JP4990567B2 - 誘導結合プラズマ発生装置と該装置を備えるプラズマ源アセンブリ及び分析計、並びに、誘導結合プラズマ整列方法と該方法を実行させるプログラム及び媒体 - Google Patents

誘導結合プラズマ発生装置と該装置を備えるプラズマ源アセンブリ及び分析計、並びに、誘導結合プラズマ整列方法と該方法を実行させるプログラム及び媒体 Download PDF

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Description

本発明は誘導結合プラズマ(ICP:inductively coupled plasma)の発生装置及び整列方法に関し、より詳細には、ICPトーチ(以下単に「トーチ」)内で発生したICPから放射される光又はそのICP内で発生するイオンを好適にサンプリングできるよう、ICPをサンプリング手段に対し整列させる装置及び方法(以下、適宜に「ICP整列装置」、「ICP整列方法」ともいう)に関する。


ICPは、素材サンプルを励起又はイオン化させるプラズマの発生源として周知であり、素材サンプルの組成を質量分析又は発光分析する際に使用される。ICPを用いた質量分析(MS:mass spectrometry)のことをICP−MS、同じくICPを用いた発光分析(OES:optical emission epectrometry)のことをICP−OESと呼ぶ。
特許文献1及び2に示されている典型的なICP源においては、ガス流路を画定して外部と仕切るトーチをコイル内に通しておき、そのコイルに高周波(RF)の駆動電流を流すことによって、トーチ内のガス中にプラズマを発生させる。ICP内への素材サンプルの導入は、トーチ内に差し込んだチューブにキャリアガスを流し込み、その流れに素材サンプルを乗せることによって行う。
更に、サンプリングプレート又はサンプリングコーンと呼ばれる部材に開口を設け、プラズマに由来するイオンや光子をこの開口にてサンプリングする。その濃度が非常に低い検体種でも検知できるようにするには、プラズマのうちイオン化検体種又は励起検体種が最も多く集中している部分に対し、この開口を十分に精度よく位置決めしなければならない。従来のプラズマ源においては、この位置決めを行う手段として、コイル及びこれに付随するRF電子回路並びにトーチをサンプリング用の開口に対して変位させるプラズマ源移動用ステージシステムが、用いられていた。特許文献3には、マイクロ波誘導プラズマ用ではあるが、そのステージ上にマグネトロン及びマイクロ波電源が実装されたプラズマ源移動用ステージシステムが例示されている。
米国特許第4682026号明細書 米国特許第4551609号明細書 米国特許第5185523号明細書 特開平2−227653号公報 米国特許出願公開第2002/0100751号明細書(A1) 米国特許第5334834号明細書 欧州特許出願公開第0910231号明細書(A) 英国特許出願公開第968472号明細書(A) 米国特許出願公開第2004/195218号明細書(A1) T.Hasegawa, M.Umemoto, H.Haraguchi, C.Hsiech and A.Montaser, Chapter 8, Fundamental Properties of Inductively Coupled Plasmas, in "Inductively Coupled Plasma in Analytical Atomic Spectrometry", 2nd Edition, Wiley-VCH
しかしながら、従来手法には、第1に、RF電子回路が嵩張っていて重量もあるという問題点があった。即ち、従来は、重量のある電子回路を動かす際の通例通り、カンチレバー構造を使用しなくてよいようにするため、筐体に収めたRF電子回路並びにコイル及びトーチの下にモーションシステムを配置して下から支えていたが、RF電子回路、コイル及びトーチによってモーションシステムが隠されているので保守のためにそのモーションシステムにアクセスすることが難しく、酸性サンプル溶液がこぼれたときにその溶液がモーションシステムにかかって不都合を起こすことがしばしばあり、また使途に適ったモーションシステムが割合に高価であるという問題が生じていた。第2に、ICP源からの漏洩RF輻射を抑え他の装置への悪影響を抑えるには接地位置を注意深く決めしっかりと接地する必要があるが、従来技術では、接地対象部品が可動部品であるため接地回路・接地部材の構成が複雑になりやすくしかもその信頼性に欠けるものになりやすかった。第3に、最高2kWもの電力を効率よくICPに注入するにはコイルとRF電子回路とを良好にインピーダンスマッチングさせる必要があり、それにはコイルとRF電子回路の位置関係を固定するのが望ましいが、従来の整列システムでは、サンプリング用の開口に対してRF電子回路を固定しておきコイル及びトーチを動かすことによって位置調整を行うという仕組みが採用されていたため、大幅な調整を行わねばインピーダンスマッチングを確保できないだけでなく、信頼性に欠けまた高価な構成とならざるを得なかった。
以上の説明から解るように、ICP整列装置を改良することが求められている。
