JP5000082B2 - 光波レーダ装置 - Google Patents

光波レーダ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5000082B2
JP5000082B2 JP2004175653A JP2004175653A JP5000082B2 JP 5000082 B2 JP5000082 B2 JP 5000082B2 JP 2004175653 A JP2004175653 A JP 2004175653A JP 2004175653 A JP2004175653 A JP 2004175653A JP 5000082 B2 JP5000082 B2 JP 5000082B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scanning
wind speed
wind
light
angle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004175653A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005351853A (ja
Inventor
俊行 安藤
嘉仁 平野
洋 酒巻
俊夫 若山
俊平 亀山
匡 古田
康夫 吉田
正廣 萩尾
勝広 岡崎
仁 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2004175653A priority Critical patent/JP5000082B2/ja
Publication of JP2005351853A publication Critical patent/JP2005351853A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5000082B2 publication Critical patent/JP5000082B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A90/00Technologies having an indirect contribution to adaptation to climate change
    • Y02A90/10Information and communication technologies [ICT] supporting adaptation to climate change, e.g. for weather forecasting or climate simulation

Landscapes

  • Radar Systems Or Details Thereof (AREA)
  • Optical Radar Systems And Details Thereof (AREA)

Description

本発明は、レーザ光を空間に放出して空間内のエアロゾル移動に伴う散乱光のドップラシフトによる風速を測定する光波レーダ装置に関する。
風速の空間分布の観測は、気象観測、気象予測だけでなく、近年では風力発電設備に代表される風力利用の観点からも重要な観測項目となってきている。その中でもとりわけ、ヒートアイランド現象などの局所的な気象メカニズムの解明、あるいはビル風に代表される都市内環境計測、風力発電設備設置前の風況調査などを行なうために、地表面近くの風速空間分布を観測するニーズが高まっている。
地表面近くの風速分布観測の代表例として、以下では、風力発電設備導入前の風況調査について説明する。風力発電設備の導入に際しては、有望地域の立地調査の後に、実際にその地域での風向風速の連続観測に基づいて発電量の見積りを行い、導入可能性を評価する「風況精査」が実施される。風力発電量は、風速の3乗に比例するため、風況精査においては十分な観測精度が要求されている。
地表から天頂方向の風速プロファイルを測定する手段として、気象レーダRADAR(Radio Detection And Ranging)、または音波レーダSODAR(SOund Detection And Ranging)を用いた風況測定方法が近年提案されている。この2つの測定方法のうち、特に、音波レーダSODARを用いた方法は、近接測定可能距離が小さく、高度100m程度以下の比較的低層の風況を測定するのに適していることが示されている(例えば、非特許文献1参照)。
この音波レーダを用いた風況測定方法は、上空に向けて複数の方向に音波を照射し、上空大気の温度勾配によって後方散乱される音波を受信し、ドップラシフトに基づき視線方向風速を測定し、ベクトル演算により風向風速を算出するものである。風速場の平均を測定できるため、風況精査に適した方法であるといえる。
この音波レーダにより複数の観測空間を測定するためには、天頂方向にセットした音波レーダを想定地点ごとに機械的に移動させるか、あるいは想定地点ごとに設置することが必要となる。しかしながら、前者は、移動と設置後のセッティングに時間がかかり、後者は、コスト的に考えて非現実的である。
これに対して、電波、音波または光波のいずれかを用いて、遠隔点での風速ベクトルを計測する装置及び方法がある。一様な風向風速を仮定した観測空間に対して、複数の仰角に走査中心を設定して、円錐走査、水平走査、鉛直走査により視線方向風速を測定し、その測定値からベクトル演算により風向風速値を算出するものである(例えば、特許文献1参照)。
この中でも、光波を用いた方法は、送信ビームが広がらないで伝搬するため、走査中心方向を水平付近まで設定できる利点がある。また、走査中心を移動することで、複数の観測空間に対して風向風速測定を行なうことができ、地表面近くの風況測定に適した方法である。複数の仰角に走査中心を設定する効果として、特に、低仰角の測定空間における風速鉛直成分の精度が向上する。
"On the Theory of SODAR Measurement Techniques", Antoniou et al., final report on WPI、 EU WISE project NNE5-2001-297(2003) 特開2003−222674号公報(第1頁、図1)
しかしながら、従来技術には次のような課題がある。光波を用いた従来技術においては、距離毎に視線方向風速を行なうことを想定しているが、円錐走査の円錐角、あるいは水平走査、垂直走査の開き角が測定距離に依存せずに固定であるため、遠方になるほど観測空間が広がり、風速場の一様性の仮定が成立しなくなる状況が想定される。このことは、ウィンドファームのように距離の異なる複数の観測空間に対して、風向風速を測定する場合において、測定精度を低下させる要因となり得る問題があった。
また、走査中心方向を地表面に平行に設定して、固定円錐角で円錐走査する場合には、遠方に行くにしたがって走査回転半径が大きくなる結果、光波レーダの送信光路が地面によって遮蔽されてしまい、風況測定ができなくなる問題があった。
すなわち、距離の異なる複数の観測空間に対して地表面近傍(100m以下)の風況を遠隔から測定する方法として、従来の光波レーダによる風速ベクトル測定技術を用いた場合には、風速場の不均一性のために高精度風況測定を行なうことが困難となる、あるいは光路遮蔽により測定自体が困難になるという課題があった。
本発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、距離の異なる複数の観測空間に対して高精度に風向風速測定及び風況測定を行うことができる光波レーダ装置を得ることを目的とする。
本発明に係る光波レーダ装置は、送信光を生成する光源部と、生成した送信光を大気中に放出し、大気中からの散乱光を収集して受信光として取り出す光送受信部と、光送受信部から放出される送信光の光路をあらかじめ設定した方向に走査する走査駆動部と、取り出された受信光を光電変換して受信信号を生成する受信信号生成部と、受信信号を周波数変換して視線方向風速値を検出するとともに走査駆動部から視線方向風速値に対応する仰角及び方位角を読み取り、検出した複数の視線方向風速値と、対応する仰角及び方位角とから風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出部とを備え、走査駆動部は、観測空間までの距離に基づいて、走査中心から所定値離れた観測空間内の複数の点を走査するように距離に応じた走査角を算出し、算出した走査角に基づいて送信光の光路を走査し、風速ベクトル算出部は、走査された送信光の複数の点の方位に対応するそれぞれの風速ベクトルを算出し、複数の風速ベクトルを合成して観測空間内の風向風速を算出する光波レーダ装置において、走査駆動部は、走査中心から所定の等しい半径で観測空間内を円錐走査するように、観測空間までの距離に応じた円錐走査角を算出し、算出した円錐走査角に基づいて送信光の光路を円錐走査し、風速ベクトル算出部は、走査された送信光の複数の点の方位に対応して算出されたそれぞれの風速ベクトルと、複数の点の方位における既知の風向値とに基づいて、観測空間内における特定方向の風速成分を算出し、観測空間内の特定方向の風速成分分布を求めるものである。
また、本発明に係る光波レーダ装置は、送信光を生成する光源部と、生成した送信光を大気中に放出し、大気中からの散乱光を収集して受信光として取り出す光送受信部と、光送受信部から放出される送信光の光路をあらかじめ設定した方向に走査する走査駆動部と、取り出された受信光を光電変換して受信信号を生成する受信信号生成部と、受信信号を周波数変換して視線方向風速値を検出するとともに走査駆動部から視線方向風速値に対応する仰角及び方位角を読み取り、検出した複数の視線方向風速値と、対応する仰角及び方位角とから風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出部とを備え、走査駆動部は、観測空間までの距離に基づいて、走査中心から所定値離れた観測空間内の複数の点を走査するように距離に応じた走査角を算出し、算出した走査角に基づいて送信光の光路を走査し、風速ベクトル算出部は、走査された送信光の複数の点の方位に対応するそれぞれの風速ベクトルを算出し、複数の風速ベクトルを合成して観測空間内の風向風速を算出する光波レーダ装置において、風速ベクトル算出部は、ある円錐走査角において送信光を走査して求まる各視線方向風速値と、風速ベクトルから各視線方向風速成分を算出した結果との残差の標準偏差を求める機能を有し、それぞれの観測空間において、あらかじめ決められた複数の走査角に対応するそれぞれの標準偏差を算出し、算出したそれぞれの標準偏差があらかじめ設定された許容標準偏差以内となる走査角の中から最大の走査角を求め、最大の走査角を採用して風向風速を算出するものである。
