JP4992848B2 - 溶接ビード検査方法、及び、溶接ビード検査装置 - Google Patents

溶接ビード検査方法、及び、溶接ビード検査装置 Download PDF

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Description

本発明は、溶接ビード検査方法、及び、溶接ビード検査装置に関し、より詳しくは、母材面同士を溶接した場合にビード形状を検出する技術に関する。
従来、溶接ビードの形状を検出し、溶接箇所の検査を行う手法が広く用いられており、公知となっている。
例えば、電縫溶接管のビード部の母材面曲線を最小二乗法による近似計算から求め、ビード部断面の測定値と母材近似曲線よりビード部の形状を検出する方法が公知となっており、以下に示す特許文献1および特許文献2等において開示されている。
特開平9−89524号公報 特開2004−117053号公報
前記に示すような従来技術においては、任意の一定幅の母材推定区間を設定し、該母材推定区間中の断面プロファイルのデータから、前記母材の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、前記断面プロファイルから該母材推定曲線に対して引き出し方向に応じて垂線を引き、該垂線の長さが立上り/立下り閾値以下となる前記断面プロファイル上の境界点をビードエッジとして推定する手法が用いられる(図8〜図10参照)。ここで、ビード部を境とする両側の母材面曲線は緩やかな同一円弧上や同一平面上に位置するものとして想定し、最小二乗法等による近似計算から求めている。
しかし、前記従来技術ではビード部両側の母材面が曲率の大きな曲面形状を有するような場合は想定されていない。従って、このような面曲線を有する部材に対して従来技術を適用すると、曲率の大きい母材部分において前記母材推定曲線に対する垂線の長さが立上り/立下り閾値以下となることがあるため、その部分をビードエッジとして誤って検出してしまい、正確なビードエッジ検出結果が得られない場合があった。
そこで本発明では、上記に鑑み、ビード部両側の母材面が曲率の大きな曲面形状であってもビード部の形状を精度良く検出することができ、適切な検査が可能となる溶接ビード検査方法、及び、溶接ビード検査装置を提供するものである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、第一母材と第二母材とが溶接されている溶接箇所における、前記第一母材又は/及び前記第二母材と、ビードと、を含む複数の断面プロファイルのデータを順次検出して、前記複数の断面プロファイルからなる断面プロファイル群を取得し、取得した前記断面プロファイル群より選択した、一つの断面プロファイルのデータに基づいて母材面の近似曲線を算出し、算出した近似曲線を用いてビードエッジを検出する溶接ビード検査方法において、前記断面プロファイルの前記第一母材又は/及び前記第二母材上に、任意の一定幅Dの母材推定区間と、該母材推定区間に対して前記ビード側に隣接し、前記母材推定区間のビード側端点における曲率kに応じて区間幅δが定められるビードエッジ探索区間と、からなる母材区間を設定する、設定工程と、前記母材推定区間中の断面プロファイルのデータから、前記母材の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、該母材推定曲線を用いて、ビードエッジ探索区間におけるビードエッジを検出する、ビードエッジ検出工程と、を備えるものである。
請求項2においては、前記設定工程では、最初の断面プロファイルの場合は、初期値より起点Pを定義し、若しくは、最初の断面プロファイルでない場合は、前断面プロファイルのビードエッジと同じX座標を持つ点から、前記ビードと反対側に設定値だけオフセットして起点Pを定義し、前記起点Pから前記ビードと反対側に、前記母材推定区間を設定し、前記起点Pにおける曲率kを測定し、前記起点Pから前記ビードと同じ側に、前記曲率kと前記区間幅δが負の相関関係を持つように前記ビードエッジ探索区間を設定するものである。
請求項3においては、前記ビードエッジ検出工程では、前記母材推定区間中の断面プロファイルのデータから、前記母材の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、前記断面プロファイルから該母材推定曲線に対して引き出し方向に応じて垂線を引き、該垂線の長さが立上り/立下り閾値以下となる前記断面プロファイル上の境界点をビードエッジとして推定するものである。
