JP4996895B2 - 炭酸カルシウム濃度の測定法、測定装置及び炭酸カルシウム濃度制御装置 - Google Patents

炭酸カルシウム濃度の測定法、測定装置及び炭酸カルシウム濃度制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、湿式排煙脱硫装置の吸収液に含まれる未反応炭酸カルシウム濃度を測定する測定方法、装置及びそれを用いた炭酸カルシウム濃度制御装置に関する。
重原油や石炭などの化石燃料を燃焼する火力発電所などの燃焼設備では、排ガスに亜硫酸ガス(SO2)を主体にする硫黄酸化物が含まれることがあるが、硫黄酸化物は大気汚染物質であるので排煙脱硫装置による除去が行われている。
このような排煙脱硫装置の一例として、排ガス中に含まれる硫黄酸化物を水中に吸収させて除去させる湿式石灰石膏法が広く採用されている。
この湿式石灰石膏法によれば、排ガス中に含まれる硫黄酸化物(主にSO2ガス)は水に溶解して亜硫酸H2SO3となり、さらに亜硫酸H2SO3は溶存酸素により酸化されて硫酸H2SO4となる。
SO2 + H2O = H2SO3
H2SO3 + 1/2O2 = H2SO4
この硫酸は、湿式排煙脱硫装置の吸収液中に懸濁する炭酸カルシウムCaCO3と反応して石膏CaSO4を生成する。
H2SO4 + CaCO3 = CaSO4 + H2O + CO2
このような湿式石灰石膏法は、排ガス中に含まれる硫黄酸化物を炭酸カルシウムと反応させ、副生する石膏として回収するという方法である。
このような湿式石灰石膏法では、排ガス中の硫黄酸化物の量に対して吸収液中の炭酸カルシウムの量が少ないと硫黄酸化物を十分に除去できない。その一方で、吸収液中の炭酸カルシウムの量が多すぎると、未反応の炭酸カルシウムが増え、無駄な炭酸カルシウムが消費される。それ故、この湿式石灰石膏法を採用する場合には、排ガス中の硫黄酸化物に応じて添加する炭酸カルシウムの量を制御することが行われている。
このような排煙脱硫装置の制御方法として、吸収塔出入口排ガスのSO2濃度や吸収塔内落下液pH等からの演算値を用いて制御する方法(例えば、特許文献1参照。)、吸収塔入口排ガスのSO2濃度やばいじん濃度、吸収液中の炭酸カルシウム濃度等の演算値を用いて制御する方法(例えば、特許文献2参照。)が開発されている。
また、吸収液に酸を添加することにより発生する炭酸ガスを測定することにより残存炭酸カルシウム濃度を分析する方法(例えば、特許文献3−6参照。)なども開発されている。すなわち、吸収液の一定量を分取し、一定量の塩酸、硫酸などの酸を添加すると、吸収液に含まれる炭酸カルシウムと酸とが反応し、炭酸カルシウム1モルに対して1モルの炭酸ガス(CO2ガス)が発生する。
CaCO3 + 2HCl = CaCl2 + H2O + CO2
またはCaCO3 + H2SO4 = CaSO4 + H2O +CO2
それ故、この反応により発生する炭酸ガスの量を定量すれば、吸収液に含まれる未反応炭酸カルシウム濃度を測定することができる。
特開平5-309230号公報(特許第3411597号明細書) 特許第3482087号明細書 特許第3494814号明細書 特開2000-46821号公報 特許第2712471号明細書 特公平3-52826号公報
特許文献1または特許文献2に記載の方法によれば、亜硫酸ガス濃度計、pH計のほかこれらを組み合わせた複雑な制御装置が必要であったり、また、高度の分析機器のほかこれらを組み合わせる複雑な制御装置を必要とする。
また、特許文献3または特許文献4に記載の方法によれば、酸により発生した炭酸ガスは吸収液中に溶存する状態で測定されるので、溶存炭酸ガス濃度測定装置が必要となる。このような溶存炭酸ガス濃度測定装置は、例えば、熱伝導度検出素子、蛍光強度検出装置、pH測定装置などの高度な装置が必要である。
また、特許文献5または特許文献6に記載の方法によれば、酸により発生した炭酸ガスを気層中(ガス中)で炭酸ガス濃度を測定するために赤外線吸収スペクトル装置などの高度な光学装置が必要となる。
このような溶存炭酸ガス濃度測定装置または赤外線吸収スペクトルなどの分析機器は、いずれも高度な分析計器を活用している点が共通しており、このような分析機器あるいはそれを組み込んだ制御装置が排煙脱硫装置の制御に十分、活用できることは確認されているものの、分析機器あるいはそれを組み込んだ制御装置が高額となることや分析機器あるいは制御装置の維持管理、校正が複雑となるなどの欠点があり、簡単な測定機器あるいは制御装置の開発が望まれる。
そこで、本発明は、湿式排煙脱硫装置の制御に利用するための測定方法及び測定装置であって、簡単な機器により湿式排煙脱硫装置の吸収液に含まれる未反応炭酸カルシウム濃度を測定する測定方法及び測定装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、上述の課題点を解決すべく鋭意研究した結果、湿式排煙脱硫装置の吸収液では、排ガス中に含まれる亜硫酸ガス(SO2)を主体にする硫黄酸化物は、水に溶解して亜硫酸H2SO3となり、さらに亜硫酸H2SO3の大部分は溶存酸素により酸化されて硫酸H2SO4となる。そして、その硫酸は、吸収液中に懸濁する炭酸カルシウムCaCO3と反応して石膏CaSO4を生成している。
