JP4998890B2 - ヒューズエレメント及びヒューズ - Google Patents

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Description

本発明は、GTOサイリスタやIGBT等の半導体スイッチングデバイスの保護用のヒューズ、及びこのヒューズに用いるヒューズエレメントに関する。
半導体スイッチングデバイスの著しい発達に対し、その半導体装置を保護する保護用ヒューズは常に遅れて発達して来た。半導体装置保護用ヒューズにおいては、その遮断実験のオシログラム波形で読まれる遮断電流Iの二乗値(Idt)を遮断時間0〜Tで積分したIT値が定義され、同一定格のヒューズと比較して、IT値が小さい方が性能が良いとされる。又、単位ヒューズを並列に配列して単位並列部(並列遮断部)を構成し、この並列遮断部をS個直列に接続してヒューズエレメントができる。即ち、並列遮断部を構成する遮断部狭小帯の並列数が「P値」として表され、並列遮断部を直列に並べた直列数が「S値」で表される。ヒューズエレメントの設計に際しては、直列接続数S値は定格電圧に対応して決定し、並列接続数P値は定格電流に対応して決定される。これらの値の従来値は直列接続数S値に対して1〜1.25/100V、並列接続数P値に対し1〜10P/cmが20年以上も守られてきた。
半導体装置保護用ヒューズとしては、従来、銀リボンプレス加工型のヒューズエレメントが知られている。例えば、銀(Ag)リボンにプレス金型によって3個の円形の穴を隣接して並列に開口し、更に両側に半円形の窪みを設けることにより、4個の遮断部狭小帯を構成し、これにより単位ヒューズを4個並列に並べた並列遮断部を構成し、更にこの4個並列した並列遮断部を連結帯(放熱帯)を介して5組直列に並べた構造が知られている。この場合は、銀リボンの断面積が狭小にされた遮断部狭小帯が5個直列で4個並列なので、5S4Pと表現される。銀リボンプレス加工型のヒューズエレメントは、ヒューズ筒中に消弧砂に埋められて収納される。通電電流はヒューズエレメントを通常流れているが、事故電流が発生すると、断面積が小さくて抵抗値の高い各遮断部狭小帯が溶断し、アーク電圧が高まって事故電流が速やかに遮断される。銀リボンプレス加工型のヒューズエレメントは、最近では、AC8000V電流3000Aを越えるものも作られているが、大型で価格も1ヶ20万円以上のものまである。しかし、従来のプレス加工型のヒューズエレメントは、板厚150μ線幅150μが限界であり、IT値の低減、コスト低減と小型化には、その限界が見えてきたように考えられている。
この様な銀リボンプレス加工型のヒューズエレメントに対し、本発明者らは、エッチング・ヒューズエレメントを提案してきた(特許文献1参照。)。更に、特許文献1で提案したエッチング・ヒューズエレメントの他にも、種々の改良型を試作し、評価及び検討を加えてきた。これらのエッチング・ヒューズエレメントは、図11に示すように、電気的絶縁性を有する長方形の板状をしたセラミック基板32の表面に、導電性薄膜39が形成された構造が基本となる。エッチング・ヒューズエレメントは、銀リボンプレス加工型のヒューズエレメントと同様に、ヒューズ筒中に消弧砂に埋められて収納される。導電性薄膜39は銅箔や銀箔等からなり、エッチングにより、遮断部狭小帯のパターンが形成される。
図11は、改良型のエッチング・ヒューズエレメントの平面パターンの一例を示し、中央部の分離穴Vの両側にそれぞれ並列配置された3個の菱形部Qを並列遮断部として備えるネットワーク型インテリジェントヒューズエレメントである。中央部の分離穴Vは菱形と長方形が合成された形状である。長方形の長辺は単位ヒューズの長さよりも短いが、ほぼ単位ヒューズの長さに近い長さである。並列遮断部の両側は、菱形部Qを1/2にした3角形である。一番外側の3角形と菱形部Qで挟まれた1つの切り欠き部、2つの菱形部Qで挟まれた2つの切り欠き部、及び菱形部Qと分離穴Vで挟まれた1つの切り欠き部を合わせて4つの切り欠き部にが中央部の分離穴Vの両側に配置された構造である。即ち、分離穴Vの左側の4つの切り欠き部と、分離穴Vの右側の4つの切り欠き部とで合計8チャネルの電流通路が形成されている。つまり、図11に例示したパターンでは、単位ヒューズを8個並列に並べて並列遮断部を構成し、更にこの並列遮断部を連結帯(放熱帯)を介して複数組(例えば22個)直列に並べた構造である。
図11に例示したようなエッチング・ヒューズエレメント(図11のネットワーク型インテリジェントヒューズエレメントのような分離穴Vがない構造でも構わない。)においては、通電電流はヒューズエレメントの導電性薄膜39を通常流れているが、事故電流が発生すると、断面積が小さくて抵抗値の高い各遮断部狭小帯が溶断し、アーク電圧が高まって事故電流が速やかに遮断される。
このエッチング・ヒューズエレメントも、従来、導電性薄膜39の厚さ30〜60μm線幅100μm程度が限界と考えられていた。特に、並列遮断部を接続する連結帯(放熱帯)の直列方向に測った長さが3mmは必要であろうと考えられており、このため直列接続数S値の最大は、定格電圧600Vクラスでは、従来の技術常識では、8S程度であろうと考えられていたが、本発明者らの試作検討により、24S程度まで可能になってきたが、エッチング技術の限界により、これ以上の微細化は困難と思われる。同様に、定格電圧7200Vクラスでは、従来の技術常識では、46S程度であろうと考えられていたが、本発明者らの試作検討により、180S程度まで可能になってきたが、エッチング技術の限界により、これ以上の微細化は困難と思われる。並列数についても、本発明者らの試作検討により、2定格電圧600Vクラスで従来の5P程度から、32P程度まで可能になり、定格電圧7200Vクラスでは、30P程度から110P程度まで可能になってきたが、エッチング技術の限界により、これ以上の微細化は困難と思われる。
