JP5000700B2 - 重金属類を含有する汚染水の処理剤および処理方法 - Google Patents

重金属類を含有する汚染水の処理剤および処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヒ素、セレン、鉛、カドミウムおよびクロム(特に六価クロム)の重金属類に汚染された、地下水、河川水、湖沼水、各種工業排水等から重金属類を効率よく除去する方法と、これに用いる処理剤に関するものである。尚、本発明において「ヒ素、セレン、鉛、カドミウムおよびクロムの重金属類」とは、ヒ素、セレン、鉛、カドミウムおよびクロムの単体金属、化合物(特に酸化物)、塩およびイオンを含む趣旨である。
ヒ素、セレン、鉛、カドミウムおよびクロム等の重金属類は、人体に対して有害であり、健康障害をもたらすことから、これらの重金属類による環境汚染が問題となっている。重金属類は、地下水、河川水、湖沼水、各種工業排水等に含まれており、環境基準、排水基準が定められている。水中の重金属類がこれらの水質基準を超える場合には、水中からこれらの重金属類を除去する必要がある。
これらの重金属類で汚染された水(以下、「汚染水」と呼ぶことがある)を連続的に浄化処理する方法としては、吸着剤を用いて重金属類を吸着除去する各種方法(吸着法)が提案されている。この吸着法は、吸着剤を充填した吸着塔に重金属類を含む汚染水を連続的に通水し、汚染水を吸着剤に接触させて吸着除去するものである。
上記のような吸着法で用いる吸着剤としては、活性炭、活性アルミナ、ゼオライト、チタン酸、ジルコニア水和物等が知られている。これらの吸着剤を使用する方法では、重金属類の種類に応じて吸着剤の種類を選択することによって、優れた除去効率を達成できるが、これらの吸着剤は概して高価であるため処理コストが高くなるという欠点がある。
ところで、吸着剤を用いる方法においては、設備コストや運転効率の面で、吸着剤の充填層への通水抵抗が低いことが望ましい。こうしたことから、吸着剤としては、微粉末ではなく、一定以上の粒子径に造粒加工したものが使用されることが多い。
造粒化した吸着剤に関する技術として、例えば特許文献1には、「繊維状活性炭、重金属吸着性能を有する粒径:0.1〜90μmの微粒子無機化合物およびバインダーからなる混合物を成型せしめてなる活性炭成型体」が提案されている。この技術は、バインダーとして、ミクロフィブリル化繊維、熱融着繊維、熱融着樹脂粉末または熱硬化性樹脂粉末を用いて繊維着状活性炭と微粒子無機化合物を造粒物として成型するものである。
こうした技術では、バインダーを用いることによって強度の高い造粒物が得られるのであるが、造粒物内部に存在する吸着剤への汚染水の浸透が不足気味となり、吸着剤と汚染水との接触効率が悪く、重金属の除去を効率良く達成できないという問題がある。また、上記のようなバインダーを用いた場合には、これらのバインダーが吸着剤の表面を被覆する傾向があり、吸着剤と汚染水との接触を妨げ、重金属の吸着効率が低下するという問題もある。
造粒化した吸着剤に関する他の技術として、例えば特許文献2のような技術も提案されている。この技術では、「交換可能な全陽イオン量の10モル%以上がマグネシウムイオンで、且つ60モル%以上がマグネシウムイオンとカルシウムイオンで置換された合成ゼオライトと活性炭とを、2:98〜50:50の重量比で含有する水中重金属除去剤」とするものである。また、この技術では、「合成ゼオライトには、粉末合成ゼオライトを適切なバインダーを用いて成型し、粉砕したものが好ましい。」ことや、「活性炭はヤシ殻を原料としこれを破砕状にしたものが好ましい。」こと等が開示されている。
こうした技術においても、ゼオライトに関しては、上記した技術と同様の問題が生じることになる。また活性炭についても、粒子内部までの水の侵入が不十分であるという問題がある。
また、バインダーを用いた造粒物は、水中での長期使用において、バインダーの劣化や吸着剤との剥離が生じ、吸着剤造粒物が微粉化するという事態も生じることになる。微粉化した吸着剤は、吸着剤充填塔内で目詰まりの原因となり、連続的な通水運転に支障をきたすことになる。また、バインダーを用いずに、顆粒状に成形した吸着剤造粒物も知られているが、こうした造粒物では、強度が低くなり、長期の使用によって微粉化を招くことになる。
