JP5003045B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、芳香族ポリカーボネートの溶融重合法においては重合の進行に伴い、副反応により分岐ポリマーが生成し、ひいてはゲル化物(微小未溶融物)が発生しやすいため、長期間の運転においては細管式インライン粘度計を設けたバイパス配管が閉塞してしまい、設備の安定的運転が困難であるという問題を有している。
即ち、本発明の目的は、長期間の運転時においても、芳香族ポリカーボネートの粘度測定を安定的に行うことができる芳香族ポリカーボネートの製造方法を提供することにある。
粘度計検出端の接液部が副生モノヒドロキシ化合物に対して耐食性を有する材料で構成されているのが好ましい。
また、高粘度のポリマーが流通するために、粘度計の検出端がポリマーの流れ応力によって折損することを回避するため、粘度計の検出端は、反応器の出口流路におけるポリマーの流れ方向と同一方向もしくは同一方向から75°以内の傾きで流路に挿入されているか、又は反応器の出口流路におけるポリマーの流れ方向と対向する方向もしくは対向する方向から15°以内の傾きで流路に挿入されるように設置するのが好ましい。
ここで、配管内のポリマー流れ方向と粘度計の検出端とのなす傾きとは、粘度計の検出端近傍における配管内のポリマーの流れ方向と、粘度計の検出端の挿入方向とが形成する角度(0°以上90°未満)のことを言う。なお、流れ方向と検出端の挿入方向とが対向している場合も、両者のなす角度は同様に定義される。
また、取り付けに際しては、取り付け箇所に溶融ポリマーが滞留してヤケや異物が発生するのを防ぐためにデッドスペースをなくすように施工することが好ましい。
本発明において、ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合により製造される。
以下、原料として芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを用い、エステル交換触媒の存在下、連続的に溶融重縮合反応を行うことにより、ポリカーボネート樹脂を製造する方法について説明する。
本実施の形態において使用する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」、以下、BPAと略記することがある。)が好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
本実施の形態において使用する炭酸ジエステルとしては、下記一般式(2)で示される化合物が挙げられる。
なお、A’上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などが例示される。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略記することがある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
即ち、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常、炭酸ジエステル1.01〜1.30、好ましくは1.02〜1.20のモル比で用いられる。モル比が1.01より小さくなると、得られるポリカーボネート樹脂の末端OH基が多くなり、樹脂の熱安定性が悪化する傾向となる。また、モル比が1.30より大きくなると、エステル交換の反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となる傾向となる他、樹脂中の炭酸ジエステルの残存量が多くなり、成形加工時や成形品の臭気の原因となることがあり、好ましくない。
本実施の形態において使用するエステル交換触媒としては、通常、エステル交換法によりポリカーボネートを製造する際に用いられる触媒が挙げられ、特に限定されない。一般的には、例えば、アルカリ金属化合物、ベリリウム又はマグネシウム化合物、アルカリ土類金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物又はアミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。
これらのエステル交換触媒の中でも、実用的にはアルカリ金属化合物が望ましい。これらのエステル交換触媒は、1種類で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
エステル交換触媒の使用量は、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10−9〜1×10−1モル、好ましくは1×10−7〜1×10−2モルの範囲で用いられる。
これらのアルカリ金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムが好ましい。
次に、芳香族ポリカーボネートの製造方法について説明する。
芳香族ポリカーボネートの製造は、原料である芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを含む混合物を調製し(原調工程)、これらの化合物の混合物を、エステル交換反応触媒の存在下、溶融状態で複数の反応器を用いて多段階方式で重縮合反応させる(重縮合工程)ことによって行われる。反応方式は、バッチ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合せのいずれでもよい。反応器は、一般に複数基の竪型反応器及び/又はこれに続く少なくとも1基の横型反応器が用いられる。通常、これらの反応器は直列に設置され、連続的に処理が行われる。
重縮合工程後、反応を停止させ反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程、ポリカーボネート樹脂を所定の粒径のペレットに形成する工程などを適宜追加してもよい。
次に、製造方法の各工程について説明する。
芳香族ポリカーボネートの原料として使用する芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式または連続式の撹拌槽型の装置を用いて、溶融混合物として調製される。溶融混合の温度は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを用い、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを用いる場合は、通常120℃〜180℃、好ましくは125℃〜160℃の範囲から選択される。
この際、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの混合割合は、炭酸ジエステルが過剰になるように調整され、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、炭酸ジエステルは通常1.01モル〜1.30モル、好ましくは1.02モル〜1.20モルの割合になるように調整される。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応による重縮合は、通常、2段階以上、好ましくは3段〜7段の多段方式で連続的に行われる。
具体的な反応条件としては、温度:150℃〜320℃、圧力:常圧〜0.01Torr(1.3Pa)、平均滞留時間:5分〜150分の範囲である。
重縮合工程を多段で行う場合の各反応器においては、重縮合反応の進行とともに副生するフェノールをより効果的に排出するために、上記の反応条件内で、通常段階的により高温、より高真空に設定する。尚、得られるポリカーボネート樹脂の色相等の品質低下を防止するためには、できるだけ低温、短滞留時間の設定が好ましい。