ここに、本発明に係るICP整列装置は、ガス中にICPを発生させるコイルと、その一部又は全部がコイルの内側にあるトーチと、コイルの軸(以下単に「コイル軸」)とトーチの軸(以下単に「トーチ軸」)の相対配置が変化するようコイルに対するトーチの位置を調整する手段である調整機構(整列機構とも呼ぶ)と、を備える。
また、本発明に係るICP源アセンブリは、ガス中にICPを発生させるコイルと、その一部又は全部がコイルの内側にあるトーチと、コイル軸とトーチ軸の相対配置が変化するようコイルに対するトーチの位置を調整する手段である調整機構と、を備える。
装置及びアセンブリにおいては、コイル軸とトーチ軸のなす角度を調整できるよう、或いはコイル軸とトーチ軸の距離乃至間隔を調整できるよう、或いはその双方を実行できるよう、調整機構を構成する。好ましくは、コイル軸に対しトーチ軸をほぼ平行に保ちつつコイル軸とトーチ軸の距離乃至間隔を調整できるよう、調整機構を構成する。好ましくは、発生したICPに由来する光子又はイオンをサンプリングするための開口に対するコイルの位置をほぼ固定した構成を採る。好ましくは、コイル軸がコイル内を通りコイルの長手方向に延び、トーチ軸がトーチ内を通りトーチの長手方向に延びる。
本発明に係るICP源アセンブリは本発明に係るICP整列装置を備える。本発明に係るICP分析計は本発明に係るICP整列装置を備える。本発明に係るICP分析計は、好ましくは、本分析計により検知される検体信号に基づき調整機構を自動制御する制御システムを備える。
本発明に係るICP整列方法は、トーチを全体的に又はその一部を囲むICP発生用のコイルに対しその内部でICPの全部又は一部が発生するトーチの位置を調整することによって、コイル軸に対するトーチ軸の配置を変化させ、それによりICPをサンプリング用の開口に対し整列させる方法である。本発明に係るプログラムは本発明に係る方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。本発明に係る媒体は本発明に係るプログラムが蓄えられている媒体である。
方法においては、コイル軸とトーチ軸のなす角度を調整し、或いはコイル軸とトーチ軸の距離乃至間隔を調整し、或いはその双方を実行する。好ましくは、コイル軸に対しトーチ軸をほぼ平行に保ちつつコイル軸に対しトーチ軸を動かす。好ましくは、サンプリング用の開口に対しコイルを固定したままでコイル横断面内トーチ位置を変化させる。好ましくは、対応する分析計により検知される検体信号に基づきトーチの位置乃至姿勢を自動調整、特に検体信号値が大きくなるようトーチの位置乃至姿勢を自動調整する。
本発明によれば、コイルを固定状態に保ちながらコイル横断面内でトーチをほぼ自在に動かすことがでるだけでなく、変位対象質量がトーチ(及び調整機構の一部)だけと少ないため、嵩張りがちで重くなりがちな(例えばRFの)電子回路を動かす必要もなく、従って整列機構の構成を簡略化し且つ整列機構を低コストで製造、調達することができる。
本発明によれば、更に、サンプリング用の開口に対する(例えばRFの)電子回路の位置関係を固定的なものとすることができるだけでなく、サンプリング用の開口に対して電子回路をしっかりと連結・接続し且つ電子回路をしっかりと接地することができ、ひいてはプラズマ源からの漏洩RF輻射を抑えることができる。特に電子回路の連結、接続及び接地に関していうと、電子回路に対するコイルの位置関係が非可動なものであり従ってコイルを電子回路の出力端にしっかりと接続・連結できるため、インピーダンスマッチングの際に必要となる調整の範囲を小幅にすることができる。
本発明によれば、更に、トーチの位置を調整するこの調整機構がそれ自体軽量であるだけでなく、このトーチ調整機構が動かすのも割合に軽量なトーチだけであるから、酸性サンプル溶液がこぼれたときでもその酸性溶液に調整機構が触れないように、また保守のため調整機構にアクセスできるように、当該調整機構の向きを適宜設定、随時変更することができる。
以下、別紙特許請求の範囲に記載の発明の好適な実施形態について、別紙図面を参照しながら説明する。なお、本発明は様々なやり方で実施できるため、以下に示すのはそのうちの特定の実施形態群に過ぎない。従って、以下の説明は例示的性格のものであり、その細部によって本発明の趣旨が限定されるものではない。また、図中、対応する構成部材に対しては同一の参照符号を付すこととする。
まず、本発明の基礎となった知見は、サンプリング用の開口に対しコイルの位置を固定しておきコイル横断面(コイル軸を横断する面)内でトーチを動かした場合プラズマ源及び分析計からなる装置の分析結果に取り立てて悪影響が生じない、ということである。また、ICPは不均質なプラズマであり、周知の通り、均衡状態であってもICP内では場所毎に温度が異なる。これについては非特許文献1を参照されたい。
図1にトーチ20、サンプリングプレート41及びコイル10の縦断面を示す。トーチ20のアウトレット25に近い位置ではICPはドーナツ状即ち円環状の構造を呈しており、例えばICP−MSではこの場所に開口40を設けてICPをサンプリングするのであるが、ICPが円環状構造であるためその軸に近い領域では軸から離れた領域に比べかなりICPの温度が低くなる。この温度差は、主として、ICP内の軸上ではなく軸の周囲で誘導発振電流が発生することの影響と、サンプルの滴又は粒子を搬送するガスによる冷却効果との組合せによって、生じるものである。特に、これらのうちICP内誘導発振電流は、コイル10に流れるRF発振電流により生じる発振磁界の作用によってICP内に誘導される発振電流であるので、ICP内における発振電流誘導箇所は、概ね、コイル10の位置に対し固定的な位置になる。