特開2006−73331号公報
この様に、エッチング・ヒューズエレメントのIT値の低減、コスト低減と小型化には、その限界が見えてきた。直列接続数S値に対して1/100V、並列接続数P値に対し10P/cmの従来型エッチング・ヒューズエレメントが製品化され、銀リボンプレス加工型のヒューズエレメントに比し、小型高性能であっても、ややコスト高となるので販売の低迷が続いている。
EU等の外国においても基礎研究がありながら実用化しないので、上記と同一の技術的課題が推定される。
従来も、ヒューズの遮断性能を改善するために、遮断点を多くすることが試みられていた。しかしながら、これまでの常識的考えとして、遮断部狭小帯において、ほぼ同時に発弧する長さが大きい程、限流特性が良くなるものと考えられていた。したがって遮断部狭小帯を形成する円弧の径は大きい程良いとされていた。
上記問題を鑑み、本発明は、IT値の低減、コスト低減と小型化が可能なヒューズエレメント及びこのヒューズエレメントを用いたヒューズを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の態様は、絶縁性基板と、この絶縁性基板上の導電性薄膜からなり、この導電性薄膜が、複数個の遮断部狭小帯を並列配置した遮断部を、更に直列に連結帯を介して交互に周期的に直列接続したパターンを有するヒューズエレメントであって、複数個の遮断部狭小帯のそれぞれが、遮断部狭小帯を並列方向に互いに分離する穴部よりも面積の小さい電流狭窄手段を備えるヒューズエレメントであることをその特徴とする。
本発明の他の態様は、ヒューズ筒となる絶縁管と、この絶縁管の内部に収納され、絶縁性基板、この絶縁性基板上の導電性薄膜からなり、この導電性薄膜が、複数個の遮断部狭小帯を並列配置した遮断部を、更に直列に連結帯を介して交互に周期的に直列接続したパターンを有するヒューズエレメントとを備えるヒューズに関する。即ち、この他の態様に係るヒューズは、内部に収納されるヒューズエレメントに設けられた複数個の遮断部狭小帯のそれぞれが、遮断部狭小帯を並列方向に互いに分離する穴部よりも面積の小さい電流狭窄手段を備えることをその特徴とする。
本発明によれば、IT値の低減、コスト低減と小型化が可能なヒューズエレメント及びこのヒューズエレメントを用いたヒューズを提供することができる。
本発明者らはアーク特性は遮断部狭小帯を分割して直列数を多くすればする程アーク電圧が大となり、アーク特性が良くなるという知見を得、これを「S効果」と名付けた。S効果の実験を重ねるうちに、従来の常識であった瞬時遮断部狭小帯長さを大きくして、アークの立ち上がりのdv/dtを大きくする方法は間違ってはいないが、それだけが真実であり、ベストの方法と考えることには、疑問を持つ様になった。
本発明は発弧長さは出来る限り短くし、遮断部狭小帯の断面積を小さくして、発弧時間をできるだけ早くした方法が良いと言う考え方で、従来とは全く逆の発想である。しかし実質的にはヒューズエレメントとしての定格電流、電圧、溶断特性、温度上昇特性を満足させなければならないので難しい。その方法にはいろいろのことが考えられる。
例えば従来型の銀リボン、プレス型ヒューズでは数多くある遮断部狭小帯の1点にハンダを盛り、遮断部狭小帯を合金化して溶断温度を下げる方法があるが、この方法は数多くある直列遮断点の一部の発弧を早くするだけで、最初の発弧点をヒューズエレメントの中央にするために用いられるが、全ての遮断点に適用することは、溶断特性のばらつきを大きくし、経済的にも成り立たない。
電力ヒューズにおいて限流特性を良くするためには、単位ヒューズの瞬時溶断長さを大きくしてアーク電圧の立ち上がり速度(dv/dt)を大きくすることが必要であることが常識であった。
しかし本発明のエッチング・ヒューズエレメントにおいては、単位ヒューズの瞬時溶断長さは短くても、より小さい遮断部狭小帯の最小断面を、作り出すことが重要である。この知見は数多くの繰り返し実験の結果得られた経験的事実である。エッチング・ヒューズエレメントの全直列遮断点の発弧時間を短くし、且つバラツキの少ない溶断特性を確保するための実験は、低電圧で行う溶断試験回路では結果を求めることができない。実回路同様の遮断実験を数多く実験する必要があり、普通考えられる短絡発電機を使用しての実験では、経済的時間的に不可能である。本発明者らはLC共振回路を使って密閉型大容量ヒューズの実験を可能とする電力用高低圧LC型遮断装置を他に先駆けて作り、高頻度の遮断実験を可能とすることが始めて可能になったのである。
本発明のエッチング・ヒューズエレメントにおいては、長い遮断部狭小帯がジュール損で同時に溶けて発弧した場合、発弧エネルギーは、抵抗によるジュール損より極度に大きいことにより、発弧時のアーク長さが、短くともその進展速度は高くなり、早く発弧した分と併せて、より早く電流上昇をおさえていると考えられる。
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。又、本発明の第1及び第2の実施の形態で例示的に記述した各層の厚さや寸法等も限定的に解釈すべきではなく、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
