JP3919257B2 - インテリジェント・メッシュ・ヒューズ - Google Patents

インテリジェント・メッシュ・ヒューズ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続通電時と遮断時との電流の流れ方をヒューズ・エレメント自身が判断し、通常時はワット損を抑制し事故時は確実に事故電流を遮断するインテリジェント・メッシュ・ヒューズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のヒューズとして、特開平4−282527号公報で本発明者が提案しているネットワーク・ヒューズがある。同公報では、図6に示す同一膜厚の銅箔パターンがセラミック基板上に形成されて構成されたヒューズ・エレメントが示されている。直列遮断点A1 〜A4 および直列遮断点B1 〜B4 は各放熱部Jの配列を直列に接続している。溶断特性を異ならすため、直列遮断点A1 〜A4 のA型は細くて短く、直列遮断点B1 〜B4 のB型は太くて長く形成されており、A型とB型の遮断点では溶断特性が異ならされている。しかし、各型の遮断点A1 〜A4 ,B1 〜B4 は電気抵抗が等しく形成されており、これら各遮断点のワット損は全て等しく設定されている。また、橋絡遮断点C1 〜C3 は各放熱部Jの配列を並列に接続しており、各直列遮断点A,Bよりも溶断時間が長く形成されている。
【0003】
A1 −B2 −A3 −B4 の4個の直列遮断点からなる第1の直列回路と、B1 −A2 −B3 −A4 の4個の直列遮断点からなる第2の直列回路とには各型の直列遮断点がそれぞれ同数ずつある。このため、連続通電時には、図7(a)の矢印に示すように通電電流は橋絡遮断点Cを通ることなく各直列回路を真っ直ぐに流れる。ところが、短絡電流が回路に生じた場合には、同図(b),(c)に示すように電流はヒューズ・エレメントを蛇行して流れる。
【0004】
つまり、電流の時間変化率di/dtが急激に変化する短絡電流が生じた場合には、放熱特性によらずに電流通路の細い直列遮断点A1 〜A4 が最初に溶断する。従って、ヒューズ・エレメントを流れる電流は同図(b)に示すように直列遮断点B1 〜B4 を通って蛇行して流れる。また、電流の時間変化率di/dtが緩やかで電流のピーク値ΔIの大きな短絡電流が生じた場合には、放熱特性の劣る直列遮断点B1 〜B4 が最初に溶断する。従って、ヒューズ・エレメントを流れる電流は同図(c)に示すように直列遮断点A1 〜A4 を通って蛇行して流れる。このように隣接する2つの直列遮断点AまたはBのいずれか一方が早く遮断すると、未だ発弧していない他方の直列遮断点BまたはAが並列にあるため、事故電流は極めて簡単にこの他方の遮断点に転移する。
【0005】
よって、連続通電時には電流はヒューズ・エレメントの最短距離を通り、ヒューズ・エレメントに生じるワット損が抑えられる。一方、短絡電流発生時には電流は上記のように蛇行して流れ、直列遮断点に橋絡遮断点が加勢して短絡電流が遮断されるため、アーク電圧が高められて短絡電流は速やかに抑制される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のネットワーク・ヒューズでは、遮断時の1回の過渡現象、つまり事故電流立上がり時の極めて短い時間内における、隣接する各直列遮断点同志の僅かな遮断遅れ時間が利用され、ヒューズ・エレメントを流れる電流の経路が図7(b)の蛇行経路か同図(c)の蛇行経路なのかが決定される。従って、全ての隣接する各直列遮断点について、同図(b)または(c)に示すように事故電流が他方の直列遮断点へ100%転移するとは限らず、中には転移に失敗する遮断点も存在する。
【0007】
