JP4992848B2 - 溶接ビード検査方法、及び、溶接ビード検査装置 - Google Patents
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Description
例えば、電縫溶接管のビード部の母材面曲線を最小二乗法による近似計算から求め、ビード部断面の測定値と母材近似曲線よりビード部の形状を検出する方法が公知となっており、以下に示す特許文献1および特許文献2等において開示されている。
図1は(a)は本発明の一実施例に係る断面プロファイルの計測方法を示す模式図、(b)は断面プロファイル群を構成する断面プロファイルの一例を示す模式図である。
図2は断面プロファイルを示す模式図である。
図3は本発明に係る溶接ビード検査処理を示すフロー図である。
図4は設定工程(処理0/処理1)での処理を示すフロー図である。
図5は前断面プロファイルにおけるビードエッジ検出結果を、次断面プロファイルにおけるビードエッジ探索にフィードバックする手法を示す模式図である。
図6(a)は処理1における曲率kと区間幅δの関係を示した第1の図、(b)は同じく処理1における曲率kと区間幅δの関係を示した第2の図である。
図7はビードエッジ検出工程(処理2)での処理を示すフロー図である。
図8は断面プロファイルを示す模式図である。
図9は断面プロファイルと母材推定曲線との関係を示す模式図である。
図10は符号付垂線長と閾値の関係を示す模式図である。
図11はビードエッジ検出工程(処理3)での処理を示すフロー図である。
図12は同じくビードエッジ検出工程での処理を示す模式図である。
まず始めに、本発明の一実施例に係る断面プロファイルの計測方法について説明をする。
図1(a)に示す如く、本発明に係るビード検査装置1は、断面プロファイルの計測方法として、いわゆる光切断法を採用しており、レーザスキャナ2および演算装置3を備える構成としている。そして、第一母材4、第二母材5およびビード6を含む溶接部品7の表面にスリット光8を投光し、このスリット光8によって描き出される投影光9をビード6の長手方向に沿って移動しながらスキャンすることによって連続的に断面プロファイルを計測し、計測した複数の断面プロファイルを断面プロファイル群とすることで、溶接部材7の表面形状データを取得するようにしている。
前記ビードエッジEの検出処理は、図2に示すように、前記断面プロファイルの前記第一母材4又は/及び前記第二母材5上に、任意の一定幅Dの母材推定区間PQと、該母材推定区間PQに対して前記ビード6側に隣接する、区間幅δのビードエッジ探索区間PRと、からなる母材区間PQRが設定されて行われる。
まず、処理0及び処理1によって、母材区間PQR(母材推定区間PQ及びビードエッジ探索区間PR)の設定が行われる(設定工程・S1−01)。なお、このビードエッジ探索区間PRの区間幅δは、母材推定区間PQの任意の一定幅Dに比して十分小さい値(即ち、δ≪D)に設定するようにしている。
次に、処理3によって処理2の反復計算が行われ、ビードエッジEが探索される(ビードエッジ検出工程・S1−02)。
次に、次断面プロファイルの処理が行われる(S1−03)。
以下、本発明に係るビードエッジEの検出方法について行われる各処理について、具体的に説明する。
まず、図4から図6を用いて、設定工程における処理0について説明する。
処理0においては、断面プロファイル群(断面1、2、3、・・・)における最初の断面プロファイルかどうかが判断される(S2−01)。
前記(S2−01)の判断において、最初の断面プロファイルであると判断された場合、与えられた初期値より起点P(P1・P2)が定義され(S2−02)、その後に(S2−05)へと進む。
一方、前記(S2−01)の判断において、最初の断面プロファイルでないと判断された場合、前断面のビードエッジE´(E´1・E´2)と同じX座標を持つ、現断面プロファイル上の点e´(e´1・e´2)が定義される(S2−03)。
次に、点e´からビードと反対側に△だけオフセットした点が起点P(P1・P2)と定義される(S2−04)。
次に、起点P(P1・P2)からビードと反対側に任意の一定幅Dだけオフセットした点がQ(Q1・Q2)と定義される(S2−05)。
次に、断面プロファイルの起点P(P1・P2)における曲率k(k1・k2)を測定する(S2−06)。
次に、後述する処理1により、前記曲率k(k1・k2)に応じて区間幅δ(δ1・δ2)(≪D)が定められる(S2−07)。
次に、起点P(P1・P2)からビードと同じ側に前記区間幅δ(≪D)だけオフセットした点がR(R1・R2)と定義され(S2−08)、終了する。
そこで、この形状の近似性を利用して、前断面におけるビードエッジ検出位置を基準にして、次断面の母材推定区間の初期位置を決めることにより、よりビードエッジ位置に近い適正な位置に母材推定区間を設定できるようにし、母材推定曲線の反復計算回数を軽減し、ビードエッジ推定に要する計算時間を短縮するようにしているのである。