又、以下に示す本発明の第1及び第2の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るヒューズエレメントは、図1の横方向に並列配置されたm個の穴部(凸部付き楕円の穴)Q1,Q2,Q3,……,Qm-1,Qm(m=P−1は正の整数。)及びこの穴部Q1,Q2,Q3,……,Qm-1,Qmに両側を挟まれ、2段絞りの臼型に括れたP個の遮断部狭小帯を図1の横方向に並列配置して、遮断部22-1,22-2,22-3,……,22-(n-1),22-nをそれぞれ構成している。そして、n個(n=Sは正の整数。)の遮断部22-1,22-2,22-3,……,22-(n-1),22-nが、図1の縦方向に直列接続されて配置されている。
図2(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るヒューズエレメントを構成する単位ヒューズの構造を詳細に説明する断面図である。又、図2(b)は図2(a)に対応し、図1に示したヒューズエレメントのうち特定の4個の単位ヒューズを選択し、遮断部狭小帯22-kに設けられた電流狭窄手段(Ra2,Rb2)を詳細に説明する平面図である。即ち、図2(b)に示すように、遮断部狭小帯22-kは、右側を第1円弧Ra1、左側を第1円弧Rb1で定義され、ほぼ対称形に臼型に括れているが、遮断部狭小帯22-kの括れ幅が最小となる位置において、右側に切り欠きパターンをなす第2円弧Ra2、左側に切り欠きパターンをなす第2円弧Rb2が本発明の電流狭窄手段として設けられ、2段絞り構造を達成している。図2(b)では、第2円弧Ra2,Rb2により電流狭窄手段を例示しているが、電流狭窄手段は円弧形状である必要はなく、穴部Q1,Q2,Q3,……,Qm-1,Qmよりも面積が小さければ、楔型(三角形)、矩形、6角形等の多角形でも構わない。しかしながら、微細加工の容易性を考慮すれば、円又は楕円等の円弧形状が好ましい。)
図2には、厚さtHで、直列方向に測った長さH、並列方向に測った最小狭小帯幅P1、最大幅Bとなるように側部に電流狭窄手段(Ra2,Rb2)を備えて2段絞りの臼型に括れた遮断部狭小帯22-kと、遮断部狭小帯22-kに接続され、厚さtRで、直列方向に測った長さR、並列方向に測った幅Bの矩形の連結帯(放熱帯)21-kとで単位ヒューズを構成していることを示している。このため、単位ヒューズの直列方向に測った長さPL=H+Rとなる。
図1に示す遮断部22-1,22-2,22-3,……,22-(n-1),22-nは、好ましくは、直列方向に測った長さが2.5mm以下の連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nを介してn組直列に並べれば良い。図1に示すように、直列方向に測ったヒューズエレメントの両端には、端子部11,12が設けられている。なお、直列接続数S=n及び並列接続数P=m+1の組み合わせを本明細書では、以下において、「nS(m+1)P」のように表現する。
図3に示すように、ヒューズエレメントの直列方向に測った長さをL、ヒューズエレメントの並列方向に測った幅をW、端子部11,12の直列方向に測った長さをTとすれば、並列接続数P値及び直列接続数S値を用いて:
B=W/P ……(1)
L=H+R=(L−2T)/S ……(2)
と表現することができる。
図2(a)に示した厚さの定義を用いて説明すれば、第1の実施の形態に係るヒューズエレメントは遮断部22-1,22-2,22-3,……,22-(n-1),22-nの厚さtH=10〜60μmであり、連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nの厚さtR=80〜150μmが好ましいが、これに限定される必要はない。最小狭小帯幅P1は、遮断部の厚さtHに依存するので、微細加工性を考慮すると、遮断部の厚さtHは10〜40μmが好ましく、更に並列接続数P値及び直列接続数S値を増大するためには、遮断部の厚さtHが10〜30μm程度が好ましい。最小狭小帯幅P1は、理論上は遮断部の厚さtH程度まで可能であるが、加工寸法のバラツキを考慮すると、遮断部の厚さtHの2倍程度が好ましい。したがって、遮断部の厚さtHを30μm程度とすれば、最小狭小帯幅P1=60μmがエッチングにより加工可能であり、遮断部の厚さtHを10μm程度とすれば、最小狭小帯幅P1=20μmがエッチングにより加工可能である。
第1の実施の形態に係るヒューズエレメントにおいては、連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nの厚さtRを厚くして、連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nの抵抗値を小とし、且つ連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nの質量を大きくすることによって連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nの長さRが小さくても連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nの存在を確保できるようになるので、好ましい。
