JP4116420B2 - 電気接点装置およびその製造方法 - Google Patents

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    • H01H2001/0052Special contact materials used for MEMS
    • H01H2001/0057Special contact materials used for MEMS the contact materials containing refractory materials, e.g. tungsten

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械的に開閉する電気接点を有してスイッチやリレーなどに適用することのできる電気接点装置、および、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気接点は、接点対の機械的な開閉動作により電流の通路を機械的に接続および切断するための電子回路要素であり、スイッチやリレーなどに適用される。電気接点を利用して構成されるスイッチやリレーは、開状態において電気接点間が機械的に開離するので、電気抵抗の極めて大きな良好な開状態を達成することができるという特長を有する。そのため、そのような機械的開閉式のスイッチおよびリレーは、情報機器、産業機械、自動車、家電などのあらゆる分野において、電源、アクチュエータ、センサなどを含む回路を開閉する手段として広く使用されている。
【0003】
図22および図23は、機械的開閉式の従来の電気接点装置X5を表す。電気接点装置X5は、可動子71および固定子72を備える。
【0004】
可動子71は、導体片73と、当該導体片73の一端付近に設けられた接点74と、導体片73に装着されたソケット75とからなり、単一の導体片73に一つの接点74が設けられたいわゆる単子接点構造を有する。接点74は導体よりなり、ソケット75は樹脂製である。導体片73の他端付近には、編組銅線よりなるリード76が電気的かつ機械的に接続されている。リード76は、図外の回路に電気的に接続されている。また、ソケット75にはピン77が挿通されており、可動子71は、ピン77を軸芯として回動可能である。ピン77はケース(図示略)に固定されている。可動子71の回動動作は、励磁コイルなどを含んで構成される所定の駆動機構(図示略)により達成される。
【0005】
固定子72は、導体片78と、導体よりなる接点79とからなる。導体片78は図外の回路に電気的に接続されている。接点79は、可動子71の回動動作における接点73の軌道上に配されている。
【0006】
このような構造を有する電気接点装置X5に所定の電圧が印加されている状態において、可動子71が固定子72へと回動して、図23に示すように接点74および接点79が接触すると、電流は、例えば、導体片78から、接点79、接点74および導体片73を介して、リード76へと流れる。この後、可動子71が固定子72から離反する方向へ回動して、図22に示すように接点74および接点79が開離すると、通電は停止される。このようにして、電気接点装置X5は、電流通路の接続および切断を実行する。
【0007】
電気接点の技術の分野においては、閉状態にある接点間に閾値(最小放電電流)以上の電流が流れている状態あるいは閾値(最小放電電圧)以上の電位差が生じている状態で、接点対を開離すると、接点間にアーク放電が発生することが知られている。例えば閾値以上の電流が流れている状態で接点対を開離する際、まず、開離が進行するにつれて接点間の接触面積は次第に縮小し、接点間を流れる電流は集中していく。電流の集中化に起因して接点の温度は上昇し、接点表面は溶融する。そのため、接点対が開離した後でも離隔距離が短い間は、溶融した接点材料により当該接点間は掛け渡される。すなわち、接点間にブリッジが形成される。このブリッジから金属蒸気が発生し、当該金属蒸気を媒介としてアーク放電が開始する。アーク放電は、周囲気体を媒介とする放電現象へと移行した後、接点対が充分な距離で離隔したときに切断される。
【0008】
図24は、アーク放電発生確率の接点間電流依存性の一例を表すグラフである。本グラフにおいては、金よりなる接点対を所定の押圧力(10mN、100mN、または200mN)で接触させ、接点間に36Vの電圧を印加しながら当該接点対を開離させる際にアーク放電の発生する確率が、プロットされている。36V定電圧電源に電気接点を接続し、当該電気接点と直列に接続した抵抗の値を変化させることによって、通電電流を変化させている。接点間の実質的な接触面積は、数十μm2以下と推定される。横軸は、閉状態において接点間を流れた電流を表し、縦軸は、アーク放電発生確率を表す。いずれの押圧力においても、通電電流が0.6A以上となるとアーク放電発生率は略100%である。一方,通電電流が0.1A以下では、アーク放電発生率は略0%である。このグラフに関する詳細な情報は、非特許文献1に掲載されている。
【0009】
【非特許文献1】
米澤遊(Yu Yonezawa)、若月昇(Noboru WakaTsuki)、「ジャパニーズジャーナル・オブ・アプライドフィズィクス (Japanese Journal of Applied Physics)」、応用物理学会(The Japan Society of Applied Physics)、2002年7月、第41巻、パート1、No.7A、p4760〜4765
【0010】
図24のグラフからは、アーク放電を引き起こすための最も小さな放電電流(最小アーク電流)Iminは、0.1〜0.6Aの間に存在することが理解できる。最小放電電流Iminは、材料種に依存する値をとることが知られている。同様に、アーク放電を引き起こすための最も小さな放電電圧(最小アーク電圧)Vminも存在し、最小放電電圧Vminについても、材料種に依存する値をとることが知られている。金よりなる接点対については、例えば、最小放電電流Iminは0.38Aであり、最小放電電圧Vminは15Vであることが報告されている。ただし、実際に測定されるIminやVminは、接点対の間における空間の電荷状態、接点表面の状態などからの影響を受け、必ずしも一定でなくバラツキを有する。
【0011】
電気接点装置X5の閉状態では、負荷回路(通電を目的とする図外の回路)が必要とする電流の全てが接点74および接点79の間を通過する。そのため、負荷回路が必要とする電流が最小放電電流以上であると、開離時には当該接点74よび接点79の間にアーク放電が発生してしまう。負荷回路が必要とする電流が電気接点装置X5の最小放電電流以上である場合は多い。
【0012】
アーク放電の発生および切断は、接点74,79を構成する材料の溶融、蒸発および再凝固を伴い、接点材料の消耗および転移、並びに、接点74および接点79の間の接触抵抗の変動を引き起こしてしまう。そのため、接点74および接点79の間に生ずるアーク放電の回数が増加するほど、電気接点装置X5の信頼性は低下する傾向にあり、寿命は短くなる傾向にある。大電流を通電および遮断するために電気接点装置X5を使用する場合には、信頼性低下および短命化は特に顕著となる。
【0013】
また、従来の電気接点装置X5においては、閉状態にて充分に小さな接触抵抗を達成すべく、接点74,79は、低抵抗な銅基材と、低抵抗で耐食性を有して当該基材を覆う金属被膜(Au,Ag,Pd,Ptなど)により構成される場合が多い。しかしながら、これら低抵抗金属は、比較的低い融点を有するため、アーク放電の際に生ずる熱により溶融しやすく、従って、消耗および転移しやすい。アーク放電の際に生ずる熱によっても溶融しにくい金属材料は、比較的大きな抵抗を有するので、接触抵抗を低下せしめることが重要な課題である従来の電気接点装置X5において、高融点の金属材料を接点構成材料として採用することは、実用上、困難である。
【0014】
アーク放電を抑制するための手法として、電気接点装置X5には火花消去器が付設される場合がある。火花消去器は、例えばバリスタやダイオードであって、接点74,79よりなる電気接点に対して電気的に並列に接続される。しかしながら、電気接点装置X5とは個別に付加的な部品が必要なため、装置サイズおよび製造コストの観点からは、火花消去器の採用は好ましくない場合がある。
【0015】
また、電気接点装置X5においては、可動子71の回動動作による電流通路の接続の際に、接点74と接点79の間に埃などの異物が介在すると、良好な閉状態が阻害される。このような不具合を回避すべく、従来の電気的接点装置X5においては、単子接点構造の可動子71に代えて、図25に示すような可動子71’が採用される場合がある。可動子71’は、双子構造を有する導体片73’と、当該導体片73’における各枝の一端付近に1つずつ設けられた二つの接点74’と、導体片73’に装着されたソケット75とからなり、単一の導体片73’に2つの接点74’が設けられたいわゆる双子接点構造を有する。導体片73’にはリード76が電気的かつ機械的に接続されている。また、可動子71’は、可動子71と同様に、ケース(図示略)に固定されているピン77を軸芯として回動可能である。
【0016】
このような双子接点構造の可動子を備える電気接点装置については、例えば特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0017】
【特許文献1】
特開平5−54786号公報
【特許文献2】
特開平10−12117号公報
【0018】
双子接点構造の可動子71’を具備する電気接点装置X5においては、可動子71’の回動動作による電流通路の接続の際に、2つの接点74’のうちの一方と接点79との間に異物が介在する場合であっても、当該異物が過大でなければ、他方と接点79とは接触する。その結果、所望の閉状態は達成される。しかしながら、このような双子接点構造の可動子71’を採用する場合であっても、単子接点構造の可動子71を採用する場合と同様に、電気接点装置X5において依然としてアーク放電は発生しやすい。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情の下で考え出されたものであって、接点におけるアーク放電の発生を適切に抑制することのできる電気接点装置、および、その製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面によると電気接点装置が提供される。この電気接点装置は、機械的に開閉する電気接点、および、当該電気接点の接触抵抗より大きな抵抗を有して電気接点に対して直列に配された抵抗体を、各々が含む複数の枝路が、並列に配された回路構成を備えることを特徴とする。このような構成の電気接点装置においては、接点におけるアーク放電の発生を適切に抑制することができる。
【0021】
