JP5002517B2 - 定着金物及びそれを用いた法面安定化構造並びに法面安定化工法 - Google Patents

定着金物及びそれを用いた法面安定化構造並びに法面安定化工法 Download PDF

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Description

この発明は、法面に施工した法面反力体を法面に対して定着させて法面を安定化させるのに好適に使用可能な定着金物及びそれを用いた法面安定化構造並びに法面安定化工法に関する。
傾斜地における法面の安定化を図るため、法面に法面反力体として法枠を施工したり、傾斜地に金属ネットを張設固定したりする傾斜地の安定化工法が広く実施されており、例えば傾斜地に法枠を形成する場合には、法枠の交差部に挿通孔を形成し、この挿通孔に連通させて法面に削孔を形成し、挿通孔と削孔とにグラウトを充填施工した後、挿通孔と削孔とにわたって前記グラウトにアンカーボルトを埋設施工し、グラウトの硬化後、アンカーボルトの端部に固定した定着金物で法枠を法面に定着させる法面安定化工法が広く採用されている。
前記定着金物としては、法枠上に設置される押え板と、押え板上に配置される球面座金と、押え板及び球面座金を挿通して上方へ突出するアンカーボルトの端部に螺合される球面ナットと、球面座金及び球面ナットを覆う保護キャップとを備えたものが広く採用されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−278153号公報
ところで、前記特許文献1記載の発明では、保護キャップにより球面ナットとアンカーボルトの螺合部分への雨水等の浸入を防止して、雨水等により螺合部分が錆びることを防止しているが、この保護キャップは、例えば直径が100mm、高さが150mmの比較的大きなものであり、このような大きな保護キャップが法枠の縦枠と横枠の交差部にそれぞれ突出状に配置されることから、保護キャップにより法枠の外観が低下するという問題がある。また、全面緑化の法面に対して、特許文献1記載の定着金物を適用すると、人工的な異物としての保護キャップの先端部が植生から突出して、法面の外観が低下するという問題がある。更に、特許文献1記載の発明のように保護キャップが外方へ大きく突出していると、道路際において自動車や歩行者が保護キャップと接触して、自動車が損傷したり、歩行者が怪我をしたりすることも懸念され、また既存の保護キャップはアルミニウムの鋳物で製作されているので、前記接触により保護キャップ自体が破損することも考えられる。更に、護岸用に施工される法面反力体においては、増水などで法面反力体が浸かったときに、漂流物が保護キャップに当って、保護キャップが破損するという問題も発生する。
本発明の目的は、アンカーボルトと定着金物の螺合部分への雨水等の浸入を防止して、螺合部分における錆の発生を防止でき、しかも保護キャップを省略することで、法面反力体等の法面反力体上における突起物を極力低くして、法面反力体の外観低下を防止するとともに、他物との接触による破損を防止し得る定着金物及び法面安定化構造並びに法面安定化工法を提供することである。
本発明者は、保護キャップを用いることなく法面反力体を安定的に法面に定着可能な法面安定化構造について鋭意検討した結果、保護キャップの主目的が球面ナットとアンカーボルトとの螺合部分への雨水等の浸入を防止することであることに着目し、押え板よりも下側においてアンカーボルトに定着金物を螺合させれば、該螺合部分への雨水等の浸入を防止できるとの発想を得て、本発明を完成するに至った。尚、本明細書において、法面反力体とは、法面を安定化させるために法面に施工した、吹付法枠、現場打コンクリート法枠、プレキャストコンクリート受圧板、鉄製受圧板、アルミ合金・強化プラスチック受圧板、モルタル吹付・コンクリート吹付などを意味する。また、アンカーボルトとは、一般的な構成のアンカーボルト以外に、表面にネジ状の節を持つ異形鉄筋、例えば、ネジテツコン(東京鉄鋼株式会社製)、AS345ボルト(岡部株式会社製)、OSDPロックボルト(岡部株式会社製)や、自穿孔ボルトなどの各種ロックボルトを含むものを意味する。
