以下に、添付図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
<画像形成装置及び端末装置>
以下に、本発明に係る画像形成装置は、例えば、プリンタ、スキャナ単体、或いはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当する。
図1は、本発明に係る複合機100の内部の全体構成を示す概念図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。尚、一例として複合機100を利用して原稿のコピー機能を提供する際の複合機100の動作を簡単に説明する。
ユーザが複合機100を利用して例えば原稿Pを印刷する場合、原稿Pを図1に示す原稿台101、或いは載置台102に配置し、原稿台101近傍に供えられた操作部103に対して印刷の指示を行う。ユーザは前記操作部103を介して、例えば、コピー設定条件(枚数、サイズ等)を複合機100に入力する。前記操作部103を介してコピー設定条件とコピーの指示とが入力されることによって、以下に示す各部(駆動部)が動作し、ファクシミリ送信が行われる。
即ち、図1に示すように、本実施形態の複合機100は、本体104と、本体104の上方に取り付けられたプラテンカバー105を備える。本体104の上面は原稿台101が設けられており、原稿台101は、プラテンカバー105によって開閉されるようになっている。プラテンカバー105は、自動原稿給紙装置106と載置台102と排紙台107が設けられている。
自動原稿給紙装置106は、プラテンカバー105の内部に形成された原稿搬送路108と、プラテンカバー105の内部に備えられたピックアップローラ109や搬送ローラ110A、110B等で構成される。原稿搬送路108は、載置台102から、本体104に設けられた画像読取部111にて読み取りが行なわれる読取位置Xを経由して、排紙台107に通じる原稿の搬送路である。
自動原稿給紙装置106は、載置台102に載置された複数の原稿から1枚ずつ原稿をピックアップローラ109で搬送路内108に引き出し、搬送ローラ等によって引き出した原稿を、読取位置Xを通過させて、搬送ローラ110Bにより排紙台107に排紙する。読取位置Xを通過する時に原稿は画像読取部111にて読み取られる。
前記画像読取部111は、原稿台101の下方に設けられており、図2にその詳細が示されている。画像読取部111は、原稿台102を照射する走査方向に長い光源112と、原稿台からの光を選択的に通過させるスリット113と、原稿台からの光を導くミラー114とを備える第一の移動キャリッジ115や、第一の移動キャリッジ115からの反射光を再度反射するミラー116A、116Bを備える第二の移動キャリッジ117、更にミラーで導かれた光を光学的に補正するレンズ群118、当該レンズ群118より補正された光を受光する撮像素子119、撮像素子119にて受光した光を電気信号に変換し、必要に応じて補正処理・画質処理・圧縮処理などを行う画像データ生成部120とで構成されている。
自動原稿給紙装置106上の原稿を読み取る場合には、光源112は、読取位置Xを照射できる位置に移動して発光する。光源112からの光は、原稿台101を透過して読取位置Xを通過する原稿にて反射し、スリット113、ミラー114、116A、116B、レンズ群118によって撮像素子119に導かれる。撮像素子119は、受光した光を電気信号に変換して画像データ生成部120に送信する。画像データ生成部120には、前記撮像素子119にて受光された光がR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)のアナログ電気信号として入力され、ここでアナログ−デジタル変換され、即ちデジタル化される。さらに、画像データ生成部120では、順次変換されたデジタル信号を単位データ(濃度値)とし、これら単位データを補正処理、画質処理、圧縮処理等することで複数の単位データからなる画像データを生成する。
又、画像読取部111は、自動原稿給紙装置106で搬送される原稿だけでなく、原稿台101に載置された原稿も読み取ることが可能となっている。原稿台101に載置された原稿を読み取る場合は、第一のキャリッジ114は、光源112を発光しながら副走査方向に移動し、光源112から撮像素子119までの光路長を一定にするために、第二の移動キャリッジ117は第一の移動キャリッジ115の1/2の速度で撮像素子119方向に移動する。
撮像素子119は、自動原稿給紙装置106に搬送された原稿のときと同様に、ミラー114、116A、116Bに導かれた光に基づいて原稿台101に載置された原稿からの光を電気信号に変換し、これに基づいて画像データ生成部120が画像データ(文書データ)を生成し、記憶部120Bに記憶する。
本体104の記憶部120Bの下方には、画像データを含むジョブデータを、パーソナルコンピュータ(PC)等の複数の端末装置120C(例えば、第一の端末装置120C1、第二の端末装置120C2)から受信し、後述する画面情報等を第一の端末装置120C1、第二の端末装置120C2へ送信する通信部120Dを備えている。当該通信部120Dでは、ネットワークインターフェイス120Eを介して、ネットワーク120Fに接続された第一の端末装置120C1、第二の端末装置120C2からジョブデータを受信し、画面情報等を第一の端末装置120C1、第二の端末装置120C2へ送信する。
又、端末装置120Cには、画面を表示するディスプレイと、キー等を入力するキーボードと、当該ディスプレイと当該キーボードとを制御する制御部とを含む構成であり、例えば、ユーザが、キーボードを用いてジョブデータを入力すると、端末装置120Cの制御部がジョブデータを受けて前記複合機100に送信する。又、端末装置120Cの制御部が前記複合機100から画面情報を受信すると、当該画面情報に対応する画面をディスプレイに表示させる(後述する)。尚、他の端末装置120C(例えば、第二の端末装置120C2)も、第一の端末装置120C1と同様であるため、省略する。
又、本発明に係る複合機100は、コピー機能の処理を実行する画像形成部121を更に備えている。前記画像形成部121は、本体104の画像読取部111の下方に設けられており、記憶部120Bに記憶された画像データを印刷(出力)する。画像形成部121が印刷できる画像データ(ジョブデータ)は、前記のように画像データ生成部120にて生成されたものや、その他複合機100とネットワーク120Fに接続された第一の端末装置120C1、第二の端末装置120C2等から、ネットワーク120Fを介して受信したものである。
画像形成部121が行う印刷方式には、電子写真方式が用いられている。即ち、感光ドラム122を帯電器123で一様に帯電させ、その後レーザ124で感光ドラム122を照射して感光ドラム122に潜像を形成し、現像器125で潜像にトナーを付着させて可視像を形成し、転写ローラにて可視像を転写媒体に転写する方式である。