H2SO4 + CaCO3 = CaSO4 + H2O + CO2
吸収液中には、溶存酸素による未酸化の亜硫酸が残存していると、この亜硫酸は同様にして吸収液中に懸濁している炭酸カルシウムCaCO3と反応して亜硫酸カルシウムCaSO3を生成する。
H2SO3 + CaCO3 = CaSO3 + H2O + CO2
以上のように、湿式排煙脱硫装置の吸収液では、排ガス中に含まれる硫黄酸化物の量に応じて炭酸カルシウムが消費されるので、硫黄酸化物を除去するためには、吸収液中には常に炭酸カルシウムが存在するように制御される必要がある。
このため、一般的な炭酸カルシウム濃度制御装置では、消費される炭酸カルシウムの量を吸収液中に残存する炭酸カルシウムの濃度から検出し、その残存炭酸カルシウムの濃度に応じて不足した炭酸カルシウムが供給されるように制御されている。
つぎに、このような吸収液中の残存炭酸カルシウムの濃度を測定する手法の一つとして酸を添加する方法では、炭酸カルシウムを含む吸収液に対して、塩酸(HCl)または硫酸(H2SO4)などの酸が添加される。これらの酸の添加により吸収液に含まれる炭酸カルシウムは分解して炭酸ガスを生成する。
CaCO3 + 2HCl = CaCl2 + H2O + CO2
または CaCO3 + H2SO4 = CaSO4 + H2O +CO2
また、吸収液に含まれている亜硫酸カルシウムCaSO3は、添加された酸と反応して亜硫酸カルシウムが分解して亜硫酸ガスが発生する。
CaSO3 + 2HCl = CaCl2 + H2O + SO2
またはCaSO3 + H2SO4 = CaSO4 + H2O +SO2
しかしながら、通常、吸収液中での亜硫酸カルシウム(CaSO3)の存在量はわずかであり、これに酸を添加することにより発生する亜硫酸ガス(SO2ガス)量もわずかである場合が多い。それ故、これらの反応により発生するガスの大部分が炭酸ガスであるならば、この発生ガス中の炭酸ガス濃度を直接に測定しなくても、発生ガス量(容積)を計測してもよい。
このように吸収液中の亜硫酸カルシウムの存在量がわずかであると予想される場合、あるいは何らかの方法により亜硫酸カルシウム存在量がわずかであることが確認できるような場合、吸収液に酸を添加して発生する生ガスのほとんどは炭酸ガスよりなることになり、事実上、発生ガス量を炭酸ガス発生量と見なして差し支えないことになる。
ここで、発生ガス量を検出する手法として大気圧での気相容積の増大を検出することも可能である。そこで、例えば、大気圧の密閉された反応装置に圧力検出器と注射筒を装着しておいて、炭酸カルシウムに酸を添加し、炭酸ガスを発生させ、反応装置内の圧力が反応前と同じ大気圧になるよう注射筒にて反応装置内のガスを吸引すれば、そのガス吸引量が発生した炭酸ガスの大気圧での容積となる。しかし、このような操作を自動化するのは一般に複雑となり、実用化は困難と考えられる。
ところで、発生した炭酸ガスは、通常の気体と同様に、その体積は圧力および温度に依存し、次式の関係が成り立つ。
PV = nRT
ここで、P:圧力(atm)
V:気体の体積(L)
n:気体のモル数
R:ガス定数(0.082atm・L/(mol・K))
T:絶対温度(K)
そこで、炭酸カルシウムと酸との反応を密閉容器で行うと発生した炭酸ガスにより気相の圧力は上昇するので、温度を一定とすれば、反応装置に圧力検出器を装着しておいて、反応装置の容積と圧力上昇から炭酸ガス発生量を求めることができる。
P0V0+P0V1 = P2V0
V1 = (P2V0 ―P0V0)/P0
ここで、P0:初期圧力(atm)
V0:反応装置容積(L)
V1:P0での炭酸ガス発生量(L)
P2 :反応後の圧力(atm)
さらに、反応前後での温度変化を考慮する場合には、次のようになる。
(P0V0+P0V1)/T0 = P2V0/T2
V1 = (P2V0/T2 ―P0V0/T0)T0/P0
ここで、T0:反応前温度(K)、T2:反応後温度(K)である。
そこで、本発明者等は、吸収液に十分な酸を添加し、吸収液に含まれる炭酸カルシウムの全てを分解させて炭酸ガスとする反応を一定容積の圧力検出器を備えた反応装置内で行わせ、検出した圧力上昇度合いから、炭酸ガス発生量、さらには吸収液中の炭酸カルシウム濃度を求めることができるのでは無いかと考えた。そして、後述する実施例により実証されるように、過剰量の酸の添加により炭酸カルシウム量から計算された理論量と概略1:1の良好な相関関係を有する炭酸ガスの発生を認め、これにより、装置内の圧力を検出するという簡単な装置により残存炭酸カルシウム量が算出できることを認めた。
すなわち、本発明の炭酸カルシウム濃度の測定法は、湿式排煙脱硫装置の吸収液に含まれる炭酸カルシウムと酸とを反応させ、発生した炭酸ガスの量を測定することにより前記吸収液中の炭酸カルシウム濃度を求める炭酸カルシウム濃度の測定法において、