本発明に係る第1の定着金物は、法面に施工したアンカーボルトの端部に取り付けられて、法面反力体を法面上に定着させる定着金物であって、前記法面反力体を上側から押える押え板と、前記押え板を介して法面反力体を法面に定着させる第1締結部材であって、前記押え板に形成した貫通孔の口縁に上方より当接する部分凸球面状のシール面を有する環状のシール部と、前記押え板よりも下側においてアンカーボルトに螺合するナット部と、前記押え板よりも上側においてナット部を回転操作するための操作部とを有する第1締結部材とを備えたものである。
この第1の定着金物では、第1締結部材のシール部を押え板の貫通孔の口縁に圧接させて貫通孔を閉鎖するとともに、押え板よりも下側において、第1締結部材のナット部をアンカーボルトの上端部に螺合するので、この螺合部分への雨水等の浸入を押え板及び第1締結部材により防止して、螺合部分における錆の発生を効果的に防止できる。しかも、押え板及び第1締結部材により螺合部分への雨水等の浸入を防止できるので、保護キャップを省略できるとともにアンカーボルトを短尺に構成して、その分、定着金物及びアンカーボルトの製作コストを安くできる。また、押え板よりも上側には、第1締結部材のシール部の一部と操作部のみが配置されるので、従来のように保護キャップを設ける場合と比較して、定着金物の突出量を格段に少なくして、定着金物を設けることによる法枠等の法面反力体の外観低下を効果的に防止できる。更に、定着金物の突出量が少ないので、道路際に施工した場合でも、定着金物が自動車や歩行者に接触することを防止でき、また護岸用の法面反力体に用いた場合でも、増水時における漂流物との接触を防止できる。しかも、部分凸球面状のシール面を貫通孔の口縁に圧接させて貫通孔を閉鎖するので、押え板とアンカーボルトとのなす角度が直角から多少ずれたとしても、シール面で押え板の貫通孔を確実に閉鎖することが可能となり、シール面と押え板間に隙間が形成されることを防止して、押え板の下側への雨水等の浸入を効果的に防止できる。更に、操作部としては、第1締結部材に例えば6角柱状のボルト頭部を形成することも可能であるが、例えば6角形のレンチ穴を形成すると、受け板から突出する定着金物の突出部分を一層少なくして、定着金物を設けることによる外観低下を一層効果的に防止することができる。
本発明の第2の定着金物は、法面に施工したアンカーボルトの端部に取り付けられて、法面反力体を法面上に定着させる定着金物であって、前記法面反力体を上側から押える押え板と、前記押え板よりも下側に配置されてアンカーボルトの端部に螺合されるナット部材と、前記押え板を介して法面反力体を法面に定着させる第2締結部材であって、前記押え板に形成した貫通孔の口縁に上方より当接する部分凸球面状のシール面を有する環状のシール部と、前記ナット部材に螺合するボルト部と、前記押え板よりも上側においてボルト部を回転操作するための操作部とを有する第2締結部材とを備えたものである。
この第2の定着金物では、第2締結部材のシール部を押え板の貫通孔の口縁に圧接させて貫通孔を閉鎖するとともに、押え板よりも下側において、アンカーボルトの上端部にナット部材を、またナット部材の上端部に第2締結部材のボルト部をそれぞれ螺合させるので、この螺合部分への雨水等の浸入を押え板及び第2締結部材により防止して、螺合部分における錆の発生を効果的に防止できる。しかも、押え板及び第2締結部材により螺合部分への雨水等の浸入が防止されるので、保護キャップを省略するとともにアンカーボルトを短尺に構成して、その分、定着金物及びアンカーボルトの製作コストを安くできる。また、押え板よりも上側には、第2締結部材のシール部の一部と操作部のみが配置されるので、従来のように保護キャップを設ける場合と比較して、定着金物の突出量を格段に少なくして、定着金物を設けることによる法枠等の法面反力体の外観低下を効果的に防止できる。更に、定着金物の突出量が少ないので、道路際に施工した場合でも、定着金物が自動車や歩行者に接触することを防止でき、また護岸用の法面反力体に用いた場合でも、増水時における漂流物との接触を防止できる。しかも、部分凸球面状のシール面を貫通孔の口縁に圧接させて貫通孔を閉鎖するので、押え板とアンカーボルトとのなす角度が直角から多少ずれたとしても、シール面で押え板の貫通孔を確実に閉鎖することが可能となり、シール面と押え板間に隙間が形成されることを防止して、押え板の下側への雨水等の浸入を効果的に防止できる。更に、操作部としては、第2締結部材に例えば6角柱状のボルト頭部を形成することも可能であるが、例えば6角形のレンチ穴を形成すると、受け板から突出する定着金物の突出部分を一層少なくして、定着金物を設けることによる外観低下を一層効果的に防止することができる。