請求項4においては、前記ビードエッジ検出工程において、前記境界点が検出された場合には、検出された該境界点を前記ビードエッジとして推定し、前記境界点が検出されなかった場合には、前記ビードエッジ探索区間を前記ビード側に区間幅δだけ移動させて、前記ビードエッジ探索区間を更新するものである。
請求項5においては、前記母材推定曲線は、前記母材推定区間の前記断面プロファイルのデータに基づいて、ロバスト推定手法によって近似計算するものである。
請求項6においては、第一母材と第二母材とが溶接されている溶接箇所における、前記第一母材又は/及び前記第二母材と、ビードと、を含む断面プロファイルのデータを複数検出して、前記複数の断面プロファイルからなる断面プロファイル群を取得する、断面プロファイル検出手段と、取得した前記断面プロファイル群より選択した、一つの断面プロファイルのデータに基づいて母材面の近似曲線を算出し、算出した近似曲線を用いてビードエッジを検出する演算手段と、を備える溶接ビード検査装置において、前記演算手段は、前記断面プロファイルの前記第一母材又は/及び前記第二母材上に、任意の一定幅Dの母材推定区間と、該母材推定区間に対して前記ビード側に隣接し、前記母材推定区間のビード側端点における曲率kに応じて区間幅δが定められるビードエッジ探索区間と、からなる母材区間を設定する、設定手段と、前記母材推定区間中の断面プロファイルのデータから、前記母材の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、該母材推定曲線を用いて、ビードエッジ探索区間におけるビードエッジを検出する、ビードエッジ検出手段と、を備えるものである。
請求項7においては、前記設定手段では、最初の断面プロファイルの場合は、初期値より起点Pを定義し、若しくは、最初の断面プロファイルでない場合は、前断面プロファイルのビードエッジと同じX座標を持つ点から、前記ビードと反対側に設定値だけオフセットして起点Pを定義し、前記起点Pから前記ビードと反対側に、前記母材推定区間を設定し、前記起点Pにおける曲率kを測定し、前記起点Pから前記ビードと同じ側に、前記曲率kと前記区間幅δが負の相関関係を持つように前記ビードエッジ探索区間を設定するものである。
請求項8においては、前記ビードエッジ検出手段では、前記母材推定区間中の断面プロファイルのデータから、前記母材の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、前記断面プロファイルから該母材推定曲線に対して引き出し方向に応じて垂線を引き、該垂線の長さが立上り/立下り閾値以下となる前記断面プロファイル上の境界点をビードエッジとして推定するものである。
請求項9においては、前記ビードエッジ検出手段において、前記境界点が検出された場合には、検出された該境界点を前記ビードエッジとして推定し、前記境界点が検出されなかった場合には、前記ビードエッジ探索区間を前記ビード側に区間幅δだけ移動させて、前記ビードエッジ探索区間を更新するものである。
請求項10においては、前記母材推定曲線は、前記母材推定区間の前記断面プロファイルのデータに基づいて、ロバスト推定手法によって近似計算するものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
本発明により、ビード部両側の母材面が曲率の大きな曲面形状であってもビード部の形状を精度良く検出することができ、適切な検査が可能となる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は(a)は本発明の一実施例に係る断面プロファイルの計測方法を示す模式図、(b)は断面プロファイル群を構成する断面プロファイルの一例を示す模式図である。
図2は断面プロファイルを示す模式図である。
図3は本発明に係る溶接ビード検査処理を示すフロー図である。
図4は設定工程(処理0/処理1)での処理を示すフロー図である。
図5は前断面プロファイルにおけるビードエッジ検出結果を、次断面プロファイルにおけるビードエッジ探索にフィードバックする手法を示す模式図である。
図6(a)は処理1における曲率kと区間幅δの関係を示した第1の図、(b)は同じく処理1における曲率kと区間幅δの関係を示した第2の図である。
図7はビードエッジ検出工程(処理2)での処理を示すフロー図である。
図8は断面プロファイルを示す模式図である。
図9は断面プロファイルと母材推定曲線との関係を示す模式図である。
