JP4994736B2 - 配管あるいは板の状態検知方法及びその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主として火力プラント用配管、化学プラント用配管等に適用され、配管に取付けたセンサにより配管の状態を検知する配管状態検知方法及びその装置に関する。
火力プラント用配管、化学プラント用配管等の比較的大径で長尺の配管における配管の減肉や欠陥を検知する手段として、配管肉厚部全体に超音波を放射し該配管からの反射波を解析して該配管における減肉や欠陥の有無を検知する、超音波による配管状態検知方法が多く用いられている。
図12は、かかる配管の減肉や欠陥の有無検知方法におけるセンサ(たとえば超音波センサ)による検知箇所を示す外観斜視図であり、図12において、100は配管、102は該配管100の外周に巻装された保温材である。1は検知箇所で、前記配管100の外周面の複数箇所、具体的には図12の格子状線の交点に円周方向及び軸方向(長手方向)の複数箇所が対象となる。
そして、前記複数箇所のセンサ1からの検知信号(超音波センサの場合は反射波信号)を解析して該検知箇所の取付部毎に配管内面における減肉や欠陥の有無を検知している。
また、特許文献1(特開2001−280599号公報)には、配管における過去の肉厚測定結果から算出した配管内面の減肉率のデータベースから統計解析により残存寿命を、減肉量を時間の非線形関数として表現するか、あるいは予測式にパラメータ相互効果の補正項を入れることによって、最小許容肉厚に到達する時間を正確に予測することにより、高精度の配管減肉予測式を得るように構成された発電プラント配管の寿命予測方法が開示されている。
特開2001−280599号公報
図12に示されるような配管内面の減肉、欠陥の有無検知手段にあっては、検知箇所を配管外周の格子状線の交点に円周方向及び軸方向(長手方向)に複数箇所定め、検知箇所の定点監視によって配管100内面の減肉、欠陥の有無を検知しているため、検知箇所1の間の部分の減肉、欠陥を検知できない場合が多くなって、配管100の最大減肉部を見過ごしてしまう可能性がある。また、前記のような定点監視であるため、計測点数が少なく所要の配管状態管理データが得られにくい。
また、前記特許文献1(特開2001−280599号公報)の手段にあっては、配管における過去の肉厚測定結果から算出した配管内面の減肉率のデータベースを用いての統計解析によって配管の残存寿命を予測しているため、減肉率のデータベースに多くの減肉率データの蓄積を必要とするうえに、減肉量を時間の非線形関数として表現するかあるいは、予測式にパラメータ相互効果の補正項を入れることによって最小許容肉厚に到達する時間を予測するので、配管状態検知のための解析、演算が複雑かつ時間を要する。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、きわめて簡単な方式で以って、配管の全体の内面状態を万遍なく且つ効率良く検知可能とした配管あるいは板の状態検知方法及びその装置を提供することを目的とする。
本発明はかかる目的を達成するもので、配管肉厚部全体に超音波を放射し、該配管の不連続部からの反射波を解析して該配管の状態を検知する配管状態検知方法であって、前記反射波の初期データである初期波形データと該初期波形データ採取時から一定時間経過後に採取された前記反射波の波形データであるモニタリング波形データとの差を差分波形データとして算出し、該差分波形データの波形信号SとノイズNとのS/N比を算出して、このS/N比の算出値と配管に減肉があるときのS/N比基準値とを比較し、前記S/N比の算出値が前記S/N比基準値を超えたときに前記配管に減肉が生じていると判定することを特徴とする(請求項1)。
かかる発明において、好ましくは次のように構成する。
(1)差分波形データのエコーと減肉による断面減少率との予め設定された関係に基づいて、前記差分波形データのエコーの高さの算出値から断面減少率を求める(請求項2)。
(2)初期波形データを格納手段に格納しておき、この格納波形データを次回の差分波形データ算出時の波形データとして用いる(請求項3)。