尚、フルカラー画像に対応した画像形成装置では、前記現像器(ロータリー現像器)125が、図1の紙面に対して垂直方向に構成される回転軸を中心として周方向に回転させられ、対応する色のトナーが格納された現像ユニットが感光ドラム122の対向位置に配置される。この状態で、感光ドラム122上の潜像が、現像器125が格納するトナーにより現像され、中間転写ベルト126Aに転写される。尚、現像器125は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各トナーをそれぞれ格納する4つの現像ユニット125(Y)、(C)、(M)、(K)を有している。前記中間転写ベルト126Aへの転写を前記各色毎に繰り返すことにより、当該中間転写ベルト126A上にフルカラー画像が形成される。可視像が印刷される転写媒体、即ち用紙は、給紙カセット132、133、134などの給紙トレイに載置されたものである。
画像形成部121が印刷を行う際には、何れか1つの給紙トレイから転写媒体1枚を、ピックアップローラ135を用いて引き出し、引き出した転写媒体を搬送ローラ136やレジストローラ137で中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bの間に送り込む。画像形成部121は、中間転写ベルト126Aと転写ローラ126Bの間に送り込んだ転写媒体に、前記中間転写ベルト126A上の可視像を転写すると、可視像を定着させるために、搬送ベルト127で定着部128(定着装置)に転写媒体を送る。定着部128は、ヒータが内蔵された加熱ローラ129と、所定の圧力で加熱ローラ129に押し当てられた加圧ローラ130とで構成されている。加熱ローラ129と加圧ローラ130の間を転写媒体が通過すると、熱と転写媒体への押圧力によって可視像が転写媒体に定着する。定着が行われた転写媒体は排紙トレイ131に排紙される。
このような手順にて、複合機100のコピー機能の処理がなされる。
図3は、本発明に係る操作部103の外観の一例を示す概念図である。ユーザは、前記操作部103を用いて、上述のようなコピー機能に関するコピー設定条件、例えば、印刷枚数や用紙のサイズを入力したり、後述するプライベート印刷機能を起動したり、所定のユーザIDを入力したり、入力されたコピー設定条件、ユーザID等を確認したりする。前記設定条件等が入力される場合、前記操作部103に備えられたタッチパネル301、タッチペン302、操作キー303が用いられる。
前記タッチパネル301には、コピー設定条件等を入力する機能と当該コピー設定条件等を表示する機能が兼ね備えられている。例えば、タッチパネル301の背面に予め設置されたディスプレイによりタッチパネル301上に所定の画面が表示され、更に、タッチパネル301上に表示された画面内のキーが押下(選択)されることによって、キーに関連付けられたコピー設定条件が複合機100に入力される。押下されたキー等の背景色は、当該押下に連動して白色から灰色へ変更されるため、キー等の背景色によって、キー等が押下されている状態であるか否かが視認される。所定のユーザID入力も同様である。
又、タッチパネル301の近傍には、タッチペン302が備えられており、ユーザがそのタッチペン302の先をタッチパネル301に接触させると、タッチパネル下に設けられたセンサーが接触先を検知する。タッチペンの先は、ほぼ点に近いため、前記センサーは、例えば、接触先をドット単位(最小単位)で検知することとなる。従って、例えばタッチパネル301内の位置を指で指定する場合と比較すると、タッチペン302で位置指定する方がより細かい位置を正確に指定することができる。ユーザは、指先に代えてタッチペン302によりタッチパネル301上に表示されたキー等を選択することが可能である。
更に、タッチパネル301近傍には、所定数の操作ハードキー303が設けられ、例えば、テンキー304、スタートキー305、クリアキー306、ストップキー307、リセットキー308、電源キー309、アップハードキー310、ダウンハードキー311が備えられている。
次に、図4を用いて、複合機100及び当該複合機100に接続された複数の端末装置120Cの制御系ハードウェアの構成を説明する。図4は、本発明に係る複合機100の制御系ハードウェアの構成とネットワーク120Fを介して複合機100に接続された端末装置120Cの制御系ハードウェア構成とを示す図である。但し、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、HDD(Hard Disk Drive)404、各駆動部に対応するドライバ405、タッチパネル406(301)、ディスプレイ407、通信インターフェイス408を内部バス409によって接続している。前記CPU401は、例えば、RAM403を作業領域として利用し、前記ROM402、HDD404等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて前記ドライバ405と操作部103に備えられたタッチパネル406からのデータや指示、キーに対応する命令等を授受し、前記図1に示した各駆動部の動作を制御する。又、前記CPUは、例えば、タッチパネル406の背面に設けられたディスプレイ407にデータを送信し、所定の画面をタッチパネル406上に表示させる。更に、前記駆動部以外の後述する各手段(図5に示す)についても、前記CPU401がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。前記ROM402、HDD404等には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。又、前記通信インターフェイス408は、ネットワーク120F(ネットワーク120Fに接続された通信ケーブル)を介して、他機である端末装置120C(例えば、第一の端末装置120C1)等と接続している。前記CPU401は、前記通信インターフェイス408を介して前記端末装置120Cに情報を送信し、当該端末装置120Cのディスプレイ415上に所定の画面を表示させたり、当該端末装置120C等とデータ、指示、命令等の授受を行なったりする。
又、ネットワーク120Fに接続された複数の端末装置120Cのうち、第一の端末装置120C1の制御回路は、CPU410、ROM411、RAM412、HDD413、各制御部に対応するドライバ414、ディスプレイ415、キーボード416、通信インターフェイス418と内部バス417によって接続している。当該CPU410は、例えば、通信インターフェイス418を介して、複合機100からのデータ、指示、命令、情報等を授受し、当該情報等に基づいてディスプレイ415上に所定の画面を表示させたり、キーボード416や図示しないマウスから出力される指示、命令等を授受して、複合機100のCPU401に当該指示、命令等を送信したり、各制御部の動作を制御したりする。ROM411、HDD413には、ユーザID、パスワード等の認証情報が予め記憶されており、第一の端末装置120C1のCPU410は、キーボード416から所定のユーザID、パスワード等を受信すると、受信したユーザID等と、記憶された認証情報とに基づいてユーザ認証を実行したりする(後述する)。尚、ネットワーク120Fに接続された他の端末装置120C(例えば、第二の端末装置120C2)の制御回路も、第一の端末装置120C1の制御回路と同様であるため、省略する。又、ネットワーク120Fに接続された複数の端末装置120Cのうち、特定の端末装置を、当該ネットワークを管理するサーバーとしてもよい。