前記吸収液の一定量を一定容積の密閉された反応装置に分取する工程、一定量の酸を前記反応装置内に添加する工程、前記反応装置内の吸収液と酸とを攪拌する工程、前記反応装置内の圧力を測定する工程、前記反応装置内の圧力上昇から前記吸収液中に含まれる炭酸カルシウム濃度を算出する工程、の各工程を順次行うこと特徴とする。
また、本発明の炭酸カルシウム濃度の測定装置は、湿式排煙脱硫装置の吸収液に含まれる炭酸カルシウムと酸とを反応させ、発生した炭酸ガスの量を測定することにより前記吸収液中の炭酸カルシウム濃度を求める炭酸カルシウム濃度の測定法に用いるための炭酸カルシウム濃度の測定装置であって、密封された反応装置と、該反応装置内へ前記吸収液を供給するための吸収液供給部と、前記反応装置内へ前記酸を供給するための供給部と、前記反応装置内の吸収液と酸とを攪拌する攪拌装置と、前記反応装置に接続されて装置内部の圧力を検出するための圧力検出装置と、該圧力検出装置により検出された圧力情報を用いて前記吸収液中の炭酸カルシウム濃度を演算する演算装置と、を備えることを特徴とする。
このような測定装置を用いれば、吸収液供給部より湿式排煙脱硫装置の吸収液の一定量を一定容積の密閉された反応装置に分取し、一定量の酸を酸供給部より反応装置に添加することにより吸収液に含まれる炭酸カルシウムは酸と反応する。これにより発生した炭酸ガスを主体とするガスに基づき反応装置内の圧力が上昇し、その圧力上昇は圧力検出装置により測定される。この圧力上昇は発生した炭酸ガスの量に概略比例し、この炭酸ガスの量は炭酸カルシウムの量に概略比例しているので、この圧力検出装置により測定された圧力情報に基づいて炭酸カルシウム濃度を算出することができる。
また、反応装置内の吸収液と酸とを攪拌する攪拌装置を備えれば、酸と吸収液との接触を円滑に行うことができ、また吸収液中の炭酸カルシウムの沈積を妨ぐこともできる。
ここで、使用する装置内の初期圧力は、大気圧付近でもよいが、減圧にすることにより炭酸ガスの気相への移行が推進される。それ故、前記吸収液を反応装置内に分取する前、または分取後であって前記酸を添加する前に、前記反応装置中の気相を減圧にすることが好ましい。
また、炭酸カルシウムと酸の反応は発熱を伴うため、発生した炭酸ガスを含む気体の温度上昇が起こる。気体の容積、圧力、温度には一定の関係があるため、気相の温度変化を検出し、これを考慮することにより、より正確な炭酸ガス発生量、さらには吸収液中の炭酸カルシウム濃度を求めることができる。
以上の測定方法又は測定装置を湿式排煙脱硫装置の吸収液に含まれる炭酸カルシウム濃度を制御する炭酸カルシウム濃度制御装置に利用する場合には、圧力検出装置により検出された圧力情報を用いて炭酸カルシウム濃度を制御することができる。この場合には、炭酸カルシウム濃度は直接的には演算されなくてもよい。
本発明に従えば、吸収液に酸を添加して吸収液に含まれる未反応炭酸カルシウムと酸との反応を、一定容積の反応装置内で行うことにより、未反応炭酸カルシウム濃度を圧力上昇の形で検出できる。
これにより、本発明に従えば、湿式排煙脱硫装置の制御に利用するための測定方法及び測定装置であって、圧力計や圧力センサーのような簡単な機器により湿式排煙脱硫装置の吸収液に含まれる未反応炭酸カルシウム濃度を測定する測定方法及び測定装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る吸収液中の炭酸カルシウム濃度を測定する方法及び測定装置の概念を説明する図である。この図において符号1は炭酸カルシウム濃度測定装置であり、この炭酸カルシウム濃度測定装置1は、密封可能な容器により構成される反応装置2と、濃度を測定するための試料液としての湿式排煙脱硫装置の吸収液(以下、単に吸収液または試料液という。)を反応装置2へ供給するための吸収液供給部3と、反応装置2へ吸収液中に含まれる残存炭酸カルシウムと反応させるための酸を供給する酸供給部4と、反応装置内の気相の圧力を検出するための圧力検出装置(圧力計)5と、圧力計5により検出された圧力情報を用いて炭酸カルシウム濃度を演算するパーソナルコンピュータなどの演算装置7とから大略構成されている。
また、図示のように、反応装置2内の気相の温度を検出するための温度検出装置(温度計)6を備える場合には、演算装置7は、この圧力計5及び温度計6により検出された圧力情報及び温度情報を用いて炭酸カルシウム濃度を演算する。
本発明において反応装置2としては発生する炭酸ガスによる圧力上昇が検出できる程度に密閉できる装置であれば特にその形態は限定されない。例えば、この反応装置2が複数に分割され、発生する炭酸ガスによる急激な圧力上昇を緩和させるための圧力室(又は圧力容器)を備えてもよい。さらに、反応装置内を洗浄するための配管や反応液などを排出するための排出管は必要に応じて適宜の位置に設けられている。