図10は符号付垂線長と閾値の関係を示す模式図である。
図11はビードエッジ検出工程(処理3)での処理を示すフロー図である。
図12は同じくビードエッジ検出工程での処理を示す模式図である。
[溶接ビード検査方法の概要]
まず始めに、本発明の一実施例に係る断面プロファイルの計測方法について説明をする。
図1(a)に示す如く、本発明に係るビード検査装置1は、断面プロファイルの計測方法として、いわゆる光切断法を採用しており、レーザスキャナ2および演算装置3を備える構成としている。そして、第一母材4、第二母材5およびビード6を含む溶接部品7の表面にスリット光8を投光し、このスリット光8によって描き出される投影光9をビード6の長手方向に沿って移動しながらスキャンすることによって連続的に断面プロファイルを計測し、計測した複数の断面プロファイルを断面プロファイル群とすることで、溶接部材7の表面形状データを取得するようにしている。
断面プロファイル群を構成する断面プロファイルの一例を図1(b)に示す。断面プロファイルのデータには、母材面(即ち、第一母材4、第二母材5)およびビード6の形状データが含まれており、この形状データに基づいて演算装置3によってビードエッジE1・E2を探索するようにしている。なお、図1(b)に示す断面プロファイルは隅肉溶接の場合を例示している。
次に、本発明に係るビードエッジEの検出方法について図2及び図3を用いて説明をする。
前記ビードエッジEの検出処理は、図2に示すように、前記断面プロファイルの前記第一母材4又は/及び前記第二母材5上に、任意の一定幅Dの母材推定区間PQと、該母材推定区間PQに対して前記ビード6側に隣接する、区間幅δのビードエッジ探索区間PRと、からなる母材区間PQRが設定されて行われる。
本発明に係る溶接ビード検査処理を示すフロー図を図3に示す。
まず、処理0及び処理1によって、母材区間PQR(母材推定区間PQ及びビードエッジ探索区間PR)の設定が行われる(設定工程・S1−01)。なお、このビードエッジ探索区間PRの区間幅δは、母材推定区間PQの任意の一定幅Dに比して十分小さい値(即ち、δ≪D)に設定するようにしている。
次に、処理3によって処理2の反復計算が行われ、ビードエッジEが探索される(ビードエッジ検出工程・S1−02)。
次に、次断面プロファイルの処理が行われる(S1−03)。
[処理0及び処理1・設定工程]
以下、本発明に係るビードエッジEの検出方法について行われる各処理について、具体的に説明する。
まず、図4から図6を用いて、設定工程における処理0について説明する。
処理0においては、断面プロファイル群(断面1、2、3、・・・)における最初の断面プロファイルかどうかが判断される(S2−01)。
前記(S2−01)の判断において、最初の断面プロファイルであると判断された場合、与えられた初期値より起点P(P1・P2)が定義され(S2−02)、その後に(S2−05)へと進む。
一方、前記(S2−01)の判断において、最初の断面プロファイルでないと判断された場合、前断面のビードエッジE´(E´1・E´2)と同じX座標を持つ、現断面プロファイル上の点e´(e´1・e´2)が定義される(S2−03)。
次に、点e´からビードと反対側に△だけオフセットした点が起点P(P1・P2)と定義される(S2−04)。
次に、起点P(P1・P2)からビードと反対側に任意の一定幅Dだけオフセットした点がQ(Q1・Q2)と定義される(S2−05)。
次に、断面プロファイルの起点P(P1・P2)における曲率k(k1・k2)を測定する(S2−06)。
次に、後述する処理1により、前記曲率k(k1・k2)に応じて区間幅δ(δ1・δ2)(≪D)が定められる(S2−07)。
次に、起点P(P1・P2)からビードと同じ側に前記区間幅δ(≪D)だけオフセットした点がR(R1・R2)と定義され(S2−08)、終了する。
上記のように、処理0における設定工程では、最初の断面プロファイルの場合は、初期値より起点P(P1・P2)を定義し、若しくは、最初の断面プロファイルでない場合は、図5に示すように前断面プロファイルのビードエッジE´(E´1・E´2)と同じX座標を持つ点e´(e´1・e´2)からビードと反対側に設定値△だけオフセットして起点P(P1・P2)を定義し、該起点P(P1・P2)から前記ビードと反対側に前記母材推定区間PQ(P1Q1・P2Q2)が設定され、前記起点Pからビードと同じ側に前記ビードエッジ探索区間PR(P1R1・P2R2)が設定されるのである。
