JP4997825B2 - 誘導電動機の制御装置 - Google Patents
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Description
その一例として、図8は2多重巻線の構成例を示しており、この例では、図7に示した2組の3相巻線3U1,3V1,3W1及び3U2,3V2,3W2を個別に端子に引き出し、2台のインバータによって個別に3相電流を供給している。
図9の主回路において、三相電源系統に接続されたダイオード整流器1は、交流入力電力を直流電力に変換する。直流中間回路には第1,第2の3相インバータ2A,2Bが並列に接続され、その出力側に2多重巻線の3相誘導電動機3が接続されている。電動機3の回転子には速度検出器4が接続されている。また、2台のインバータ2A,2Bの出力側には、電流検出器5A,5Bがそれぞれ接続されており、各検出器5A,5Bはインバータ2A,2Bの出力電流(電動機3の多重巻線の電流)Ia1,Ib1,Ic1とIa2,Ib2,Ic2とを検出する。
制御装置100A内の速度調節器6は、速度指令値ω*と速度検出器4からの速度検出値ωとの偏差を増幅して、トルク指令値T*を出力する。磁化電流演算器7は、磁束指令値Φ*と電動機3の等価回路定数とから磁化電流指令値IM *を演算する。除算器8は、トルク指令値T*を磁束指令値Φ*により除算してトルク電流指令値IT *を演算する。
PWM演算器15A,15Bは、それぞれ電流調節器14A,14Bの出力をパルス幅制御して駆動パルスを生成し、インバータ2A,2Bをオン・オフ制御する。
また、特許文献2では、直流中間回路に回生電力(または回生電流)検出器を設け、電動機の制動時に回生電力(または回生電流)検出値に応じてインバータの出力電圧指令値を増加させ、電動機の過励磁により許容範囲内において電動機損失を増大させている。
更に、特許文献3では、誘導電動機が減速運転するときに、インバータが各相異なった搬送波によりPWM制御を行うことにより、電動機の高調波損失を増大させている。
また、先願に係る特願2005−245537号(本願の出願時において未だ出願公開されていない)では、オープン巻線をもつ誘導電動機において、制動時にゼロ相電流を流すことにより誘導電動機の損失を増大させている。
しかし、特許文献1,2に記載された過励磁により電動機損失を増大する方法では、電動機の磁束を増大させるために固定子と回転子との間に働く電磁吸引力が大きくなると共に、磁気飽和による磁束の歪みも増大する。この結果、電動機の異常な振動や騒音発生の原因となるため、損失の増大効果に限界がある。
特許文献3に記載された従来技術では、電動機に高調波電流を流すことになるので、電動機のトルクリプルが増大し、上記と同様な問題が生じる。
また、先願発明ではゼロ相電流を流すことが必要であるため、電動機の巻線はオープン巻線など特殊な条件でしか適用することができない。
前記2組の多相巻線の電流をそれぞれ独立に制御する手段と、
前記誘導電動機が制動状態である場合に、
前記2組の多相巻線の電流が同位相であるときと同一のトルクが得られるように、前記2組の多相巻線の電流の間に所定の位相差を持たせることによって前記2組の多相巻線の電流が同位相であるときよりも大きい電流を前記電力変換装置から前記誘導電動機に供給するための電流位相制御手段と、を備えたものである。
2組の多相巻線に共通した電流位相基準となる基準位相を有し、
前記電流位相制御手段は、
第1組の多相巻線の電流位相を、前記基準位相から所定のオフセット角度を減算した位相に制御し、かつ、第2組の多相巻線の電流位相を、前記基準位相に前記オフセット角度を加算した位相に制御するものである。
前記偶数組の多相巻線の電流をそれぞれ独立に制御する手段と、
前記誘導電動機が制動状態である場合に、
前記偶数組の多相巻線を更に第1群と第2群とに分割し、第1群の多相巻線の電流と第2群の多相巻線の電流とが同位相であるときと同一のトルクが得られるように、第1群及び第2群の多相巻線の電流の間に所定の位相差を持たせることによって第1群及び第2群の多相巻線の電流が同位相であるときよりも大きい電流を前記電力変換装置から前記誘導電動機に供給するための電流位相制御手段と、を備えたものである。
各組の多相巻線に共通した電流位相基準となる基準位相を有し、
前記電流位相制御手段は、
第1群の多相巻線の電流位相を、前記基準位相から所定のオフセット角度を減算した位相に制御し、かつ、第2群の多相巻線の電流位相を、前記基準位相に前記オフセット角度を加算した位相に制御するものである。
