JP2018115747A - 転がり軸受 - Google Patents

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崇 西河
Takashi Nishikawa
崇 西河
洋輔 中野
Yosuke Nakano
洋輔 中野
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Abstract

【課題】耐久性の向上を図るとともに、保持器案内面の焼付き抑制効果が高く、長期に亘って高い信頼性を維持できる転がり軸受を提供する。【解決手段】外側軌道面を有する外側軌道輪と、内側軌道面を有する内側軌道輪と、外側軌道輪と内側軌道輪との間に配置した複数の転動体と、外側軌道輪と内側軌道輪との間に配され、各転動体を所定位置に保持する保持器とを備えた転がり軸受である。外側軌道輪の内径面の表層部および内側軌道輪の外径面の表層部の少なくとも一方には、焼入処理された鋼材に窒化処理にて生成した窒素富化層が形成され、保持器案内面に形成された窒素富化層に、無数の微小凹部を設けた。【選択図】図2

Description

本発明は、転がり軸受に関し、特に、高温環境下で高速回転する軸を支持するために用いられる転がり軸受に関する。
例えば、非常用発電機の駆動源となるガスタービンや航空機用ジェットエンジンの主軸等を支持する軸受装置は、その用途から高い信頼性が要求される。ガスタービンやジェットエンジンは、空気を圧縮し、圧縮した空気を燃焼させて高温・高圧の燃焼ガスを発生させ、その燃焼ガスでタービンを回転させて、転がり軸受によって回転自在に支持された主軸にて回転エネルギーを取り出す。前記エンジンの内部温度は、燃焼ガス等の影響により200℃を超えるものであり、高速回転する主軸を回転自在に支持する転がり軸受は過酷な環境で使用される。
このような転がり軸受の運転時において、軸受の潤滑は、軌道面-転動面では転動体の転がりにより潤滑されるため、悪い潤滑環境下でも比較的油膜形成されやすいのに対し、保持器案内面では、保持器と軌道輪が摺動することにより、軌道面よりも油膜形成されにくい。このため、特に軌道輪の保持器案内面では焼付きが発生するおそれがある。しかも、空気中や潤滑剤には微細な異物(例えばアルミナや酸化セラミックス)が混入する可能性があるため、軸受が異物を噛みこんで表面損傷するおそれがある。これらの理由により、転がり軸受が早期に(軸受の予定寿命よりも短い運転時間で)損傷する場合がある。
そこで、軌道輪の保持器案内面において焼付きを抑制するため、特許文献1に記載されているように、軌道輪及び保持器の接触面の少なくとも一方に、DLCコーティング層等からなり、軌道輪と異なる材料からなる焼付き防止層を設ける方法がある。
特開2009−236231号公報
前記特許文献1に記載されているような皮膜(表面)処理は、皮膜と母材との間で発生する界面応力によって、皮膜が剥離する可能性がある。このため、皮膜を形成する方法では、特に高い信頼性が要求されるガスタービンやジェットエンジンに使用される転がり軸受の焼付き対策としては信頼性が十分とはいえない。しかも、皮膜が剥離した場合は、それが異物となって軌道面・転動面を損傷させる可能性があり、軸受機能を損なうおそれがある。
本発明は、上記課題を鑑みて、耐久性の向上を図るとともに、保持器案内面の焼付き抑制効果が高く、長期に亘って高い信頼性を維持できる転がり軸受を提供する。
本発明の転がり軸受は、外側軌道面を有する外側軌道輪と、内側軌道面を有する内側軌道輪と、前記外側軌道輪と内側軌道輪との間に配置した複数の転動体と、前記外側軌道輪と内側軌道輪との間に配され、前記各転動体を所定位置に保持する保持器とを備えた転がり軸受において、前記外側軌道輪の内径面の表層部および前記内側軌道輪の外径面の表層部の少なくとも一方には、焼入処理された鋼材に窒化処理にて生成した窒素富化層が形成され、保持器案内面に形成された窒素富化層に、無数の微小凹部を設けたものである。
