JP5001801B2 - ポリエステル系熱収縮性フィルムロール - Google Patents

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Description

本発明はポリエステル系熱収縮性フィルムロールに関し、詳しくは、印刷及び製袋時に印刷ズレや溶剤シールはずれ等の不具合が生じず、収縮ラベルや食品包装などに好適に使用されるポリエステル系熱収縮性フィルムロールに関する。
従来、ガラス瓶やポリエチレンテレフタレートボトル(ペットボトル)に使用される収縮ラベルや食品包装用の収縮フィルムとしては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、又はポリエステルからなる延伸フィルムが主に使用されてきた。
これらの熱収縮性フィルムは主としてテンター延伸法によりマスターロールを製膜し、その後任意の幅でスリットしながらロール状に巻き取られ、ロールの形態で主として幅方向に1から4面のグラビア印刷にかけられる。その後、各面の幅にスリットし、ロール状に巻き取られた後、チューブ状に溶剤接着等の手法により、製袋され、またロール状に巻き取られる(ラベルロール)。
製袋品は、その後、被覆物の長さにカットされた後、被覆物に被され、蒸気や熱風を吹き付けて収縮させる収縮トンネルを通過することにより、熱収縮させて被覆物に密着させる。
近年の特徴としては、商品の多品種小ロット化に伴い、多数の版を作成せず色数も少なくでき、コスト的に有利な高精度写真印刷が増えてきた。また一方で、高度な意匠性を求めた6色を超えるグラビア印刷、グラデーション印刷等の高精度印刷も増えてきている。
図5は、収縮フィルム印刷におけるグラビア印刷の工程を概略的に示す図である。図5においては、図面左側に表されている巻き出しロール51から巻き出されたフィルム100は図面中央に示される、例えば6色のグラビア多色印刷機520(図面では、6色のうち、2色を印刷する部位が示され、他の4色を印刷する部位の図示は省略されている。)を経て、図面右側に表された巻き取りロール518に巻き取られる。グラビア印刷機520は、下部に配置されたインクリザーバ52a、52b中に例えば、赤、青のインクが貯められている。インクリザーバ52a、52bには、それぞれのインクに浸るようにインク巻き上げロール53a、53bが設けられている。それぞれその表面に印刷模様、文字が彫刻された版ロール53a、53bが配置され、さらにそれらの上方には、これら版ロールに接するように圧胴ロール55a、55bが配置されている。印刷機520の上部には、各インクリザーバ52a、52bに対応して、それぞれ3本の調整ロール511、512、513;514、515、516が配置されている。巻き出しロール51から水平方向に巻き出されたフィルム100は、方向変換ロール510を経て垂直上方の調整ロール511に至る。その後さらに2つの調整ロール512、513を経て、接触ロール55aに至る。ここでは、6色印刷機520の第1色目である赤のインクが貯留されたインクリザーバ52aに下部が浸漬されている版ロール53aが圧胴ロール55aと同周速に回転している。ロール53aはインクリザーバ52a内の赤インクをそのロール面に付着させて巻き上げ、巻き上げられた赤インクはロール側部に配置されたドクターブレード56aにより、ロール表面において彫刻以外の部分は掻き落とされる。版ロール53a表面の赤インクは、圧胴ロール55aに巻きつけられて走行しているフィルム100表面に転写され、当該フィルム100上に赤インクの印刷が完了する。続いてフィルム100は圧胴ロール55aから40℃〜70℃に調整された乾燥ゾーン530を経た後、調整ロール514、515、516を経て、6色印刷機520の第2色目である青インクの転写を受ける圧胴ロール55bに至る。青インクリザーバ52b、版ロール53bの構成及び作用は赤インクの部位におけるものと同様である。その後の4色についても同様の構成となっており、フィルム100は最終的に図5の右側に示される方向転換ロール517により下向きから水平方向に向きを変えられて、巻き取りロール518により巻き取られる。このようにしてフィルム100に対する6色インクによる多色印刷が行われる。
かかる多色印刷工程においては、各色の版ロールがフィルム100の所定位置に来るように多くのロール間を走行するフィルム100の位置を調整することが重要である。フィルム100には図6に示すように、所定ピッチごとに幅方向両端部あるいは片端部に、一対のマーク61、61(「トンボ」といわれることもある。)が記されている。
例えば、青インク印刷の部位では、走行するフィルム100が、圧胴ロール55aを通過する前後にセンサ57a、57aが配置されている。センサ57a、57aは、走行しているフィルム100に所定ピッチごとに記されているマーク61、61の位置を感知し不図示のコントローラにその情報を送信する。コントローラは、色ごとに配設されたセンサによる情報を得て、フィードバックあるいはフィードフォワードの制御により、6色の印刷がフィルム100の表面上に揃うように、調整ロール511、512、513;514、515、516を上下させ、あるいは傾けるよう動作指令を発する。
この制御機構は、金属圧延における自動板圧調整(AGC)、あるいは自動平坦度調整(AFC)におけるものと類似するが、金属圧延板と比べ、樹脂フィルムは剛性の点で劣るため、制御の結果が系に反映されるまで時間がかかる。また、印刷が高速であるほど、制御遅れが出て、正確な制御を行うことがより困難なものとなる。結果として、ピッチズレが修正されないまま、別の色の印刷が重ねられることになる。ここでの「ピッチズレ」とは、図6において、マーク61が本来あるべき位置から紙面左右方向、あるいは紙面上下方向に変位することである。なお、紙面厚み方向のズレは、ロール間で発生するバタツキであり、ロール位置において修正されるが、ロール間においては、系に振動を与える要因となり、共振を伴うような場合、印刷の制御を不安定なものにさせる。
印刷時の縦横のピッチズレ(各版ロールの見当ズレ)が発生すると、印刷物自体がぼやけたり、グラデーションの諧調が段になったりして鮮明性が損なわれ、商品価値が損なわれる。また、印刷のピッチズレが発生すると、発生後数10mの区間はピッチズレが続き、その部分は意匠性が劣るため、製品として使用できないといった問題がある。
特に、熱収縮フィルムロールの耳立ち(「耳立ち」については後述する。)の傾向が顕著である場合、印刷工程においてフィルムの幅方向両端部がバタつくことがあり、マーク61、61のセンサによる感知が不安定となり、ピッチズレが発生しやすくなる。
また上記のような不良が発生した場合、その区間を人手により取り除かねばならず、工数が増大する。また上記の作業は不良部を取り除いた後でフィルムを継ぐためラベルロールに継ぎ目が発生する。ラベルロールの継ぎ目の入った最終製品は取り除く必要があるので、最終製品の歩留まりも低下する。さらに継ぎ目部がラベル装着機内にてツマリを起こすことがあり、最終製品の生産トラブルにつながることも問題視されていた。
特に、上記のような状況は、湿度の高い状況で保管を行ったフィルムロールにて発生頻度が高く問題視されていた。熱収縮フィルムは熱による収縮を前提とするため常温あるいは低温に保ち、輸送することは常識であるが、その振動に関しては殆ど対策がなく、長距離の輸送に関わらずロールフォーメーション変化が少なく高精度印刷を歩留良く施すことができるフィルムロールが望まれていた。
さらに、通常は、一本のフィルムロールから、同一の最終製品用ラベル、袋などを加工するので一本のフィルムロールに巻かれたフィルムの印刷性の変動が大きい場合、製品として使用できない部分が大量に発生することにもなり、問題視されていた。
上記の問題に関して特許文献1では、フィルムの幅方向の破断強度と伸び応力の比を示して、スリット特性に優れたフィルムが挙げられている。しかしながら、特許文献1に開示された技術は二軸熱固定された非収縮のテープ用配向フィルムであり、熱固定されていない幅方向への延伸のみがなされた一軸延伸フィルムとは根本的に問題点が異なる。