本発明の光波レーダ装置によれば、光波レーダ装置から観測空間までの距離に応じて走査角を変えて送信光を走査することにより、距離の異なる複数の観測空間のサイズを全て一定に維持することができ、風速場の一様性が成立する観測空間に対して高精度に風向風速測定及び風況測定を行うことができる光波レーダ装置を得ることができる。
以下、本発明の光波レーダ装置による風向風速測定方法及び風況測定方法の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。なお、以下の説明においては、光波レーダ装置から放出されるレーザ光のことを送信光と記載する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における光波レーダ装置の構成図である。光波レーダ装置10は、光源部11、光送受信部12、走査駆動部13、受信信号生成部14、及び風速ベクトル算出部15で構成される。
光源部11で生成された送信光は、光送受信部12から空中のある方位に放出される。放出された送信光の一部は、大気中の微小塵によって散乱され、さらにその散乱光の一部が光送受信部12によって受信光として受信される。ここで、光送受信部12から放出される送信光の方位は、走査駆動部13からの設定により規定される。走査駆動部13は、観測空間に対して、走査中心から所定距離にある複数の点を走査するように送信光の方位を制御する。走査方法としては円錐走査、直線走査があり、その詳細は後述する。
受信信号生成部14は、光送受信部12が受信した受信光を電気信号に変換して受信信号を生成する。風速ベクトル算出部15は、受信信号生成部14からの受信信号に基づいて、周波数解析を行うことによりドップラシフトfを検出し、さらに送信光の方位に対応した視線方向風速Vを算出する。送信光の波長をλとすると、視線方向風速Vは、ドップラシフトfを用いて下式(1)により算出される。
Figure 0005000082
さらに、風速ベクトル算出部15は、複数の方位に対して送信された送信光のそれぞれについて算出された視線方向風速のベクトル合成を求めることにより走査中心における風向風速を算出する。
本実施の形態1の光波レーダ装置は、観測空間の位置が光波レーダ装置の設置位置からどのような距離にあっても、常に走査中心からあらかじめ定められた一定の距離にある複数の点における視線方向風速を算出できるように送信光を走査し、その算出結果に基づいて走査中心における風向風速を算出することを特徴としている。さらに、走査中心の位置をずらすことによって複数の観測空間に対して算出された風向風速から、風況測定を行うことを特徴としている。
そこで、その詳細を次に説明する。なお、以下の説明においては、光源部11、光送受信部12、走査駆動部13、受信信号生成部14、及び風速ベクトル算出部15のそれぞれの機能をまとめて、光波レーダ装置が実施するものとして記載する。
図2は、本発明の実施の形態1における光波レーダ装置による風況測定方法の説明図である。図2における地表面101に対して、1つの平行な空間を観測空間115と想定する。この場合の観測空間115は、閉空間であっても開空間であってもどちらでもよい。ここで、観測空間115の地表からの最大高度は、100〜200m程度に設定する。本実施の形態1では、測定時の観測空間115内での風向風速は一様であるものと仮定する。また、送信光の走査は、走査中心に対して円錐状に行われる場合について、まず説明する。
観測空間115に対して、距離Rだけ離れた位置に光波レーダ装置102を設置する。光波レーダ装置102は、送信光103の光路を観測空間115に対して円錐状に走査する。このとき、円錐走査の走査中心方向104を観測空間115の中心に一致させる。円錐走査の円錐角をαとすると、観測空間115内において、送信光103は、直径Dの円環上の光路105を通過する。円錐走査の円錐角αを固定した場合において、光波レーダ装置102からの距離Rにおける円錐走査された送信光103の軌跡が描く円の直径Dは、Rに比例して増加する。
今、円錐角αを下式(2)で示す角度に設定すると、直径Dは、距離によらず一定値となる。すなわち、距離Rに応じて円錐角αを可変とすることにより、距離Rが異なる観測空間に対しても直径Dを常に一定とすることができる。
Figure 0005000082
このように送信光103を円錐走査することにより、距離Rを長くした場合、あるいは短くした場合にも、光路105の直径Dを一定に保つことができ、その結果、観測空間を等しく維持することができ、風速場の一様性破綻を回避することができる。このようにして定められた光路105において、複数の視線方向風速を検出した後に、それぞれの視線方向風速のベクトル合成を行うことにより、光路105の円の中心での風向風速を算出することができる。
さらに、上記の測定を、観測空間115とは異なる方向にある複数の観測空間116〜120に対して、円錐走査の走査中心方向104を順次移動して繰返し行う。それぞれの観測空間116〜120と光波レーダ装置102との距離に応じて円錐角αを可変として送信光103を円錐走査することにより、全ての観測空間115〜120を等しく維持して、風向風速測定及び風況測定を行うことができる。
次に、円錐走査における風速ベクトル算出方法を説明する。図3は、本発明の実施の形態1における風速ベクトル算出方法の説明図である。xyz直交座標系で円錐走査の座標系を定義する。今、i番目の送信光の出射方向(観測方向)を表す単位ベクトル[pi]111を[pi、qi、ri]とすると、単位ベクトル111は、その仰角がφi、方位角がθiである場合に、下式(3)で表される。
Figure 0005000082
また、円錐走査の走査中心方向112の仰角をφc、方位角をθc、走査中心とビーム出射方向とのなす角をαとすると、単位ベクトル111は、各座標軸周りの回転を表す行列の合成を用いて、次式(4)で表される。
Figure 0005000082
ここで、[Rz(ξ)]、[Ry(ξ)]、[Rx(ξ)]は各々、z軸、y軸、x軸を中心に角度ξだけベクトル回転させる行列であり、次式(5)〜(7)で表される。
Figure 0005000082
これにより、円錐走査時のビーム出射方向の仰角φi、方位角θiは、下式(8)、(9)で表される。
Figure 0005000082
ここで、atn2(q/p)は、0〜2πの範囲をとる次式(10)で表される。
Figure 0005000082
さらに、風速ベクトル[u]を、次式(11)で定義する。
Figure 0005000082
i番目の送信光の出射方位piで観測されるべき理想値に相当するドップラ速度のモデル値Vdiは、風速ベクトル[u]とi番目の送信光の出射方向(観測方向)を表す単位ベクトル[pi]との内積として下式(12)で表される。
Figure 0005000082
一方、受信光の実際の測定結果から得られる視線方向風速実測値をVmiとする。今、ドップラ速度のモデル値Vdiと視線方向風速実測値Vmiとの残差の二乗和をSとして、次式(13)のように表す。
Figure 0005000082
上記の残差二乗和Sを最小とする[u、v、w]が、実測値から推定される風速ベクトルとなる。すなわち、測定値に基づいて残差二乗和Sを最小とする[u、v、w]を求めることにより、風速ベクトルを推定できることとなる。Sを最小とする[u、v、w]は、次式(14)〜(17)によって求められる。
Figure 0005000082
したがって、式(14)は次式(18)で表される。
Figure 0005000082
ここで、観測行列[A]を下式(19)とし、上式(18)の出力[Y]を下式(20)とする。
Figure 0005000082
観測行列[A]に逆行列[A]−1が存在する場合、[A]−1を上式(17)の両辺に左から乗算することで、下式(21)によって風速ベクトル[u]を得ることができる。
Figure 0005000082
いま、観測行列[A]を次式(22)のように置き直すと、逆行列[A]−1は、次式(23)、(24)で表すことができる。
Figure 0005000082
逆行列[A]−1が存在するための条件は、下式(25)である。
Figure 0005000082
以上により求めた風速ベクトル[u、v、w]の値から、風速|V|と、風向の方位角成分θと、風向の仰角成分φとが各々次式(26)、(27)、(28)により算出できる。
Figure 0005000082
次に、測定処理の流れをフローチャートに基づいて説明する。図4は、本発明の実施の形態1の風速風向及び風況の測定処理を示すフローチャートである。まず始めに、光波レーダ装置102の送信光103の走査中心方向を観測空間115の中心位置に移動する(ステップ401)。このときの円錐走査の走査中心の仰角をφc、方位角をθcとする。また、走査中心と送信光103の出射方向とのなす角αを、式(2)にしたがって設定する(ステップ402)。この条件に基づいて、光波レーダ装置102は、送信光103の円錐走査を行なう(ステップ403)。
光波レーダ装置102は、上記の走査状態を維持したまま波長λの送信光を照射し、視線方向風速を取得する演算ループを開始する(ステップ404)。光波レーダ装置102は、演算ループ内において、観測空間115に存在するエアロゾルからの散乱光を受信光として受信し、受信光を電気信号に変換して受信信号を生成する(ステップ405)。光波レーダ装置102は、受信信号を周波数解析することにより、ドップラシフトfを検出し、さらに、式(1)に基づいて散乱光ドップラシフトから視線方向風速Vを算出する(ステップ406)。
次に、光波レーダ装置102の風速ベクトル算出部15は、受信信号に対応する送信光の出射方向を規定する走査角度φi、θi、γi、α(図3参照)を走査駆動部13から取得する(ステップ407)。次に、取得した走査角度φi、θi、γi、αを式(19)、(20)に適用させて、観測行列[A]の要素と観測ベクトル[y]とを演算する(ステップ408)。
指定した数の円錐走査ドップラ速度が取得できるまで、演算ループのステップ404〜ステップ409を繰返して上記の演算を実行する。すなわち、送信光103を円錐走査し、指定した数の出射方向における全ての受信信号と、対応する全ての送信光の走査角度とに基づいて、観測行列[A]の要素と観測ベクトル[y]とを求めることとなる。その後、式(23)を用いて、観測行列[A]の逆行列[A]−1を算出する(ステップ410)。
最後に、式(21)に基づき、[A]−1と[y]との演算を行い、風速ベクトル[u]を算出し、第1番目の観測空間115の算出結果とする(ステップ411)。次に、走査中心点を次の観測空間に移動するか否かを判断し(ステップ412)、移動する場合にはステップ401に戻り、それ以降の処理を行う。このようにして、必要な観測空間115〜120における測定を完了するまで、風速ベクトルの演算を繰り返し行なう。
実施の形態1によれば、光波レーダ装置から観測空間までの距離に応じて円錐走査の円錐角を変えることにより、光波レーダ装置は、測定距離によらず、全ての観測空間を一定のサイズに維持することができ、風速場の一様性が成立する観測空間に対して測定を行なうことができ、ベクトル演算に伴う風速誤差、風向誤差を低減することができる。