ここで、第1及び第2の定着金物において、前記押え板の貫通孔の口縁に、前記シール面に適合する部分凹球面状の受け面を形成することが好ましい実施の形態である。この場合には、押え板とアンカーボルトとのなす角度が直角から多少ずれたとしても、シール面を受け面に略隙間なく当接させて、押え板の貫通孔を確実に閉鎖することが可能となり、シール面と押え板間に隙間が形成されることを防止して、押え板の下側への雨水等の浸入を一層効果的に防止できる。ただし、部分凹球面状の受け面に代えて、前記押え板の貫通孔の口縁に、上方へ行くにしたがって拡径するテーパ面を、前記シール面に当接可能に形成しても同様の効果が得られる。
本発明に係る法面安定化構造は、法面とその上側に施工した法面反力体とに削孔と挿通孔を連通状に設け、前記挿通孔と削孔に充填したグラウトにアンカーボルトを埋設状に設け、前記請求項1〜3のいずれか1項記載の定着金物をアンカーボルトと法面反力体とにわたって組み付けて、定着金物を介して法面反力体を法面に定着させたものである。
この法面安定化構造では、前記第1又は第2の定着金物を用いているので、アンカーボルトとナット部との螺合部分又はアンカーボルトとナット部材との螺合部分への雨水等の浸入を防止して、螺合部分における錆の発生を効果的に防止できる。このため、保護キャップを省略するとともにアンカーボルトを短尺に構成して、定着金物及びアンカーボルトの製作コストの安くできるとともに、定着金物が法面反力体上に大きく突出することを防止して、定着金物を設けることによる法面反力体の外観低下を防止できる。また、定着金物の突出量が少ないので、道路際に施工した場合でも、定着金物が自動車や歩行者に接触することを防止でき、また護岸用の法面反力体に用いた場合でも、増水時における漂流物との接触を防止できる。更に、部分凸球面状のシール面を押え板の貫通孔の口縁に圧接させて、定着金物を施工できるので、押え板とアンカーボルトとのなす角度が直角から多少ずれた場合でも、シール面で貫通孔を確実に閉鎖することが可能となり、シール面と押え板間に隙間が形成されることを防止して、押え板の下側への雨水等の浸入を効果的に防止できる。
本発明に係る法面安定化工法は、法面反力体に挿通孔を形成するとともに挿通孔に連通させて法面に削孔を形成し、前記挿通孔と削孔とにグラウトを充填施工するとともに前記挿通孔と削孔とにわたって、前記グラウトにアンカーボルトを埋設施工し、前記請求項1〜3のいずれか1項記載の定着金物を用い、第1締結部材のナット部を押え板の貫通孔に挿通させた状態で、第1締結部材のナット部をアンカーボルトの端部に螺合させるか、あるいは、第2締結部材とナット部材をアンカーボルトの端部に螺合させた後、ボルト部を押え板の貫通孔に挿通させた状態で、ボルト部をナット部材に螺合させて、挿通孔の閉鎖するように押え板を法面反力体上に設置し、定着金物を介して法面反力体を法面に定着させるものである。
この法面安定化工法では、前記第1又は第2の定着金物を用いているので、前記法面安定化構造と同様の作用効果が得られる。
本発明に係る定着金物及びそれを用いた法面安定化構造並びに法面安定化工法によれば、アンカーボルトと定着金物との螺合部分への雨水等の浸入を押え板と締結部材により防止して、螺合部分における錆の発生を効果的に防止できる。このため、保護キャップを省略するとともにアンカーボルトを短尺に構成して、定着金物及びアンカーボルトの製作コストを安くできるとともに、法枠等の法面反力体からの定着金物の突出量を少なくして、定着金物を設けることによる法枠等の法面反力体の外観低下を防止できる。また、定着金物の突出量が少ないので、道路際に施工した場合でも、定着金物が自動車や歩行者に接触することを防止でき、また護岸用の法面反力体に用いた場合でも、増水時における漂流物との接触を防止できる。