<本発明の第一の実施形態>
次に図5〜図9を参照しながら、本発明の第一の実施形態に係る複合機100及び端末装置120Cが、セキュリティを維持しつつ、自己のプライベート印刷に関するジョブを他のユーザに簡単に実行させる手順について説明する。図5は、本発明の第一の実施形態に係る複合機100及び端末装置120Cの機能ブロック図である。図6〜8は、本発明の第一の実施形態に係るプライベート印刷ジョブの受付手順を示すためのフローチャートである。図9は、本発明の第一の実施形態に係るプライベート印刷ジョブの実行手順を示すためのフローチャートである。
<プライベート印刷ジョブの受付>
まず、所定のユーザ(第一のユーザとする)が、ネットワーク120Fを介して複合機100に接続された第一の端末装置120C1の電源を投入すると、第一の端末装置120C1の認証手段501が、ディスプレイ等の第一の表示手段502に認証画面(図示せず)を表示させて、第一のユーザから、ユーザを識別するユーザ識別情報(ユーザID、例えば、「N001」)と、当該ユーザ識別情報に対応するパスワードとの入力を受け付ける(図6:S101)。
第一のユーザは前記認証画面を見ながら、キーボード、マウス等の第一の入力手段503を用いて自己のユーザID(「N001」)とパスワード(例えば、「ABC」)とを入力し、「OK」キーを押下(選択)すると、認証手段501が、入力されたユーザID(第一の入力ユーザIDとする)とパスワード(第一の入力パスワードとする)と使用許可記憶手段504に予め記憶されている使用許可テーブルとに基づいて第一のユーザを認証する(図6:S102)。
図10Aは、本発明の第一の実施形態に係る使用許可テーブル1000の一例を示す図である。
使用許可テーブル1000には、図10Aに示すように、端末装置の使用を許可されたユーザID1001(使用許可ユーザIDとする)と、当該使用許可ユーザID1001に対して発行されたパスワード1002(比較パスワード)とが関連付けて記憶されている。
認証手段501は、第一の入力ユーザIDと、使用許可テーブル1000に記憶された使用許可ユーザID1001とが一致するか否か、両者が一致すれば、更に、第一の入力パスワードと、第一の入力ユーザIDと一致した使用許可ユーザID1001に対応する比較パスワード1002と一致するか否かを判定する。当該判定の結果、第一の入力ユーザIDと使用許可ユーザID1001とが不一致である場合や、第一の入力パスワードと、比較パスワード1002とが不一致である場合(図6:S102NO)、認証手段501は、第一のユーザをログインさせずに、第一の入力ユーザIDと第一の入力パスワードとを消去し、前記認証画面を第一の表示手段502に再度表示させて、第一のユーザから新たな(適正な)ユーザIDとパスワードとを受け付ける(図6:S101)。
一方、第一の入力ユーザIDと使用許可ユーザID1001とが一致し、且つ、第一の入力パスワードと比較パスワードとが一致すると判定された場合(図6:S102YES)、認証手段501は、その旨を制御手段505に通知し、第一のユーザをログインさせる(ログイン成功)。当該通知を受けた制御手段505は、第一の端末装置120C1に関する初期画面(図示せず)を第一の表示手段502に表示させて、第一のユーザから所定の処理命令の受け付けを開始する(図6:S103)。
第一のユーザは、第一の端末装置120C1に関する初期画面を見ながら、第一の入力手段503によって、プライベート印刷ジョブの要求を画像形成装置(例えば、複合機100)に送信するためのプライベート印刷モードを選択すると、制御手段505は、プライベート印刷モードの選択を受け付け、その旨を要求手段506に通知する。当該通知を受けた要求手段506は、第一の端末装置120Cに備えられた画像データ記憶手段507から予め記憶されている画像データ(印刷要求の候補となる画像データ)を取得するとともに、第一の通信手段508から現時点で通信可能な画像形成装置の装置識別情報(例えば、装置名称「複合機:M001」)を取得し、プライベート印刷指示を伴った印刷要求を所定の画像形成装置に送信するためのジョブ送信画面を第一の表示手段502に表示させる(図6:S104)。
図10Bは、本発明の第一の実施形態に係る第一の端末装置120C1のディスプレイ上に表示されたジョブ送信画面1003の一例を示す図である。
図10Bに示すように、ジョブ送信画面1003には、プライベート印刷指示を伴う印刷要求を送信する旨のメッセージ1004と、ログイン中のユーザID「N001」1005と、画像データに対応する画像名称を選択可能に表示する第一のプルダウンメニュー1006と、装置識別情報に対応する装置名称を選択可能に表示する第二のプルダウンメニュー1007と、プライベート印刷ジョブに設定される予定の印刷条件(出力条件)1008と、プライベート印刷ジョブの要求を送信させるための「OK」キー1009とが表示される。尚、前記出力条件には、予め設定されているデフォルト条件が最初に表示される。
第一のユーザは、ジョブ送信画面1003を見ながら、第一のプルダウンメニュー1006からプライベート印刷ジョブの対象となる所定の画像名称(例えば、「議事録」)と、第二のプリダウンメニュー1007からプライベート印刷ジョブを実行させたい所定の装置名称(例えば、「複合機:M001」)とを選択して、「OK」キー1009を選択すると、要求手段506が、選択された画像名称「議事録」に係る画像データと前記デフォルト条件とに基づいて印刷要求のジョブデータを生成し、更に、第一の通信手段508を介して、選択された装置名称「複合機:M001」(画像形成装置の識別情報)に対応する複合機100の第二の通信手段509を特定し、当該ジョブデータと、送信元のユーザID「N001」(送信元ユーザIDとする)と、プライベート印刷指示を伴う印刷要求とを、特定した第二の通信手段509に送信する(図6:S105)。
複合機100の第二の通信手段509が、前記ジョブデータと前記送信元ユーザIDと前記印刷要求とを受信すると(図6:S106)、その旨をリスト送信手段510に通知する。当該通知を受けたリスト送信手段510は、前記印刷要求がプライベート印刷指示を伴っているか否かを判定する(図6:S107)。
当該判定の結果、前記印刷要求がプライベート印刷指示を伴っていない場合(図6:S107NO)、リスト送信手段510は、その旨を印刷ジョブ実行手段519に通知する。当該通知を受けた印刷ジョブ実行手段519は、上述したジョブデータに基づいて画像形成を実行する(図8:S140)。これは、通常の印刷処理に該当する。