さらに、従来の風杯式風向風速計による点測定に比較して、広がりのある空間を観測するため、測定誤差が観測空間内で無相関な場合には、視線方向風速の測定点を増加させて平滑化を行うことにより、誤差低減を図ることができる。
実施の形態2.
実施の形態2においては、視線方向風速Vを算出する際に、前処理を行う場合について説明する。具体的には、図4のステップ406における散乱光ドップラシフトから視線方向風速Vを算出する前処理として、受信信号の信号対雑音比(SNR)による閾値処理を追加する場合について説明する。図5は、本発明の実施の形態2における受信信号の信号対雑音比(SNR)に基づく閾値処理のフローチャートである。図5は、図4におけるステップ405とステップ406との間に、閾値処理を追加した場合を示している。
光波レーダ装置102は、ドップラ速度を算出する前に、まず、ステップ405で受信した受信信号に対してFFT処理を行い、スペクトルを算出する(ステップ501)。さらに、算出したスペクトルに対して、ピーク周波数検出と、ピーク周波数におけるSNRとを算出する(ステップ502)。そして、光波レーダ装置102は、算出したSNRが、あらかじめ設定した有効範囲内にあるかどうかを判別する(ステップ503)。
光波レーダ装置102は、算出したSNRが有効範囲内にある場合のみ、ドップラ速度を算出するために、図4のステップ406に進む。一方、光波レーダ装置102は、算出したSNRが有効範囲外の場合には、その方位で取得したデータを破棄して、図4のステップ405に戻り、観測空間に存在するエアロゾルからの散乱光を受信光として受信し直すこととなる。
実施の形態2によれば、SNRが有効範囲外の受信信号を破棄する前処理を付加することにより、建物などの光路遮蔽時に検出するゼロ速度成分、あるいは低SNR時の風速誤検出成分を、ベクトル演算処理する前に取り除くことができ、算出データの信頼性を向上させることができる。
実施の形態3.
実施の形態1、2では、観測空間として、地表面近くの一般的な風況測定を想定している。実施の形態3では、実施の形態1、2の光波レーダ装置を風力発電設備の風況精査に適用する場合について説明する。図6は、本発明の実施の形態3における風力発電設備の風況精査を行うための構成を示す図である。すなわち、風速場が一様と見なせる観測空間215〜220内のそれぞれに対して水平型風力発電設備を設置する場合を想定する。
ここで、光波レーダ装置202の送信光203の円錐走査中心204を、水平型風力発電設備の想定風車の翼回転中心210に一致させ、かつ、風車翼面内での送信光の円錐走査の走査回転半径を風車翼の回転半径の例えば10〜200%に設定して観測空間を定め、視線方向風速測定を行なう。得られた各視線方向風速の測定値から、ベクトル合成により観測空間内での風向風速を算出する。
得られた風速|V|と風向θ、φとに基づいて、風車想定地点Pc、方位角θcにおける風車の到来風速Vupは、次式(29)から算出できる。
Figure 0005000082
さらに、到来風速Vupを用いて、風車により得られるエネルギーを算出することができる。最も基本的な算出式は次式(30)で与えられる。
Figure 0005000082
ここで、ρは空気密度、Ωは風車の受風面積、Cpはパワー係数である。特に、パワー係数Cpは、風車により抽出できるパワーと自然風の保有するパワーとの比で表され、理論限界値としてベッツ係数0.593が知られている。
実施の形態3によれば、従来の風杯式風向風速計による点測定に比較して、風車翼と実効的に作用する風速場を有効に測定できるため、発電電力の予測精度の向上が図れる。
さらに、円錐走査した空間内で風速場が一様と仮定すれば、風向風速の推定精度は視線方向風速の測定精度に依存する。本実施の形態3の光波レーダ装置は、複数の視線方向風速の測定値に基づいて風速ベクトルを算出するため、視線方向風速の測定誤差が測定値に対して無相関な場合には、視線方向の測定点を増加させて平滑化することにより、誤差低減を図ることができる。
さらに、上記測定における円錐走査中心を、複数の観測空間内の水平型風力発電設備に対して順次移動して測定を繰返すことで、複数の風車想定設置位置に対して風況測定を行なうことが可能となる。これにより、平坦な地形のウィンドファームだけでなく、地形が入り組んだ山岳地域、断崖のある海岸線、洋上など、従来の風杯式風向風速計あるいは音波レーダの設置が困難な場所に対する風況測定が可能となる。
実施の形態4.
実施の形態1〜3では、観測空間内で風速場が一様である仮定の下、光波レーダ装置による送信光を円錐状に走査して風向風速を測定する場合について説明した。これに対して、本実施の形態4では、観測空間内で風向のみが一定で風速が変化する場合を想定し、円錐走査した送信光による各視線方向風速成分から、特定方向の風速成分を算出する場合について説明する。光波レーダ装置の設置場所及び視線方向風速の検出機能については、実施の形態1〜3と同様であり、説明を省略する。
実施の形態1〜3と同様に、図2に示すような地表面101に平行な空間を観測空間115〜120と想定する。この場合の観測空間115〜120は、閉空間であっても開空間であってもどちらでもよい。ここで、観測空間115〜120の地表からの最大高度は、100m程度に設定する。地表から100m程度までの比較的低高度の大気層は、気象学では接地層と呼ばれ、風速は高度により変化するが、風向は一様であることが知られている。本実施の形態4では、これらを考慮し、風向のみが一様であると仮定する。
実施の形態1〜3と同様に、それぞれの観測空間115〜120に対して送信光103を円錐走査する。送信光103の照射方向を図3の座標系と同一にとった場合、照射方向に対する方向ベクトルは、式(3)と同様に表される。走査中心の仰角をφc、方位角をθc、走査中心と送信光の出射方向とのなす角をα、円錐走査回転角をγとすると、式(3)は次式(31)のように書き直せる。
Figure 0005000082
走査中心方向を固定して一定の円錐角で円錐走査を行なう場合、θc、 φc、αが一定値となり、送信光の照射方向[pi]は、円錐走査回転角γの関数となる。
一方、観測空間内の風速場の方向余弦を次式(32)で示される[p]とする。
Figure 0005000082
風向が一定と仮定しているため、[p]は固定値となる。i番目の送信光の照射方向[p]に対応する風速場の風速絶対値を|VWi|とすると、視線方向風速Vmiは、[pi]と[p]の内積を用いて、次式(33)で表される。ただし、Tは転置を表す。
Figure 0005000082
上式(33)を変形すると、風速の絶対値|VWi|は、次式(34)のように算出できる。
Figure 0005000082
風向が一定であることを仮定しているので、風向の方向余弦の各成分を乗じることで所望の座標軸に対応する風速成分を算出できる。例えば、y軸に平行な風速成分は、下式(35)と表すことができる。
Figure 0005000082
以上の測定と演算を円錐走査の全周にわたって行なうことで、所望の方向の風速成分を、風速の絶対値|VWi|が一様でない観測空間に対しても算出することができる。
次に、所定風速成分の具体的な測定処理について、フローチャートを用いて説明する。図7は、本発明の実施の形態4における所定風速成分の測定処理を示すフローチャートである。まず始めに、光波レーダ装置の送信光の走査中心方向を観測空間の中心位置に移動する(ステップ701)。
このときの円錐走査の走査中心の仰角をφc、方位角をθcとする。また、走査中心と送信光の出射方向とのなす角αを、式(2)にしたがって設定する(ステップ702)。この条件に基づいて光波レーダ装置は、送信光の円錐走査を行なう(ステップ703)。
光波レーダ装置は、上記の走査状態を維持したまま波長λの送信光を照射し、視線方向風速を取得する演算ループを開始する(ステップ704)。光波レーダ装置は、演算ループ内において、観測空間に存在するエアロゾルからの散乱光を受信光として受信し、受信光を電気信号に変換して受信信号を生成する(ステップ705)。光波レーダ装置は、視線方向風速Vを算出する(ステップ706)。次に、光波レーダ装置102の風速ベクトル算出部15は、受信信号に対応する送信光の出射方向を規定する走査角度φi、θi、γi、α(図3参照)を走査駆動部13から取得する(ステップ707)。
次に、取得した走査角度φi、θi、γi、αを式(31)に適用させて、方向ベクトル[p]を算出する(ステップ708)。算出した視線方向風速V、方向ベクトル[p]及び先の式(32)による風向値[p]に基づき、式(35)を適用して所定方向の風速を算出する(ステップ709)。
指定した数の円錐走査ドップラ速度が取得できるまで、演算ループのステップ704〜ステップ710を繰返し、上記の演算を実行する。指定した数の測定結果により特定方向の風速成分分布が得られる。さらに、指定した数の測定結果を平均化することにより、特定方向の平均風速成分を得ることができる。
次に、実施の形態1の場合と同様に、走査中心点を次の観測空間に移動するか否かを判断し(ステップ711)、移動する場合にはステップ701に戻り、それ以降の処理を行う。このようにして、必要な観測空間における測定を完了するまで、特定方向の風速成分の算出を繰り返し行なう。
実施の形態4によれば、風向が一様である仮定の下に、風速が一様でない観測空間内で特定方向の風速成分分布の測定を行うことができる。また、実施の形態1〜3と同様に、観測距離によらず、等しい大きさの観測空間を規定でき、風向の一様性を確保できる効果がある。さらに、特定方向の風速成分の複数のデータを平均化処理することにより、観測空間内の複数の点の平均風速成分を求めることができる。
実施の形態5.
実施の形態5では、実施の形態4の光波レーダ装置を風力発電設備の風況精査に適用する場合について説明する。実施の形態4の光波レーダ装置を風力発電用の水平型風車の風況精査に適用した場合、風車翼面内での風速の違いを測定することができるため、より精度の高い発電量予測が期待できる。
すなわち、図6に示すように円錐走査の走査中心を、想定している風車の翼回転中心に一致させて、円錐走査の回転半径を一致させる。この場合に円錐走査により得られる視線方向風速の到来方向成分は、風車翼の特定の動径位置に到来する風速場を選択的に測定したことに相当する。
図8は、風速場が水平型風車翼に入力した際に風車翼に発生する揚力分布の例を示す図である。水平型風車の翼21の翼ピッチ角を、風車に入力する風速場22の風速にあわせて制御した場合の揚力分布23が、図8(a)に示されている。また、水平型風車の翼21の翼ピッチ角を固定して失速制御した場合の揚力分布24〜26が、図8(b)に示されている。