即ち、処理0に係る設定手段では、最初の断面プロファイルの場合は、初期値より起点P(P1・P2)を定義し、若しくは、最初の断面プロファイルでない場合は、前断面プロファイルのビードエッジE´(E´1・E´2)と同じX座標を持つ点e´(e´1・e´2)から、ビードと反対側に設定値だけオフセットして起点P(P1・P2)を定義し、前記起点P(P1・P2)から前記ビード6と反対側に、前記母材推定区間PQ(P1Q1・P2Q2)を設定し、前記起点P(P1・P2)からビードと同じ側に、前記ビードエッジ探索区間PR(P1R1・P2R2)を設定するのである。
つまり本発明に係るビード検査装置1では、一本のビードを長手方向にスキャンし連続的に断面プロファイルを検出し、断面プロファイル群として溶接箇所の形状データを取得するようにしていため、ある断面プロファイルと、その次の断面プロファイルは形状が極めて近似している場合が多いと考えられる。
そこで、この形状の近似性を利用して、前断面におけるビードエッジ検出位置を基準にして、次断面の母材推定区間の初期位置を決めることにより、よりビードエッジ位置に近い適正な位置に母材推定区間を設定できるようにし、母材推定曲線の反復計算回数を軽減し、ビードエッジ推定に要する計算時間を短縮するようにしているのである。
ここで、前記設定工程における処理1では、前記母材推定区間のビード側端点における曲率kと負の相関関係を持つように区間幅δが定められる。本実施例においては具体的に、区間幅δ(k)は曲率kに応じて、次式(1)により求められる。
Figure 0004992848
上記式(1)において、δMは区間幅δの最大値、δmは区間幅δの最小値、k0は区間幅δが最小値δmとなるときの曲率定数をそれぞれ表す。
即ち、本実施例においては図6(a)に示すように、曲率kが0以上k0以下の場合は、区間幅δは曲率kの増加に伴って最大値δMから最小値δmまで一次関数的に減少し、曲率kがk0より大きい場合は、区間幅δは最小値δmをとるのである。
このように設定することにより、曲率kが小さい場合は区間幅δを大きくとり、曲率kが大きい場合は区間幅δを小さくとることができる。
即ち、ビード部両側の母材面が曲率kの小さな曲面形状を有する場合は区間幅δを大きすることで、前記ビードエッジE(E1・E2)検出の精度を確保するとともに、ビード部両側の母材面が曲率kの大きな曲面形状を有するような場合は区間幅δを小さくすることで、母材部分をビードエッジE(E1・E2)として誤って検出することを防止できるのである。換言すれば、曲率kが大きい場合であっても、正確なビードエッジ検出結果を得ることができるのである。
なお、処理1において、区間幅δの設定方法は前記式(1)による方法に限定されることはなく、区間幅δが曲率kと負の相関関係を持つように設定される方法であれば良い。例えば、次式(2)によって求める方法でも良い。
Figure 0004992848
上記式(2)においては、δMは区間幅δの最大値、δmは区間幅δの最小値、k0は曲率定数をそれぞれ表す。
即ち、本式によれば、図6(b)に示すように、区間幅δは曲率kの増加に伴って最大値δMから最小値δmまで、定義域が負の範囲をとる指数関数として減少するのである。このように設定することによっても、曲率kが小さい場合は区間幅δを大きくとり、曲率kが大きい場合は区間幅δを小さくとることができ、前式(1)と同様の効果を得ることができるのである。このように、曲率kの増加に応じて区間幅δが減少する構成であれば、本実施例と異なる設定にすることは可能となる。
[処理2及び処理3・ビードエッジ検出工程]
次に、図7から図10を用いて、ビードエッジ検出工程について説明する。処理2は後述する処理3内で繰り返される処理である。
処理2においては、まず、前記母材推定区間PQ(P1Q1・P2Q2)の点群データに対して、適当な曲線(例えば2次曲線)を適当にフィッティングして(例えば、最小2乗法)、第1母材推定曲線及び第2母材推定曲線が計算される(S3−01)。
ここで求めた各母材推定曲線を、図8に示す断面プロファイルの模式図と重ね合わせると、図9のように表される。
次に、断面プロファイルの各点(X,Z)から、第1母材推定曲線及び第2母材推定曲線に下ろした符号付き垂線長(又はその近似値)H(X)が計算される(S3−02)。ここで、図9中においてZ軸の正の方向に向けて引かれる垂線には正の符号を付し、反対に、Z軸の負の方向に向けて引かれる垂線には負の符号を付すようにしている。そして、横軸をXとし、縦軸に垂線長(又はその近似値)H(X)をとってグラフ化すると、図10の如く表すことができる。