例えば、正常動作時にはB1 −C1 −B2 −C2 −B3 −C3 −B4 の7個の遮断点によって事故電流が遮断される図7(b)に示す場合、隣接する直列遮断点A1 ,B1 間においてA1 からB1 への遮断点の転移が失敗すると、図8(a)に示すように、事故電流はA1 −B2 −C2 −B3 −C3 −B4 の6個の遮断点によって遮断される。遮断点の転移の失敗は、遅く発弧した直列遮断点Bに生じるアーク電圧により、早く遮断した直列遮断点Aが再発弧し、転移したはずのアークが先に遮断した直列遮断点Aに戻るためである。例えば、遅く発弧した直列遮断点Bが非常にシャープな遮断をした時とか、その反対に非常に鈍い遮断をした時等、直列遮断点Bの遮断状態如何によってこのような再発弧現象が生じる。
【0008】
また、さらに隣接する直列遮断点A3 ,B3 間においてもA3 からB3 への遮断点の転移が失敗すると、同図(b)に示すように、事故電流はA1 −B2 −A3 −B4 の4個の遮断点によって遮断されることになる。このように遮断点の転移が失敗すると、事故電流遮断時に橋絡遮断点Cが加勢しなくなり、橋絡遮断点Cの遮断能力が十分に発揮されなくなる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、遮断部およびこの遮断部よりも断面積が小さく形成された溶断部からなる複数の直列遮断点と、この直列遮断点と溶断時間が等しいかまたはやや長い複数の橋絡遮断点と、各直列遮断点によって直列接続され各橋絡遮断点によって並列接続される,上記溶断部および遮断部よりも膜厚の厚い複数の放熱部とを備えて構成され、上記溶断部は、直列接続される放熱部間のほぼ中央にほぼ同一形状で形成されて同時に発弧し、上記遮断部は、直列接続される放熱部間で溶断部の両側にほぼ同一形状で形成され、並列する各直列遮断点間で直列接続される放熱部間の距離を異ならせて異なる広さに形成されて異なるアーク維持電圧特性を有することを特徴とするものである。
【0010】
また、上記直列遮断点は、最も低いアーク維持電圧を有するものが、並列する少なくとも2つの直列遮断点のいずれか一方の端部に順に交互に配されていることを特徴とするものである。
【0011】
このような構成において、各直列遮断点によって構成される各直列回路の直列抵抗は等しく、連続通電時には、電流は橋絡遮断点を通ることなく各直列遮断点を通って各直列回路を真っ直ぐに流れる。
【0012】
一方、事故電流の発生時には、事故電流の通電によって各直列遮断点はほぼ同時に発弧する。その後、各直列遮断点に形成された遮断部によってアークが伸張する。ここで、アーク維持電圧の高い遮断点に生じているアークは、遮断部を溶かしてそのアーク柱を速やかに伸ばすが、直ぐに厚い放熱部に達してその伸長を止める。ところが、アーク維持電圧の低い遮断点に生じているアークは、遮断部を溶かしてもアーク柱が十分に伸びきらず、厚い放熱部に達しても放電を続ける。
【0013】
従って、事故電流は、アーク電圧の上昇と共により低いアーク電圧で発弧し続ける直列遮断点の側に確実に流れを移し、各橋絡遮断点を確実に通って蛇行するようになる。
【0014】
また、最も低いアーク維持電圧を有する直列遮断点が、並列する少なくとも2つの直列遮断点のいずれか一方の端部に順に交互に配され、最後まで発弧し続けることにより、事故電流はこれら各直列遮断点に流れを確実に移す。従って、事故電流は全ての橋絡遮断点を確実に通って大きく蛇行するようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるインテリジェント・メッシュ・ヒューズを低圧ヒューズに適用した第1の実施形態について説明する。
【0016】
図1は本実施形態によるインテリジェント・メッシュ・ヒューズの構成を示しており、同図(a)はヒューズ・エレメントの平面図,同図(b)はこのヒューズ・エレメントをIb−Ib線で破断して矢示方向から見た断面図である。
【0017】
ヒューズ・エレメントはセラミック基板1上に形成された導電性薄膜である銅箔2から構成されている。セラミック基板1は縦40mm,横10mmで厚さが1mmの長方形状の絶縁板である。銅箔2は、このセラミック基板1の全面に60μm程度のCuが形成された後、同図(a)の外形に示す形にパターニングされ、その後さらに同図(a)の斜線部が付された部分だけについて再度60μm程度のCuが堆積されて形成されている。従って、同図(a)で白抜きの部分は厚さが60μm程度であり、斜線が付された部分は厚さが120μm程度である。