上記のような問題に対して、造粒を行なわずに、粉末状の吸着剤を用いて汚染水との接触効率を高める方法も考えられる。しかしながら、こうした方法を採用した場合には、吸着剤充填層への通水抵抗が過大となることが予想され、設備・運転コストが増大することになり、実用的な通水速度で処理することが困難になるという別の問題が生じることになる。
造粒をせずに、吸着剤充填層への通水抵抗を調整する技術として、例えば特許文献3のような技術が提案されている。この技術では、「ゼオライトとこのゼオライトよりも大きな粒径の粒度調整材を混合した吸着剤を備えた濾過層に重金属含有排水を通過させ、前記ゼオライトと重金属含有排水とを接触させる処理方法」が開示されている。また、この技術では、ゼオライトはその粒径が小さく、ゼオライトのみで濾過層を構成するとその透水性が低いため、ゼオライトよりも大きな粒径の粒度調整材をゼオライトに混ぜることによって、濾過層の透水性(通水速度)を向上させ、重金属含有排水の処理能力を向上させるものである。
この技術では、粒度調整材として珪砂等が例示されており、この様な粒度調整材を用いることによって、透水性の向上は期待できるが、吸着充填物に占める吸着剤の比率が小さくなってしまうために、求められる重金属除去性能に対して、吸着塔が過大となる、即ち、設備のコンパクト化が図れないという問題がある。
上記のように、吸着法によって汚染水から重金属類を除去するに当たっては、高い吸着効率、実用的な装置規模、通水条件および長期耐久性等の要求特性が吸着剤に要求されるのであるが、これまで提案されている吸着剤では、これらの要求特性の全てを満足し得るものが実現できていないのが実情である。
特開2003−334543号公報 特開2004−912号公報 特開2005−28245号公報
本発明は前記のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、汚染水からヒ素、セレン、鉛、カドミウムおよびクロムの重金属類を除去するに際して、高い吸着効率および長期耐久性等の要求特性を満足しえる様な処理剤、およびこうした処理剤を用いた有用な処理方法を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の処理剤とは、ヒ素、 セレン、鉛、カドミウムおよびクロムの重金属類の少なくとも1種を含有する汚染水から前記重金属類を除去するための処理剤であって、硫黄を含有してなる鉄粉を焼成して造粒物の形態としたものである点に要旨を有するものである。
本発明の処理剤においては、(a)鉄粉は硫黄を0.6〜5質量%の量で含有するものである、(b)鉄粉はその平均粒径が1〜100μmである、(c)造粒物の平均粒径が0.1〜4.0mmである、(d)鉄粉はアトマイズ法によって製造されたものである、等の要件を満足するものが好ましい。
上記のような処理剤を用いて、ヒ素、セレン、鉛、カドミウムおよびクロムの重金属類の少なくとも1種を含む汚染水と、前記処理剤とを接触させることによって汚染水中の重金属類が効果的に除去できる。
本発明によれば、硫黄を含有する鉄粉を焼成して造粒物の形態としたものを吸着剤とすることにより、高い吸着効率、実用的な装置規模、通水条件および長期耐久性等の要求特性を満足しつつ、汚染水中のヒ素、セレン、鉛、カドミウムおよびクロム等の重金属類を効率よく除去できる。
本発明の処理剤は、硫黄を含有してなる鉄粉を焼成して造粒物の形態としたところに要旨がある。本発明で適用する焼成法は、基本的にバインダーを用いることなく、鉄粉原料から多孔質の造粒物を得る上で有用な方法である。この方法で、硫黄を含有する鉄粉原料から上記のような造粒物を得るには、例えばアトマイズ法によって得られた硫黄含有鉄粉を、大気雰囲気或は還元性雰囲気の加熱炉に投入し、少なくとも900℃以上の温度に加熱して焼成を行なえばよい。これによって、鉄粉粒子同士の接点が硫黄成分の存在下で強固に焼結され、多孔質で且つ高強度の塊状物を得ることがきる。この塊状物を、適切な方法で粉砕し、篩によって分級することにより、所定の粒度範囲の造粒物を得ることができる。尚、加熱炉の雰囲気を還元性雰囲気にするには、例えば加熱炉内に水素や窒素の吹き込みを行なうことによって達成される。