特許文献2では、スリットにおいて、刃先種類・取付角度・刃厚みなどを特定することで最適な切削抵抗値を見出し、ロール巻きにしたときの耳立ち部を抑えることのできるフィルムについて開示されている。しかし、特許文献2に開示されている技術は、切削手段のみに関するものであり、フィルム物性・巻き取り条件の最適条件を組み合わせてロール耳立ちを抑える手段にまでは言及していない。
特公平6−39128号公報 特開平5−228888号公報
本発明は、高精度印刷適性がロール全般にわたって良好であり、高速印刷性・シール性にも追従できる、特に湿度管理のない保冷倉庫に保管した場合においても良好な高精度印刷適性を有する熱収縮性フィルムロールを提供することを目的とするものである。なお、「高精度印刷」とは6色以上の印刷版を用いたグラビア印刷であり、かつグラデーション濃度が30%以下の部分を含む印刷をいう。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、フィルム物性に多少の経時変化があったとしても、耳立ちが所定の範囲内であれば、高精度印刷においても印刷ズレを起こさないフィルムロールを製造しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
図1は、熱収縮性フィルムロールの軸芯線X−Xを含む平面に関する断面を概念的に示す図である。以下に、図1を参照しつつ本発明に付いて説明する。なお、本明細書において、フィルムロール1の幾何学的外周面を円筒形と見立てたとき、ロール端部において、フィルムが上記円筒形から外周側にはみ出していることを「耳立ち」といい、はみ出している部分(図1においてハッチングにより表されている部分)を「耳立ち部」という。なお、「耳立ち」の数値、傾向を表すためにその代表として下記「L」で示すことがある。
本発明の要旨は、長さ1000m以上であり、80℃温水中に10秒間浸漬した後の主収縮方向の収縮率が少なくとも20%であるポリエステル系熱収縮性フィルムをコアに巻き取ってなるフィルムロールであって、フィルムロールを製造する際のスリット工程において、接圧ロールとして金属ロールを用い、スリッター張力を30〜100N/mとし、スリッター張力制御率を40〜60%とし、接圧を70〜250N/mとし、かつ接圧制御率を150%〜250%とすることによって、前記フィルムロールの幅方向の少なくとも一方の端部Aと、該端部Aから前記フィルムロール幅方向の中央に向かって10cmの位置Bとを結んだ直線Aの中点Cから前記フィルムロールへ下した垂線の長さLが1mm以下とされたことを特徴とするポリエステル系熱収縮性フィルムロール1にある。
上記熱収縮性フィルムロール1において、フィルムロールの他方の端部Aで測定されるLと、Lとの差が0.5mm以下であることが好ましい。
また、本発明のポリエステル系熱収縮性フィルムロールにおいて、コアが紙管であることが好ましい。
さらに、上記コアが紙管である本発明のポリエステル系熱収縮性フィルムロールにおいて、万能材料試験機で計測される前記紙管の扁平耐圧強度は1800〜3000N/100mm幅であることも好ましい。なお、本明細書において「A〜B」と表記(A、Bは数値である。)するときは、A以上、かつB以下であることを表すものとする。
本発明の規定を満たすポリエステル系熱収縮性フィルムロールは、未延伸フィルム成形から延伸フィルムの巻取り、巻き取ったフィルムをスリットするまでの多数に亘る製造工程条件、なかんづく、スリッターにおける製造条件、及び製造機器種類を組み合わせることによって得ることができる。
本発明のポリエステル系熱収縮性フィルムロールは、高精度な印刷適性に優れ、かつ、高速での溶剤シールが可能であり、特に湿度管理のない保冷倉庫に保管した後でも良好な高精度印刷適性を有する。ポリエステル系熱収縮性フィルムロールの幅が0.3m以上である場合、本発明を適用すれば、湿度管理のない保冷倉庫に保管した場合でも、巻きズレの増長などの不具合が発生しにくくなるので、本発明を適用する意義が大である。
しかも、上記幅を有するフィルムは、加工性及びハンドリング性に優れているため、本発明の好ましい実施態様である。
本発明のポリエステル系熱収縮性フィルムロール(以下、「本発明のフィルムロール」ともいう。)は、長さ1000m以上のポリエステル系熱収縮性フィルムをコアに巻き取ってなるフィルムロールであって、
(1)前記フィルムロールの幅方向の少なくとも一方の端部Aと、該端部Aから前記フィルムロール幅方向の中央に向かって10cmの位置Bとを結んだ直線Aの中点Cから前記フィルムロールへ下した垂線の長さLが1mm以下であり、
(2)前記熱収縮性フィルムを80℃温水中に10秒間浸漬した後の主収縮方向の収縮率が少なくとも20%であることを特徴とするポリエステル系熱収縮性フィルムロールである。
本発明のフィルムロールは、9色を超えるような多色の高精度印刷、又は印刷速度200m/minを超えるグラデーション印刷などの精度の高い印刷時に発生しがちな微妙なズレ(見当ズレ:0.3mm以内)を抑えることができ、特にこの効果は湿度管理のない保冷倉庫に保管した後に顕著に現れる。
以下に、フィルムロールに関する上記(1)の規定(以下において「耳立ちの規定」という。)が、当該フィルムロールの、構造、機能、特性にどのように関係しているか、その技術的意義について説明する。併せて、「高精度印刷適性がロール全般にわたって良好であり、高速印刷性・シール性にも追従できる熱収縮性フィルムロールを提供する。」という本発明の課題と、フィルムロールに関する上記耳立ちの規定との関係を明らかにする。
(耳立ちの規定とその作用効果)
本発明のフィルムロールは、フィルムロールの幅方向の少なくとも一方の端部Aと、該端部Aから前記フィルムロール幅方向の中央に向かって10cmの位置Bとを結んだ直線Aの中点Cから前記フィルムロールへ下した垂線の長さLが1mm以下であることが必要である。
実際の測定方法を図2に示す。15cmの定板Sを用い、定板Sの端部3をB1に揃えて、他方の端部2から定板S中心部へ約5cmの箇所を端部A1と接触させる。この状態で、直線A1B1の中点C1において、フィルムロール1と定板SとのギャップL1を隙間ゲージにて測定する。
が1mm以下であれば、端面に近い部分の耳立ち及び湾曲の増長が少なく、印刷工程において、縦方向の見当をあわす見当あわせが安定することから印刷ズレが少なく特に湿度管理のない保冷倉庫で保管した場合においても安定的な印刷が可能となる。また、好ましくはLが0.5mm以下であれば、印刷のズレを0.3mm以下に抑え高精度の印刷をフィルムロール全般にわたって施すことができる。また、さらに好ましくはLが0.3mm以下である。Lが0.3mm以下である場合、印刷速度をさらに高速(200m/分以上)にしつつ、高精度の印刷を施すことが可能となる。
また、フィルムロール両端のギャップの差(L−L)は、±0.5mm以下であることが好ましい。またギャップの差(L−L)は、さらに好ましくは±0.3mm以下である。ギャップの差(L−L)が±0.5mm以下である場合、100m/分以上の高速で巻き出した際の左右のバタツキが少なく、100m/分程度の通常速度印刷時の破断確率が少なくなる。また、ギャップの差(L−L)が±0.3mm以下の場合、200m/分程度の高速印刷時の破断確率が少なくなるため、印刷の時間歩留を向上させることができる。
(耳立ちをコントロールする具体的方法)
本発明の熱収縮性フィルムロールの耳立ちを上記規定の範囲とする方法について以下に説明する。
1.製造工程の条件によりコントロールする方法
1−1 ポリエステル系熱収縮性フィルムロールの製造工程
本発明のフィルムロールは、以下に示す3工程を経て得ることができる。
(a)押出工程(未延伸フィルムの作製)
