JP4386274B2 - ヒューズエレメント - Google Patents

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本発明は、導電性薄膜の断面積が狭小にされた狭小部が電気的に並列に配置されて並列遮断部が形成され、さらに、この並列遮断部が電気的に直列に配置されて基板表面に形成されるヒューズエレメントに関するものである。
従来、この種のヒューズエレメントとしては、例えば、図1(a)に示すエッチング・ヒューズエレメント1がある。
このエッチング・ヒューズエレメント1は、電気的絶縁性を有する長方形の板状をしたセラミック基板2の表面に、導電性薄膜3が形成されて構成されており、ヒューズ筒中に消弧砂に埋められて収納される。導電性薄膜3は銅箔や銀箔等からなり、図示するようにエッチングされてパターンニングされている。このパターンニングにより、4個の楕円部3aおよびこの両側の半楕円部3bにある銅箔等がエッチングによって除去され、導電性薄膜3には、断面積が狭小にされた狭小部Pが5個電気的に並列に配置された並列遮断部3cが形成されている。この並列遮断部3cはさらに5個電気的に直列に配置され、狭小部Pは、5個直列(Sereis)で5個並列(Parallel)、つまり、5S5Pにパターンニングされている。
通電電流はヒューズエレメント1の導電性薄膜3を通常流れているが、事故電流が発生すると、断面積が小さくて抵抗値の高い各狭小部Pが溶断し、アーク電圧が高まって事故電流が速やかに遮断される。
また、従来、図1(b)に示すリボン型のヒューズエレメント11もある。このヒューズエレメント11は、銀(Ag)リボンがプレス金型によって図示するように打ち抜かれ、銀リボンの断面積が狭小にされた狭小部Pが5個直列で4個並列、つまり、5S4Pの形状にパターンニングされている。
このヒューズエレメント11も、ヒューズ筒中に消弧砂に埋められて収納される。通電電流はヒューズエレメント11を通常流れているが、事故電流が発生すると、断面積が小さくて抵抗値の高い各狭小部Pが溶断し、アーク電圧が高まって事故電流が速やかに遮断される。
これらヒューズエレメント1,11を用いた電力用限流ヒューズ、特に半導体保護用ヒューズにおいては、限流性能を示す代表値として、遮断電流Iの二乗値(Idt)を遮断時間0〜tで積分したIt値が採用され、また、その参考値として、並列遮断部における各狭小部Pの断面積Sの総和(Σ)に相当するヒューズエレメント1,11の総合最小断面積ΣSが使用される場合が多い。
図2(a)は、これら従来のヒューズエレメント1,11を用いた半導体保護用ヒューズの遮断電圧波形であり、縦軸は電圧v,横軸は時間tを表す。また、同図(b)は同ヒューズ1,11の遮断電流波形を示すグラフであり、縦軸は電流i,横軸は時間tを表す。これらグラフに示すように、時刻tに短絡電流が発生すると、各狭小部Pに大電流が流れることによって各狭小部Pは熱せられ、時刻tに各狭小部Pは溶断する。各狭小部Pが溶断するとアークが発生し、商用周波50[Hz]の電圧波形Vは電圧値Vmまで急峻に立ち上がるアーク電圧となり、時刻tで遮断が行われる。遮断が行われると、電流波形Iは急速に減少して電流値Imに限流され、時刻tにおいて電流値が0となって遮断が完了する。
溶断後のアーク電圧の立ち上がりはほとんど垂直に近く、アーク電圧が電源電圧まで立ち上がったところで限流されるのが理屈であるが、溶断時刻tと限流時刻tとの時間差は数μsec以下で、その差はほとんど認められない。従って、溶断時刻tを限流時刻tとしても大きな間違いとはならない。また、短絡電流の突進率は極めて大きく、約11.1×10〜44.4×10A/secもあるので、溶断は、各狭小部Pが断熱的に熱せられて起こり、発生した熱が消弧砂に逃げることなく、発弧に至るものと考えられる。従って、溶断時に各狭小部Pが吸収する熱の容量を決めるヒューズエレメント1,11の総合最小断面積ΣSは、ヒューズの限流特性を予測する参考値と考えられる。すなわち、総合最小断面積ΣSは電流波形Iから計算されるIt値と比例関係にあり、総合最小断面積ΣSの二乗に比例してIt値も大きくなると考えられている。