図1は、本発明の第1の側面に係る電気接点装置における回路構成を表す。図1の回路図においては、一対の接点C1,C2よりなる電気接点であるスイッチSi(i=1,2,3,・・・,N)と、抵抗Rbi(i=1,2,3,・・・,N)とが、単一の枝路において直列に配されている。外部接続用の端子E1,E2の間において、複数の枝路は並列に配されている。スイッチSiを構成する電気接点は、接触抵抗Rci(i=1,2,3,・・・,N)を有し、当該Rciは、各枝路においてRci<Rbiを満たす。
【0022】
端子E1,E2の間に所定の定電圧を印加すると、相互に並列な複数の枝路には、全て同一の定電圧が印加される。各枝路に着目すると、印加電圧が一定である場合、スイッチSiの閉状態においては、RciおよびRbiを和した抵抗に応じた電流が枝路を通過することとなる。通過電流は、所定のRciに対してRbiを大きくするほど、小さくなる。したがって、Rciに対してRbiを充分に大きく設定することにより、各枝路の閉状態のスイッチSi(電気接点)を通過する電流を当該電気接点の最小放電電流よりも小さく設定することができる。本装置において安定したスイッチング特性を得るという観点からは、RciおよびRbiの各々について、理想的には全ての枝路において同一に設定される。
【0023】
また、全てのスイッチSiをオンとすると、各枝路の抵抗および枝路数に応じた電流が本電気接点装置を通過することとなる。通過電流は、枝路数を増加させるほど増大する。したがって、各枝路を最小放電電流未満の電流が通過する条件下においても、枝路数を適宜設定することにより、全てのスイッチSiがオンの状態にある本電気接点装置に対して所望の大電流を通過させることができる。全てのスイッチSiを同時的にオフの状態とすることにより、当該大電流は遮断される。
【0024】
このように、本発明の第1の側面に係る電気接点装置においては、各枝路の抵抗を大きく設定することにより、枝路を通過する電流を最小放電電流未満とすることができ、これとともに、相互に並列な多数の枝路を設けて当該多数の枝路による並列回路の総抵抗を小さく設定することにより、当該並列回路に対して所望の大電流を通過させることができる。したがって、本発明の電気接点装置によると、全てのスイッチSiを同時的にオン/オフ操作することによる所望の大電流のスイッチングにおいて、アーク放電の発生を回避ないし充分に抑制することが可能なのである。
【0025】
本発明の第2の側面によると他の電気接点装置が提供される。この電気接点装置は、相互に並列に接続する複数の枝路ユニットを備え、複数の枝路ユニットの各々は、機械的に開閉する第1接点部および第2接点部よりなる電気接点、並びに、当該電気接点の接触抵抗より大きな抵抗を有して電気接点に対して直列に接続する抵抗体部を含むことを特徴とする。
【0026】
このような構成の電気接点装置においては、第1の側面に係る上述の回路構成を実現することができる。第1接点部、第2接点部、および抵抗体部は、図1の回路図における接点C1、接点C2、および抵抗Rbiに相当する。したがって、本発明の第2の側面によっても、第1の側面に関して上述したのと同様に、接点におけるアーク放電の発生を適切に抑制することができる。
【0027】
本発明の第2の側面において、電気接点装置は、好ましくは、第1面およびこれとは反対の第2面を有するベース部と、当該ベース部の第1面上に設けられ且つ第1接点部を各々が突端に有する複数の突部と、第1面に対向して配設され且つ複数の突部の突端が当接可能な複数の第2接点部を含む平面電極部とを有し、複数の抵抗体部は、各々、ベース部および突部の内部に構成されている。平面電極部は、図1の回路図における外部接続用の端子E2に相当する。
【0028】
このような構成においては、ベース部および平面電極部を相対的に接近させて全ての突部の突端を平面電極部に当接させることにより、全ての電気接点の第1接点部および第2接点部は閉状態とされる。当該閉状態が達成された後、ベース部および平面電極部を相対的に離反させて全ての突部の突端を平面電極から離隔させることにより、全ての電気接点の第1接点部および第2接点部は開状態とされる。ベース部および平面電極部の相対動作は、固定された平面電極部に対してベース部を駆動することにより達成してもよいし、固定されたベース部に対して平面電極部を駆動することにより達成してもよい。また、当該相対動作は、ベース部および平面電極部の双方を駆動することにより達成してもよい。
【0029】
また、ベース部および複数の突部を有する構造体の作製においては、例えば、シリコン基板などの材料基板などをエッチング加工するマイクロマシニング技術を利用することができる。マイクロマシニング技術によると、100〜100000以上の極めて多数の突部であっても、ベース部に対して一括して形成することが可能である。したがって、マイクロマシニング技術を利用すると、電気接点装置において極めて多数の相互に並列な枝路を形成することが可能であり、当該並列回路において、例えば、従来の接点対の接触抵抗と同等な低い接触抵抗(1〜100mΩ程度)を実現することが可能である。
【0030】
好ましくは、ベース部の第2面には、複数の抵抗体部と電気的に接続する共通電極が設けられている。共通電極は、図1の回路図における外部接続用の端子E1に相当する。
【0031】
好ましくは、ベース部は、電気接点ごとに、当該電気接点の閉状態において第1接点部および第2接点部の間に生ずる接触抗力を吸収するための可撓構造を有する。この場合、好ましくは、ベース部は、可撓構造として両固定梁部を有し、突部は当該両固定梁部上に設けられている。或は、好ましくは、ベース部は、可撓構造として片固定梁部を有し、突部は当該片固定梁部上に設けられている。このような構成は、ベース部および平面電極部を相対的に接近させて全ての突部の突端を平面電極部に良好に当接させるうえで好適である。
【0032】
好ましくは、ベース部および突部は、材料基板から一体的に成形されている。マイクロマシニング技術によると、単一の材料基板からベース部および突部を一体的に成形することができ、特に多数の電気接点を内在する電気接点装置の製造において、効率化を図ることができる。
【0033】
本発明の第2の側面において、本電気接点装置に対する印加電圧の最大値をVmaxとし、且つ、複数の枝路ユニットに含まれる複数の電気接点の各々における最小放電電流値をIminとする場合に、好ましくは、複数の枝路ユニットに含まれる複数の抵抗体部の各々の抵抗値Rbは、Rb>Vmax/Iminを満たす。また、本電気接点装置に対する印加電圧の最大値をVmaxとし、複数の枝路ユニットに含まれる複数の電気接点の各々における最小放電電流値をIminとし、且つ、本電気接点装置の全体抵抗をRsとする場合には、好ましくは、枝路ユニットの配設数Nは、N>Vmax/(Rs・Imin)を満たす。これら2つの関係式は、以下のように導出される。
【0034】
本発明の第2の側面において、相互に並列に接続された複数の電気接点の数をN(N>3)とし、1個の電気接点における接触抵抗を全て同一のRcとし、且つ、個々の電気接点に直列に接続された抵抗体の抵抗を全て同一のRbとすると、N個の電気接点が実質的に同時に開閉する電気接点装置における、当該装置の接触抵抗Rsは、下記式(1)で表される。本発明に係る電気接点装置の場合、Rsは、装置の内部抵抗に相当し、全ての電気接点が閉状態にあるときの装置の全体抵抗であって、個々の電気接点における接触抵抗ではない。
【0035】
【数1】
Figure 0004116420
【0036】
Rcは例えば1〜100mΩ程度であり、このようなRcに対して充分に大きなRbを採用してRb>>Rcとすると、式(1)から下記式(2)が得られる。
【0037】
【数2】
Figure 0004116420
【0038】
電気接点装置全体でアーク放電が起こらないような条件を調べるには、1個の接点のみが開閉しても放電が起こらない条件を調べればよい。全てのスイッチを同時に開閉しようとしても、スイッチの開閉動作を厳密に追跡すると、バラバラに開閉されてしまい、1個の接点において最も大電流が流れるのは、最後の1個の接点が開閉される時であるためである。
【0039】
図2は、本発明に係る電気接点装置を実際に動作させるときの回路図を表す。電源の電圧(DCまたはAC)をVinとする。また、電源側の入力インピーダンスをRinとし、出力側の負荷のインピーダンスをRoutとする。RinおよびRoutは、動作対象に応じて大きく異なり得るが、少なくとも装置の接触抵抗Rsよりも充分に大きな値(例えば10Ω以上)を有する場合が多い。全ての電気接点が閉状態にあるときに装置全体に流れる電流Iは、下記式(3)により表される。
【0040】
【数3】
Figure 0004116420
【0041】
電気接点数はNであるので、このときに各枝路ユニットないし各電気接点に流れる電流値I0は、下記式(4)により表される。
【0042】
【数4】
Figure 0004116420
【0043】
装置が完全な閉状態(全ての電気接点が閉状態)から完全な開状態(全ての電気接点が開状態)へと遷移する過程においては、厳密には、N個の電気接点は個々独立に開状態となる。この遷移過程におけるある瞬間を捕らえると、N個のうちn(1<n<N)個の接点が開状態(オフ)にある場合、閉状態(オン)にある(N−n)個の接点のうち1個あたりに流れている電流値inは、下記式(5)により表される。
【0044】
【数5】
Figure 0004116420
【0045】
式(4)と式(5)を比較すると、明らかにi0<inであり、開状態の電気接点の数が増加するにつれて、閉状態の各電気接点に流れる電流は増加し、最後の1接点のみが接続された状態で当該電流は最大となる。そのときの電流値iN-1は、式(5)から下記式(6)のように導かれる。
【0046】
【数6】
Figure 0004116420
【0047】
最後の1接点が開離するときに電気接点あたりの電流値が最大になることは、式(4)と式(6)の比較から理解できよう。
【0048】
RinおよびRoutを含む回路構成を有する装置に対して印加される電圧の最大値をVmax(リレーのカタログ等には接点電圧の最大許容値として記述される値に相当する)とし、且つ、接点材料で決まる最小放電電流値をIminとすると、アーク放電を防止するためには、当該装置において下記式(7)を成立させればよい。最小放電電流の値は、例えば、アーク放電電流発生確率が所定の値以下である場合の電流値であって、電気接点装置の用途に応じて適宜決定するのが好ましい。
【0049】
【数7】
Figure 0004116420
【0050】
一方、式(6)からは下記式(8)が導かれる。また、RinおよびRoutは、装置の外部の要因であるから、装置内部の要因だけで設計の目安をつけるには、下記式(9)を成立させればよい。
【0051】
【数8】