更に、部分凸球面状のシール面を貫通孔の口縁に圧接させるので、押え板とアンカーボルトとのなす角度が直角から多少ずれたとしても、シール面で貫通孔を確実に閉鎖することが可能となり、シール面と押え板間に隙間が形成されることを防止して、押え板の下側への雨水等の浸入を効果的に防止できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図3に示すように、法面安定化構造は、法面1とその上側に施工した法枠2とに削孔3と挿通孔4とを連通状に設け、挿通孔4と削孔3に充填したグラウト5にアンカーボルト6を埋設状に設け、定着金物10をアンカーボルト6の端部に固定して、定着金物10を介して法枠2を法面1に定着させ、法枠2を介して法面1を安定化させるものである。
法枠2は周知の施工法により施工されている。例えば、傾斜地などからなる法面1を整地してから、図示外の金属ネットを敷設するとともにその上に格子状に図示外の配筋を施し、その後、配筋に沿ってモルタルを吹き付けて施工することになる。本実施の形態では、法面1に対してアンカーボルト6を施工するため、予め円筒状の型枠(図示略)を設置した状態でモルタルを吹き付けて、法枠2の縦枠2aと横枠2bの交差部2cに挿通孔4を形成することになる。そして、法枠2の施工後に、先ず、図5(a)に示すように、岩盤1に対して削岩ロッド8により、挿通孔4に連通する削孔3を形成し、次に、図5(b)に示すように、削孔3の奥部までホース9を挿入して、ホース9からグラウト5を吐出させながらホース9を引き出して、挿通孔4と削孔3とにグラウト5を充填施工し、その後、図5(c)に示すように、挿通孔4と削孔3とに充填したグラウト5に、挿通孔4と削孔3とにわたってアンカーボルト6を埋設施工することになる。ただし、挿通孔4及び削孔3にアンカーボルト6を挿入した状態で、挿通孔4及び削孔3にグラウト5を充填して、アンカーボルト6をグラウト5に埋設施工することもできる。また、アンカーボルト6は、その上端部がグラウト5に埋設されないように、グラウト5に埋設施工することになる。そして、グラウト5の硬化後、定着金物10の施工時に、アンカーボルト6の上端部付近にもグラウト或いはその他の成分の充填材7を充填して、挿通孔4内に空間が形成されないように定着金物10を施工することになる。定着金物10の具体的な施工方法については後述する。
図1〜図3に示すように、定着金物10は、法面1に施工したアンカーボルト6の端部に取り付けられて、法面反力体としての法枠2を法面1上に定着させるもので、法枠2を上側から押える押え板11と、押え板11を介して法枠2を法面1に定着させる第1締結部材15とを備えている。
第1締結部材15は、押え板11に形成した貫通孔12の口縁に上方より当接する部分凸球面状のシール面16aを有する環状のシール部16と、押え板11よりも下側においてアンカーボルト6に螺合するナット部17と、押え板11よりも上側においてナット部17を回転操作するための操作部18とを有し、金属製の一体部材で構成されている。
押え板11は、円形や方形状の金属板で構成され、押え板11の直径又は一辺の長さは、挿通孔4の直径よりも大きく、法枠2の幅よりも小さく設定されている。押え板11の中央部には貫通孔12が形成され、貫通孔12の口縁には第1締結部材15の部分凸球面状のシール面16aに適合する部分凹球面状の受け面12aが形成されている。ただし、受け面12aとして、貫通孔12の口縁に上側へ行くにしたがって拡径するテーパ面状の受け面を設けることも可能である。
アンカーボルト6の上端部は法枠2の上面よりもやや低い位置に配置され、第1締結部材15のナット部17内にはアンカーボルト6の上端部が螺合する雌螺子が形成されている。ナット部17の外径は押え板11の貫通孔12よりも小径に構成され、ナット部17を貫通孔12に挿入させて、ナット部17をアンカーボルト6の上端部に螺合できるように構成されている。第1締結部材15の一端部には鍔状のシール部16が形成され、シール部16の外径は貫通孔12よりも大径に構成され、シール部16の底面側には押え板11の受け面12aに上方より略隙間なく当接する部分凸球面状のシール面16aが形成されている。第1締結部材15の上面中央部には、操作部18として6角レンチを挿入して第1締結部材15を回転操作可能な6角穴が凹設されている。但し、操作部18として6角以外の多角形状の穴を凹設することも可能である。また、6角穴に代えて、第1締結部材15の上部に多角柱状のボルト頭部を形成することも可能であるし、シール部16の外周部を多角形に形成して、これを操作部として活用することも可能である。