一方、リスト送信手段510が前記判定した結果、前記印刷要求がプライベート印刷指示を伴っている場合(図6:S107YES)、リスト送信手段510は、前記プライベート印刷の実行を担当する担当ユーザを検索する(図6:S108)。ここで、当該担当ユーザとは、リスト送信手段510が、前記印刷要求を受信した時点で、ネットワークに接続された、第一の端末装置120C1と異なる他の端末装置にログイン中のユーザであり、且つ、プライベート印刷を実行することが可能なユーザである。
リスト送信手段510が、担当ユーザを検索する方法は、どのような方法でも構わないが、例えば、以下の方法が挙げられる。即ち、リスト送信手段510が、第二の通信手段509を介して、ネットワーク120Fに接続された他の端末装置と通信し、当該他の端末装置に備えられた認証手段がユーザをログインさせているか否かを検出する。当該認証手段がユーザをログインさせている場合、リスト送信手段510は、当該認証手段からユーザのユーザID(担当候補ユーザIDとする)を取得する。一方、前記認証手段がユーザをログインさせていない場合、リスト送信手段510は、検出済の端末装置とは別の端末装置と通信し、その認証手段がユーザをログインさせているか否かを検出することになる。尚、例えば、複数の端末装置120Cが接続されたネットワーク120Fを管理する特定の端末装置(サーバー)が存在する場合は、リスト送信手段510が、前記サーバーと通信し、当該サーバーが認識しているログイン中のユーザを担当候補ユーザとして検索する方法を採用しても構わない。
リスト送信手段510が、担当候補ユーザIDを取得すると、プライベート印刷を実行する際に使用される、認証情報記憶手段511に予め記憶された認証情報テーブルを参照し、担当候補ユーザIDが、当該認証情報テーブルに記憶されているユーザID(比較ユーザID)と一致するか否かを判定する。ここで、前記認証情報テーブルには、図10Aで示した使用許可テーブル1000と同一のテーブルが記憶されている。
担当候補ユーザIDが比較ユーザIDと一致する場合、リスト送信手段510は、一致した担当候補ユーザIDを、担当ユーザのユーザID(担当ユーザID)として決定し、担当候補ユーザIDが比較ユーザIDと不一致である場合、不一致の担当候補ユーザIDを消去する。このようにして、リスト送信手段510は、担当ユーザを検索する。
担当ユーザの検索を終了すると、リスト送信手段510は、第一の端末装置120C1に、担当ユーザリストの担当ユーザのうち、特定の担当ユーザを選択させるために、検索した(取得した)担当ユーザIDに基づいた担当ユーザリストと、プライベート印刷を受け付けた旨の通知(受付通知)を、第一の端末装置120C1の要求手段506に送信する(図6:S109)。
要求手段506が、前記担当ユーザリストと前記受付通知とを受信すると(図6:S110)、その旨を選択手段512に通知し、当該通知を受けた選択手段512は、担当ユーザ選択画面を第一の表示手段502に表示させる(図6:S111)。
図11Cは、本発明の第一の実施形態に係る第一の端末装置120C1のディスプレイ上に表示された担当ユーザ選択画面1100の一例を示す図である。
図11Cに示すように、担当ユーザ選択画面1100には、プライベート印刷を受け付けた旨のメッセージ1101と、送信元ユーザID「N001」1102と、印刷対象である画像名称「議事録」1103と、通常のプライベート印刷とするための「プライベート印刷」キー1104と、プライベート印刷の実行を担当ユーザに担当(譲渡)させることをユーザに促す旨のメッセージ1105と、担当ユーザIDを選択可能に表示する第三のプルダウンメニュー1106と、プライベート印刷実行の担当を担当ユーザIDの端末装置に申請するための「申請」キー1107とが表示される。尚、リスト送信手段510が、担当ユーザIDを決定することが出来なかった場合、つまり、リスト送信手段510が、前記印刷要求を受信した時点で、担当ユーザが存在しなかった場合は、前記メッセージ1105、前記第三のプルダウンメニュー1106、前記「申請」キー1107は表示されない。
さて、第一のユーザが、担当ユーザにプライベート印刷実行の担当を申請する場合、第一のユーザが、担当ユーザ選択画面1100を見ながら、第三のプルダウンメニュー1106から特定の担当ユーザID(第二のユーザID「N002」とする)を選択して「申請」キー1107を選択すると、選択手段512は、担当の申請指示を受け付けて(図6:S112YES)、当該第二のユーザID「N002」と担当申請通知とを問い合わせ手段512に送信する(図6:S113)。
問い合わせ手段512が、前記第二のユーザID「N002」と前記担当申請通知とを受信すると(図6:S114)、リスト送信手段510から、第一のユーザID「N001」(送信元ユーザID)と画像名称「議事録」とを取得し、当該第二のユーザID「N002」から第二の端末装置120C2(申請先端末装置)の第三の通信手段513を特定する。そして、問い合わせ手段512は、当該第三の通信手段513に、第一のユーザID「N001」と、画像名称「議事録」と、プライベート印刷の実行の担当を許可するか否かを問い合わせる旨の通知(担当許否通知)とを送信する(図6:S115)。
ここで、問い合わせ手段512が、画像データを含むジョブデータに代えて画像名称「議事録」を第三の通信手段513(回答手段514)に送信することにより、第二のユーザは、プライベート印刷実行の対象を知ることが可能となるとともに、通信トラフィックの増大を防止し、ネットワークを介して機密データを取得する不正情報取得者によるジョブデータの不正取得を防止することが可能となる。尚、本発明の第一の実施形態では、第一の端末装置120C1、第二の端末装置120C2、複合機100が、一度複合機100に送信されたジョブデータで通信(やり取り)するではなく、所定の識別情報(例えば、ユーザID、画像名称「議事録」等)で通信(やり取り)するため、上述した作用効果を奏することになる。
第三の通信手段513が、前記第一のユーザID「N001」と前記画像名称「議事録」と前記担当許否通知とを受信すると(図6:S116)、その旨を回答手段514に通知し、当該通知を受けた回答手段514は、担当許否選択画面を第二の表示手段515に表示させる(図7:S117)。
図11Dは、本発明の第一の実施形態に係る第二の端末装置120C2のディスプレイ上に表示された担当許否選択画面1108の一例を示す図である。
図11Dに示すように、担当許否選択画面1108には、プライベート印刷実行の担当の申請を受け付けた旨のメッセージ1109と、プライベート印刷の送信元(申請元)ユーザID(第一のユーザID「N001」)1110と、印刷対象である画像名称「議事録」1111と、プライベート印刷実行の担当の許否をユーザに促す旨のメッセージ1112と、前記担当を許可するための「OK」キー1113と、前記担当を不許可とするための「NG」キー1114とがポップアップ形式で表示される。