図8(b)の揚力分布24は、風速が9m/sにおける揚力分布を示し、揚力分布25は、風速が12m/sにおける揚力分布を示し、さらに、揚力分布26は、風速が24m/sにおける揚力分布を示している。図8(a)及び図8(b)のいずれの場合も、翼に発生する揚力分布23〜26は、翼回転中心軸上でゼロであり、翼動径方向に対して凸の特性があることがわかる。
例えば、円錐走査の想定風車面上での回転半径を、図8(a)のピッチ角制御方式における最大揚力となる翼動径位置に一致させて視線方向風速を測定する。この場合に得られる到来風速成分は、風車翼面内に到来する風速が一様でない場合でも風車の回転に寄与する成分が多くなると考えられ、発電量予測の精度が向上する。
一方、図8(b)に示す失速制御方式の風車に対しては、風車面内に到来する風速に応じて、最大揚力となる翼動径位置が異なる場合がある。最大揚力をとる翼動径位置は、翼形状やピッチの固定角により異なるが、風車翼の設計値から上記特性はある程度推定できる。
このため、光波レーダ装置は、あらかじめ到来風速に対する最大揚力をとる翼動径位置特性のデータを記憶部に蓄積しておき、計測される到来風速に応じて、最大揚力となる動径位置に円錐走査の回転半径を変更することにより、特性に即した風速成分を求め直すことができる。
実施の形態5によれば、失速制御の場合でも風車回転に寄与する風速成分を選択的に測定することができる。これにより、円錐走査の回転半径を一定とした測定にくらべ、風車回転に有効に寄与する風速成分を測定できることになり、発電量予測精度の向上を図ることができる。
なお、この特定方向の風速成分分布の測定は、水平型風力発電設備を設置する場合を想定して実施の形態3で示したように、複数の円錐走査半径に対して算出することもできる。これにより、円錐走査の回転半径を一定とした測定にくらべ、複数の回転半径に対する風速成分を測定できることになり、発電量予測精度の向上を図ることができる。
実施の形態6.
実施の形態1では、観測空間内で風速場が一様である仮定の下、光波レーダ装置による送信光を円錐状に走査して風向風速を測定する場合について説明した。これに対して、本実施の形態6では、送信光を地表面に平行に左右走査する場合について説明する。光波レーダ装置の設置場所及び視線方向風速の検出機能については、実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
図9は、本発明の実施の形態6における風力発電設備の風況精査を行うための構成を示す図である。本実施の形態6では、水平型風力発電設備の風況精査に適用する場合を説明するが、風速場が一様と見なせる観測空間であれば、閉空間であっても開空間であってもどこでもよい。
風向風速が一様な観測空間315〜320のそれぞれに対して、送信光303a、303bを地表面に対して平行で、かつ、走査中心方向304を通る直線状に走査し、走査直線上の2点に対応する方向に対して視線方向風速を測定し、ベクトル合成により風向風速を算出する。ここで、観測空間内の想定風車翼面内における走査中心304を、風車翼回転中心310と一致させる。
次に、左右走査における風速ベクトル算出方法を具体的に説明する。図10は、本発明の実施の形態6における風速ベクトル算出方法の説明図である。xyz直交座標系で座標系を定義する。図10(a)において、送信光の出射光を、走査中心304(方位角θc、仰角φc)を中心として方位方向に−αから+αまで走査する。ここで、図10における送信光の出射方位として、方位角がθc+αの送信光303aの出射方位を出射方位1と定義し、方位角がθc−αの送信光303bの出射方位を出射方位2と定義する。
図10(b)において、出射方位1及び2の各視線方向風速をそれぞれVm1、Vm2とすると、地表面に平行で、かつ、走査中心方位方向に平行な風速成分V//311と、走査中心方位方向に垂直な風速成分V312は、それぞれ下式(36)、(37)で表される。
Figure 0005000082
したがって、地表面に平行な面内の風速|Vhor|と風向θは、次式(38)、(39)で算出される。
Figure 0005000082
これにより、2つの視線方向風速から地表に対して水平面内の風向風速の算出が可能となる。
図11は、本発明の実施の形態6の風速風向及び風況の測定処理を示すフローチャートである。まず始めに、光波レーダ装置302の送信光の走査中心方向を観測空間315の中心位置に移動する(ステップ1101)。このときの円錐走査の走査中心の仰角をφc、方位角をθcとする。また、円錐走査での円錐角αに相当する値として、左右走査の開き角の半角αを式(2)にしたがって設定する(ステップ1102)。この条件に基づいて、光波レーダ装置302は、送信光の左右走査を行なう(ステップ1103)。
光波レーダ装置302は、上記の走査状態を維持したまま波長λの送信光を照射し、視線方向風速を取得する演算ループを開始する(ステップ1104)。光波レーダ装置302は、演算ループ内において、観測空間315に存在するエアロゾルからの散乱光を受信光として受信し、受信光を電気信号に変換して受信信号を生成する(ステップ1105)。光波レーダ装置302は、ループ内でi番目のドップラ速度V(i)を算出する(ステップ1106)。さらに、光波レーダ装置302の風速ベクトル算出部15は、受信信号に対応する送信光の出射方向を規定する出射方位角(図10参照)を走査駆動部13から取得する(ステップ1107)。
次に、連続した2回分の視線方向風速V(i−1)及びV(i)と、左右走査の開き角の半角αを式(36)、(37)に適用して、水平風成分と円直風成分とを算出する。さらに、式(38)、(39)を用いてi番目の測定における風速|Vhor|と風向θを算出する(ステップ1108)。
指定した数の左右走査ドップラ速度が取得できるまで、演算ループのステップ1104〜ステップ1109を繰返し、上記の演算を実行する。
次に、実施の形態1の場合と同様に、走査中心点を次の観測空間に移動するか否かを判断し(ステップ1110)、移動する場合にはステップ1101に戻り、それ以降の処理を行う。このようにして、必要な観測空間315〜320における測定を完了するまで、風向風速及び風況の測定を繰り返し行なう。
実施の形態1の場合と同様に、光波レーダ装置302から観測空間までの距離Rに応じて左右走査の開き角αを式(2)にしたがって設定することにより、光波レーダ装置302は、測定距離によらず一定の観測空間に対する風向風速の測定ができ、風向の一様性を確保できる。
実施の形態1の円錐走査による風向風速計測の場合には、N点の測定方位から観測行列[A]とその逆行列[A]−1を算出し、各視線方向風速の計測値との乗算により風向風速を求めていた。これに対して、本実施の形態6による左右走査による風向風速計測の場合には、2点の視線方向風速の計測値から風向風速を算出するため、計算が簡単化できる。これにより、1回の風向風速演算に必要な視線方向風速計測時間、演算時間が短縮でき、測定更新時間を短くできる利点がある。
次に、2方向の視線方向風速の測定値による風速算出精度について説明する。各視線方向風速Vm1、Vm2の測定誤差をそれぞれΔVm1、ΔVm2とすると、地表面に平行で、かつ、走査中心方位方向に平行な風速成分V//は、次式(40)に示すような測定誤差ΔV//を生じる。
Figure 0005000082
この誤差ΔV//の分散は、次式(41)で表される。
Figure 0005000082
ただし、上式(41)における表記<>は、集合平均を表す。今、α≪1のとき(すなわちαが充分に小さいとき)、ΔV//の標準偏差は、次式(42)のように近似できる。
Figure 0005000082
ここで、εは、次式(43)で表すように、ΔVm1及びΔVm2の標準偏差を表し、かつ、ΔVm1とΔVm2とが下式(44)で表すように、無相関であるとした。
Figure 0005000082
同様にして、地表面に平行で、かつ、走査中心方位方向に鉛直な風速成分Vは、次式(45)に示すような測定誤差ΔVを生じる。
Figure 0005000082
ΔVの分散は、次式(46)で表される。
Figure 0005000082
α≪1のとき、ΔVの標準偏差は、次式(47)のように近似できる。
Figure 0005000082
以上の結果に基づき、地表面に平行な面内の風速|Vhor|の算出精度を考える。ΔV//とΔVの誤差の影響により、ΔVhorだけ算出誤差が生じる場合には、下式(48)の関係となる。
Figure 0005000082
上式(48)の両辺を二乗し、ΔVhor≪1(すなわちΔVhorが充分に小さいとき)の条件下で近似すると、次式(49)で表される。
Figure 0005000082
図10(b)に示すように、δを風向と走査中心方位とのなす角で定義すると、ΔVhorは、次式(50)で表される。
Figure 0005000082
したがって、風速の標準偏差は、下式(51)で表される。
Figure 0005000082
ここで、ΔV//とΔVとの相関係数<ΔV//・ΔV>は、下式(52)となる。
Figure 0005000082
また、上式(51)は、下式(53)で表される。
Figure 0005000082
したがって、走査中心方位が風向と平行な場合(δ=0)には、風速の算出誤差ΔVhorは最小となり、逆に走査中心方位が風向と垂直な場合(δ=90°)には、風速の算出誤差ΔVhorは最大となる。また、左右走査の開き角2αは、大きいほど風速算出誤差は小さくなる。
次に、2方向の視線方向風速の測定値による風向算出精度について説明する。ΔV//とΔVの誤差の影響により、Δθだけ風向算出誤差が生じる場合は、次式(54)で表される。
Figure 0005000082
このとき、風向測定誤差Δθは、次式(55)で表される。
Figure 0005000082
ただし、V//≫ΔV//、V>ΔVと仮定し、下式(56)の条件が成立するものとする。
Figure 0005000082
測定する風速が走査中心方位に垂直である場合、すなわちV//=0の場合を考えると、Δθは下式(57)で表される。
Figure 0005000082
したがって、風向誤差の標準偏差は、式(42)と式(57)により、次式(58)に近似できる。
Figure 0005000082
一方、測定する風速が走査中心方位に垂直である場合、すなわちV=0の場合を考えると、風速誤差Δθとその標準偏差は、それぞれ式(59)、式(60)のように近似できる。
Figure 0005000082
今、偏向角αとしては90度以下の場合を想定しているため、風向が走査中心方位に対して垂直の場合に最小値、風向が走査中心方位に対して平行な場合に最大となる。
以上により、測定対象の風向が、走査中心方位に対して平行な場合に、風速誤差の標準偏差が最小、風向誤差の標準偏差が最大となる。逆に、風向が走査中心方位に対して垂直の場合に、風速誤差の標準偏差が最大、風向誤差の標準偏差が最小となることが分かる。