本発明の測定に供される吸収液または試料液としては、湿式排煙脱硫装置の吸収液である。このような吸収液は、重原油や石炭などの化石燃料を燃焼する火力発電所などの燃焼設備により発生する硫黄酸化物を含有する排ガスを炭酸カルシウムのスラリに接触させることにより生成される。
このような測定装置1を用いれば、供給部3より吸収液の一定量を一定容積の反応装置に分取し、供給部4より酸の一定量を反応装置2に添加することにより吸収液に含まれる炭酸カルシウムは酸と反応される。これにより発生した炭酸ガスを主体とするガスに基づき反応装置2内の圧力が上昇し、その圧力上昇は圧力計5により計測される。この圧力上昇は発生した炭酸ガスの量に概略比例し、かつ、炭酸ガスの発生量は炭酸カルシウムの量(残存炭酸カルシウム濃度)に概略比例しているので、この圧力計5により測定された圧力情報を用いて炭酸カルシウム濃度を算出することができる。
外気温や反応により生成した熱により炭酸ガスに基づく圧力が変化するので、反応装置内の温度を検出する温度計6を用い、この温度情報を考慮して炭酸カルシウム濃度を演算すれば、より正確な炭酸カルシウム濃度を生成することができる。
以上のことより、気相部に圧力検出器もしくは圧力検出器と温度計を装着した反応装置内で吸収液に酸を添加後、圧力あるいは圧力と温度を計測することにより、ガス発生量を求め、それを炭酸ガスと見なせば、吸収液中の炭酸カルシウム濃度を求めることができる(ただし、CaSO3存在量がわずかであることを前提とする)。このような圧力検出器や温度計は比較的安価に入手でき、これらを組み込んだ反応装置も比較的簡単な構造であり、その維持管理等は容易に行うことができる。
炭酸カルシウム濃度測定装置1の変形例の構成を図2に示した。なお、実施例1と同一乃至は均等な部位部材については、実施例1と同一番号を付して詳細な説明を省略することがある。
この炭酸カルシウム濃度測定装置1では、反応装置2内の反応液を撹拌する撹拌装置8と、反応装置2内を洗浄する洗浄水を供給する洗浄水供給部9と、反応装置内の液体を排出する廃液部10とを備えている。撹拌装置8は、反応装置2の気相部11から気体を吸引し、反応装置2の底部付近から気体を放出して、液相部12としての反応液を気泡により撹拌する装置である。また、反応装置2の気相部11に連結されて圧力容器2Aが設けられ、圧力計5及び温度計6は、この圧力容器2A内の圧力及び温度が計測可能に固定されている。
このような炭酸カルシウム濃度測定装置1を用いれば、吸収液供給部3から吸収液の一部を抜き出し、ポンプ3aにてその一定量を反応装置2に採取する。その後、洗浄水供給部9より一定量の水を注水し、吸収液(試料液)の希釈、装置壁面に付着した吸収液の洗い流しを行う。
次に、ポンプ8aにて、気相部11の気体を吸引して、装置底部の液相部12に通気し、液相部12をバブリングすることにより液相部12の攪拌を行う。さらに、ポンプ4aにて、一定量の希塩酸(または希硫酸)などの酸を添加し、吸収液試料に含まれる炭酸カルシウムを分解し、生成した炭酸ガスを気相部11に放散させる。
炭酸ガスが気相部11に放散されることにより、気相部11の圧力が上昇するので、これを気相部11と連通する圧力容器2Aに装着した圧力計5にて圧力上昇を測定する。反応装置2と圧力計5との間に一定容積を有するホルダー(圧力容器2A)を設けることにより、反応装置2の気相部体積を変更し、気相部11の圧力の上昇程度を調整することができる。
本発明に従えば、炭酸カルシウムと酸との反応により、反応熱が発生し、気相部11の温度が上昇する可能性がある。そのような場合には、圧力容器2Aに温度計6を装着して気相部11の温度を測定するのが好ましい。
酸添加後の気相部11の圧力変化を圧力計5でモニターし、圧力上昇速度が一定に到達すれば、反応が完結したと判断し、そのときの圧力および温度を測定する。これらの測定情報は、演算装置7としてのデータ処理装置に入力され、炭酸ガス発生量、さらには元の吸収液中に存在した炭酸カルシウム量が演算できる。
圧力および温度測定後、反応装置2の底部の弁(不図示)を開放して廃液部10から廃液する。さらに洗浄水供給部9から洗浄水を注入して、残存する廃液を洗い流し、反応装置2内を洗浄する。廃液部10の弁(不図示)を閉鎖して反応装置2を再び密閉させることにより、同一反応装置2を用いて連続して吸収液中の炭酸カルシウム濃度を測定することができる。
炭酸カルシウム濃度測定装置1の変形例の構成を図3に示した。なお、実施例1または2と同一乃至は均等な部位部材については、実施例1または2と同一番号を付して詳細な説明を省略することがある。
この炭酸カルシウム濃度測定装置1は、反応装置としての反応管2と、吸収液供給部3と、酸供給部4と、圧力検出装置(圧力計)5と、反応管2内の反応液を撹拌する撹拌装置8と、反応管2内及び各配管を洗浄する洗浄水供給部9と、反応管2内の液体を排出する廃液部10と、反応管2内に所定量の標準液を供給する標準液供給部13とから大略構成されている。