次に、定着金物10の施工方法について説明する。
先ず、図5(c)に示す挿通孔4及び削孔3内のグラウト5が硬化してから、挿通孔4の開口側の空間部分にグラウト或いはその他の成分の充填材7を充填し、該充填材7が硬化する前に、挿通孔4を閉鎖するように押え板11を法枠2の上側に載置する。そして、第1締結部材15のナット部17を押え板11の貫通孔12内に挿入し、ナット部17の雌螺子がアンカーボルト6の端部に螺合するように、6角レンチで第1締結部材15を回転操作して、第1締結部材15をアンカーボルト6に締め付けて、押え板11及び第1締結部材15を介して法枠2を法面1に定着させることになる。ただし、前述のように、挿入孔4に充填材7を充填した後に、ナット部17をアンカーボルト6に螺合させる場合には、ナット部17内に充填材7が浸入して、ナット部17をアンカーボルト6に対して円滑に締結できないことがある。そこで、定着金物10の施工途中や施工後に、挿通孔4に充填材7を充填することも好ましい実施の形態である。この場合には、挿通孔4に充填材7を供給するための充填穴を押え板11に形成し、この充填穴を通じて充填材7を挿通孔4内に充填するように構成することも好ましい実施の形態である。ただし、充填材7を省略して、挿通孔4の開口部側を空洞のままにしておくことも可能である。
このような構成の定着金物10を用いて法枠2を定着させると、第1締結部材15のシール部16が押え板11の貫通孔12の口縁に圧接されて貫通孔12が閉鎖されるとともに、押え板11よりも下側において第1締結部材15のナット部17がアンカーボルト6の上端部に螺合されるので、押え板11及びシール部16により、ナット部17とアンカーボルト6との螺合部分への雨水等の浸入を防止して、螺合部分における錆の発生を防止できる。このため、この定着金物10では、従来設けていた保護キャップを省略できるとともに、アンカーボルト6を短尺に構成することができ、その分定着金物10及びアンカーボルト6の製作コストを安くできる。また、法枠2からの定着金物10の突出量を少なくして、定着金物10による法枠2の外観低下を防止できるとともに、他物との接触による定着金物10の破損を防止できる。しかも、部分凸球面状のシール面16aを貫通孔12の口縁に圧接させて貫通孔12を閉鎖するので、図4に示すように、押え板11とアンカーボルト6とのなす角度θが直角から多少ずれたとしても、シール面16aで貫通孔12を確実に閉鎖することが可能となり、シール面16aと押え板11間に隙間が形成されることを防止して、押え板11の下側への雨水等の浸入を効果的に防止できる。
次に、前記定着金物10の構成を部分的に変更した他の定着金物20について説明する。尚、前記実施の形態と同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
図6、図7に示すように、この定着金物20は、法面反力体としての法枠2を上側から押える前記実施の形態と同じ構成の押え板11と、押え板11よりも下側に配置されてアンカーボルト6の端部に螺合されるナット部材21と、押え板11を介して法枠2を法面1に定着させる第2締結部材25であって、押え板11に形成した貫通孔12の口縁に上方より当接する部分凸球面状のシール面26aを有する環状のシール部26と、ナット部材21に螺合するボルト部27と、前記押え板11よりも上側においてボルト部27を回転操作するための操作部28とを有する第2締結部材25とを備えたものである。