ヒューズエレメント1,11を製作するうえで、同じ大きさで1枚当たりの定格電流容量を大きくすることは、ヒューズの製造コストを下げるうえで重要であるが、It値を大きくすることなく、つまり、限流性能を低下させることなく、これを実現することが重要である。定格電流容量を大きくするには、導電性薄膜3や銀リボンといったヒューズリンクのW(ワット)損を小さくするため、総合最小断面積ΣSを大きくする必要がある。しかし、上記従来のヒューズエレメント1,11では、上述したように、総合最小断面積ΣSの二乗に比例してIt値も大きくなるため、同じ大きさで1枚当たりの定格電流容量が大きいヒューズエレメントを限流性能を低下させることなく実現することは至難であった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、電気的絶縁性を有する基板と、断面積が狭小にされた狭小部が電気的に並列に配置された並列遮断部が電気的に直列に配置されて基板表面に形成された導電性薄膜とから構成されるヒューズエレメントにおいて、導電性薄膜は、狭小部の断面積が小さく形成され、この断面積が小さくされた分に基づいて狭小部の個数が多く形成されて、狭小部の総合最小断面積が、狭小部の増加前後の個数比に逆比例した値を最小値とした狭小部の断面積と、狭小部の増加後の個数との積に設定されていることを特徴とする。
この構成によれば、狭小部Pの断面積Sは、狭小部Pの増加前の個数をP、増加後の個数をPとすると、狭小部Pの増加前後の個数比(P/P)に逆比例(P/P)した断面積、つまり、S×(P/P)を最小値として設定される。従って、各狭小部Pの断面積の総和である総合最小断面積ΣS(=S×P)を同等のΣS(=S×(P/P)×P)、またはこれ以上に設定しながら、狭小部Pの個数を増やすことが出来る。また、導電性薄膜は、砂粒の間に空隙があって熱伝導性の悪い従来の消弧砂とは異なり、基板に密着しているため、導電性薄膜で生じた熱は速やかに基板に放散する。このため、総合最小断面積ΣSを同等または同等以上にしながら狭小部Pの個数を増やすことにより、事故電流の遮断時に各狭小部Pに発生する熱を基板に放散することの出来る箇所が増え、放熱量を増大させるため、遮断電流の限流値Imを従来よりも低い値に抑えることができる。この結果、総合最小断面積ΣSの二乗値とIt値とは比例すると考えられていた従来の常識に反し、総合最小断面積ΣSを同等または同等以上にして、定格電流容量を同じかまたはより大きく確保しながら、It値を小さくすることが可能なヒューズエレメントが提供される。
また、本発明は、導電性薄膜が、狭小部間のピッチが各狭小部の冷却特性の独立性を失わないところまで狭く形成され、この狭くされた分に基づいて狭小部の個数が多く形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、各狭小部P間のピッチが狭く形成されて1個当たりの狭小部Pの断面積が小さくされ、この小さくされた断面積の分に基づいて狭小部Pの個数が多く形成されることにより、It値を小さくしながら総合最小断面積ΣSを同等または同等以上に設定することが出来る。
また、本発明は、導電性薄膜が、並列遮断部の厚さが並列遮断部以外の厚さに比較して薄く形成され、この薄くされた分に基づいて狭小部の個数が多く形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、並列遮断部の厚さが薄く形成されて1個当たりの狭小部Pの断面積が小さくされ、この小さくされた断面積の分に基づいて狭小部Pの個数は、上記の狭小部間のピッチが狭く形成される場合よりもさらに多く形成される。そして、狭小部Pの個数が多く形成されることにより、It値を小さくしながら総合最小断面積ΣSを同等または同等以上に設定することが出来る。このように導電性薄膜の一部分を薄くする構造は、極薄い銀リボンをプレス成型して形成するヒューズエレメントでは実現し得ない。
このように本発明によれば、上記のように、総合最小断面積ΣSの二乗値とIt値とは比例すると考えられていた従来の常識に反し、総合最小断面積ΣSを同等または同等以上にして、定格電流容量が同じかまたはより大きいヒューズエレメントを同じ大きさでしかもIt値特性のよりよいものを実現することが可能となる。
次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図3は、本実施形態によるエッチング・ヒューズエレメント21の平面図である。