これまで知られていなかったことであるが、こうした構成にてサンプリング用の開口40に対するコイル10の位置を固定すると、コイル10を横断する面内でのトーチ20の位置を変えたとしても、プラズマ源及び分析計からなる装置の分析結果には取り立てて悪影響が及ばない。それは、サンプルを注入する手段であるトーチをコイル横断面内で移動させるだけでは、その微小サンプル滴流又は微小サンプル粒子流のICP内への注入位置が変わるけれども、ICP内で誘導発振電流が流れる位置は変化しないからである。また、コイル横断面内トーチ移動によってICP内へのサンプル注入位置を変化させることができるため、ICP温度が違う様々な場所へとサンプルを導き入れられるといえる。素材サンプルを励起又はイオン化させる上でICP温度は非常に重要な事項であり、ICP温度が比較的低いコア部分に微小サンプル滴又は微小サンプル粒子を注入できるこのICP源は、とりわけ好都合である。即ち、このICP源にてサンプルの励起又はイオン化に使用されるエネルギは、大抵の分子を原子単位に分解でき且つ周期律表にある大抵の元素を(そのイオン化ポテンシャルが様々であるにもかかわらず)イオン化させられる程度には高いが、複数倍電荷イオン種(電荷数≧2のイオン種)が色々と発生する程高くはない。そのためこのICP源はイオン化用プラズマ源として格別有用である。なお、複数倍電荷イオン種の発生が望まれないのは、例えば質量分析計における荷電粒子分離即ち質量電荷比に基づく分離にとり、その種のイオン種の存在が妨げになるからである。例えば、質量数=40の単電荷イオン(電荷数=1のイオン)と質量数=80の倍電荷イオン(電荷数=2のイオン)は、その質量電荷比が等しく従ってその質量スペクトラムが質量電荷比軸上の同じ位置に現れる。このことから明らかなように、複数倍電荷イオンの存在は、質量分析を非常にやっかいにする非常に望ましくない事柄である。また、発光分析計においても、複数倍電荷イオン種が生じそれらによって複数本の輻射ラインが生じると、輻射光スペクトラムが複雑になりOESがやっかいになる。
また、ICP内に注入されたサンプルがさらされるICP温度はその注入部位が違えば違う温度になるので、コイル横断面内でトーチ20の位置を変化させるとサンプル成分のイオン化状況・イオン化態様、なかでも単電荷イオン対倍電荷イオン比率、高イオン化ポテンシャル原子種対低イオン化ポテンシャル原子種信号強度比、並びにICPからサンプリングされる分子イオンのレベルが変わるであろうし、それが悪い方に働けば装置性能に悪影響が及んで典型的にはサンプル内低濃度検体検知能力が低下するであろう。こうした性能劣化は明らかに非常に望ましくないことである。この点に関して、発明者の当初の知見は、コイル10に対してトーチ20を動かした結果そうした望ましくない影響が生じたとしても、ICPのパワーを変化させることによってイオン化用ICP源の元々の性能を回復することができ、従ってサンプルスプレー注入位置によってICP温度が違っていても、コイル横断面内トーチ位置を変化させるというやり方自体には原理上の問題はない、というものであった。
こうした悪影響が生じることを確かめると共に、ICPパワーを変化させることで元々の性能を回復させられることを明らかにするため、発明者は、コイル横断面内トーチ移動時のICP−MSの分析能力を確かめる実験を実施した。本実験においては、まず、サンプリング用の開口40に対するコイル10及びトーチ20の位置を両者一体にずらしていき、それによってサンプリング用の開口40に対するICPの位置をわざと整列位置から外してみた。その結果は、ずらすに従い分析能力が低下する、という期待通りの結果であった。とりわけ、コイル10及びトーチ20の位置をずらすに従いその検体の質量にはあまり関わりなく検体に対する感度が低下していくこと(図2参照)や、倍電荷イオン対単電荷イオン比率、酸化物イオン対元素イオン比率、アルゴン酸化物及びアルゴン二量体の信号レベル等が何れも変化したこと等が、確かめられた。本実験においては、その上で、サンプリング用の開口40に対しコイル10を固定した状態で且つトーチ軸200をコイル軸100に対しほぼ平行に保ちながらコイル横断面内でトーチ20を動かしてみて、元々の分析能力を回復できるかどうかを調べた。
驚くべきことに、その結果判明したのは、サンプリング用の開口40に対するコイル10の整列ずれ(コイル横断面内でのずれ)が最大1mmの範囲内であれば、RFパワーを変化させずとも、コイル横断面内トーチ移動によって元々の分析能力をほぼ完全に回復させうる、ということであった。
