JP4998086B2 - クラッド管用ビレットおよびクラッド管の製造方法 - Google Patents

クラッド管用ビレットおよびクラッド管の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、外面クラッド管の素材として用いられるクラッド管用ビレットおよびクラッド管の製造方法に関し、さらに詳しくは、クラッド材と母材との熱膨張率の差を吸収し、外管用クラッド材と内管用母材との剥離を防止できるクラッド管用ビレットおよびそれを用いたクラッド管の製造方法に関するものである。
クラッド管は、安価な母材を用いその外面側または内面側に、耐食性や耐摩耗性を有するクラッド材を接合した二重管で構成される。通常、熱間押出し法により外面クラッド管を製管する場合には、その素材となるクラッド管用ビレットは、円筒状の母材の外周面に、円筒状のクラッド材を嵌め合わせ、母材とクラッド材の隙間を真空引きした後に、両端部における母材とクラッド材との境界部を封止するため、シール溶接をして組み立てられる。
熱間押出しを行う場合には、組み立てられたクラッド管用ビレットは高温に加熱され、さらにコンテナ内に挿入されて押出し製管によりクラッド管に製造される。
このとき、クラッド材と母材との熱膨張係数(線膨張係数)の相違により、加熱時または押出し加工時にクラッド材と母材との境界部のシール溶接部に破断や割れが発生し易くなる。破断や割れが発生すると、それを起点としてクラッド材と母材の隙間に大気が侵入し酸化され、合わせ面にスケールが発生することから外管用クラッド材と内管用母材との剥離が発生する。
このような熱間押出し製管されるクラッド管におけるクラッド材と母材との剥離を防止するには、両者の熱膨張係数の相違を考慮した大気侵入の防止策を講じなければならない。そこで、従来から、大気侵入の防止策として、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1では、穿孔圧延してクラッド管を製造する際の素材として、少なくとも一端の周方向に溝と突起を設けた母材とクラッド材の両端部を溶接した多層管を用いる方法が開示されている。
また、特許文献2には、外管材に内管材を焼き嵌めした二重管用ビレットであって、その一端がシール溶接され、他端は線膨張係数の小さい方の部材の端部が他方の部材の端部から突出し、且つ突出した部材の周面が他方の部材側へ張出している二重管用ビレットが開示されている。
さらに、特許文献3には、筒状の母材内にクラッド材を遊嵌し、その長手方向の両端をシール溶接したクラッド管素材であって、少なくとも一方端は隙間に可撓性金属キャップを被せてその周囲をシール溶接する熱間圧延クラッド鋼の素材が開示されている。
言い換えると、従来から提案されたビレットやクラッド用素材では、熱間押出し時のクラッド材と母材の熱膨張係数の差を、特許文献1のクラッド材では母材に設けた溝部で、特許文献2のビレットでは素材の長さを確保し、特許文献3のクラッド素材では、可撓性金属キャップを被せることにより吸収している
しかし、特許文献1のクラッド材では、母材端部の突出部が変形するため、変形による溶接部割れの発生が懸念される。また、特許文献2のビレットでは、他端の突出した部分は溶接されていないためシールが不十分になるおそれがある。さらに、特許文献3のクラッド素材では、可撓性金属キャップの強度やキャップの変形によるキャップ溶接部の割れ発生が懸念される。
このため、特許文献4では、上述した特許文献1〜3の提案に加えて、母材の熱間押出し時の後端側に突出部を設け、熱間押出しに伴いその突出部の後端面が、初期にクラッド材の押出し後端面よりも後方に位置するように変形するクラッドビレットを提案している。
特許文献4のクラッドビレットは、コンテナに挿入した後のアプセット加工時にクラッド材の座屈や膨れよりクラッド材と母材に隙間が生じることを防止するものであり、クラッド材と母材との剥離防止に所定の効果を発揮することができる。しかし、特許文献4の防止策であっても、上述した特許文献1〜3に関する提案で指摘した問題、すなわち、熱間押出し製管時に、シール部での溶接割れやシール不十分による外管用クラッド材と内管用母材との剥離が依然として発生する懸念がある。
特開昭55−42103号公報 特開昭61−202720号公報 特開平1−245903号公報 特開平2−205203号公報