Figure 0004116420
【数9】
Figure 0004116420
【0052】
式(9)が成立すれば、図2におけるRinおよびRoutの値にかかわらず、本電気接点装置においてアーク放電は充分に抑制されるか発生しない。最小放電電流Imin未満におけるアーク放電発生確率が0%であるようなIminを採用する場合に式(9)が成立すれば、図2におけるRinおよびRoutの値にかかわらず、本電気接点装置においてアーク放電は発生しない。
【0053】
式(9)からは下記式(10)が得られる。式(10)は、アーク放電を抑制ないし防止するために要する各抵抗体部の抵抗の大きさRbが、最大印加電圧(例えば装置の仕様値としての最大接点電圧)Vmaxと、採用する接点材料から決まる最小放電電流Iminとから、実質的に定まることを意味する。
【0054】
【数10】
Figure 0004116420
【0055】
また、式(10)に式(2)を代入することによって、下記式(11)が導かれる。式(11)は、並列に接続すべき電気接点の数Nについて、アーク放電抑制の観点からどの程度にしたらよいかを示唆する。
【0056】
【数11】
Figure 0004116420
【0057】
従来の電気接点では、接点間に発生したアーク放電を消すために、電気接点の開離動作において長い接点間距離を実現していた。しかしながら、本発明によると、式(10)および式(11)を満たすように設計することによって、そもそも放電を生じさせなくすることができるので、開状態の接点間距離を従来の電気接点装置のそれよりも大幅に短くすることが可能である。また、各枝路ユニットを流れる電流が小さいので、電気接点の開離時において、接点間の電流の集中による発熱で発生するブリッジ現象も大幅に低減される。
【0058】
接点数を多くして1個あたりの電流値を下げることの利点は、枝路ユニットを流れる電流を最小放電電流未満に抑制することによってアーク放電を防止する点に加えて、複数の電気接点が時間とともに次々と開離または接合していく際に生ずる誘導電圧dI/dtを抑制できる点にもある。誘導電圧を抑制すると、各電気接点から発生し得る電磁ノイズを低減することができる。また、誘導電圧によって2次的に発生し得るアーク放電を防止することも可能となる。
【0059】
本発明の第3の側面によると他の電気接点装置が提供される。この電気接点装置は、相互に並列に接続する複数の枝路ユニットを備え、複数の枝路ユニットの各々は、機械的に開閉する第1接点部および第2接点部よりなり且つ当該枝路ユニットを放電電流が流れるのを阻止するための接触抵抗を有する、電気接点を含むことを特徴とする。このような構成の電気接点装置においては、接点におけるアーク放電の発生を適切に抑制することができる。
【0060】
図3は、本発明の第3の側面に係る電気接点装置における回路構成を表す。図3の回路図においては、一対の接点C1,C2よりなる電気接点であるスイッチSi(i=1,2,3,・・・,N)が、単一の枝路ユニットに含まれている。外部接続用の端子E1,E2の間において、複数の枝路ユニットは並列に配されている。スイッチSiを構成する電気接点は、接触抵抗Rci(i=1,2,3,・・・,N)を有し、当該Rciは、枝路ユニットを放電電流が流れるのを阻止するほどに大きな抵抗である。放電電流とは、接点間にアーク放電を生じさせる程に大きな電流をいう。
【0061】
端子E1,E2の間に所定の定電圧を印加すると、相互に並列な複数の枝路ユニットには、全て同一の定電圧が印加される。各枝路ユニットに着目すると、印加電圧が一定である場合、スイッチSiの閉状態においては、Rciに応じた電流が枝路ユニットを通過することとなる。本発明の第2の側面においては、Rciが充分に大きな抵抗を有するので、各枝路ユニットには、アーク放電を誘発させるような大きな電流は流れない。すなわち、各枝路ユニットには、最小放電電流未満の電流が流れる。本装置において安定したスイッチング特性を得るという観点からは、各電気接点のRciについて、理想的には全て同一に設定される。
【0062】
また、全てのスイッチSiをオンとすると、各枝路ユニットの抵抗ないし電気接点の接触抵抗Rci、および、枝路ユニット数に応じた電流が本電気接点装置を通過することとなる。通過電流は、枝路ユニット数を増加させるほど増大する。したがって、各枝路ユニットを最小放電電流未満の電流が通過する条件下においても、枝路ユニット数を適宜設定することにより、全てのスイッチSiがオンの状態にある本電気接点装置に対して所望の大電流を通過させることができる。全てのスイッチSiを同時的にオフの状態とすることにより、当該大電流は遮断される。
【0063】
このように、本発明の第3の側面に係る電気接点装置においては、各枝路ユニットにおいて、電気接点とは別に抵抗体部を設けなくとも、電気接点自体の接触抵抗を充分に大きく設定することにより、枝路ユニットを通過する電流を最小放電電流未満とすることができ、これとともに、相互に並列な多数の枝路ユニットを設けて当該多数の枝路ユニットによる並列回路の総抵抗を小さく設定することにより、当該並列回路に対して所望の大電流を通過させることができる。したがって、本発明の第3の側面によっても、第1の側面に関して上述したのと同様に、接点におけるアーク放電の発生を適切に抑制することができる。
【0064】
本発明の第3の側面において、本電気接点装置に対する印加電圧の最大値をVmaxとし、且つ、複数の枝路ユニットに含まれる複数の電気接点の各々における最小放電電流値をIminとする場合に、好ましくは、複数の枝路ユニットに含まれる複数の電気接点の各々の抵抗値Rcは、Rc>Vmax/Iminを満たす。また、本電気接点装置に対する印加電圧の最大値をVmaxとし、複数の枝路ユニットに含まれる複数の電気接点の各々における最小放電電流値をIminとし、且つ、本電気接点装置の全体抵抗をRsとする場合には、好ましくは、枝路ユニットの配設数Nは、N>Vmax/(Rs・Imin)を満たす。これら2つの関係式は、以下のように導出される。
【0065】
本発明の第3の側面において、相互に並列に接続された複数の電気接点の数をN(N>3)とし、且つ、1個の電気接点における接触抵抗を全て同一のRcとすると、N個の電気接点が実質的に同時に開閉する電気接点装置における、当該装置の接触抵抗Rsは、下記式(12)で表される。本発明に係る電気接点装置の場合、Rsは、装置の内部抵抗に相当し、全ての電気接点が閉状態にあるときの装置の全体抵抗であって、個々の接点の接触抵抗ではない。
【0066】
【数12】
Figure 0004116420
【0067】
電気接点装置全体でアーク放電が起こらないような条件を調べるには、第2の側面に関して上述したように、1個の接点のみが開閉しても放電が起こらない条件を調べればよい。
【0068】
図4は、本発明の第3の側面に係る電気接点装置を実際に動作させるときの回路図を表す。電源の電圧(DCまたはAC)をVinとする。また、電源側の入力インピーダンスをRinとし、出力側の負荷のインピーダンスをRoutとする。RinおよびRoutは、動作対象に応じて大きく異なり得るが、少なくとも装置の接触抵抗Rsよりも充分に大きな値(例えば10Ω以上)を有することが多い。装置全体に流れる電流Iは、下記式(13)により表される。
【0069】
【数13】
Figure 0004116420
【0070】
第2の側面に係る電気接点装置に関して式(3)に基づいて式(9)を導出したのと同様にして、第3の側面に係る電気接点装置に関して式(13)から下記式(14)を導出することができる。式(14)を導出する過程においては、式(4)〜式(8)におけるRbがRcに置換された関係式が得られる。
【0071】
【数14】
Figure 0004116420
【0072】
式(14)が成立すれば、図4におけるRinおよびRoutの値にかかわらず、本電気接点装置においてアーク放電は充分に抑制されるか発生しない。最小放電電流Imin未満におけるアーク放電発生確率が0%であるようなIminを採用する場合に式(14)が成立すれば、図4におけるRinおよびRoutの値にかかわらず、本電気接点装置においてアーク放電は発生しない。
【0073】
式(14)からは下記式(15)が得られる。式(15)は、アーク放電を抑制ないし防止するために要する各電気接点の接触抵抗の大きさRcが、最大印加電圧(例えば装置の仕様値としての最大接点電圧)Vmaxと、採用する接点材料から決まる最小放電電流Iminとから、実質的に定まることを意味する。
【0074】
【数15】
Figure 0004116420
【0075】
また、式(15)に式(12)を代入することによって、下記式(16)が導かれる。式(16)は、並列に接続すべき電気接点の数Nについて、アーク放電抑制の観点からどの程度にしたらよいかを示唆する。式(16)は式(11)と同一である。
【0076】
【数16】
Figure 0004116420
【0077】
従来の電気接点では、接点間に発生したアーク放電を消すために、電気接点の開離動作において長い接点間距離を実現していた。しかしながら、本発明の第3の側面によると、式(15)および式(16)を満たすように設計することによって、そもそも放電を生じさせなくすることができるので、開状態の接点間距離を従来の電気接点装置のそれよりも大幅に短くすることが可能である。また、各枝路を流れる電流が小さいので、電気接点の開離時において、接点間の電流の集中による発熱で発生するブリッジ現象も大幅に低減される。
【0078】
本発明の第4の側面によると他の電気接点装置が提供される。この電気接点装置は、第1面およびこれとは反対の第2面を有するベース部と、当該ベース部の第1面上に設けられ且つ第1接点部を各々が突端に有する、複数の突部と、第1面に対向して配設され且つ複数の突部の突端が当接可能な複数の第2接点部を含む、平面電極部とを備え、ベース部および突部は、材料基板から一体的に成形されていることを特徴とする。
【0079】
このような構成の電気接点装置においては、各々が第1および第2接点部からなる複数の電気接点が相互に並列に接続している。したがって、各電気接点に対して直列に所定の抵抗を配することにより、図1に示す回路構成を有する電気接点装置を構成することができる。また、各電気接点において所定の接触抵抗を設定することにより、図3に示す回路構成を有する電気接点装置を構成することもできる。これらの場合、本発明の第4の側面によっても、第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。また、材料基板から一体的に成形されたベース部および突部は、マイクロマシニング技術を利用すると得ることができ、当該マイクロマシニング技術を利用すると、特に多数の電気接点を内在する電気接点装置の製造において、効率化を図ることができる。
【0080】