このエッチング・ヒューズエレメント21は、電気的絶縁性を有する長方形の板状をした厚さ1[mm]のセラミック基板22の表面に、導電性薄膜23が形成されて構成されており、ヒューズ筒中に消弧砂に埋められて収納される。導電性薄膜23は銅箔や銀箔等からなり、図示するようにエッチングされてパターンニングされている。このパターンニングにより、9個の楕円部23aおよびこの両側の半楕円部23bにある銅箔等がエッチングによって除去され、導電性薄膜23には、断面積が狭小にされた狭小部Pが10個電気的に並列に配置された並列遮断部23cが形成されている。この並列遮断部23cはさらに5個電気的に直列に配置され、狭小部Pは、5個直列(Sereis)で10個並列(Parallel)、つまり、5S10Pにパターンニングされている。
また、本実施形態では、導電性薄膜23が、エッチングにより、並列遮断部23cの厚さが並列遮断部23c以外の厚さに比較して薄く形成され、この薄くされた分に基づいて狭小部Pの個数Pが図1(a)に示す従来のエッチング・ヒューズエレメント1の個数Pよりも5個多く形成されている。
つまり、本実施形態のヒューズエレメント21の導電性薄膜23は、並列遮断部23cの厚さtが40[μ]、並列遮断部23c以外の厚さが100[μ]となっており、楕円部23a間の間隔、つまり、狭小部Pの幅bが80[μ]となっている。このように導電性薄膜23の一部分を薄くする構造は、銀リボンをプレス成型して形成する従来のヒューズエレメントでは、穴径に制約があり、余り大きなP値を採用できないばかりか、厚さが80[μ]以上で一定で1つのパターン内に厚さの大小をつけることが出来ず、実現し得ない。従って、狭小部Pの断面積Sはt×b=40[μ]×80[μ]となり、総合最小断面積ΣSはt×b×P=40[μ]×80[μ]×10=32000×10−12となる。また、図1(a)に示す従来のエッチング・ヒューズエレメント1の導電性薄膜3は、厚さtが50[μ]で均一となっており、楕円部3a間の間隔、つまり、狭小部Pの幅bが100[μ]となっている。従って、狭小部Pの断面積Sはt×b=50[μ]×100[μ]となり、総合最小断面積ΣSはt×b×P=50[μ]×100[μ]×5=25000×10−12となる。
総合最小断面積ΣSはヒューズエレメントの定格電流に比例する。従って、本実施形態のヒューズエレメント21の定格電流は、計算式(ΣS/ΣS1/2=(32000×10−12/25000×10−121/2=1.13により、従来のヒューズエレメント1の定格電流の1.13倍になっている。
また、本実施形態のヒューズエレメント21は、狭小部Pの増加前の個数Pが従来のヒューズエレメント1の5、増加後の個数Pが10であり、並列遮断部23cの導電性薄膜3の厚さt(40[μ])は、狭小部Pの増加前後の個数比(P/P=10/5)に逆比例(P/P=5/10)した厚さ(t×(P/P)=50[μ]×5/10=25[μ])を最小値として設定されている。従って、本実施形態のヒューズエレメント21は、厚さt(40[μ])に狭小部Pの幅b(80[μ])を乗算して得られる狭小部Pの断面積S(=3200×10−12)が、狭小部Pの増加前後の個数比(P/P=10/5)に逆比例(P/P=5/10)した値(S×(P/P)=5000×10−12×5/10=2500×10−12)を最小値として設定されていることになる。
しかし、ここで、並列遮断部23cの導電性薄膜3の厚さtを、狭小部Pの増加前後の個数比(P/P=10/5)に逆比例(P/P=5/10)した厚さと等しくし(t=25[μ])、狭小部Pの断面積Sを、狭小部Pの増加前後の個数比(P/P=10/5)に逆比例(P/P=5/10)した断面積と等しくすることにより(S=2500×10−12)、本実施形態のヒューズエレメント21の定格電流を、従来のヒューズエレメント1の定格電流と等しく設定することが出来る(ΣS=2500×10−12×10=ΣS)。