反応管2には、内部を撹拌する撹拌装置8を備え、この撹拌装置8は、反応管2に直結した圧力容器2AのヘッドからポンプP3により気相部11(不図示)の気体を吸引し、反応管2のボトムから吸引した気体を放出する循環ラインから構成されている。これにより、液相部12(不図示)としての反応液は、ボトムから放出される気泡により撹拌される。
循環ラインから分岐して弁V9が設けられ、この弁V9は、必要に応じて減圧装置(不図示)に接続されている。また、圧力計5及び温度計6は圧力容器2A内の圧力及び温度が計測可能に固定されている。
吸収液供給部3は、吸収液循環ライン(不図示)などから分岐された元弁14、三方弁V1及びV2、弁V3、計量管15、弁V14とから大略構成され、計量管15から排出された吸収液を弁V13、三方弁V10を介して吸収塔などへ戻す循環ライン(吸収液戻り)を含んで構成されている。
酸供給部4は、塩酸などの酸を貯留する酸タンク16、定量ポンプP1,弁V7より構成されている。
撹拌装置8の配管は分岐されて弁V9を介して反応管2内の炭酸ガス等の気体を放出できるように構成されている。
洗浄水供給部9では元弁17から用水などが供給され、弁SV3を介して貯水タンク18の水が貯水される。この貯水タンク18に貯水された水は、定量ポンプP2により送水され、弁V5を介して直接反応管2に送給される他、弁V4を介してその他の配管に送給され、その詳細は後述される。
標準液供給部13は、標準液を貯留するタンク19、ポンプP4、三方弁V2、弁V3、計量管15、弁V14とから大略構成され、計量管15から排出された標準液を弁V13、三方弁V10を介して標準液タンク19へ戻す循環ラインを含んで構成されている。
以上のような炭酸カルシウム濃度検出装置1の操作について説明する。
この炭酸カルシウム濃度検出装置1による濃度検出は、(1)吸収液の循環工程、(2)吸収液の計量工程、(3)吸収液の循環工程、(4)吸収液の希釈と酸注入工程及び(5)反応工程、(6)計測工程、(7)洗浄工程とを含んで構成されている。以下、これらの各工程を説明する。
(1)吸収液の循環工程
吸収塔などの循環ラインから分岐されて元弁14から吸収液は本発明に係る濃度測定装置に送給される。送給された吸収液は通常時は、計量管15内を循環して再び吸収塔へ循環されて戻る(吸収液戻り)。すなわち、元弁14を開放することにより流入した吸収液は、三方弁V1、三方弁V2、弁V3、計量管15を通過し、弁V13、三方弁V10を介して吸収塔などへ向けて循環される(吸収液戻り)。これにより、計量管15内には、吸収塔内の吸収液と同一の吸収液が常に計量可能に貯留されるように構成されている。また、吸収液が循環されることにより、循環ライン中に吸収液に含まれる炭酸カルシウム等の固形物の沈積も抑制される。
(2)吸収液の計量工程
この工程は、計量管15内に貯留されている吸収液を反応管2に計量して移す工程である。弁V13及び弁V3を閉鎖し、弁V14開、弁V4開として貯水タンク18と反応管2との計量ラインを開放する。定量ポンプP2をONとすることにより、循環工程(1)で計量管15に貯留されている吸収液の所定量は、貯水タンク18内の水に押し流されて反応管2に移送される。このとき、貯水タンク18内の水を送るとともに弁V11を開放して圧縮空気をラインに導入して吸収液と水とを確実に反応管2へ送ることもできる。
計量管15の内部及び計量ラインに貯留している吸収液の全量は、貯水タンク18内に貯留される洗浄水(例えば、9.5mL)により水洗され、これにより計量管15の容積に応じた一定量(例えば、10mL)の吸収液が常に計量される。
(3)吸収液の循環工程
計量工程(2)により所定量の計量及び注入が終了後、弁V4、弁V14を共に閉鎖し、弁V13開、弁V3開を順次行い、循環工程(1)と同様の吸収液の計量管内の循環運転を行う。これにより、計量管15内には、逐次変化する吸収塔内の吸収液と同一の吸収液がリアルタイムで貯留される。
(4)吸収液の希釈と酸注入工程
この酸注入工程は、吸収液の計量工程後に酸を反応管へ注入する工程である。定量ポンプP2をONして弁V5開とすることにより、貯水タンク18から所定量の水(例えば28.5mL)を反応管2へ注水し、吸収液をさらに希釈するとともに、定量ポンプP1をONにして弁V7開として所定濃度の酸(例えば、1規定の塩酸)の所定量(例えば、15mL)を反応管2へ注入する。
(5)反応工程
ポンプP3をONにして反応管2の上方の気相部11(不図示)の気体を反応管2の下部へ向けて循環させ、バブリングにより吸収液、水、及び塩酸を十分に混合し、これにより反応液(液相部)12(不図示)の撹拌が行なわれる。
(6)計測工程
以上の工程(1)〜(5)による反応管内部の気相部の圧力上昇を圧力計5により計測する。場合によっては、気相部の温度を温度計6により計測する。反応管内部の気相容積(例えば、圧力容器2Aの容積を含んだ反応管2の容積として120ml)、圧力、場合によっては、気相部の温度を考慮して吸収液中の残存炭酸カルシウムの濃度が演算可能となる。
(7)洗浄工程