本発明の第5の側面によると他の電気接点装置が提供される。この電気接点装置は、第1面およびこれとは反対の第2面を有するベース部と、当該ベース部の第1面上に設けられ且つ第1接点部を各々が突端に有する、複数の突部と、第1面に対向して配設され且つ複数の突部の突端が当接可能な複数の第2接点部を含む、平面電極部とを備え、ベース部は、第1接点部および第2接点部よりなる電気接点ごとに、当該電気接点の閉状態において第1接点部および第2接点部の間に生ずる接触抗力を吸収するための可撓構造を有することを特徴とする。
【0081】
このような構成の電気接点装置においては、各々が第1および第2接点部からなる複数の電気接点が相互に並列に接続している。したがって、各電気接点に対して直列に所定の抵抗を配することにより、図1に示す回路構成を有する電気接点装置を構成することができる。また、各電気接点において所定の接触抵抗を設定することにより、図3に示す回路構成を有する電気接点装置を構成することもできる。これらの場合、本発明の第5の側面によっても、第1の側面に関して上述したのと同様の効果が奏される。また、ベース部において電気接点ごとに設けられている可撓構造は、ベース部および平面電極部を相対的に接近させて全ての突部の突端を平面電極部に良好に当接させるうえで好適である。
【0082】
本発明の第5の側面において、好ましくは、ベース部は、可撓構造として両固定梁部を有し、突部は当該両固定梁部上に設けられている。或は、好ましくは、ベース部は、可撓構造として片固定梁部を有し、突部は当該片固定梁部上に設けられている。
【0083】
本発明の第2から第5の側面において、好ましくは、第1接点部および/または第2接点部は、Ta,W,C,Moから選択される金属元素を含む金属、酸化物、または窒化物よりなる。Ta,W,C,Moから選択される金属元素を含む金属、酸化物、または窒化物は、電気接点を構成するのに適した高い融点や沸点を有する傾向にある。また、好ましくは、第1接点部および/または第2接点部は、3000℃以上の融点を有する材料よりなる。
【0084】
電気接点の技術の分野においては、従来、接触抵抗を下げることが電気接点の必須事項と考えられてきた。そのため、接点を構成するための金属材料としては、Cu,Au,Ag,Pd,Ptなどの、導電性の高い金属やその合金が多用されてきた。しかしながら、本発明の構成においては、枝路ごとに、ある程度の直列抵抗を必要とするので、抵抗が高いために接点材料としては実用的でなかった金属材料からも接点材料の選択が可能である。したがって、本発明においては、高抵抗であっても融点や沸点の高い材料を、接点材料として使用することができる。融点や沸点の高い材料により接点を形成すると、溶融や蒸発による接点構成材料の消耗および転移が抑制されて、接点の劣化を適切に防止することができる。
【0085】
本発明に係る電気接点装置が上述のベース部および平面電極部を有する場合には、当該電気接点装置は、好ましくは、ベース部および平面電極部が許容最小距離未満に接近するのを阻止するための、絶縁材料よりなるストッパを更に備える。このような構成によると、ベース部および平面電極部が許容最小距離未満に過度に接近することを適切に阻止することができる。例えば、ベース部が上述の可撓構造を有する場合、ベース部および平面電極部が許容最小距離未満に接近することにより突部が過度に押動されて、当該可撓構造が破損するのを防止することが可能である。
【0086】
好ましくは、ベース部および突部はシリコン材料よりなり、導体膜ベース部および導体膜突部における少なくとも抵抗体部には、不純物がドープされている。ベース部および突部は、例えばマイクロマシニング技術などによりシリコン基板から成形することができる。この場合、ベース部および突部の内部に対して、必要に応じてP,As,Bなどの不純物をドープすることにより、抵抗体部が形成される箇所における抵抗値を上昇または低下させ、その結果、所望の抵抗値を有する抵抗体部を形成することができる。
【0087】
本発明の第6の側面によると、固定部と、当該固定部に固定されている梁部と、当該梁部上に設けられている突部とを含む構造体を備える電気接点装置の製造方法が提供される。この製造方法は、第1層、第2層、および、当該第1層および第2層の間の中間層による積層構造を有する材料基板における第1層に対して、突部形成用の第1マスクパターンを介してエッチング処理を行なうことによって、第1層において突部を形成する第1エッチング工程と、梁部形成用であって電極突部を覆う第2マスクパターンを介して、第1層に対して中間層に至るまでエッチング処理を行うことによって、第1層において梁部を形成する第2エッチング工程と、中間層の一部をエッチング除去することによって、第2層と梁部との間に空隙を形成する第3エッチング工程と、を含むことを特徴とする。このような方法は、マイクロマシニング技術において、本発明の第1から第5の側面に係る電気接点装置を製造するうえで好適である。
【0088】
この製造方法は、好ましくは、第3エッチング工程の後に第1層の側から材料基板に対して導体膜を形成する工程と、固定部における導体膜上に配線用の第3マスクパターンを形成する工程と、第3マスクパターンを介して導体膜をパターニングすることによって配線を形成する工程と、を更に含む。或は、この製造方法は、好ましくは、第1エッチング工程の後に第1層の側から材料基板に対して導体膜を形成する工程と、第1層から第1マスクパターンを除去する工程と、を更に含む。このようにして、梁部および突部と電気的に接続する配線を形成することができる。
【0089】
好ましくは、第1エッチング工程にけるエッチング処理は、等方性エッチングである。このような構成は、先細り状の突部を形成するうえで好適である。
【0090】
好ましくは、第1層および第2層はシリコン材料よりなり、中間層は酸化シリコンよりなる。シリコン材料とは、例えば、単結晶シリコン、ポリシリコン、および、これらに不純物をドープしたものである。これらシリコン材料は、酸化シリコンとは異なるエッチング特性を有する。したがって、本構成によると、第1エッチング工程の際に中間層が不当にエッチングされること、並びに、第2エッチング工程の際に第2層が不当にエッチングされることを、適切に防止することができる。
【0091】
【発明の実施の形態】
図5および図6は、本発明の第1の実施形態に係る電気接点装置X1を表す。電気接点装置X1は、第1接触子10および第2接触子20を備える。第1接触子10は、ベース部11と、複数の突部12と、平面電極13とを有する。ベース部11は、所定の導電性を有する例えばシリコン材料よりなる。複数の突部12は、ベース部11における同一面側に所定の配置で設けられている。突部12の配設個数は、例えば100個〜10万個である。各突部12は、例えば円錐形状や角錐形状を有し、ベース部11と一体であってベース部11と同一材料よりなる。突部12、および、ベース部11において突部12に連続する箇所の厚み方向の全体は、必要に応じて不純物によりドープされている。これにより、ベース部11および突部12の内部にて、所望の抵抗値を有する抵抗体部が形成されている。当該不純物としては、例えばP,As,Bを採用することができる。ベース部11からの突部12の高さは例えば1〜300μmであり、錐形状の底面に関する長さ(円錐の場合は底面の直径、角錐の場合は底面の一辺の長さ)は、例えば1〜300μmである。突部12の高さおよび底面長さは同程度であるのが好ましい。また、突部12の表面は、高融点かつ高沸点の金属でコーティングされていてもよい。そのような金属としては、WやMoを採用することができる。
【0092】
第2接触子20は、基板21および共通平面電極22を有する。基板21は、例えばシリコン基板である。共通平面電極22は、好ましくは、WやMoなどの高融点かつ高沸点の金属よりなる。第1接触子10において充分に放電防止対策がとられている場合には、共通平面電極22は、Cu,Au,Ag,Pd,Ptからなる群より選択される低抵抗な金属、或は、これらからなる合金により構成してもよい。また、本発明においては、このような構成に代えて、第2接触子20は、共通平面電極22に関して上掲した金属により全体が構成されていてもよい。
【0093】
第1接触子10および第2接触子20は、図5に示すような離隔状態(開状態)、または、図6に示す閉状態ないし接触状態(閉状態)をとり得るように、相対動可能に構成されている。接触状態においては、全ての突部12が共通平面電極22に当接している。第1接触子10および第2接触子20の相対動作は、本実施形態では、固定された第2接触子20に対して第1接触子10を駆動することにより達成される。本発明では、これに代えて、固定された第1接触子10に対して第2接触子20を駆動することにより相対動作を達成してもよいし、第1接触子10および第2接触子20の双方を駆動することにより相対動作を達成してもよい。第1接触子10および/または第2接触子の駆動手段としては、従来のリレーにおいて可動部の駆動手段として採用されている、例えば電磁石を用いたアクチュエータを、採用することができる。
【0094】
このような構成を有する電気接点装置X1においては、図1に示す回路が形成されている。具体的には、第1接触子10の突部12の先端は、図1に示す回路図における第1接点部C1に相当し、共通平面電極22において突部12が当接する箇所は、第2接点部C2に相当する。平面電極13は端子E1に相当する。突部12の先端から平面電極13に至るシリコン材料部は、抵抗Rbiに相当する。共通平面電極22は、電気的には端子E2にも相当する。各抵抗Rbiについては、ベース部11の厚み、突部12のサイズおよび形状、並びに、ベース部11および突部12の構成材料および不純物のドープの態様を、適宜変更することによって所望の値に設定することができる。ベース部11および突部12の構成材料としてシリコン材料を採用する本実施形態では、当該抵抗Rbiについて、例えば10〜100kΩ程度に設定可能である。また、電気接点装置X1では、上記式(10)および式(11)を満たす範囲で、各抵抗Rbiおよび接点数Nが設定されている。式(10)および式(11)における最小放電電流Iminは、アーク放電発生確率が例えば50%以下の電流値をいうものとする。ただし、最小放電電流Iminの値は、電気接点装置X1の用途に応じて設定するものとする。最小放電電流Iminのこのような設定に関しては、他の実施形態においても同様である。
【0095】
このような構成を有する電気接点装置X1において、第1接触子10をアクチュエータにより駆動して図6に示すような接触状態とすると、各突部12は共通平面電極22に当接し、全ての電気接点は閉状態となる。このとき、平面電極13および共通平面電極22の間に電圧が印加されていれば、所望の電流が当該電気接点装置X1を通過することとなる。その後、第1接触子10をアクチュエータにより駆動して図5に示すような離隔状態とすると、各突部12は共通平面電極22から離隔して、全ての電気接点は開状態となる。これにより、それまで電気接点装置X1を通過していた電流は遮断されることとなる。