なお、第1の実施の形態に係るヒューズエレメントにおいて、遮断部22-1,22-2,22-3,……,22-(n-1),22-nの厚さtHを薄くすれば、並列接続数P値を大きくしてP効果を高めながら直列接続数S値も大きくできるようになるので、S効果を最大限に利用してIT値を従来ヒューズの1/10にも小さくすることができる。
図1に示すように、第1の実施の形態に係るヒューズエレメントは、厚さ0.8mm〜1.5mmのセラミック基板等の絶縁性基板(図1において絶縁性基板の図示を省略しているが、図9〜11の絶縁性基板32を参照されたい。)の上に導電性薄膜のパターンを形成して構成される。セラミック基板の素材としてはアルミナ(Al23)、ムライト(3Al23・2SiO2)、ベリリア(BeO)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化珪素(SiC)等が使用可能である。導電性薄膜としては金属薄膜、特に安価且つ加工の容易性を鑑みると銅(Cu)が好ましいが、銅に限定されるものではない。金属薄膜、特に銅の薄膜であれば、第1の実施の形態に係るヒューズエレメントのパターンは、銅(Cu)のメッキ及び、エッチングにより簡単に形成できる。即ち、セラミック基板の上に厚さtH=10〜60μmの銅の薄メッキをして、遮断部22-1,22-2,22-3,……,22-(n-1),22-nのパターニングをした後、連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nの部分が厚さtR=80〜150μmとなるまで追加のメッキをすれば良い。
図1に例示した平面パターンでは便宜上並列接続数P=16の場合を示しているが、これに限定されるものではなく、P=8,30,32,…,60,70,75等種々の値が採用可能である。同様に、直列接続数S=12,16,24,…,79,…,148,…,180,198等種々の値が採用可能である。第1の実施の形態に係るヒューズエレメントによれば、従来の常識値1〜1.2/100Vを越えた、1.5/100V以上の直列接続数S値を持つヒューズを提供できる。ここで「1.5/100V以上の直列接続数S値」は、直列接続数S値が実効電圧100V当たり1.5以上であることを示す。具体的には、AC600V用ヒューズの直列接続数S値は6〜7Sが常識であるのに対し、第1の実施の形態に係るヒューズエレメントによれば、AC600V用ヒューズの直列接続数S値は24S〜32Sが可能である。又、AC6000V用ヒューズでは60〜70Sが、従来の常識であるが、第1の実施の形態に係るヒューズエレメントによれば、148〜198Sが実現できる。
表1は、電流狭窄手段を有したエッチング・ヒューズエレメントに係る第1〜第3実施例と、1段絞りパターンのエッチング・ヒューズエレメントに係る比較例と、従来技術(高圧の半導体装置保護用ヒューズの独占メーカであるフェラーズ社の定格電流75Aの銀リボンプレス加工型のヒューズエレメント)を比較したものである。第1〜第3実施例の2段絞りパターンは、いずれも直列接続数S=180,並列接続数P=75(180S75P型)で同一である。しかし、第1、第2、第3実施例のヒューズエレメントのそれぞれのメッキ厚さを変えることにより、第1、第2、第3実施例のヒューズエレメントの全抵抗値は、それぞれ、18.11mΩ,18.66mΩ,18.38mΩとなり、互いに異なる値となっている。一方、比較例としては、本発明者らの試作において、これまでの最高性能が得られた直列接続数S=79,並列接続数P=30(79S30P)のヒューズエレメントを2枚並列接続したものを用い、ヒューズエレメントの全抵抗値=5.95mΩであった。これに対し、従来技術である、フェラーズ社の定格電流75Aの銀リボンプレス加工型のヒューズエレメントの全抵抗値=8.8mΩである。
Figure 0004998890
従来技術のフェラーズ社の定格電流75Aの銀リボンプレス加工型のヒューズエレメントの全抵抗値を基準抵抗値とし、表1の「等価I2 T値」は、定格電流値を同一にしてそれぞれのヒューズエレメントの比較するために、基準抵抗値=8.8mΩをそれぞれの全抵抗を割った値を自乗した値で規格化している。即ち、第1実施例のヒューズエレメントの等価I2 T値は第1実施例の全I2 T値1470(A2s)に(18.11/8.8)2を掛けて6226(A2s)となる。同様に、第2実施例のヒューズエレメントの等価I2 T値は第2実施例の全I2 T値1416(A2s)に(18.66/8.8)2を掛けて6367(A2s)となり、第3実施例のヒューズエレメントの等価I2 T値は第3実施例の全I2 T値1802(A2s)に(13.38/8.8)2を掛けて4811(A2s)となる。又、比較例のヒューズエレメントの等価I2 T値は比較例の全I2 T値18296(A2s)に(5.95/8.8)2を掛けて8364(A2s)となる。
表1の右から2番目の欄に示した比較値Aは、従来技術のフェラーズ社のヒューズエレメントの等価I2 T値を100%としたときの、第1、第2、第3実施例のヒューズエレメントのそれぞれの等価I2 T値の比率である。表1から、電流狭窄手段を設けることにより、第1実施例のヒューズエレメントで従来技術の70%、第2実施例のヒューズエレメントで従来技術の72%、第3実施例のヒューズエレメントで従来技術の54%と、等価I2 T値を従来技術の72%以下の値に減少させる改善効果が得られることが分かる。