実施の形態6によれば、1回の風速ベクトルを求めるための視線方向風速測定が2視線方向でよく、実施の形態1にあげた円錐走査による風向風速計測に比較して計算が簡単化できる。これにより、1回の風向風速演算に必要な視線方向風速計測時間、演算時間が短縮でき、測定更新時間を短くできる利点がある。
さらに、測定地域の地形が入り組んでいる場合、あるいは建物などの障害物が円錐走査時の送信光の光路の一部を遮蔽し、左右水平方向に光路遮蔽がない場合などに、単位時間あたりの測定データの利用率を高くとれる利点がある。
なお、実施の形態1で述べた信号積算平均に関しては、2視線方向から算出した風向、風速に対して積算平均処理を行なうか、各視線方向風速を別々に積算平均処理して求めた2つの平均視線方向風速値から式(31)〜(33)を用いて風向風速演算を行なってもよい。
また、平均演算の際には、実施の形態1と同じように、各視線方向風速測定値の信号対雑音比に対して、有効範囲を設定し、有効範囲外のデータに関しては棄却する閾値処理を追加することができる。これにより、光路遮蔽によって検出されたゼロ速度成分や、低SNR時の誤検出成分を除外でき、風向風速算出における信頼性を向上させることができる。
実施の形態7.
実施の形態6では、観測空間内で風速場が一様である仮定の下、光波レーダ装置による送信光を地表面に平行に左右走査して風向風速を測定する場合について説明した。これに対して、本実施の形態7では、送信光を地表面に対して上下走査する場合について説明する。光波レーダ装置の設置場所及び視線方向風速の検出機能については、実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
図12は、本発明の実施の形態7における風力発電設備の風況精査を行うための構成を示す図である。実施の形態7では、風向風速が一様な観測空間の一例として、水平型風力発電設備の風況精査への適用を想定し、送信光を地表面に対して垂直直線状に走査し、走査直線上の2点に対応する方向に対して視線方向風速を測定する場合を説明するが、風速場が一様と見なせる観測空間であれば、閉空間であっても開空間であってもどこでもよい。
風向風速が一様な観測空間415〜420のそれぞれに対して、送信光403a、403bを地表面に対して垂直で、かつ、走査中心方向404を通る直線状に走査し、走査直線上の2点に対応する方向に対して視線方向風速を測定し、ベクトル合成により水平風成分と円直風成分を算出する。ここで、観測空間内の想定風車翼面内における走査中心404を、風車翼回転中心410と一致させる。
次に、上下走査における風速ベクトル算出方法を具体的に説明する。図13は、本発明の実施の形態7における風速ベクトル算出方法の説明図である。xyz直交座標系で座標系を定義する。図13(a)において、送信光の出射光を、走査中心404(方位角θc、仰角φc)を中心として仰角方向に−αから+αまで走査する。ここで、図13における送信光の出射方位として、仰角がφc+αの送信光403aの出射方位を出射方位1と定義し、仰角がφc−αの送信光403bの出射方位を出射方位2と定義する。
図13(b)において、出射方位1及び2の各視線方向風速をそれぞれVm1、Vm2とすると、地表面に平行で、かつ、走査中心方位方向に平行な風速成分V//411と、走査中心方位方向に垂直な風速成分V412は、実施の形態2における仰角φcと方位角θcとを入れ替えた表記となり、それぞれ下式(61)、(62)と表される。
Figure 0005000082
したがって、地表面に平行な面内の風速|Vver|と風向φは、次式(63)、(64)で算出される。
Figure 0005000082
これにより、2つの視線方向風速から地表に対して鉛直面内の風向風速の算出が可能となる。
図14は、本発明の実施の形態7の風速風向及び風況の測定処理を示すフローチャートである。まず始めに、光波レーダ装置402の送信光の走査中心方向を観測空間415の中心位置に移動する(ステップ1401)。このときの円錐走査の走査中心の仰角をφc、方位角をθcとする。また、円錐走査での円錐角αに相当する値として、上下走査の開き角の半角αを式(2)にしたがって設定する(ステップ1402)。この条件に基づいて、光波レーダ装置402は、送信光の上下走査を行なう(ステップ1403)。
光波レーダ装置402は、上記の走査状態を維持したまま波長λの送信光を照射し、視線方向風速を取得する演算ループを開始する(ステップ1404)。光波レーダ装置402は、演算ループ内において、観測空間415に存在するエアロゾルからの散乱光を受信光として受信し、受信光を電気信号に変換して受信信号を生成する(ステップ1405)。光波レーダ装置402は、ループ内でi番目のドップラ速度V(i)を算出する(ステップ1406)。さらに、光波レーダ装置402の風速ベクトル算出部15は、受信信号に対応する送信光の出射方向を規定する出射方位角(図13参照)を走査駆動部13から取得する(ステップ1407)。
次に、連続した2回分の視線方向風速V(i−1)及びV(i)と、上下走査の開き角の半角αを式(61)、(62)に適用して、水平風成分と円直風成分とを算出する。さらに、式(63)、(64)を用いてi番目の測定における風速|Vver|と風向φを算出する(ステップ1408)。
指定した数の上下走査ドップラ速度が取得できるまで、演算ループのステップ1404〜ステップ1409を繰返し、上記の演算を実行する。
実施の形態1の場合と同様に、走査中心点を次の観測空間に移動するか否かを判断し(ステップ1410)、移動する場合にはステップ1401に戻り、それ以降の処理を行う。このようにして、必要な観測空間415〜420における測定を完了するまで、風向風速及び風況の測定を繰り返し行なう。
実施の形態7によれば、実施の形態1の場合と同様に、光波レーダ装置から観測空間までの距離に応じて上下走査の開き角αを式(2)にしたがって設定することにより、光波レーダ装置は、測定距離によらず一定の観測空間に対して測定でき、風向の一様性を確保できる。
さらに、実施の形態6の場合と同様に、本実施の形態7による上下走査による風向風速計測の場合には、2点の視線方向風速の計測値から風向風速を算出するため、計算が簡単化できる。これにより、1回の風向風速演算に必要な視線方向風速計測時間、演算時間が短縮でき、測定更新時間を短くできる利点がある。
また、測定精度については、実施の形態6の場合と同様に考えることができ、被測定風向が走査中心方位方向に平行に近い場合ほど、風速の算出精度が高く、風向の算出精度が低い。逆に、被測定風向が走査中心方位方向に垂直に近いほど、風速算出精度が低く、風向算出精度が高くなる。
さらに、実施の形態6で述べた平均化処理、及び閾値処理により算出風速データの信頼性を向上できる。
風力発電設備の疲労の原因の1つは、垂直方向の風速であると考えられる。特に、入り組んだ地形においては風速場の乱れが大きく、数値シミュレーションによる推定誤差が大きくなる。本実施の形態7では、鉛直方向の風速を実測でき、風速場の解析、風車の疲労解析予測に有効である。
さらに、本実施の形態7で得られる垂直方向の風速は、洋上風力発電用の風況精査において建設するタワーや構造物の設計、疲労解析に有効である。
実施の形態8.
実施の形態1〜7では、光波レーダ装置による送信光を、空間走査(円錐走査、左右走査、上下走査)しているが、本実施の形態8では、このような空間走査の具体的な実施方法の一例を説明する。
図15は、本発明の実施の形態8におけるウェッジプリズムによる送信光の走査方法の説明図である。今、図15(a)に示すように、センサヘッド501の対物側開口の物体側に走査機構部502を設置することで、センサヘッドの回転対称軸(光軸)に対して角度αで送信光503を偏向させる場合を考える。
走査機構の具体的実現例として、図15(b)に示したウェッジプリズム504がある。入射側面と出射側面との角度がψのウェッジプリズム504に送信光505が入射した場合を考える。ウェッジプリズム504により得られる偏向角αは、スネル則により下式(65)で与えられる。
Figure 0005000082
したがって、ウェッジプリズム504をセンサヘッド501の光軸を中心にして方位方向に回転することにより、円錐状に走査することができる。
ウェッジプリズム504の1枚の回転では、ウェッジの角度ψで決まる偏向角αの円錐走査のみが可能であるが、ウェッジプリズム504を2枚組み合わせることで、偏向角α以下の円錐走査あるいは直線走査が可能となる。以下では、ウェッジプリズム504を2枚組み合わせたことによる走査方式について説明する。
図16は、本発明の実施の形態8における空間走査の説明図である。2枚のウェッジプリズム504a、504bをそれぞれウェッジA、ウェッジBとし、各ウェッジプリズムによる偏向角はαであると仮定する。
まず、出射ビームの走査中心として、図3の座標定義で示したθc=0、φc=0の場合を想定する。ウェッジプリズムの原点として、ウェッジプリズム504a、504bが最大厚となる方位が+y軸方向にある場合で定義し、かつ、ウェッジプリズムの回転方向として反時計まわりの方向を正符号と定義する。
次に、各ウェッジプリズム504a、504bをγ(t)、γB(t)の速度で、かつ、大きさが等しく符号の異なる初期位相γ、−γで回転させた場合、送信光の出射方位のy成分β(t)、z成分β(t)は、下式(66)、(67)で表される。
Figure 0005000082
ここで、下式(68)、(69)のように各ウェッジプリズム504a、504bの回転速度を同符号で、かつ、同じ速度とし、初期位相γを0とする。
Figure 0005000082
この場合に、送信光の出射方位(β(t)、β(t))は、次式(70)、(71)で表されるように、偏向角2αの円錐走査507となる。このような空間走査が、図16(a)の円錐走査に相当する。
Figure 0005000082
また、下式(72)、(73)のように各ウェッジプリズム504a、504bの回転速度を異符号で、かつ、同じ速さとし、初期位相γを0とする。
Figure 0005000082
この場合に、送信光の出射方位(β(t)、β(t))は、次式(74)、(75)で表されるように、y方向に平行な振幅±2αの直線走査(左右走査)508となる。このような空間走査が、図16(b)の左右走査に相当する。
Figure 0005000082
さらに、下式(76)、(77)のように各ウェッジプリズム504a、504bの回転速度を異符号で、かつ、同じ速さとし、初期位相を90°とする。
Figure 0005000082
この場合に、送信光の出射方位(β(t)、β(t))は、次式(78)、(79)で表されるように、y方向に平行な振幅±2αの直線走査(上下走査)509となる。このような空間走査が、図16(c)の上下走査に相当する。
Figure 0005000082
以上のように、2枚のウェッジプリズム504a、504bの回転方向の組合せと初期位相0°、90°の選択により円錐走査、直線走査(左右走査及び上下走査)が可能となる。