ここで、第二のユーザが、プライベート印刷実行の担当を許可する場合は、以下の手順となる。即ち、第二のユーザが、担当許否選択画面1108を見ながら、図示しない入力手段を介して「OK」キー1113を選択すると、回答手段514は、担当許可の指示を受けて(図7:S118YES)、問い合わせ手段512に、担当許可通知を送信する(図7:S119)。
問い合わせ手段512は、前記担当許可通知を受信すると(図7:S120)、担当ユーザに申請したプライベート印刷実行の担当が許可されたと判断し、ジョブ記憶手段516に予め記憶されているジョブテーブルの最下段に、担当ユーザID(第二のユーザID「N002」)と、印刷要求のジョブデータとを関連付けて記憶させる(図6:S121)。
図12E1は、本発明の第一の実施形態のジョブテーブル1200の一例を示す図である。
ジョブテーブル1200には、図12E1に示すように、ユーザID1201と、プライベート印刷ジョブのジョブデータ1202とが関連付けて記憶されている。上述した問い合わせ手段512が、送信元ユーザID(第一のユーザID「N001」)に代えて、担当ユーザID(第二のユーザID「N002」)をジョブテーブル1200に記憶させる。それとともに当該担当ユーザIDに関連付けてジョブデータ(画像名称「議事録」に関するジョブデータ)も記憶させる。これにより、送信元ユーザIDの第一のユーザによるプライベート印刷ジョブが、担当ユーザIDの第二のユーザに譲渡されたことになる。尚、前記ジョブテーブルのジョブデータを記憶させる記憶領域を、例えば、ユーザID毎に用意すれば、当該記憶領域がユーザID毎のプライベートボックスに対応する。
さて、問い合わせ手段512が、ジョブテーブル1200に、第二のユーザID「N002」とジョブデータとを関連付けて記憶させると、プライベート印刷実行の担当が許可された旨の通知(許可通知)を、第一のユーザがログイン中である第一の端末装置120C1の選択手段512に送信する(図7:S122)。
選択手段512が、前記許可通知を受信すると(図7:S123)、担当許可画面を第一の表示手段502に表示させる(図7:S124)。
図12Fは、本発明の第一の実施形態に係る第一の端末装置120C1のディスプレイ上に表示された担当許可画面1203の一例を示す図である。
図12Fに示すように、担当許可画面1203には、プライベート印刷実行の担当が許可された旨のメッセージ1204と、許可した担当ユーザID(第二のユーザID「N002」)1205と、画像名称「議事録」1206と、担当許可画面1203を閉じるための「OK」キー1207とが表示される。
第一のユーザが、例えば、担当許可画面1203を見ながら「OK」キー1207を押下すると、選択手段512は、担当許可画面1203を第一の表示手段502から消去する。更に、第一のユーザが、予め設けられている、ユーザ認証を無効化(ログアウト)させるためのログアウトキーを選択すると、認証手段501が、第一のユーザをログアウトし(図7:S125)、第一の端末装置120C1における手順が終了する。
又、問い合わせ手段512が、選択手段512に前記許可通知を送信すると、続いて、所定のメモリから自己の装置識別情報(「複合機:M001」)を取得し、当該装置識別情報の複合機100で印刷を実行する旨の通知(実行通知)を、第二のユーザがログイン中である第二の端末装置120C2の回答手段514に送信する(図7:S126)。これにより、複合機100におけるプライベート印刷ジョブの受付が終了する。
回答手段514が、前記実行通知を受信すると(図7:S127)、印刷実行画面を第二の表示手段515に表示させる(図7:S128)。
図13Gは、本発明の第一の実施形態に係る第二の端末装置120C2のディスプレイ上に表示された印刷実行画面1300の一例を示す図である。
図13Gに示すように、印刷実行画面1300には、プライベート印刷ジョブの受付が完了した旨のメッセージ1301と、画像名称「議事録」1302と、プライベート印刷ジョブを受け付けた装置識別情報に対応する装置名称「複合機:M001」1303と、プライベート印刷の実行方法を示すメッセージと1304、ジョブ実行画面を閉じるための「OK」キー1305とが表示される。
第二のユーザが、例えば、印刷実行画面1300を見ながら「OK」キー1305を押下すると、回答手段514は、印刷実行画面1300を第二の表示手段515から消去する。更に、第二のユーザが、ログアウトキーを選択すると、図示しない第二の端末装置120C2の認証手段が、第二のユーザをログアウトし(図7:S129)、第二の端末装置120C2における手順が終了する。この後、第二のユーザは複合機100へ移動することになる(後述する)。
ところで、前記S118において、第二のユーザが、プライベート印刷実行の担当を不許可とする場合は、以下の手順となる。即ち、第二のユーザが、担当許否選択画面1108を見ながら「NG」キー1114を選択すると、回答手段514は、担当不許可の指示を受けて(図6:S119NO)、問い合わせ手段512に、担当不許可通知を送信する(図8:S130)。不許可の場合は、第二の端末装置120C2における手順は、ここで終了する。
問い合わせ手段512は、前記担当不許可通知を受信すると(図8:S131)、担当ユーザに申請したプライベート印刷実行の担当が不許可とされたと判断し、不許可とした担当ユーザID(第二のユーザID「N002」)を担当ユーザリストから削除して(図8:S132)、除かれた担当ユーザリストを次担当ユーザリストとしてリスト送信手段510に送信し、前記リスト送信手段510に、次担当ユーザリストを送信するよう指示する。すると、上述したS109に戻り、当該リスト送信手段510は、次担当ユーザリストを第一の端末装置120C1の選択手段512に送信する(図8:S109)。この場合は、上述したS110と同様の手順となるため、その説明は省略する。
尚、次担当ユーザリストを受信した選択手段512は(図6:S110)、例えば、以下のような、不許可とされた旨のメッセージを含む担当ユーザ選択画面を第一の表示手段502に表示させる(図6:S111)。
図13Hは、本発明の第一の実施形態に係る第一の端末装置120C1のディスプレイ上に表示された、不許可を示す担当ユーザ選択画面1306の一例を示す図である。
図13Hに示すように、不許可を示す担当ユーザ選択画面1306には、プライベート印刷実行の担当が不許可された旨のメッセージ1307と、不許可とした申請先ユーザID(第二のユーザID「N002」)1308と、画像名称「議事録」1309と、「プライベート印刷」キー1310と、不許可とした担当ユーザ以外の担当ユーザにプライベート印刷実行を担当させることをユーザに促す旨のメッセージ1311と、次担当ユーザリストに基づく担当ユーザIDを選択可能に表示する第四のプルダウンメニュー1312と、「申請」キー1313とが表示される。尚、次担当ユーザリストに担当ユーザIDが存在しない場合、担当ユーザ選択画面1306には、前記メッセージ1311、前記第四のプルダウンメニュー1312、前記「申請」キー1313は表示されない。これにより、第一のユーザは、担当申請を不許可とした第二のユーザと異なる他の担当ユーザに再度プライベート印刷の実行の担当を申請することも出来るし、自己でプライベート印刷を実行することも可能となる。