次に、母材推定区間PQ(P1Q1・P2Q2)の起点P(P1・P2)からビード側に向かって、垂線長(又はその近似値)H(X)が閾値TH1(>0)を上回る、又は、−TH1を下回る点をビードエッジE(E1・E2)として探索し(S3−03)、終了する。
上記のように、処理2におけるビードエッジ検出工程では、前記母材推定区間PQ(P1Q1・P2Q2)中の断面プロファイルのデータから、前記第一母材4又は/及び前記第二母材5の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、前記断面プロファイルから該母材推定曲線に対して引き出し方向に応じて垂線を引き、垂線長(又はその近似値)H(X)が立上り/立下り閾値TH1以下となる前記断面プロファイル上の境界点をビードエッジE(E1・E2)として推定するのである。
即ち、処理2に係るビードエッジ検出手段では、前記母材推定区間PQ(P1Q1・P2Q2)中の断面プロファイルから、前記第一母材4又は/及び前記第二母材5の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、前記断面プロファイルから該母材推定曲線に対して引き出し方向に応じて垂線を引き、垂線長(又はその近似値)H(X)が立上り/立下り閾値TH1以下となる前記断面プロファイル上の境界点をビードエッジE(E1・E2)として推定するのである。
このように、本発明においては、第1母材推定曲線および第2母材推定曲線を設定し、母材面の推定を直線近似ではなく曲線近似で行うため、曲面状の母材同士を溶接した箇所のビードに対してもビードエッジE(E1・E2)を検出することができるのである。
なお、第一母材4と第二母材5は必ずしも異なる部材である必要はなく、例えば、電縫管の溶接部のように、同一部材中の端面同士を溶接するような場合にも本発明を適用することができる。
ここで、ビードエッジ探索区間PRの区間幅δは、上記の通り母材面の曲率kに応じて調節される。即ち、母材面の曲率kが大きい場合は区間幅δが小さく設定されるため、母材部分をビードエッジE(E1・E2)として誤って検出することを防止でき、正確なビードエッジ検出結果を得ることができるように設定されているのである。
次に、図11及び図12を用いて、処理3について説明する。
図11に示すように、処理2におけるビードエッジ検出工程のステップによって、母材推定区間PQから符号付の垂線長(又はその近似値)H(X)の立上り/立下り点Eを検出する(S4−01)。
次に、前記立上り/立下り点がビードエッジ探索区間PR内に存在するか否かの判定を行う(S4−02)。
ビードエッジ探索区間PR内で立上り/立下り点が検出された場合、そのままビードエッジEとして決定し(S4−03)、終了する。
ビードエッジ探索区間PR内で立上り/立下り点が検出されなかった場合、母材推定区間PQとビードエッジ探索区間PRを更新するようにした上で(S4−04)、最初のステップ(S4−01)へ戻って繰り返すようにし、ビードエッジEの探索を行うようにしている。
尚、このビードエッジEの検出方法では、無限ループを回避するために、母材推定区間PQとビードエッジ探索区間PRの更新回数に上限を設けておくことが望ましい。
前記ビードエッジEの検出方法における母材推定区間PQとビードエッジ探索区間PRの更新方法を、図12を用いて説明する。
なお、ここでは片側の母材推定区間(即ち、第一母材推定区間、あるいは、第二母材推定区間)のみ取り上げて説明を行うが、両側の母材推定区間に同時に適用することが可能である。本実施例における以下の説明についても、同様とする。
図12に示す如く、更新前のビード断面プロファイルでは、ビード側の起点Pを基準として、任意の一定幅Dとするように反対側の境界点Qを定めて、母材推定区間PQを設定するようにしている。
そして、ビード側の起点Pからさらにビード寄りに、区間幅δとするように境界点Rを定めて、ビードエッジ探索区間PRを設定するようにしている。
ビードエッジ探索区間PR内でビードエッジEが見つからなかった場合には、まず、元の点Rと同じX座標の位置を、ビード側の起点P´とし更新する。そして、起点P´を基準として任意の一定幅Dとするように反対側の境界点Q´を定めて、母材推定区間P´Q´に更新するようにしている。さらに、起点P´からさらにビードよりに、区間幅δとするように境界点R´を定めて、ビードエッジ探索区間P´R´として更新するようにしている。