【0018】
この銅箔2は直列遮断点D,橋絡遮断点Eおよび放熱部Fからなる。正方形状の複数の放熱部Fは水平方向および垂直方向に規則正しく配列されている。複数の各直列遮断点Dはこれら各放熱部Fを垂直方向に直列に接続し、2つの直列回路を構成している。また、複数の各橋絡遮断点Eは各放熱部Fを水平方向に並列に接続しており、3つの並列回路を構成している。
【0019】
直列遮断点Dには直列遮断点D1 とD2 との2種類がある。直列遮断点D1 は溶断部aと遮断部bとからなり、直列遮断点D2 は溶断部aと遮断部cとからなる。また、橋絡遮断部Eは溶断部aと遮断部dとからなる。各溶断部aおよび遮断部b,c,dは全て厚さが60μm程度であり、各溶断部aは全て面積も等しい。また、遮断部b,c,dの中では遮断部bが最も面積が広く、次に遮断部dが広く、遮断部cが最も面積が狭い。
【0020】
溶断部aは、各遮断点D,Eの溶断特性、特に速断性を左右する最も重要なヒューズ構成部分である。遮断部b,c,dは、各遮断点D,Eの遮断性能に最も大きな影響を与えるヒューズ構成部分である。また、厚さ120μm程度の放熱部Fは、溶断部aに発生した熱を速やかに放熱し、溶断部aの速断性に大きく寄与して溶断部aの特性向上に協力する重要なヒューズ構成部分である。なお、ここでは、溶断部a,遮断部b,c,dおよび放熱部Fを明確に区別して説明しているが、実際にはこれら各部の役割分担は明確に区別し難い。
【0021】
各直列遮断点Dおよび橋絡遮断点Eは同じ溶断部aを有しているため、これら各遮断点の溶断特性は等しく設定されている。なお、橋絡遮断点Eを構成する溶断部aは、面積を広めに形成し、直列遮断点Dの溶断部aよりも溶断時間をやや長く設定してもよい。また、並列する位置に設けられている各直列遮断点D1 、D2 は、遮断部b,cの面積が上記のように異なるため、異なる遮断特性を有している。つまり、大きな遮断部bを有する直列遮断点D1 は高いアーク維持電圧を呈する遮断特性を有し、小さな遮断部cを有する直列遮断点D2 は低いアーク維持電圧を呈する遮断特性を有している。
【0022】
また、これら各直列遮断点D1 、D2 は、図示するように各端部に順に交互に配されており、各直列回路に同数ずつ存在する。しかも、各直列回路に同数ずつ存在する各溶断部aは、遮断部b,cや放熱部Fの抵抗よりも10倍以上大きな抵抗値を持つ。従って、各直列回路の直列抵抗はほとんどこの溶断部aによって決定される。よって、各直列回路の直列抵抗は等しくなっている。
【0023】
本実施形態によるインテリジェント・メッシュ・ヒューズは、このようなヒューズ・エレメントが筒状の絶縁性ヒューズ筐体内に消弧砂に埋められて構成される。上記ヒューズ・エレメントは、ヒューズが用いられる回路の定格電圧や定格電流等に応じてこのヒューズ筐体内に複数枚収納される。例えば、定格電圧660[V],定格電流60[A]の場合には1枚の上記ヒューズ・エレメントが使用され、定格電圧660[V],定格電流300[A]の場合には5枚の上記ヒューズ・エレメントが並列に使用される。
【0024】
このような構成において、上記のように各直列回路の直列抵抗は等しいため、連続通電時には、回路電流は図2(a)に矢示するように橋絡遮断点Eを通ることなく、各直列遮断点D1 、D2 を通って各直列回路を真っ直ぐに等しく流れる。
【0025】
一方、短絡電流の発生時には、短絡電流の通電により、溶断特性のほぼ等しい各直列遮断点D1 、D2 はほぼ同時に発弧する。しかし、直列遮断点D2 の遮断部cは小さいため、この直列遮断点D2 に生じるアークは、発弧進展後直ぐに放熱部Fに達する。放熱部Fの膜厚は厚いため、アークの進展はここで止まり、低いアーク電圧で放電を持続する。一方、直列遮断点D1 の遮断部bは大きく,長いので、この直列遮断点D1 に生じるアークは進展を続け、高いアーク電圧を発生する。つまり、隣接する一方の直列遮断点D1 では厚い放熱部Fが溶断部aから後退して存在しているのに対し、他方の直列遮断点D2 では厚い放熱部Fが溶断部aに迫って存在している。このため、直列遮断点D1 では長いアークが発生するが、直列遮断点D2 では短いアークしか発生しない。