測定終了後に弁V8を開放することにより反応液は排出され、また、弁V5を開放し、定量ポンプP2をONとすることにより、反応管2の内部を適宜洗浄し、洗浄水は弁V5を開放して排液させる。弁V9を開放することにより、余剰の気体は弁V9より排出され、また、弁V8からの排液に伴い、弁V9から大気が導入される。洗浄工程が終了後は、次の測定に備えて弁V8及びV9は閉じられる。
ここで、使用する反応管2内の初期圧力は、大気圧付近でもよいが、減圧にすることにより炭酸ガスの気相への移行が推進される。それ故、計量工程(2)の前、または計量工程(2)後であって酸注入工程(4)の以前の任意の段階で、弁V9を開放して反応管2の内部を減圧にしてもよい。
また、この実施例の炭酸カルシウム濃度検出装置1では、校正が可能である。校正には吸収液に代えて標準液タンク19に貯留されている所定濃度の炭酸カルシウムスラリー液が用いられる。この校正は、(1’)標準液の循環工程、(2’)標準液の計量工程、(3’)標準液の循環工程、(4’)標準液の希釈と酸注入工程、(5’)反応工程、(6’)計測工程、(7’)洗浄工程の各工程を含んで行われる。以下、これらの各工程を説明する。
(1’)標準液の循環工程
標準液の供給の供給に先立ち、P4をONにして、三方弁V2を介して弁V3開、計量管15,弁V13開、三方弁V10を介して残留する液体を吸収液戻りにより排出後、三方弁V10を標準液タンク19へ循環するように切り替えて循環操作を行うことにより、計量管15内部へ標準液タンク19と同一の標準液を貯留する。
(2’)標準液の計量工程
その後、上述の吸収液の計量工程(2)と同様にして、弁V13及び弁V3を閉鎖し、弁V14開、弁V4開として貯水タンク18と反応管2との計量ラインを開放する。定量ポンプP2をONとすることにより、循環工程(1)で計量管15に貯留されている標準液の所定量は、貯水タンク18内の水に押し流されて反応管2に移送される。
計量管15の内部及び計量ラインに貯留している標準液の全量は、貯水タンク18内に貯留される洗浄水(例えば、9.5mL)により水洗され、これにより計量管15の容積に応じた一定量(例えば、10mL)の標準液が常に計量される。このとき、貯水タンク18内の水を送るとともに弁V11を開放して圧縮空気をラインに導入して吸収液と水とを確実に反応管2へ送ることもできる。
(3’)標準液の循環工程
計量工程(2)により所定量の計量及び注入が終了後、弁V4、弁V14を共に閉鎖し、弁V13開、弁V3開を順次行い、循環工程(1’)と同様の標準液の計量管内の循環運転を行う。標準液タンク19に貯留される炭酸カルシウムの濃度を変更すれば、計量管15内には、逐次変更された標準液タンク19内の標準液と同一の標準液が貯留される。
(4’)標準液の希釈と酸注入工程
この酸注入工程は、標準液の計量工程後に酸を反応管へ注入する工程である。定量ポンプP2をONして弁V5開することにより、貯水タンク18から所定量の水(例えば28.5mL)を反応管2へ注水し、標準液をさらに希釈するとともに、定量ポンプP1をONにして弁V7開として所定濃度の酸(例えば、1規定の塩酸)の所定量(例えば、15mL)を反応管2へ注入する。基本的に吸収液と同一条件を維持することにより、装置誤差が軽減されている。
(5’)反応工程
ポンプP3をONにして反応管2の上方の気相部11(不図示)の気体を反応管2の下部へ向けて循環させ、バブリングにより標準液、水、及び塩酸を十分に混合し、これにより反応液(液相部)12(不図示)の撹拌が行なわれる。
(6’)計測工程
以上の工程(1’)〜(5’)による反応管内部の気相部の圧力上昇を圧力計5により計測する。場合によっては、気相部の温度を温度計6により計測する。反応管内部の気相容積、圧力、場合によっては、気相部の温度を考慮して標準液中の残存炭酸カルシウムの濃度が演算可能となる。これにより、標準液の濃度が既知であるので、装置常数を適宜校正することができる。
(7’)洗浄工程
測定終了後に弁V8を開放することにより反応液は排出され、また、弁V5を開放し、定量ポンプP2をONとすることにより、反応管2の内部を適宜洗浄し、洗浄水は弁V5を開放して排液させる。弁V9を開放することにより、余剰の気体は弁V9より排出され、また、弁V8からの排液に伴い、弁V9から大気が導入される。洗浄工程が終了後は、次の測定に備えて弁V8及びV9は閉じられる。
ここで、使用する反応管2内の初期圧力は、大気圧付近でもよいが、減圧にすることにより炭酸ガスの気相への移行が推進される。それ故、計量工程(2’)の前、または計量工程(2’)後であって酸注入工程(4’)の以前の任意の段階で、弁V9を開放して反応管2の内部を減圧にしてもよい。いずれにしても、構成は、本測定と可能な限り同一条件下で行うことがよい。
次に、この実施例の濃度検出装置では、各配管中に固形物等が沈積した場合のスケーリングの除去が行えるように構成されている。