なお、ビードエッジ探索区間PR内でビードエッジEが見つからなかった場合に、元の点Rの位置をビード側の起点P´として更新するが、反対側の境界点Qは更新せず、母材推定区間P´Qに更新することも可能である。この場合は、母材推定区間の区間長はビード側の起点Pを更新する度に成長していく。
上記のように、ビードエッジ検出工程においては、前記ビードエッジEが検出された場合には、検出された該ビードエッジEを前記ビードエッジEとして推定し、前記ビードエッジEが検出されなかった場合には、前記ビードエッジ探索区間PRを前記ビード側に任意の区間幅δだけ移動させて、前記ビードエッジ探索区間PRを更新するのである。
即ち、ビードエッジ検出手段においては、前記ビードエッジEが検出された場合には、検出された該ビードエッジEを前記ビードエッジEとして推定し、前記ビードエッジEが検出されなかった場合には、前記ビードエッジ探索区間PRを前記ビード側に任意の区間幅δだけ移動させて、前記ビードエッジ探索区間PRを更新するのである。
このように、本発明においては、母材推定区間PQの初期位置がビードの想定位置から離れており、または、ビードの余盛が小さい場合であっても、順次ビードエッジ探索区間をビート側に更新していくことにより、精度良くビードエッジEを検出することができるのである。
(a)は本発明の一実施例に係る断面プロファイルの計測方法を示す模式図、(b)は断面プロファイル群を構成する断面プロファイルの一例を示す模式図。 断面プロファイルを示す模式図。 本発明に係る溶接ビード検査処理を示すフロー図。 設定工程(処理0/処理1)での処理を示すフロー図。 前断面プロファイルにおけるビードエッジ検出結果を、次断面プロファイルにおけるビードエッジ探索にフィードバックする手法を示す模式図。 (a)は処理1における曲率kと区間幅δの関係を示した第1の図、(b)は同じく処理1における曲率kと区間幅δの関係を示した第2の図。 ビードエッジ検出工程(処理2)での処理を示すフロー図。 断面プロファイルを示す模式図。 断面プロファイルと母材推定曲線との関係を示す模式図。 符号付垂線長と閾値の関係を示す模式図。 ビードエッジ検出工程(処理3)での処理を示すフロー図。 同じくビードエッジ検出工程での処理を示す模式図。
符号の説明
1 ビード検査装置
2 レーザスキャナ
3 演算手段
4 第一母材
5 第二母材
6 ビード

Claims (10)

  1. 第一母材と第二母材とが溶接されている溶接箇所における、前記第一母材又は/及び前記第二母材と、ビードと、を含む複数の断面プロファイルのデータを順次検出して、前記複数の断面プロファイルからなる断面プロファイル群を取得し、
    取得した前記断面プロファイル群より選択した、一つの断面プロファイルのデータに基づいて母材面の近似曲線を算出し、算出した近似曲線を用いてビードエッジを検出する溶接ビード検査方法において、
    前記断面プロファイルの前記第一母材又は/及び前記第二母材上に、任意の一定幅Dの母材推定区間と、該母材推定区間に対して前記ビード側に隣接し、前記母材推定区間のビード側端点における曲率kに応じて区間幅δが定められるビードエッジ探索区間と、からなる母材区間を設定する、設定工程と、
    前記母材推定区間中の断面プロファイルのデータから、前記母材の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、該母材推定曲線を用いて、ビードエッジ探索区間におけるビードエッジを検出する、ビードエッジ検出工程と、を備える、
    ことを特徴とする、溶接ビード検査方法。
  2. 前記設定工程では、
    最初の断面プロファイルの場合は、初期値より起点Pを定義し、
    若しくは、最初の断面プロファイルでない場合は、前断面プロファイルのビードエッジと同じX座標を持つ点から、前記ビードと反対側に設定値だけオフセットして起点Pを定義し、
    前記起点Pから前記ビードと反対側に、前記母材推定区間を設定し、
    前記起点Pにおける曲率kを測定し、
    前記起点Pから前記ビードと同じ側に、前記曲率kと前記区間幅δが負の相関関係を持つように前記ビードエッジ探索区間を設定する、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の溶接ビード検査方法。
  3. 前記ビードエッジ検出工程では、
    前記母材推定区間中の断面プロファイルのデータから、前記母材の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、
