内径面または端面において焼きつきが生じるため、タッチダウン軸受の耐久性が低下するという問題が発生する。
本発明は、このような従来の技術が有する未解決の課題に着目してなされたものであって、耐焼きつき性及び耐磨耗性の向上が可能なタッチダウン軸受を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、通常時には磁気軸受により支承される軸またはハウジングからなる回転部材が内輪と非接触で配置され、前記磁気軸受の制御不能時には前記内輪が前記回転部材と接触することにより軸受として機能するタッチダウン軸受であって、
前記内輪の内径面及び内輪の端面のうち少なくとも一方の接触面は、金属粒子または非金属粒子を衝突させることにより形成された硬化層を有し、
前記金属粒子または非金属粒子は、球状または略球状であることを特徴とするものである。
本発明によると、内輪の内径面及び内輪の端面のうち少なくとも一方の接触面が有する硬化層を、球状または略球状の金属粒子または非金属粒子を外周面に衝突させることにより形成している。
このため、硬化層を有していないタッチダウン軸受と比較して、接触面における固体潤滑剤の定着性が向上するとともに、接触面の表面硬さが上昇する。なお、上昇した表面硬さの値は、例えば、ビッカース硬さでHv520以上である。
なお、「内輪の内径面及び内輪の端面のうち少なくとも一方の接触面が有する硬化層を形成する」方法としては、例えば、ショットピーニングによる方法がある。
ショットピーニングは、粒径0.05mm〜0.6mm程度の金属やセラミックスの投射材を金属材料の表面に投射して、金属材料の表面に微小なディンプルを形成することにより、金属材料の表面を、ハンマー等で叩いた(ピーニング)場合と同様な組織状態とする工法である。
ここで、ショットピーニングの具体的な条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。
噴射圧:0.1MPa〜0.6MPaの範囲内(より好ましくは0.2MPa〜0.5MPaの範囲内)
噴射速度:30m/s〜90m/sの範囲内
噴射量:200g/min〜800g/minの範囲内
ショットピーニングを行うことにより、金属材料の表面に微小なディンプルが形成されるため、固体潤滑剤の定着性を向上させることが可能となる。また、金属疲労欠陥の発生源となる引張残留応力を取り除き、圧縮残留応力を高めることが可能となるため、繰り返し荷重に対する金属疲労強度を大幅に増加させることが可能となる。また、金属材料の表面への衝撃に対する抵抗が増大するため、表面の強固さが生じる。また、生成された表面硬化層が母材を保護するため、摩擦に対して強化される。
また、ショットピーニングを行うことにより、内輪の硬さが、接触面から内輪の心部へ向かうにつれて徐々に減少し、硬化層と非硬化層との境界において、元の硬さとなる。すなわち、接触面から硬さが緩やかな傾斜的に減少して、元の硬さとなるように連続して変化しているため、硬さに明確な境界が形成されることがなく、後述するTD処理によって形成された被膜と比較して、硬化層の剥離を抑制することが可能となる。
以上により、タッチダウン軸受の耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となる。
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明であって、前記硬化層は、前記接触面の表面近傍の温度を、前記接触面が鉄系金属で構成されている場合は前記鉄系金属のA3変態点を越えた温度とし、前記接触面が非鉄系金属で構成されている場合は前記非鉄系金属の再結晶温度以上として形成されることを特徴とするものである。
本発明によると、硬化層の表面近傍の温度を、接触面が鉄系金属で構成されている場合は、その鉄系金属のA3変態点を越えた温度とし、接触面が非鉄系金属で構成されている場合は、その非鉄系金属の再結晶温度以上とすることにより、硬化層を形成している。
このため、請求項1に記載のタッチダウン軸受と比較して、更に、接触面における固体潤滑剤の定着性が向上するとともに、接触面の表面硬さが上昇する。
なお、「硬化層の表面近傍の温度を、接触面が鉄系金属で構成されている場合は、その鉄系金属のA3変態点を越えた温度とし、接触面が非鉄系金属で構成されている場合は、その非鉄系金属の再結晶温度以上とする」方法としては、例えば、WPC処理による方法がある。
WPC処理は、金属材料の表面に投射材を高速で投射して、表面近傍の温度を局部的に再結晶温度まで高めることにより、熱処理効果、鍛錬効果の加工強化を瞬時に繰り返し、金属材料の表面層の残留オーステナイトのマルテンサイト化や、再結晶、組織の微細化を行う工法である。上述したショットピーニングとの相違点としては、ショットピーニングに用いられるものよりも、投射材の粒径が小さい点が挙げられ、これにより、例えば、200m/sec程度の高い噴射速度が得られる。
ここで、WPC処理の具体的な条件としては、例えば、以下の条件が挙げられる。
投射材:平均粒径50μm程度のスチールショット
噴射圧:0.5MPa程度
噴射速度:210m/sec程度
WPC処理、すなわち、ショットピーニングよりも衝突速度の速い処理を行うことにより、金属材料の表面組織が動くため、表面温度の上昇が助長され、表面近傍の温度が金属材料のA3変態点を越えて、表面近傍における急熱と急冷が瞬時に繰り返される。その結果、熱処理効果、鍛錬効果、ピーニング効果等の加工強化が行われる。なお、内輪が鉄系金属である場合には、比熱が小さく温度上昇部の面積が小さいため、温度上昇及び温度下降が早い。これに対し、内輪が非鉄系金属である場合には、A3変態点温度域で溶体化、再結晶化、微細化等が行われる。
以上により、請求項1に記載のタッチダウン軸受と比較して、更に、耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となる。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した発明であって、前記硬化層は、表面硬さがビッカース硬さでHv700以上であり、且つ表面粗さが0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内であることを特徴とするものである。