一方、各ウェッジプリズム504a、504bの回転速度を同速度、同方向に設定し、0〜90°の範囲で任意の初期位相γを与えた場合、送信光の出射方位(β(t)、β(t))は次式(80)、(81)で表されるように、偏向角2αcosγの円錐走査となる。
Figure 0005000082
図17は、本発明の実施の形態8における偏向角2αcosγの円錐走査による走査方位の軌跡を示す図である。このような偏向角の円錐走査における走査方位の3種の軌跡510〜512が、yz座標系で示されている。図17(a)は、初期位相がγ=0の場合の軌跡510、図17(b)は、初期位相が0°<γ<60°の場合の軌跡511、そして図17(c)は、初期位相が60°<γ<90°の場合の軌跡512をそれぞれ示している。
初期位相がγ=0である軌跡510は、偏向角を軌跡最大偏向角2αに設定できることとなる。初期位相が0°<γ<60°である軌跡511は、偏向角をα〜2αの範囲に設定できることとなる。そして、初期位相が60°<γ<90°である軌跡512は、偏向角を0〜αの範囲に設定できることとなる。
偏向角αの2枚のウェッジプリズム504a、504bを用いて、測定距離Rにある観測空間に対して、直径Dの円周上に送信光を走査する条件は、次式(82)で表される。
Figure 0005000082
上式をγについて解くと、下式(83)となる。
Figure 0005000082
偏向角αを適切に選定することにより、測定距離Rの異なる観測空間に対して、円錐走査の回転半径D/2を一定に維持して測定を行なうことができる。図18は、本発明の実施の形態8における円錐走査の軌跡に関する説明図である。2種の測定距離L、Ln+1に対して偏向角αを適切に選定することにより、円筒状の閉空間内550におけるそれぞれの走査方位の軌跡551と552を同一の回転半径に維持することができる。このようにして、異なる位置での円錐走査による風向風速の測定を同一の回転半径を維持して行なうことができる。
また、ウィンドファームにおける風況測定においては、距離の異なる複数の風車設置想定位置に対して、等しい円錐走査半径で送信光を走査でき、風車回転に有効に寄与する風速場を測定できる。これにより、発電量の推定精度を向上できる効果がある。
円錐走査を行なうための2つのウェッジプリズム504a、504bの回転駆動は、ウェッジプリズム504a、504bの原点の角度差が2γとなるようにして1つの回転板上に固定した後、その回転板を回転させることで簡単に実現できる。
また、位相制御可能な2個の電動機をそれぞれのウェッジプリズム504a、504b用に独立に設置して回転駆動し、かつ、回転中のウェッジプリズムの回転角を測定し、その測定値の差が一定値2γとなるように動的に制御してもよい。これにより、走査中心方位を移動させつつ、円錐走査のビームの軌跡を同一円周上に制御することが可能となる。
一方、左右走査あるいは上下走査における直線走査範囲の距離を一定とする方法について、次に説明する。図19は、本発明の実施の形態8における走査角度の時間波形を示した図である。左右走査の場合の走査角を表す式(74)の右辺、あるいは上下走査の場合の走査角を表す式(79)の右辺における2αcosγ(t)を、図19で示す時間波形560で周期変化させる。この時間波形は、直線走査範囲の距離Dを所望の一定値に設定した場合に対して、それぞれの測定距離Rごとに規定される。
ここで、t1<t<t2の範囲で2視線方向の一方の視線方向風速を測定し、t3<t<t4の範囲で2視線方向の他方の視線方向風速を測定するように、受信信号の取得タイミングを割り付けることができる。これにより、直線走査の走査開き角を観測空間までの距離によらず一定に保つことができる。
なお、図19では走査角度の時間波形を台形としているが、2方向の受信信号の取得時刻に光路走査角度が±arctan[D/2R]となる波形であれば何でもよい。
実施の形態8によれば、1つの走査機構により、円錐走査、直線走査(上下走査及び左右走査)を行なうことができ、また測定距離によらず円錐走査の円錐角、直線走査の開き角を一定に維持することができる。
さらに、測定距離の異なる観測空間に対して円錐走査、直線走査により風向風速を計測する際に、観測空間を一定の大きさに保つことができ、観測空間の広がりによる風速場の一様性の破綻を防ぐことができる。
さらに、奥行き方向に伸びたパイプ状の閉空間の風向風速を円錐走査、直線走査により測定する場合にも、測定距離によらず円錐走査の円錐角、直線走査の開き角を一定に維持することができる。さらに、ウィンドファーム内で距離の異なる位置に水平型風車を設置する際にも、風車翼直径と同程度の円錐走査を行なうことができ、発電電力予測の高精度化に有効となる。
実施の形態9.
実施の形態1、6、7では、観測空間として、風速場が一様であることを仮定した場合について説明した。本実施の形態9では、風速場の一様性を確保できる観測空間を自動的に設定する方法について説明する。
まず、円錐走査の円錐角を最小にして、観測空間に対して円錐走査により視線方向風速Vmiと円錐走査の回転角γとを測定する。さらに、風速場の一様性を仮定して、式(21)に基づいて風速ベクトル[u]を算出する。また、円錐走査回転角γ及び走査中心方向(θc、φc)を、式(3)に適用して視線方向[pi]を算出する。次に、算出した風速ベクトル[u]及び視線方向[pi]を用いて式(12)に示される内積演算を行い、視線方向風速の推定値Vdiを算出する。
この推定値Vdiと測定した視線方向風速Vmiとの残差を、式(13)を用いて算出し、残差の平均値と標準偏差を算出する。観測空間で風向風速の一様性の仮定が完全に成り立つ場合には、上述のようにして求められた残差がゼロとなる。一方、一様性の仮定がくずれるにしたがって、残差が拡大していく。
風速場の一様性は、観測空間が拡大するほど崩れると考えられるので、円錐角を徐々に拡大していった場合に算出される上記残差をモニタして、風速一様と見なせる残差の標準偏差が指定値以内となる最大円錐角を検索する。このような検索処理により得られた最大円錐角以内に円錐角を設定した場合には、風の一様性を確保した状態で風向風速演算を行なうことができる。
図20は、本発明の実施の形態9における風速場の一様性を確保できる観測空間の設定処理を示すフローチャートである。光波レーダ装置の送信光の走査中心方向を観測空間近傍まで移動する(ステップ1901)。次に円錐走査の円錐角の初期値と、風速残差の上限を設定する(ステップ1902)。この条件に基づいて、光波レーダ装置は、送信光の円錐走査を行なう(ステップ1903)。
光波レーダ装置は、視線方向風速Vmiを算出し(ステップ1904)、さらに円錐走査の回転角γを取得する(ステップ1905)。この円錐走査の回転角γとしては、まず始めにステップ1902で設定された初期値が用いられる。次に、光波レーダ装置は、視線方向風速Vmi及び円錐走査の回転角γに基づいて、風速ベクトル[u]を算出する(ステップ1906)。さらに、光波レーダ装置は、各視線方向風速計測値と風速ベクトルから算出した視線方向風速の推定値との残差を算出する(ステップ1907)。
次に、光波レーダ装置は、算出した残差がステップ1903であらかじめ設定された上限値以下であるか否かを判別する(ステップ1908)。上限値以下である場合は、光波レーダ装置は、円錐走査の回転角をあらかじめ決められた量だけ増加させ(ステップ1909)、その後ステップ1904〜2308を繰返す。算出した残差が上限値より大きくなった場合には、円錐走査の回転角を現在の値に設定し(ステップ1910)、測定処理を終了する。
実施の形態9によれば、各視線方向風速計測値と視線方向風速の推定値との残差があらかじめ決められた上限値以下となるような最大の円錐走査角を算出でき、一様な風速場が仮定できる最大の観測空間を設定することができる。
さらに、このような円錐走査角の算出を、風況測定前あるいは走査中心方向毎に行なうことにより、風速場一様となる観測空間を自動的に設定でき、地形あるいは気象条件等によって異なると考えられる風速場が一様となる最大の空間を観測空間に設定することができる効果がある。
また、図20のフローチャートにおけるステップS2004のドップラ速度算出の際に、実施の形態2に記載した閾値処理を併用してもよい。これにより、風速場の一様性の評価対象となる観測空間内に建物や樹木などの光路遮蔽物がある場合でも、視線方向風速を正確に計測でき、ステップS2007で算出する残差の精度を向上できる効果がある。
なお、本実施の形態9で算出した風速場一様となる最大円錐走査角度は、円錐走査の際の円錐角度だけでなく、直線走査の場合の走査開き角の設定に対しても用いることができる。
本発明の実施の形態1における光波レーダ装置の構成図である。 本発明の実施の形態1における光波レーダ装置による風況測定方法の説明図である。 本発明の実施の形態1における風速ベクトル算出方法の説明図である。 本発明の実施の形態1の風速風向及び風況の測定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2における受信信号の信号対雑音比(SNR)に基づく閾値処理のフローチャートである。 本発明の実施の形態3における風力発電設備の風況精査を行うための構成を示す図である。 本発明の実施の形態4における所定風速成分の測定処理を示すフローチャートである。 風速場が水平型風車翼に入力した際に風車翼に発生する揚力分布の例を示す図である。 本発明の実施の形態6における風力発電設備の風況精査を行うための構成を示す図である。 本発明の実施の形態6における風速ベクトル算出方法の説明図である。 本発明の実施の形態6の風速風向及び風況の測定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態7における風力発電設備の風況精査を行うための構成を示す図である。 本発明の実施の形態7における風速ベクトル算出方法の説明図である。 本発明の実施の形態7の風速風向及び風況の測定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態8におけるウェッジプリズムによる送信光の走査方法の説明図である。 本発明の実施の形態8における空間走査の説明図である。 本発明の実施の形態8における偏向角2αcosγの円錐走査による走査方位の軌跡を示す図である。 本発明の実施の形態8における円錐走査の軌跡に関する説明図である。 本発明の実施の形態8における走査角度の時間波形を示した図である。 本発明の実施の形態9における風速場の一様性を確保できる観測空間の設定処理を示すフローチャートである。
符号の説明
10、202、302、402 光波レーダ装置、11 光源部、12 光送受信部、13 走査駆動部、14 受信信号生成部、15 風速ベクトル算出部、202、302、402 光波レーダ装置、502 走査機構部、504、504a、504b ウェッジプリズム。