かかる発明によれば、配管肉厚部全体に超音波を放射し、該配管の不連続部からの反射波を解析して得た初期波形データと該初期波形データ採取時から一定時間経過後のモニタリング波形データとの差である差分波形データを、好ましくは波形データの最大エコー(S)とノイズ(N)との比である実質エコー(S/N)を基準エコーとして、該差分波形データが基準エコーを超えたとき、つまり初期波形データに対する該初期波形データ採取時から一定の点検検査間隔時間経過後における反射波波形データの振幅(エコー)の変化量が許容振幅(基準エコー)を超えたとき、配管における前記反射波の反射点に減肉が発生しているものと判定する。
従って、かかる発明によれば、配管に取付けた超音波センサから一定時間毎に配管肉厚部全体に向けて超音波を発振し、その反射波を解析して前記一定時間の前後における波形データの差分(差分波形データ)を予め設定した基準エコーと比較し、その比較結果によって配管における減肉の発生の有無を判定するので、図1に示される従来技術のように減肉、欠陥を検知できない部分がなくなり、配管全体について洩れなく減肉、欠陥の有無を検知可能であり、また前記差分波形データのエコー高さによって減肉、欠陥の経年変化を高精度で把握できる。
また、配管不連続部からの超音波の反射波を解析して一定時間の前後における波形データの差分(差分波形データ)を算出して、該差分波形データと予め設定した基準エコーの比較結果によって配管における減肉の発生の有無を判定するので、前記特許文献1の手段のように配管状態検知のための解析、演算が複雑でなく且つデータベースに多くの減肉発生判定用のデータの蓄積も不要であり、きわめて簡単で解析に時間を要しない手法で以って配管における減肉、欠陥の経年変化を把握できる。
また本発明は、配管肉厚部全体に超音波を放射し、該配管不連続部からの反射波を解析して該配管の状態を検知する配管状態検知方法であって、前記反射波の波形データの周波数検出値が予め設定された周波数の許容値である許容周波数を超えたとき、あるいは前記波形データにおける同一波形の周波数が予め設定された一定期間連続したときにおける前記配管の欠陥の状態を判定することを特徴とする。
かかる発明によれば、配管不連続部からの超音波反射波の波形データの周波数を解析することにより配管の欠陥の発生状態を検知するので、配管の切断調査を行なうことなく、きわめて簡単な手法で精度良く配管内面の欠陥の発生状態を把握できる。
また本発明は、配管に該配管に発生する音波を検出する音波センサを取付け、該音波センサからの音圧変化に基づき配管の欠陥の有無を検知する配管状態検知方法であって、前記音波の初期データである初期音波データと該初期音波データ採取時から一定時間経過後に採取された音波データであるモニタリング音波データとの差を差分音波データとして算出し、該差分音波データの波形信号SとノイズNとのS/N比を算出して、このS/N比の算出値と配管内の流体のリークがあるときのS/N比基準値とを比較し、前記S/N比の算出値が前記S/N比基準値を超えたときに前記配管内の流体のリークが生じていると判定することを特徴とする(請求項)。
かかる発明によれば、音波データを用い、配管不連続部からの反射音波データを解析して、一定時間の前後における差分音波データのエコーと基準音波エコーの比較結果によって配管の内部における流体のリークの有無を判定するので、きわめて簡単な手法で、配管の内部における流体のリークの有無及びリークの発生位置を確実に検知できる。
また本発明は、配管あるいは板の肉厚部全体に超音波を放射し、該配管あるいは板の不連続部からの反射波を解析して該配管あるいは板の状態を検知する配管あるいは板の状態検知方法であって、前記配管あるいは板への異物付着の無いときの前記波形データを初期波形データとし、該初期波形データ採取時から一定時間経過後に採取された前記波形データであるモニタリング波形データと前記初期波形データとの差を差分波形データとして算出し、該差分波形データの波形信号SとノイズNとのS/N比を算出して、このS/N比の算出値と配管あるいは板の表面に付着許容量の異物が付着したときのS/N比基準値とを比較し、前記S/N比の算出値が前記S/N比基準値を超えたときに前記配管あるいは板に異物が過大に付着していると判定し、前記異物の除去指令を発信することを特徴とする(請求項)。