ところで、前記S112において、第一のユーザが、第二のユーザ以外の他のユーザにプライベート印刷実行の担当を申請せずに、自己でプライベート印刷を実行する場合、つまり、通常のプライベート印刷を実行する場合は、以下の手順となる。即ち、第一のユーザが、担当ユーザ選択画面1306に表示された「プライベート印刷」キー1310を押下すると、選択手段512が、通常のプライベート印刷の指示を受け付けて(図6:S112NO)、当該プライベート印刷ジョブの通知(通常通知)を問い合わせ手段512に送信する(図8:S133)。
問い合わせ手段512が、前記通常通知を受信すると(図8:S134)、ジョブ記憶手段516のジョブテーブルの最下段に、送信先ユーザID(第一のユーザID「N001」)と、プライベート印刷ジョブのジョブデータとを関連付けて記憶させる(図8:S135)。この場合のジョブテーブルの一例を図12E2に示した。これにより、図12E1と比較して、図12E2のジョブテーブル1208のユーザIDには、第二のユーザID「N002」1209に代えて、第一のユーザID「N001」1210が記憶され、第一のユーザがプライベート印刷ジョブの要求を送信したこととなる。
次に、問い合わせ手段512は、選択手段512に前記実行通知を送信する(図7:S136)。これにより、複合機100におけるプライベート印刷ジョブの受付が終了する。
選択手段512が、前記実行通知を受信すると(図8:S137)、図13Gの印刷実行画面1300を第一の表示手段502に表示させる(図8:S138)。例えば、第一のユーザが「OK」キー1305を選択した後に、所定のログアウトキーを選択して、認証手段501が、第一のユーザをログアウトし(図8:S139)、第一の端末装置120C1における手順が終了する。この場合は、第一のユーザが複合機100の前に移動することになる。
<プライベート印刷ジョブの実行>
さて、図13Gの印刷実行画面1300の「OK」キー1305を押下したユーザ(例えば、第二のユーザ)が、複合機100の前に移動し、当該複合機100の操作部103のタッチパネル301上に触れると、複合機100の表示受付手段517が、ユーザによるタッチパネル301の接触を検知し、コピー設定に関するコピー初期画面をタッチパネル301上に表示する(図9:S201)。
図14Iは、本発明の第一の実施形態のタッチパネル上に表示されたコピー初期画面1400の一例を示す図である。
図14Iに示すように、コピー初期画面1400には、コピーの条件の設定を行なうための通常の設定項目キー1401の他に、プライベート印刷実行モードへ移行するための「プライベート印刷」キー1402が表示される。
第二のユーザは、コピー初期画面1400を見ながら、「プライベート印刷」キー1402を押下すると、表示受付手段517が、プライベート印刷ジョブの実行要求を受け付けて、その旨をプライベート印刷受付手段518に通知する(図9:S202)。当該通知を受けたプライベート印刷受付手段518は、認証情報入力画面をタッチパネル301上に表示して、第二のユーザから自己のユーザIDとパスワードとの入力を受け付ける(図9:S203)。
図14Jは、本発明の第一の実施形態のタッチパネル上に表示された認証情報入力画面1403の一例を示す図である。
図14Jに示すように、認証情報入力画面1403には、ユーザIDとパスワードとの入力をユーザに促す旨のメッセージ1404と、ユーザIDを入力可能なユーザID入力欄1405と、パスワードを入力可能なパスワード入力欄1406と、ユーザIDとパスワードとを入力するためのキーボードキー1407と、「OK」キー1408とが表示される。
第二のユーザは、認証情報入力画面1403を見ながら、キーボードキー1407を用いて自己のユーザID「N002」をユーザID入力欄1405に入力し、自己のパスワード「DEF」をパスワード入力欄1406に入力し、「OK」キー1408を押下すると、プライベート印刷受付手段518は、入力されたユーザID(第二の入力ユーザID)と、パスワード(第二の入力パスワード)とを受け付け、第二の入力ユーザIDと第二の入力パスワードと、認証情報記憶手段511に記憶されている認証情報テーブルとに基づいて第二のユーザを認証する(図9:S204)。
プライベート印刷受付手段518は、第二の入力ユーザIDと、認証情報テーブルに記憶されたユーザID(比較ユーザID)とが一致するか否か、両者が一致すれば、更に、第二の入力パスワードと、第二の入力ユーザIDと一致した認証情報テーブルに対応する比較パスワードと一致するか否かを判定する。当該判定の結果、第二の入力ユーザIDと比較ユーザIDとが不一致である場合や、第二の入力パスワードと比較パスワードとが不一致である場合(図9:S204NO)、プライベート印刷受付手段518は、第二の入力ユーザIDと第二の入力パスワードとを消去し、プライベート印刷ジョブの実行を終了する。これにより、プライベート印刷ジョブを送信したユーザ又はプライベート印刷ジョブの譲渡を許可したユーザのみが、当該プライベート印刷ジョブを実行することが出来ることとなり、プライベート印刷ジョブによる印刷物の機密性は担保される。プライベート印刷ジョブの実行終了時には、例えば、表示受付手段519がコピー初期画面1400をタッチパネル301上に表示する。
一方、第二の入力ユーザIDと比較ユーザIDとが一致し、且つ、第二の入力パスワードと比較パスワードとが一致すると判定された場合(図9:S204YES)、プライベート印刷受付手段518は、第二のユーザをログインさせ(ログイン成功)、ジョブ記憶手段516のジョブテーブルを参照し、ログインされた第二のユーザのユーザID「N002」と一致するユーザIDに関連付けられたジョブデータを取得する。
ここで、図12E1に示すように、ユーザID「N002」に対応するジョブデータとして、先ほど第一のユーザから譲り受けた画像名称「議事録」のジョブデータ1211と、第二のユーザが従前にプライベート印刷ジョブの要求を実行した際の画像名称「報告書」のジョブデータ1212とが存在する場合は、プライベート印刷受付手段518は、ユーザID「N002」に対応する全てのジョブデータ(両方のジョブデータ1211、1212)を取得する。
当該ジョブデータを取得したプライベート印刷受付手段518は、当該ジョブデータに基づいたプライベート印刷実行画面をタッチパネル上に表示させる(図9:S205)。
図15Kは、本発明の第一の実施形態のタッチパネル上に表示されたプライベート印刷実行画面1500の一例を示す図である。