本発明によると、硬化層が、表面硬さがビッカース硬さでHv700以上であり、且つ表面粗さが0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内であるため、請求項1または請求項2に記載のタッチダウン軸受と比較して、更に、耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となる。
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1から3のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記硬化層の少なくとも前記回転部材と接触する部分が研削処理され、
前記研削処理後の硬化層は、表面硬さがビッカース硬さでHv700以上であり、且つ表面粗さが0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内であることを特徴とするものである。
本発明によると、研削処理により、表面粗さの大きい硬化層の表面が研削されるため、研削処理後の硬化層に対し、表面粗さを0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内とすることが容易となる。
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1から4のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記硬化層または前記研削処理後の硬化層の厚さを、10μm〜100μmの範囲内としたことを特徴とするものである。
本発明によると、硬化層または研削処理後の硬化層の厚さを、10μm〜100μmの範囲内としているため、以下に記載する理由により、耐焼き付き性の向上が可能となるとともに、研削処理後の硬化層における面粗さと寸法精度を確保することが可能となる。
硬化層または研削処理後の硬化層の厚さを、10μm〜100μmの範囲内とした理由は、まず、硬化層または研削処理後の硬化層の厚さが10μm未満である場合、硬化層の厚さが不充分であり、タッチダウン時における耐焼きつき性の改善効果が、殆ど発揮されないためである。
一方、100μm以上の硬化層または研削処理後の硬化層を形成するためには、まず、ショットピーニングによって、100μmを超える厚さの硬化層を形成する必要があるが、その場合、ショットピーニングによって形成された凹凸による段差が大きくなってしまうため、ショットピーニング後の面粗さを調整するために、硬化層に対する仕上げ研磨加工が必要となる。ショットピーニング後の硬化層の厚さが100μm程度である場合、仕上げ研磨加工に必要な研磨量は5〜10μm程度であるが、それ以上の厚さである硬化層に対しては、面粗さ調整の仕上げ研磨加工における研磨量が格段に大きくなってしまうため、仕上げ研磨加工によって、面粗さとともに寸法精度を確保することは、極めて困難となる。したがって、硬化層または研削処理後の硬化層の厚さの上限を、100μmとする必要がある。
次に、請求項6に記載した発明は、請求項1から5のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記接触面は、マルテンサイト系ステンレス鋼または析出硬化系ステンレス鋼によって形成されていることを特徴とするものである。
本発明によると、接触面を、マルテンサイト系ステンレス鋼または析出硬化系ステンレス鋼によって形成しているため、防錆油等を用いることなく、接触面の防錆が可能となる。
次に、請求項7に記載した発明は、請求項1から6のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記硬化層の表面に、固体潤滑剤によって形成された潤滑被膜を形成したことを特徴とするものである。
本発明によると、硬化層の表面、すなわち、固体潤滑剤の定着性が向上している面に、固体潤滑剤によって形成された潤滑被膜を形成しているため、硬化層の表面に潤滑被膜が強固に固着して、潤滑被膜の耐摩耗性を向上させることが可能となる。
次に、請求項8に記載した発明は、請求項7に記載した発明であって、前記潤滑被膜の被膜厚さを、10μm〜20μmの範囲内としたことを特徴とするものである。
本発明によると、接触面に形成した潤滑被膜の被膜厚さを、10μm〜20μmの範囲内としたため、真空環境中において発生するアウトガスを抑制することが可能となるとともに、タッチダウン軸受の作動性を向上させることが可能となる。
ここで、潤滑被膜の被膜厚さを、10μm〜20μmの範囲内とした理由は、被膜厚さが20μmを超えている場合、固体潤滑剤のガス放出量が増加してしまい、タッチダウン軸受が配置される場合が多い真空環境を、汚染してしまうおそれがあるためである。一方、被膜厚さが10μm未満である場合、タッチダウン軸受の回転性能が低下してしまい、作動性が低下するとともに、潤滑不良が発生しやすくなるためである。
次に、請求項9に記載した発明は、請求項7または8に記載した発明であって、前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンを含有していることを特徴とするものである。
本発明によると、固体潤滑剤が、二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンを含有しているため、良好な潤滑性能を確保することが可能となるとともに、アウトガスを抑制することが可能となる。
本発明によれば、接触面における固体潤滑剤の定着性が向上するとともに、接触面の表面硬さが上昇するため、タッチダウン軸受の耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第一実施形態の構成を説明する。
図1は、本実施形態のタッチダウン軸受を備えた磁気浮上式ターボ分子ポンプ(以下、「ポンプ」と記載する)を示す断面図である。
図1中に示すように、このポンプは、ロータ翼1と一体に回転するロータ軸2と、このロータ軸2を、非接触状態で回転自在に支承する、一組のアキシャル磁気軸受3と二組のラジアル磁気軸受4,5を備えている。
ロータ軸2は、鉛直方向に延びる回転軸であって、ロータ軸2の下部にはフランジ21が一体に形成されており、アキシャル磁気軸受3は、このフランジ21を、対をなす電磁石3a,3bで挟むように配置されている。
また、このポンプには、ラジアル荷重を受ける総玉タイプの深溝玉軸受(上部タッチダウン軸受)6と、アキシャル荷重を受ける組み合わせアンギュラ玉軸受(下部タッチダウン軸受)7が、タッチダウン軸受として設置されている。
深溝玉軸受6はロータ軸2の上部に設置されており、深溝玉軸受6の内輪(回転輪)61とロータ軸2との間には、半径方向に所定の隙間(図示せず)が設けられている。この隙間は、ラジアル磁気軸受4,5のロータ軸2に対する半径方向の隙間より小さい。
アンギュラ玉軸受7はロータ軸2の下部のフランジ21の直ぐ上に設置されており、アンギュラ玉軸受7の内輪(回転輪)71とロータ軸2との間には、半径方向に所定の隙間(図示せず)が設けられている。この隙間(図示せず)も、上記隙間と同様、ラジアル磁気軸受4,5のロータ軸2に対する半径方向の隙間より小さい。アンギュラ玉軸受7の外輪72は、アキシャル磁気軸受3のハウジング31に取り付けられている。
したがって、ロータ軸2は、通常時には、ラジアル磁気軸受4,5とアキシャル磁気軸受3により、回転自在に支承される。また、これらの磁気軸受が制御不能となった時には、深溝玉軸受6及びアンギュラ玉軸受7の内輪61,71がタッチダウンして、軸受として機能するようになる。
なお、図1中の符号8Aは、上部ケーシングであり、8Bは下部ケーシングである。符号81は、上部ケーシング8Aの一部をなす部材であって、ラジアル磁気軸受4,5及び深溝玉軸受6のハウジングとなっている。符号82は、吸気口であり、83は排気口であり、84は電源導入端子であり、85は保護ネットである。また、符号9は、ロータ軸2を高速回転させる電動モータである。
図2は、アンギュラ玉軸受7の拡大図である。なお、以下の説明では、アンギュラ玉軸受7の構成のみについて説明するが、深溝玉軸受6に関しても、同様の構成を有している。
図2中に示すように、アンギュラ玉軸受7は、内輪71と、外輪72と、複数の転動体73を備えている。
内輪71及び外輪72は、マルテンサイト系ステンレス鋼または析出硬化系ステンレス鋼によって形成されている。なお、本実施形態では、内輪71及び外輪72を、マルテンサイト系ステンレス鋼、具体的にはSUS440Cによって形成した場合について説明するが、これに限定されるものではなく、内輪71及び外輪72を、SUS630等の析出硬化系ステンレス鋼によって形成してもよい。
内輪71の内径面71a及び端面71bは、ラジアル磁気軸受4,5及びアキシャル磁気軸受3が制御不能となり、アンギュラ玉軸受7の内輪71がタッチダウンした時には、ロータ軸2の外径面と接触する接触面を形成している。
また、内輪71の内径面71a及び端面71bは、球状または略球状の金属粒子を衝突させることにより形成された硬化層Sを有している。
本実施形態では、内輪71の内径面71a及び端面71bに硬化層Sを形成する方法の一例として、粒径0.05mm〜0.6mm程度の、球状に形成された金属の投射材を内径面71a及び端面71bに投射して、内輪71の内径面71a及び端面71bに微小なディンプルを形成する、ショットピーニングを用いる。
そして、このようなショットピーニングを用いることにより、硬化層Sの表面硬さは、ビッカース硬さでHv700以上となっており、硬化層Sの表面粗さは、0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内となっている。
また、硬化層Sの厚さは、10μm〜100μmの範囲内となっている。なお、図2中では、説明のために、硬化層Sの厚さを、実際の厚さよりも誇張して示している。
また、硬化層Sの表面には、スパッタリング法等を用い、固体潤滑剤によって形成された潤滑被膜Fが形成されており、その被膜厚さは、10μm〜20μmの範囲内となっている。なお、図2中では、説明のために、硬化層Sの厚さと同様、潤滑被膜Fの被膜厚さを、実際の厚さよりも誇張して示している。
潤滑被膜Fを形成する固体潤滑剤は、二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンを含有している。なお、本実施形態では、固体潤滑剤が、二硫化モリブデンを含有している潤滑剤である場合について説明するが、これに限定されるものではなく、固体潤滑剤が、二硫化タングステンを含有している潤滑剤であってもよい。
内輪71の外径面71cには、内輪側転動体軌道面71dが形成されており、この内輪側転動体軌道面71dを含む内輪71の外径面71cには、硬化層Sの表面に形成されているものと同様の、潤滑被膜Fが形成されている。すなわち、上述した硬化層Sの表面を含め、内輪71の全面には、潤滑被膜Fが形成されている。
外輪72の内径面72aには、内輪側転動体軌道面71dと対向する外輪側転動体軌道面72bが形成されており、外輪側転動体軌道面72bを含む外輪72の内径面72aには、内輪71の全面に形成されているものと同様の、潤滑被膜Fが形成されている。
各転動体73は、例えば、窒化珪素製球状体によって形成されており、内輪側転動体軌道面71dと外輪側転動体軌道面72bによって形成される転動体軌道路内に、転動自在に装填され、内輪側転動体軌道面71d及び外輪側転動体軌道面72bと摺接している。
各転動体73の外周面、すなわち、内輪側転動体軌道面71d及び外輪側転動体軌道面72bと摺接する面には、内輪71の全面及び外輪72の内径面72aと同様の、潤滑被膜Fが形成されている。
次に、上記の構成を備えたタッチダウン軸受の作用・効果等を説明する。
ポンプの使用時において、通常時には、ラジアル磁気軸受4,5とアキシャル磁気軸受3により、回転自在に支持される。一方、何らかの要因により、これらの磁気軸受が制御不能となった時には、深溝玉軸受6及びアンギュラ玉軸受7の内輪61,71がタッチダウンして、軸受として機能する。なお、以下の説明では、アンギュラ玉軸受7の作用・効果等のみについて説明するが、深溝玉軸受6に関しても、同様である。
アンギュラ玉軸受7の内輪71がタッチダウンすると、内輪71の内径面71a及び端面71bとロータ軸2が接触する。
このとき、内輪71の内径面71a及び端面71bは、球状または略球状の金属粒子を衝突させることにより形成された硬化層Sを有しており、この硬化層Sは、表面硬さがビッカース硬さでHv700以上、表面粗さが0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内、厚さが10μm〜100μmの範囲内となっている。
このため、硬化層を有していない内輪と比較して、内径面71a及び端面71bにおける固体潤滑剤の定着性が向上するとともに、内径面71a及び端面71bの表面硬さが上昇しており、内輪71の耐焼きつき性及び耐磨耗性が向上している。
また、硬化層Sの表面、すなわち、固体潤滑剤の定着性が向上している面に、固体潤滑剤によって形成された潤滑被膜Fを形成しているため、硬化層Sと潤滑被膜Fが強固に固着して、潤滑被膜Fの耐摩耗性が向上している。
このため、アンギュラ玉軸受7の内輪71がタッチダウンした直後から、内輪71の内径面71a及び端面71bとロータ軸2が接触し、潤滑被膜Fに剥離が生じて進行しても、潤滑被膜Fの最下層が硬化層Sの表面から剥がれにくくなり、アンギュラ玉軸受7の潤滑不良を抑制することが可能となる。
また、潤滑被膜Fの最下層が硬化層Sの表面から剥がれ、内輪71の内径面71a及び端面71bがロータ軸2と金属接触しても、硬化層Sは、球状または略球状の金属粒子を衝突させることにより、表面硬さが上昇しているため耐磨耗性が向上しており、耐焼きつき性が向上している。
また、潤滑被膜Fを形成する固体潤滑剤は、二硫化モリブデンを含有しているため、良好な潤滑性能を確保することが可能となるとともに、アウトガスを抑制することが可能となる。
また、潤滑被膜Fの被膜厚さは、10μm〜20μmの範囲内となっているため、真空環境中において発生するアウトガスを抑制することが可能となるとともに、アンギュラ玉軸受7の作動性を向上させることが可能となる。
内輪71の内径面71a及び端面71bとロータ軸2が摺動すると、ロータ軸2より駆動力を受けた内輪71は次第に加速し、両者が等速となった時点で、ロータ軸2と内輪71が一体的に回転する。この状態では、転動体73が、内輪側転動体軌道面71d及び外輪側転動体軌道面72bと摺動する。
このとき、各転動体73の外周面、すなわち、内輪側転動体軌道面71d及び外輪側転動体軌道面72bと摺接する面には、硬化層Sの表面と同様の、潤滑被膜Fが形成されている。
このため、真空環境中において発生するアウトガスを抑制することが可能となるとともに、アンギュラ玉軸受7の作動性を向上させることが可能となる。
したがって、本実施形態のタッチダウン軸受であれば、内輪71が、その内径面71a及び端面71bに、球状または略球状の金属粒子を衝突させることにより形成された、硬化層Sを有しているため、内径面71a及び端面71bに硬化層を有していない内輪と比較して、内径面71a及び端面71bにおける固体潤滑剤の定着性が向上するとともに、表面硬さが上昇する。
このため、内輪71の耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となり、タッチダウン軸受の耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となる。
その結果、タッチダウン軸受及びそれを備えるポンプ等のメンテナンスに係る費用を低減することが可能となる。
また、内輪71の内径面71a及び端面71bに、球状または略球状の金属粒子を衝突させることによって、硬化層Sを形成することにより、ステンレス鋼等と比較して高価な材料である高速度鋼等を用いることなく、内輪71の耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となり、タッチダウン軸受の耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となる。
また、本実施形態のタッチダウン軸受であれば、内輪71の内径面71a及び端面71bに形成されている硬化層Sが、表面硬さがビッカース硬さでHv700以上となっており、表面粗さが0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内となっている。
その結果、硬化層が、表面硬さがビッカース硬さでHv700未満となっており、表面粗さが、0.3未満または1.2Raμmを超えている内輪と比較して、耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態のタッチダウン軸受であれば、内輪71の内径面71a及び端面71bに形成されている硬化層Sの厚さが、10μm〜100μmの範囲内となっている。
その結果、硬化層の厚さが、10μm未満となっている内輪や、100μmを超えている内輪と比較して、硬化層の境界における剥離を抑制することが可能となり、耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となる。
また、本実施形態のタッチダウン軸受であれば、内輪71が、マルテンサイト系ステンレス鋼によって形成されている、すなわち、内径面71a及び端面71bが、マルテンサイト系ステンレス鋼によって形成されているため、防錆油等を用いることなく、内径面71a及び端面71bの防錆が可能となっている。
その結果、内輪71のメンテナンスに係る費用を低減することが可能となり、タッチダウン軸受のメンテナンスに係る費用を低減することが可能となる。
また、本実施形態のタッチダウン軸受であれば、各転動体73の外周面、内輪側転動体軌道面71d及び外輪側転動体軌道面72bには、固体潤滑剤によって形成された潤滑被膜Fが構成されており、その被膜厚さは、10μm〜20μmの範囲内となっている。
このため、潤滑被膜の被膜厚さが20μmを超えている内輪を備えたタッチダウン軸受と比較して、真空環境中において発生するアウトガスを抑制することが可能となる。
その結果、真空環境の汚染を抑制することが可能となる。
また、潤滑被膜の被膜厚さが10μm未満となっている内輪を備えたタッチダウン軸受と比較して、タッチダウン軸受の作動性を向上させることが可能となる。
また、本実施形態のタッチダウン軸受であれば、各転動体73の外周面、内輪側転動体軌道面71d及び外輪側転動体軌道面72bに形成された潤滑被膜が、二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンを含有する固体潤滑剤によって構成されている。
このため、二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンを含有していない固体潤滑剤によって潤滑被膜を形成したタッチダウン軸受と比較して、良好な潤滑性能を確保することが可能となるとともに、アウトガスを抑制することが可能となる。
なお、本実施形態のタッチダウン軸受では、内輪71の内径面71a及び端面71bに硬化層Sを形成する方法として、内輪71の内径面71a及び端面71bに、球状または略球状の金属粒子を衝突させたが、これに限定されるものではなく、内輪71の内径面71a及び端面71bに、球状または略球状の非金属粒子を衝突させてもよい。この場合、非金属粒子としては、例えば、ガラスビーズ等を用いる。
また、本実施形態のタッチダウン軸受では、硬化層Sを、表面硬さをビッカース硬さでHv700以上とし、表面粗さを0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内としたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、硬化層Sを、表面硬さをビッカース硬さでHv700未満としてよく、また、表面粗さが0.3未満または1.2Raμmを越えていてもよい。もっとも、本実施形態のタッチダウン軸受のように、硬化層Sを、表面硬さをビッカース硬さでHv700以上とし、表面粗さを0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内とすることが、硬化層Sの、耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となるため、好適である。
なお、SUS440C等のマルテンサイト系ステンレス鋼は、ショットピーニングを行う前の硬さはビッカース硬さでHv660程度であるが、ショットピーニングを行うことにより、その硬さはビッカース硬さでHv760程度まで向上する。また、SUS630等の析出硬化系ステンレス鋼は、ショットピーニングを行う前の硬さはビッカース硬さでHv400程度であるが、ショットピーニングを行うことにより、その硬さはビッカース硬さでHv520程度まで向上する。
さらに、本実施形態のタッチダウン軸受では、硬化層Sの厚さを、10μm〜100μmの範囲内としたが、これに限定されるものではなく、硬化層Sの厚さを、10μm未満としてもよく、また、100μmを超えていてもよい。もっとも、本実施形態のタッチダウン軸受のように、硬化層Sの厚さを、10μm〜100μmの範囲内とすることが、硬化層の境界における剥離を抑制することが可能となり、耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となるため、好適である。
また、本実施形態のタッチダウン軸受では、内輪71を、マルテンサイト系ステンレス鋼または析出硬化系ステンレス鋼によって形成したが、これに限定されるものではなく、ステンレス鋼以外の材料を用いて、形成してもよい。もっとも、本実施形態のタッチダウン軸受のように、内輪71を、マルテンサイト系ステンレス鋼または析出硬化系ステンレス鋼によって形成することが、防錆油等を用いることなく、内輪71の内径面71a及び端面71bの防錆が可能となるため、好適である。また、内輪71を、ステンレス鋼等の鉄系金属ではなく、セラミックス等の非鉄系金属の材料を用いて形成してもよい。
また、本実施形態のタッチダウン軸受では、各転動体73の外周面、内輪側転動体軌道面71d及び外輪側転動体軌道面72bに形成された潤滑被膜の被膜厚さを、10μm〜20μmの範囲内としたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、潤滑被膜の被膜厚さが10μm未満であってもよく、20μmを超えていてもよい。もっとも、本実施形態のタッチダウン軸受のように、潤滑被膜の被膜厚さを、10μm〜20μmの範囲内とすることが、真空環境の汚染を抑制することが可能となるとともに、タッチダウン軸受の作動性を向上させることが可能となるため、好適である。
また、本実施形態のタッチダウン軸受では、各転動体73の外周面、内輪側転動体軌道面71d及び外輪側転動体軌道面72bに形成された潤滑被膜を、二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンを含有している固体潤滑剤によって構成したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、潤滑被膜を、二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンを含有していない固体潤滑剤によって構成してもよい。もっとも、本実施形態のタッチダウン軸受のように、潤滑被膜を、二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンを含有している固体潤滑剤によって構成することが、良好な潤滑性能を確保することが可能となるとともに、アウトガスを抑制することが可能となるため、好適である。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
まず、本実施形態の構成を説明する。
本実施形態の構成は、硬化層の構成を除き、上述した第一の実施形態と同様の構成であるため、図面は省略する。
硬化層は、その表面近傍の温度を、内輪を形成する材料、すなわち、マルテンサイト系ステンレス鋼のA3変態点を越えた温度とすることにより、形成されている。
本実施形態では、硬化層の表面近傍の温度を、マルテンサイト系ステンレス鋼のA3変態点を越えた温度とする方法の一例として、平均粒径50μm程度のスチールショットを投射材とし、このスチールショットを、0.5MPa程度の噴射圧と210m/sec程度の噴射速度で、内輪の内径面及び端面へ向けて投射する、WPC処理を用いる。