ここで、反応器としては、例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等が用いられる。
触媒の溶解に使用する水としては、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
次に、図面に基づき、本実施の形態が適用される芳香族ポリカーボネートの製造方法の一例を具体的に説明する。
図1は、芳香族ポリカーボネートの製造装置の一例を示す図である。図1に示す製造装置において、芳香族ポリカーボネートは、原料の芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを調製する原調工程と、これらの原料を溶融状態で複数の反応器を用いて重縮合反応させる重縮合工程とを経て製造される。
その後、反応を停止させ重合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程(図示せず)や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程(図示せず)、芳香族ポリカーボネートを所定の粒径のペレットに形成する工程(図示せず)を経て、ポリカーボネート樹脂のペレットが成形される。
また、第1原料混合槽2aには、DPC供給口1a−1から、炭酸ジエステルであるジフェニルカーボネート(以下、DPCと記載することがある。)が溶融状態で供給され、BPA供給口1bからは、芳香族ジヒドロキシ化合物であるビスフェノールA(以下、BPAと記載することがある。)が粉末状態で供給され、溶融したジフェニルカーボネートにビスフェノールAが溶解される。
次に、原料混合物は、原料供給ポンプ4aを経由して第1竪型反応器6aに連続的に供給される。また触媒として、炭酸セシウム水溶液が、原料混合物の移送配管途中の触媒供給口5aから連続的に供給される。
具体的な制御方法としては、例えば、測定値が目標粘度を下回る場合は、重縮合反応を促進するために、温度を高く、圧力を低く、更に攪拌回転数を高くするように調節する。一方、測定値が目標粘度を上回る場合は、上記の逆の調節を行えばよい。
図2は、振動式インライン粘度計の設置例を説明する図である。
図2(a)は、振動式インライン粘度計20aは、フランジ22を介して、ボルト及びナットにより反応器の出口流路11に固定され、検出端(センサ部)21aはポリマーの流れ方向と同一方向から75°以内の傾きで直接挿入される。
一方、図2(b)では、振動式インライン粘度計20bは、フランジ22を介して、ボルト及びナットにより反応器の出口流路11の曲がり部に固定され、検出端(センサ部)21bはポリマーの流れ方向に対して対向するように挿入される。
上記のように検出端を高分子流体の流れ方向と同一方向もしくは同一方向から75°以内の傾き、又はこれと対向する方向もしくは対向する方向から15°以内の傾きで挿入されるように設置することで、検出端(センサ部)へのポリマー流による応力が低減でき、折損等のトラブルを防ぐことができ好ましい。
また、上部フランジを印籠蓋構造にすることにより、出口流路11と粘度計との取り付け箇所のデッドスペースをなくすことができ、この部分でのポリマー滞留によるヤケや異物の発生を防ぐことができ好ましい。
なお、接液部表面を被覆する方法としては、耐久性のある樹脂コーティングを行う方法等が例示できる。
なお得られた芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は、以下の方法により行った。
ウベローデ粘度計を用いて、芳香族ポリカーボネート(試料)の塩化メチレン中20℃の極限粘度〔η〕を測定し、以下の数式(1)および数式(2)より粘度平均分子量(Mv)を求めた。
ジフェニルカーボネートとビスフェノールAとを、窒素ガス雰囲気下、一定のモル比(DPC/BPA=1.040)に混合調製した溶融液を、88.7kg/時の流量で、原料導入管を介して、220℃、1.33×104Paに制御した容量100Lの第1竪型反応器内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように、反応器底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。
また、上記混合物の供給を開始すると同時に、触媒として、1重量%の炭酸セシウム水溶液をビスフェノールA1モルに対し、1.0μモルの割合で連続供給した。
第2竪型反応器〜第3竪型反応器での反応条件は、それぞれ第2竪型反応器(240℃、2.00×103Pa、75rpm)、第3竪型反応器(270℃、67Pa、75rpm)である。第4横型反応器の反応条件は、生成した芳香族ポリカーボネートの粘度を一定に保つように、その出口流路に相当する配管に設置された振動式インライン粘度計により自動制御された。
また、目標粘度値に対応して第4横型反応器の攪拌回転数は5rpmに固定し、温度は285±2℃、圧力は70±10Paの範囲で自動制御された。
また、反応の間は、第2竪型反応器〜第4横型反応器の平均滞留時間が60分となるように液面レベルの制御を行い、また、同時に副生するフェノールの留去も行った。
第4横型反応器の攪拌回転数を3rpm〜5rpmの範囲で制御した以外は、実施例1と同様にして芳香族ポリカーボネートを製造した。
以上の条件下で2ヶ月運転を継続した。生成した芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量の変動はMv=26000±200の範囲であった。
実施例1において、振動式インライン粘度計を設置せず、第4横型反応器の出口流路にバイパス配管を設け、このバイパス配管に細管式粘度計を設置したこと以外は、実施例1と同様にして、芳香族ポリカーボネートを製造した。2ヶ月運転継続予定であったが、粘度計細管部が徐々に閉塞を起こし、流量変動により粘度計導出値が生成した芳香族ポリカーボネートのMvと乖離し、1.7ヶ月で運転を中断した。
Claims (5)
- 芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを原料とし、複数の反応器を用いる芳香族ポリカーボネートの製造方法であって、
前記複数の反応器のうちの少なくとも一つの反応器の出口流路に検出端を直接挿入する粘度計を設けてポリマー粘度を測定し、
前記ポリマー粘度と目標粘度との差に基づいて前記反応器の温度、圧力又は攪拌機の攪拌回転数の少なくとも一つを制御することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 前記粘度計は、前記検出端を高周波で往復ねじれ振動させ、ポリマー粘度を測定することを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 前記粘度計は、前記検出端の接液部が副生モノヒドロキシ化合物に対して耐食性を有する材料で構成されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 前記粘度計の検出端が、前記反応器の出口流路におけるポリマーの流れ方向と同一方向もしくは同一方向から75°以内の傾きで流路に挿入されているか、又は前記反応器の出口流路におけるポリマーの流れ方向と対向する方向もしくは対向する方向から15°以内の傾きで流路に挿入されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
- 前記粘度計が、前記反応器の出口流路の屈曲部に取り付けられてなる請求項4に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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