本発明の転がり軸受によれば、軌道輪は、焼入硬化された鋼材の表層部に、さらに硬化層となる窒素富化層が形成されることにより、軌道輪の表層硬さの向上を図ることができ、異物への耐性を高めることができる。しかも、窒素富化層は、表層から内部に向けて連続的に硬度の勾配を有するものとなる。すなわち、窒素富化層は、鋼材に窒素を浸透・拡散させて表面改質したものであるため、皮膜処理にて形成された硬質層とは異なり、窒素富化層のみが剥離することを防止できる。これにより、軌道輪は、空気中や潤滑剤等に異物が混入した環境下においても、長期に亘って異物への耐性を高めることができる。また、保持器案内面に形成された窒素富化層に微小凹部を設けたことにより、微小凹部が油溜りとして機能し、油膜形成能力が向上する。このように、本発明の転がり軸受は、剥離しにくい窒素富化層による異物の耐性向上効果と、微小凹部による油膜形成能力の向上との相乗効果を得ることができる。
前記構成において、前記保持器案内面に形成された窒素富化層が加工硬化部を有するものであってもよい。また、前記軌道面に形成された窒素富化層が、加工硬化部を有するものであってもよい。すなわち、窒素富化層にさらに圧縮残留応力が与えられる加工硬化部を設けることで、異物に対する耐性が一層高まる。特に、軌道面に形成された窒素富化層が加工硬化部を有する場合は、軌道面は圧痕が形成されにくいものとなり、軸受機能を損なうことを抑制できる。
前記構成において、前記軌道面に形成された窒素富化層と、保持器案内面に形成された窒素富化層との厚さが異なるものであってもよい。
前記構成において、前記軌道輪の材料をM50又はM50NiLとしてもよい。M50及びM50NiLは、焼戻温度が500℃よりも高いため、窒化処理における熱処理によって、軌道輪が焼戻しされて軟化することを防止できる。
また、前記構成において、前記転動体の材料をM50又はセラミックスとしてもよい。転動体に窒素富化層を設ける場合は、転動体の材料をM50とすることにより、窒化処理における熱処理によって、転動体が焼戻しされて軟化することを防止できる。また、転動体の材料をセラミックスとした場合は、軌道輪と転動体とが異種材料となるため、焼付きを抑制する効果が得られる。
前記窒素富化層の硬度が800Hv以上であるのが好ましい。また、前記窒素富化層の層厚が0.025mm以上であるのが好ましい。これにより、軌道輪は、異物に対する耐性が十分なものとなる。
この転がり軸受は、高温環境下で高速回転する軸を支持し、かつ、高い信頼性が要求される、例えばガスタービン又はジェットエンジンの内部に配置され、主軸又は前記主軸の回転を受けて回転する従動部材を回転自在に支持する場合に特に有効なものとなる。
本発明の転がり軸受は、剥離しにくい窒素富化層による異物の耐性向上効果と、微小凹部による油膜形成能力の向上との相乗効果により、耐久性の向上を図るとともに、案内面の焼付き抑制効果が高く、長期に亘って高い信頼性を維持できる。
ガスタービンを使用した非常用発電設備の一構成例を概念的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る転がり軸受の縦断面図である。 図2に示す転がり軸受を構成する外輪の要部拡大正面図である。 図2に示す転がり軸受の製造方法の概略を示すフローチャート図である。 図2に示す転がり軸受を構成する外輪の製造方法の概略を示す工程図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明に係る転がり軸受を備えたガスタービンを使用した非常用発電設備の一構成例を概念的に示す。同図に示すガスタービン1は、空気を吸入するファン(図示省略)と、吸入した空気の一部を圧縮する圧縮機2と、圧縮空気に燃料を噴射して燃焼させることにより燃焼ガスを発生させる燃焼室3と、燃焼室3で生じた燃焼ガスによって高速回転するタービン4とを備えており、圧縮機2のロータおよびタービン4を装着した主軸5が軸方向に離間した複数箇所(図示例では2箇所)に配置された転がり軸受10によって回転自在に支持されている。このガスタービン1は、減速機6を介して発電機7に連結されており、タービン4の回転力を発電機7の軸回転に利用して発電する。
上記のガスタービン1において、主軸5は、高速で回転する。また、ガスタービン1の内部温度は、燃焼室3で発生する燃焼ガス等の影響により200℃を超える。さらに、ガスタービン1の内部空間では、金属粉やカーボン粉等、最大径が数μm〜数十μm程度の微細な硬質異物が無数に浮遊・飛翔している。従って、本発明に係る転がり軸受10は、200℃超の高温で、かつ微細な硬質異物が無数に浮遊・飛翔する過酷環境下においても、高速回転する主軸5を長期間に亘って精度良く支持し得るような構成を有する。以下、本発明の実施形態に係る転がり軸受10について詳細に説明する。