かかる発明によれば、配管に取付けた超音波センサから一定時間毎に配管あるいは板表面に向けて超音波を発振し、その反射波を解析して前記一定時間の前後における差分波形データのエコーを、配管あるいは板表面への貝類等の異物の付着許容量に相当するように予め設定した基準エコーと比較して異物の過大付着の有無を判定するので、きわめて簡単な手法で、配管あるいは板表面における異物の過大付着の有無を確実に検知して、異物の除去に移行できる。
また本発明は、配管肉厚部全体に超音波を放射し、該配管の不連続部からの反射波を解析して該配管の状態を検知する配管状態検知装置であって、前記配管に取り付けられたセンサと、前記センサに超音波を発振する発振装置、および、前記配管の不連続部からの反射波を前記センサから受信する受信装置を有する超音波変換装置と、前記受信装置で受信される反射波の初期データである初期波形データと該初期波形データ採取時から一定時間経過後に採取された前記反射波のデータであるモニタリング波形データとの差を差分波形データとして算出する波形データ差分算出部と、前記差分波形データの波形信号SとノイズNとのS/N比を算出するS/N比算出部と、前記S/N比算出部によるS/N比の算出値と前記配管に不連続部が存在するときのS/N比基準値とを比較し、前記S/N比の算出値が前記S/N比基準値を超えたときに前記配管に不連続部が生じていると判定する判定部とを備えることを特徴とする(請求項7)。
1枚の帯状シートに一定間隔をおいて前記センサを複数装着してなる帯状のセンサ支持シートを、前記配管の外周面に沿って円周方向に巻回して、前記複数のセンサを前記配管の円周方向に一定間隔で配置することが好ましい(請求項7)。
かかる発明によれば、複数のセンサを帯状のセンサ支持シートに一定間隔をおいて固定して、該センサ支持シートを配管の外周面に沿って円周方向に巻回したので、きわめて簡単な構造で以って、配管の円周方向における欠陥の発生位置及び欠陥の規模を把握できる。
また、前記センサを、内部に冷却剤通路が形成された冷却ケース部材の内部に挟持し、該冷却剤通路を通流する冷却剤により前記センサを冷却するように構成してもよい(請求項8)。
かかる発明によれば、センサを冷却ケース部材の内部に挟持して冷却することにより、センサの破損を伴うことなく高温の配管の欠陥や減肉の検知が可能となる。また、冷却ケース部材にラミネートを施せば、センサの腐食を防止できる。
本発明によれば、配管に取付けた超音波センサから一定時間毎に配管肉厚部全体に向けて超音波を発振し、その反射波を解析して前記一定時間の前後における波形データの差分(差分波形データ)を予め設定した基準エコーと比較し、その比較結果によって配管における減肉や欠陥の発生の有無を判定するので、配管全体について洩れなく減肉、欠陥の有無を検知可能となり、且つ前記差分波形データのエコー高さによって減肉、欠陥の経年変化を高精度で把握できる。
また、配管からの超音波の反射波を解析して一定時間の前後における差分波形データを算出して、該差分波形データと予め設定した基準エコーの比較結果によって配管における減肉や欠陥の発生の有無を判定するので、きわめて簡単で解析に時間を要しない手法で以って、配管における減肉、欠陥の経年変化を把握できる。
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は本発明の第1〜第4実施例に係る配管の減肉、欠陥検知装置の全体構成図である。図1において、100は配管、1は該配管100の外周面の長手方向(軸方向)あるいは円周方向に沿う複数箇所に取付けられたセンサ(超音波センサ)である。2は超音波変換装置で、前記センサ1に超音波を発振する発振装置21及び該センサ1から配管100内の減肉、欠陥部101より反射した超音波の反射波を受信する受信装置22からなる。3は前記受信装置22で受信した反射波を、後述する方法で解析、演算する配管状態評価装置である。