各組の多相巻線の電流指令値に前記オフセット角度の余弦の逆数のゲインを乗じるものである。
従って、従来技術のように磁束や高調波電流を増大させることなく誘導電動機の1次電流を増加させて電動機及びインバータの損失を大きくすることができる。
これにより、交流電源に電力を回生しなくても大きな制動トルクが得られるため、電動機を速やかに減速することが可能になる。
まず、図1は本発明の第1実施形態を示す構成図である。図1において、主回路の構成は図9に示した従来技術と同一であるため、説明を省略する。また、誘導電動機3の多重巻線は、図8と同様に2組の3相巻線3U1,3V1,3W1及び3U2,3V2,3W2からなる2多重巻線であるものとする。
また、図1に破線で囲んだ制御装置100において、図9と同一の部分については図示を省略してある。以下、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
この制御装置100の構成を、更に具体的に説明する。
これらの制御により、第1,第2のインバータ2A,2Bの出力電流Ia1,Ib1,Ic1及びIa2,Ib2,Ic2は、それぞれθ1Bとθ1との差であるΔθ1だけ位相差をもった電流となる。
電動機巻線の起磁力はIa1とIa2との合成電流によって決まるため、Ia1とIa2との位相差Δθ1に起因してそれぞれの瞬時値が異なっていても磁束分布に歪みは発生せず、異常な振動や騒音が発生するおそれはない。
この実施形態の主回路構成は図1と同様であるため、図3では制御装置110の構成のみを示している。なお、図1と同一の構成要素には同一の参照符号を付してある。
図3において、座標変換器12A,12B、減算器16A、加算器16B、基準位相θ1、オフセット角度Δθ1及び角度信号θ1A,θ1B等は、請求項2における電流位相制御手段を構成している。
一方、第2のインバータ2B側については、加算器16Bにより基準位相θ1にオフセット角度Δθ1を加算し、その加算値θ1Bを用いてIM *,IT *を座標変換器12Bにより座標変換し、電流指令値Iα2 *,Iβ2 *を演算する。その他の制御内容は図1と同様であるため、説明を省略する。
このため、図4の場合には、通常の制御に比べて同一のトルクを得るのに2倍の電流が必要になる。電動機の損失として銅損が支配的であるとすると、銅損は電流の2乗に比例するので、同一のトルクに対しては損失は4倍に増加する。従って、この損失の分だけ制動トルクを増加させることができ、電動機3を速やかに減速することができる。
また、図4から明らかなように、IM1,IM2はIMに対して、IT1,IT2はITに対して、それぞれ同じだけ寄与することになるので、第1のインバータ2A側と第2のインバータ2B側とで制御特性が対称になり、制御性能を向上させることができる。
第3,第4実施形態は、2多重巻線を超える数(組数)の多重巻線を備えた誘導電動機を対象とし、多重数が偶数である場合の制御装置に関するものであり、図5は4多重巻線の誘導電動機を対象とした制御装置120を示している。
第1群の電流指令値Ia1 *〜Ic1 *は電流調節器14A1,14A2に入力され、第2群の電流指令値Ia2 *〜Ic2 *は電流調節器14B1,14B2に入力される。これらの電流調節器14A1,14A2,14B1,14B2は、制御対象としての誘導電動機の電流である4組の電流Ia11〜Ic11,Ia12〜Ic12,Ia21〜Ic21,Ia22〜Ic22をそれぞれフィードバック制御する。
このとき、第2実施形態と同様に、座標変換器12Aに入力される角度信号θ1Aは基準位相θ1からオフセット角度Δθ1を減算した信号であり、座標変換器123Bに入力される角度信号θ1Bは基準位相θ1にオフセット角度Δθ1を加算した信号となっている。
また、図5における減算器16Aまたは加算器16Bの何れか一方を省略し、第1群、第2群の何れか一方の群の多重巻線に流す電流の位相のみを所定のオフセット角度Δθ1の減算または加算によって制御することにより、他方の群の多重巻線に流す電流との間に所定の位相差を持たせる着想が、請求項3の発明の実施形態に相当する。
まず、第5実施形態は、誘導電動機の制動状態、駆動状態を判別して制動状態の場合にのみ、上述した第1〜第4実施形態による電流位相の制御動作を行わせるようにしたものである。