未延伸フィルムは、ポリエステル系樹脂組成物の樹脂ペレット単体、又は複数の樹脂ペレットを混合し、押出しを行うことにより得ることができる。ペレット形成、溶融押出に関しては、公知の従来技術と同様な手法にて行うことが可能であり、例えば、原料となる前記樹脂組成物をあらかじめ200〜300℃の温度で溶融押出し、カッティングしてペレット状とし、次いで該ペレット状樹脂組成物を200〜300℃の温度で溶融押出すことができる。
押出方法としては、特に限定されず、Tダイ法、チューブラー法等を用いることができる。一例として、図3の左側には、押出機31、Tダイ32、及びキャスティングロール33がこの順に配置されたフィルムの製造装置例が示されている。Tダイ法の場合には、押出後、表面温度が15〜80℃のキャスティングロール上で急冷し、厚さ30〜300μmの未延伸フィルムを形成することができる。
(b)縦延伸工程(縦延伸フィルムの作製)
その後、未延伸フィルムに温調ロールや赤外線ヒータなどで熱を与えつつロール周速差をもって縦延伸を行なう(図3においてAで示される範囲)。縦延伸ロールを使用し、未延伸フィルムを、ロール温度60〜120℃、好ましくは60〜80℃、延伸倍率1.0〜1.3倍、好ましくは1.0〜1.1倍の条件で延伸した縦延伸フィルムを得る。
なお、本明細書において「縦方向」はフィルムロールの長手方向、「横方向」はフィルムロールの幅方向と同義であり、「縦延伸」とは、フィルムロールの長手方向(熱収縮性フィルムの流れ方向)の延伸を、「横延伸」とは、フィルムロールの幅方向(熱収縮性フィルムの流れ方向の垂直方向)の延伸をそれぞれ意味する。
(c)横延伸工程及びワインダー工程
縦延伸工程にて得られたフィルムを、テンター装置34(図3参照)により、テンター延伸法を用いて延伸することによって横延伸フィルムを得ることができる。上記縦延伸フィルムを、延伸温度55〜100℃、好ましくは70〜90℃、延伸倍率1.7〜7.0倍、好ましくは4.0〜7.0倍の条件下、横延伸した後、60〜120℃、好ましくは70〜110℃の温度で熱処理し、ワインダー装置37により、テンションをかけつつ、タッチロール36の押圧を得ながらマスターロール35として巻き取られる。
(d)スリット工程
その後、図4に示すように、マスターロール35は巻き出されてスリッター40にかけられ、任意の幅にスリットされる。図4の例では、3分割されたフィルムは、長手方向1000〜20000m、好ましくは1000m〜10000m、さらに好ましくは1000〜8000mの長さで巻き取られ、本発明のフィルムロール41〜43となる。なお、ここでも巻き取りに際し、フィルムにテンションがかけられ、巻き取られつつあるフィルムロール41〜43には、それぞれタッチロール44〜46による押圧(以下において「接圧」という。)が与えられる。
上記各工程の内、フィルムロールの耳立ちに影響するのは、主にスリット工程である。一般に熱収縮フィルムは、横方向への一軸延伸を行っており、分子の配列が幅方向に偏っている。スリット工程では分子の配列と垂直の方向に刃を入れるため、抵抗が大きく摩擦などによる発熱も伴って耳立ちが発生すると考えられる。以下にスリット工程におけるフィルムロールの耳立ちをコントロールする方法につき説明する。
1−2 スリット工程におけるフィルムロールの耳立ちのコントロール
耳立ちは、スリット時のスリット刃の材質や表面性状、接圧ロールの硬度、工程条件などを変更することにより少なくすることが可能である。
スリット刃は、熱を持ちにくいセラミック製がよく、適度に表面が粗く、フィルムとの摩擦熱を持ちにくい形状のものが好ましい。また、丸刃回転式である方が、より好ましい。
また、接圧ロールは、ゴムロールより硬さの高い金属のメッキロールが好ましく、その粗さは、JIS B0601の基準で0.1〜1.5Sであることがフィルムに傷をつけ難くするという観点からは好ましい。
スリッターにおいて、フィルムにかける張力、及びフィルムロールに与えるタッチロールの接圧は、フィルムロールの耳立ちに直接影響を与える。フィルムロールの耳立ちを本発明の規定する範囲とするためには、スリッターにおける張力は、30〜100N/mとすることが好ましい。スリッターの張力が少なすぎると、フィルムロールの硬さが小さくなり過ぎて、フィルム巻き出しの際にばたつきが発生し、印刷時にフィルムが蛇行し、印刷ズレといった不具合が発生することがある。一方、スリッターの張力が大きすぎると、フィルムロールの硬さが硬くなり過ぎて、フィルムロールを保管している間にフィルムブロッキングが発生するとともに、本発明の規定する耳立ちの範囲から外れ、印刷のため巻き出す際にフィルムのばたつきが発生し、その結果、センサの感知を妨げることにより印刷ズレといった不具合が発生することがある。
加えて、フィルムロールの耳立ちを本発明の規定する範囲とするためには、巻き始めから巻き終わりまでの張力を一定とせず、巻き径に準じて変更することで対応することができる。例えば巻き径が大きくなるに従って、張力を減少するパターンがある。その場合、張力は、巻き始めの初期値に対する巻き終わりでの値の比率(以下において「張力制御率」という。)が40〜60%であることが好ましい。張力制御率が低すぎると、巻き上がったフィルムロールの耳立ちが本発明の規定する数値より大きなものとなり、結果として、例えば半年間、冷凍倉庫等で保管した後の印刷評価が劣ったものとなってしまう。張力制御率が低すぎると、保管と共にフィルムの巻き硬さの柔らかい部分(フィルムとフィルムの間)に空気が入り込み、その後輸送や印刷のためにロールを動かしたり傾けたりした際に、上巻き部分がずれ、耳立ちの傾向が高まることがある。その場合、印刷時にフィルム蛇行が発生し印刷ズレにつながることが多い。一方、張力制御率が高すぎると、巻締まり発生による巻下部への影響が大きく、下巻きフィルム上にシワが入ったり、湾曲が増大することが起こり、耳立ちの傾向が高まり、印刷ズレが発生したりすることがあるからである。
前述の制御率とは、スリット工程中にて、最終の巻き状況=巻き始め状況×制御率となるように、巻き始めから巻き終わりにわたり、スリッターの張力を比例定数的に変化させていることをいう。具体的には、スリッター張力が100N/m、制御率が50%とした場合は、巻き始めは100N/mの張力をかけ、長さに比例して徐々に張力を減少させて、巻き終わりには張力は50N/mとなる。
フィルムロールの耳立ちを本発明の規定する範囲にするために、スリッターにおけるフィルムロールに与えるタッチロールの接圧は、本来、スリッターにおける張力との組み合わせで最適値が決せられるべき性質のものであるが、敢えてタッチロールの接圧のみに着目すれば、その値として70〜250N/mであることが好ましい。フィルムロールに与えるタッチロールの接圧が少なすぎると、フィルムロールの硬さが小さくなり過ぎ、フィルム巻き出しの際にばたつきが発生し印刷時にフィルムが蛇行し、印刷ズレといった不具合が発生することがある。一方、与えるタッチロールの接圧が大きすぎると、フィルムロールの硬さが大きくなり過ぎて、ロール保管中にフィルムブロッキングが発生するとともに本発明の規定する耳立ちの範囲から外れ、印刷のため巻き出す際にフィルムばたつき、センサの感知を妨げることにより印刷ズレといった不具合が発生することがある。
加えて、フィルムロールの耳立ちを本発明の規定する範囲にするために、巻き始めから巻き終わりまでのタッチロールによる接圧を一定とせず、巻き径に準じて変更することで対応することができる。例えば巻き径が大きくなるに従って、タッチロールによる接圧を増加してゆくパターンがある。その場合、接圧は、巻き始めの初期値に対する巻き終わりでの値の比率(以下において「接圧制御率」という。)が150〜250%であることが好ましい。接圧制御率が上記範囲から外れると、耳立ちの傾向が強くなり、結果として印刷評価(特に半年間保管した後の印刷評価)が劣ったものとなってしまう。この場合の接圧制御率も、上記のスリッターの張力の場合の制御率と同様の概念であり、例えば、スリッター接圧が150N/m、接圧制御率が200%とした場合は、巻き始めは150N/mの接圧をかけ、長さに比例して徐々に接圧を増加させて、巻き終わりには張力は300N/mとなる。