例えば図3は、変位量による検体感度計測値の変化量を変位量=0での感度を基準として正規化した値によって示したグラフであり、また図4は、単電荷イオン検体種に対する倍電荷イオン検体種の比率の変化並びに元素イオン検体種に対する酸化物検体種の比率の変化を、それぞれ2種類の検体種について且つ同様に正規化した値によって示したグラフである。両図ともグラフの横軸は変位量(mm)、即ちサンプリング用の開口41に対し且つコイル横断方向に沿ってコイル10及びトーチ20を動かした距離を表している。本実験では、サンプリング用の開口40に対してコイル10及びトーチ20を動かした後コイル10を固定し、コイル横断面内でトーチ20を逆方向に動かすことによって、目的とする分析能力を(完全とはいわず妥協できるところまで)回復させてみた。その結果、変位量=1mmでは、元素質量域における検体感度計測値の変動幅が、図3に示すように±10%の範囲内に収まり、倍電荷イオン検体種及び酸化物検体種と対応するイオン検体種との比率が、図4に示すように−10%〜+20%の範囲内に収まった。この程度の性能変動であれば許容でき、しかも変位量が大きい割に驚く程小さな変動である。コイル横断面内トーチ位置を再調整せず典型的な検体を対象として計測を行った場合、図2に示すように、コイル10から得られる信号の強度が変位=1mmで最大85%程も小さくなることに、留意されたい。
また、以上の実験と関連して、コイル10を固定しておきトーチ軸200の角度がコイル軸100の角度に対して変化するようトーチ20をコイル横断面内で動かす、という実験も行った。この関連実験の結果、コイル10に近い点を中心としその周りでトーチ20をピボットさせることによっても、同様の分析能力回復効果が生じることが判明した。
これは、コイル10をサンプリング用の開口40に対して動かさずとも、トーチ20を動かすことによってICP内の検体リッチな領域をサンプリングコーンのオリフィス(サンプリングプレート41の開口40)に対し整列させることができる、ということである。これを実現するための動かし方の一つは、上掲の分析能力実験で採用した動かし方、即ちコイル軸100にほぼ直交する方向へとトーチ20を変位させるという動かし方であり、もう一つは、コイル10の中心に近くほぼコイル軸100上にある点を中心としてトーチ20をピボットさせるという動かし方である。無論、これら二種類の動かし方を併用した場合でも同様の効果が得られる。また、こうした動かし方を実行可能にするためには、コイル10の内径をやや大きめにし、トーチ20の動きを吸収・収容できるようにする。
図5及び図6に本発明の一実施形態に係るトーチ調整機構80を示す。本実施形態におけるトーチ調整機構80は、コイル軸100に対しトーチ軸200をほぼ平行に保持しつつトーチ軸200をコイル軸100にほぼ直交する方向へと動かせるよう、構成されている。トーチ軸200はトーチ20の長手方向を向いた幾何学的な意味での(即ち実体を伴わない)軸であり、トーチ20を製造する際には、トーチ20の各種構成部品(チューブ類)をこのトーチ軸200を中心にして組み上げる。また、コイル軸100はコイル10の捲回中心を通るやはり幾何学的な意味での軸である。
コイル10及びサンプリングプレート41は何れも図示しない部材を介し固定実装プレート88に取り付けられている。他方、ICPトーチ20はトーチシース79にしっかりと固定されており、トーチシース79は内側トーチ実装プレート81に取り付けられており、内側トーチ実装プレート81は内側ピボット82によって外側トーチ実装プレート85に取り付けられており、そして外側トーチ実装プレート85は外側ピボット86によって固定実装プレート88に固定されている。外側トーチ実装プレート85にはボールジョイント91によって第1プッシュロッド92が、また外側トーチ実装プレート85及び内側トーチ実装プレート81にはベルクランク94によって第2プッシュロッド93が、それぞれ連結されている。ベルクランク94はその一端近傍に設けられているクランクピボット95によって外側トーチ実装プレート85と、また他端近傍に設けられているクランクピン96によって内側トーチ実装プレート81と、それぞれ連結されている。内側トーチ実装プレート81にはスロットが刻まれており、クランクピン96は図6に示すようにこのスロット内に差し込まれている。なお、このスロットの位置は図5では97、図7では98として記されている。図7は本実施形態のうちプレート81、85及び88のみを取り出して描いた図である。
トーチ20と内側トーチ実装プレート81との間にトーチシース79を介在させてあるのは、通例としてガラスから形成されるトーチ20を、壊れないように且つしっかりと保持するためである。また、好ましくは、コイル10を横断する面内でトーチ20を±数mm程度動かせるようにする。この動きを収容できるよう、コイル10は従来品に比べやや大きめの寸法とする。
第1プッシュロッド92は、図6中その隣に付記されている矢印の方向に沿って直線運動する。第1プッシュロッド92が直線運動すると、それに伴い外側トーチ実装プレート85が動く。外側トーチ実装プレート85は外側ピボット86により固定実装プレート88に連結されているので、第1プッシュロッド92の直線的な動きは外側ピボット86を軸とした外側トーチ実装プレート85の動きに変換される。また、外側トーチ実装プレート85は内側ピボット82によって内側トーチ実装プレート81と連結されているので、外側ピボット86を軸として外側トーチ実装プレート85が回ると、内側トーチ実装プレート81ひいてはトーチ20も動く。但し、こうした動きが生じるのは第1プッシュロッド92と同時に第2プッシュロッド93も動かした場合であり、同時に動かさなかった場合には、第2プッシュロッド93によって動きが制限される。そのため、第1プッシュロッド92を作動させてトーチ20を動かすには、例えば、第1プッシュロッド92を作動させるのと並行して第2プッシュロッド93も作動させ、第2プッシュロッド93の摺動距離が第1プッシュロッド92の摺動距離の約半分になるよう第2プッシュロッド93の作動を制御する。このようにした場合、内側トーチ実装プレート81の動きは、外側ピボット86を軸とした外側トーチ実装プレート85の動きからほぼ独立になる。また、図6中その隣に付記されている矢印の方向に沿って第2プッシュロッド93だけを動かすと、クランクピボット95を軸としてベルクランク94が回転し、クランクピン96が内側トーチ実装プレート81に作用してこれを内側ピボット82を軸に回転させ、外側ピボット86を軸にした動きに対してほぼ直交する方向の動きをもたらす。