前述の通り、クラッド管の素材としてクラッド管用ビレットを用い、クラッド材と母材との境界部をシール溶接するものの、熱間押出し加工を行う際に、クラッド材と母材との熱膨張係数の差により、加熱時または押出し加工時に、境界部のシール溶接部に破断や割れが発生し易くなる。
シール溶接部に破断や割れが発生すると、それを起点としてクラッド材と母材の隙間に大気が侵入し、合わせ面が酸化しクラッド材と母材との剥離が発生する。従来から、熱膨張係数の相違を考慮した大気侵入の防止策が多く提案されているが、依然として外管用クラッド材と内管用母材との剥離発生の問題が懸念される。
本発明は、上述したクラッド管の素材として用いられるクラッド管用ビレットの問題に鑑みてなされたものであり、加熱および熱間押出しに伴う外管用クラッド材と内管用母材との熱膨張率の差を吸収でき、シール溶接部に割れが発生することがなく、クラッド材と母材の剥離を防止できるクラッド管用ビレット、およびそれを用いたクラッド管の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上述した課題を解決するため、クラッド材と母材との熱膨張係数の差を吸収できる構成に着目するとともに、シール溶接部の割れに起因するクラッド材と母材の剥離状況を詳細に検討した結果、次の(a)〜(c)の知見を得ることができた。
(a)ビレットの加熱時に、熱膨張係数の大きい外管用クラッド材が母材に比べ長くなるが、端面におけるシール溶接部に過大な軸方向の変形応力が加わらないようにするには、外管用クラッド材のみをシール溶接部の割れに影響しない部分で積極的に座屈させ、熱膨張係数の差を吸収させるのが有効である。
(b)外管用クラッド材のみを積極的に座屈させる場合に、座屈による変形部分をできるだけ小さくすることにより、熱間押出し後のクラッド材と母材の接合不良は変形部分に限定でき、微小な範囲になる。これは、撓みによる変形では、変形部分が長くなり接合不良部の範囲が大きくなるのに比べ、大きな利点となる。
(c)上記(b)のように座屈による変形部分をできるだけ小さくすることにより、外管用クラッド材と母材の接合不良が発生する範囲を微小にでき、しかも、接合不良が発生する範囲を熱間押出し後の製品とはならない部分にすることにより、製品歩留まりに影響を及ぼすことがない。
上述した(a)〜(c)の知見に基づき、熱膨張係数の差を吸収できる構成として、外管用クラッド材のみを微小な範囲で座屈させることとし、そのためにはクラッド材を座屈させたい範囲の全円周部に亘り、薄肉部を形成すればよいことを明らかにした。ただし、当該薄肉部の微小な範囲に限定して座屈させるには、クラッド材の当該薄肉部の軸方向長さと肉厚寸法との関係をコントロールにする必要がある。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されてものであり、下記(1)のクラッド管用ビレット、および(2)のクラッド管の製造方法を要旨としている。
(1)母材の外周面にこの母材よりも熱膨張係数の大きいクラッド材が嵌め合わされ、両端部における母材とクラッド材との境界部がシール溶接され、熱間押出し製管されるビレットであって、押出される後端側からの距離が10〜250mmとなる範囲の前記クラッド材の位置に、軸方向の長さL(mm)で、全円周に前記クラッド材の肉厚t(mm)となる薄肉部を設け、下記(1)式を満足することを特徴とするクラッド管用ビレットである。ただし、tは0.5mm以上、Lは30mm以上とする。
t/L ≦ 0.050 ・・・ (1)
(2)母材の外周面にこの母材よりも熱膨張係数の大きいクラッド材が嵌め合わされて両端部における母材とクラッド材との境界部をシール溶接し、その片端側からの距離が10〜250mmとなる範囲の前記クラッド材の位置に、軸方向の長さL(mm)で、全円周に前記クラッド材を肉厚t(mm)とし、上記(1)式を満足する薄肉部を設けたビレットを作製し、当該ビレットを加熱後、熱間押出しをする際に、前記薄肉部を設けた片端側を後端側に位置させて押出し製管することを特徴とするクラッド管の製造方法である。