【0096】
第1接触子10および第2接触子20の離反動作の際、電気接点におけるアーク放電は、防止ないし充分に抑制される。電気接点装置X1は、図1に示す回路構成を有し、上記式(10)および式(11)を満たす範囲で各抵抗Rbiおよび接点数Nが設定されているからである。アーク放電が防止ないし充分に抑制されるので、電気接点装置X1の備える各電気接点を構成する接点材料の消耗および転移は抑制される。したがって、電気接点装置X1は、信頼性の高いスイッチング操作を達成することができ、且つ、長寿命を有する。
【0097】
図7は、第1接触子10の製造工程を表す。この製造方法は、マイクロマシニング技術によって上述の第1接触子10を製造するための一手法である。図7においては、部分断面によって、第1接触子10の形成過程を表す。
【0098】
第1接触子10の製造においては、まず、図7(a)に示すように、シリコン基板S1の上に突部形成用のレジストパターン14を形成する。具体的には、シリコン基板S1の上に液状のフォトレジストをスピンコーティングにより成膜し、露光および現像を経て、レジストパターン14を形成する。レジストパターン14に含まれる各マスクは、形成目的の突部形状に応じて例えば円形または正方形である。フォトレジストとしては、例えば、AZP4210(クラリアントジャパン製)やAZ1500(クラリアントジャパン製)を使用することができる。後述のレジストパターンについても、このようなフォトレジストの成膜およびその後の露光・現象を経て形成される。
【0099】
次に、レジストパターン14をマスクとして、シリコン基板S1に対して所定の深さまで等方性エッチングを行う。当該エッチングは、反応性イオンエッチング(RIE)により行うことができる。これにより、図7(b)に示すように、ベース部11およびこれと一体の複数の突部12が形成される。図の明確化の観点より、ベース部11および突部12の境界は、実線で示す。同様に、以降のベース部および突部の境界についても実線で表す。その後、図7(c)に示すように、シリコン基板S1からレジストパターン14を剥離する。剥離液としては、AZリムーバ700(クラリアントジャパン製)を使用することができる。後述のレジストパターンの剥離についても、この剥離液を使用することができる。
【0100】
次に、図7(d)に示すように、シリコン基板S1における突部形成面とは反対の面に、平面電極13を形成する。平面電極13は、所定の金属を蒸着させるか、或は、所定の金属板または金属箔を貼り合わせることにより、形成することができる。
【0101】
以上の工程を経ることにより、ベース部11およびこれと一体の複数の突部12を有する第1接触子10を形成することができる。本発明においては、第1接触子10について、このような構成とは異なる構造を採用してもよい。例えば、低抵抗金属よりなるベース部10と、高融点かつ高抵抗な金属よりなってベース部10に接合された突部12とにより、第1接触子10を構成してもよい。この場合、ベース部10としては、Cu板を採用するのが好ましい。また、突部12は、WやMoから形成されるのが好ましい。
【0102】
一方、第2接触子20は、基板21に対して所定の金属を蒸着させて共通平面電極22を形成することによって、作製することができる。或は、第2接触子20は、基板21に対して、所定の金属板または金属箔を貼り合わせて共通平面電極22を形成することによって、作製することができる。
【0103】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る電気接点装置X2の部分斜視図である。電気接点装置X2は、第1接触子30および第2接触子20を備える。第1接触子30は、ベース部31と、複数の突部32と、電極33とを有する。ベース部31は、所定の導電性を有する例えばシリコン材料よりなり、複数の梁部31aを有する。梁部31aの両端は、ベース部30の他の部位に固定されている。複数の突部32は、ベース部31の同一面側において2次元アレイ状に配列されており、各々、梁部31aの上に設けられている。各突部32は、本実施形態では略円錐形状を有し、ベース部31と一体であってベース部31と同一材料よりなる。突部32の表面は、高融点かつ高沸点の金属でコーティングされていてもよい。そのような金属としては、WやMoを採用することができる。突部32の配設個数および寸法については、第1の実施形態における突部12に関して上述したのと同様である。また、第2接触子20は、第1の実施形態において上述したのと同様である。
【0104】
第1接触子30および第2接触子20は、図8に示すような離隔状態と、全ての突部32が共通平面電極22に当接する接触状態とをとり得るように、相対動可能に構成されている。第1接触子30および第2接触子20の相対動作は、固定された第2接触子20に対して第1接触子30を駆動することにより達成される。或は、第1の実施形態に関して上述したのと同様に、他の相対動作態様を採用してもよい。また、第1接触子30の駆動手段については、第1の実施形態に関して上述したのと同様である。
【0105】
このような構成を有する電気接点装置X2においては、図1に示す回路が形成されている。具体的には、第1接触子30の突部32の先端は、図1に示す回路図における第1接点部C1に相当し、共通平面電極22において突部32が当接する箇所は、第2接点部C2に相当する。電極33は端子E1に相当する。突部32の先端から電極33に至るシリコン材料部は、抵抗Rbiに相当する。共通平面電極22は、電気的には端子E2にも相当する。各抵抗Rbiについては、第1の実施形態に関して上述したのと同様に、ベース部31の厚み、突部32のサイズおよび形状、並びに、ベース部31および突部32の構成材料およびドープの態様を、適宜変更することによって所望の値に設定することができる。また、電気接点装置X2では、上記式(10)および式(11)を満たす範囲で、各抵抗Rbiおよび接点数Nが設定されている。
【0106】
このような構成を有する電気接点装置X2において、第1接触子30をアクチュエータにより駆動して、接触状態とすると、各突部32は共通平面電極22に当接し、全ての電気接点は閉状態となる。このとき、接触状態における突部32および共通平面電極22に作用する押圧力は、全ての接点において均一化される。第1接触子30および第2接触子20の間に多少の配向歪み(非平行配向)が存在する場合であっても、梁部31aは、接触状態において突部32と共通平面電極22との間に生じ得る余分な接触抗力を吸収するように撓む。その結果、突部32と共通平面電極22と押圧力は均一化され、良好な接触状態が達成される。このような接触状態において、電極33および共通平面電極22の間に電圧が印加されていれば、所望の電流が当該電気接点装置X2を通過することとなる。その後、第1接触子30をアクチュエータにより駆動して図8に示すような離隔状態とすると、各突部32は共通平面電極22から離隔して、全ての電気接点は開状態となる。これにより、それまで電気接点装置X2を通過していた電流は遮断されることとなる。
【0107】
第1接触子30および第2接触子20の離反動作の際、電気接点におけるアーク放電は、防止ないし充分に抑制される。電気接点装置X2は、図1に示す回路構成を有し、上記式(10)および式(11)を満たす範囲で各抵抗Rbiおよび接点数Nが設定されているからである。アーク放電が防止ないし充分に抑制されるので、電気接点装置X2の備える各電気接点を構成する接点材料の消耗および転移は抑制される。したがって、電気接点装置X2は、信頼性の高いスイッチング操作を達成することができ、且つ、長寿命を有する。
【0108】
図9は、第1接触子30の製造工程を表す。この製造方法は、マイクロマシニング技術によって上述の第1接触子30を製造するための一手法である。図9においては、部分断面によって、第1接触子30の形成過程を表す。当該部分断面は、図8の線IX−IXに沿った断面である。
【0109】
第1接触子30の製造においては、まず、図7(a)から図7(c)を参照して第1の実施形態に関して上述したのと同様の工程を経て、図9(a)に示す形状にまでシリコン基板S2を加工する。シリコン基板S2においては、ベース部31およびこれと一体の複数の突部32が形成されている。
【0110】
次に、図9(b)に示すように、シリコン基板S2における突部形成面とは反対の面に、電極33を形成する。具体的には、所定の金属の蒸着により当該反対面に金属膜を形成した後、当該金属膜を所定形状にパターニングすることによって、電極33を形成することができる。
【0111】
次に、図9(c)に示すように、シリコン基板S2の上に梁部形成用のレジストパターン34を形成する。レジストパターン34は、梁部31aおよびこれが連続するフレーム部分へと加工される箇所をマスクするためのものであり、複数の開口部を有する。
【0112】
次に、図9(d)に示すように、レジストパターン34をマスクとして、シリコン基板S2に対して異方性エッチングを行う。異方性エッチングとしては、Deep−RIEなどを採用することができる。Deep−RIEでは、エッチングと側壁保護を交互に行うBoschプロセスにおいて、例えば、SF6ガスによるエッチングを8秒行い、C48ガスによる側壁保護を6.5秒行い、ウエハに印加するバイアスは23Wとすることによって、良好な異方性エッチング処理を行うことができる。後述の異方性エッチングについても、この条件のDeep−RIEを採用することができる。その後、図9(e)に示すように、シリコン基板S2からレジストパターン34を剥離する。以上の工程を経ることにより、梁部31aを有するベース部31、および、これと一体の複数の突部32を具備する第1接触子30を形成することができる。
【0113】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る電気接点装置X3の部分断面図である。電気接点装置X3は、第1接触子40および第2接触子20を備える。第1接触子40は、ベース部41と、複数の突部42と、電極43とを有する。
【0114】
ベース部41は、リア部41aと、フレーム部41bと、複数の共通固定部41cと、複数の梁部41dとを有する。これらは、後述するように、マイクロマシニング技術により単一の材料基板から一体的に成形されたものである。
【0115】
複数の共通固定部41cは、図11に示すように、リア部41aの上において相互に平行に配されている。梁部41dは、各々、その片方の端部が共通固定部41cに固定されておいる。すなわち、梁部41dは、片固定梁構造を有する。隣接する2本の共通固定部41cの間において、一方の共通固定部41cからのみ複数の梁部41dが相互に平行に延びている。図11においては、図の簡潔化の観点より、共通固定部41cおよび梁部41dの一部を省略する。