こうした仕組みを設けてあるため、本実施形態では、コイル横断面内でトーチ20が厳密に相直交する方向に沿って動くこととなり、またそれらの方向に沿っての動きが互いにほぼ独立な動きとなる。本実施形態におけるコイル10の位置は、本発明の実施にとり必須とまではいえないが、固定実装プレート88及びサンプリングプレート41に対して固定及び保持されているので、固定実装プレート88に対しトーチ20を動かすことによってトーチ20をコイル横断面内で動かすことができる。こうして本実施形態で動かされる質量はトーチ20の質量と調整機構80の一部質量だけであり、やや嵩張っていて重量のある電子回路は動かないため、使用する調整機構80の構成を簡素なものとし且つその製造或いは調達コストを抑えることができる。また、これも本発明の実施にとり必須とまではいえないが、本実施形態における電子回路はサンプリング用の開口40に対して固定されているため、当該電子回路をサンプリング用の開口40と堅固に連結、接続して接地を確保し、RF輻射を低減することができる。更に、本実施形態におけるコイル10は、電子回路に対して動かないため当該電子回路の出力端にしっかりと接続、連結することができ、従ってインピーダンスをマッチングさせるための調整を小幅にすることができる。また、トーチ調整機構80は軽量でありこのトーチ調整機構80により動かされるトーチ20も軽量であるため、サンプルがこぼれたとき等でもその酸性溶液がかからないような方向や、保守時に容易にアクセスできるような方向に向けることができる。
プッシュロッド92及び93の動きは、機械設計従業者にとり周知の様々な手段、例えばマイクロプロセッサ制御型のリニアアクチュエータによって制御することができる。本実施形態の如く、動く方向が互いに平行になるようプッシュロッド92及び93を密配置してあれば、リニアアクチュエータをプッシュロッド92及び93に取り付けるのに好都合であるだけでなく、好ましくも、リニアアクチュエータによりプッシュロッド92及び93を動かすことでトーチ20を動かすこと、特に互いに直交している2方向に動かすことができる。
内側ピボット82及び外側ピボット86は、汎用機械部品を利用して実現することもできるが、それぞれ図7に例示するように、プレート同士を切り離さずにつなぐクロスフレクシャ(斜行可撓部)101及び102として実現することもできる。これらクロスフレクシャ101及び102を形成するには、1枚の素材シートに必要な切り込みを入れるだけでよい。即ち、内側トーチ実装プレート81に相当する部分、外側トーチ実装プレート85に相当する部分及び固定実装プレート88に相当する部分が完全に切り離されないよう、1枚の素材シートに切り込みを入れればよい。この加工作業乃至加工動作は1回で済む。従って、作業・動作や素材の面での無駄を排し、部品の点数を1点に抑え、しかも部品の機械加工及び組立に要する時間を短縮又は廃止することができる。仮に、本発明の実施に際し、その厚みが6mm以内のアルミニウムプレートを加工して各プレート及びクロスフレクシャを製作するとしたら、クロスフレクシャ101及び102の典型的な寸法は、プレート厚み方向寸法が6mm、仕切厚みが0.6mmとなろう。
クロスフレクシャ101及び102を設けて使用する場合には面外運動を押さえ込まねばならない。ここでいう面外運動とは、トーチ軸200にほぼ沿って作用する力によるプレート81、85又はその双方の動きのことである。こうした動きに対してはクロスフレクシャ101及び102はやや脆弱であるので、何らかの方法を用いそうした動きの発生を防ぐのが望ましい。使用できる方法は色々とあるが、例えば、プレート81、85及び88に添えてもう1枚プレートを配置すればよかろう。
上述のICP整列装置が作動され使用される場面はICP−MS装置やICP−OES装置のセットアッププロセスである。分析セッションと次の分析セッションとの間にICP整列装置を作動させることもできる。ICP整列装置を作動させる際に一つだけまず以て行わねばならないのは、サンプリング用の開口40に対しトーチ20を±1mmの精度で整列させる作業である。この作業を行わねば、供試溶液内に検体が何種類か含まれていても、それを信号として検知するのが困難か又は不可能になる。装置組立当初にこの整列精度精度乃至公差水準を実現するには単純なジグ及び整列ツールを用いるだけでよく、それでいて割合に容易に要求精度を実現できる。複数の装置を使用する場合、装置毎に同様の要求精度乃至公差水準に応じた設定を施す。使用中にトーチ20を交換するとICPの整列精度が変化するかもしれないが、交換後のトーチ20にその製造上の難点がない限り、交換後に信号を検知できなくなってしまうようなことはない。