また、本実施形態のヒューズエレメント21のIt値は、従来のヒューズエレメント1のIt値の0.25倍となっている。すなわち、本実施形態のヒューズエレメント21は、上述したように、並列遮断部23cの厚さが並列遮断部23c以外の厚さに比較して薄く形成され、この薄くされた分に基づいて狭小部Pの個数P(=10)が従来のエッチング・ヒューズエレメント1の個数P(=5)よりも多く形成されているため、本実施形態のヒューズエレメント21のIt値は、従来のヒューズエレメント1のIt値と比較して、狭小部Pの増加前後の個数比(P/P=10/5)の逆比(P/P=5/10)の二乗倍((5/10)=0.25倍)になっている。
これは、ヒューズリンクを構成する導電性薄膜23が、セラミック基板22の表面と分子的に結合してセラミック基板22に密着しているため、砂粒の間に空隙があって熱伝導性の悪い従来の消弧砂とは異なり、導電性薄膜23で生じた熱が速やかにセラミック基板22に放散するためであると考えられる。このため、総合最小断面積ΣSを総合最小断面積ΣSと同等または同等以上にしながら、狭小部Pの個数をPからPに増やすことにより、事故電流の遮断時に各狭小部Pに発生する熱をセラミック基板22に放散することの出来る箇所が増え、放熱量を増大させるため、遮断電流の限流値Imを従来よりも低い値に抑えることができる。この結果、総合最小断面積ΣSを総合最小断面積ΣSと同等または同等以上にして、定格電流容量を同じかまたはより大きく確保しながら、ヒューズエレメント1と同じ大きさでしかもIt値を小さくすることが可能なヒューズエレメント21を実現できる。
このようなヒューズエレメント21を実現することが出来たのは、総合最小断面積ΣSの二乗値とIt値とは比例すると考えられていた従来の常識に反し、It値は、狭小部Pの増加前後の個数比(P/P)の逆比(P/P)の二乗((P/P)倍になるということを、出願人が以下の実験によって見いだしたからである。
この実験は、図4(a),(b),(c)に示すエッチング・ヒューズエレメント31,32,33を試料として行った。これらヒューズエレメント31,32,33は、セラミック基板34の表面に導電性薄膜35,36,37が形成されて構成されている。各導電性薄膜35,36,37は、幅8[mm],長さ40[mm]の長方形状で、厚さtが60[μ]で均一の銅箔からなり、同図(d)に拡大して示す直径φで間隔がbの4個の円部40、およびこの両側の半円部41にある銅箔がエッチングによって除去され、それぞれ図示するようにパターンニングされている。
このパターンニングにより、同図(a)に示すヒューズエレメント31の導電性薄膜35は、断面積が狭小にされた狭小部Pが5個電気的に並列に配置された並列遮断部42が、5個電気的に直列に配置されて、5S5Pにパターンニングされいる。また、同図(b)に示すヒューズエレメント32の導電性薄膜36は、狭小部Pが5個電気的に並列に配置された並列遮断部42が4個電気的に直列に配置されて、4S5Pにパターンニングされいる。また、同図(c)に示すヒューズエレメント33の導電性薄膜37は、狭小部Pが5個電気的に並列に配置された並列遮断部42が3個電気的に直列に配置されて、3S5Pにパターンニングされいる。
上記実験は、さらに、導電性薄膜35,36,37の各並列遮断部42における並列配置された狭小部Pの個数を4個にして、5S4P,4S4P,3S4Pにパターンニングした図示しないエッチング・ヒューズエレメントも試料に用いた。そして、これら各試料における狭小部Pの幅bの値を0.09,0.1,0.11,0.12[mm]とし、図6の表に示す、A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,Lの12種類の試料を各3枚、計36枚製作した。ここで、ヒューズ筒の大きさは、定格電圧の値と小型化の目標によって決められているので、定格電流を決めるものは、ヒューズ筒内で発生する熱量であり、その主たるものは遮断点の発熱であるから、各試料は、形状係数K(K=(φ/b)×(S/P)×(1/100))の値が全て同一の値(1.00)となるように製作している。
実験は、これら試料を、図5に示す等価LC遮断試験回路で遮断試験をすることにより、行った。この遮断試験回路は、5[kV]に充電された14,000[μF]のコンデンサCと空芯リアクトルLとによって商用周波数50[Hz]の共振電流を発生させ、この共振電流を事故電流として被試験器Fとされる各試料に流す。コンデンサCへの充電は、AC200[V]までの可変電圧が印加される6[kV]のトランスTrで行われ、スイッチS,Sを投入することにより、被試験器Fに共振電流が流される。また、空芯リアクトルLの接続を変えることにより、被試験器Fにかかる電圧が調整され、また、タップTa,Tb間に挿入されるリアクトルL1〜L3の種類により、回路定数が変更される。遮断試験電流Iaはシャント抵抗shを介して計測され、遮断試験電圧Vaは抵抗VDを介して計測される。