図15Kに示すように、プライベート印刷実行画面1500には、プライベート印刷ジョブの実行をユーザに促す旨のメッセージ1501と、複合機100にログイン中の第二のユーザのユーザID「N002」1502と、取得されたジョブデータに対応する画像名称1503と、画像名称1503毎に設けられた、当該画像名称を選択可能なチェックボックス1504と、プライベート印刷ジョブを実行するための「印刷開始」キー1505と、プライベート印刷ジョブの実行をキャンセルするための「キャンセル」キー1506とが表示される。
第二のユーザは、プライベート印刷実行画面1500を見ながら、画像名称「議事録」1503aに対応するチェックボックス1504aを選択して当該チャックボックス1504aを有効にした後に、「印刷開始」キー1505を押下すると、プライベート印刷受付手段518が画像名称「議事録」1503aに対応するジョブデータの選択と「印刷開始」キー1505の押下を受け付けて(図9:S206YES)、その旨を印刷ジョブ実行手段519に通知する。当該通知を受けた印刷ジョブ実行手段519は、選択された画像名称「議事録」1503aに対応するジョブデータをジョブテーブル1200から読み出し、当該ジョブデータに基づいて画像形成を実行する(図9:S207)。これにより、プライベート印刷ジョブの送信元の第一のユーザに代えて、譲渡申請を許可した第二のユーザがプライベート印刷ジョブを複合機100に実行させることが可能となる。又、第二のユーザは自己のユーザIDとパスワードとを用いてプライベート印刷ジョブを複合機100に実行させているため、送信元の第一のユーザが自己のユーザIDとパスワードとを第二のユーザに知らせることもなく、セキュリティ上極めて好ましい。
さて、印刷ジョブ実行手段519が、ジョブデータに基づく画像形成の実行を完了すると、画像形成済のジョブデータをジョブテーブルから消去する(図9:S208)。これにより、プライベート印刷ジョブの実行を終了する。
一方、第二のユーザが、プライベート印刷実行画面1500を見ながら、「キャンセル」キー1506を押下すると、プライベート印刷受付手段518が「キャンセル」キー1506の押下を受け付けて(図9:S206NO)、プライベート印刷ジョブの実行を終了する。この場合は、ジョブテーブル1200に、ユーザID「N002」と画像名称「議事録」のジョブデータとが関連付けて記憶されたままとなる。尚、プライベート印刷ジョブの実行手順は、第二のユーザについて説明したが、第一のユーザでも同様であるため、省略する。
このように、本発明の第一の実施形態に係る複合機100は、ネットワーク120Fを介して複数の端末装置120Cと接続された複合機100であって、第一の端末装置120C1からプライベート印刷指示を伴った印刷要求があった場合、当該第一の端末装置120C1に当該プライベート印刷実行を担当する担当ユーザを選択させるための担当ユーザリストを当該第一の端末装置120C1に送信するリスト送信手段510と、前記第一の端末装置120C1により、特定の担当ユーザが選択された場合、当該選択された担当ユーザが利用する第二の端末装置120C2に、プライベート印刷実行の担当を許可するか否かを問い合わせる問い合わせ手段512と、前記第二の端末装置120C2により、プライベート印刷実行の担当が許可された場合、当該第二の端末装置120C2を利用する担当ユーザを識別するユーザIDと、前記印刷要求のジョブデータとを関連付けて記憶するジョブ記憶手段516とを備える。
当該構成により、プライベート印刷指示を送信したユーザが、自己のユーザID・パスワード等を、当該プライベート印刷実行の担当を許可した担当ユーザに教える(知らせる)ことなく、当該担当ユーザに当該プライベート印刷実行をさせることが可能となるから、プライベート印刷機能に対する利便性を向上させるとともに、セキュリティの問題も生じることがない。
<本発明の第二の実施形態>
次に、図15、図16を参照しながら、第二の実施形態の複合機100及び端末装置120Cが、自己のプライベート印刷に関するジョブを他のユーザに簡単に実行させる手順について説明する。第一の実施形態と比較して、第二の実施形態の異なる点は、前記問い合わせ手段512は、前記第二の端末装置により、プライベート印刷実行の担当が許可された場合、当該第二の端末装置に、前記印刷要求のジョブデータに対応する出力条件を変更するか否かを問い合わせ、前記ジョブ記憶手段516は、前記出力条件が変更された場合、当該第二の端末装置を利用する担当ユーザを識別する識別情報と、変更された出力条件に対応するジョブデータとを関連付けて記憶する点である。その他の点については、第一の実施形態と同様であるため、第一の実施形態の説明において用いた図面(図1−15)も適宜参照しながら、第二の実施形態について説明する。図15Lは、本発明の第二の実施形態に係る第二の端末装置120C2のディスプレイ上に表示された印刷条件変更画面1507の一例を示す図である。図16は、本発明の第二の実施形態に係るプライベート印刷ジョブの受付手順を示すためのフローチャートである。
さて、図7のS118(図16のS118に対応する)において、第二のユーザが、プライベート印刷実行の担当を許可する場合、図11Dに示す担当許否選択画面1108を見ながら、「OK」キー1113を選択すると、回答手段514は、担当許可の指示を受けて(図16:S118YES)、問い合わせ手段512に、担当許可通知を送信する(図16:S119)。
問い合わせ手段512は、前記担当許可通知を受信すると(図16:S120)、担当ユーザに申請したプライベート印刷実行の担当が許可されたと判断し、印刷要求のジョブデータから印刷条件(例えば、カラー「白黒」、印字「片面」、集約「NOMAL」に対応するデフォルト条件)を取得し、取得した印刷条件と、当該印刷条件を変更するか否かの通知(変更通知)とを回答手段514に送信する(図16:S301)。
ここで、問い合わせ手段512が、画像データを含むジョブデータに代えて印刷条件を回答手段514に送信することにより、第二のユーザは、プライベート印刷の印刷条件を知ることが可能となるとともに、通信トラフィックの増大を防止し、ネットワークを介して機密データを取得する不正情報取得者によるジョブデータの不正取得を防止することが可能となる。
回答手段514は、前記印刷条件と前記変更通知とを受信すると(図16:S302)、印刷条件変更画面を第二の表示手段515に表示させる(図16:S303)。
図15Lは、本発明の第二の実施形態に係る第二の端末装置120C2のディスプレイ上に表示された印刷条件変更画面1507の一例を示す図である。
図15Lに示すように、印刷条件変更画面1507には、プライベート印刷ジョブの印刷条件を変更するか否かを受け付ける旨のメッセージ1508と、送信元ユーザID「N001」1509と、画像名称「議事録」1510と、プライベート印刷の実行を担当する担当ユーザ(第二のユーザ)に印刷条件の変更を促す旨のメッセージ1511と、印刷条件に対応する各項目をプルダウンメニューとして変更可能(選択可能)に表示する印刷条件1512と、印刷条件を確定させるための「OK」キー1513とが表示される。尚、前記印刷条件には、上述したデフォルト条件が表示される。