本発明のクラッド管用ビレットによれば、押出される後端側からの距離と、クラッド材に形成される薄肉部の軸方向の長さL(mm)および肉厚t(mm)を管理することにより、外管用クラッド材と内管用母材との熱膨張率の差を薄肉部で吸収でき、シール溶接部に割れが発生することがなく、クラッド材と母材の剥離を防止できる。また、本発明のクラッド管の製造方法によれば、クラッド管を製造する場合に、生産性の低下および製造コストの上昇を招くことなく、歩留まりよく製造できる。
図1は、本発明のクラッド管用ビレットの断面(上部ビレット断面)構成を示す図である。同図に示すように、本発明のクラッド管用ビレット1は、母材2の外周面にこの母材よりも熱膨張係数の大きいクラッド材3が嵌め合わされて両端部における母材2とクラッド材3との境界部にシール溶接4が施され、その前端部から熱間押出し製管されるビレットの構成である。
図中の矢印は押出し方法を示しており、押出される後端側からの距離Dが10〜250mmとなる範囲の前記クラッド材3の位置に、軸方向の長さL(mm)で、全円周に前記クラッド材の肉厚t(mm)となる薄肉部3aを設け、下記(1)式を満足することを特徴としている。ただし、後述する理由から、肉厚tは0.5mm以上であり、軸方向の長さLは30mm以上とする。
t/L ≦ 0.050 ・・・ (1)
本発明のクラッド管用ビレット1は、母材2は普通鋼または合金鋼から構成し、その外周面にクラッド材3としてステンレス鋼、Fe−Ni−Cr合金またはNi基合金が嵌め合わされ、必要に応じて真空引きを行い、母材2とクラッド材3との間を真空に維持した状態で境界部にシール溶接4を施す。
本発明のクラッド管用ビレット1は、押出される後端側からの距離Dが10〜250mmとなる範囲のクラッド材の位置に、軸方向の長さL(mm)とし、全円周に前記クラッド材3の肉厚t(mm)となる薄肉部3aを設ける。
クラッド材3の押出される後端側からの距離Dを10〜250mmとなる範囲に限定したのは、図1に示すB寸法が10mm未満であると、熱間押出し時にB寸法(後端側から薄肉部までの距離)が短くなりすぎて溶接割れを発生するおそれがある。このため、クラッド材の薄肉部3aを少なくとも後端側から10mm以上離すこととした。
また、図1で示す(B+L)寸法を制限する、後端側からの距離Dの最大値を250mmと限定したのは、接合不良による製品不良を極力短くし、製品長さをできるだけ確保するためである。すなわち、後端側からの距離Dは熱間押出し後のクラッド管の製品とはならない範囲に限定するため、距離Dの最大値を250mmとし、さらに200mm以下にするのが望ましい。
本発明のクラッド管用ビレット1は、クラッド材の薄肉部3aを形成する軸方向の長さL(mm)は、30mm以上とする。薄肉部3aの長さLが短すぎると加熱時に薄肉部3aが座屈せず、シール溶接部4に過大な力が加わり溶接割れを発生する。
薄肉部3aの長さLが長いほど薄肉部は座屈し易くなるため、薄肉部3aの長さLの上限は特に規定しない。上述の後端側からの距離Dの最大値を250mmとしていることから、200mmを超えることができるが、クラッド材の薄肉部3aは熱間押出し後に接合不良や製品肉厚を満足しないことから製品適用外として廃却される。このため、クラッド材3の材質にもよるが、製品歩留まりの観点から、薄肉部3aの長さLは短いのが望ましく150mm以下、より望ましくは100mm以下である。
通常、熱間押出し時にビレットは、約1200〜1250℃に加熱されるが、クラッド材3と母材2の熱膨張係数の違いによる加熱時の伸び量の差は、組み立てされたクラッド管用ビレット1の長さに依存し、ビレット1の長さが長いほど大きくなる。
本発明のクラッド管用ビレット1では、薄肉部3aを形成する軸方向の長さLを30mm以上にすれば、通常のビレットの長さ(約400〜800mm)において、座屈変形でその伸び量の差を吸収できるため、ビレットの長さに拘わらず、軸方向の長さLを一定の値にできる。
本発明のクラッド管用ビレット1では、押出される後端側の近傍で距離Dの範囲となる位置に限定して、全円周に亘るクラッド材の薄肉部3aを形成する。すなわち、クラッド材3の肉厚tを薄くすることにより、その部分のみを座屈させることができる。
クラッド材3の肉厚tが厚くなると、組み立てビレットを加熱後に外観観察した結果によれば、撓みが生じるだけで、座屈変形には至らない。このため、後述する図3(d)に示すように、クラッド材3の端面が母材2の端面よりも突き出た形状となり、加熱時や押出し時にクラッド材3と母材2の境界部のシール溶接部4に割れが発生し、クラッド材3と母材2の剥離につながることになる。