表1の右端の欄に示した比較値Bは、比較例のヒューズエレメントの等価I2 T値を100%としたときの、第1、第2、第3実施例のヒューズエレメントのそれぞれの等価I2 T値の比率である。表1から、電流狭窄手段を設けることにより、第1実施例のヒューズエレメントで比較例の74%、第2実施例のヒューズエレメントで比較例の76%、第3実施例のヒューズエレメントで比較例の58%と、等価I2 T値を比較例の76%以下の値に減少させる改善効果が得られることが分かる。
表1により、電流狭窄手段を設けることにより、2段絞りの括れパターンを形成することにより、ヒューズエレメントの性能が改善されたことが分かるが、その改善には、「S,P効果」が寄与しているので、注意が必要である。図4は「S,P効果」と電流狭窄手段による2段絞りの効果を分離するための、4種の平面パターンを示す。図4は、表1に示した第1〜第3実施例と同様に、直列接続数S=180,並列接続数P=75(180S75P型)のヒューズエレメント中の単位ヒューズの平面パターンを示す。図4において単位ヒューズの幅P3=0.32mmで、遮断部狭小帯幅P1は45μmで、遮断部の厚さtHは15μmである。
図4において符合Hで示す一段絞りのパターン(H型絞りパターン)の曲率半径r=0.1mmである。一方、符合Aで示す二段絞りのパターン(A型絞りパターン)の曲率半径r=0.1mmであり、符合Bで示す二段絞りのパターン(B型絞りパターン)の曲率半径r=0.06mmであり、符合Cで示す二段絞りのパターン(C型絞りパターン)の曲率半径r=0.04mmである。図4に示した絞り度の異なる3種類の電流狭窄手段のパターンを含めた、全部で4種類のパターンについて、単位ヒューズ当たりの遮断部狭小帯幅全体の抵抗値がどうなるかを計算した結果を表2に示す。遮断部狭小帯幅全体の抵抗値の計算に際しては、20℃における銀(Ag)の抵抗率1.72×10-8Ω・mを用いた。
Figure 0004998890
表2の結果をグラフで示すと図5の如くなる。一段絞りのパターンであるH型絞りパターンの抵抗値を100%として、H型絞りパターンの抵抗値に対するA型絞りパターン,B型絞りパターン,C型絞りパターンの抵抗値の比率を%で示すと、二段絞りのパターンの抵抗値は97%、79%、67%と小さくなる。I2 T値は定格電流値を同一にして比較する必要があり、抵抗値で換算する場合、この抵抗値の自乗値で割ることになるので、換算するとI2 T値はHを100%としてA型絞りパターンは94%、B型絞りパターンは62%、C型絞りパターンは46%と小さくなることが分かる。故に円弧状の電流狭窄手段による2段絞りの効果は曲率半径r値を小さくするほど効果が進み、エッチング技術の向上により、I2 T値についても50%以下の値に減少させる改善効果が得られることが分かる。電流狭窄手段が楔状であれば、曲率半径と同等な幾何学的意味として楔の先端角が鋭くなれば、I2 T値を減少させる効果が増大する。同様に、電流狭窄手段が多角形であっても、曲率半径と同等な幾何学的意味を有する切り欠き形状が鋭くなれば、I2 T値を減少させる効果が増大する。
図6は、第1の実施の形態に係るヒューズエレメントの実装構造の一例を示す。図6では3枚のヒューズエレメント1a,1b,1cが内キャップ2a,2bに設けられた矩形のスリットを介して固定されている。そして、ヒューズ筒となる絶縁管5の両端を閉じるように内キャップ2a,2bが絶縁管の両端に被せられ、内キャップ2a,2bの外側にヒューズ端子4a,4bをそれぞれ有する外キャップ3a,3bが嵌め込まれることにより、ヒューズ筒を構成している。ヒューズ筒となる絶縁管5中には消弧砂が収納され、ヒューズエレメント1a,1b,1cは、消弧砂に埋められて収納される。
上述したように、第1の実施の形態に係るヒューズエレメントによれば、電流狭窄手段と共に、S,P効果を併用することにより、IT値を従来ヒューズの1/10にも小さくすることができるので、設計上、電流に余裕が生じる。このため、IT値を所望値以下に維持しつつ、最小狭小帯幅P1を大きくすることにより、定格電流を増大できる。即ち、一枚のヒューズエレメントに流れる定格電流を2倍にすることも容易であるので、図6に示すように、ヒューズエレメントの実装構造における用いるヒューズエレメントの枚数を半分以下にして、実装構造(ヒューズ筒)の小型化と低コスト化を図ることが可能である。
(第2の実施の形態)
図7に示すように、本発明の第2の実施の形態に係るヒューズエレメントは、隣接して並列配置されたm個の楕円の穴部(第1穴)Q11,Q21,Q31,……,Q(m-1)1,Qm1(m=P−1は正の整数。)、それぞれ第1穴Q11,Q21,Q31,……,Q(m-1)1,Qm1に両側を挟まれた臼型括れ部、及び各臼型括れ部にそれぞれ1個ずつ設けられ、第1穴Q11,Q21,Q31,……,Q(m-1)1,Qm1よりも曲率半径の小さな第2穴Q12,Q22,Q32,……,Q(m-1)2,Qm2により、P個の電流通路(遮断部狭小帯)を並列配置して、それぞれn個(n=Sは正の整数。)の遮断部22-1,22-2,22-3,……,22-(n-1),22-nを構成し、遮断部22-1,22-2,22-3,……,22-(n-1),22-nを直列接続している。第2穴Q12,Q22,Q32,……,Q(m-1)2,Qm2が、本発明の電流狭窄手段として機能している。