1−3 湾曲のコントロール
なお、さらに印刷精度を上げるためには耳立ちの調整に加えて湾曲を少なくするという手法を取ることもできる。湾曲の発生要因としては、一般にプラスチックフィルムは、幅方向に偏った応力や歪みが残存したまま、ロールで巻き取られると、巻き取った直後もしくは巻き出して使用する段階で、上記残存が経時緩和され、歪みが生じ、湾曲が発生すると考えられる。
歪みを無くすためにも幅方向に偏った熱履歴をかけないようにする必要があり、縦延伸区間でかけているロール間の集束差(ドロー)を最適値に調整したり、熱処理後のフィルム内の歪みを開放するため、弛緩率が最適になるようテンターレール幅を変更したり、フィルム幅方向で均等な温度に達するようにテンター熱風量を幅方向に均一化させたりする工程が必要となる。
なお、具体的には縦延伸倍率が1倍である縦延伸(すなわち縦延伸をかけない場合)の各ロール間の速度比(予熱ロール/低速ロール間、高速ロール/冷却ロール間)は、弛みを取るためには0.980〜1.020の範囲で調整することが好ましい。この速度比を0.980以上にすることにより、湾曲に関与する訳ではないが、フィルムのシワ、並びにフィルム走行の蛇行の発生を抑えることができる。またこの速度比を1.020以下にすることにより、縦方向の延伸配向に伴うロール周期ごとに変動しながら発生する歪みを抑えられ、フィルム幅振れに対する影響を最小限に抑えられる。
また、横延伸の各テンターゾーンは予熱、延伸、熱処理後に弛緩、冷却を行うが、弛緩を行わない場合には熱処理の歪みを残存するため、弛緩ゾーンにて弛緩率を0.5〜3.0%あるいは−0.5〜−3.0%にすることが好ましい。弛緩率を、−0.5%以下、あるいは+0.5%以上とすると、残留応力を解放し、ボーイング現象で発生する湾曲を抑えることができる。また弛緩率を、−3.0%以上、あるいは+3.0%以下にした場合、テンター出口のフィルムの弛みが抑えられるとともに、耳立ちを抑えることができ、均一な巻き上がりを実現することができる。
なお、予熱/延伸/熱処理/弛緩/冷却、各テンターゾーンの熱風吹き出し速度はフィルムの温度を一定にするために10m/秒以上が良く、幅方向での熱風速度差±3m/秒以内であることが望ましい。上記の場合、非接触温度計で計ったフィルム温度幅が3℃以内となる。なお、計測のフィルム端は、クリップ端から50mm離れた位置から幅方向に測定する。50mm以内であるとクリップ輻射熱の影響を受けて、正確なフィルム温度を計測することができないためである。なお、フィルム幅方向での温度が均等で温度幅が3℃以内であれば、湾曲だけでなく巻き硬さのバラツキも抑えることができるとともに、耳立ちを抑えることができる。
また、テンター出口後、両端耳をスリットして外し、原反をワインダーにて巻き取るが、ワインダー張力は30〜100N/mであることが好ましい。また、ワインダー接圧は巻きズレを起こさない程度に5〜70N/mでかけることが好ましい。
なお、場合によっては、巻き始めから巻き終わりまでの張力並びに接圧は一定とせず、巻き径に準じて変更することが湾曲を抑えることにつながる。湾曲を抑える具体例としては巻き径が大きくなるに従って、張力を減少させ、接圧を増加するパターンが好ましく、巻き始めの張力に対し、終わりの張力が60〜95%、接圧は、巻き始めの初期値に対する巻き終わりの値が100〜300%に調整することでマスターロールの湾曲値をコントロールすることができる。
2.フィルムの物性によりコントロールする方法
フィルムロールを構成するフィルムに適度な表面滑り性を付与することで、本発明の規定する耳立ちの範囲を満たすフィルムロールを製造することができ、かつ他の物性を確保することもできる。具体的には、フィルムを構成する樹脂組成物中に、フィラーや、帯電防止剤を塗布したり添加したりする手法をとる。
2−1 フィラーの添加
フィルムを構成する樹脂組成物は、熱収縮フィルムにした際に、耐ブロッキング性及び易滑性を付与できるという点から、無機及び/又は有機の微粒子(フィラー)を含有していることが好ましい。ブロッキングは印刷工程におけるフィルムロールの巻き出し時に、ロールから巻き出されるフィルムが、ロール側の最外層フィルムに接着して、異音を発するほか、バタツキや、張力の変動要因となり、印刷を不安定なものとするので好ましくない。フィルムに易滑性を与えた場合、ロールへのフィルムの巻き取り、巻き出し時に、フィルムとロール本体側との間に、位置的な自由度が増し、円滑な巻き取り、巻き出しが可能となる。微粒子の含有量はフィルム全体に対して、0.005〜1質量%の範囲であることが好ましく、さらには0.01〜0.7質量%の範囲、特には0.02〜0.5質量%の範囲であることが好ましい。
微粒子含有率が0.005質量%以上であれば、滑り性が適度に付与され、極度なブロッキングの発生を抑えることができる。また、微粒子含有率が0.01質量%以上であれば、滑り性が付与され、縦延伸ロール、テンター温度の幅方向において完全な均一性でないことによって生じる縦厚み振れの発生した厚い箇所がフィルム同士でブロッキングし、ロール巻き芯部に近づくにつれて巻き圧がかかり、弛みが発生し、湾曲が増長されることを抑えることができる。また、微粒子含有率が0.02質量%以上であれば、更に滑り性が付与され、押出機、冷却キャストロール等の設備に由来する周期的に発生した僅かな縦厚み振れの厚い箇所がフィルム同士でブロッキングし、ロール巻き芯部に近づくにつれて巻き圧がかかり、弛みが発生し、湾曲が増長されることを抑えることができる。
一方、微粒子含有率が1質量%以下であれば、フィルム表面全体の極端な凹凸が抑えられ、インキ抜けを抑えることができ、耳立ちの発生傾向を低減させることができる。0.7質量%以下であれば、微粒子の分散性が上がり、部分的なインキ抜けを抑えることができる。0.5質量%以下であれば、フィルム表面全体の凹凸を制御でき、印刷版の浅いドットのインキ抜けを抑えることができる。
無機微粒子としては、具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、フッ化リチウム、カーボンブラック、及び、ポリエステル重合時のアルカリ金属、アルカリ土類金属、燐化合物等の触媒等に起因する析出物等が、また、有機微粒子としては、例えば、各種架橋ポリマー等が挙げられる。
これらの微粒子の平均粒子径としては、前述した効果の観点から、0.1〜6.0μmの範囲であることが好ましく、さらには0.5〜5.0μmの範囲、特には1.0〜4.0μmの範囲であることが好ましい。なお、ここで平均粒子径とは、レーザー回折法、動的光散乱法等の電磁波散乱法、遠心沈降式等の光透過法などの方法で測定した50%体積平均粒子径(d50)を意味する。測定方法によって差異が生じる場合は、レーザー回折法による値を用いる。
微粒子の平均粒子径が1μm以上であれば、滑り性が適度に付与され、ブロッキングの発生を抑えることができる。0.5μm以上であれば、滑り性が付与され、縦延伸ロール、テンター温度の幅方向において完全な均一性でないことによって生じる縦厚み振れの発生した厚い箇所がフィルム同士でブロッキングし、ロール巻き芯部に近づくにつれて巻き圧がかかり、弛みが発生し、湾曲が増長されることを抑えることができる。1.0μm以上であれば、更に滑り性が付与され、押出機、冷却キャストロール等の設備に由来する周期的に発生した僅かな縦厚み振れの厚い箇所がフィルム同士でブロッキングし、ロール巻き芯部に近づくにつれて圧がかかることによって発生する、弛みを抑えることができる。6.0μm以下であれば、フィルム表面全体の極端な凹凸が抑えられ、インキ抜けを抑えることができ、巻きズレの発生頻度を低減させることができる。5.0μm以下であれば、微粒子の分散性が上がり、部分的なインキ抜けを抑えることができる。4.0μm以下であれば、フィルム表面全体の凹凸を制御でき、印刷版の浅いドットのインキ抜けを抑えることができる。