図2に、本発明の一実施形態に係る転がり軸受10の縦断面図を示す。この転がり軸受10は、外径面11aに内側軌道面11bを有する内輪11と、内径面12aに外側軌道面12bを有する外輪12と、両軌道面11b、12b間に転動自在に配された複数の転動体(ボール)13と、内輪11と外輪12の間に配された円環状の保持器14とを備える玉軸受であり、より詳細には、内輪11が主軸5(図1参照)の外周に装着された状態で使用される内輪回転型の3点接触玉軸受である。内輪11は、その軸方向中央部で分割された(突き合わされた)第1内輪11Aと第2内輪11Bとを有し、ボール13は、第1内輪11Aに設けられた第1内側軌道面11b1と、第2内輪11Bに設けられた第2内側軌道面11b2と、外輪12の外側軌道面12bの1箇所との3点で接触している。内側軌道面11bは、第1内側軌道面11b1と第2内側軌道面11b2の協働で形成される。
本実施形態の転がり軸受10は、保持器14の外径面と外輪12の内径面12aとを摺接させて保持器14を半径方向で案内する、いわゆる外輪案内の軸受である。このため、外輪12の内径面12aにおいて、外側軌道面12bを除く面は、保持器14と摺接する保持器案内面15(以下、案内面15という)となる。
内輪11および外輪12は、転がり軸受10が高温環境下で高速回転する主軸5の支持に用いられることに鑑み、特に、高温での機械的強度および靱性が高く、疲労寿命が長く、かつ寸法変化が小さい、などという特性を有する鋼材、例えば耐熱軸受鋼で形成される。耐熱軸受鋼としては、AMS6491規格のM50、あるいはAMS6278規格のM50NiLを使用することができる。M50とは、主に、0.77〜0.85質量%の炭素、0.25質量%以下の珪素、0.35質量%以下のマンガン、0.15質量%以下のニッケル、3.75〜4.25質量%のクロム、4〜4.5質量%のモリブデンおよび0.9〜1.1質量%のバナジウムを含有し、残部鉄および不可避的不純物からなる鋼材である。また、M50NiLとは、主に、0.11〜0.15質量%の炭素、0.1〜0.25質量%の珪素、0.15〜0.35質量%のマンガン、3.2〜3.6質量%のニッケル、4〜4.25質量%のクロム、4〜4.5質量%のモリブデンおよび1.13〜1.33質量%のバナジウムを含有し、残部鉄および不可避的不純物からなる鋼材である。
外輪12の内径面12aの表層部(つまり、外側軌道面12b及び案内面15)には、窒素富化層16が形成されている。窒素富化層16は、焼入れされた鋼材(本実施形態ではM50あるいはM50NiL)に、例えばプラズマ窒化のような窒化処理を施すことによって、窒素を浸透・拡散させて表面改質された層である。外輪12において、窒素富化層16が設けられる領域は他の領域よりも硬度が高く、表層から内部に向けて連続的に硬度の勾配を有するものとなる。すなわち、窒素富化層16は、硬度のピークが表面(つまり、外輪12の内径面12a)にあり、内部側に向かって硬度が徐々に低下する。この場合、窒素富化層16の硬度は800Hv以上であるのが好ましい。
図3に示すように、案内面15に形成された窒素富化層16aには、無数の微小凹部17が形成されている。この微小凹部17は、後述するように外輪12の内径面12aにショットピーニングを行うことによって形成された凹凸部33(図5(c)参照)を研削し、凸部のみを取り除くことによって形成されたものである。案内面15に形成された窒素富化層16aは、ショットピーニングによって、さらに圧縮残留応力の生成された加工硬化部18aとなる。なお、図3の図示例では、窒素富化層16aが形成された範囲と同一範囲で加工硬化部18aが形成されているが、窒素富化層16aの一部の範囲に加工硬化部18aが形成されていてもよい。