こうした初期整列によって検知可能なレベルの信号が得られるようになったら、信号レベル変化をモニタしながら調整機構80による調整を行う。この調整は、検体種例えば元素検体からの信号が最大値又はそれにより近い値になるように進める。現在検知している検体種とは別の検体種を検知したくなったらその検体種を狙って調整し直す。検知対象として選べるのは、例えば、ある質量範囲(ICP−MSの場合)又は波長域(ICP−OESの場合)に亘るサンプル内検体種群である。また例えば、倍電荷イオン検体種対単電荷イオン検体種の比率や、酸化物検体種対元素イオン検体種の比率を計測できるように、検知対象とする検体種群を選ぶこともできる。また、調整機構80による調整は、実行するサンプル分析の種類に鑑み最適な装置性能を引き出せるように行う。例えば、他の諸々の倍電荷イオン検体種を犠牲にしてある特定の検体種から高レベルの検体信号を得ることが求められている場合、そのサンプルの種類から判断してとり取り立てて分析の妨げにならずむしろ全体として望ましい状況であるなら、オペレータは、自分の意志に従い装置の調整状態をわざとずらして期する効果を発生させることができる。更に、装置の調整に際しては、大抵の場合、調整によってICPを整列させた上でトーチ20内にガスを流入させる。その際、ガス流の発生又は変化によってICPの状態が変化することもあるが、これは、サンプリング用の開口40に対しトーチ20を整列させ直すことで克服できる。更に、サンプルを交換するときには、オペレータは、そのサンプルに見合った別の態様で動作するよう装置を再調整すればよく、上記同様のICP整列作業は必要に応じて実施すればよい。
以上説明した通り、本発明の各種実施形態に係る方法及び装置におけるICP整列は簡単に行うことができる。それだけでなく、このICP整列は自動化も可能である。例えば、ある検体種が供試溶液内に存在することが判明している場合、各実施形態においては、その検体種からの信号レベルをモニタしつつ調整機構による調整を行うことで、装置の性能乃至特性を所望のものにすることができる。これは電子制御プロセス又はコンピュータ制御プロセスによって実現できる動作であり、これを応用すれば、分析対象サンプルに応じICPの整列状態(位置)をある位置から別の位置へと自動的に切り替える動作も、電子制御又はコンピュータ制御により実現できる。従って、ハードウェア、ソフトウェア又はその双方からなる適当な制御システムを設けて検体信号最大化即ち最適化プロセスを自動制御することが望ましく(且つ可能であり)、当該制御システムを本発明の各実施形態に係るICP整列装置と組み合わせれば本発明の実施形態に係るICP分析計となる。この制御システムは、例えば対応する分析計(MS又はOES)にて検知され当該分析計から供給される検体信号に応じて当該検体信号が最大値になるよう検体信号を最適化する構成とすればよいが、当該制御システムをどのように構成するかは注目している検体種(群)の種類によって変わるものであり、しかも、当該制御システムによる検体信号最適化の基礎となりうる情報乃至信号には様々なものがある。
図8に他の実施形態に係るトーチ調整機構110を示す。このトーチ調整機構110はコイル軸100に対するトーチ軸200の角度を調整できる構成である。先に説明した実施形態と同様本実施形態でも、サンプリングプレート41、コイル10及び固定実装プレート120が、図示しない部材によって一体に連結されている。また、本実施形態では、その内部にトーチ20を保持しているトーチシース79が内側ジンバルリング121にしっかりと取り付けられており、内側ジンバルリング121は当該内側ジンバルリング121を挟んで向かい合う一対の内側ピボット123及び124(但し124は図中見えていない)により外側ジンバルリング122の内側で支持されており、そして外側ジンバルリング122も同様に当該外側ジンバルリング122を挟んで向かい合う一対の外側ピボット(そのうち一方は125だが他方はトーチシース79の陰になっていて図では見えていない)により固定実装プレート120の内側で支持されている。それぞれ2個ずつ設けられている内側ピボット及び外側ピボットの位置関係は、好ましくは、内側ピボット同士を結ぶ直線と外側ピボット同士を結ぶ直線とが直交するような位置関係とする。そうした場合、図示のジンバル構造によってトーチ20の角度を2方向に、且つ各方向毎に独立に、調整することができる。
コイル軸100に対するトーチ軸200の角度は、内側ピボットを軸とした回動及び外側ピボットを軸とした回動によって、調整される。
また、コイル中心に対するピボット位置の如何により本実施形態の動作に違いが生じる。図9に、コイル10、その軸100及びトーチ軸200の位置関係の例を示す。簡明化のためトーチ20は省略してある。この図の例では、上掲のピボットシステムによるトーチ20のピボット運動の中心が、図中十字で示したコイル中心位置220、即ちコイル中心を含む断面上に配置されているので、コイル軸100に対するトーチ軸200の角度を調整した場合、図中210で示されるような角度変化が生じる。