ナット部材21内には雌螺子が形成され、ナット部材21の下半部はアンカーボルト6の上端部に螺合され、上半部は第2締結部材25のボルト部27に螺合されている。アンカーボルト6にナット部材21を螺合させた状態で、ナット部材の上端部は法枠2の上面よりもやや低い位置に配置されている。ナット部材21は多角形状に形成され、6角レンチ等でナット部材21を回転操作できるように構成されている。
第2締結部材25のボルト部27の外径は押え板11の貫通孔12よりも小径に構成されている。第2締結部材25の一端部には鍔状のシール部26が形成され、シール部26の外径は貫通孔12よりも大径に構成され、シール部26の底面側には押え板11の受け面12aに上方より略隙間なく当接する部分凸球面状のシール面26aが形成されている。第1締結部材15の上面中央部には、操作部28として6角レンチを挿入して第2締結部材25を回転操作可能な6角穴が凹設されている。但し、操作部28として6角以外の多角形状の穴を凹設することも可能である。また、6角穴に代えて、第2締結部材25の上部に多角柱状のボルト頭部を形成することも可能であるし、シール部26の外周部を多角形に形成して、これを操作部として活用することも可能である。
この定着金物20を施工する際には、図5(c)に示すように、図5(c)に示す挿通孔4及び削孔3内のグラウト5が硬化してから、アンカーボルト6の端部にナット部材21を螺合させ、その後、グラウト或いはその他の成分の充填材7を、ナット部材21内に充填材7が入らないように挿通孔4の開口側の空洞部に充填する。次に、法枠2の貫通孔12を閉鎖するように押え板11を法枠2上に載置し、第2締結部材25のボルト部27を押え板11の貫通孔12内に挿入させて、第2締結部材25のボルト部27をナット部材21に螺合させ、6角レンチで第2締結部材25を回転操作して、第2締結部材25をナット部材21に締め付けて、押え板11を介して法枠2を法面1側へ引き寄せ、第2締結部材25とナット部材21と押え板11とを介して法枠2を法面1に定着させることになる。
次に、前記定着金物10、20の構成を部分的に変更した他の実施の形態について説明する。尚、前記実施の形態と同一部材には、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
(1)図8に示す定着金物10Aのように、前記押え板11に代えて、ナット部17が挿通する丸穴状の貫通孔12Aを形成した押え板11Aを設けるとともに、シール部16と押え板11A間においてナット部17に別部材からなるリング状のワッシャ30を外嵌状に設け、このワッシャ30に第1締結部材15のシール面16aに適合する部分凹球面状の受け面30aを形成し、ワッシャ30を介してシール部16に作用する締結荷重を押え板11Aで受け止めるように構成することができる。尚、定着金物20についても、押え板11に代えて押え板11Aを設けるとともに、押え板11A及び第2締結部材25とは別部材からなるワッシャ30を設けることができる。
(2)図9に示す定着金物10Bのように、シール部16に代えて鍔部31を形成した第1締結部材15Bを用いるとともに、鍔部31と押え板11間においてナット部17に別部材からなるリング状のワッシャ32を外嵌状に設け、このワッシャ32に押え板11の部分凹球面状の受け面12aに適合する部分凸球面状のシール面32aを形成し、ワッシャ32を介して第1締結部材15Bに作用する締結荷重を押え板11で受け止めるように構成することができる。尚、定着金物20についても、シール部26の代わりに鍔部31を形成した第2締結部材を用いるとともに、押え板11及び第2締結部材とは別部材からなるワッシャ32を設けることができる。
尚、本実施の形態では、法面反力体として法枠2を法面1に定着するときに用いる定着金物10、20について以下説明したが、法面反力体としてコンクリートを略一定厚さで吹き付けてなる法面反力体や、金属ネットを法面1に固定して、金属ネットで法面1を安定化させるときなどにも、この定着金物10、20を同様に適用することができる。金属ネットで法面を固定する場合の法面安定化工法の一例について説明すると、先ず中央部に挿通孔を形成した台座を金属ネットの上側に設定間隔おきに設置し、この台座の挿通孔に連通させて法面に削孔を形成し、挿通孔及び削孔内にグラウトを充填するとともにアンカーボルトを挿入して、アンカーボルトをグラウト内に埋設状に施工する。そして、グラウトの硬化後、挿通孔の上面を閉鎖するように台座に押え板11を設置して、アンカーボルトと台座間に定着金物10、20を組み付けるとともに、隣接する台座間にワイヤを張設して、金属ネットの途中部をワイヤで押さえて、金属ネットとワイヤとで法面1を安定化させることになる。