【0116】
突部42は、図11に表れているように2次元アレイ状に配列されており、各々、本実施形態では略円錐形状を有して梁部41dの上に設けられている。共通固定部41cの少なくとも上方部、梁部41d、および、突部42は、所定の導電性を有する同一材料よりなる。そのような材料としては、例えばシリコン材料を採用することができる。電極43は、共通固定部41cの少なくとも上方部、梁部41d、および突部42よりも低抵抗い給電用の金属(Au,Alなど)よりなり、フレーム部41bおよび共通固定部41cの上においてパターン形成されている。突部42の表面は、高融点かつ高沸点の金属でコーティングされていてもよい。そのような金属としては、WやMoを採用することができる。突部42の配設個数および寸法については、第1の実施形態における突部12に関して上述したのと同様である。
【0117】
第1接触子40および第2接触子20は、図10に示すような離隔状態と、全ての突部42が共通平面電極22に当接する接触状態とをとり得るように、相対動可能に構成されている。第1接触子40および第2接触子20の相対動作は、固定された第2接触子20に対して第1接触子40を駆動することにより達成される。或は、第1の実施形態に関して上述したのと同様に、他の相対動作態様を採用してもよい。また、第1接触子40の駆動手段については、第1の実施形態に関して上述したのと同様である。
【0118】
このような構成を有する電気接点装置X3においては、図1に示す回路が形成されている。具体的には、第1接触子40の突部42の先端は、図1に示す回路図における第1接点部C1に相当し、共通平面電極22において突部42が当接する箇所は、第2接点部C2に相当する。電極43は端子E1に相当する。突部42の先端から梁部41dを通って電極43に至る材料部は、抵抗Rbiに相当する。共通平面電極22は、電気的には端子E2にも相当する。各抵抗Rbiについては、突部42の先端から梁部41dを通って電極43に至る材料部の構成材料、ドープの態様および長さ、並びに、梁部41dおよび突部42のサイズや形状を、適宜変更することによって所望の値に設定することができる。また、電気接点装置X3では、上記式(10)および式(11)を満たす範囲で、各抵抗Rbiおよび接点数Nが設定されている。
【0119】
このような構成を有する電気接点装置X3において、第1接触子40をアクチュエータにより駆動して、接触状態とすると、各突部42は共通平面電極22に当接し、全ての電気接点は閉状態となる。このとき、接触状態における突部42および共通平面電極22に作用する押圧力は均一化される。第1接触子40および第2接触子20の間に多少の配向歪み(非平行配向)が存在する場合であっても、梁部41dは、接触状態において突部42と共通平面電極22との間に生じ得る余分な接触抗力を吸収するように撓む。梁部41dは、片固定構造を有するので、第2の実施形態における梁部31aよりも柔軟な可撓性を有する。その結果、突部42と共通平面電極22との間において良好な接触状態が達成される。このような接触状態において、電極43および共通平面電極22の間に電圧が印加されていれば、所望の電流が当該電気接点装置X3を通過することとなる。その後、第1接触子40をアクチュエータにより駆動して図10に示すような離隔状態とすると、各突部42は共通平面電極22から離隔して、全ての電気接点は開状態となる。これにより、それまで電気接点装置X3を通過していた電流は遮断されることとなる。
【0120】
第1接触子40および第2接触子20の離反動作の際、電気接点におけるアーク放電は、防止ないし充分に抑制される。電気接点装置X3は、図1に示す回路構成を有し、上記式(10)および式(11)を満たす範囲で各抵抗Rbiおよび接点数Nが設定されているからである。アーク放電が防止ないし充分に抑制されるので、電気接点装置X3の備える各電気接点を構成する接点材料の消耗および転移は抑制される。したがって、電気接点装置X3は、信頼性の高いスイッチング操作を達成することができ、且つ、長寿命を有する。
【0121】
図12から図14は、電気接点装置X3の第1接触子40の製造工程を表す。この製造方法は、マイクロマシニング技術によって第1接触子40を製造するための一手法である。図12から図14においては、部分断面によって、当該第1接触子40の形成過程を表す。
【0122】
第1接触子40の製造においては、まず、図12(a)に示すような基板S3を用意する。基板S3は、SOI(Silicon on Insulator)基板であり、第1層51、第2層52、および、これらに挟まれた中間層53よりなる積層構造を有する。本実施形態では、例えば、第1層51の厚みは20μmであり、第2層52の厚みは200μmであり、中間層53の厚みは2μmである。第1層51および第2層52は、シリコン材料よりなり、必要に応じて、例えばPやAsなどのn型不純物をドープすることによって導電性が付与されている。これら導電性の付与においては、Bなどのp型の不純物を用いてもよい。また、これらn型不純物およびp型不純物をドープを共にドープすることによって、シリコン材料の所定の少なくとも一部における抵抗値を高めてもよい。中間層53は、本実施形態では、絶縁性の物質よりなる。そのような絶縁物質としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどを採用することができる。中間層53を絶縁物質により構成すると、当該基板S3において成形される梁部41dおよび突部42とリア部41aとを電気的に良好に分離することができる。ただし、本発明においては、中間層53を導電性物質により構成してもよい。この場合、梁部41dおよび突部42に対する給電用の電極43は、フレーム部41bおよび共通固定部41cの上に代えて、リア部41aに対して設けることが可能となる。
【0123】
次に、図12(b)に示すように、第1層51の上にレジストパターン54を形成する。レジストパターン54に含まれる各マスクは、形成目的の突部形状に応じて円形である。円形マスクの直径は、突部42の高さの2倍程度であるのが好ましい。
【0124】
次に、レジストパターン54をマスクとして、第1層51に対して所定の深さまで等方性エッチングを行う。当該エッチングは、反応性イオンエッチング(RIE)により行うことができる。これにより、図12(c)に示すように、複数の突部42が形成される。その後、図12(d)に示すように、第1層51からレジストパターン54を剥離する。
【0125】
次に、図13(a)に示すように、第1層51の上にレジストパターン55を形成する。レジストパターン55は、第1層51において上述のフレーム部41b、共通固定部41c、および梁部41dへと加工される箇所をマスクするためのものであり、突部42を覆う。
【0126】
次に、図13(b)に示すように、レジストパターン55をマスクとして、第1層51に対して、中間層53に至るまで異方性エッチングを行う。異方性エッチングとしては、上述のように、Deep−RIEなどを採用することができる。
【0127】
次に、図13(c)に示すように、梁部41dの下方の中間層53をウエットエッチングにより除去する。中間層53が酸化シリコンよりなる場合、エッチング液としてはフッ酸などを使用することができる。本エッチング工程では、レジストパターン55で覆われた梁部41dの下方にアンダーカットが入るようにエッチング処理を行う。本工程を経ることにより、フレーム部41b、共通固定部41c、および梁部41dの外郭形状が完成する。その後、図13(d)に示すように、基板S3からレジストパターン55を除去する。
【0128】
次に、図14(a)に示すように、例えば蒸着法により、基板S3に対して突部形成側から金属膜56を形成する。当該金属としては、例えばAu,Cu,Alなどの、Siよりも充分に抵抗の小さい金属を採用する。次に、図14(b)に示すように、フレーム部41bおよび共通固定部41cの上に、電極形成用のレジストパターン57を形成する。次に、レジストパターン57をマスクとして、金属膜56に対してウエットエッチングを施すことにより、図14(c)に示すように電極43を形成する。エッチング液としては、シリコン材料などを不当にエッチングしないものが使用される。その後、図14(d)に示すように、基板S3からレジストパターン57を除去する。図12から図14に示す一連の工程を経ることにより、電気接点装置X3の第1接触子40は作製される。
【0129】
図15は、電気接点装置X3の変形例である電気接点装置X3’の部分断面図である。電気接点装置X3’は、第1接触子40’および第2接触子20を備える。第1接触子40’は、電極43とは異なるパターン形状の電極43’を有する点において、電気接点装置X3の第1接触子40とは相違する。電極43’のパターン形状は、図16によく表れている。電極43’は、フレーム部41bおよび共通固定部41cに加えて、梁部41dの上にも形成されている。第1接触子40’の備える他の構成については、電気接点装置X3の第1接触子40と同様である。したがって、電気接点装置X3’は、電気接点装置X3と略同様に機能することができ、電気接点装置X3と同様の技術的効果を享受することができる。
【0130】
電気接点装置X3’においては、各突部42に対して電気的に直列に配されている抵抗体部Rbiは、電気接点装置X3のそれよりも短い。具体的には、突部42の先端から電極43’に至る抵抗Rbiに相当する材料部は、電気接点装置X3における突部42の先端から電極43に至る材料部よりも短い。したがって、このような電気接点装置X3の構成は、各抵抗体部の抵抗値を比較的小さく設定する場合に有利である。
【0131】
図17および図18は、電気接点装置X3’の第1接触子40’の製造工程を表す。この製造方法は、マイクロマシニング技術によって第1接触子40’を製造するための一手法である。図17および図18においては、部分断面によって、当該第1接触子40’の形成過程を表す。
【0132】
第1接触子40’の製造においては、まず、図12(a)から図12(c)を参照して上述したのと同様の工程を経て、図17(a)に示す形状にまで基板S3を加工する。基板S3は、電気接点装置X3の第1接触子40の製造において使用した基板S3と同様の構成を有する。図17(a)に示す基板S3には、複数の突部42が形成されており、突部形成用のレジストパターン54が残存している。
【0133】