図10に、コイル10、その軸100及びトーチ軸200の位置関係の他の例を示す。簡明化のためトーチ20は省略してある。この例においては、図9に示した例と異なり、上掲のピボットシステムによるトーチ20のピボット運動の中心が、図中十字で示した位置222、即ちコイル10から離れた位置にある横断面上に配置されているので、コイル軸100に対するトーチ軸200の角度を調整することによって、図中212で示されている角度変化と、240で示されているコイル横断面内トーチ変位とが生じる。この図に示した配置は、各ピボットがコイル10から離れた位置にある図8の構成に相当している。従って、トーチ軸200の角度だけを調整したい場合は、図8と異なりトーチ調整機構110の位置をコイル10の近くにした方がよい。それは、そのようにすれば、角度調整時に発生するコイル横断面内トーチ変位240(図10参照)を抑えることができるためである。逆に、図8に示したようにトーチ調整機構110の位置をコイル10から離しておけば、角度調整によって角度変化212だけでなくコイル10の横断面内におけるトーチ20の変位240も引き起こすことができる。何れの配置を採用するにせよ、本実施形態によれば、ICPの位置を望み通りに調整することができる。
図8〜図10に示した実施形態を使用する際の作動手順乃至作動態様は、先に示した実施形態でのそれと同様である。即ち、まずそのICP−MS装置又はICP−OES装置にてトーチ20とサンプリング用の開口40とを初期整列させ、次いで、分析計にて検知される信号のレベルをモニタしながら調整機構110を作動させ(コイル軸100とトーチ軸200のなす角度、間隔又はその双方を変化させ)トーチ20とサンプリング用の開口40の整列状態を調整する手順を、検知される信号のレベルが最大値になるまで(より一般的に表現すると所期用途に適した所望条件を満たすに至るまで)繰り返し実行する。この手順はマニュアルで実行してもよいし自動実行させてもよい。性能の設定及び調整さえ適切に行われれば、何れの実施形態でも設定及び調整後の装置状態に大きな違いはないので、オペレータにはその違いが解らなくなるであろう。
図8に示した実施形態においても、コイル10、サンプリングプレート41及び固定実装プレート120相互の位置関係が固定的に保持されているため、それらの間の電気的な接続を堅固なものとすることができ且つ安定した接地経路を設けることができ、従ってRF輻射を抑えることができる。その調整機構110は、比較的小型且つ軽量な構成部品(トーチ20)を動かすだけでよいので、ICPを整列させる際に電子回路も動かしていた従来型システムで利用可能であった調整機構よりも、低コストで製造することができる。更に、コイル10の電子回路に対する位置関係が固定的であるため、インピーダンスをマッチングさせるための調整範囲が小幅で済む。そして、この小型軽量なトーチ調整機構110の向きは適宜設定、変化させることができるので、トーチ調整機構110がこぼれた酸性溶液に触れることを回避することや、保守のためにアクセスすることが可能になる。
また、図5〜図7においては、コイル横断面内での各種変位を実現するのにピボットを軸とした回動という手段を使用していたが、ピボットを軸とした回動によって直線運動を模擬実現するのではなく、真に直線的な動きを発生させるステージシステムを使用してもよい。機械設計従業者に広範に知られており広範に利用されている各種の機械調整システムのなかには、コイル横断面内での直線的変位の実現や、コイル軸100に対するトーチ軸200の角度の調整に、使用できるものも色々ある。
また、以上説明した調整機構は、トーチ軸200とコイル軸100の間隔を調整する機構や、コイル10の位置又はそこから離れた位置にある点を中心にピボット運動でトーチ軸200とコイル軸100のなす角度を調整する機構であるが、用途によっては両方の仕組み・機能を併用・結合利用することが有益な場合もある。即ち、回転機構と直線的移送機構とを組み合わせれば、それ一つでトーチ軸200とコイル軸100の角度及び間隔を調整できる調整機構を、実現することができる。そうした調整機構にて、更に間隔と角度を互いに独立して調整することや両方を一緒に調整することができるようにすることは、その用途が拡がるという点で有益である。
本発明の技術的範囲には、上述した調整機構だけでなくその用途及び利用形態も包含されるものとする。
以上、本発明につきその実施形態を示して説明を行ったが、それらの説明は本発明を解りやすく述べることに主眼をおいたものであって、決して、本発明の技術的範囲を本願記載の事項の細部によって限定することを狙ったものではない。従って、本願での記述に従い本願に記載のない形態で本発明を実施することや、本願記載の実施形態を変形又は改良したものを実施することもでき、そうしたものも本発明の技術的範囲に包含される。実際のところ、本願に記載した実施形態は本発明の仕組み及びその現実の用途を最も解りやすい形で記述するために選択した実施形態に過ぎないのであって、本件技術分野における習熟者(いわゆる当業者)であれば、本願による開示に従い且つ想定している特定の用途が充足されるよう、本発明、その実施形態或いはその変形・改良版を使用・実施することができる。