該微粒子の混合方法としては特に限定されず、樹脂の重合過程で添加することもでき、かつ、樹脂組成物の製造過程や、熱収縮性フィルムの成形過程で混合することもできる。またロール巻き芯部に近づくにつれて皺が入りやすくなる場合には、微粒子の径を大きくする方向、又は量を増やす方向で配合すると皺の発生を抑えることができる。
2−2 帯電防止剤の付与
本発明のフィルムロールには帯電防止剤を塗布することができる。例えばテンターにて横延伸する前の縦延伸後のフィルムに塗布ロール速度を、ライン速度に対して0.1〜1.5倍の速度であるロールで帯電防止剤を掻き揚げながら塗布することで、フィルムに帯電防止効果を付与することができ、静電気の発生に由来する耳立ちの傾向を低減することが可能となる。
塗布型の帯電防止剤は主として界面活性剤であり、界面活性剤の種類には、カチオン系/アニオン系/混合イオン系など多種の帯電防止剤があるが、塗布のし易さから特にカチオン系、混合イオン系が多用される。
次に、本発明のフィルムロールを構成するフィルムの樹脂組成について説明する。本発明において、フィルムの樹脂組成はポリエステル系樹脂であり、以下にこれらに付き詳述する。
<熱収縮性ポリエステル系フィルムロールの樹脂組成>
本発明のフィルムロールを構成するポリエステル系樹脂組成としては、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、多価アルコール成分として、エチレングリコール、つまりエチレンテレフタレートユニットを主たる構成ユニットとすることが望ましい。
さらには、多価アルコール成分100モル%中、エチレンテレフタレートユニットを形成するため、エチレングリコールが用いられる。その他、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどのアルキレングリコール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリト−ル、ジエチレングリコール、ダイマージオール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノール化合物又はその誘導体のアルキレンオキサイド付加物なども併用可能である。
上記脂環式ジオール成分は、ジカルボン酸化合物とジオール化合物とを反応させてポリエステル樹脂を得る際に、ジオール化合物中に脂環式ジオール化合物を一部混合させることにより、単一の共重合体として含有させることができる。また、ジカルボン酸化合物と脂環式ジオール化合物とを反応させたポリエステル樹脂を合成しておき、ジカルボン酸化合物と脂環式ジオール化合物以外のエチレングリコール等のジオール化合物とを反応させたポリエステル樹脂に混合することにより含有させることもできる。
多価カルボン酸成分100モル%中、エチレンテレフタレートユニットを形成するため、テレフタル酸が用いられる。その他、芳香族ジカルボン酸、それらのエステル形成誘導体、脂肪族ジカルボン酸なども併用可能である。芳香族ジカルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタレン−1,4−もしくは−2,6−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、オルトフタル酸、フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体などが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸、ダイマー酸、マロン酸又はそのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
上記芳香族ジカルボン酸成分は、ジカルボン酸化合物とジオール化合物とを反応させてポリエステル樹脂を得る際に、ジカルボン酸化合物中に芳香族ジカルボン酸化合物を一部混合させることにより、単一の共重合体として含有させることができる。また、芳香族ジカルボン酸化合物とジオール化合物とを反応させたポリエステル樹脂を合成しておき、ジオール化合物と芳香族ジカルボン酸化合物以外のテレフタル酸等のジカルボン酸化合物とを反応させたポリエステル樹脂に混合することにより含有させることもできる。
本発明に係るポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂の慣用の製造方法、すなわち、直接重合法又はエステル交換法などにより、回分式又は連続式によって製造することができる。ここで、任意の共重合成分は、重縮合反応過程の任意の段階で添加することができる。また、ジカルボン酸化合物とジオール化合物から低重合度のオリゴマーを製造しておき、これと任意の共重合成分とを重縮合させてポリエステル樹脂を製造することもできる。
重縮合反応により得られた樹脂は、通常、重縮合反応槽の底部に設けられた抜き出し口からストランド状に抜き出して、水冷しながらもしくは水冷後、カッターで切断されてペレット状とされる。さらに、この重縮合後のペレットを加熱処理して固相重縮合させることにより、さらに高重合度化させ得るとともに、反応副生物のアセトアルデヒドや低分子オリゴマー等を低減化することもできる。
前記製造方法において、エステル化反応は、必要に応じて、例えば、三酸化二アンチモンや、アンチモン、チタン、マグネシウム、カルシウム等の有機酸塩や有機金属化合物等のエステル化反応触媒の存在下でなされ、エステル交換反応は、必要に応じて、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、チタン、亜鉛等の有機酸塩や有機金属化合物等のエステル交換反応触媒の存在下でなされる。
また、重縮合反応は、例えば、正燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐酸、及びこれらのエステルや有機酸塩等の燐化合物の存在下、及び、例えば、三酸化二アンチモン、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム等の金属酸化物、あるいは、アンチモン、ゲルマニウム、亜鉛、チタン、コバルト等の有機酸塩や有機金属化合物等の重縮合触媒の存在下でなされる。これらの重縮合触媒のうち、特にテトラブトキシチタネート、三酸化二アンチモン、二酸化ゲルマニウムから選択される1種以上が好適に使用される。また、重縮合過程での消泡を促進するため、シリコーンオイル等の消泡剤を添加することもできる。
本発明に係るポリエステル樹脂においては、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(質量比1対1)の混合溶媒中、30℃で測定した固有粘度が、通常0.4〜1.5dl/gの範囲であることが好ましい。固有粘度が0.4dl/g以上であると十分な機械的特性が得られ、また1.5dl/g以下であると成形が容易である。これらの観点から、上記条件での固有粘度は0.6〜1.2dl/gの範囲であることがさらに好ましい。
本発明に係る樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂を混合していてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの無水マレイン酸変性物、アイオノマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等である。
さらに、該樹脂組成物は、フェノール系、リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系等の光安定剤、無機系又は有機系の結晶核剤、分子量調整剤、耐加水分解剤、帯電防止剤、滑材、離型剤、可塑剤、難燃剤、難燃補助剤、発泡剤、着色剤、分散助剤などの添加剤やガラス繊維、カーボンファイバー、マイカ、チタン酸カリファイバー等の強化材を含有していてもよい。