Claims (7)

  1. 送信光を生成する光源部と、
    生成した送信光を大気中に放出し、大気中からの散乱光を収集して受信光として取り出す光送受信部と、
    前記光送受信部から放出される前記送信光の光路をあらかじめ設定した方向に走査する走査駆動部と、
    取り出された前記受信光を光電変換して受信信号を生成する受信信号生成部と、
    前記受信信号を周波数変換して視線方向風速値を検出するとともに前記走査駆動部から前記視線方向風速値に対応する仰角及び方位角を読み取り、検出した複数の前記視線方向風速値と、対応する前記仰角及び前記方位角とから風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出部と
    を備え
    前記走査駆動部は、観測空間までの距離に基づいて、走査中心から所定値離れた前記観測空間内の複数の点を走査するように前記距離に応じた走査角を算出し、算出した前記走査角に基づいて前記送信光の光路を走査し、
    前記風速ベクトル算出部は、走査された送信光の前記複数の点の方位に対応するそれぞれの風速ベクトルを算出し、複数の前記風速ベクトルを合成して前記観測空間内の風向風速を算出する
    光波レーダ装置において、
    前記走査駆動部は、走査中心から所定の等しい半径で前記観測空間内を円錐走査するように、前記観測空間までの距離に応じた円錐走査角を算出し、算出した前記円錐走査角に基づいて前記送信光の光路を円錐走査し、
    前記風速ベクトル算出部は、走査された送信光の前記複数の点の方位に対応して算出されたそれぞれの風速ベクトルと、前記複数の点の方位における既知の風向値とに基づいて、観測空間内における特定方向の風速成分を算出し、前記観測空間内の特定方向の風速成分分布を求める
    ことを特徴とする光波レーダ装置。
  2. 請求項1に記載の光波レーダ装置において、
    前記走査駆動部は、方向の異なる複数の観測空間に対して走査中心方向を順次移動して、前記複数の観測空間に対して算出されたそれぞれの風向風速から風況測定を行う
    ことを特徴とする光波レーダ装置。
  3. 請求項1または2に記載の光波レーダ装置において、
    前記風速ベクトル算出部は、風速成分と対応づけられた円錐走査角のデータが蓄積された記憶部を有し、算出した前記特定方向の風速成分に対応する円錐走査角のデータを前記記憶部から取り出して円錐走査を行い、風速成分を算出し直す
    ことを特徴とする光波レーダ装置。
  4. 請求項1または2に記載の光波レーダ装置において、
    前記風速ベクトル算出部は、特定の観測空間内に水平型風力発電設備を設置する場合を想定して、前記水平型風力発電設備に設けられる翼の回転中心に対して走査中心方向を一致させ、前記翼の回転半径に対してある決められた範囲で複数の円錐走査角を設定して、前記複数の円錐走査角のそれぞれに対して前記特定方向の風速成分分布を求める
    ことを特徴とする光波レーダ装置。
  5. 請求項ないしのいずれか1項に記載の光波レーダ装置において、
    送信光の光路上に設置され、2個のくさび形状を有するプリズムがそれぞれ独立して回転することにより、送信光を偏向させる走査機構部をさらに備え、
    前記走査駆動部は、前記走査機構部のそれぞれの前記プリズムに対して、初期位相、回転速度、回転方向を制御することにより送信光を円錐走査あるいは直線走査させる
    ことを特徴とする光波レーダ装置。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の光波レーダ装置において、
    前記風速ベクトル算出部は、前記受信信号の信号対雑音比を測定し、測定された前記信号対雑音比の値があらかじめ設定された信号対雑音比の許容範囲内のときは、前記受信信号を採用して風速ベクトルを算出し、測定された前記信号対雑音比の値があらかじめ設定された信号対雑音比の許容範囲外のときは、前記受信信号を採用せずに前記受信信号生成部から新たな受信信号を受信して前記新たな受信信号の信号対雑音比を測定し直す
    ことを特徴とする光波レーダ装置。
  7. 送信光を生成する光源部と、
    生成した送信光を大気中に放出し、大気中からの散乱光を収集して受信光として取り出す光送受信部と、
    前記光送受信部から放出される前記送信光の光路をあらかじめ設定した方向に走査する走査駆動部と、
    取り出された前記受信光を光電変換して受信信号を生成する受信信号生成部と、
    前記受信信号を周波数変換して視線方向風速値を検出するとともに前記走査駆動部から前記視線方向風速値に対応する仰角及び方位角を読み取り、検出した複数の前記視線方向風速値と、対応する前記仰角及び前記方位角とから風速ベクトルを算出する風速ベクトル算出部と
    を備え、
    前記走査駆動部は、観測空間までの距離に基づいて、走査中心から所定値離れた前記観測空間内の複数の点を走査するように前記距離に応じた走査角を算出し、算出した前記走査角に基づいて前記送信光の光路を走査し、
    前記風速ベクトル算出部は、走査された送信光の前記複数の点の方位に対応するそれぞれの風速ベクトルを算出し、複数の前記風速ベクトルを合成して前記観測空間内の風向風速を算出する
    光波レーダ装置において、
    前記風速ベクトル算出部は、ある円錐走査角において送信光を走査して求まる前記各視線方向風速値と、前記風速ベクトルから各視線方向風速成分を算出した結果との残差の標準偏差を求める機能を有し、それぞれの観測空間において、あらかじめ決められた複数の走査角に対応するそれぞれの標準偏差を算出し、算出したそれぞれの前記標準偏差があらかじめ設定された許容標準偏差以内となる走査角の中から最大の走査角を求め、前記最大の走査角を採用して風向風速を算出する
    ことを特徴とする光波レーダ装置。
JP2004175653A 2004-06-14 2004-06-14 光波レーダ装置 Expired - Fee Related JP5000082B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004175653A JP5000082B2 (ja) 2004-06-14 2004-06-14 光波レーダ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004175653A JP5000082B2 (ja) 2004-06-14 2004-06-14 光波レーダ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005351853A JP2005351853A (ja) 2005-12-22
JP5000082B2 true JP5000082B2 (ja) 2012-08-15