WPC処理を用いて形成した硬化層は、ショットピーニングを用いて形成した硬化層と比較して、組織がより微細化して緻密になっている。
また、WPC処理は、投射材の粒径が、ショットピーニングと比較して小さいため、表面粗さの変化が小さくなっている。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
次に、上記の構成を備えたタッチダウン軸受の作用・効果等を説明する。なお、以下の説明では、硬化層以外の構成については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
ポンプの使用時において、何らかの要因により磁気軸受が制御不能となった時には、アンギュラ玉軸受7の内輪71がタッチダウンして、内輪71の内径面71a及び端面71bとロータ軸2が接触する(図1参照)。
このとき、内輪71の内径面71a及び端面71bが有する硬化層Sは、WPC処理により、その表面近傍の温度を、内輪71を形成する材料、すなわち、マルテンサイト系ステンレス鋼のA3変態点を越えた温度として形成されている(図2参照)。
このため、上述した第一実施形態のタッチダウン軸受が備える内輪と比較して、硬化層の組織が、より微細化して緻密になっているとともに、表面粗さの変化が小さくなっており、耐焼きつき性及び内輪71の耐磨耗性が向上している(図1参照)。
したがって、本実施形態のタッチダウン軸受であれば、内輪の内径面及び端面が有する硬化層が、その表面近傍の温度を、マルテンサイト系ステンレス鋼のA3変態点を越えた温度として形成されている。
このため、上述した第一実施形態のタッチダウン軸受が備える内輪と比較して、硬化層の組織が、より微細化して緻密になっているとともに、表面粗さの変化が小さくなっている。
その結果、上述した第一実施形態のタッチダウン軸受が備える内輪と比較して、耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となり、タッチダウン軸受の耐焼きつき性及び耐磨耗性を向上させることが可能となる。
その他の作用・効果は、上述した第一実施形態と同様である。
なお、本実施形態のタッチダウン軸受では、内輪を、マルテンサイト系ステンレス鋼、すなわち、鉄系金属によって形成しているため、硬化層の表面近傍の温度を、内輪を形成する材料のA3変態点を越えた温度として、硬化層を形成している。しかしながら、内輪を、鉄系金属ではなく、セラミックス等の非鉄系金属の材料を用いて形成した場合は、硬化層の表面近傍の温度を、その非鉄系金属の再結晶温度以上として形成する。
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
まず、本実施形態の構成を説明する。
本実施形態の構成は、硬化層の構成を除き、上述した第一の実施形態と同様の構成であるため、図面は省略する。
硬化層は研削処理されており、研削処理後の硬化層は、表面硬さがビッカース硬さでHv700以上となっており、表面粗さが0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内となっている。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
次に、上記の構成を備えたタッチダウン軸受の作用・効果等を説明する。なお、以下の説明では、硬化層以外の構成については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分の動作を中心に説明する。
ポンプの使用時において、何らかの要因により磁気軸受が制御不能となった時には、アンギュラ玉軸受7の内輪71がタッチダウンして、内輪71の内径面71a及び端面71bとロータ軸2が接触する(図1参照)。
このとき、硬化層は研削処理されており、研削処理後の硬化層は、表面硬さがビッカース硬さでHv700以上となっており、表面粗さが0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内となっている。
このため、研削処理により、表面粗さの大きい硬化層の表面が研削されており、研削処理後の硬化層を、表面粗さを0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内とすることが容易となっている。
したがって、本実施形態のタッチダウン軸受であれば、硬化層が研削処理されており、研削処理後の硬化層は、表面硬さがビッカース硬さでHv700以上となっており、表面粗さが0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内となっている。
このため、表面粗さの大きい硬化層の表面が、研削処理により研削され、研削処理後の硬化層を、表面粗さを0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内とすることが容易となっている。
その結果、上述した第一実施形態のタッチダウン軸受が備える内輪と比較して、硬化層を容易に形成することが可能となり、タッチダウン軸受の製造が容易となるため、製造コストを低減することが可能となる。
その他の作用・効果は、上述した第一実施形態と同様である。
以下、本発明の実施例を、本発明者等が行った実験の結果を伴って詳細に説明する。
(第一実施例)
まず、第一実施例について説明する。
なお、下記の実験例1〜4は、上述した第一実施形態と同様の構成を有するアンギュラ玉軸受をタッチダウン軸受とし、このタッチダウン軸受を備えた市販のターボ分子ポンプを用いて行ったものである
本実験は、ターボ分子ポンプを定格回転させた後、電源を切り、アンギュラ玉軸受をタッチダウンさせたときを1回とし、試料の表面が焼きつくまで繰り返して、その回数を評価した。なお、合格回数を、7回とした。
実験例1〜4に共通の実験条件は、以下に示す各条件である。
軸受材質:SUS440C(内輪及び外輪)、窒化珪素(転動体)
潤滑被膜:二硫化モリブデン
試料の表面:ショットピーニング処理(表面硬さHv760)または未処理(表面硬さHv660)