次に、図17(b)に示すように、例えば蒸着法により、基板S3に対して突部形成側から金属膜58を形成する。当該金属としては、例えばAu,Cu,Alなどの、Siよりも充分に抵抗の小さい金属を採用する。次に、図17(c)に示すように、基板S3からレジストパターン54を除去する。このとき、レジストパターン54の上の金属膜58も基板S3から共に除去される。次に、図17(d)に示すように、第1層51の上にレジストパターン59を形成する。レジストパターン59は、第1層51において上述のフレーム部41b、共通固定部41c、および梁部41dへと加工される箇所をマスクするためのものであり、突部42と、金属膜58において、梁部41dへと加工される箇所の上に設けられている部位とを覆う。
【0134】
次に、図18(a)に示すように、金属膜58においてレジストパターン59に覆われていない部位を、ウエットエッチングにより除去する。エッチング液としては、シリコン材料などを不当にエッチングしないものが使用される。次に、図13(b)および図13(c)を参照して上述したのと同様の工程を経て、図18(b)に示す形状にまで基板S3を加工する。図18(b)に示す基板S3においては、共通固定部41c、梁部41d、および上述のフレーム部41bの外郭形状が完成している。その後、図18(c)に示すように、基板S3からレジストパターン59を除去する。図17および図18に示す一連の工程を経ることにより、電気接点装置X3’の第1接触子40’は作製される。
【0135】
図19は、本発明の第4の実施形態に係る電気接点装置X4の部分断面図である。電気接点装置X4は、第1接触子60および第2接触子20を備える。第1接触子60は、ベース部61と、複数の突部62と、電極63とを有する。
【0136】
ベース部61は、リア部61aと、フレーム部61bと、複数の共通固定部61cと、複数の梁部61dとを有する。これらは、第3の実施形態におけるリア部41aと、フレーム部41bと、共通固定部41cと、梁部41dと同様に、マイクロマシニング技術により単一の材料基板から一体的に成形されたものである。
【0137】
複数の共通固定部61cは、図20に示すように、リア部61aの上において相互に平行に配されている。梁部61dは、各々、その片方の端部が共通固定部61cに固定されている。すなわち、梁部61dは、片固定梁構造を有する。隣接する2本の共通固定部61cの間において、一方の共通固定部61cから複数の梁部61dが相互に平行に延びており、他方の共通固定部61cからも複数の梁部61dが相互に平行に延びている。図20においては、図の簡潔化の観点より、共通固定部61cおよび梁部61dの一部を省略する。
【0138】
突部62は、図20に表れているように2次元アレイ状に配列されており、各々、本実施形態では略円錐形状を有して梁部61dの上に設けられている。共通固定部61cの少なくとも上方部、梁部61d、および、突部62は、所定の導電性を有する同一材料よりなる。電極63は、共通固定部61cの少なくとも上方部、梁部61d、および突部62よりも低抵抗い給電用の金属よりなり、フレーム部61bおよび共通固定部61cの上においてパターン形成されている。電極63は、図20に示すようなパターン形状に代えて、上述の電極43’のように、梁部61dの上にも伸びるパターン形状を有していてもよい。突部62の表面は、高融点かつ高沸点の金属でコーティングされていてもよい。突部62の配設個数および寸法については、第1の実施形態における突部12に関して上述したのと同様である。
【0139】
第1接触子60および第2接触子20は、図19に示すような離隔状態と、全ての突部62が共通平面電極22に当接する接触状態とをとり得るように、相対動可能に構成されている。第1接触子60および第2接触子20の相対動作は、固定された第2接触子20に対して第1接触子60を駆動することにより達成される。或は、第1の実施形態に関して上述したのと同様に、他の相対動作態様を採用してもよい。また、第1接触子60の駆動手段については、第1の実施形態に関して上述したのと同様である。
【0140】
このような構成を有する電気接点装置X4においては、図1に示す回路が形成されている。具体的には、第1接触子60の突部62の先端は、図1に示す回路図における第1接点部C1に相当し、共通平面電極22において突部62が当接する箇所は、第2接点部C2に相当する。電極63は端子E1に相当する。突部62の先端から梁部61dを通って電極63に至る材料部は、抵抗Rbiに相当する。共通平面電極22は、電気的には端子E2にも相当する。また、電気接点装置X3では、上記式(10)および式(11)を満たす範囲で、各抵抗Rbiおよび接点数Nが設定されている。
【0141】
このような構成を有する電気接点装置X4は、そのスイッチング動作において、電気接点ごとに可撓構造である梁部41dを有する電気接点装置X3と略同様に機能することができ、電気接点装置X3と同様の技術的効果を享受することができる。
【0142】
電気接点装置X4においては、単一の共通固定部61cの両側に、突部62を伴う梁部61dが設けられている。そのため、電気接点装置X4においては、電気接点装置X3のそれよりも小数の共通固定部61cにより、同数の突部62ないし電気接点を具備することが可能である。したがって、電気接点装置X4は、電気接点装置X3よりも、電気接点の高密度化に適している。また、梁部62が共通固定部61cに対して対称的に配設されているので、電気接点装置X4が接触状態(オン状態)にあるとき、共通固定部61cには、その両側から略対称的に応力が作用する。すなわち、電気接点装置X4では、共通固定部61cに偏った力が加わりにくい。そのため、共通固定部61cの経時的劣化は抑制される。共通固定部61cの劣化の抑制は、電気接点装置X4のスイッチング動作における信頼性維持に寄与する。
【0143】
電気接点装置X4の第1接触子50については、電気接点装置X3の第1接触子40の製造に関して図12から図14を参照して上述したのと同様の方法を利用して、製造することができる。また、第1接触子60の電極63が、梁部61dの上にも延びるパターン形状を有する場合には、電気接点装置X3’の第1接触子40’の製造に関して図17および図18を参照して上述したのと同様の方法を利用して、製造することができる。
【0144】
本発明の第1から第4の実施形態に係る電気接点装置X1〜X4および第3の実施形態の変形例である電気接点装置X3’は、更に、両接触子の間に、当該接触子どうしを所定距離以上に接近させないためのストッパを具備していてもよい。図21は、第3の実施形態に係る電気接点装置X3がそのようなストッパを具備する場合を、一例として、模式的に表す。
【0145】
図21において、電気接点装置X3は接触状態にあり、第1接触子40と第2接触子20の間にストッパ64が配設されている。ストッパ64は、絶縁材よりなり、第1接触子40または第2接触子20に固定されている。ストッパ64の厚みは、接触状態にて突部42と平面電極22が適当な押圧力で当接するような、第1接触子40および第2接触子20の離隔距離と同一である。電気接点装置X3がこのようなストッパ64を具備する場合には、梁部41dの折損が抑制され、各電気接点における押圧力が均一化してスイッチング特性が安定化し、梁部41dがリア部41aと接触するのが抑制されるという利益を享受することができる。また、絶縁材料よりなるストッパ64が第1接触子40と第2接触子20の間に介在することにより両接触子は電気的に適切に分離されている。
【0146】
本発明においては、第1から第4の実施形態に係る電気接点装置X1〜X4および第3の実施形態の変形例である電気接点装置X3’について、図1に示す回路を具備する上述のような構成に代えて、図3に示す回路を具備するように構成してもよい。その場合、第1接触子のベース部および突部の内部において電気接点ごとに抵抗Rbiが形成されないように、不純物のドープによって、当該ベース部および突部の内部のシリコン材料には導電性が付与される。これとともに、第1接点部に相当する突部の先端、および、共通平面電極22の全体または突部が当接する第2接点部に相当する部位を、高抵抗金属などにより構成することにより、各電気接点に対し、当該電気接点に放電電流が流れるのを阻止するほどに大きな接触抵抗を付与する。このような構成によっても、接点においてアーク放電が防止ないし充分に抑制されるので、電気接点装置の備える各電気接点を構成する接点材料の消耗および転移は抑制される。したがって、当該電気接点装置は、信頼性の高いスイッチング操作を達成することができ、且つ、長寿命を有する。
【0147】
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列記する。
【0148】
(付記1)機械的に開閉する電気接点、および、当該電気接点の接触抵抗より大きな抵抗を有して前記電気接点に対して直列に配された抵抗体を、各々が含む複数の枝路が、並列に配された回路構成を備えることを特徴とする、電気接点装置。
(付記2)相互に並列に接続する複数の枝路ユニットを備え、
前記複数の枝路ユニットの各々は、機械的に開閉する第1接点部および第2接点部よりなる電気接点、並びに、当該電気接点の接触抵抗より大きな抵抗を有して前記電気接点に対して直列に接続する抵抗体部を含むことを特徴とする、電気接点装置。
(付記3)第1面およびこれとは反対の第2面を有するベース部と、当該ベース部の前記第1面上に設けられ且つ前記第1接点部を各々が突端に有する複数の突部と、前記第1面に対向して配設され且つ前記複数の突部の突端が当接可能な複数の前記第2接点部を含む平面電極部とを有し、複数の前記抵抗体部は、各々、前記ベース部および前記突部の内部に構成されている、付記2に記載の電気接点装置。
(付記4)前記ベース部の前記第2面には、前記複数の抵抗体部と電気的に接続する共通電極が設けられている、付記3に記載の電気接点装置。
(付記5)前記ベース部は、前記電気接点ごとに、当該電気接点の閉状態において前記第1接点部および前記第2接点部の間に生ずる接触抗力を吸収するための可撓構造を有する、付記3または4に記載の電気接点装置。
(付記6)前記ベース部は、前記可撓構造として両固定梁部を有し、前記突部は当該両固定梁部上に設けられている、付記5に記載の電気接点装置。
(付記7)前記ベース部は、前記可撓構造として片固定梁部を有し、前記突部は当該片固定梁部上に設けられている、付記5に記載の電気接点装置。
(付記8)前記ベース部および前記突部は、材料基板から一体的に成形されている、付記3から7のいずれか1つに記載の電気接点装置。
(付記9)本電気接点装置に対する印加電圧の最大値をVmaxとし、且つ、前記複数の枝路ユニットに含まれる複数の電気接点の各々における最小放電電流値をIminとする場合に、前記複数の枝路ユニットに含まれる複数の抵抗体部の各々の抵抗値Rbは、Rb>Vmax/Iminを満たす、付記2から8のいずれか1つに記載の電気接点装置。
(付記10)相互に並列に接続する複数の枝路ユニットを備え、