図8(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るヒューズエレメントを構成する単位ヒューズの構造を詳細に説明する断面図である。又、図8(b)は図8(a)に対応し、図7に示したヒューズエレメントのうち特定の4個の単位ヒューズを選択し、それぞれの遮断部狭小帯に設けられた電流狭窄手段を詳細に説明する平面図である。即ち、図8(b)に示すように、遮断部狭小帯22-kは、右側を円弧Ra、左側を円弧Rbで定義され、ほぼ対称形に臼型に括れているが、遮断部狭小帯22-kの括れ幅が最小となる位置の中央に、第2穴Qj2が本発明の電流狭窄手段として設けられ、IT値を低減する遮断促進構造を形成している。
図8に示すように、厚さtHで、直列方向に測った長さH、並列方向に測った最小狭小帯幅P1、最大幅Bとなるように側部の輪郭が臼型に括れ、且つ電流狭窄手段としての第2穴Qj2を備える遮断部狭小帯22-kと、遮断部狭小帯22-kに接続され、厚さtRで、直列方向に測った長さR、並列方向に測った幅Bの矩形の連結帯(放熱帯)21-kとで単位ヒューズを構成していることを示している。このため、単位ヒューズの直列方向に測った長さPL=H+Rとなる。
第1の実施の形態に係るヒューズエレメントと同様に、図7に示す遮断部22-1,22-2,22-3,……,22-(n-1),22-nは、好ましくは、直列方向に測った長さが2.5mm以下の連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nを介してn組直列に並べれば良い。図8(a)に示した厚さの定義を用いて説明すれば、第2の実施の形態に係るヒューズエレメントは遮断部22-1,22-2,22-3,……,22-(n-1),22-nの厚さtH=10〜60μmであり、連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nの厚さtR=80〜150μmが好ましいが、これに限定される必要はない。最小狭小帯幅P1は、遮断部の厚さtHに依存するので、微細加工性を考慮すると、遮断部の厚さtHは10〜40μmが好ましく、更に並列接続数P値及び直列接続数S値を増大するためには、遮断部の厚さtHが10〜30μm程度が好ましい。
第1の実施の形態に係るヒューズエレメントと同様に、第2の実施の形態に係るヒューズエレメントにおいては、連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nの厚さtRを厚くして、連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nの抵抗値を小とし、且つ連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nの質量を大きくすることによって連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nの長さRが小さくても連結帯(放熱帯)21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-nの存在を確保できるようになるので、好ましい。
図7に示すように、第2の実施の形態に係るヒューズエレメントは、厚さ0.8mm〜1.5mmのセラミック基板等の絶縁性基板(図7において絶縁性基板の図示を省略しているが、図9〜11の絶縁性基板32を参照されたい。)の上に導電性薄膜のパターンを形成して構成される。セラミック基板の素材としては第1の実施の形態で説明したアルミナ(Al23)、ムライト(3Al23・2SiO2)、ベリリア(BeO)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化珪素(SiC)等が使用可能である。導電性薄膜としては金属薄膜、特に安価且つ加工の容易性を鑑みると銅(Cu)が好ましいが、銅に限定されるものではない。金属薄膜、特に銅の薄膜であれば、第2の実施の形態に係るヒューズエレメントのパターンは、銅(Cu)のメッキ及び、エッチングにより簡単に形成できる。
第1の実施の形態に係るヒューズエレメントと同様に、第2の実施の形態に係るヒューズエレメントによっても、電流狭窄手段としての第2穴Q12,Q22,Q32,……,Q(m-1)2,Qm2を設けることにより、第2穴Q12,Q22,Q32,……,Q(m-1)2,Qm2がない場合に比し、等価I2 T値を50〜70%程度以下の値に減少させる改善効果が得られる。
又、第2の実施の形態に係るヒューズエレメントにおいて、遮断部22-1,22-2,22-3,……,22-(n-1),22-nの厚さtHを薄くすれば、並列接続数P値を大きくしてP効果を高めながら直列接続数S値も大きくできるようになるので、S効果を最大限に利用してIT値を従来ヒューズの1/10にも小さくすることができる。
なお、図6に示したのと同様に、第2の実施の形態に係るヒューズエレメントを複数枚、絶縁管の内部に実装し、ヒューズ筒を構成することが可能である。
上述したように、第2の実施の形態に係るヒューズエレメントによれば、電流狭窄手段と共に、S,P効果を併用することにより、IT値を従来ヒューズの1/10にも小さくすることができるので、設計上、電流に余裕が生じる。このため、IT値を所望値以下に維持しつつ、最小狭小帯幅P1を大きくすることにより、定格電流を増大できる。即ち、一枚のヒューズエレメントに流れる定格電流を2倍にすることも容易であるので、図6に示すように、ヒューズエレメントの実装構造における用いるヒューズエレメントの枚数を半分以下にして、実装構造(ヒューズ筒)の小型化と低コスト化を図ることが可能である。