温度:常温
環境:真空
Figure 2009024846
そして、上記の条件下において実験を行った結果を、図3に示す。なお、図3中の横軸は、タッチダウン回数を示している。
図3中に示されているように、表面に対してショットピーニング処理を行い、硬化層を有している実験例1及び2は、表面が未処理であり、硬化層を有していない実験例3及び4と比較して、タッチダウン回数が1.5倍以上となっており、耐焼きつき性及び耐摩耗性が向上していることが確認された。
(第二実施例)
次に、第二実施例について説明する。
本実施例は、ショットピーニング処理によって形成された硬化層の厚さがそれぞれ異なる複数のディスクを製作し、図4及び図5に示す試験装置100によって、これらのディスクに対する評価試験を行うものである。なお、図4は、第二実施例に用いる試験装置100の概略構成図であり、図5は、図4中に示すディスクD、ボール支持アーム102、アーム支持軸受104及び試料ボールBを、図4中に記載した矢印Vの方向から見た図である。
試験装置100は、図4及び図5中に示すように、真空槽106内に形成された真空環境中で回転するディスクDの上面に、ボール支持アーム102で支持された試料ボールBを落下させることが可能な構成となっている。
評価試験は、試験装置100を用いて、試料ボールBとディスクDが焼き付く(完全に凝着する)までの試験回数を調べる試験である。
本実施例の実験条件は、以下に示す各条件である。
試料ボール材質:窒化珪素
試料ボール径:9.525mm(3/8インチ)
試料ボールの固体潤滑被膜:二硫化モリブデン含有被膜(膜厚3μm)
試料ボールの個数:五個(硬化層の厚さ毎に、各一個)
ディスク材質:SUS440C(ショットピーニング処理前の表面硬さはHv660)
ディスク径:100mm(試料ボールの落下位置は、直径80mmの位置)
ディスク面粗さ:0.1μRa(試験面)、ショットピーニング処理後に仕上げ研磨加工
ディスク支持軸受の潤滑:フッ素油塗布(膜厚2g/m
ディスク回転速度:3000min―1
試料ボールの落下距離:1mm
真空槽内の圧力:1×10^−4Pa
温度:常温
以下、本実施例における試験手順を、詳細に説明する。
本試験を実施する際は、まず、試料ボールBをボール支持アーム102に装填して固定した状態で、ボール支持アーム102をソレノイド108に吸着させる。このとき、ボール支持アーム102のソレノイド108への吸着は、リセットレバー110を真空槽106外から操作することにより、真空槽106を解放することなく実施することが可能となっている。リセットレバー110は、コイルばね等の弾性部材によって初期位置へ戻る構成となっており、ボール支持アーム102が落下する動作を阻害することはない。また、ボール支持アーム102の上方には、適性重量のウエイト112が装着されており、ボール支持アーム102に対して、下方への荷重を負荷している。
ボール支持アーム102をソレノイド108に吸着させた後、真空槽106の天板106aを装着し、図示しない排気ポンプ等を用いて、真空槽106内を真空環境とする。
次に、真空槽106の下方に配置された直動装置114を操作して、モータ116を、図4における上方向へ移動させ、真空槽106の底面に形成された薄壁部118に接近させる。薄壁部118は、モータ軸120の先端に配置されたモータ側磁石122と、ディスク用シャフト124の下端において、モータ側磁石122と対向する位置に配置されたディスク側磁石126の間に配置されている。ディスク用シャフト124は、ディスク用支持軸受128によって回転自在に支持されており、その上端側には、ディスクDが固定されている。
モータ116が薄壁部118に接近すると、モータ側磁石122とディスク側磁石126が磁気的に結合して、磁気カップリング130が構成され、この状態でモータ116を回転させると、ディスク用シャフト124も回転する。すなわち、モータ116の回転に連動して、ディスク用シャフト124が回転する。
モータ116を回転させて、ディスク用シャフト124を所定の回転速度で回転させ、ディスク用シャフト124の回転速度が安定した後、直動装置114により、モータ116を、図4における下方向へ移動させ、モータ側磁石122とディスク側磁石126との磁気的な結合を解放する。この状態では、磁気カップリング130が機能していないため、ディスクDは惰性で回転し続ける。なお、図5中では、ディスクDの回転方向を、矢印Rdによって示している。
また、モータ側磁石122とディスク側磁石126との磁気的な結合を解放するとともに、電気的な動作によってソレノイド108の通電を切断すると、ソレノイド108に吸着されていたボール支持アーム102は、吸着から解放されて、アーム支持軸受104を中心とした回転運動を開始する。なお、図4中では、ボール支持アーム102の回転方向を、矢印Raによって示している。
ボール支持アーム102が、アーム支持軸受104を中心とした回転運動を行うと、ディスクDの上面に試料ボールBが落下し、試料ボールBとディスクDが衝突する。このとき、試料ボールBとディスクDとの接触部分では、表面温度が瞬時に上昇して凝着が生じる。
試料ボールBとディスクDとの接触部分に凝着が生じても、ディスクDは惰性で回転し続けるため、試料ボールBとディスクDとの接触部分における両者の摩擦係数が小さい場合は、試料ボールBとディスクDが摺動したまま、ディスクDが回転を続ける。そして、試料ボールBとディスクDとの接触部分における摺動抵抗が増加して一定値を超えると、ディスクDの回転が停止する。
ディスクDの回転が停止したときに、試料ボールBとディスクDが焼き付きを発生していない、すなわち、試料ボールBとディスクDとの接触部分に完全な凝着が生じていない場合は、再度、リセットレバー110を操作してボール支持アーム102をソレノイド108に吸着させる。そして、ボール支持アーム102を回転(落下)開始位置にセットした後、モータ116を回転させて、再度、落下試験を行う。
落下試験を繰り返し行い、試料ボールBとディスクDとの接触部分における面粗さが増加すると、最終的には、試料ボールBとディスクDが焼き付きを発生して一体化されてしまうため、これをもって、試験を終了する。本実施例では、焼き付きが発生するまでに行われた落下試験の回数を用いて、耐焼き付き性の指標とした。
