以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る生体情報取得装置の運転席周辺の外観斜視図であり、図2は本発明の実施の形態に係る生体情報取得装置の構成の概略を模式的に示す図であり、図3は本発明の実施の形態に係る生体情報取得装置の回路構成の要部を示す図であり、図4は本発明の実施の形態に係る生体情報取得装置のブロック構成の概略を示す図である。
なお、本実施形態の生体情報取得装置は、自動車、ハイブリッド車、電気自動車などの車輌に搭載されることを想定しているが、その他電車、船舶、航空機などの移動手段に搭載することも可能である。また、本実施形態においては、心臓に係る情報(心拍数・心電図)などの生体情報を取得する対象は車輌のドライバーであり、生体情報を取得するための電極等の構成がドライバーの座席に設けられている場合について説明するが、生体情報取得対象者とは、助手席、後部座席といった同乗者でもよく、これら同乗者の座席等に対しても同様に本発明の構成を適用することができるものである。また、本実施形態では、生体情報としてはドライバーの心臓に係る情報(心拍数・心電図等)を取得するものであるが、本発明の電極周辺の構成は、その他の生体情報を取得する生体情報取得装置にも適用することができるものである。より具体的には、搭乗者の呼吸、体温、体重、体脂肪、血圧、発汗、視線、筋電、皮膚インピーダンスなどの生体情報を取得することにも適用可能である。
図1乃至図4において、10は運転席、20は運転席シートベルト、21は第1電極用1段目アンプ部、25は第1心電センサー電極用同軸ケーブル、30は第2心電センサー電極、31は第2心電センサー電極用1段目アンプ部、35は第2心電センサー電極用同軸ケーブル、40はアース電極、45はアース用ケーブル、50は2段目アンプ部、51はアンプ、52はハイパスフィルター、53はローパスフィルター、60はヒーター・クーラー、70は加湿器・除湿器、80は圧力センサー、91は温度センサー、92は湿度センサー、100は制御処理部、200は心電情報取得部、210、220は第1、第2心電センサー電極、300は温度制御部、400は湿度制御部、450はドライバー体勢検出部、500は温度・湿度検出部、600は判定結果出力部、610はディスプレイ、620はスピーカー、900は記憶部、920は個人情報ファイルをそれぞれ示している。
図1、図2に示すように座席10はドライバーの座席であり、本実施形態ではドライバーが生体情報取得装置のモニターの対象となる。座席10の内部には、例えば容量性電極などから構成される心電センサー電極210、220が、座席10に露出しないように設けられている。また、アース電極40は、座席10のドライバーの臀部があたる部分(座部)に配置され、アース電極40はアース用ケーブル45で2段目アンプ部50と接続されている。このアース電極40は、第1心電センサー電極210(第2心電センサー電極220)からの信号に発生するオフセット信号を除去するための基準電位を決定する構成として用いられる。
ヒーター・クーラー60は、座席10内部に設けられ、第1心電センサー電極210及び第2心電センサー電極220近傍の温度をコントロールする。なお、ヒーター・クーラー60に代えて、シートエアコン、ヒートポンプなどの温度制御手段を用いることも可能である。本実施形態の生体情報取得装置においては、ヒーター・クーラー60による温度制御によって、ドライバーの皮膚と第1心電センサー電極210(第2心電センサー電極220)との間の温度を変化させると共に、温度変化に伴う相対湿度を変化させる。また、ヒーター・クーラー60に代えて、ペルチェ素子などの加温素子・冷却素子を用いることもできる。このような素子を用いた場合には、温度制御手段をコンパクトに座席内に収容することが可能となる。
また、加湿器・除湿器70は、座席10内部に設けられ、第1心電センサー電極210及び第2心電センサー電極220近傍の湿度をコントロールする。
また、第1心電センサー電極210及び第2心電センサー電極220近傍には、当該近傍の温度を検出するための温度センサー91と、当該近傍の湿度を検出するための湿度センサー92と、が設けられている。
図1及び図2に示すように、運転席10には第1及び第2の心電センサー電極210、220が設けられており、ドライバーが車両に乗車し運転席10に座り、ステアリングを握って車両の運転を開始すると、ドライバーの背中の心電センサー電極210、220から微弱な電流が検出される。これらの微弱電流は増幅され、ドライバーの心臓に係る情報(心拍数・心電図等)として生体情報取得装置の制御処理部100に取得される。このような心臓に係る情報(心拍数・心電図)などを取得するために用いる心電センサー電極210、220には、例えば容量性電極などから構成される。このような容量性電極としては、例えば特開2005−511174号公報記載のものを用いることができる。