ここで、例えば、第二のユーザが、用紙節約、又は、予め設定された印刷実行制限(部門管理制限)のために、ジョブデータに対応する印刷条件のうち、集約項目「NOMAL」を「2in1」に変更したいと考え、集約項目のプルダウンメニュー1512aから「2in1」を選択して「OK」キー1513を選択すると、回答手段514は、印刷要求のジョブデータにおける印刷要求時の印刷条件(デフォルト条件)と、「OK」キー1513を受けた時点の印刷条件(集約項目が「2in1」に変更された印刷条件)とを比較し、両者が不一致であることを判定して、集約項目「NOMAL」を「2in1」に変更する指示を受け付けて(図16:S304YES)、印刷条件変更通知を問い合わせ手段512に送信する(図16:S305)。
問い合わせ手段512は、前記印刷条件変更通知を受信すると(図16:S306)、印刷要求のジョブデータにおける印刷要求時の印刷条件(デフォルト条件)を、変更された印刷条件(集約項目「2in1」)に変更し(図16:S307)、ジョブ記憶手段516のジョブテーブルの最下段に、担当ユーザID(第二のユーザID「N002」)と、変更後の印刷条件に対応するジョブデータとを関連付けて記憶させる(図16:308)。この後の手順については、第一の実施形態で説明した図7S122(図16のS122に対応する)と同様の手順となるため、その説明は省略する。
尚、第二のユーザが、印刷条件を変更せずに、「OK」キー1513を選択すると、回答手段514は、印刷要求時の印刷条件と「OK」キーを受けた時点の印刷条件が一致していることを判定して、印刷条件を変更しない指示を受け付けて(図16:S304NO)、不変更通知を問い合わせ手段512に送信する(図16:S309)。
問い合わせ手段512は、前記不変更通知を受信すると(図16:S310)、ジョブ記憶手段516のジョブテーブルの最下段に、担当ユーザID(第二のユーザID「N002」)と、印刷要求時の印刷条件(変更していない印刷条件)に対応するジョブデータとを関連付けて記憶させる(図16:308)。この後の手順については、第一の実施形態で説明した図7S122(図16のS122に対応する)と同様の手順となるため、その説明は省略する。
これにより、プライベート印刷実行の担当を許可した第二のユーザが、自己の希望する印刷条件で、当該プライベート印刷を実行することが可能となる。特に、プライベート印刷実行の担当を許可した担当ユーザ毎に、当該プライベート印刷ジョブの印刷条件を変更することが出来るようになると、印刷制限を設けている複合機100を使用する担当ユーザに対して利便性を向上させることが可能となる。
例えば、今月は10枚のみ印刷可能であるという印刷制限を受けた担当ユーザが、ジョブデータの印刷条件のうち、印刷枚数が20枚であるプライベート印刷実行の担当を許可した場合、印刷条件を変更出来ないと、当該担当ユーザは、プライベート印刷実行の担当を許可したとしても、当該プライベート印刷を適切に実行することが出来なくなる。このような場合に、プライベート印刷実行の担当を許可した担当ユーザが、自由に印刷条件を変更することが出来れば、例えば、集約項目「NOMAL」を「2in1」に変更することで、上述したプライベート印刷を適切に実行することが可能となる。同様に、例えば、印刷枚数「20枚」を「10枚」に変更するようにしてもよい。
又、例えば、複合機の種類によっては、当該複合機が、印刷条件毎にユーザに課金している場合がある。例えば、モノクロ印刷では10円、カラー印刷では20円等である。このような場合、プライベート印刷実行の担当を許可した担当ユーザが、自由に印刷条件を変更することが出来れば、当該プライベート印刷の印刷条件のうち、「カラー」を「モノクロ」に変更することで、担当ユーザの経済的な負担を軽減することも可能となる。
尚、本発明の第一の実施形態、第二の実施形態では、第一の端末装置120C1、第二の端末装置120C2、複合機100が、一度複合機100に送信されたジョブデータで通信(やり取り)するではなく、所定の識別情報(例えば、ユーザID、画像名称「議事録」、印刷条件等)で通信(やり取り)するよう構成したが、当該識別情報に代えてジョブデータそのもので通信(やり取り)しても、本発明の作用効果を奏することは言うまでもない。
又、本発明は、ネットワークを介して複数の端末装置と、画像形成装置と接続された画像形成システムとして提供することが出来る。即ち、ネットワークを介して、複数の端末装置と、画像形成装置とが接続された画像形成システムであって、前記画像形成装置に、第一の端末装置からプライベート印刷指示を伴った印刷要求があった場合、当該第一の端末装置に当該プライベート印刷実行を担当する担当ユーザを選択させるための担当ユーザリストを当該第一の端末装置に送信するリスト送信手段と、前記第一の端末装置により、特定の担当ユーザが選択された場合、当該選択された担当ユーザが利用する第二の端末装置に、プライベート印刷実行の担当を許可するか否かを問い合わせる問い合わせ手段と、前記第二の端末装置により、プライベート印刷実行の担当が許可された場合、当該第二の端末装置を利用する担当ユーザを識別する識別情報と、前記印刷要求のジョブデータとを関連付けて記憶するジョブ記憶手段とを備える。又、前記画像形成システムにおいて、前記第一の端末装置に、プライベート印刷指示を伴った印刷要求を前記画像形成装置に送信する要求手段506と、前記画像形成装置により前記担当ユーザリストを受信すると、当該担当ユーザリストの担当ユーザのうち、特定の担当ユーザの選択をユーザに促す選択手段512とを備える。更に、前記画像形成システムにおいて、前記第二の端末装置に、前記画像形成装置により前記プライベート印刷実行の担当を許可するか否かの問い合わせを受信すると、当該プライベート印刷実行の担当を許可するか否かの回答をユーザに促す回答手段を備える。当該構成であっても、同一の作用効果を奏する。
又、本発明の第一の実施形態では、使用許可記憶手段と、認証情報記憶手段とに記憶させたそれぞれのテーブルを同一のテーブルとしたが、例えば、全てパスワードの異なるテーブルを採用して、ユーザが端末装置にログインする場合は、当該ユーザに当該端末装置の使用許可テーブルに対応するユーザIDとパスワードとを入力させ、ユーザが複合機のプライベート印刷ジョブを実行する場合は、当該ユーザに当該プライベート印刷ジョブの認証情報テーブルに対応するユーザIDとパスワードとを入力させるよう構成してもよい。
又、本発明の第一の実施形態、第二の実施形態では、複合機と端末装置とが各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、上記プログラムを複合機或いは端末装置に読み出させ、当該複合機或いは端末装置が上記各手段を実現する。その場合、上記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。