<フィルムの層構成>
本発明のフィルムロールを構成するフィルムは、単層に限定することなく、異質材料又は同質材料からなる他層を積層した多層フィルムとすることができる。多層フィルムは、2種2層、2種3層、3種5層、4種7層といった用途に応じた複数の層で構成できる。
<フィルムロールのサイズ>
本発明におけるフィルムロールは、コアに任意のテンションをかけながら巻き取られたフィルムであり、幅0.3m以上であることが好ましく、有効長さ1000m以上であるものである。なお、フィルムの長さの上限は特に限定はないが、ハンドリング等の観点から、8000mであることが好ましい。
<コア>
本発明のフィルムロールに用いるコアは、特に限定されるものではなく、紙管、金属管、プラスチック管などを使用することができる。これらの中でも、ハンドリングの容易さやコストの観点から、紙管が最も汎用的であり、入手のし易さからみて好ましい。さらに、コアごとフィルムロールをスリットできるという、加工上の利点もある。コアとして紙管を使用する場合、紙管の万能材料試験機で計測した扁平耐圧強度が1800〜3000N/100mm幅であることが好ましい。紙管の扁平耐圧強度を1800N/100mm幅以上とすることにより、多少の巻き締まりがあってもコアの変形が少なく、コア変形による巻きズレを防止することができる。また、紙管の扁平耐圧強度を3000N/100mm幅以下とすることにより、巻き始め部分の耳立ちを抑えることができる。コア強度の調整は様々な方法が考えられるが、ポリウレタン系の樹脂などの熱可塑性樹脂コーティングなどによる強度アップが有効である。
<熱収縮性>
本発明のフィルムロールを構成する熱収縮性フィルムは、少なくとも80℃温水に10秒間浸漬した際の収縮率が20%、望ましくは30%、さらに望ましくは40%である必要がある。フィルムの厚みは、10〜100μmの範囲であることが好ましい。熱収縮性フィルムの該収縮率が20%以上であると一般包装用途として用いることができる。また30%以上であると一般的な耐熱PETボトルの肩ラベルとして使用することができる。さらに、収縮率が40%以上であると収縮の際の温度域を下げられるため非耐熱のPETボトルの肩ラベルとして使用することができる。熱収縮率を増加させるためには、予熱温度、延伸温度、及び熱処理温度をそれぞれ下げることにより調整でき、また、熱収縮率を減少させるためには、予熱温度、延伸温度、熱処理温度をそれぞれ上げることにより調整することができる。また、厚さが10μm以上であると二次加工が容易であるという利点があり、100μmを超えるフィルムは加工性に劣る傾向がある。なお、本発明のフィルムロールにより作成されたラベルを加熱収縮させる際の加熱方法は、主として蒸気による加熱が挙げられるが、これによらず熱風や赤外線などの加熱方法によっても収縮加工することができる。
<フィルムの用途>
本発明のフィルムロールにより作製されたラベルを被せる被覆物は、内容物充填時の熱に耐え、かつ上記熱収縮の際の熱に耐えるものである必要がある。例えばガラス瓶やスチール缶、ポリエチレン製やポリプロピレン製のカップやトレー、ポリエステル製のボトルなどが挙げられる。また内容物としては例えば弁当や油、牛乳、ジュース、ビールなどの食品、化粧品や医薬品、文房具類などが挙げられる。
本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。以下に実施例、比較例に使用した樹脂原料、フィルム樹脂組成、評価方法、評価結果等について詳述する。
<<樹脂原料の分析>>
後述する7種の樹脂原料について、以下の方法で組成分析、固有粘度、灰分の測定を行った。
(ポリエステル樹脂の組成分析)
ポリエステル樹脂溶液試料を、核磁気共鳴装置(NMR)により1Hをモニターすることにより分析し、ジカルボン酸成分に関しては全ジカルボン酸成分に対するモル%を、ジオール成分に関しては全ジオール成分に対するモル%を求めた。
(固有粘度(dl/g)の測定)
ポリエステル樹脂約0.25gを、フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒約25mlに1.0質量%となるように110℃で溶解させた後、30℃まで冷却し、全自動溶液粘度計(中央理化製「2CH型DJ504」)にて30℃で測定した。
(灰分の測定)
試料約10gを700℃のマッフルにて焼成を行い、焼成前後の質量を測定して、粒子物の含有量を算出した。
<<樹脂原料>>
各実施例、比較例のフィルムロールのフィルム製造に使用される樹脂のペレット原料として以下のポリエステル系樹脂7種(PET1〜7)を使用した。
(1)ポリエステル系樹脂1(PET1)
イーストマン・ケミカル社製「EASTAR PETG Copolyester6763」を使用した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分がテレフタル酸(以下、「TPA」と略記する。)であり、ジオール成分は、エチレングリコール(以下、「EG」と略記する。)が全ジオールに対して68モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、「CHDM」と略記する。)が全ジオールに対して32モル%であるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.78dl/gであった。
(2)ポリエステル系樹脂2(PET2)
以下に記載する製造例1の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分は、TPAが全ジカルボン酸に対して70モル%、イソフタル酸(以下、「IPA」と略記する。)が全ジカルボン酸に対して30モル%であり、ジオール成分がEGであるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.72dl/gであった。
−製造例1−
スラリー調製槽、エステル化反応槽、重縮合槽、及びペレット化装置を備えた回分式重合装置を用い、TPAとIPAの混合物(モル比4:1)とEGのエステル化反応物1トンを入れたエステル化反応槽に、予めスラリー調製槽にて調製したTPA:605kg(3.64キロモル)、IPA:259kg(1.56キロモル)及びEG:388kg(5.20キロモル)(ジカルボン酸とジオールのモル比は1:1.2)のスラリーを314kg/hrの速度で連続的に添加してエステル化反応を行った。エステル化反応は、反応温度250℃、常圧の条件下、エステル化反応触媒としてポリエステル樹脂の理論収量に対して200質量ppmの三酸化アンチモンを添加し、生成する水を連続的に留出させながら、反応率95%に達するまでエステル化反応を行った。エステル化反応終了後、エステル化反応物の1トンをエステル化反応槽に残し、エステル化反応物を重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応物が移送された重縮合槽に、安定剤として正燐酸を添加し、重合触媒として酢酸コバルトと三酸化二アンチモンを添加した(いずれもEG溶液として添加)。正燐酸、酢酸コバルト、三酸化二アンチモンの添加量はそれぞれ、ポリエステル樹脂の理論収量に対して、60質量ppm、150質量ppm、200質量ppmとした。
その後約100分かけて常圧から1.33×10Pa(1mmHg)まで減圧するとともに、内温を約250℃から約280℃まで上昇させ、EGを留出させながら溶融重縮合反応を行った。減圧開始後4時間経過したところで復圧し、重縮合反応を終了した。重縮合槽を復圧後、槽下部よりポリエステル樹脂をストランド状に水中に抜き出した後、ペレット状にカッティングした。また、ポリエステル系樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.72dl/gであった。