焼成のための温度(焼成温度)は、900℃未満になれば、硫黄成分を含有する鉄粉を用いても粒子同士の結合が不十分となって、造粒物の強度が低下することになる。焼成温度は、好ましくは960℃以上、より好ましくは980℃以上とするのが良い。しかしながら、焼成温度があまり高くなっても造粒物の強度向上効果が鈍化する。一方、加熱のためのエネルギーコストの増加にもつながる、もしくは、高温用の特殊な加熱炉が必要となる等の問題があり、1200℃以下、好ましくは1150℃以下、より好ましくは1000℃以下することが良い。
本発明で造粒物の原料として用いる鉄粉は、硫黄(S)を含むものであるが、その理由としては、まず汚染水からヒ素やセレン等の重金属類を除去する性能を向上させる上で有用である。即ち、鉄粉に所定量のSを含有させることによって、汚染水からセレン等の重金属類を除去する性能が向上することを見出し、その技術的意義が認められたので、同一出願人によって先に出願している(特開2006−312163号公報、同2008一43921号公報、同2009−82818号公報)。こうした鉄粉を造粒物の原料として用いることによって、造粒物における重金属類への除去性能が向上することになる。
また硫黄を含む鉄粉を用いることは、造粒物の強度を向上させる上で有用である。即ち、本発明者らが、JIS K 1474に規定する「活性炭試験方法」に従って造粒物の強度を測定し、この強度と、鉄粉中硫黄含有量との関係を調査したところ、所定量のSを含有する鉄粉を用いることは、造粒物の強度を向上させる上でも有用であることを見出している。上記試験方法は、篩上に残った試料の質量割合(全体に対する質量%)を強度(硬度)の指標とする方法であり、測定された値が大きいほど、強度が高いことを示すものである(測定手順は後述する)。上記のようにして測定される造粒物の強度(篩上に残った試料の質量割合)は、90%以上であることが好ましく、より好ましくは95%以上である。
ヒ素やセレン等の重金属類を除去すると共に、上記のような強度を達成する上で、原料鉄粉中の硫黄含有量は、0.6質量%以上とすることが好ましい。尚、この硫黄含有量は、より好ましくは0.7質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上とするのが良い。
一方、鉄粉中の硫黄の含有量が多いほど、鉄粉の重金属類の除去性能が向上し、且つ造粒物の強度は上昇する。しかしながら、硫黄の含有量が過度に多くなると、鉄粉本来の重金属吸着活性を阻害することになりかねず、また例えばアトマイズ法などによって鉄粉を製造する際に多量のタール状物質が生成して、溶鉄流出ノズルが閉塞され、鉄粉の生産性が著しく害される。こうしたことから、鉄粉中の硫黄の含有量は、5質量%以下であることが好ましい(より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下)。
鉄粉に硫黄を含有させることによって、重金属類の除去性能が向上する理由としては、鉄粉中に含まれる硫黄の作用で、鉄粉表面の酸化が促進され(鉄のアノード反応:Fe→Fe2++2e-)、該鉄粉表面で効率良く生成する鉄イオン、急速に成長する鉄の酸化物や水酸化物によって、汚染中に金属イオンや化合物イオンの形態で存在する重金属類の鉄粉への吸着が促進され、それに伴って重金属類の除去が効率良く進行するものと考えられる。
本発明で造粒物の原料として用いる鉄粉は、その粒径(平均粒径)が小さければ小さいほど表面積(比表面積)が増大し、重金属類の除去性能が増大する。しかしながら、鉄粉の粒径が小さくなり過ぎると、造粒物の強度が低下して微粉化しやすくなり、造粒物の透水効率が低下する等の問題が生じることになる。一方、鉄粉の粒径が大きいほど、歩留まりが高くなって取り扱い性も向上するのであるが、重金属類の除去速度が低下することになる。こうしたことから、原料の鉄粉の平均粒径は、1〜100μm程度であることが好ましい。この平均粒径の好ましい下限は5μm(特に、10μm)であり、好ましい上限は90μm(特に80μm)である。尚、本発明において「鉄粉の平均粒径」とは、JIS Z 8801に規定されるふるい(篩)を用いた乾式ふるい分け試験によって得られた粒度分布を累積ふるい上百分率、もしくは累積ふるい下百分率が50質量%となる粒子径をいう。