たとえば、貯水タンク18への水供給用の弁SV3を閉鎖してスケール防止用弁SV1を開放することにより、用水等は、三方弁V1を介して濃度検出装置の吸収液供給ラインへ導水させることができる。また、弁V7を閉鎖させて弁V6を開放させ、定量ポンプP1を駆動させれば、同様に三方弁V1を介して濃度検出装置の吸収液供給ラインへ塩酸を注入することもできる。これにより、各ラインに汚れが発生した場合には塩酸洗浄も可能となる。
以上の工程は、各バルブを電磁弁などにより自動化させることにより、定期的に濃度検出装置を作動させることもできる。また、これにより演算された残存カルシウム濃度は、たとえば、湿式石灰石膏方式の吸収液中の炭酸カルシウム濃度制御装置に利用されることにより、吸収液中の未反応炭酸カルシウム濃度を最小限に制御することが可能となり、未反応炭酸カルシウム量の減少による経済効果が期待される。
この実施例は、炭酸カルシウムを含む懸濁液に酸を添加することにより発生する炭酸ガスのガス発生量が、懸濁液に含まれる炭酸カルシウム量に相当するかどうかを確かめるための検証である。
この検証には、例えば、密閉された三角フラスコにテドラーバッグを装着した装置を用いた。このような装置を用い、三角フラスコ内で炭酸カルシウムに酸を添加し、炭酸ガスを発生させると、三角フラスコ内の圧力が上昇してテドラーバッグを膨張させる。このテドラーバッグ内の気体を注射筒にて吸引すれば、その吸引量から炭酸ガスの大気圧での発生量が求められる。
ここで、添加する酸としてHCl(1M/L)又はH2SO4(0.5M/L)を使用した結果を図4に示したが、いずれの酸溶液を使用した場合にも、ガス発生量は、炭酸カルシウム量から計算した理論量とほぼ1:1の良好な相関関係を示し、炭酸カルシウム量に対応する炭酸ガスが発生することが確かめられた。
この実施例は、吸収液中に含まれる炭酸カルシウムが手分析により測定された値と、本発明の装置により測定された値との比較を検証する実施例である。ここで、手分析とは、炭酸カルシウムを塩酸を添加することにより加熱分解させ、炭酸ガスを脱気後に生じる水酸化カルシウムの濃度を滴定により定量する、いわゆる炭酸ガス脱気法である。
図3に示す濃度検出装置を用いて火力発電所により排出された排煙を炭酸カルシウムスラリーにより吸収させた吸収液を用いて、実際の吸収液中の未反応炭酸カルシウム濃度を測定し、結果を表1及び図5に示した。この装置による炭酸カルシウム濃度測定値は手分析値とほぼ1:1の相関性があり、吸収液中の炭酸カルシウム濃度測定装置として使用できることが確かめられた。
Figure 0004996895
炭酸カルシウム濃度測定装置1の変形例の構成を図6に示した。なお、実施例2または図3と同一乃至は均等な部位部材については、実施例2または図3と同一番号を付して詳細な説明を省略することがある。
この炭酸カルシウム濃度測定装置1では、吸収液供給部3は、試料液を送給するポンプとしてペリスターポンプ3bが用いられている。試料液は、ヘッドベッセル20内で一旦貯留され、過剰量の試料液はオーバーフローライン21によりオーバーフローされて、吸収塔などへ戻される。
ペリスターポンプ3bは、ヘッドベッセル20より所定速度で試料液を反応容器2に供給するとともに所定速度で反応容器2内の試料液をヘッドベッセル20に戻す循環ラインを形成している。これにより、反応装置2内の試料液は、撹拌され、かつ、反応装置2内には、所定量の試料液が貯留されるように構成されている。また、洗浄水供給部9には、洗浄水を供給するためのポンプ9aが配置されている。
このような濃度測定装置1を用いれば、供給部3からペリスターポンプ3bを用いて一定量の試料液が絶えず反応装置2に供給されている。ペリスターポンプ3bを停止した後、洗浄水供給部9よりポンプ9aにて一定量の水を注水し、試料液の希釈、装置壁面付着試料の洗い流しを行う。
次に、ポンプ4aにて、一定量の希塩酸(または希硫酸)などの酸を添加し、吸収液試料に含まれる炭酸カルシウムを分解し、炭酸ガスを放散させる。
炭酸ガスが放散されることにより、圧力容器(圧力ベッセル)2Aの圧力が上昇するので、これを圧力計5にて測定する。反応装置2と圧力計5との間に一定容積を有するホルダー(圧力容器2A)を設けることにより、反応装置2の気相部体積を変更し、反応容器内の圧力上昇程度を調整することができる。
酸添加後に、圧力変化を圧力計5でモニターし、圧力上昇速度が一定に到達すれば、反応が完結したと判断し、そのときの圧力を測定し、演算装置(不図示)などに入力して炭酸ガス発生量、さらには元の吸収液中に存在した炭酸カルシウム量を計算する。
圧力測定後、反応装置底部のブローラインを開放し、廃液部10から反応後の溶液を廃液し、さらに洗浄水供給部9から水を注入して、残存する廃液を洗い流し、反応装置2内を洗浄する。不図示の弁を閉鎖して反応装置2を再び密閉させることにより、連続して吸収液中の炭酸カルシウム濃度を測定することができる。
このような濃度測定装置によれば、ペリスターポンプ3bが吸収液を反応装置内へ循環させる吸収液循環系と、反応装置内の吸収液量が所定量となる状態で吸収液循環系の循環を一時的に停止する循環停止手段として機能できるので、簡易な装置により吸収液中の炭酸カルシウム濃度を測定することができる。
本発明に係る炭酸カルシウム濃度測定装置は、湿式石灰石膏方式の湿式排煙脱硫装置の吸収液中の炭酸カルシウム濃度の測定に利用できる。このような吸収液用炭酸カルシウム計を活用すれば、吸収液中の未反応炭酸カルシウム濃度を最小限に制御することが可能となり、未反応炭酸カルシウム量の減少による経済効果が期待される。
本発明に係る炭酸カルシウム濃度を測定する方法及び測定装置の概念を説明する説明図である。 本発明に係る炭酸カルシウム濃度測定装置の変形例の構成を説明する図である。 本発明に係る炭酸カルシウム濃度測定装置の変形例の構成を説明する図である。 理論炭酸ガス発生量に対する本発明に係る炭酸カルシウム濃度測定装置により測定された炭酸ガス発生量の相関関係を検証する図である。 手分析による測定値と本発明に係る炭酸カルシウム濃度測定装置による測定値との相関関係を検証する図である。 本発明に係る炭酸カルシウム濃度測定装置の変形例の構成を説明する図である。
符号の説明
1:炭酸カルシウム濃度測定装置
2:反応装置、反応管
2A:圧力容器
3:吸収液供給部
3a:ポンプ
3b:ペリスターポンプ
4:酸供給部
4a:ポンプ
5:圧力計(圧力検出装置)
6:温度計(温度検出装置)
7:演算装置
8:撹拌装置
9:洗浄水供給部
10:廃液部
11:気相部
12:反応液(液相部)
13:標準液供給部
14:元弁
15:計量管
16:酸タンク
17:元弁
18:貯水タンク
19:標準液タンク
20:ヘッドベッセル
21:オーバーフローライン
P1−P4:ポンプ
V1−V14:弁

Claims (8)

  1. 湿式排煙脱硫装置の吸収液に含まれる炭酸カルシウムと酸とを反応させ、発生した炭酸ガスの量を測定することにより前記吸収液中の炭酸カルシウム濃度を求める炭酸カルシウム濃度の測定法において、
    前記吸収液の一定量を一定容積の密閉された反応装置に分取する工程
    一定量の酸を前記反応装置内に添加する工程、
    前記反応装置内の吸収液と酸とを攪拌する工程、
    前記反応装置内の圧力を測定する工程、
    前記反応装置内の圧力上昇から前記吸収液中に含まれる炭酸カルシウム濃度を算出する工程、
    の各工程を順次行うこと特徴とする炭酸カルシウム濃度の測定法。
  2. 前記吸収液を反応装置内に分取する前、または分取後であって前記酸を添加する前に、前記反応装置中の気相を減圧にすることを特徴とする請求項1記載の炭酸カルシウム濃度の測定法。
  3. 前記反応装置内の温度または温度変化を検出し、測定された反応装置内の圧力上昇の温度補正を行うことを特徴とする請求項1記載の炭酸カルシウム濃度の測定法。
  4. 湿式排煙脱硫装置の吸収液に含まれる炭酸カルシウムと酸とを反応させ、発生した炭酸ガスの量を測定することにより前記吸収液中の炭酸カルシウム濃度を求める炭酸カルシウム濃度の測定法に用いるための炭酸カルシウム濃度の測定装置であって、
    密封された反応装置と、
    該反応装置内へ前記吸収液を供給するための吸収液供給部と、
    前記反応装置内へ前記酸を供給するための酸供給部と、
    前記反応装置内の吸収液と酸とを攪拌する攪拌装置と、
    前記反応装置に接続されて装置内部の圧力を検出するための圧力検出装置と、
    該圧力検出装置により検出された圧力情報を用いて前記吸収液中の炭酸カルシウム濃度を演算する演算装置と、
    を備えることを特徴とする炭酸カルシウム濃度の測定装置。
  5. 前記反応装置内を減圧にする減圧装置を備えたことを特徴とする請求項4記載の炭酸カルシウム濃度の測定装置。
  6. 前記反応装置内の温度を検出する温度検出装置を備え、
    前記演算装置は、前記圧力検出装置により検出された圧力情報及び前記温度検出装置により検出された温度情報を用いて前記吸収液中の炭酸カルシウム濃度を演算することを特徴とする請求項4記載の炭酸カルシウム濃度の測定装置。
  7. 請求項4〜6のいずれかに記載の炭酸カルシウム濃度の測定装置により計測された圧力、温度またはそれらから演算された炭酸カルシウム濃度を用いて、湿式排煙脱硫装置の吸収液に含まれる炭酸カルシウム濃度を制御する炭酸カルシウム濃度制御装置。
  8. 湿式排煙脱硫装置の吸収液に含まれる炭酸カルシウム濃度を制御する炭酸カルシウム濃度制御装置であって、
    密封された反応装置と、
    該反応装置内へ前記吸収液を供給するための吸収液供給部と、
    前記反応装置内へ前記吸収液に含まれる炭酸カルシウムと反応させる酸を供給するための酸供給部と、
    前記反応装置内の吸収液と酸とを攪拌する攪拌装置と、
    前記反応装置に接続されて装置内部の圧力上昇を検出するための圧力検出装置と、
    該圧力検出装置により検出された圧力情報を用いて、排煙脱硫装置の炭酸カルシウム濃度を制御する炭酸カルシウム濃度制御装置。
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