(3)ポリエステル系樹脂3(PET3)
三菱エンジニアリングプラスチックス社製「NOVADURAN 5008」をポリエステル系樹脂3として使用した。ポリエステル系樹脂3の組成を上記方法で分析した結果、ジカルボン酸成分がTPAであり、ジオール成分が1,4−ブタンジオール(以下、「BD」と略記する。)であるポリエステル系樹脂であった。また、ポリエステル系樹脂3の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.85dl/gであった。
(4)ポリエステル系樹脂4(PET4)
以下に記載する製造例2の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で灰分分析並びに、組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分はTPAであり、ジオール成分は、EGが全ジオールに対して68モル%、CHDMが全ジオールに対して32モル%であり、灰分分析を行った結果、有機物でない無機微粒子が10質量%含有しているポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.76dl/gであった。
−製造例2−
上記ポリエステル系樹脂PET1を90質量部、富士シリシア化学製の平均粒子径が3.1μmの「サイリシア420」を10質量部配合し、同方向二軸押出機で押出後、口金部よりポリエステル樹脂をストランド状に水中に抜き出した後、ペレット状にカッティングした。
(5)ポリエステル系樹脂5(PET5)
以下に記載する製造例3の方法にて、ポリエステル樹脂を製造した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で灰分分析並びに、組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分はTPAであり、ジオール成分は、EGが全ジオールに対して68モル%、CHDMが全ジオールに対して32モル%であり、灰分分析を行った結果、有機物でない無機微粒子が10質量%含有しているポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.74dl/gであった。
−製造例3−
上記ポリエステル系樹脂PET1を90質量部、富士シリシア化学製の平均粒子径が2.7μmの「サイリシア320P」を10質量部配合し、同方向二軸押出機で押出後、口金部よりポリエステル樹脂をストランド状に水中に抜き出した後、ペレット状にカッティングした。
(6)ポリエステル系樹脂6(PET6)
スラリー調製槽、エステル化反応槽、重縮合槽、及びペレット化装置を備えた回分式重合装置を用い、TPAとEGとネオペンチルグリコール(以下、「NPG」という。)の混合物とのエステル化反応物1トンを入れたエステル化反応槽に、予めスラリー調製槽にて調製したTPA:820kg、NPG:128kg及びEG:291kgのスラリーを314kg/hrの速度で連続的に添加してエステル化反応を行った。エステル化反応は、反応温度250℃、常圧の条件下、エステル化反応触媒としてポリエステル樹脂の理論収量に対して200質量ppmの三酸化アンチモンを添加し、生成する水を連続的に留出させながら、反応率95%に達するまでエステル化反応を行った。エステル化反応終了後、エステル化反応物の1トンをエステル化反応槽に残し、エステル化反応物を重縮合槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応物が移送された重縮合槽に、安定剤として正燐酸を添加し、重合触媒として酢酸コバルトと三酸化二アンチモンを添加した(いずれもEG溶液として添加)。正燐酸、酢酸コバルト、三酸化二アンチモンの添加量はそれぞれ、ポリエステル樹脂の理論収量に対して、60質量ppm、150質量ppm、200質量ppmとした。
その後約100分かけて常圧から1.33×10Pa(1mmHg)まで減圧するとともに、内温を約250℃から約280℃まで上昇させ、EGを留出させながら溶融重縮合反応を行った。減圧開始後4時間経過したところで復圧し、重縮合反応を終了した。重縮合槽を復圧後、槽下部よりポリエステル樹脂をストランド状に水中に抜き出した後、ペレット状にカッティングした。また、ポリエステル系樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.70dl/gであった。
(7)ポリエステル系樹脂7(PET7)
日本ユニペット社製「RT−523C」を使用した。該ポリエステル樹脂について、上述の方法で組成分析を行った結果、ジカルボン酸成分がTPAであり、ジオール成分は、EGが全ジオールに対して98モル%、ジエチレングリコール(以下「DEG」と略記する)が全ジオールに対して2モル%であるポリエステル樹脂であった。また、該ポリエステル樹脂の固有粘度を上記方法で測定した結果、0.70dl/gであった。
<<フィルムロールの作製>>
以上の樹脂原料7種を用いて、以下の実施例1〜6、比較例1〜5のフィルムロールを得た。配合の一覧を表1に、フィルムの製造条件一覧を表2に示す。
(実施例1)
原料ポリエステル樹脂PET1を54.5質量部、ポリエステル樹脂PET2を27質量部と、ポリエステル樹脂PET3を15質量部、ポリエステル樹脂PET4を3.5質量部配合し、270℃の同方向二軸押出機で真空ベントを引きながら溶融混練し、Tダイ口金から冷却ロール上に押出し、厚さ250μmの未延伸フィルムを得た。その後、上記フィルムを縦延伸機の低速−高速ロール間の縦延伸をかけるところは1.1倍で縦倍率をかけ、上記ロール間以外のドローは0.98倍とした。その後、テンターにて101℃で予熱し、延伸温度79℃、延伸速度3000%/分でキャスティング押出方向に対して、垂直方向の横方向に5倍延伸を行い、熱処理温度92℃で処理後、テンター弛緩率0.4%にて厚さ50μmの熱収縮性フィルムを得た。なお、テンター熱風の吹出に関して、平均速度は10m/秒、フィルム幅方向の速度差は3m/秒であり、テンター出口のフィルム幅方向における温度幅は3℃であった。また、ワインダーにてフィルムを巻き取る張力は50N/m、フィルムをガイドするゴムロールの接圧は30N/m、巻き始めの初期値に対する巻き終わりの最終値が、張力、接圧それぞれ75%、200%(制御率)に調整した。更にスリッターにてフィルムを巻き取る張力は65N/m、フィルムをガイドするメタルロールの接圧は160N/m、巻き始めの初期値に対する巻き終わりの最終値が、張力、接圧それぞれ45%、190%(制御率)に調整して、0.98m幅にスリットし、1000m巻き取り、実施例1にかかるフィルムロールを得た。
このとき、使用したスリット刃は、京セラ製のφ60mmセラミック回転丸刃で、タッチロールは、KMC製アルミ芯のφ150mmメッキロールである。
(実施例2〜6;比較例1〜5)
表1の配合表に従い配合した樹脂を実施例1と同様の条件で溶融押出し、250μmのフィルムを得た。なお、表中の単位は質量%である。
上記フィルムを表2の条件にて製膜、巻き取り、スリットし、フィルムロールを得た。表2以外の条件は全て実施例1と同様に製膜、巻き取り、スリットを行った。
なお、上記実施例、比較例のフィルムロール製造条件は、以下の要領にて測定した。
(フィルム温度計測)
テンター出口のフィルム温度をTASCO製 非接触の赤外温度計『THI−440N』にて計測した。計測位置としては、フィルム中央/両端/左記間の5点とした。両端は、テンタークリップから50mm以内であるとクリップ輻射熱の影響を受けて、正確なフィルム温度を計測することができないため、クリップから50mm離れた位置とした。
(スリッター張力)
スリッターの初期張力(m幅当たり)を記録した。
(張力制御率)
初期張力に対する巻き終わり時の張力の割合(%)を記録した。