典型的なICP−MSシステムにおけるコイル、トーチ及びサンプリングプレートの断面を示す図である。 サンプリング用の開口に対するコイル及びトーチの位置をずらしつつICP−MSによって代表的な数種の検体種を計測した場合について、コイルの位置(この場合トーチの位置でもある)の違いによる信号値の違い、即ち対開口ICP整列ずれの影響を示したグラフである。 サンプリング用の開口に対しコイル及びトーチの位置をずらした後、コイル横断面内トーチ位置を再び動かして対開口ICP整列ずれによる信号値の違いを補償し、その上で図2と同様の計測を行った場合について、コイル位置の違いによる信号値の違いを示したグラフである。 倍電荷検体種及び酸化物検体種について対応する単電荷検体種又は元素イオン検体種に対する信号値の比を、図3に係る手法と同様の環境及び手法で計測した場合について、コイル位置による信号値比の違いを示したグラフである。 本発明の一実施形態に係るトーチ調整機構を示す斜視図である。 図5の実施形態に係るトーチ調整機構の端面を示す図である。 本発明の一実施形態に係るトーチ調整機構、特にそのピボットとしてクロスフレクシャによるピボットを備える機構の一部を示す斜視図である。 本発明の他の実施形態に係るトーチ調整機構、特にコイル軸に対するトーチ軸の角度を調整可能な機構を示す斜視図である。 コイル軸に対するトーチ軸の角度を調整しICPを整列させる構成におけるコイル、コイル軸及びトーチ軸の位置関係、特にトーチのピボット運動の中心がコイル中央を通るコイル横断面内にある場合にそのピボット運動によって生じる角度変化を示す図である。 コイル軸に対するトーチ軸の角度を調整しICPを整列させる構成におけるコイル、コイル軸及びトーチ軸の位置関係、特にトーチのピボット運動の中心がコイルから離れた横断面内にある場合にそのピボット運動によって生じる角度変化を示す図である。
符号の説明
10 コイル、20 トーチ、40 開口、41 サンプリングプレート、80,110 トーチ調整(整列)機構、100 コイル軸、200 トーチ軸、210,212 角度変化、240 コイル横断面内トーチ変位。

Claims (15)

  1. ガス中に誘導結合プラズマを発生させるコイルと、
    その一部又は全部がコイルの内側にあるトーチと、
    コイルの軸とほぼ直交する方向にトーチを動かしてコイルの軸とトーチの軸との間の距離乃至間隔を調整するか、或いはコイルの軸とトーチの軸のなす角度を調整するか、或いはその双方を調整する手段である調整機構と、
    を備える誘導結合プラズマ発生装置。
  2. 請求項1記載の誘導結合プラズマ発生装置であって、調整機構が、コイルの軸に対してトーチの軸をほぼ平行に保ちつつコイルの軸とトーチの軸の距離乃至間隔を調整可能な機構である装置。
  3. 請求項1又は2に記載の誘導結合プラズマ発生装置であって、発生した誘導結合プラズマに由来する光子又はイオンをサンプリングするための開口に対しコイルの位置がほぼ固定された装置。
  4. 請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の誘導結合プラズマ発生装置であって、コイルの軸がコイル内を通りコイルの長手方向に延びる装置。
  5. 請求項1乃至4のうち何れか一項に記載の誘導結合プラズマ発生装置であって、トーチの軸がトーチ内を通りトーチの長手方向に延びる装置。
  6. 請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の誘導結合プラズマ発生装置を備える誘導結合プラズマ源アセンブリ。
  7. 請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の誘導結合プラズマ発生装置を備える誘導結合プラズマ分析計。
  8. 請求項7記載の誘導結合プラズマ分析計であって、本分析計により検知される検体信号に基づき調整機構を自動制御する制御システムを備える誘導結合プラズマ分析計。
  9. トーチを全体的に又はその一部を囲む誘導結合プラズマ発生用のコイルに対しその内部で誘導結合プラズマのうち全部又は一部が発生するトーチの位置を調整することによって、コイルの軸とほぼ直交する方向におけるコイルの軸とトーチの軸との間の距離乃至間隔を変化させるか、或いはコイルの軸とトーチの軸のなす角度を変化させるか、或いはその双方を変化させ、それにより誘導結合プラズマをサンプリング用の開口に対し整列させる誘導結合プラズマの整列方法。
  10. 請求項9記載の誘導結合プラズマの整列方法であって、コイルの軸に対しトーチの軸をほぼ平行に保ちつつコイルの軸に対しトーチの軸を動かす方法。
  11. 請求項9又は10に記載の誘導結合プラズマの整列方法であって、サンプリング用の開口に対しコイルの位置を固定したままでコイル横断面内トーチ位置を変える方法。
  12. 請求項9乃至11のうち何れか一項に記載の誘導結合プラズマの整列方法であって、対応する分析計により検知される検体信号に基づきトーチの位置乃至姿勢を自動調整する方法。
  13. 請求項12記載の誘導結合プラズマの整列方法であって、検体信号値が大きくなるようトーチの位置乃至姿勢を自動調整する方法。
  14. コンピュータに請求項12又は13記載の方法を実行させるためのプログラム。
  15. 請求項14記載のプログラムが蓄えられている媒体。
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