クラッド材の薄肉部3aだけを座屈変形をさせるには、この薄肉部3aの軸方向長さLと肉厚tとの関係をコントロールにする必要があり、下記(1)式を満足しなければならない。
t/L ≦ 0.050 ・・・ (1)
後述する実施例に示すように、上記(1)式を満足する限りにおいて、クラッド材3の該当薄肉部3aに座屈を形成することができるが、薄肉部3aの肉厚tが余り薄いと、ビレット加工やビレット組立が煩雑となる。さらに、ビレット加熱による座屈変形や押出し製管時にクラッド材3に割れや破損が生じ、そこから大気が侵入するおそれがある。このため、薄肉部3aの肉厚tは、0.5mm以上とする必要があり、1.0mm以上にするのが望ましい。
クラッド材3に薄肉部3aを形成する方法は、外管用のクラッド材3および内管用の母材2を準備し、通常、焼き嵌めを行い、必要に応じて真空引きを行った後、外管と内管の両端面の境界部をシール溶接4し、その後、得られたクラッド管用ビレットを旋削して薄肉部3aを形成する。しかし、この形成方法に限定されるものではなく、外管と内管とを焼き嵌め後、外管を旋削してから溶接してもよく、また、焼き嵌め時に薄肉部の変形が問題とならない場合は、焼き嵌め前に外管に旋削を施して薄肉部3aを形成してもよい。
特に、クラッド材3の真円度が悪い場合には、まず外管荒削りと内管仕上削りを行い、焼き嵌め後、必要に応じて真空引きを行い、外管と内管の両端面の境界部をシール溶接し、その後、外管仕上削りの際に旋削して薄肉部3aを形成する方法を適用するのが望ましい。
前記図1では示していないが、本発明のクラッド管用ビレット1では、B寸法の後端から直ちに薄肉部3aの肉厚tを加工する必要がなく、肉厚tより厚い任意の肉厚寸法に旋削することができる。
また、前記図1では薄肉部3aとクラッド材3の境界部を角状に段差を設けて形成した場合を例示しているが、後述する図3のように薄肉部3aとの境界部のクラッド材3に傾斜を設けて薄肉部3aを形成してもよい。
本発明のクラッド管用ビレットの効果を確認するため、外径と長さが異なるビレット2種類を用いて、クラッド材の薄肉部の軸方向長さLと肉厚tとを変更してクラッド管用ビレットを組み立て、これを供試用ビレットとして熱間押出し製管による試験を実施した。
(実施例1)
図2に、熱間押出し製管に供試したクラッド管用ビレットの組み立て図を示す。そして、表1に供試ビレットの外径Bd(mm)、クラッド材肉厚Tc(mm)、母材肉厚Tm(mm)、および全長Ln(mm)の各寸法を示した。供試したクラッド管用ビレットは、いずれも外管用クラッド材はSUS304Lとし、内管用母材はSTB410とした。併せて、表1に熱間押出し後のクラッド管の各寸法も示した。
Figure 0004998086
表1に示すように、2種類のクラッド管用ビレットは、外径、肉厚寸法が異なる外管用クラッド材と内管用母材を準備し、それぞれの外管用クラッド材の内面と内管用母材の外面旋削仕上し、次いで、外管用クラッド材を加熱して内管用母材に焼き嵌めした後、両端部のクラッド材と母材との境界部をシール溶接で組み立て供試用のビレットとした。
このとき、両端部のクラッド材と母材と境界部をシール溶接した後、後端部からの薄肉部までの距離B、薄肉部の軸方向長さL、および薄肉部の肉厚tを種々変更し、t/L値を変化させて供試用のクラッド管用ビレットを旋削加工した。ただし、後端部から薄肉部までの距離Bは、シール溶接後に旋削加工を行わなかった。後端部から薄肉部までの距離B、薄肉部の軸方向長さL、肉厚tおよびt/L値を表2に示した。
得られたクラッド管用ビレットを700〜900℃で2時間以上予熱し、その後1200℃で約1分加熱した後、熱間押出し製管を行い、前記表1に示す構成のクラッド管を製造した。
熱間押出しで製管されたクラッド管は、クラッド管の外表面から超音波探傷にてクラッド材と母材の剥離の有無を調査し、同時に溶接部の割れの有無も確認した。ここでは、溶接部の割れがなく、クラッド材と母材の剥離がない場合を「剥離なし」と評価した。ただし、クラッド材の薄肉部に相当する部位は製品として用いないため、超音波探傷での調査対象外とした。評価結果を表2に示す。