【0026】
アーク特性は負特性であるから、長いアークと短いアークとが並列に同時に存立することはない。この結果、短絡電流は、アーク電圧の上昇と共により低いアーク電圧の直列遮断点D2 に移る。すなわち、隣接する各直列遮断点D1 、D2 がほぼ同時に発弧した後、アークは、一方の直列遮断点D1 から他方の直列遮断点D2 へ確実に転移する。この際、アーク柱が伸長して遮断部bが図2(b)に示すように一部が溶けるため、直列遮断点D1 が遮断した跡に対向する各放熱部F間の距離Lは長くなる。このため、放電を持続する他方の直列遮断点D2 に生じる発弧電圧により、遮断が既に完了した一方の直列遮断点D1 が再発弧することはない。よって、事故電流は、必ず各橋絡遮断点Eを通るようになり、放電を持続する各直列遮断点D2 を流れてその電流経路は図示するように蛇行する。
【0027】
その後、放電を持続していた各直列遮断点D2 が遮断を完了し、これに引き続いて各放熱部Fを並列接続する各橋絡遮断点Eが遮断する。これによって各橋絡遮断点Eが事故電流の遮断に加勢し、各直列遮断点D2 の全発弧電圧に加えて各橋絡遮断点Eの全発弧電圧が加わる。この結果、アーク電圧はより高められて事故電流はより速やかに強力に抑制される。
【0028】
図3は上記の本実施形態によるメッシュ・ヒューズと前述した図6に示す従来のネットワーク・ヒューズとの遮断現象の相違を比較表示するグラフである。同図(a)は遮断電圧波形の相違を示すグラフであり、同グラフの横軸は時間t,縦軸はアーク電圧[V]である。また、同グラフにおける波形Vmは本実施形態によるメッシュ・ヒューズのアーク電圧波形であり、波形Vnは従来のネットワーク・ヒューズのアーク電圧波形である。また、同図(b)は遮断電流波形の相違を示すグラフであり、同グラフの横軸は時間t,縦軸はアーク電流[I]である。また、同グラフにおける波形Imは本実施形態によるメッシュ・ヒューズのアーク電流波形であり、波形Inは従来のネットワーク・ヒューズのアーク電流波形である。
【0029】
従来のネットワーク・ヒューズにおいては、アーク電圧Vnがピーク値に達する直前の時間t1 〜t2 の期間τ1 において、発弧時間の相違により、電流の流れ方が図7(b)に示す流れ方か図7(c)に示す流れ方かが決定され、発弧状態が継続する。この期間τ1 は数μsec 〜数100μsec である。期間τ1 の終りの時間t2 にはC型の橋絡遮断点が溶断し、直列遮断点AまたはBによる事故電流の遮断に加勢をし、アーク電圧を急速に高める。
【0030】
一方、本実施形態によるメッシュ・ヒューズにおいては、アーク電圧Vmがピーク値にほぼ達するまでの時間t1 〜t4 の期間τ2 において、各直列遮断点D1 、D2 は全部ほぼ同時に発弧する。発弧後には、各直列遮断点D1 、D2 においてアークがまちまちに伸長するが、大きな遮断部bが形成された直列遮断点D1 のアークの伸張は速く、アーク電圧を速やかに高める。一方、小さな遮断部cが形成された直列遮断点D2 は、アークの伸張が放熱部Fによって阻止されているので、低いアーク電圧で低迷している。このため、直列遮断点D1 のアークは消滅し、最終的に直列遮断点D2 にアークが残ることになる。つまり、この期間τ2 において電流の流れ方が図2(b)に示すように定まる。この期間τ2 は数100μsec 〜数msec である。
【0031】
また、アーク電圧Vmがピーク値に達する直前の時間t3 からアーク電流Imが消滅する直前の時間t5 までの期間τ3 においては、期間τ2 で最終的に定まった直列遮断点D2 の発生電圧と、次に遮断を開始し出す橋絡遮断点Eの発生電圧の増加とにより、徐々に全体のアーク電圧Vmが上げられていく。この期間τ3 も数100μsec 〜数msec である。
【0032】