図2は本発明の第1実施例における配管の減肉検知装置の演算ブロック図、図3は前記第1実施例における演算フローチャートである。
図2〜3において、初期段階で発振装置21からセンサ1を介して配管100の減肉、欠陥部101に放射され、該減肉、欠陥部101から反射された反射波はセンサ1を介して超音波変換装置2の受信装置22で受信され、該受信装置22から配管状態評価装置3の波形データ処理部31に入力される。該波形データ処理部31においては前記反射波のエコー及び周波数の初期値を算出して初期波形データとして初期値格納部32に格納しておく(図3のステップ(1))。
前記初期値算出時から一定時間経過後(たとえば定期点検期間後)に、モニタリングデータ採取用の超音波を、前記初期段階と同様に、発振装置21からセンサ1を介して配管100の減肉、欠陥部101に発振し、該減肉、欠陥部101からの反射波をセンサ1を介して受信装置22で受信して前記波形データ処理部31に入力する。該波形データ処理部31においては前記モニタリングデータ用反射波つまりモニタリング波形データのエコー及び周波数を算出して波形データ差分算出部33に入力する。(図3のステップ(2))。
波形データ差分算出部33においては、前記初期値格納部32に格納された初期波形データと前記モニタリング波形データとの差を算出し、差分波形データとしてS/N比算出部34に入力する(図3のステップ(3))。
S/N比算出部34においては、前記のようにして算出された差分波形データの波形信号Sと波形のノイズNとの比S/Nを算出して減肉有無判定部36に入力する。
35はS/N比設定部で、前記配管100の内部に減肉があるときの最大S/N比つまり基準エコー(図3の例では基準エコーをS/N比=2としている)を、実験あるいはシミュレーション計算によって予め設定しておく。
そして前記減肉有無判定部36においては、前記差分波形データに基づくS/N比算出値と前記S/N比設定部35に設定されている基準エコー(S/N比=2)と比較し、前記S/N比算出値が基準エコーを超えたとき(S/N比≧基準エコー=2)、前記配管100内面に減肉が発生しているものと判定する(図3のステップ(4))。S/N比<2の場合はモニタリング波形データの計測動作に戻る。
前記減肉有無判定部36からの差分波形データは差分エコー高さ算出部38に入力されて、該差分波形データから差分エコー高さを算出し、差分エコー高さ格納部37に格納するとともに、差分エコー高さ評価部39に入力する
分エコー高さ評価部39においては、差分エコー高さの算出値から差分エコー高さの経年変化を評価した後(図3のステップ(5))、断面減少率算出部41に入力する。
40は差分エコー高さ/断面減少率設定部で、差分エコー高さと配管100の減肉による断面減少率との関係が予め設定されている。
断面減少率算出部41においては、前記差分エコー高さの算出値に対応する断面減少率を前記差分エコー高さ/断面減少率設定部から算出し、減肉評価部42に入力する(図3のステップ(6))。
該減肉評価部42においては、前記断面減少率の算出値から配管内面の減肉の状態を評価し、減肉が過大となった際には、配管の補修または交換を行なう。
かかる第1実施例によれば、配管100に取付けたセンサ1から一定時間毎に配管100に向けて超音波を発振し、その反射波を解析して前記一定時間の前後における波形データの差分(差分波形データ)を予め設定した基準エコーと比較し、その比較結果によって配管100における減肉の発生の有無を判定するので、減肉、欠陥を検知できない部分がなくなり、配管100全体を洩れなく減肉、欠陥の有無を検知可能であり、また前記差分波形データのエコー高さによって減肉、欠陥の経年変化を高精度で把握できる。
また、配管100からの超音波の反射波を解析して一定時間の前後における波形データの差分(差分波形データ)を算出して、該差分波形データと予め設定した基準エコーの比較結果によって配管100における減肉の発生の有無を判定するので、前記特許文献1の手段のように配管100状態検知のための解析、演算が複雑でなく且つデータベースに多くの減肉発生判定用のデータの蓄積も不要であり、きわめて簡単で解析に時間を要しない手法で配管100における減肉、欠陥の経年変化を把握できる。