図7及び図8においては、穴部(第1穴)Qj1及び電流狭窄手段(第2穴)Qj2が円又は楕円状のトポロジーを示したが、例示であり、図7及び図8に示したトポロジーに限定されるものではない。例えば、図9に示すように穴部(第1穴)Qj1が6角形であっても良く、図10に示すように穴部(第1穴)Qj1が菱形であっても良く、その他種々の多角形でも構わない。
図9は、第2の実施の形態の第1変形例に係るヒューズエレメントの平面パターンの一例を示す。図9に示すように、電気的絶縁性を有する長方形の板状をしたセラミック基板32の表面に、導電性薄膜31Cが形成された構造が基本となる。図9に示すように、本発明の第2の実施の形態の第1変形例に係るヒューズエレメントは、隣接して並列配置された複数個(図9では3個)の六角形の穴部(第1穴)Qji、それぞれ穴部(第1穴)Qjiに両側を挟まれた遮断部狭小帯、及び各遮断部狭小帯にそれぞれ1個ずつ設けられ、穴部(第1穴)Qjiよりも面積が小さな円形の第2穴Qj2により、P個の電流通路(遮断部狭小帯)を並列配置して、それぞれn個(n=Sは正の整数。)の遮断部を構成し、更に、図9の縦方向に沿って、n個の遮断部を直列接続している。第2穴Qj2が、本発明の電流狭窄手段として機能している。具体的には、並列遮断部の両側は、6角形を1/2にした凹部であるので、一番左側の凹部と穴部(第1穴)Qjiで挟まれた1つの遮断部狭小帯、3つの穴部(第1穴)Qjiで挟まれた2つの遮断部狭小帯、及び穴部(第1穴)Qjiと一番右側の凹部で挟まれた1つの遮断部狭小帯を合わせてP=4の遮断部狭小帯が構成された構造である。更にこの並列遮断部を連結帯(放熱帯)を介して複数組(例えば1500V用では22個)直列に並べた構造である。
図9に例示したような第2の実施の形態の第1変形例に係るヒューズエレメントにおいては、通電電流はヒューズエレメントの導電性薄膜31Cを通常流れているが、事故電流が発生すると、電流狭窄手段としての第2穴Qj2を有する各遮断部狭小帯が溶断し、アーク電圧が高まって事故電流が速やかに遮断される。
図10は、第2の実施の形態の第2変形例に係るヒューズエレメントの平面パターンの一例を示す。図10に示すように、電気的絶縁性を有する長方形の板状をしたセラミック基板32の表面に、導電性薄膜31dが形成された構造が基本となる。図10に示すように、本発明の第2の実施の形態の第2変形例に係るヒューズエレメントは、隣接して並列配置された複数個(図10では3個)の菱形の穴部(第1穴)Qji、それぞれ穴部(第1穴)Qjiに両側を挟まれた遮断部狭小帯、及び各遮断部狭小帯にそれぞれ1個ずつ設けられ、穴部(第1穴)Qjiよりも面積が小さな円形の第2穴Qj2により、P個の電流通路(遮断部狭小帯)を並列配置して、それぞれn個(n=Sは正の整数。)の遮断部を構成し、更に、図10の縦方向に沿って、n個の遮断部を直列接続している。第2穴Qj2が、本発明の電流狭窄手段として機能している。具体的には、並列遮断部の両側は、菱形を1/2にした凹部であるので、一番左側の凹部と穴部(第1穴)Qjiで挟まれた1つの遮断部狭小帯、3つの穴部(第1穴)Qjiで挟まれた2つの遮断部狭小帯、及び穴部(第1穴)Qjiと一番右側の凹部で挟まれた1つの遮断部狭小帯を合わせてP=4の遮断部狭小帯が構成された構造である。更に、この並列遮断部を連結帯(放熱帯)を介して複数組(例えば1500V用では22個)直列に並べた構造である。
図10に例示したような第2の実施の形態の第2変形例に係るヒューズエレメントにおいては、通電電流はヒューズエレメントの導電性薄膜31dを通常流れているが、事故電流が発生すると、電流狭窄手段としての第2穴Qj2を有する各遮断部狭小帯が溶断し、アーク電圧が高まって事故電流が速やかに遮断される。
但し、微細加工性を考慮すると穴部(第1穴)Qj1は円又は楕円が好ましい。電流狭窄手段(第2穴)Qj2も同様に、種々の多角形が採用可能であるが、電流狭窄手段(第2穴)Qj2は穴部(第1穴)Qj1よりも面積が小さいので、穴部(第1穴)Qj1の場合に比し、円又は楕円を採用する要請が高くなるのは、勿論である。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な態様や代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明はここでは記載していない様々な態様や実施の形態等を含むことは勿論であり、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
第1の実施の形態に係るヒューズエレメントの概略構成を説明する模式的な平面図(上面図)である。 図2(a)は、第1の実施の形態に係るヒューズエレメントを構成する単位ヒューズの構造(立体構造)を詳細に説明する断面図で、図2(b)は図2(a)に対応し、4個の単位ヒューズの構造を詳細に説明する平面図である。 単位ヒューズとヒューズエレメントの全体との関係を説明する模式的な平面図(上面図)である。 S,P効果と電流狭窄手段の効果を分離するために、単位ヒューズ当たりの遮断部狭小帯幅全体の抵抗値を計算して検討した4種の絞りパターンを、同一平面図に重ねて示す図である。 図4に示した4種類のパターンについて、単位ヒューズ当たりの遮断部狭小帯幅全体の抵抗値及びI2 T値を比較して示し、電流狭窄手段による2段絞りの効果を示す図である。 