心電情報取得部200における第1心電センサー電極210及び第2心電センサー電極220は共に、例えば表面に酸化膜の層が設けられた容量性心電センサー電極が用いられ、第1心電センサー電極210はドライバーの背中の略左側にあたるように、また第2心電センサー電極220はドライバーの背中の略右側にあたるように、それぞれ配置される。
第1心電センサー電極210と所定の基準電位との間で検出される信号は第1心電センサー電極用1段目アンプ部21にて、また、第2心電センサー電極220と所定の基準電位との間で検出される信号は第2心電センサー電極用1段目アンプ部31にて、それぞれ1mV前後〜数mV(例えば、2mV)の信号レベルにまで1段目の増幅が行われる。
第1心電センサー電極210と第1心電センサー電極用1段目アンプ部21の入力端との間の距離、第2心電センサー電極220と第2心電センサー電極用1段目アンプ部31の入力端との間の距離は、外部ノイズによる影響を避けるために、共に極力短くした方が好ましいので、第1心電センサー電極210と第2心電センサー電極220との裏面に、それぞれの1段目アンプ部を配するようにする。したがって、図2に示すように第1心電センサー電極用1段目アンプ部21と第2心電センサー電極用1段目アンプ部31は共に座席10の中に埋設されるような形態となる。
第1心電センサー電極用1段目アンプ部21からの出力信号、第2心電センサー電極用1段目アンプ部31からの出力信号は、ともに2段目アンプ部50へと出力され、それぞれの2段目アンプ部50で2段目の増幅が行われる。
第1心電センサー電極用1段目アンプ部21、第2心電センサー電極用1段目アンプ部31からの信号は、それぞれ第1心電センサー電極用同軸ケーブル25及び第2心電センサー電極用同軸ケーブル35で、2段目アンプ部50に送信されて、2段目アンプ部50で2段目の増幅が行われる。この2段目アンプ部50で増幅された増幅信号は、不図示の信号処理回路等によって処理される。信号処理回路等によって処理された信号は、心電情報取得部200から制御処理部100に入力され、生体信号の適正性の判定、ドライバーの健康状態の判定などのための情報として利用される。
次に、生体センサーの心電情報取得部200における心拍センサーの増幅回路について説明する。1段目アンプ部の回路構成は、第1心電センサー電極210用のものと第2心電センサー電極220用のものとで共通であるので、図3には一方の回路構成のみを図示している。図3において、AMP1乃至3は増幅器、C1、C3はコンデンサをそれぞれ示している。
コンデンサC1は、第1心電センサー電極210(第2心電センサー電極220)とAMP1との間に介挿されて、第1心電センサー電極210(第2心電センサー電極220)とAMP1とをAC結合(交流結合)するものである。これによって、1段目アンプ部に入力される信号に発生するオフセット信号を除去する。また、AMP2からの出力は、AMP3に入力されると共に、AMP1の入力にコンデンサC3を介してフィードバックされる構成となっており、これによってブートストラップ回路を構成するようになっている。これらAMP1及びAMP2によって、安定的かつ低ノイズで、第1心電センサー電極210(第2心電センサー電極220)からの検出信号を1mV程度まで増幅することができる。AMP3はおよそ数倍程度の増幅率のものであり、AMP3からの1段目アンプ部の出力信号は、およそ数mV前後(例えば、2mV)のレベルとなる。
第1心電センサー電極用1段目アンプ部21(第2心電センサー電極用1段目アンプ部31)からの出力信号は1段目アンプ部でおよそ数倍程度に増幅された後、前述のように同軸ケーブルで2段目アンプ部へと導かれ、2段目アンプ部で数10倍に増幅される。このような2段階のアンプ部の構成によって、本実施形態の生体情報取得装置の構成は、車輌等に搭載するために最適な構成となっている。
2段目アンプ部の回路構成は、第1心電センサー電極210の信号用のものと第2心電センサー電極220用の信号用のものとで共通であるので、図3には一方の回路構成のみを図示している。