前記複数の枝路ユニットの各々は、機械的に開閉する第1接点部および第2接点部よりなり且つ当該枝路ユニットを放電電流が流れるのを阻止するための接触抵抗を有する、電気接点を含むことを特徴とする、電気接点装置。
(付記11)本電気接点装置に対する印加電圧の最大値をVmaxとし、且つ、前記複数の枝路ユニットに含まれる複数の電気接点の各々における最小放電電流値をIminとする場合に、前記複数の枝路ユニットに含まれる複数の電気接点の各々の抵抗値Rcは、Rc>Vmax/Iminを満たす、付記10に記載の電気接点装置。
(付記12)本電気接点装置に対する印加電圧の最大値をVmaxとし、前記複数の枝路ユニットに含まれる複数の電気接点の各々における最小放電電流値をIminとし、且つ、本電気接点装置の全体抵抗をRsとする場合に、前記枝路ユニットの配設数Nは、N>Vmax/(Rs・Imin)を満たす、付記2から11のいずれか1つに記載の電気接点装置。
(付記13)第1面およびこれとは反対の第2面を有するベース部と、
前記ベース部の前記第1面上に設けられ、且つ、第1接点部を各々が突端に有する、複数の突部と、
前記第1面に対向して配設され、且つ、前記複数の突部の突端が当接可能な複数の第2接点部を含む、平面電極部と、を備え、
前記ベース部および前記突部は、材料基板から一体的に成形されていることを特徴とする、電気接点装置。
(付記14)第1面およびこれとは反対の第2面を有するベース部と、
前記ベース部の前記第1面上に設けられ、且つ、第1接点部を各々が突端に有する、複数の突部と、
前記第1面に対向して配設され、且つ、前記複数の突部の突端が当接可能な複数の第2接点部を含む、平面電極部と、を備え、
前記ベース部は、前記第1接点部および前記第2接点部よりなる電気接点ごとに、当該電気接点の閉状態において前記第1接点部および前記第2接点部の間に生ずる接触抗力を吸収するための可撓構造を有することを特徴とする、電気接点装置。
(付記15)前記ベース部は、前記可撓構造として両固定梁部を有し、前記突部は当該両固定梁部上に設けられている、付記14に記載の電気接点装置。
(付記16)前記ベース部は、前記可撓構造として片固定梁部を有し、前記突部は当該片固定梁部上に設けられている、付記14に記載の電気接点装置。
(付記17)前記第1接点部および/または前記第2接点部は、Ta,W,C,Moから選択される金属元素を含む金属、酸化物、または窒化物よりなる、付記2から16のいずれか1つに記載の電気接点装置。
(付記18)前記第1接点部および/または前記第2接点部は、3000℃以上の融点を有する材料よりなる、付記2から17のいずれか1つに記載の電気接点装置。
(付記19)前記ベース部および前記平面電極部が許容最小距離未満に接近するのを阻止するための、絶縁材料よりなるストッパを更に備える、付記3から9および12から18のいずれか1つに記載の電気接点装置。
(付記20)前記ベース部および前記突部はシリコン材料よりなり、前記ベース部および前記突部における少なくとも前記抵抗体部には、不純物がドープされている、付記3から9および12から19のいずれか1つに記載の電気接点装置。
(付記21)固定部と、当該固定部に固定されている梁部と、当該梁部上に設けられている突部とを含む構造体を備える電気接点装置の製造方法であって、
第1層、第2層、および、当該第1層および第2層の間の中間層による積層構造を有する材料基板における前記第1層に対して、突部形成用の第1マスクパターンを介してエッチング処理を行なうことによって、前記第1層において突部を形成する第1エッチング工程と、
梁部形成用であって前記電極突部を覆う第2マスクパターンを介して、前記第1層に対して前記中間層に至るまでエッチング処理を行うことによって、前記第1層において梁部を形成する第2エッチング工程と、
前記中間層の一部をエッチング除去することによって、前記第2層と前記梁部との間に空隙を形成する第3エッチング工程と、を含むことを特徴とする、電気接点装置の製造方法。
(付記22)前記第3エッチング工程の後に前記第1層の側から前記材料基板に対して導体膜を形成する工程と、前記固定部における前記導体膜上に配線用の第3マスクパターンを形成する工程と、前記第3マスクパターンを介して前記導体膜をパターニングすることによって配線を形成する工程と、を更に含む、付記21に記載の電気接点装置の製造方法。
(付記23)前記第1エッチング工程の後に前記第1層の側から前記材料基板に対して導体膜を形成する工程と、前記第1層から前記第1マスクパターンを除去する工程と、を更に含む、付記21に記載の電気接点装置の製造方法。
(付記24)前記第1エッチング工程にける前記エッチング処理は、等方性エッチングである、付記21から23のいずれか1つに記載の電気接点装置の製造方法。
(付記25)前記第1層および前記第2層はシリコン材料よりなり、前記中間層は酸化シリコンよりなる、付記21から24のいずれか1つに記載の電気接点装置の製造方法。
【0149】
【発明の効果】
本発明によると、電気接点装置において、接点におけるアーク放電の発生を適切に抑制することができ、当該装置の長寿命化を図ることができる。また、本発明の電気接点装置においては、電気接点のオン/オフ動作に伴って生じる誘導電圧が抑制されるので、電気接点のオン/オフ動作で生じ得る電磁ノイズを充分に低減することができる。したがって、本発明の電気接点装置は、大電流用途のリレーなどにおいても好適に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気接点装置における回路構成を表す。
【図2】図1に示す回路構成を有する電気接点装置の動作概念を表す回路図である。
【図3】本発明に係る他の電気接点装置における回路構成を表す。
【図4】図3に示す回路構成を有する電気接点装置の動作概念を表す回路図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る電気接点装置の開状態を表す。
【図6】図5に示す電気接点装置の閉状態を表す側面図である。
【図7】図5および図6に示す電気接点装置の第1接触子の製造工程を表す。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る電気接点装置を表す。
【図9】図8に示す電気接点装置の第1接触子の製造工程を表す。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る電気接点装置を表す。
【図11】図10に示す電気接点装置の第1接触子の平面図である。
【図12】図10に示す電気接点装置の第1接触子の製造方法における一部の工程を表す。
【図13】図12に続く工程を表す。
【図14】図13に続く工程を表す。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る電気接点装置の変形例を表す。
【図16】図15に示す電気接点装置の第1接触子の平面図である。
【図17】図15に示す電気接点装置の第1接触子の製造方法における一部の工程を表す。
【図18】図17に続く工程を表す。
【図19】本発明の第4の実施形態に係る電気接点装置を表す。
【図20】図19に示す電気接点装置の第1接触子の平面図である。
【図21】本発明に係る電気接点装置がストッパを具備する場合の模式的な断面図である。
【図22】開状態にある従来の電気接点装置を表す。
【図23】閉状態にある図22の電気接点装置を表す。
【図24】アーク放電発生確率の接点間電流依存性の一例を表すグラフである。
【図25】図22の電気接点装置の変形例を表す。
【符号の説明】
C1 第1接点部
C2 第2接点部
X1〜X4,X3’ 電気接点装置
10,30,40,60 第1接触子
11,31,41,61 ベース部
31a,41d,61d 梁部
12,32,42,62 突部
13 平面電極
33,43,63 電極
20 第2接触子
21 基板
22 共通平面電極

Claims (10)

  1. 相互に並列に接続する複数の枝路ユニットを備え、当該複数の枝路ユニットの各々は、機械的に開閉する第1接点部および第2接点部よりなる電気接点、並びに、当該電気接点の接触抵抗より大きな抵抗を有して前記電気接点に対して直列に接続する抵抗体部、を含む電気接点装置であって、
    第1面およびこれとは反対の第2面を有するベース部と、当該ベース部の前記第1面上に設けられ且つ前記第1接点部を各々が突端に有する複数の突部と、前記第1面に対向して配設され且つ前記複数の突部の突端が当接可能な複数の前記第2接点部を含む平面電極部とを有し、複数の前記抵抗体部は、各々、前記ベース部および前記突部の内部に構成されている、電気接点装置。
  2. 前記ベース部の前記第2面には、前記複数の抵抗体部と電気的に接続する共通電極が設けられている、請求項1に記載の電気接点装置。
  3. 前記ベース部は、前記電気接点ごとに、当該電気接点の閉状態において前記第1接点部および前記第2接点部の間に生ずる接触抗力を吸収するための可撓構造を有する、請求項1または2に記載の電気接点装置。
  4. 前記ベース部は、前記可撓構造として両固定梁部を有し、前記突部は当該両固定梁部上に設けられている、請求項3に記載の電気接点装置。
  5. 前記ベース部は、前記可撓構造として片固定梁部を有し、前記突部は当該片固定梁部上に設けられている、請求項3に記載の電気接点装置。
  6. 本電気接点装置に対する印加電圧の最大値をVmaxとし、且つ、前記複数の枝路ユニットに含まれる複数の電気接点の各々における最小放電電流値をIminとする場合に、前記複数の枝路ユニットに含まれる複数の抵抗体部の各々の抵抗値Rbは、Rb>Vmax/Iminを満たす、請求項1から5のいずれか1つに記載の電気接点装置。
  7. 本電気接点装置に対する印加電圧の最大値をV max とし、前記複数の枝路ユニットに含まれる複数の電気接点の各々における最小放電電流値をI min とし、且つ、本電気接点装置の全体抵抗をRsとする場合に、前記枝路ユニットの配設数Nは、N>V max /(Rs・I min )を満たす、請求項1から6のいずれか1つに記載の電気接点装置。
  8. 前記第1接点部および/または前記第2接点部は、Ta,W,C,Moから選択される金属元素を含む金属、酸化物、または窒化物よりなる、請求項1から7のいずれか1つに記載の電気接点装置。
  9. 前記ベース部および前記平面電極部が許容最小距離未満に接近するのを阻止するための、絶縁材料よりなるストッパを更に備える、請求項1から8のいずれか1つに記載の電気接点装置。
  10. 前記ベース部および前記突部はシリコン材料よりなり、前記ベース部および前記突部における少なくとも前記抵抗体部には、不純物がドープされている、請求項1から9のいずれか1つに記載の電気接点装置。
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