図6に示す実験結果Im[A],実験結果It[AS]の欄の各値は、各試料についての3回の遮断試験で得られた遮断電流のピーク電流値Im,およびIt値の各平均値である。
図7は、図6に示す試料Dを被試験器Fとして上記の回路で遮断試験を行った実験結果を、各試料の代表として示している。同図(a)は縦軸を電圧[V],横軸を時間[msec]とする試料Dの遮断電圧波形のグラフ、同図(b)は縦軸を電流[A],横軸を時間[msec]とする試料Dの遮断電流波形のグラフである。
図8は、縦軸にとった図6に示した実験結果It値を、横軸にとった円部40の直径φと対比して示したグラフである。このグラフでは、It値を5S型、4S型、3S型にグループ化した。このグラフから、It値は、5S<4S<3Sの順に大きくなっていることが分かる。さらに、各グループ内の各試料のIt値の違いを見ると、例えば、試料Aと試料Gとでは、φの値はほぼ同一であるのにIt値に差が出ている。これは、b値とP値の違いによって生じたものと考えられ、狭小部Pの幅bの値が大きく、並列個数Pが少ないほど、It値が大きくなると言える。他の各試料についても調べた結果、これと同じことが言える。
図9は、縦軸にとった図6に示した実験結果Im値を、横軸にとった円部40の直径φと対比して示したグラフである。このグラフを用いて、It値に最も大きく影響を与えるImの特性について検討すると、各試料についてのプロットは極めて規則的な関係があることが分かった。さらに詳しく調べて見ると、プロットA,Bを含む5Pの特性線51とプロットG,H,Iを含む4Pの特性線52との間で、総合最小断面積ΣS(=b×t×P)は、5Pで27000×10−12(=90[μ]×60[μ]×5)、4Pで26400×10−12(=110[μ]×60[μ]×4)となっているので、その差は僅かに2%である。同様に、プロットD,E,Fを含む5Pの特性線53とプロットJ,K,Lを含む4Pの特性線54との間で、総合最小断面積ΣSは、5Pで30000×10−12(=100[μ]×60[μ]×5)、4Pで28800×10−12(=120[μ]×60[μ]×4)となっているので、その差は僅かに4%である。従って、その差は無いものと考えると、同一φ値に対するIm値は、狭小部Pの増加前後の個数比に逆比例していることが明白となった。
例えば、特性線51と特性線52との間で、同一φ値に対するIm値は、例えば、φ=0.9のところで特性線51が1320、特性線52が1680になっているので、特性線52の1680は、特性線51の1320に対して約1.27倍になり、狭小部Pの増加前後の個数比(4/5)のほぼ逆比(5/4=1.25)倍になっている。また、特性線53と特性線54との間で、同一φ値に対するIm値は、例えば、φ=1.0のところで特性線53が1595、特性線54が1980になっているので、特性線54の1980は、特性線53の1595に対して約1.24倍になり、狭小部Pの増加前後の個数比(4/5)のほぼ逆比(5/4=1.25)倍になっている。
すなわち、このグラフから、Im値は、狭小部Pの増加前後の個数比(P/P)の逆比(P/P)倍になることが言える。従って、Im値の二乗に比例するIt値は、前述したように、狭小部Pの増加前後の個数比(P/P)の逆比(P/P)の二乗((P/P)倍になるということが分かり、大きな成果を得ることが出来た。
図10は、縦軸にとった図6の表に示した補正It[AS]を、横軸にとった円部40の直径φと対比して示したグラフである。補正It値は、It値を1/Pで補正した値である。このグラフから、各プロットはある線上に並び、D→Fで示される下限特性と、G→Cで示される上限特性とがあることが分かる。これは、3S型、4S型がアーク電圧が上昇せず、不安定遮断のためと言うことが出来る。3S、4S型は、定格電圧600[V]用のヒューズリンクとしては不適格であり、5S型が適格と考えられる。また、このグラフから、φ=0.95[mm]付近にIt値の最小値があり、その値は270[AS]であることが分かる。