図3に示すように、外側軌道面12bに形成された窒素富化層16bの表層部は、前記のような微小凹部17を有さない凹曲面となっている。この凹曲面は、外輪12の内径面12aにショットピーニングを行うことによって凹凸部33(図5(c)参照)が形成され、この凹凸部33が除去されるまで研削することで形成されたものである。外側軌道面12bに形成された窒素富化層16bも、ショットピーニングによって、さらに圧縮残留応力の生成された加工硬化部18bとなる。なお、図3の図示例では、窒素富化層16bが形成された範囲と同一範囲で加工硬化部18bが形成されているが、窒素富化層16bの一部の範囲に加工硬化部18bが形成されていてもよい。
案内面15に形成された窒素富化層16aの厚さt1と、外側軌道面12bに形成された窒素富化層16bの厚さt2とは異なる(t1>t2)。これは、前述のように、外輪12の内径面12aにショットピーニングを行って凹凸部33を形成した後、外側軌道面12bとなる部位では凹部の溝底まで研削を行ったものであるのに対し、案内面15となる部位では、凸部のみを取り除き、凹部を残す研削を行ったことによるものであり、外側軌道面12bとなる部位は、案内面15となる部位よりも内部まで研削されたためである。窒素富化層16a、16bの厚さt1、t2は0.025mm以上であるのが好ましい。
図2に示すように、内輪11の外径面11aの表層部には、外輪12の内径面12aの表層部に形成した窒素富化層16と同様の窒素富化層20が形成されている。また、内輪11の外径面11aにおいて、内側軌道面11bを除く面(つまり、案内面15の対面)には、図示省略の微小凹部が形成されている。なお、微小凹部は、少なくとも保持器14と摺接する案内面15に設ければよく、本実施形態のような外輪案内の軸受では、内輪11側の窒素富化層20において微小凹部を省略してもよい。
ボール13は、例えば、内輪11および外輪12と同様に耐熱軸受鋼(M50)で形成される。本実施形態において、ボール13の表層部には、図2に示すように、内輪11の外径面11a及び外輪12の内径面12aの表層部に形成した窒素富化層16、20と同様の窒素富化層21が形成されている。すなわち、窒素富化層21は、硬度のピークがボール13の外表面にあり、内部側に向かって硬度が徐々に低下する層である。
保持器14は、その外径面および内径面に開口したポケット部22を有し、ポケット部22は、周方向に所定間隔で複数設けられている。本実施形態において、ポケット部22はボール13を1個ずつ保持する。これにより、ボール13は、内側軌道面11bと外側軌道面12bとで形成される円環状の軌道上に周方向所定間隔で保持される。保持器14の表面には、自己潤滑性を有する軟質金属(本実施形態では銀)からなるめっき皮膜23が形成されている。
以上のように、本発明に係る転がり軸受10では、軌道輪11、12は、焼入硬化された鋼材の表層部に、さらに硬化層となる窒素富化層16、20が形成されたものであるため、軌道輪11、12の表層硬さの向上を図ることができ、異物への耐性を高めることができる。しかも、窒素富化層16、20は、表層から内部に向けて連続的に硬度の勾配を有するものとなる。すなわち、窒素富化層16、20は、鋼材に窒素を浸透・拡散させて表面改質したものであるため、皮膜処理にて形成された硬質層とは異なり、窒素富化層16、20のみが剥離することを防止できる。これにより、軌道輪11、12は、空気中や潤滑剤等に異物が存在する環境下においても、長期に亘って異物への耐性を高めることができる。また、保持器案内面15に形成された窒素富化層16aに微小凹部17を設けたことにより、微小凹部17が油溜りとして機能し、油膜形成能力が向上する。このように、本発明の転がり軸受10は、剥離しにくい窒素富化層16、20による異物の耐性向上効果と、微小凹部17による油膜形成能力の向上との相乗効果を得ることができる。
また、窒素富化層16、20の硬度が800Hv以上であり、窒素富化層16、20の層厚が0.025mm以上としているため、軌道輪11、12は、異物に対する耐性が十分なものとなる。さらに、窒素富化層16、20の表層部は加工硬化部18a、18bを有しているため、窒素富化層16、20にさらに圧縮残留応力が与えられ、異物に対する耐性が一層高まるとともに、軌道面11b、12bは圧痕が形成されにくいものとなり、軸受機能を損なうことを抑制できる。
以上から、本発明の転がり軸受10は、耐久性の向上を図るとともに、案内面の焼付き抑制効果が高く、長期に亘って高い信頼性を維持できる。