図4は本発明の第2実施例における配管の欠陥検知装置の演算ブロック図、図5は前記第2実施例における作用説明図である。
図4において、発振装置21から配管100の減肉、欠陥部101に放射され、該減肉、欠陥部101から反射された反射波は超音波変換装置2の受信装置22で受信され、該受信装置22から配管状態評価装置3の波形データ処理部31に入力される。
該波形データ処理部31においては前記モニタリングデータ用反射波、つまりモニタリング波形データのエコー(波形の振幅)及び周波数を算出し、エコー及び周波数の算出値は大エコー周波数抽出部43及び連続エコー抽出部44にそれぞれ入力される。
大エコー周波数抽出部43においては、前記エコー及び周波数の算出値から、図5(A)、(B)に示されるような一定振幅C以上のエコーの一定期間内における周波数Fの値を算出し、周波数判定部46に入力する。45は周波数設定部で、前記配管100の欠陥状態と周波数との関係が設定されている。
前記周波数判定部46においては、大エコー周波数抽出部43からの算出周波数Fの値を前記周波数設定部45における欠陥状態と周波数との関係設定値に対応させて、算出周波数Fに対応する欠陥状態を判定する。
連続エコー抽出部44においては、前記エコー及び周波数の算出値から、図5(A)、(C)に示されるような同一波形の周波数が予め設定された一定期間t連続したとき配管100内面に孔食が発生しているものと判定してかかる波形を抽出し、孔食状態判定部47に入力する。48は孔食状態設定部で、前記配管100内面における孔食の状態と波形との関係が設定されている。
前記孔食状態判定部47においては、連続エコー抽出部44からの波形を前記孔食状態判定部47における孔食状態と波形との関係に対応させて、前記抽出波形に対応する配管100内面における孔食の状態を判定する。
かかる第2実施例によれば、配管100の不連続部からの超音波反射波の波形データの周波数を解析することにより、配管100の欠陥の発生状況の詳細を検知できるので、配管100の切断調査を行なうことなく、きわめて簡単な手法で精度良く配管100の欠陥の発生状態を把握できる。
図6は本発明の第3実施例における配管の欠陥検知装置の演算ブロック図、図7は前記第3実施例における演算フローチャートである。
図6〜7において、221はセンサで、該センサ自体音を発生せず、前記配管100内における流体のリーク音を検出できる音波センサで、たとえば圧電素子、磁歪センサ等を用いる。初期段階で前記センサ221により受信された配管100の音波データは配管状態評価装置3の音波データ処理部331に入力される。該音波データ処理部331においては前記音波データのエコー及び周波数の初期値を算出して初期音波データとして初期音波データ格納部332に格納しておく(図7のステップ(1))。
前記初期音波データ算出時から一定時間経過後(たとえば定期点検期間後)に、モニタリングデータとして、センサ221により配管100の音波データを検出して配管状態評価装置3の音波データ処理部331に入力する。該音波データ処理部331においては前記モニタリングデータとしての音波データ、つまりモニタリング音波データのエコー及び周波数を算出して音波データ差分算出部333に入力する。(図7のステップ(2))。
音波データ差分算出部333においては、前記初期音波データ格納部332に格納された初期音波データと前記モニタリング音波データとの差を算出し、差分音波データとしてS/N比算出部334に入力する(図7のステップ(3))。
S/N比算出部334においては、前記のようにして算出された差分音波データの波形信号Sと波形のノイズNとの比S/Nを算出してリーク有無判定部50に入力する。
35はS/N比設定部で、前記配管100にリークがあるときの最大S/N比つまり基準音波エコー(図7の例では基準音波エコーをS/N比=2としている)を、実験あるいはシミュレーション計算によって予め設定しておく。
そして前記リーク有無判定部50においては、前記差分音波データに基づくS/N比算出値と前記S/N比設定部335に設定されている基準音波エコー(S/N比=2)と比較し、前記S/N比算出値が基準音波エコーを超えたとき(S/N比≧基準音波エコー=2)、前記配管100に流体のリークが発生しているものと判定する(図7のステップ(4))。S/N比<2の場合はモニタリング音波データの計測動作に戻る。
リーク有無判定部50において流体のリーク発生を判定したときは、アラーム発振部51がアラーム装置5にアラームを発振せしめる(図7のステップ(5))。
かかる第3実施例によれば、音波データを用い、配管100の不連続部からの反射音波データを解析して、一定時間の前後における差分音波データのエコーと基準音波エコーの比較結果によって配管100における流体のリークの有無を判定するので、きわめて簡単な手法で、配管100の内部における流体のリークの有無及びリークの発生位置を確実に検知できる。
図8は本発明の第4実施例における配管の欠陥検知装置の演算ブロック図、図9は前記第4実施例における演算フローチャートである。
図8〜9において、配管100あるいは板表面に貝類の付着の無い初期段階で発振装置21からセンサ1を介して配管100あるいは板表面に放射され、該面から反射された反射波はセンサ1を介して超音波変換装置2の受信装置22で受信され、該受信装置22から配管状態評価装置3の波形データ処理部31に入力される。該波形データ処理部31においては前記反射波のエコー及び周波数の初期値を算出して初期波形データとして初期値格納部32に格納しておく(図9のステップ(1))。
前記初期値算出時から一定時間経過後(たとえば定期点検期間後)に、モニタリングデータ採取用の超音波を、前記初期段階と同様に、発振装置21からセンサ1を介して配管100に発振し、該面からの反射波をセンサ1を介して受信装置22で受信して前記波形データ処理部31に入力する。該波形データ処理部31においては前記モニタリングデータ用反射波、つまりモニタリング波形データのエコー及び周波数を算出して波形データ差分算出部33に入力する。(図9のステップ(2))。
波形データ差分算出部33においては、前記初期値格納部32に格納された初期波形データと前記モニタリング波形データとの差を算出し、差分波形データとしてS/N比算出部34に入力する(図9のステップ(3))。
S/N比算出部34においては、前記のようにして算出された差分波形データの波形信号Sと波形のノイズNとの比S/Nを算出して貝類付着判定部55に入力する。
35はS/N比設定部で、予め設定された配管100への貝類の付着許容量に相当する最大S/N比つまり基準エコー(図9の例では基準エコーをS/N比=2としている)を、実験あるいはシミュレーション計算によって予め設定しておく。
そして前記貝類付着判定部55においては、前記差分波形データに基づくS/N比算出値と前記S/N比設定部35に設定されている基準エコー(S/N比=2)とを比較し、前記S/N比算出値が基準エコーを超えたとき(S/N比≧基準エコー=2)、前記配管100あるいは板表面に貝類が過大に付着しているものと判定し、その判定結果を貝類除去電流指令部56に入力する(図9のステップ(4))。
S/N比<2の場合はモニタリング波形データの計測動作に戻る。
貝類除去電流指令部56においては、電源15により配管100の貝類の除去電流を流す指令信号を発信する(図9のステップ(5))。前記除去電流によって、配管100あるいは板表面の貝類除去動作が終了した後は、配管100あるいは板表面への貝類の付着量が付着許容量以下になるまで前記ステップ(1)〜(5)の動作を繰り返す。
かかる第4実施例によれば、配管100あるいは板表面に取付けたセンサ1から一定時間毎に配管100あるいは板表面に向けて超音波を発振し、その反射波を解析して前記一定時間の前後における差分波形データのエコーを、配管100あるいは板表面への貝類の付着許容量に相当するように予め設定した基準エコーと比較して貝類の過大付着の有無を判定するので、きわめて簡単な手法で、配管100あるいは板表面における貝類の過大付着の有無を確実に検知して、貝類の除去に移行できる。