本実施例における試験結果を、図6に示す。なお、図6中において、左側の縦軸は、タッチダウン回数、右側の縦軸は、面粗さを示し、横軸は、ディスクの表面に形成した硬化層の厚さ(μm)を示している。なお、面粗さ及び硬化層の厚さは、ショットピーニング処理直後の値であり、仕上げ研磨加工を行う前の値である。
図6中に示されているように、ショットピーニング処理直後の硬化層の厚さが10μm以上であると、タッチダウン回数が1回である、硬化層が形成されていないディスクと比較して、タッチダウン回数が5回となり、タッチダウン性能が改善されている。
したがって、ショットピーニング処理直後の硬化層の厚さを、10μm以上とすることにより、タッチダウン性能を向上させることが可能であることが確認された。
また、図6中に示されているように、ショットピーニング処理直後の硬化層の厚さが100μmである状態では、面粗さは約0.7μmRaである。これに仕上げ研磨加工を行って、指定の面粗さである0.1μmRaに調整するために必要な研磨量は、5〜10μm程度である。
これに対し、ショットピーニング処理直後の硬化層の厚さが150μmである状態では、面粗さを0.1μmRaに調整するために必要な研磨量は、20μm以上となる。
このため、ショットピーニング処理直後の硬化層の厚さが150μmである内輪を備えた軸受では、仕上げ研磨加工を内輪に対して行い、正規の寸法に調整したときに、ショットピーニング処理によって形成された凹凸が除去されるおそれがある。
したがって、軸受の転動面として充分な面粗さが確保可能かどうかが、非常に不安定であるため、仕上げ研磨加工の研磨量は、最大でも10μm程度である必要があり、ショットピーニング処理直後の硬化層の厚さは、100μmが上限となる。
以上により、ショットピーニング処理直後の硬化層の厚さは、10μm〜100μmの範囲内とすることが、好適であることが確認された。
本発明の第一実施形態のタッチダウン軸受の構成を示す断面図である。 本発明の第一実施形態のタッチダウン軸受が備えるアンギュラ玉軸受の拡大図である。 ショットピーニング処理とタッチダウン回数との関係を示すグラフである。 第二実施例に用いる試験装置の概略構成図である。 試験装置を図4中に記載した矢印Vの方向から見た図である。 第二実施例における試験結果を示すグラフである。
符号の説明
1 ロータ翼
2 ロータ軸
3 アキシャル磁気軸受
4,5 ラジアル磁気軸受
6 深溝玉軸受
61 内輪(回転輪)
7 アンギュラ玉軸受
71 内輪(回転輪)
71a 内径面
71b 端面
71c 外径面
71d 内輪側転動体軌道面
72 外輪
72a 内径面
72b 外輪側転動体軌道面
73 転動体
8A 上部ケーシング
8B 下部ケーシング
81 上部ケーシングの一部をなす部材(ハウジング)
82 吸気口
83 排気口
84 電源導入端子
85 保護ネット
9 電動モータ
100 試験装置
102 ボール支持アーム
104 アーム支持軸受
106 真空槽
108 ソレノイド
110 リセットレバー
112 ウエイト
114 直動装置
116 モータ
118 薄壁部
120 モータ軸
122 モータ側磁石
124 ディスク用シャフト
126 ディスク側磁石
128 ディスク用支持軸受
130 磁気カップリング
S 硬化層
F 潤滑被膜
D ディスク
B 試料ボール
Rd ディスクの回転方向
Ra ボール支持アームの回転方向

Claims (9)

  1. 通常時には磁気軸受により支承される軸またはハウジングからなる回転部材が内輪と非接触で配置され、前記磁気軸受の制御不能時には前記内輪が前記回転部材と接触することにより軸受として機能するタッチダウン軸受であって、
    前記内輪の内径面及び内輪の端面のうち少なくとも一方の接触面は、金属粒子または非金属粒子を衝突させることにより形成された硬化層を有し、
    前記金属粒子または非金属粒子は、球状または略球状であることを特徴とするタッチダウン軸受。
  2. 前記硬化層は、前記接触面の表面近傍の温度を、前記接触面が鉄系金属で構成されている場合は前記鉄系金属のA3変態点を越えた温度とし、前記接触面が非鉄系金属で構成されている場合は前記非鉄系金属の再結晶温度以上として形成されることを特徴とする請求項1に記載したタッチダウン軸受。
  3. 前記硬化層は、表面硬さがビッカース硬さでHv700以上であり、且つ表面粗さが0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載したタッチダウン軸受。
  4. 前記硬化層の少なくとも前記回転部材と接触する部分が研削処理され、
    前記研削処理後の硬化層は、表面硬さがビッカース硬さでHv700以上であり、且つ表面粗さが0.3Raμm〜1.2Raμmの範囲内であることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載したタッチダウン軸受。
  5. 前記硬化層または前記研削処理後の硬化層の厚さを、10μm〜100μmの範囲内としたことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載したタッチダウン軸受。
  6. 前記接触面は、マルテンサイト系ステンレス鋼または析出硬化系ステンレス鋼によって形成されていることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載したタッチダウン軸受。
  7. 前記硬化層の表面に、固体潤滑剤によって形成された潤滑被膜を形成したことを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載したタッチダウン軸受。
  8. 前記潤滑被膜の被膜厚さを、10μm〜20μmの範囲内としたことを特徴とする請求項7に記載したタッチダウン軸受。
  9. 前記固体潤滑剤は、二硫化モリブデンまたは二硫化タングステンを含有していることを特徴とする請求項7または8に記載したタッチダウン軸受。
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