従来のアーク電圧波形Vnにない、この期間τ3 におけるアーク電圧Vmの上昇により、アーク電流Imはアーク電流Inよりも速く抑え込まれて消滅する。つまり、本実施形態によるメッシュ・ヒューズでは、従来よりも速やかにかつ電流の上昇を抑制して短絡電流が遮断される。これに対して従来のネットワーク・ヒューズでは、アーク電圧Vnはピークに達して直ぐに下降しだすので、アーク電流Inの抑え込みは弱く、その電流値は高めになり、また、直ちに消滅しないでなだらかに消滅する。
【0033】
このように本実施形態によるメッシュ・ヒューズでは、まず期間τ2 において、アークは、前述のように大きな遮断部bを有する一方の直列遮断点D1 から残りの他方の直列遮断点D2 へ確実に転移し、各橋絡遮断点Eを通過する電流経路が確立した後、全ての直列遮断点D2 にアークが残ると共に、その後の期間τ3 において各橋絡遮断点Eの協力を得て強力な遮断を行う。これに対し、従来のネットワーク・ヒューズでは、極めて短い期間τ1 の時間内において、電流経路の決定および橋絡遮断点Cの遮断が行われる。
【0034】
すなわち、本実施形態によるメッシュ・ヒューズでは、瞬間的なアークの過渡現象を従来のように利用するのではなく、アークの持続放電現象の結果、長いアーク柱を発生する直列遮断点側から短いアーク柱を発生する直列遮断点側にアークを導くので、アークの転移は確実に行われる。つまり、従来の図6に示すネットワーク・ヒューズでは、各直列遮断点の溶断特性を異なるものとし、溶断時間に差をつけて橋絡遮断点Cに電流を流して遮断点の増加を図る構成であった。しかし、本実施形態によるメッシュ・ヒューズでは、各直列遮断点D1 、D2 をむしろ同時に溶断発弧させ、アークの発生および伸長等のより長期間の過程を経て予め定めた遮断点にアークを確実に誘導し、遮断点を増加させる構成をとっている。従って、本実施形態によるメッシュ・ヒューズにおいては、遮断時に橋絡遮断点Eによる加勢が確実に受けられ、連続通電時はワット損を抑制しながら、遮断性能を確実に向上させることが出来る。
【0035】
なお、上記実施形態の説明では、溶断部aと各遮断部b,c,dとを同じ膜厚として説明したが、これら溶断部と各遮断部との膜厚を変え、各遮断点の溶断特性および遮断特性を調整するようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施形態の説明では本発明によるメッシュ・ヒューズを低圧ヒューズに適用した場合について説明したが、本発明によるメッシュ・ヒューズは、遮断点を多く必要とする高電圧用,特高電圧用ヒューズに適用すると、特にその効果が発揮される。その理由は次のように説明することが出来る。例えば、遮断点を通常60個以上必要とする7.2[kV]用ヒューズにおいて、D1 、D2 型の各直列遮断点を上記実施形態と同様にして各35個を設けるとする。この場合、連続電流通電時には、直列遮断点35個の通電回路が2個並列に出来上がり、ワット損は極めて小さく抑えられる。一方、短絡電流通電時には、電流は橋絡遮断点Eを通って蛇行する。このため、短絡電流発生時には、D2 型の直列遮断点35個にE型の橋絡遮断点35−1=34個が加わる。よって、短絡電流を最終的に遮断する回路は、合計35+34=64個の遮断点で構成される1回路となる。この結果、本メッシュ・ヒューズによれば、多くの遮断点によって強力な事故電流の遮断が行われることになる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態によるインテリジェント・メッシュ・ヒューズについて説明する。
【0038】
図4はこの第2の実施形態によるインテリジェント・メッシュ・ヒューズの構成を示しており、同図(a)はヒューズ・エレメントの平面図,同図(b)はこのヒューズ・エレメントをIVb−IVb線で破断して矢示方向から見た断面図である。なお、同図において図1と同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は省略する。また、上記実施形態と同様に、同図(a)における斜線が付された放熱部Fの銅箔2は120μm程度の厚さのCuからなり、白抜きの各遮断点の銅箔2は60μm程度の厚さのCuからなる。
【0039】