図10は本発明の第5実施例におけるセンサ取付状態を示し、(A)はセンサの取付状態を示し、(B)はセンサ取付部の部分展開図である。
図10において、4はセンサ支持シートを構成する帯状シートからなるベースで、軟質の超音波が通過可能で、センサ1の振動を伝達可能な薄膜材からなる。該ベースにはその1枚につきセンサ1を一定間隔をおいて複数装着しており、該ベース4を前記配管100の外周面に沿って円周方向に巻回して前記複数のセンサ1を配管100の円周方向に一定間隔で配置している。
かかる第5実施例によれば、複数のセンサ1を帯状のベース(センサ支持シート)4に一定間隔をおいて固定して、該ベース4を配管100の外周面に沿って円周方向に巻回したので、きわめて簡単な構造で以って、配管100の円周方向における欠陥の発生位置及び欠陥の規模を把握できる。
図11は本発明の第6実施例におけるセンサ冷却装置を示し、(A)は配管の部分横断面図、(B)は(A)におけるZ−Z線断面図である。
図11において、3はSUS/インコネルラミネートが施された冷却ケース部で、配管100の円周方向に巻装され、厚さ方向中心部にセンサ1を挟持した形態で支持している。
前記冷却ケース部8内におけるセンサ1の両側には冷却水が通流する冷却穴5,6が穿孔されている。9,9aは冷却水の入口ヘッダー及び出口ヘッダーである。
冷却水は、冷却水入口管11から入口ヘッダー9を経てセンサ1の上側の冷却穴5を通り、途中で折り返してセンサ1の下側の冷却穴6を通ることにより(下側から上側に流してもよい)該センサ1を冷却した後、出口ヘッダー9aを経て冷却水出口管12に排出される。
かかる第6実施例によれば、センサ1を冷却ケース部8の内部に挟持して冷却することにより、センサ1の破損を伴うことなく高温の配管100の欠陥や減肉の検知が可能となる。また、冷却ケース部にラミネートを施すことにより、センサ1の腐食を防止できる。
本発明によれば、きわめて簡単な方式で以って、配管の全体の内面状態を万遍なく且つ効率良く検知可能とした配管あるいは板の状態検知方法及びその装置を提供できる。
本発明の第1〜第4実施例に係る配管の減肉、欠陥検知装置の全体構成図である。 本発明の第1実施例における配管内面の減肉検知装置の演算ブロック図である。 前記第1実施例における演算フローチャートである。 本発明の第2実施例における配管の欠陥検知装置の演算ブロック図である。 前記第2実施例における作用説明図である。 本発明の第3実施例における配管の欠陥検知装置の演算ブロック図である。 前記第3実施例における演算フローチャートである。 本発明の第4実施例における配管の欠陥検知装置の演算ブロック図である。 前記第4実施例における演算フローチャートである。 本発明の第5実施例におけるセンサ取付状態を示し、(A)はセンサの取付状態を示し、(B)はセンサ取付部の部分展開図である。 本発明の第6実施例におけるセンサ冷却装置を示し、(A)は配管の部分横断面図、(B)は(A)におけるZ−Z線断面図である。 従来技術に係る配管内面の状態検知装置の部分斜視図である。
1、221 センサ
2 超音波変換装置
21 発振装置
22 受信装置
3 配管状態評価装置
31 波形データ処理部
32 初期値格納部
33 波形データ差分算出部
36 減肉有無判定部
39 差分エコー高さ評価部
41 断面減少率算出部
43 大エコー周波数抽出部
44 連続エコー抽出部
46 周波数判定部
47 孔食状態判定部
332 初期音波データ格納部
333 音波データ差分算出部
50 リーク有無判定部
55 貝類付着判定部
4 ベース(センサ支持シート)
5 冷却穴
6 冷却穴
8 冷却ケース部
100 配管
101 減肉、欠陥部

Claims (8)