つまり、「張力制御率」=「巻き終わり時の張力」/「初期張力」である。
(スリッター接圧)
スリッターの初期接圧(m幅当たり)を記録した。
(接圧制御率)
初期接圧に対する巻き終わり時の接圧の割合(%)を記録した。
つまり、「接圧制御率」=「巻き終わり時の接圧」/「初期接圧」である。
Figure 0005001801
Figure 0005001801
<<フィルムロールの評価方法>>
以下に、フィルムロールの評価方法を説明する。評価結果は表3にまとめて示した。
(1)コア耐圧強度
図7に試験の概略を示す。紙管を幅方向100mmに裁断し、温度23℃、湿度50%雰囲気下に24時間、保管して試料70とした。島津製作所製 油圧サーボ『UH−10A』に、試料70を寝かせてセッティングし、圧縮速度10mm/minでサンプルを圧縮させたときの最大強度を計測し、「コア耐圧強度」として記録した。
(2)湾曲評価
図8に示すように、水平平面である矩形湾曲台80に、フィルムロールの巻出部及びコア巻付部からそれぞれ長手方向に5m巻き出したフィルムを載せてシワ、弛みが発生しないように静置し、長手方向両端の幅方向端部同士を直線で結ぶ直線Lの中央において、フィルムエッジと直線Lからずれた距離|Wa|及び|Wb|のそれぞれの値(mm)を測定し、絶対値の大きい方の値を「湾曲」として記録した。また、以下に定義する測定値を「湾曲差」として記録した。
(湾曲差):1本のフィルムロールに巻かれていたフィルムの巻き始め側の端部から5m外側に巻いたところまでのフィルムを採取したものをコア「巻付部」とする。同様にフィルムの巻き終わり側の端部から5m内側に巻いたところまでのフィルムを採取したものを「巻出部」とする。フィルムロールのコア巻付部で測定した湾曲値と、前記フィルムロールの巻出部で測定した湾曲値との差を「湾曲差」とする。
なお、「湾曲」とは、0基準に対して±のある実際に計測した距離をいい、「湾曲値」とは、この「湾曲」を絶対値化した数値をいう。
(3)80℃収縮率
各実施例又は比較例にて得られたフィルムを、測定延伸方向に150mm、これに対する直交方向に25mmの大きさに切り取り、試料を作成した。試料の延伸方向に100mm間隔の標線を付し、80℃の温水浴に10秒間浸漬させ、その後30秒間23℃の冷水に浸漬した後の標線間隔(A(mm))を測定し、下式(1)により収縮率を算出した。
収縮率(%)=100×(100−A)/100・・・・式(1)
(4)半年後の印刷評価
20℃に保った保冷倉庫にフィルムロールを半年間保管し、その後6色印刷機を用いて一般的に用いられるカラーチャート版を使用し150m/分の速度で非帯電防止面に6色印刷を行った。見当ズレ監視装置の見当ズレ精度を観測し、ロール全域にわたる見当ズレの平均を見当ズレの値とした。
○:見当ズレが0.3mm未満
△:0.3〜0.9mm
×:見当ズレが0.9mmを超える。
見当ズレが0.3mm未満の場合には見た目にボヤケを感じられない。見当ズレが0.3〜0.9mmの場合にはわずかにぼやけるものの、商品としては問題がない。見当ズレが0.9mmを超える場合にはボヤケがひどく商品価値がなくなる。
(5)溶剤シール走行性
巻き上げた幅0.6〜1.2mのフィルムロールを、さらに表1と同様な各例の巻き条件にて、幅0.2〜0.3mに再スリットした。再スリットされたフィルムロールを製袋機でTHF=100%の溶剤にて100m/minで製袋した際の、シール走行性を以下の基準で評価記録した。
○:シール幅が3〜4mmで均等にシールされ、シールエッジが直線である。
△:シール幅が3〜5mmでシールされ、シールエッジがわずかに波打っている。
×:シール幅が2〜5mmでシールされ、シールエッジが波打ち、シール内に気泡が含まれている。
Figure 0005001801
表3から、フィルムロールの端部Aと、該端部Aから前記フィルムロール幅方向の中央Cに向かって10cmの位置Bとを結んだ直線Aの中点から前記フィルムロールへ下した垂線の長さLが、1mm以下のフィルムロールは溶剤シール走行性が良好であり、かつ半年の保管経時後の実用性が優れていることが分かる。これに対し、Lが1mmを超えている場合には、溶剤シール走行性が悪く、かつ保管経時変化も大きいことが分かる。
フィルムロールの耳立ちを概略的に示す図である。 フィルムロールの耳立ちを測定する方法を概略的に示す図である。 マスターロールの製造工程を示す概略図である。 スリット工程を概略的に示す図である。 多色印刷工程を概略的に示す図である。 フィルムに記されたマークをセンサが感知している状態を示す図である。 紙管の耐圧強度試験を示す図である。 湾曲を測定する原理を示す図である。
符号の説明
、A 端部
、B 端部からフィルムロール幅方向の中央に向かって10cmの位置
、C 中点
、L 耳立ち
S 定板
1 フィルムロール
2 端
3 逆の端
31 押出機
32 Tダイ
33 キャスティングロール
34 テンター装置
35 マスターロール
36 タッチロール
37 ワインダー装置
40 スリッター
41、42、43 フィルムロール
44、45、46 タッチロール
51 巻き出しロール
52a、52b インクリザーバ
53a、53b 版ロール
55a、55b 圧胴ロール
56a、56b ドクターブレード
57a、57b センサ
61 マーク
70 紙管
80 湾曲台
81 試料フィルム
100 フィルム
510、517 方向変換ロール
511〜516 調整ロール
518 巻き取りロール
520 グラビア印刷機
530 乾燥ゾーン

Claims (5)

  1. 長さ1000m以上であり、80℃温水中に10秒間浸漬した後の主収縮方向の収縮率が少なくとも20%であるポリエステル系熱収縮性フィルムをコアに巻き取ってなるフィルムロールであって、
    前記フィルムロールを製造する際のスリット工程において、
    接圧ロールとして金属ロールを用い、
    スリッター張力を30〜100N/mとし、
    スリッター張力制御率を40〜60%とし、
    接圧を70〜250N/mとし、かつ
    接圧制御率を150%〜250%とすることによって、
    前記フィルムロール幅方向の少なくとも一方の端部Aと、該端部Aから前記フィルムロール幅方向の中央に向かって10cmの位置Bとを結んだ直線Aの中点Cから前記フィルムロールへ下した垂線の長さLが1mm以下とされたことを特徴とするポリエステル系熱収縮性フィルムロール。
  2. 前記フィルムロールの他方の端部Aで測定されるLと、前記Lとの差が±0.5mm以下である請求項1に記載のポリエステル系熱収縮性フィルムロール。
  3. 前記コアが紙管である請求項1又は2に記載のポリエステル系熱収縮性フィルムロール。
  4. 万能材料試験機で計測される前記紙管の扁平耐圧強度が1800〜3000N/100mm幅である請求項3に記載のポリエステル系熱収縮性フィルムロール。
  5. 長さ1000m以上であり、80℃温水中に10秒間浸漬した後の主収縮方向の収縮率が少なくとも20%であるポリエステル系熱収縮性フィルムをコアに巻き取ってなるフィルムロールの製造方法であって、
    前記フィルムロールを製造する際のスリット工程において、
    接圧ロールとして金属ロールを用い、
    スリッター張力を30〜100N/mとし、
    スリッター張力制御率を40〜60%とし、
    接圧を70〜250N/mとし、かつ
    接圧制御率を150%〜250%とすることによって、
    前記フィルムロール幅方向の少なくとも一方の端部A と、該端部A から前記フィルムロール幅方向の中央に向かって10cmの位置B とを結んだ直線A の中点C から前記フィルムロールへ下した垂線の長さL を1mm以下としたことを特徴とするポリエステル系熱収縮性フィルムロールの製造方法。
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