上記の実験の結果から、最もよい特性が得られる試料の導電性薄膜のエッチングパターンは、5S直列型で、φ=0.95[mm]のものであり、狭小部Pの幅bはエッチングの精度が許す限り細くし、並列個数は定格電流によって決定すればよいことが分かった。It値は、5S5Pでφ=0.95[mm]とすれば270[AS]になるという結果が得られており、この値は現用の同定格ヒューズのIt値である560[AS]に対して50%以下に抑えられることが分かった。
なお、図3に示した本実施形態によるヒューズエレメント21では、導電性薄膜23が、並列遮断部23cの厚さが並列遮断部以外の厚さに比較して薄く形成され、この薄くされた分に基づいて狭小部Pの個数が薄くしない場合に比べてさらに多く形成されている場合について説明した。しかし、導電性薄膜23は、エッチング技術の将来の向上によって狭小部Pの断面積がより小さく形成され、この断面積が小さくされた分に基づいて狭小部Pの個数が多く形成されていればよく、また、狭小部P間のピッチが各狭小部Pの冷却特性の独立性を失わないところまで狭く形成され、この狭くされた分に基づいて狭小部Pの個数が多く形成されていてもよい。この構成によっても、It値を小さくしながら総合最小断面積ΣSを同等または同等以上に設定することが出来るヒューズエレメントが提供される。ただし、狭小部Pの個数は、並列遮断部23cの厚さが並列遮断部以外の厚さに比較して薄く形成される上記実施形態の場合の方が、狭小部Pの断面積をより容易に縮小させることが出来るため、狭小部P間のピッチが狭く形成される場合よりもさらに多く形成することが出来る。
本実施形態によるヒューズエレメント21は、電力用限流ヒューズ、特に半導体保護用ヒューズに適用すると、好適である。
従来のヒューズエレメントの平面図である。 従来のヒューズエレメントの遮断波形を示すグラフである。 本発明の一実施形態によるヒューズエレメントの平面図である。 本発明の一実施形態によるヒューズエレメントを製作する上で行った実験試料の平面図である。 上記実験に用いられた遮断試験回路図である。 上記実験に用いられた各試料と実験結果とを示す表図である。 上記実験における代表的な遮断波形を示すグラフである。 上記実験により得られたIt値とφ値との関係を示すグラフである。 上記実験により得られたIm値とφ値との関係を示すグラフである。 上記実験により得られた補正It値とφ値との関係を示すグラフである。
符号の説明
21…ヒューズエレメント
22…セラミック基板
23…導電性薄膜
23a…円部
23b…半円部
23c…並列遮断部
P…狭小部

Claims (3)

  1. 電気的絶縁性を有する基板と、断面積が狭小にされた狭小部が電気的に並列に配置された並列遮断部がさらに電気的に直列に配置されて前記基板表面に形成された導電性薄膜とから構成されるヒューズエレメントにおいて、
    前記導電性薄膜は、前記狭小部の断面積が小さく形成され、この断面積が小さくされた分に基づいて前記狭小部の個数が多く形成されて、前記狭小部の総合最小断面積が、前記狭小部の増加前後の個数比に逆比例した値を最小値とした前記狭小部の断面積と、前記狭小部の増加後の個数との積に設定されていることを特徴とするヒューズエレメント。
  2. 前記導電性薄膜は、前記狭小部間のピッチが各前記狭小部の冷却特性の独立性を失わないところまで狭く形成され、この狭くされた分に基づいて前記狭小部の個数が多く形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒューズエレメント。
  3. 前記導電性薄膜は、前記並列遮断部の厚さが前記並列遮断部以外の厚さに比較して薄く形成され、この薄くされた分に基づいて前記狭小部の個数が多く形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒューズエレメント。
JP2004254663A 2004-09-01 2004-09-01 ヒューズエレメント Expired - Fee Related JP4386274B2 (ja)

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