図3において、51はアンプ、52はハイパスフィルター、53はローパスフィルターをそれぞれ示している。2段目アンプ部50には、1段目アンプ部からの信号をおよそ数10倍のオーダーで増幅するアンプ51と、ハイパスフィルター52とローパスフィルター53とが設けられている。
ハイパスフィルター52及びローパスフィルター53は、心電波形の周波数以外の周波数の信号を極力抑えるために設けられており、これらフィルターにより2段目アンプ部50では、心電に係る周波数のみを選択的に取得することができるようになっている。この2段目アンプ部50で増幅された増幅信号は、不図示の信号処理回路等によって処理され、心電情報取得部200で取得された情報として利用される。
図4に示すように、本実施形態の生体情報取得装置は、主たる構成として、制御処理部100、心電情報取得部200、温度制御部300、湿度制御部400、ドライバー体勢検出部450、温度・湿度検出部500、判定結果出力部600、記憶部900を有するものである。本実施形態の生体情報取得装置は、心電情報取得部200において第1心電センサー電極210、第2心電センサー電極220で取得された電気信号、或いは、温度・湿度検出部500における温度センサー91、湿度センサー92によって検出された温度、湿度などに基づいて、制御処理部100により判定を行い、温度制御部300、湿度制御部400、判定結果出力部600などを制御するように構成されている。
図4に示す本実施形態の生体情報取得装置のブロック図において、制御処理部100はエレクトロニックコントロールユニットであり、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。
心電情報取得部200は、第1、第2心電センサー電極210、220とこれらの電極から収集される微弱電流を増幅する増幅部などから構成されており、運転席10に座りステアリングを操作するドライバーの心臓に係る情報である心拍数と心電図データを取得する。
温度制御部300は、制御処理部100からのオンオフ信号に基づいて、ヒーター・クーラー60を動作させて、第1、第2心電センサー電極210、220近傍の温度をコントロールし、心電信号取得に必要な湿度を得るようにすると共に、ドライバーにとって快適な温度とする。
湿度制御部400は、制御処理部100からのオンオフ信号に基づいて、加湿器・除湿器70を動作させて、第1、第2心電センサー電極210、220近傍の湿度をコントロールし、心電信号取得に必要な湿度を得るようにすると共に、ドライバーにとって快適な湿度とする。
ドライバー体勢検出部450は、座席10のドライバー背中部分に設けられている圧力センサー80のセンシング結果によってドライバーの体勢が、心電信号を取得する上で正しいポジションにあるか否かを判定するものである。
温度・湿度検出部500は、温度センサー91及び湿度センサー92によって、第1、第2心電センサー電極210、220近傍の温度及び湿度を検出して、制御処理部100の制御に供する。
判定結果出力部600は、生体情報取得装置における出力インターフェイスを構成するものであり、文字、図形、イメージ情報を表示するディスプレイ610、音声の出力を行うスピーカー620からなっている。判定結果出力部600は以上のような構成に限定することなく、その他のマンマシンインターフェイス機構を用いることができるものである。
記憶部900は、ハードディスクなどの比較的大容量の記憶装置からなり、個人情報ファイル920などが記憶される。この個人情報ファイル920は車輌を利用するドライバーごとの個人情報ファイルであり、ドライバーが持ちえる生体情報の基本情報(平均心拍(過去履歴より学習)、心拍数の判定閾値。病歴、主治医連絡情報)のことである。このような個人情報ファイル920は、取得された心電信号が適切なものであるか否かなどの判定に供することができる。
次に、本実施形態に係る生体情報取得装置の心電信号などの生体信号取得時における湿度制御について説明する。図10は、皮膚と電極との間の相対湿度(%RH)と取得生体信号のSN比との関係を、ドライバーの着衣生地別に計測した結果である。着衣の生地としては、厚み、材質が異なる生地1乃至生地5の5種類のものが用いられた。ここで、生体情報取得装置においては、概略、検出信号のSN比が15dB以上であると、検出信号を生体信号として解析することが可能であり、検出信号のSN比が15dB未満であると、検出信号を生体信号として解析することが不可能となる。
図に示されるように、ドライバーの着衣生地の種類によっては、湿度40%RH程度で15dB以上の生体信号を検出することが可能であるが、一部の生地では15dB以上の生体信号を検出するためには、湿度40%RH以上必要なものもの存在している。このような観点から、本実施形態に係る生体情報取得装置では、生体信号を正しく検出するために一定以上の湿度環境を作り出すようにする。
なお、湿度50%RH以上とすれば、およそ8割の着衣生地に対応することが可能であるので、生体信号検出のための目標湿度を50%RHとすることができる。また、湿度60%RH以上とすれば、およそ全ての着衣生地に対応することが可能であるので、生体信号検出のための目標湿度を60%RHとすることもできる。生体信号検出のための目標湿度を50%RHとするか、60%RHとするかは、適宜設定することが可能である。
次に、本実施形態に係る生体情報取得装置の生体信号取得時における目標湿度を達成するための湿度制御について説明する。図11は各温度における飽和水蒸気量を示す図である。ここでは、生体信号検出のための目標湿度を50%RHとする場合で説明する。
図において、曲線Aは各温度における飽和水蒸気量を示しており、曲線Bは飽和水蒸気量の半分の水蒸気量―すなわち、湿度50%RHのカーブを示している。
いま、例えば、温度、湿度の状態が図中Xの点であるとすると、温度、湿度の状態は曲線Bの下方にあり、生体信号を検出するための湿度50%RHを下回っている、ということとなる。そこで、本実施形態に係る生体情報取得装置では、このような状態においては、例えば、ヒーター・クーラー60を動作させ、温度を図中Y点にまで下げ、相対湿度を50%RHとすることで、ドライバーからの生体信号を適正に検出する。
このような構成によれば、心臓の電気信号を検出するために必要な皮膚と電極との間の湿度を維持することが可能となり、安定して心電の電気信号を観測することが可能となる。
ヒーター・クーラー60が用いられる場合には、上記のように温度環境をX点からY点に移動させることで対応することができるが、湿度制御手段はこれに限らず、加湿器・除湿器70などを用いることもできる。加湿器・除湿器70を用いる場合には、X点の状態にあるときには、加湿してZ点の状態に持って行くことで、ドライバーからの生体信号を適正に検出する湿度とすることができる。このような加湿器及び除湿器による湿度制御によれば、電極とドライバーの皮膚との間の湿度を直接的に制御ことが可能であり、電気信号を検出できる状態に素早く変移させることができる。
次に、搭乗者の快適と感じる衣服内温度・湿度環境について説明する。図12は衣服温度と衣服湿度と人の快不快との関係を示す図である。図12において、(A)は人が「快適」と感じる衣服温度と衣服湿度の領域、(B)は人が「やや快適」と感じる衣服温度と衣服湿度の領域、(C)は人が「やや不快」と感じる衣服温度と衣服湿度の領域、(D)は人が「不快」と感じる衣服温度と衣服湿度の領域、(E)は人が「全く不快」と感じる衣服温度と衣服湿度の領域をそれぞれ示している。なお、図12は衣服温度と衣服湿度と人の快不快を示すものであるが、座席内部の第1、第2心電センサー電極210、220近傍の温度と湿度と人の快不快も、図12に準ずるものとして考える。したがって、本発明の生体情報取得装置では、座席内部の電極近傍の状態も温度で31℃〜33℃、及び湿度で40%RH〜60%RHを維持するように制御する。すなわち、座席内部が快適温度領域、快適湿度領域の範囲となるように制御される。
ただ、前述のように、生体信号を適切に検出するために電極近傍の湿度は、最低でも40%RH、衣服の生地によっては60%RH程度が要求されるので、本発明の生体情報取得装置では、この点も考慮し制御するものである。
次に、以上のように構成される本実施形態の生体情報取得装置の温度湿度制御処理について説明する。図5は本発明の実施形態に係る生体情報取得装置の温度湿度制御処理に関するメインフローチャートを示す図である。なお、以下のフローチャートにおいては、下限温度は31℃、上限温度は33℃、αは0.5℃程度を想定している。
図5において、ステップS100で、車輌のイグニッションの始動等と共に生体情報取得装置の湿度制御処理が開始されると、次にステップS101においては、生体情報取得装置の初期設定が行われる。この初期設定では、ドライバーに係る個人情報などが個人情報ファイル920などによって読み込まれる。
ステップS102で、心電情報取得部200によって、生体信号の検出処理を行う。ステップS103では、適正な生体信号であるか否かが判定される。ここで、生体信号が適正なものであるか否かを判定する技術については従来周知のものを利用することができる。
ステップS103における判定の結果がYESであればステップS104に進み、「快適性」制御のサブルーチンを実行する。ステップS104に続いてはステップS102に戻りループする。なお、本フローチャートは、イグニッション停止と共に停止する以外は常時ループするように構成されている。ステップS103における判定の結果がNOであればステップS105に進む。
ステップS103における判定の結果がNOであるときに進むステップS105では、ドライバー体勢検出部450の検出結果に基づき、ドライバーが適正な座席位置に座っているか否かが判定される。
ステップS105における判定結果がYESであるときには、湿度が低いことが原因で生体信号が取得できないことが考えられるので、ステップS106に進み、「生体情報計測環境」制御のサブルーチンを実行する。
ステップS105における判定結果がNOであるときには、ステップS107に進む。ステップS107では、ドライバーの姿勢が原因で生体信号が取得できていない可能性があるので、判定結果出力部600によりドライバーに対してシート位置修正推奨通知を報知する。
以上のような本実施形態の生体情報取得装置によれば、生体の電気信号を検出するために必要な皮膚と電極との間の湿度が維持されているような場合には、温度及び湿度があらかじめ設定された温度領域及び湿度領域内となるように制御されるので、安定して生体の電気信号を観測することが可能となると共に、搭乗者の快適性を損なうこともない。また、生体の電気信号を検出するために必要な皮膚と電極との間の湿度が維持されていない場合には、湿度が所定値以上となるように制御されるので、安定して心電の電気信号を観測することが可能となる。
次に、本実施形態の生体情報取得装置の温度湿度制御処理における「快適性」制御のサブルーチンについて説明する。図6は本発明の実施形態に係る生体情報取得装置の温度湿度制御処理における「快適性」制御のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
図6において、ステップS200で、サブルーチン「快適性」制御の処理が開始されると、続いて、ステップS201に進み、温度・湿度検出部500によって、電極とドライバーの皮膚間温度(座席内部)が検出される。
ステップS202では、検出された温度が快適温度下限(31℃)未満であるか否かが判定される。ステップS202における判定の結果がYESであるときにはステップS203に進み、ステップS202における判定の結果がNOであるときにはステップS208に進む。
ステップS203では、ヒーター・クーラー60のうちヒーターを作動させる。ここで、ヒータによって温度が上昇すると、湿度が下がることとなる。ステップS203からはステップS204に進む。
ステップS208では、快適温度上限(33℃)より高いか否かが判定される。ステップS208における判定結果がYESであるときにはステップS209に進み、ステップS208における判定結果がNOであるときにはステップS210に進む。
ステップS209では、ヒーター・クーラー60のうちクーラーを作動させる。ここで、クーラーによって温度が下がると、湿度は上がることとなる。ステップS210では、ヒーター・クーラー60の両方を停止する。ステップS209及びステップS210に続いては、ステップ204に進む。
ステップS204では、温度・湿度検出部500では、座席内部の電極〜皮膚間の湿度が検出される。ステップS205では、検出された湿度が快適湿度下限未満であるか否かが判定される。ステップS205における判定結果がYESであるときにはステップS206に進み、ステップS205における判定結果がNOであるときにはステップS211に進む。
ステップS206では、ヒーター・クーラー60のうちクーラーが停止中であるか否かが判定される。判定の結果がYESであればステップS207に進み、加湿器・除湿器70のうち加湿器が作動され、湿度が上げられる。また、判定の結果がNOであればステップS215に進みリターンする。
ステップS205における判定結果がNOであるときに進むはステップS211では、温度・湿度検出部500によって、快適湿度上限より高いか否かが判定される。
ステップS211の判定結果がYESであるときにはステップS212に進み、ステップS211の判定結果がNOであるときにはステップS214に進む。
ステップS212では、ヒーター・クーラー60のうちヒーターが停止中であるか否かが判定される。ステップS212の判定結果がYESであればステップS213にすすみ、加湿器・除湿器70のうち除湿器を作動させ、湿度を下げる。ステップS215に進みリターンする。
ステップS212の判定結果がNOであれば、ステップS215に進みリターンする。
ステップS211の判定結果がNOであるときに進むステップS214では、加湿器・除湿器70の双方を停止し、続いてステップS215に進みリターンする。
次に、本実施形態の生体情報取得装置の温度湿度制御処理における「生体情報計測環境」制御のサブルーチンについて説明する。図7は本発明の実施形態に係る生体情報取得装置の温度湿度制御処理における「生体情報計測環境」制御のサブルーチンのフローチャート(前段)を示す図であり、図8は本発明の実施形態に係る生体情報取得装置の温度湿度制御処理における「生体情報計測環境」制御のサブルーチンのフローチャート(後段)を示す図である。また、図9はフローチャートを補足的に説明する図であり、ヒーター・クーラーの作動・停止状況を示す図である。
図7において、ステップS300で、サブルーチン「生体情報計測環境」制御の処理が開始されると、続いてステップS301に進み、温度・湿度検出部500で、座席内部の電極−皮膚間の湿度の検出が行われる。
次に、ステップS302では、目標湿度設定フラグがOFFであるかが判定される。ここで、目標湿度設定フラグについて説明する。先に説明したように、湿度50%RH以上とすれば、およそ8割の着衣生地に対応することが可能であり、湿度60%RH以上とすれば、およそ全ての着衣生地に対応することが可能である。すなわち、目標湿度は状況に応じて、50%RHと設定したり、60%RHと設定したりすることが可能である。目標湿度として、値が定まっているときには目標湿度設定フラグはONされ、定まっていないときには目標湿度設定フラグはOFFされる。
ステップS302の判定結果がYESであるときにはステップS303に進み、目標電極〜皮膚間湿度が設定され、さらにステップS304に進み、目標湿度設定フラグがONされ、ステップS305に進む。
ステップS302の判定結果がNOであるときには、目標湿度が設定済みであるのでステップS305に進む。
ステップS305では、ステップS301で検出された湿度が目標湿度未満であるか否かが判定される。ステップS305の判定結果がYESであるときにはステップS306に進み、ステップS305の判定結果がNOであるときにはステップS323に進む。
ステップS306では、温度・湿度検出部500によって座席内部の電極〜皮膚間の温度が検出される。ステップS307では、快適温度下限(31℃)以下であるか否かが判定される。ステップS307の判定結果がYESであるときにはステップS308に進み、ステップS307の判定結果がNOであるときにはステップS311に進む。
ステップS308では、ヒーター・クーラー60のうちヒーターを作動させる。ここで、ヒーターによって温度が上がると、湿度は下がる。続いて、ステップS309では、加湿器・除湿器70のうち加湿器を作動させる。次に、ステップS310に進み、シートヒーター作動中フラグをONとする。このフラグはどのヒーターなどのうちどの機器がONであり、OFFであるかを示すフラグである。ステップS330に進みリターンする。
ステップS307の判定結果がNOであるときに進むステップS311では、快適温度下限+α℃(31.5℃)以下であるか否かが判定される。ステップS311の判定結果がYESであるときにはステップS312に進み、ステップS311の判定結果がNOであるときにはステップS315に進む。
ステップS312では、ヒーター・クーラー60のうちクーラー作動中フラグがONであるか否かが判定される。判定の結果がNOであればステップS330に進みリターンし、YESであればステップS313に進み、ヒーター・クーラー60のうちクーラーを停止する。続いて、ステップS314に進み、シートクーラー作動中フラグをOFFとする。
ステップS315 快適温度上限−α℃(32.5℃)以下であるか否かが判定される。ステップS315の判定結果がYESであればステップS316に進み、NOであればステップS319に進む。
ステップS316では、シートヒーター作動中フラグがONであるか否かが判定される。ステップS316の判定結果がNOであれば、ステップS330に進みリターンする。ステップS316の判定結果がYESであれば、ステップS317進み、ヒーター・クーラー60のうち、シートヒーターを停止し、続いてステップS318に進み、シートヒーター作動中フラグをOFFと設定し、さらにステップS330に進みリターンする。
ステップS319では、快適温度上限(33℃)以上であるか否かが判定される。ステップ2319の判定結果がNOでるときには、ステップS322に進む。ステップS322ではなんらかのエラーが発生したものとし、ステップS330に進みリターンする。
ステップS319の判定結果がYESであるときにはステップS320に進み、ヒーター・クーラー60のうちシートクーラーを作動させる。クーラー作動に伴い、温度が下がり、湿度が上がることとなる。次に、ステップS321に進み、シートクーラー作動中フラグをONとし、ステップS330に進みリターンする。
ステップS305における判定の結果がNOであるときに進むステップS323では、目標到達フラグをONとして、続いてステップS324に進み、ヒーター・クーラー60のうちシートヒーターを停止する。次に、ステップS325に進み、加湿器・除湿器70のうち加湿器を停止する。
続いて、ステップS326では、シートヒーター作動中フラグをOFFとし、ステップS327で、ヒーター・クーラー60のうちシートクーラーを停止し、さらにステップS328で、シートクーラー作動中フラグをOFFとする。次に、ステップS329に進み、目標湿度設定フラグをOFFとして、ステップS330でリターンする。
以上の「生体情報計測環境」制御のサブルーチンのフローチャートにおけるケース別具体例について示す。第1の例として、目標の湿度に達しておらす、加湿が必要であり、なおかつ快適温度利用域外(例えば、30.8℃)である場合には、制御においてはステップS306〜ステップS310をたどることとなり、ヒーター・クーラー60の作動停止状況は図9(A)に示すもののようになる。
また、第2の例として、第1の例に引き続き、温度が上昇し快適温度(31℃〜33℃)をオーバーしそうになった場合には、ヒーターをOFFとして、温度の上昇をとめるようにする。この場合には、制御においては、ステップS311、ステップS315〜ステップS318をたどることとなり、ヒーター・クーラー60の作動停止状況は図9(B)に示すもののようになる。
また、第3の例として、目標の湿度に達しておらす、加湿が必要であり、なおかつ快適温度利用域外(例えば、33.2℃)である場合には、制御においてはステップS311、ステップS315、ステップS319〜ステップS321をたどることとなり、ヒーター・クーラー60の作動停止状況は図9(C)に示すもののようになる。
また、第4の例として、第3の例に引き続き、温度が下降し快適温度(31℃〜33℃)を下回りそうになった場合には、クーラーをOFFとして、温度の下降をとめるようにする。この場合には、制御においては、ステップS311〜ステップS314をたどることとなり、ヒーター・クーラー60の作動停止状況は図9(D)に示すもののようになる。
また、第4の例に引き続く、第5の例として、目標の湿度に達しておらす、加湿が必要であり、なおかつ快適温度利用域外(例えば、30.8℃)である場合に再びなったときには、制御においてはステップS306〜ステップS310をたどることとなり、ヒーター・クーラー60の作動停止状況は図9(D)に示すもののようになる。
以上、本実施形態の生体情報取得装置によれば、生体の電気信号を検出するために必要な皮膚と電極との間の湿度が維持されているような場合には、温度及び湿度があらかじめ設定された温度領域及び湿度領域内となるように制御されるので、安定して生体の電気信号を観測することが可能となると共に、搭乗者の快適性を損なうこともない。
また、本実施形態の生体情報取得装置によれば、生体の電気信号を検出するために必要な皮膚と電極との間の湿度が維持されていない場合には、湿度が所定値以上となるように制御されるので、安定して心電の電気信号を観測することが可能となる。
10・・・運転席、20・・・運転席シートベルト、21・・・第1電極用1段目アンプ部、25・・・第1心電センサー電極用同軸ケーブル、30・・・第2心電センサー電極、31・・・第2心電センサー電極用1段目アンプ部、35・・・第2心電センサー電極用同軸ケーブル、40・・・アース電極、45・・・アース用ケーブル、50・・・2段目アンプ部、51・・・アンプ、52・・・ハイパスフィルター、53・・・ローパスフィルター、60・・・ヒーター・クーラー、70・・・加湿器・除湿器、80・・・圧力センサー、91・・・温度センサー、92・・・湿度センサー100・・・制御処理部、200・・・心電情報取得部、210、220・・・第1、第2心電センサー電極、300・・・温度制御部、400・・・湿度制御部、450・・・ドライバー体勢検出部、500・・・温度・湿度検出部、600・・・判定結果出力部、610・・・ディスプレイ、620・・・スピーカー、900・・・記憶部、920・・・個人情報ファイル