    前記断面プロファイルから該母材推定曲線に対して引き出し方向に応じて垂線を引き、
    該垂線の長さが立上り/立下り閾値以下となる前記断面プロファイル上の境界点をビードエッジとして推定する、
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の溶接ビード検査方法。
  4. 前記ビードエッジ検出工程において、
    前記境界点が検出された場合には、検出された該境界点を前記ビードエッジとして推定し、
    前記境界点が検出されなかった場合には、前記ビードエッジ探索区間を前記ビード側に区間幅δだけ移動させて、
    前記ビードエッジ探索区間を更新する、
    ことを特徴とする、請求項3に記載の溶接ビード検査方法。
  5. 前記母材推定曲線は、前記母材推定区間の前記断面プロファイルのデータに基づいて、ロバスト推定手法によって近似計算する、
    ことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の溶接ビード検査方法。
  6. 第一母材と第二母材とが溶接されている溶接箇所における、前記第一母材又は/及び前記第二母材と、ビードと、を含む断面プロファイルのデータを複数検出して、前記複数の断面プロファイルからなる断面プロファイル群を取得する、断面プロファイル検出手段と、
    取得した前記断面プロファイル群より選択した、一つの断面プロファイルのデータに基づいて母材面の近似曲線を算出し、算出した近似曲線を用いてビードエッジを検出する演算手段と、
    を備える溶接ビード検査装置において、
    前記演算手段は、
    前記断面プロファイルの前記第一母材又は/及び前記第二母材上に、任意の一定幅Dの母材推定区間と、該母材推定区間に対して前記ビード側に隣接し、前記母材推定区間のビード側端点における曲率kに応じて区間幅δが定められるビードエッジ探索区間と、からなる母材区間を設定する、設定手段と、
    前記母材推定区間中の断面プロファイルのデータから、前記母材の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、該母材推定曲線を用いて、ビードエッジ探索区間におけるビードエッジを検出する、ビードエッジ検出手段と、を備える、
    ことを特徴とする、溶接ビード検査装置。
  7. 前記設定手段では、
    最初の断面プロファイルの場合は、初期値より起点Pを定義し、
    若しくは、最初の断面プロファイルでない場合は、前断面プロファイルのビードエッジと同じX座標を持つ点から、前記ビードと反対側に設定値だけオフセットして起点Pを定義し、
    前記起点Pから前記ビードと反対側に、前記母材推定区間を設定し、
    前記起点Pにおける曲率kを測定し、
    前記起点Pから前記ビードと同じ側に、前記曲率kと前記区間幅δが負の相関関係を持つように前記ビードエッジ探索区間を設定する、
    ことを特徴とする、請求項6に記載の溶接ビード検査装置。
  8. 前記ビードエッジ検出手段では、
    前記母材推定区間中の断面プロファイルのデータから、前記母材の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、
    前記断面プロファイルから該母材推定曲線に対して引き出し方向に応じて垂線を引き、
    該垂線の長さが立上り/立下り閾値以下となる前記断面プロファイル上の境界点をビードエッジとして推定する、
    ことを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の溶接ビード検査装置。
  9. 前記ビードエッジ検出手段において、
    前記境界点が検出された場合には、検出された該境界点を前記ビードエッジとして推定し、
    前記境界点が検出されなかった場合には、前記ビードエッジ探索区間を前記ビード側に区間幅δだけ移動させて、
    前記ビードエッジ探索区間を更新する、
    ことを特徴とする、請求項8に記載の溶接ビード検査装置。
  10. 前記母材推定曲線は、前記母材推定区間の前記断面プロファイルのデータに基づいて、ロバスト推定手法によって近似計算する、
    ことを特徴とする、請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の溶接ビード検査装置。
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