即ち、ビード部両側の母材面が曲率kの小さな曲面形状を有する場合は区間幅δを大きすることで、前記ビードエッジE(E1・E2)検出の精度を確保するとともに、ビード部両側の母材面が曲率kの大きな曲面形状を有するような場合は区間幅δを小さくすることで、母材部分をビードエッジE(E1・E2)として誤って検出することを防止できるのである。換言すれば、曲率kが大きい場合であっても、正確なビードエッジ検出結果を得ることができるのである。
次に、図7から図10を用いて、ビードエッジ検出工程について説明する。処理2は後述する処理3内で繰り返される処理である。
処理2においては、まず、前記母材推定区間PQ(P1Q1・P2Q2)の点群データに対して、適当な曲線(例えば2次曲線)を適当にフィッティングして(例えば、最小2乗法)、第1母材推定曲線及び第2母材推定曲線が計算される(S3−01)。
ここで求めた各母材推定曲線を、図8に示す断面プロファイルの模式図と重ね合わせると、図9のように表される。
次に、断面プロファイルの各点(X,Z)から、第1母材推定曲線及び第2母材推定曲線に下ろした符号付き垂線長(又はその近似値)H(X)が計算される(S3−02)。ここで、図9中においてZ軸の正の方向に向けて引かれる垂線には正の符号を付し、反対に、Z軸の負の方向に向けて引かれる垂線には負の符号を付すようにしている。そして、横軸をXとし、縦軸に垂線長(又はその近似値)H(X)をとってグラフ化すると、図10の如く表すことができる。
次に、母材推定区間PQ(P1Q1・P2Q2)の起点P(P1・P2)からビード側に向かって、垂線長(又はその近似値)H(X)が閾値TH1(>0)を上回る、又は、−TH1を下回る点をビードエッジE(E1・E2)として探索し(S3−03)、終了する。
なお、第一母材4と第二母材5は必ずしも異なる部材である必要はなく、例えば、電縫管の溶接部のように、同一部材中の端面同士を溶接するような場合にも本発明を適用することができる。
図11に示すように、処理2におけるビードエッジ検出工程のステップによって、母材推定区間PQから符号付の垂線長(又はその近似値)H(X)の立上り/立下り点Eを検出する(S4−01)。
次に、前記立上り/立下り点がビードエッジ探索区間PR内に存在するか否かの判定を行う(S4−02)。
ビードエッジ探索区間PR内で立上り/立下り点が検出された場合、そのままビードエッジEとして決定し(S4−03)、終了する。
ビードエッジ探索区間PR内で立上り/立下り点が検出されなかった場合、母材推定区間PQとビードエッジ探索区間PRを更新するようにした上で(S4−04)、最初のステップ(S4−01)へ戻って繰り返すようにし、ビードエッジEの探索を行うようにしている。
尚、このビードエッジEの検出方法では、無限ループを回避するために、母材推定区間PQとビードエッジ探索区間PRの更新回数に上限を設けておくことが望ましい。
なお、ここでは片側の母材推定区間(即ち、第一母材推定区間、あるいは、第二母材推定区間)のみ取り上げて説明を行うが、両側の母材推定区間に同時に適用することが可能である。本実施例における以下の説明についても、同様とする。
そして、ビード側の起点Pからさらにビード寄りに、区間幅δとするように境界点Rを定めて、ビードエッジ探索区間PRを設定するようにしている。
2 レーザスキャナ
3 演算手段
4 第一母材
5 第二母材
6 ビード
Claims (10)
- 第一母材と第二母材とが溶接されている溶接箇所における、前記第一母材又は/及び前記第二母材と、ビードと、を含む複数の断面プロファイルのデータを順次検出して、前記複数の断面プロファイルからなる断面プロファイル群を取得し、
取得した前記断面プロファイル群より選択した、一つの断面プロファイルのデータに基づいて母材面の近似曲線を算出し、算出した近似曲線を用いてビードエッジを検出する溶接ビード検査方法において、
前記断面プロファイルの前記第一母材又は/及び前記第二母材上に、任意の一定幅Dの母材推定区間と、該母材推定区間に対して前記ビード側に隣接し、前記母材推定区間のビード側端点における曲率kに応じて区間幅δが定められるビードエッジ探索区間と、からなる母材区間を設定する、設定工程と、
前記母材推定区間中の断面プロファイルのデータから、前記母材の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、該母材推定曲線を用いて、ビードエッジ探索区間におけるビードエッジを検出する、ビードエッジ検出工程と、を備える、
ことを特徴とする、溶接ビード検査方法。 - 前記設定工程では、
最初の断面プロファイルの場合は、初期値より起点Pを定義し、
若しくは、最初の断面プロファイルでない場合は、前断面プロファイルのビードエッジと同じX座標を持つ点から、前記ビードと反対側に設定値だけオフセットして起点Pを定義し、