本実施形態では、直列遮断点D1 と直列遮断点D2 との間に直列遮断点D3 が設けられており、左端の直列遮断点D1 −D2 −D1 −D2 からなる第1の直列回路と、右端の直列遮断点D2 −D1 −D2 −D1 からなる第2の直列回路との間に、直列遮断点D3 −D3 −D3 −D3 からなる第3の直列回路が設けられている。直列遮断点D3 は、溶断部aおよび遮断部eとから構成されている。この遮断部eの面積は、直列遮断点D1 の遮断部bと直列遮断点D2 の遮断部cとの中間の面積で、第3の直列回路の直列合成抵抗が各端の第1および第2の各直列回路の直列合成抵抗と等しくなるように形成されている。
【0040】
各遮断部b,c,eは、並列する各直列遮断点D1 ,D2 ,D3 間で異なる形状に形成され、異なる遮断特性を有している。また、並列するこれら各直列遮断点D1 ,D2 ,D3 の中で、最も小さな面積の遮断部cを有する直列遮断点D2 が最も低いアーク維持電圧を有している。この直列遮断点D2 は、並列する各直列遮断点D1 ,D2 ,D3 のいずれか一方の端部に順に交互に配されている。つまり、図示の最上段では、並列する各直列遮断点D1 ,D2 ,D3 の右方の端部に直列遮断点D2 が配されており、次の段では左方の端部に直列遮断点D2 が配されている。以降、これと同様に直列遮断点D2 は、並列する各直列遮断点D1 ,D2 ,D3 のいずれか一方の端部に順に交互に配されている。
【0041】
このように構成した場合においても、連続通電時には、電流は図5(a)に示すように橋絡遮断点Eを通ることなく、各直列遮断点Dを通って各直列回路を真っ直ぐに均等に流れる。
【0042】
一方、短絡電流の発生時にも、短絡電流の通電によって溶断特性のほぼ等しい各直列遮断点D1 ,D2 ,D3 はほぼ同時に発弧する。しかし、直列遮断点D2 の遮断部cは最もアーク維持電圧が低いため、この直列遮断点D2 に生じるアークは、発弧進展後直ぐに放熱部Fに達し、アークの進展を止めて低いアーク電圧で放電を持続する。一方、直列遮断点D1 ,D3 の各遮断部b,eは遮断部cよりも大きく,長いので、これら直列遮断点D1 ,D3 に生じるアークは進展を続け、アーク電圧は直列遮断点D2 に生じるアーク電圧よりも高まる。
【0043】
従って、横1列に並ぶ各直列遮断点D1 ,D2 ,D3 がほぼ同時に発弧した後、アークは、遮断部b,eが形成された各直列遮断点D1 ,D3 から、いずれか一方の端部にある残りの1つの直列遮断点D2 へ確実に転移する。この際、アーク柱が伸長して各遮断部b,eが図5(b)に示すように溶けるため、各直列遮断点D1 ,D3 が遮断した跡に対向する各放熱部F間の距離は長くなる。このため、放電を持続する残りの直列遮断点D2 に生じる発弧電圧により、遮断が既に完了したこれら各直列遮断点D1 ,D3 が再発弧することはない。よって、事故電流は、上述した第1の実施形態の場合よりも多くの橋絡遮断点Eを必ず通るようになり、放電を持続する各直列遮断点D2 を流れてその電流経路は図5(b)に示すように大きく蛇行する。
【0044】
その後、放電を持続していた各直列遮断点D2 も遮断を完了し、これに引き続いて第1の実施形態の場合よりも多くの橋絡遮断点Eが発弧し出し、事故電流の遮断に加勢する。上述した第1の実施形態では3個の橋絡遮断点Eの加勢を受けて事故電流を遮断していたが、この第2実施形態ではその倍の6個の橋絡遮断点Eの加勢を受けて事故電流を遮断する。従って、本実施形態ではより多くの橋絡遮断点Eの加勢によってアーク電圧は増々高められ、事故電流は一層速やかに抑制される。この結果、本実施形態によれば、連続通電時はワット損を抑制しながら、遮断性能をさらに向上させることが可能なヒューズが提供される。
【0045】