次に、本発明の転がり軸受10の製造方法について、図4及び図5を用いて説明する。
軌道輪(外輪12)の製造方法は、まず、図5(a)に示すように、外輪の概略形状に成形された耐熱軸受鋼30(例えばAMS6491規格のM50)について熱処理を行って(S1)、外輪として必要な硬さと靱性を付与した後、粗研削を行う(S2)。この場合の熱処理は、例えば、焼入工程、第1焼戻工程、サブゼロ工程、第2焼戻工程、及び第3焼戻工程からなる。
次に、熱処理された鋼材30に対して窒化処理を行い(S3)、図5(b)に示すように、外輪12の内径面12aとなる部位(つまり、外側軌道面12bとなる部位31及び案内面15となる部位32)に窒素富化層16を形成する。窒化処理の手法としては、ガス窒化、ガス軟窒化、プラズマ窒化などがあるが、これらの中でも、処理前後で被処理材の表面性状に変化が生じ難く後加工を省略することができ、しかも処理時間が比較的短いプラズマ窒化が好ましい。具体的な方法として、窒素(N2)と、水素(H2)、メタン(CH4)およびアルゴン(Ar)からなる群から選択される少なくともいずれか1つ以上とが導入されたプラズマ窒化炉に鋼材30を挿入し、被処理物(鋼材30)を陰極、炉壁を陽極として所定電圧をかけて、所望の温度及び時間を保持する。これにより、鋼材30の表層部に窒素が侵入して窒素富化層16が形成され、表層部の硬度が向上する。
前記した窒化処理によって鋼材30が体積膨張した場合は、案内面15となる部位32のみ、規定の寸法となるように仕上げ研削を行う(S4)。なお、窒化処理による体積膨張が無い場合は、この仕上げ研削(S4)を省略してもよい。その後、外側軌道面12bとなる部位31及び案内面15となる部位32にショットピーニングを行う(S5)。すなわち、ショット材と呼ばれる硬質な小球を、投射装置等により加速して窒素富化層16に噴射させ、外側軌道面12bとなる部位31及び案内面15となる部位32に高速で衝突させる。これにより、窒素富化層16には、図5(c)に示すような微小な凹凸部33が形成されるとともに、高い圧縮残留応力が付与された加工硬化部18が形成される。なお、ショット材の材質、大きさ、投射速度等は、種々設定することができる。
軌道面が凹凸部33を有している場合、金属間接触が起こり、軌道輪の表面が損傷するおそれがあるため好ましくない。このため、外側軌道面12bとなる部位31では仕上研削を行って(S6)凹凸部33を取り除き、図5(d)に示すような凹曲面を形成する。すなわち、この仕上研削S6では、少なくとも凹凸部33の凹部の溝底まで研削を行う。その後、超仕上げ(ラップ仕上げ)を行い(S7)、外側軌道面12bを形成する。
案内面15となる部位32では超仕上げ(ラップ仕上げ)を行って(S8)、凹凸部33の凸部のみを取り除き、図5(d)に示すような無数の微小凹部17を形成する。すなわち、この超仕上げS8では、凹凸部33の凹部の溝底に達しない深さまで研削を行う。以上のようにして、外輪12を製造することができる。また、内輪11は、外輪12と同様に工程S1〜S8によって製造することができる。
M50を材料とするボールの製造方法は、まず、ボールの概略形状に成形されたM50について熱処理を行って(S10)、ボールとして必要な硬さと靱性を付与する。熱処理としては、例えば、焼入工程、焼戻工程、及びサブゼロ工程、等を含む。次に、粗研削(S11)を行った後、窒化処理を行う(S12)。窒化処理の手法としては、例えば、アンモニア(NH3)ガス中で高温に加熱して鋼材の表面に活性窒素を拡散浸透させるガス窒化が好ましい。これにより、鋼材の表層部に窒素が侵入して窒素富化層21が形成され、表層部の硬度が向上する。最後にボール表面の仕上げ研削(S13)、及び超仕上げ(S14)を行う。
ボールの材料としては、セラミックスを用いることができ、例えば、窒化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素中の一つを主成分とするものを用いることができる。この場合は、前記した工程S10〜S14を行わない。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、実施形態では保持器14が外輪12によって案内される外輪案内タイプの転がり軸受10であったが、保持器14が内輪11の外径面11aによって案内される内輪案内タイプの転がり軸受にも適用できる。また、実施形態では、転がり軸受10の具体例として、転動体をボール13とし、かつボール13が内側軌道面11bと2点で接触し、外側軌道面12bと1点で接触する、いわゆる3点接触玉軸受を例示したが、ボール13が内輪11の内側軌道面11bおよび外輪12の外側軌道面12bとそれぞれ2点で接触する、いわゆる4点接触玉軸受にも適用できる。さらに、本発明は、転動体を円筒ころとした、いわゆる円筒ころ軸受にも適用できる。