各重金属類が鉄に吸着される推定メカニズムについて、具体例を挙げて、より詳しく説明する。まずヒ素やセレンは、ヒ酸イオン(AsO4 3-)やセレン酸イオン(SeO4 2-)の形態で溶解している。このヒ酸イオンやセレン酸イオンを除去するためには、これらのイオンと鉄イオンを反応させて化合物を生成させれば良い。そして、硫黄を含有させた鉄粉を用いることによって、鉄イオンを水中に効率良く放出することができる。その結果、不溶性のヒ酸鉄やセレン酸鉄(ヒ酸やセレン酸と鉄との化合物)を鉄粉表面に析出させて(即ち、重金属を鉄粉に吸着させて)、水中からヒ酸イオンやセレン酸イオンを効率良く除去することができる。
鉛およびカドミウムは、夫々鉛イオン(Pb2+)およびカドミウムイオン(Cd2+)の形態で水中に溶解している。硫黄を含有した鉄粉によって鉄のアノード反応が促進されるので、鉛イオンやカドミウムイオンが、夫々金属カドミウムや金属鉛に効率良く還元され、鉄粉表面に析出する(即ち、重金属が鉄粉に吸着する)。その結果、カドミウムイオンや鉛イオンを、水中から効率良く除去することができる。
クロムは、クロムイオン(Cr3+、Cr6+)の形態で水中に溶解している。硫黄を含有した鉄粉によって、鉄のアノード反応によって水に電子を供給し、水酸化物イオンを効率良く生成させる。これらクロムイオンと水酸化物イオンとが反応して、不溶性の水酸化クロムが鉄粉表面に析出する(即ち、重金属が鉄粉に吸着する)。その結果、クロムイオンが水中から効率良く除去することができる。
本発明で原料として用いる鉄粉は、その種類に特に限定は無く、工業的に入手可能なあらゆる鉄粉を用いることができる。鉄粉の種類としては、例えばアトマイズ鉄粉、鋳鉄粉およびスポンジ鉄粉、並びにこれらの鉄基完全合金粉および部分合金化粉などが挙げられる。これらの中でも、大量生産が可能であり、成分や粒径を揃えることができるアトマイズ法によって製造されたアトマイズ鉄粉が好ましい。
上記のようにして得られる造粒物は、その平均粒径は0.1〜4.0mm程度であることが好ましい。造粒物の平均粒径が0.1mm未満では、造粒物を充填した充填層の通水抵抗が増大することになる。また、造粒物の平均粒径が4.0mmを超えると、充填層の空隙が大きくなって充填層の容積に対する吸着効率が低下することになる。尚、本発明において「造粒物の平均粒径」とは、上記「鉄粉の平均粒径」で示した定義と同様である。
本発明は、ヒ素並びにセレン等の重金属類を含有する汚染水と、本発明の処理剤(鉄粉を還元焼成して得られた造粒物)とを接触させることによって、汚染水から重金属類を除去する方法も提供する。本発明において、汚染水と本発明の処理剤(鉄粉)とを接触させる方法には特に限定は無く、例えば(1)処理剤を適当な容器に充填し、これに汚染水を連続的に通過させて接触させる方法、(2)処理剤を汚染水に添加した後、撹拌・分散させて重金属類を捕捉する方法などが挙げられる。これらの方法のうち、本発明の処理剤では、上記の様な造粒物とすることによって、透水性(低通水抵抗、高吸着効率)が良好であるので、上記(1)の方法を採用したときに、その効果が顕著に発揮されるので好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
〈処理剤〉
原料鉄粉として、水アトマイズ法で製造した種々の硫黄含有量の鉄粉(平均粒径:65μm)を使用した。尚、各鉄粉の硫黄含有量は下記表1に記載する。
〈焼成による造粒物の調製〉
水アトマイズ法で製造した上記各種鉄粉を、脱水後加熱炉用連続コンベア上に搭載し、大気中或は水素ガス雰囲気下の加熱炉で、980℃にて焼成を行なった。得られた鉄粉塊状物を解粒機で破砕し、破砕物を所定の目開きの篩にかけて分級し、0.50〜1.4mmの平均粒半径範囲を有する造粒物を得た。
得られた造粒物について、下記の方法によって強度(硬さ)を測定した。
〈造粒物の強度(硬さ)の測定〉
JIS K 1474に従って造粒物の強度を測定した。まず、篩分けした試料(造粒物)を、100mL採取した。直径:12.7mm、9.5mmの鋼球を各々15個ずつと共に、硬さ試験用皿に入れ、篩振とう機に取り付け、30分振とうする。次で、粒度下限の篩の目開きの2段下の篩を用い、鋼球を除いた試料を全部入れる。篩振とう機にて3分振とうし、夫々の試料を計量する。篩に残った試料の質量割合(全体に対する質量%)を測定し、強度(硬度)の指標とした(この値が大きいほど、強度が高いことを示す)。
その結果を、各原料鉄粉中の硫黄含有量、焼成雰囲気温度と共に、下記表1に示す。
Figure 0005000700