なお、上記実施形態では、各端の第1および第2の直列回路の間に、直列遮断点D3 からなる1つの第3の直列回路を設けた場合について説明したが、さらに多くの直列回路を設ける構成としてもよい。このような構成によれば、さらに多くの橋絡遮断点Eの加勢が受けられ、連続通電時のワット損をより低減させながら、より強力に事故電流を抑制することが可能となる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、事故電流の発生時には、事故電流の通電によって各直列遮断点がほぼ同時に発弧した後、アークは、アーク維持電圧の高い直列遮断点からアーク維持電圧の低い直列遮断点へ確実に転移する。よって、事故電流は、必ず各橋絡遮断点を通るようになり、放電を持続するアーク維持電圧の低い各直列遮断点を流れてその電流経路は蛇行する。その後、放電を持続していたこれら各直列遮断点が遮断を完了し、これに引き続いて各放熱部を並列接続する各橋絡遮断点が発弧し出し、事故電流の遮断に加勢する。従って、この各橋絡遮断点の発弧によってアーク電圧はより確実に高められ、事故電流はより確実に速やかに抑制される。
【0047】
また、最も低いアーク維持電圧を有する直列遮断点が、並列する少なくとも2つの直列遮断点のいずれか一方の端部に順に交互に配され、最後まで発弧し続けることにより、事故電流はこれら各直列遮断点に流れを確実に移す。よって、事故電流はより多くの橋絡遮断点を必ず通るようになり、放電を持続する各直列遮断点を流れてその電流経路は大きく蛇行する。従って、より多くの橋絡遮断点の加勢によってアーク電圧は確実に増々高められ、事故電流は一層速やかに確実に抑制される。
【0048】
すなわち本発明によれば、橋絡遮断点の遮断能力が確実に発揮されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるインテリジェント・メッシュ・ヒューズ・エレメントの平面および断面構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態によるメッシュ・ヒューズにおける電流経路を示す平面図である。
【図3】第1の実施形態によるメッシュ・ヒューズと従来のネットワーク・ヒューズとの遮断現象の相違を示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施形態によるインテリジェント・メッシュ・ヒューズ・エレメントの平面および断面構成を示す図である。
【図5】第2の実施形態によるメッシュ・ヒューズにおける電流経路を示す平面図である。
【図6】従来のネットワーク・ヒューズ・エレメントの平面図である。
【図7】従来のネットワーク・ヒューズにおける電流経路を示す平面図である。
【図8】従来のネットワーク・ヒューズにおけるアーク転移の失敗例を示す平面図である。
【符号の説明】
1…セラミック基板
2…銅箔
D1 ,D2 ,D3 …直列遮断点
E…橋絡遮断点
F…放熱部
a…溶断部
b,c,d,e…遮断部

Claims (3)

  1. 遮断部およびこの遮断部よりも断面積が小さく形成された溶断部からなる複数の直列遮断点と、この直列遮断点と溶断時間が等しいかまたはやや長い複数の橋絡遮断点と、前記各直列遮断点によって直列接続され前記各橋絡遮断点によって並列接続される,前記溶断部および遮断部よりも膜厚の厚い複数の放熱部とを備えて構成され、
    前記溶断部は、直列接続される前記放熱部間のほぼ中央にほぼ同一形状で形成されて同時に発弧し、
    前記遮断部は、直列接続される前記放熱部間で前記溶断部の両側にほぼ同一形状で形成され、並列する前記各直列遮断点間で直列接続される前記放熱部間の距離を異ならせて異なる広さに形成されて異なるアーク維持電圧特性を有する
    ことを特徴とするインテリジェント・メッシュ・ヒューズ。
  2. 前記直列遮断点は、最も低いアーク維持電圧を有するものが、並列する少なくとも2つの記直列遮断点のいずれか一方の端部に順に交互に配されていることを特徴とする請求項1記載のインテリジェント・メッシュ・ヒューズ。
  3. 前記直列遮断点は、その溶断特性,遮断特性が前記溶断部,前記遮断部の各膜厚によって調整されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のインテリジェント・メッシュ・ヒューズ。
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