図6(a)は、第1の実施の形態に係るヒューズエレメントの実装構造を示す模式的な断面図で、図6(b)は内キャップに収納(挿入)された3枚のヒューズエレメントを示す図である。 第2の実施の形態に係るヒューズエレメントの概略構成を説明する模式的な平面図(上面図)である。 図8(a)は、第2の実施の形態に係るヒューズエレメントを構成する単位ヒューズの構造(立体構造)を詳細に説明する断面図で、図8(b)は図8(a)に対応し、4個の単位ヒューズの構造を詳細に説明する平面図である。 第2の実施の形態の変形例(第1変形例)に係るヒューズエレメントの概略構成を説明する模式的な平面図(上面図)である。 第2の実施の形態の他の変形例(第2変形例)に係るヒューズエレメントの概略構成を説明する模式的な平面図(上面図)である。 本発明の完成に至る過程において本発明者らが検討した、ヒューズエレメントの改良型の一例を示す模式的な平面図(上面図)である。
符号の説明
1a,1b,1c…ヒューズエレメント
2a,2b…内キャップ
3a,3b…外キャップ
4a,4b…ヒューズ端子
5…絶縁管
11,12…端子部
21-1,21-2,21-3,……,21-(n-1),21-n…連結帯(放熱帯)
22-1,22-2,22-3,……,22-(n-1),22-n…遮断部(遮断部狭小帯)
31C,31d、39…導電性薄膜
32…絶縁性基板(セラミック基板)
1,Q2,Q3,……,Qm-1,Qm…穴
j1,Q11,Q21,Q31,……,Q(m-1)1,Qm1…穴部(第1穴)
j2,Q12,Q22,Q32,……,Q(m-1)2,Qm2…電流狭窄手段(第2穴)
Q…菱形部
a,Rb…円弧
a1,Rb1…第1円弧
a2,Rb2…電流狭窄手段(第2円弧)
V…分離穴

Claims (11)

  1. 絶縁性基板と、該絶縁性基板上の導電性薄膜からなり、該導電性薄膜が、複数個の遮断部狭小帯を並列配置した遮断部のパターンを、更に直列に連結帯を介して交互に周期的に直列接続した繰り返しパターンを有するヒューズエレメントであって、
    前記遮断部の厚さが10〜60μmで、前記連結帯の厚さが80〜150μmであり、且つ前記連結帯の直列方向に測った長さが2.5mm以下であり、
    前記複数個の遮断部狭小帯のそれぞれが、前記遮断部狭小帯を前記並列方向に互いに分離する穴部よりも面積の小さい電流狭窄手段を前記遮断部狭小帯の一部に局所的に備えることを特徴とするヒューズエレメント。
  2. 前記電流狭窄手段が、前記遮断部狭小帯の括れ幅が最小となる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヒューズエレメント。
  3. 前記電流狭窄手段が、前記遮断部狭小帯の括れ幅が最小となる位置に設けられる切り欠きパターンであり、該切り欠きパターンを側部に設けることにより、前記複数個の遮断部狭小帯のそれぞれが、2段絞り構造をなすことを特徴とする請求項1に記載のヒューズエレメント。
  4. 前記複数個の遮断部狭小帯のそれぞれが、円弧状の穴部により前記並列方向に互いに分離され、
    前記切り欠きパターンが、前記遮断部狭小帯の輪郭を定義する円弧の曲率半径よりも小さな曲率半径を有することを特徴とする請求項に記載のヒューズエレメント。
  5. 前記電流狭窄手段が、前記遮断部狭小帯の括れ幅が最小となる位置の前記遮断部狭小帯の中央に設けられた第2の穴部であることを特徴とする請求項1に記載のヒューズエレメント。
  6. ヒューズ筒となる絶縁管と、
    該絶縁管の内部に収納され、絶縁性基板、該絶縁性基板上の導電性薄膜からなり、該導電性薄膜が、複数個の遮断部狭小帯を並列配置した遮断部のパターンを、更に直列に連結帯を介して交互に周期的に直列接続した繰り返しパターンを有するヒューズエレメント
    とを備えるヒューズであって、
    前記遮断部の厚さが10〜60μmで、前記連結帯の厚さが80〜150μmであり、且つ前記連結帯の直列方向に測った長さが2.5mm以下であり、
    前記複数個の遮断部狭小帯のそれぞれが、前記遮断部狭小帯を前記並列方向に互いに分離する穴部よりも面積の小さい電流狭窄手段を前記遮断部狭小帯の一部に局所的に備えることを特徴とするヒューズ。
  7. 前記ヒューズエレメントの複数枚が、前記絶縁管の内部に並列接続されて収納されていることを特徴とする請求項6に記載のヒューズ。
  8. 前記電流狭窄手段が、前記遮断部狭小帯の括れ幅が最小となる位置に設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載のヒューズ。
  9. 前記電流狭窄手段が、前記遮断部狭小帯の括れ幅が最小となる位置に設けられる切り欠きパターンであり、該切り欠きパターンを側部に設けることにより、前記複数個の遮断部狭小帯のそれぞれが、2段絞り構造をなすことを特徴とする請求項6又は7に記載のヒューズ。
  10. 前記複数個の遮断部狭小帯のそれぞれが、円弧状の穴部により前記並列方向に互いに分離され、
    前記切り欠きパターンが、前記遮断部狭小帯の輪郭を定義する円弧の曲率半径よりも小さな曲率半径を有することを特徴とする請求項に記載のヒューズ。
  11. 前記電流狭窄手段が、前記遮断部狭小帯の括れ幅が最小となる位置の前記遮断部狭小帯の中央に設けられた第2の穴部であることを特徴とする請求項6又は7に記載のヒューズ。
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