  1. 配管肉厚部全体に超音波を放射し、該配管の不連続部からの反射波を解析して該配管の状態を検知する配管状態検知方法であって、前記反射波の初期データである初期波形データと該初期波形データ採取時から一定時間経過後に採取された前記反射波の波形データであるモニタリング波形データとの差を差分波形データとして算出し、該差分波形データの波形信号SとノイズNとのS/N比を算出して、このS/N比の算出値と配管に減肉があるときのS/N比基準値とを比較し、前記S/N比の算出値が前記S/N比基準値を超えたときに前記配管に減肉が生じていると判定することを特徴とする配管内面の減肉検知方法。
  2. 差分波形データのエコーと減肉による断面減少率との予め設定された関係に基づいて、前記差分波形データのエコーの高さの算出値から断面減少率を求めることを特徴とする請求項1記載の配管内面の減肉検知方法。
  3. 初期波形データを格納手段に格納しておき、この格納波形データを次回以降の差分波形データ算出時の初期波形データとして用いることを特徴とする請求項1記載の配管内面の減肉検知方法。
  4. 配管に該配管に発生する音波を検出する音波センサを取付け、該音波センサからの音圧変化に基づき配管の欠陥の有無を検知する配管状態検知方法であって、前記音波の初期データである初期音波データと該初期音波データ採取時から一定時間経過後に採取された前記音波データであるモニタリング音波データとの差を差分音波データとして算出し、該差分音波データの波形信号SとノイズNとのS/N比を算出して、このS/N比の算出値と配管内の流体のリークがあるときのS/N比基準値とを比較し、前記S/N比の算出値が前記S/N比基準値を超えたときに前記配管内の流体のリークが生じていると判定することを特徴とする配管状態検知方法。
  5. 配管あるいは板の肉厚部全体に超音波を放射し、該配管あるいは板の不連続部からの反射波を解析して該配管あるいは板の状態を検知する配管あるいは板の状態検知方法であって、前記配管あるいは板への異物付着の無いときの前記波形データを初期波形データとし、該初期波形データ採取時から一定時間経過後に採取された前記波形データであるモニタリング波形データと前記初期波形データとの差を差分波形データとして算出し、該差分波形データの波形信号SとノイズNとのS/N比を算出して、このS/N比の算出値と配管あるいは板の表面に付着許容量の異物が付着したときのS/N比基準値とを比較し、前記S/N比の算出値が前記S/N比基準値を超えたときに前記配管あるいは板に異物が過大に付着していると判定し、前記異物の除去指令を発信することを特徴とする配管あるいは板の状態検知方法。
  6. 配管肉厚部全体に超音波を放射し、該配管の不連続部からの反射波を解析して該配管の状態を検知する配管状態検知装置であって、
    前記配管に取り付けられたセンサと、
    前記センサに超音波を発振する発振装置、および、前記配管の不連続部からの反射波を前記センサから受信する受信装置を有する超音波変換装置と、
    前記受信装置で受信される反射波の初期データである初期波形データと該初期波形データ採取時から一定時間経過後に採取された前記反射波のデータであるモニタリング波形データとの差を差分波形データとして算出する波形データ差分算出部と、
    前記差分波形データの波形信号SとノイズNとのS/N比を算出するS/N比算出部と、
    前記S/N比算出部によるS/N比の算出値と前記配管に不連続部が存在するときのS/N比基準値とを比較し、前記S/N比の算出値が前記S/N比基準値を超えたときに前記配管に不連続部が生じていると判定する判定部とを備えることを特徴とする配管状態検知装置。
  7. 1枚の帯状シートに一定間隔をおいて前記センサを複数装着してなる帯状のセンサ支持シートを、前記配管の外周面に沿って円周方向に巻回して、前記複数のセンサを前記配管の円周方向に一定間隔で配置したことを特徴とする請求項6に記載の配管状態検知装置。
  8. 記センサを、内部に冷却剤通路が形成された冷却ケース部材の内部に挟持し、該冷却剤通路を通流する冷却剤により前記センサを冷却するように構成したことを特徴とする請求項6に記載の配管状態検知装置。
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