図6において、乗算器17はトルク指令値T*と電動機3の速度検出値ωとを乗算して電動機3の出力Poを演算し、関数器18に入力する。Poが正であれば電動機3は駆動状態にあり、Poが負であれば電動機3は制動状態にあるため、関数器18はPoの正負に応じて駆動状態、制動状態を判別し、駆動状態ではオフセット角度Δθ1=0を、制動状態ではオフセット角度Δθ1≠0を出力する。
上記の構成が、請求項5の発明の実施形態に相当する。
図6において、余弦関数器19は関数器18から出力されるΔθ1の余弦cos(Δθ1)を演算する。除算器8は、トルク指令値T*を磁束指令値Φ*により除算して第1のトルク電流指令値IT **を演算する。後段の除算器20は、このIT **をcos(Δθ1)により除算して第2のトルク電流指令値(最終的なトルク電流指令値)IT *を演算する。
また、磁束指令値Φ*は磁化電流演算器7により第1の磁化電流指令値IM **に変換され、除算器21は、第1の磁化電流指令値IM **をcos(Δθ1)により除算して第2の磁化電流指令値(最終的な磁化電流指令値)IM *を演算する。
2A,2B:3相インバータ
3:誘導電動機
3U1,3U2,3V1,3V2,3W1,3W2:巻線
4:速度検出器
5A,5B:電流検出器
7:磁化電流演算器
8,20,21:除算器
10,16,16B:加算器
11:積分器
12A,12B:座標変換器
13A,13B:2相/3相変換器
14A,14B,14A1,14B1,14A2,14B2:電流調節器
15A,15B,15A1,15B1,15A2,15B2:PWM演算器
16A:減算器
17:乗算器
18:関数器
19:余弦関数器
100,110,120:制御装置
Claims (6)
- 1次巻線が2組の多相巻線から構成される誘導電動機を半導体電力変換装置により可変速制御する誘導電動機の制御装置において、
前記2組の多相巻線の電流をそれぞれ独立に制御する手段と、
前記誘導電動機が制動状態である場合に、
前記2組の多相巻線の電流が同位相であるときと同一のトルクが得られるように、前記2組の多相巻線の電流の間に所定の位相差を持たせることによって前記2組の多相巻線の電流が同位相であるときよりも大きい電流を前記電力変換装置から前記誘導電動機に供給するための電流位相制御手段と、
を備えたことを特徴とする誘導電動機の制御装置。 - 請求項1に記載した誘導電動機の制御装置において、
2組の多相巻線に共通した電流位相基準となる基準位相を有し、
前記電流位相制御手段は、
第1組の多相巻線の電流位相を、前記基準位相から所定のオフセット角度を減算した位相に制御し、かつ、第2組の多相巻線の電流位相を、前記基準位相に前記オフセット角度を加算した位相に制御することを特徴とする誘導電動機の制御装置。 - 1次巻線が偶数組の多相巻線から構成される誘導電動機を半導体電力変換装置により可変速制御する誘導電動機の制御装置において、
前記偶数組の多相巻線の電流をそれぞれ独立に制御する手段と、
前記誘導電動機が制動状態である場合に、
前記偶数組の多相巻線を更に第1群と第2群とに分割し、第1群の多相巻線の電流と第2群の多相巻線の電流とが同位相であるときと同一のトルクが得られるように、第1群及び第2群の多相巻線の電流の間に所定の位相差を持たせることによって第1群及び第2群の多相巻線の電流が同位相であるときよりも大きい電流を前記電力変換装置から前記誘導電動機に供給するための電流位相制御手段と、
を備えたことを特徴とする誘導電動機の制御装置。 - 請求項3に記載した誘導電動機の制御装置において、
各組の多相巻線に共通した電流位相基準となる基準位相を有し、
前記電流位相制御手段は、
第1群の多相巻線の電流位相を、前記基準位相から所定のオフセット角度を減算した位相に制御し、かつ、第2群の多相巻線の電流位相を、前記基準位相に前記オフセット角度を加算した位相に制御することを特徴とする誘導電動機の制御装置。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載した誘導電動機の制御装置において、
前記誘導電動機が駆動状態である場合には全ての組の多相巻線の電流位相を同相に制御する手段を備えたことを特徴とする誘導電動機の制御装置。 - 請求項2または4に記載した誘導電動機の制御装置において、
各組の多相巻線の電流指令値に前記オフセット角度の余弦の逆数のゲインを乗じることを特徴とする誘導電動機の制御装置。
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