Figure 0004998086
表2に示す結果から、本発明で規定する(1)式の関係、後端部から薄肉部までの距離B、または薄肉部の軸方向長さLのいずれかを具備しないクラッド管は、製品部分に剥離が認められ、同時にシール溶接部にも割れが認められた。
(実施例2)
実施例1の表2で用いられたNo.20とNo.21のクラッド管用ビレットを、700〜900℃で2時間以上予熱し、その後1200℃で約1分加熱した後に取り出し、後端側の寸法変化を確認した。
図3は、クラッド管用ビレットの加熱後における、寸法変化の状況を観察した結果を示す図であり、(a)および(b)はNo.20のクラッド管用ビレットの後端側の寸法変化および全長の寸法変化を示す図であり、(c)および(d)はNo.21のクラッド管用ビレットの後端側の寸法変化および全長の寸法変化を示す図である。
図3(a)、(b)に示すように、No.20のクラッド管用ビレットでは、クラッド材の薄肉部の軸方向長さLが50mm、肉厚tが1.5mmおよびt/Lが0.030と本発明の規定を満足することから、外管用クラッド材3と内管用母材2との熱膨張率の差を薄肉部3aにおける座屈変形により吸収でき、ビレット先端部での段差が0.05mmに留まり、シール溶接部4に割れは認められなかった。
これに対し、図3(c)、(d)に示すように、No.21のクラッド管用ビレットでは、クラッド材の薄肉部の軸方向長さLが50mm、肉厚tが3.0mmおよびt/Lが0.060となり、本発明の規定を外れることから、薄肉部3aでの座屈や膨れが殆ど観察できず、ビレット先端部では外管用クラッド材3が母材2端面よりも突き出ており、その段差dが0.4mm程度となり、シール溶接部4に割れが認められた。
本発明のクラッド管用ビレットによれば、押出される後端側からの距離Dと、クラッド材に形成される薄肉部の軸方向の長さL(mm)および肉厚t(mm)を管理することにより、外管用クラッド材と内管用母材との熱膨張率の差を薄肉部で吸収でき、シール溶接部に割れが発生することがなく、クラッド材と母材の剥離を防止できる。また、本発明のクラッド管の製造方法によれば、クラッド管を製造する場合に、生産性の低下および製造コストの上昇を招くことなく、歩留まりよく製造できるので、広く適用できる。
本発明のクラッド管用ビレットの断面(上部ビレット断面)構成を示す図である。 熱間押出し製管に供試したクラッド管用ビレットの組み立て図を示す。 クラッド管用ビレットの加熱後における、寸法変化の状況を観察した結果を示す図であり、(a)および(b)はNo.20のクラッド管用ビレットの後端側の寸法変化および全長の寸法変化を示す図であり、(c)および(d)はNo.21のクラッド管用ビレットの後端側の寸法変化および全長の寸法変化を示す図である。
符号の説明
1.クラッド管用ビレット、 2.母材
3.クラッド材、 3a:薄肉部
4.シール溶接、溶接部

Claims (2)

  1. 母材の外周面にこの母材よりも熱膨張係数の大きいクラッド材が嵌め合わされ、両端部における母材とクラッド材との境界部がシール溶接され、熱間押出し製管されるビレットであって、
    押出される後端側からの距離が10〜250mmとなる範囲の前記クラッド材の位置に、軸方向の長さL(mm)で、全円周に前記クラッド材の肉厚t(mm)となる薄肉部を設け、下記(1)式を満足することを特徴とするクラッド管用ビレット。
    t/L ≦ 0.050 ・・・ (1)
    ただし、tは0.5mm以上、Lは30mm以上とする
  2. 母材の外周面にこの母材よりも熱膨張係数の大きいクラッド材が嵌め合わされて両端部における母材とクラッド材との境界部をシール溶接し、その片端側からの距離が10〜250mmとなる範囲の前記クラッド材の位置に、軸方向の長さL(mm)で、全円周に前記クラッド材を肉厚t(mm)とし、下記(1)式を満足する薄肉部を設けたビレットを作製し、
    当該ビレットを加熱後、熱間押出しをする際に、前記薄肉部を設けた片端側を後端側に位置させて押出し製管することを特徴とするクラッド管の製造方法。
    t/L ≦ 0.050 ・・・ (1)
    ただし、tは0.5mm以上、Lは30mm以上とする
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