また、本発明に係る転がり軸受10は、非常用発電設備等、産業設備用のガスタービンのみならず、航空機用のジェットエンジン(タービンからの排気エネルギーにより排気自身を加速し、ジェットとして噴出することにより推進力を得る)にも好適に用い得る。実施形態では、ガスタービン1の主軸5支持用軸受として用いる場合を説明したが、本発明の転がり軸受10は、主軸の回転を受けて回転する従動部材を回転自在に支持するものであってもよい。
1 ガスタービン
5 主軸
10 転がり軸受
11 内輪
11a 外径面
11b 内側軌道面
12 外輪
12a 内径面
12b 外側軌道面
13 ボール(転動体)
14 保持器
15 保持器案内面
16、20 窒素富化層
17 微小凹部
18a、18b 加工硬化部
30 鋼材

Claims (9)

  1. 外側軌道面を有する外側軌道輪と、内側軌道面を有する内側軌道輪と、前記外側軌道輪と内側軌道輪との間に配置した複数の転動体と、前記外側軌道輪と内側軌道輪との間に配され、前記各転動体を所定位置に保持する保持器とを備えた転がり軸受において、
    前記外側軌道輪の内径面の表層部および前記内側軌道輪の外径面の表層部の少なくとも一方には、焼入処理された鋼材に窒化処理にて生成した窒素富化層が形成され、保持器案内面に形成された窒素富化層に、無数の微小凹部を設けたことを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記保持器案内面に形成された窒素富化層が加工硬化部を有することを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
  3. 前記軌道面に形成された窒素富化層が加工硬化部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転がり軸受。
  4. 前記軌道面に形成された窒素富化層と、保持器案内面に形成された窒素富化層との厚さが異なることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転がり軸受。
  5. 前記軌道輪の材料が、M50又はM50NiLであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転がり軸受。
  6. 前記転動体の材料が、M50又はセラミックスであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の転がり軸受。
  7. 前記窒素富化層の硬度が800Hv以上であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の転がり軸受。
  8. 前記窒素富化層の層厚が0.025mm以上であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の転がり軸受。
  9. ガスタービン又はジェットエンジンの内部に配置され、主軸又は前記主軸の回転を受けて回転する従動部材を回転自在に支持することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の転がり軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021178124A1 (en) * 2020-03-05 2021-09-10 Schaeffler Technologies AG & Co. KG Duplex hardened cage pilot surface for bearing ring

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