前記起点Pから前記ビードと反対側に、前記母材推定区間を設定し、
前記起点Pにおける曲率kを測定し、
前記起点Pから前記ビードと同じ側に、前記曲率kと前記区間幅δが負の相関関係を持つように前記ビードエッジ探索区間を設定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の溶接ビード検査方法。 - 前記ビードエッジ検出工程では、
前記母材推定区間中の断面プロファイルのデータから、前記母材の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、
前記断面プロファイルから該母材推定曲線に対して引き出し方向に応じて垂線を引き、
該垂線の長さが立上り/立下り閾値以下となる前記断面プロファイル上の境界点をビードエッジとして推定する、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の溶接ビード検査方法。 - 前記ビードエッジ検出工程において、
前記境界点が検出された場合には、検出された該境界点を前記ビードエッジとして推定し、
前記境界点が検出されなかった場合には、前記ビードエッジ探索区間を前記ビード側に区間幅δだけ移動させて、
前記ビードエッジ探索区間を更新する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の溶接ビード検査方法。 - 前記母材推定曲線は、前記母材推定区間の前記断面プロファイルのデータに基づいて、ロバスト推定手法によって近似計算する、
ことを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の溶接ビード検査方法。 - 第一母材と第二母材とが溶接されている溶接箇所における、前記第一母材又は/及び前記第二母材と、ビードと、を含む断面プロファイルのデータを複数検出して、前記複数の断面プロファイルからなる断面プロファイル群を取得する、断面プロファイル検出手段と、
取得した前記断面プロファイル群より選択した、一つの断面プロファイルのデータに基づいて母材面の近似曲線を算出し、算出した近似曲線を用いてビードエッジを検出する演算手段と、
を備える溶接ビード検査装置において、
前記演算手段は、
前記断面プロファイルの前記第一母材又は/及び前記第二母材上に、任意の一定幅Dの母材推定区間と、該母材推定区間に対して前記ビード側に隣接し、前記母材推定区間のビード側端点における曲率kに応じて区間幅δが定められるビードエッジ探索区間と、からなる母材区間を設定する、設定手段と、
前記母材推定区間中の断面プロファイルのデータから、前記母材の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、該母材推定曲線を用いて、ビードエッジ探索区間におけるビードエッジを検出する、ビードエッジ検出手段と、を備える、
ことを特徴とする、溶接ビード検査装置。 - 前記設定手段では、
最初の断面プロファイルの場合は、初期値より起点Pを定義し、
若しくは、最初の断面プロファイルでない場合は、前断面プロファイルのビードエッジと同じX座標を持つ点から、前記ビードと反対側に設定値だけオフセットして起点Pを定義し、
前記起点Pから前記ビードと反対側に、前記母材推定区間を設定し、
前記起点Pにおける曲率kを測定し、
前記起点Pから前記ビードと同じ側に、前記曲率kと前記区間幅δが負の相関関係を持つように前記ビードエッジ探索区間を設定する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の溶接ビード検査装置。 - 前記ビードエッジ検出手段では、
前記母材推定区間中の断面プロファイルのデータから、前記母材の近似曲線となる母材推定曲線を推定し、
前記断面プロファイルから該母材推定曲線に対して引き出し方向に応じて垂線を引き、
該垂線の長さが立上り/立下り閾値以下となる前記断面プロファイル上の境界点をビードエッジとして推定する、
ことを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の溶接ビード検査装置。 - 前記ビードエッジ検出手段において、
前記境界点が検出された場合には、検出された該境界点を前記ビードエッジとして推定し、
前記境界点が検出されなかった場合には、前記ビードエッジ探索区間を前記ビード側に区間幅δだけ移動させて、
前記ビードエッジ探索区間を更新する、
ことを特徴とする、請求項8に記載の溶接ビード検査装置。 - 前記母材推定曲線は、前記母材推定区間の前記断面プロファイルのデータに基づいて、ロバスト推定手法によって近似計算する、
ことを特徴とする、請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の溶接ビード検査装置。
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