法面安定化構造の断面図 法面安定化構造の要部拡大断面図 法面安定化構造の平面図 法面安定化構造の作用の説明図 (a)〜(c)は法面安定化構造の施工方法に説明図 他の構成の定着金物を用いた法面安定化構造の断面図 同法面安定化構造の要部拡大断面図 他の構成の定着金物を用いた法面安定化構造の要部拡大断面図 他の構成の定着金物を用いた法面安定化構造の要部拡大断面図
符号の説明
1 法面 2 法枠
2a 縦枠 2b 横枠
2c 交差部 3 削孔
4 挿通孔 5 グラウト
6 アンカーボルト 7 充填材
8 削岩ロッド 9 ホース
10 定着金物 11 押え板
12 貫通孔 12a 受け面
15 第1締結部材 16 シール部
16a シール面 17 ナット部
18 操作部
20 定着金物 21 ナット部材
25 第2締結部材 26 シール部
26a シール面 27 ボルト部
28 操作部
10A 定着金物 11A 押え板
12A 貫通孔 30 ワッシャ
30a 受け面
10B 定着金物 15B 第1締結部材
31 鍔部 32 ワッシャ
32a シール面

Claims (5)

  1. 法面に施工したアンカーボルトの端部に取り付けられて、法面反力体を法面上に定着させる定着金物であって、
    前記法面反力体を上側から押える押え板と、
    前記押え板を介して法面反力体を法面に定着させる第1締結部材であって、前記押え板に形成した貫通孔の口縁に上方より当接する部分凸球面状のシール面を有する環状のシール部と、前記押え板よりも下側においてアンカーボルトに螺合するナット部と、前記押え板よりも上側においてナット部を回転操作するための操作部とを有する第1締結部材と、
    を備えたことを特徴とする定着金物。
  2. 法面に施工したアンカーボルトの端部に取り付けられて、法面反力体を法面上に定着させる定着金物であって、
    前記法面反力体を上側から押える押え板と、
    前記押え板よりも下側に配置されてアンカーボルトの端部に螺合されるナット部材と、
    前記押え板を介して法面反力体を法面に定着させる第2締結部材であって、前記押え板に形成した貫通孔の口縁に上方より当接する部分凸球面状のシール面を有する環状のシール部と、前記ナット部材に螺合するボルト部と、前記押え板よりも上側においてボルト部を回転操作するための操作部とを有する第2締結部材と、
    を備えたことを特徴とする定着金物。
  3. 前記押え板の貫通孔の口縁に、前記シール面に適合する部分凹球面状の受け面を形成した請求項1又は2記載の定着金物。
  4. 法面とその上側に施工した法面反力体とに削孔と挿通孔を連通状に設け、
    前記挿通孔と削孔に充填したグラウトにアンカーボルトを埋設状に設け、
    前記請求項1〜3のいずれか1項記載の定着金物をアンカーボルトと法面反力体とにわたって組み付けて、定着金物を介して法面反力体を法面に定着させた、
    ことを特徴とする法面安定化構造。
  5. 法面反力体に挿通孔を形成するとともに挿通孔に連通させて法面に削孔を形成し、
    前記挿通孔と削孔とにグラウトを充填施工するとともに前記挿通孔と削孔とにわたって、前記グラウトにアンカーボルトを埋設施工し、
    前記請求項1〜3のいずれか1項記載の定着金物を用い、第1締結部材のナット部を押え板の貫通孔に挿通させた状態で、第1締結部材のナット部をアンカーボルトの端部に螺合させるか、あるいは、第2締結部材とナット部材をアンカーボルトの端部に螺合させた後、ボルト部を押え板の貫通孔に挿通させた状態で、ボルト部をナット部材に螺合させて、挿通孔の閉鎖するように押え板を法面反力体上に設置し、定着金物を介して法面反力体を法面に定着させる、
    ことを特徴とする法面安定化工法。
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