この結果から、明らかなように、硫黄の含有量が多くなればなるほど、造粒物の強度が向上することが分かる(試験No.1〜4)。特に、硫黄の含有量が1.0質量%のものでは(試験No.1,2)、高い強度を達成していることが分かる。
表1に示した各造粒物について、下記表2に示す重金属類の濃度となるように化合物等を溶解させて調製した各種汚染水(処理前)を調製し、各処理剤で処理した後の汚染水(処理後)中の重金属の濃度を測定して吸着性能を調査した。その結果を、下記表2に併記する。
〈造粒物の重金属吸着性能試験:その1〉
重金属除去性能を判断する上で、ヒ素の吸着性能による試験を実施した。まず、ヒ素含有排水のモデル液として、ヒ酸カリウム(KH2AsO4)のヒ素濃度で、1.0mg/L、10.0mg/Lおよび100.0mg/Lとなる様に蒸溜水に溶解させ、3つの異なるヒ素濃度を有する被処理水を調製した。ヒ素濃度の異なる各被処理水が250mL入った三角フラスコに、上記で調製した各造粒物を各々2.5g(1.0質量%)となるように添加し、室温で72時間振とうさせた。次いで、振とうを止めて造粒物と上澄液を分離し、該上澄液中の残留ヒ素濃度をJIS K0102 61.3に則った水素化物としてIPC発光分析法により測定した。
Figure 0005000700
表2の結果から次のように考察できる。初期ヒ素濃度において低濃度(初期ヒ素濃度が1.0mg/L)の場合では、硫黄含有量の違いによる差異は明らかではないが、ヒ素濃度が高くなるにつれて、硫黄含有量が多いほど吸着性能が向上していることが分かる。特に、硫黄含有量が1.0質量%である鉄粉から得られた造粒物では(試料No.1,2)、初期ヒ素濃度の如何にかかわらず、高い吸着性能(ヒ素除去率)を示していることが分かる。
〈造粒物の重金属吸着性能試験:その2〉
ヒ素以外の重金属類として、セレン、鉛、カドミウムおよびクロムの吸着性能による試験を実施した。セレン、鉛、カドミウムおよびクロムの各々の含有排水のモデル液として、セレンはセレン酸ナトリウム(Na2SeO4)、鉛は硝酸鉛(II)(Pb(NO32)、カドミウムは塩化カドニウム2.5水和物(CdCl2・2.5H2O)、クロムは二クロム酸カリウム(K2Cr27)を夫々用い、各々の重金属濃度で、1.0mg/L、10.0mg/Lおよび100.0mg/Lとなる様に蒸溜水に溶解させ、3つの異なる重金属濃度を有する被処理水を調製した。重金属濃度の異なる各被処理水が250mL入った三角フラスコに、強度およびヒ素吸着性能が最も良かった試験No.1(表1、2)で調製した造粒物を2.5g(1.0質量%)となるように添加し、室温で72時間振とうさせた。次いで、振とうを止めて造粒物と上澄液を分離し、該上澄液中の残留重金属濃度を測定した。このときセレンはJIS K0102 67.3に則った水素化物発生IPC発光分析法、鉛およびカドミウムはJIS K0102 54.4に則ったIPC質量分析法、クロムはJIS K0102 65.5に則ったIPC質量分析法により、各々の重金属濃度を測定した。その結果を、下記表3に併記する。
Figure 0005000700
表3から明らかなように、高い強度とヒ素吸着性能を併せ持つ試験No.1の造粒物(鉄粉から得られた造粒物)は、ヒ素以外の重金属類(セレン、鉛、カドミウムおよびクロム)に対しても、高い吸着性能(重金属類除去率)を示していることが分かる。

Claims (6)

  1. ヒ素、セレン、鉛、カドミウムおよびクロムの重金属類の少なくとも1種を含有する汚染水から前記重金属類を除去するための処理剤であって、硫黄を含有してなる鉄粉を焼成して造粒物の形態としたものであることを特徴とする処理剤。
  2. 鉄粉中の硫黄の含有量が0.6〜5質量%である請求項1に記載の処理剤。
  3. 鉄粉はその平均粒径が1〜100μmである請求項1または2に記載の処理剤。
  4. 造粒物の平均粒径が0.1〜4.0mmである請求項1〜3のいずれかに記載の処理剤。
  5. 鉄粉はアトマイズ法によって製造されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の処理剤。
  6. ヒ素、セレン、鉛、カドミウムおよびクロムの重金属類の少なくとも1種を含む汚染水と、請求項1〜5のいずれかに記載の処理剤とを接触させることを特徴とする汚染水の処理方法。
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