Family

ID=35586451

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004175653A Expired - Fee Related JP5000082B2 (ja) 2004-06-14 2004-06-14 光波レーダ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5000082B2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5111778B2 (ja) * 2006-04-28 2013-01-09 株式会社東芝 レーダ装置とその信号処理方法
JP5596927B2 (ja) * 2009-02-06 2014-09-24 アルプス電気株式会社 車両用携帯機
JP2010249550A (ja) * 2009-04-13 2010-11-04 Railway Technical Res Inst 気象レーダーを用いた突風探知システム
JP2014066548A (ja) * 2012-09-25 2014-04-17 Mitsubishi Electric Corp レーザレーダ装置
JPWO2016092705A1 (ja) * 2014-12-12 2017-04-27 三菱電機株式会社 レーザレーダ装置
JP6257845B2 (ja) 2015-05-12 2018-01-10 三菱電機株式会社 レーザレーダ装置及び風速観測方法
GB2551340B (en) 2016-06-13 2023-05-03 Sgurrenergy Ltd Methods and systems for use in remote sensing
CN109983362B (zh) * 2016-11-28 2023-05-09 三菱电机株式会社 数据处理装置、激光雷达装置以及风测定系统
CN110537018A (zh) * 2017-04-26 2019-12-03 三菱电机株式会社 Ai装置、激光雷达装置以及风力发电厂控制系统
EP3767340B1 (en) * 2018-04-26 2023-07-05 Mitsubishi Electric Corporation Laser radar device, wind power generator, and wind measurement method
EP3797328A4 (en) * 2018-09-30 2021-09-15 SZ DJI Technology Co., Ltd. OPTICAL SCANNING DEVICE WITH BEAM COMPRESSION AND EXPANSION
JP6756889B1 (ja) * 2019-09-30 2020-09-16 東日本旅客鉄道株式会社 渦検出装置、渦検出方法、プログラム及び学習済モデル
EP4141483A4 (en) * 2020-04-30 2023-06-21 Huawei Technologies Co., Ltd. TARGET DETECTION METHOD AND APPARATUS
CN112698276B (zh) * 2020-12-15 2023-06-02 中国人民解放军空军预警学院 一种抗风电场干扰的空管雷达监测系统及方法

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5396868A (en) * 1977-02-02 1978-08-24 Fuji Heavy Ind Ltd Light beam guidance controls for flying body
US4652122A (en) * 1985-06-26 1987-03-24 United Technologies Corporation Gust detection system
US5170218A (en) * 1991-03-29 1992-12-08 Raytheon Company Apparatus and method for detecting wind direction
JPH07128443A (ja) * 1993-11-02 1995-05-19 Toyota Motor Corp 車載レーダ装置
JPH10104255A (ja) * 1996-09-30 1998-04-24 Toshiba Corp 移動物体検出装置
JPH11326499A (ja) * 1998-05-20 1999-11-26 Mitsubishi Electric Corp 距離測定装置及びこれを利用した車両用制御装置
JP2000075030A (ja) * 1998-08-27 2000-03-14 Aisin Seiki Co Ltd スキャン型レーザーレーダ装置
JP3393183B2 (ja) * 1999-02-12 2003-04-07 三菱電機株式会社 ドップラ速度検出装置及び検出方法
JP3724379B2 (ja) * 2001-03-14 2005-12-07 三菱電機株式会社 ウインドシア検出装置
JP2002277549A (ja) * 2001-03-19 2002-09-25 Toshiba Corp 撮像装置
JP4067833B2 (ja) * 2002-01-31 2008-03-26 三菱電機株式会社 風速ベクトル計測装置および風速ベクトル算出方法
JP3774689B2 (ja) * 2002-09-06 2006-05-17 三菱電機株式会社 風力発電用風車建設予定地の風向風速計測方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005351853A (ja) 2005-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5000082B2 (ja) 光波レーダ装置
CN110609287B (zh) 一种双频雷达散射计及同时测量海面风场和流场的方法
US8120522B2 (en) System and method for inspecting a wind turbine blade
Pichugina et al. Doppler lidar–based wind-profile measurement system for offshore wind-energy and other marine boundary layer applications
Christiansen et al. Wake effects of large offshore wind farms identified from satellite SAR
Stawiarski et al. Scopes and challenges of dual-Doppler lidar wind measurements—An error analysis
Borraccino et al. Wind field reconstruction from nacelle-mounted lidar short-range measurements
CN108717195B (zh) 一种相干多普勒测风激光雷达系统及其控制方法
Heron et al. On the application of HF ocean radar to the observation of temporal and spatial changes in wind direction
US20110234453A1 (en) Weather radar apparatus and weather observation method
Debnath et al. Vertical profiles of the 3-D wind velocity retrieved from multiple wind lidars performing triple range-height-indicator scans
Braun et al. Sea-surface current features observed by Doppler radar
JP4168753B2 (ja) 風速ベクトル計測装置及び風速ベクトル計測方法
JP3850610B2 (ja) ウィンドプロファイラ装置
JP5698942B2 (ja) フェーズドアレイ型ドップラーソーダーシステム
Foussekis et al. Wind resource assessment uncertainty for a TLP-based met mast
Afanasiev et al. Verification of a passive correlation optical crosswind velocity meter in experiments with a Doppler wind lidar
Ivonin et al. Possibilities of X-band nautical radars for monitoring of wind waves near the coast
Kashiwayanagi et al. Rapid 3D scanning high resolution X-band weather radar with active phased array antenna
Voulgaris et al. 2-D inner-shelf current observations from a single VHF WEllen RAdar (WERA) station
Ryabkova et al. Study of the Doppler Spectrum of the Microwave Radar Signal Backscattered from the Water Surface at Low Incidence Angles in the Presence of a Constant Current: Experiment and Modeling
CN107144826B (zh) 一种建立改进的波谱仪调制信号模型的方法
Clive Compensation of bias in Lidar wind resource assessment
CN103852595A (zh) 一种低空风探测的方法
Zeng et al. Mapping wind by the first-order Bragg scattering of broad-beam high-frequency radar

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070604

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100907

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110816

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111003

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120515

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120516

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150525

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees