JP4995132B2 - ヒートポンプ式給湯暖房機 - Google Patents

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本発明は,ヒートポンプサイクルに循環される冷媒との熱交換によって床暖房用や給湯用の水を加熱する熱交換器を備えたヒートポンプ式給湯暖房機に関し,特に,その熱交換器における配管構造に関するものである。
従来から,圧縮機や膨張弁,水熱交換器,室外空気熱交換器などが接続されたヒートポンプサイクルと,そのヒートポンプサイクルに循環される冷媒との熱交換によって水を加熱する熱交換器とを備えるヒートポンプ式給湯システムが知られている。例えば,特許文献1には,給湯及び浴槽に用いる水を冷媒との熱交換によって加熱するヒートポンプ風呂給湯機が開示されている。
ここに,図5(a),(b)は,特許文献1の図5及び図7を引用して符号を変更した図である。図5(a),(b)に示すように,特許文献1に開示された水熱交換器100では,冷媒が循環される冷媒配管102の両側に,給湯用の水が流通する給湯用配管101と,浴槽用の水が流通する浴槽用配管103とが接触するように積層されている。また,冷媒配管102と給湯用配管101,冷媒配管102と浴槽用配管103の各々はろう付されている。これにより,水熱交換器100では,冷媒配管102に循環される冷媒との熱交換によって給湯用配管101及び浴槽用配管103に流れる水を加熱することができる。
特開2003−65602号公報
ところで,前記特許文献1に開示されているように,冷媒との熱交換によって加熱された温水を給湯及び浴槽に用いる場合には,そのいずれか一方に偏って多量の温水が必要になることは考えにくい。
しかしながら,前記浴槽用配管103に換えて,床暖房装置に温水を循環させるための配管(以下,「床暖房用配管103」とする)を設けておき,冷媒との熱交換によって加熱された温水を給湯及び床暖房に用いる場合を考えると,床暖房側では,床面の全体に温水を流通させるために給湯に比べて多量の温水が必要になる。
ところが,前記水熱交換器100では,図5(b)に示されているように,給湯用配管101及び床暖房用配管103の管径が同じであり,給湯用配管101及び床暖房用配管103の水量が同じである。そこで,床暖房用配管103における水の流速を早めることや,床暖房用配管103の管径を大きくすることによって,床暖房側に給湯よりも多量の温水を供給することが考えられる。しかしながら,その場合には,床暖房用配管103に流れる多量の温水を十分に加熱するために冷媒配管101における冷媒の流速を早めることや,該冷媒配管101の管径を大きくすることなど,ヒートポンプサイクルの高性能化が必要になりコスト高になる問題がある。また,冷媒配管101の管径を大きくした場合には,例えば給湯のみを実行するときに本来不要なエネルギー消費が生じることになる。
また,冷媒配管101の冷媒から床暖房用配管103の水への熱伝達は,これらの配管のろう付部の一箇所だけで行われるため,その熱伝達量にも限界がある。なお,前記水熱交換器100では,給湯用配管101及び浴槽用配管103はろう付されておらず,これらは熱的に結合されているとは言えない。そのため,仮に本発明のように給湯用配管101の管径を床暖房用配管103の管径よりも小さくしたとしても該給湯用配管101の水から床暖房用配管103の水への熱伝達が行われるとも言い難い。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,冷媒の熱を結果的に給湯用配管の水よりも床暖房用配管の水に多く伝達させることのできるヒートポンプ式給湯暖房機を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は,冷媒が循環されるヒートポンプサイクルと,前記ヒートポンプサイクルに循環される冷媒と水又は不凍液との間で熱交換を行う熱交換器と,前記熱交換器で加熱された温水又は不凍液を床暖房装置に循環させるための床暖房回路と,前記熱交換器で加熱された温水を貯留又は給湯するための給湯回路とを備えてなるヒートポンプ式給湯暖房機に適用されるものであって,前記熱交換器が,前記ヒートポンプサイクルに循環される冷媒が流通する冷媒配管と,前記床暖房回路に循環される水又は不凍液が流通する床暖房用配管と,前記床暖房用配管よりも管径が小さく前記給湯回路に供される水が流通する給湯用配管とがこの順で繰り返し接触して積層されたものであり,前記冷媒配管と前記床暖房用配管,前記床暖房用配管と前記給湯用配管,前記給湯用配管と前記冷媒配管の各々が熱的に結合されてなることを特徴とするヒートポンプ式給湯暖房機として構成される。例えば,各々の配管の熱的な結合は,溶接や半田付け,ろう付,熱伝導性のある接着剤などを用いて行うことが考えられる。また,前記熱交換器は,平面視で略矩形状,略扁平形状,略円形状,略楕円形状のいずれかに曲成されたものであることが考えられる。
本発明によれば,前記給湯用配管の管径が前記床暖房用配管の管径よりも小さいため,前記冷媒配管内の冷媒との熱交換によって前記給湯用配管及び前記床暖房用配管の水が加熱されたとき,その水の温度は,前記床暖房用配管よりも前記給湯用配管の方が高くなる。
そして,前記熱交換器では,前記床暖房用配管と前記給湯用配管とが熱的に結合されているため,前記給湯用配管に流れる温水と前記床暖房用配管に流れる温水との間で熱交換が行われる。即ち,前記給湯用配管の水によって前記床暖房用配管の水が加熱されることになる。従って,結果的に,前記冷媒配管の冷媒から前記床暖房用配管の水に伝達される熱量は,該冷媒との間の熱交換によって直接伝達される熱量に,前記冷媒配管の冷媒によって加熱された前記給湯用配管の水との間の熱交換によって間接的に伝達される熱量を加えたものとなる。
このように,当該ヒートポンプ式給湯暖房機では,前記床暖房用配管の管径を大きくして水量を増加させることによって不足した熱量を,該床暖房用配管よりも管径の小さい前記給湯用配管の水から伝達される熱量で補うことにより,前記冷媒配管の冷媒の流通量や流速をできるだけ増加させることなく,前記ヒートポンプサイクルをできるだけ簡易に構成することができる。
本発明によれば,前記給湯用配管の管径が前記床暖房用配管の管径よりも小さく,前記給湯用配管と前記床暖房用配管とが熱的に結合されているため,前記冷媒配管の冷媒の熱を,前記床暖房用配管の水に直接伝達させるだけではなく,前記給湯用配管の水を経由させて前記床暖房用配管の水に伝達させることができる。このように,当該ヒートポンプ式給湯暖房機では,前記床暖房用配管の管径を大きくして水量を増加させることによって不足した熱量を,該床暖房用配管よりも管径の小さい前記給湯用配管の水から伝達される熱量で補うことにより,前記冷媒配管の冷媒の流通量や流速をできるだけ増加させることなく,前記ヒートポンプサイクルをできるだけ簡易に構成することができる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xの概略構成を示すブロック図,図2は本発明の実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xが備える水熱交換器14の外観模式図,図3は図2におけるA−A矢視断面の部分拡大図,図4は水熱交換器14の他の例を説明するための図である。
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xの概略構成について説明する。
図1に示すように,ヒートポンプ式給湯暖房機Xは,大別すると,冷媒が循環されるヒートポンプサイクル(冷凍サイクル)1と,後述の床暖房装置21に温水を循環させるための床暖房回路2と,温水を貯留又は給湯するための給湯回路3とを備えて構成されている。ここに,ヒートポンプサイクル1に循環される冷媒には,例えばCO2冷媒などの炭酸ガス冷媒(自然冷媒の一種)や,R410AなどのHFC冷媒が用いられる。
ヒートポンプサイクル1は,冷媒を圧縮する圧縮機11と,圧縮機11から流出した冷媒と水との間で熱交換を行うことにより該水を加熱する水熱交換器14(熱交換器の一例)と,水熱交換器14から流出した冷媒を膨張させる膨張弁13と,膨張弁13で膨張された冷媒と室外空気との間で熱交換を行うことにより該冷媒を加熱する(即ち,蒸発器として機能する)室外空気熱交換器12とを備えている。前記水熱交換器14では,前記ヒートポンプサイクル1に循環される冷媒と水との間で熱交換が行われる。
床暖房回路2は,水熱交換器14において冷媒との熱交換によって加熱された後の温水を床下に循環させることで床暖房を実現する床暖房装置21と,水熱交換器14及び床暖房装置21の間に水を循環させるための循環ポンプ22とを備えている。床暖房回路2では,水に代えてブライン(不凍液)を用いる場合も考えられる。
給湯回路3は,水熱交換器14において冷媒との熱交換によって加熱された後の温水(例えば60℃程度)を貯留するための貯湯タンク31と,貯湯タンク31の下層から水熱交換器14を経て貯湯タンク31の上層に水を循環させるための循環ポンプ32と,給水口33からの水の供給先を切り換える電磁三方弁34と,給湯口35から給湯する温水の温度を調節するための電磁三方弁36とを備えている。
なお,ヒートポンプ式給湯暖房機Xにおけるヒートポンプサイクル1,床暖房回路2,及び給湯回路3の動作については,従来と異なるところがないため,ここでは説明を省略する。
本発明の実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xは,水熱交換器14における配管構造に特徴を有しており,以下,図2及び図3を用いてこの点について説明する。
図2に示すように,水熱交換器14は,ヒートポンプサイクル1に循環される冷媒が流通する冷媒配管41と,床暖房回路2に循環される水が流通する床暖房用配管42と,給湯回路3に供される水が流通する給湯用配管43とを有している。具体的に,冷媒配管41,床暖房用配管42,給湯用配管43各々は,ヒートポンプサイクル1,床暖房回路2,給湯回路3各々の回路上に接続されたものであって該回路の一部を形成している。
なお,図示しないが,水熱交換器14は,上面から見る(平面視する)と直線部分及び曲線部分からなる偏平形状(例えば,陸上競技場のトラックのような形状)を成している。もちろん,水熱交換器14は,平面視で略矩形状,略楕円形状,略円形状などに形成されていてもよい。
ここで,図3に示すように,水熱交換器14では,冷媒配管41,床暖房用配管42,給湯用配管43は,この順で繰り返し接触するように積層されている。即ち,冷媒配管41,床暖房用配管42,給湯用配管43,冷媒配管41,床暖房用配管42,給湯用配管43,…という順で接触している。なお,冷媒配管41,床暖房用配管42,給湯用配管43各々は,それらの中心が一直線上に位置するように配置されている。
また,冷媒配管41と床暖房用配管42,床暖房用配管42と給湯配管43,給湯配管43と冷媒配管41の各々は,ろう付によって熱的に結合されている。これにより,相互間における熱交換は効率的に行われる。なお,冷媒配管41,床暖房用配管42,給湯用配管43各々のろう付には,銀ろう,銅ろう,黄銅ろう,りん銅ろうなどのろう材が用いられる。また,ろう付に限られず,例えば溶接や半田付け,熱伝導性の高い接着剤などによって熱的に結合することも他の実施例として考えられる。
ところで,一般に床暖房回路2では,床下に温水を流通させるために給湯回路2に比べて多量の温水が必要となる。
そこで,本発明の実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xでは,図3に示すように床暖房用配管42に,給湯用配管43よりも管径の大きい配管を用いている。言い換えれば,給湯用配管43の管径が床暖房用配管42の管径よりも小さく設計されている。これにより,床暖房用配管42の水量は給湯用配管43の水量よりも多くなり,床暖房回路2に必要な多量の温水を得ることができる。なお,冷媒配管41と給湯用配管43との管径が異なる構成であってもよい。
このように構成された水熱交換器14では,給湯用配管43の管径が床暖房用配管42の管径よりも小さいため,冷媒配管41内の冷媒との熱交換によって床暖房用配管42及び給湯用配管43の水が加熱されたとき,その水の温度は,床暖房用配管42よりも給湯用配管43の方が高くなる。また,床暖房用配管42よりも給湯用配管43の方が早く温まる。
そして,前述したように,水熱交換器14では床暖房用配管42と給湯用配管43とが熱的に結合されているため,給湯用配管43内の温水と床暖房用配管42内の温水との間に温度差が生じると,その温水間で熱交換が行われることになる。即ち,給湯用配管43の水によって床暖房用配管42の水が加熱される。
特に,当該ヒートポンプ式給湯機Xで給湯運転や貯湯運転が実行されておらず,給湯用配管43における水の流れが停止している状況では,床暖房が実行されてヒートポンプサイクル1に冷媒が循環されると,水熱交換器14において,給湯用配管43内に留まっている水が冷媒との熱交換によって早く温められることになる。そして,給湯用配管43内に貯留している水の温度が床暖房用配管42に流れる水の温度を超えると,それ以降は,床暖房用配管42に流れる水が給湯用配管43内で停止した温水からの熱伝達によっても加熱されることになり,該床暖房用配管42内の水の加熱が効率的に行われる。
このように,水熱交換器14では,結果的に,冷媒配管42の冷媒から床暖房用配管42の水に伝達される熱量は,該冷媒との間の熱交換によって直接伝達される熱量に,冷媒配管41の冷媒によって加熱された給湯用配管43の水との間の熱交換によって間接的に伝達される熱量を加えたものとなる(図3(b)に示す矢印)。従って,当該ヒートポンプ式給湯暖房機Xでは,床暖房用配管42の管径を大きくして水量を増加させることによって不足した熱量を,該床暖房用配管42よりも管径の小さい給湯用配管43の水から伝達される熱量で補うことにより,冷媒配管41の冷媒の流通量や流速をできるだけ増加させることなく,ヒートポンプサイクル1をできるだけ簡易に構成することができる。
また,本実施の形態で説明した水熱交換器14では,図3に示したように,冷媒配管41,床暖房用配管42,給湯用配管43は,各々の中心が一直線上に位置するように積層される場合を例に挙げたが,これに限られない。
例えば,図4に示すように,冷媒配管41,床暖房用配管42,給湯用配管43の内側又は外側(図示する一点鎖線)のいずれか一方が揃うように配置して水熱交換器14を形成することが考えられる。この構成では,水熱交換器14の製造時,冷媒配管41,床暖房用配管42,給湯用配管43を同時に曲成することが容易となる。また,水熱交換器14の高さ寸法をできるだけ小さくすることも可能である。なお,冷媒配管41を床暖房用配管42の外側に揃える構成では,水熱交換器14における曲成部における冷媒配管41の配管長を少しでも長くすることができるという効果もある。
本発明の実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xの概略構成を示すブロック図。 本発明の実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xが備える水熱交換器14の外観模式図。 図2におけるA−A矢視断面の部分拡大図。 水熱交換器14の他の例を説明するための図。 従来の水熱交換器の構造を説明するための図(特許文献1の図5及び図7の引用)。
符号の説明
1…ヒートポンプサイクル
2…床暖房回路
3…給湯回路
11…圧縮機
12…室外空気熱交換器
13…膨張弁
14…水熱交換器(熱交換器の一例)
21…床暖房装置
22…循環ポンプ
31…貯湯タンク
32…循環ポンプ
33…給水口
34,36…電磁三方弁
35…給湯口
41…冷媒配管
42…床暖房用配管
43…給湯用配管
X…ヒートポンプ式給湯暖房機

Claims (1)

  1. 冷媒が循環されるヒートポンプサイクルと,前記ヒートポンプサイクルに循環される冷媒と水又は不凍液との間で熱交換を行う熱交換器と,前記熱交換器で加熱された温水又は不凍液を床暖房装置に循環させるための床暖房回路と,前記熱交換器で加熱された温水を貯留又は給湯するための給湯回路とを備えてなるヒートポンプ式給湯暖房機であって,
    前記熱交換器が,前記ヒートポンプサイクルに循環される冷媒が流通する冷媒配管と,前記床暖房回路に循環される水又は不凍液が流通する床暖房用配管と,前記床暖房用配管よりも管径が小さく前記給湯回路に供される水が流通する給湯用配管とがこの順で繰り返し接触して積層されたものであり,
    前記冷媒配管と前記床暖房用配管,前記床暖房用配管と前記給湯用配管,前記給湯用配管と前記冷媒配管の各々が熱的に結合されてなることを特徴とするヒートポンプ式給湯暖房機。
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