JP4989618B2 - カオス論的指標値計算システム - Google Patents

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Description

本発明は、時系列信号をカオス論的手法により解析を行い、そのカオス論的指標値を計算するシステムに関する。
カオス理論によるカオス論的な指標としては、相関次元やKSエントロピー、リアプノフ指数等が存在し、比較的計算容易なリアプノフ指数は、その時系列信号を与えた現象のカオス性の評価に用いられている。時系列信号の解析、特に発話音声のような周期的な特徴を有する信号の分析には、第1リアプノフ指数、或いはリアプノフ・スペクトルを計算することが一般的に行われている。
最大リアプノフ指数(Maximum Lyapunov exponent)又はリアプノフ・スペクトルに於ける第1リアプノフ指数(the first Lyapunov exponent)は、一般的には、時系列信号のカオス性(カオス性とは、系に特徴的な揺らぎの、或いは揺らいでいることによる性質を言う)を判定する目的で計算されるが、それを計算するシステムは様々な手法、例えばウォルフのアルゴリズムによるシステム、カンツのアルゴリズムによるシステム、ローゼンシュタインのアルゴリズムによるシステム、オーレルのアルゴリズムによるシステム、佐野澤田のアルゴリズムによるシステム等が用いられており、その中でも代表的な一例が佐野澤田のアルゴリズムによるシステムである。
いずれのアルゴリズムによるシステムを使用する場合も、時系列信号から位相空間に構成されるアトラクタを評価するものであり、計算されるリアプノフ指数は、アトラクタ中に構成される近傍点集合に対して計算されるものであり、その値は、近傍点集合の構成方法に依存する。正しいリアプノフ指数が計算される為には、近傍点集合を外包する多様体(3次元に於いては球や立方体等、4次元に於いては超球や超立方体等)がアトラクタの大きさに対して適正に設定されることが極めて重要である。又、時系列信号がそのカオス性を擾乱するノイズを含むものである場合には、アトラクタの大きさに対する近傍点集合を外包する多様体の大きさの適正範囲は小さくなることが知られている。このことから、近傍点集合を外包する多様体の大きさをパラメータとして変化させ、計算されるリアプノフ指数との関係を調べることで、その時系列信号に含まれるそのカオス性を擾乱させるノイズのレベルを評価することが可能である。
これら従来技術の一例として、ホルガー・カンツ(Holger Kantz)、トーマス・シュライバー(Thomas Schreiber)著、「非線形時系列分析(Nonlinear Time Series Analysis)」、(英国)、ケンブリッジ非線形科学シリーズ7(Cambridge Nonlinear Science Series 7)、1997年、及び佐野 雅己、沢田 康次(Sano.M Sawada.Y)著、「カオス時系列におけるリアプノフスペクトルの計測(Measurement of the Lyapunov Spectrum from a Chaotic Series)、フィジカル・レビュー・レターズ Vol.55,No.10,(Phisical Review Letters Vol.55,No.10)、1985年、 p.1082-1085、特開平7−116119号、特開平9−259107号、特開平9−308614号、特開平11−212949号、特開2000−1133347号、特開2002−306492号がある。
リアプノフ指数は、一般的に、時系列信号のカオス性を評価するために計算されるものであり、最大リアプノフ指数が、あるいはリアプノフ・スペクトルにおいては第1リアプノフ指数が、正の値をとる場合に、その評価された時系列信号はカオス的であると言われる。
リアプノフ指数、一般的にリアプノフ・スペクトルは、時系列信号から、予め次元の設定された埋め込み空間に構成されるストレンジ・アトラクタに対して計算されるものである。これらを計算するシステムでは、どのようなシステムであっても、ストレンジ・アトラクタを構成する多くの、或は全ての点の相対的な位置関係から、最大リアプノフ指数、あるいは佐野澤田のアルゴリズムによるシステムにおいてはリアプノフ・スペクトルを計算する。
最大リアプノフ指数、あるいはリアプノフ・スペクトルにおける第1リアプノフ指数(以下、これらを単に第1リアプノフ指数、あるいはリアプノフ指数と呼ぶ。)は、ストレンジ・アトラクタ上に相互に隣接して存在する各点が、時間の経過により離れ離れになる場合の、離れる速度に対する指数である。
いずれのシステムにおいても、リアプノフ指数は、埋め込み空間に構成されるストレンジ・アトラクタ上に、その大きさに対する割合等として設定する近傍条件から生成される近傍点集合を構成し、その近傍点集合を構成する各点が相互に離れ離れになる時の平均値として計算される。
従来のカオス論的指標値計算システムでは、上述のシステムが用いられているが、これらのシステムではその前提が、ダイナミックス(ダイナミックスとは、物理的な形状等により制限される挙動、又挙動を与える性質)の安定な系(ダイナミックスの安定な系とは、物理的な配置や長さが変化しない系であって、このような系がカオス的な挙動を示す場合には、その系の与える時系列信号から生成されるストレンジ・アトラクタの形状は類似な形状となる)の解析を想定していることから、ダイナミックスが時間的に変化する系(ダイナミックスが時間的に変化する系とは、例えば人間の発話にかかる器官のような系であって、物理的な配置や長さが変化する系である。例えば/a/音と/o/音を発話している状況では、喉から口腔内の形状は異なり、発話音声信号から生成されるストレンジ・アトラクタは異なる形状となる。/a/音のストレンジ・アトラクタの形状を図8に、/o/音のストレンジ・アトラクタの形状を図9に示す。/a/音のストレンジ・アトラクタの揺らぎを大きくしたり、雑音を付加しても/o/音のストレンジ・アトラクタを得ることは出来ない)に於ける、時間局所的な第1リアプノフ指数、佐野澤田のアルゴリズムで言うところのリアプノフ・スペクトル、を有意な値として計算することは出来ない。
例えば、ダイナミックスが時間的に変化する系の一例である、一般的な発話音声信号等の解析に於いては、複数の母音が短時間に複雑に変化している為、その解析の困難さは、上述の従来手法を用いたシステムと比較して、途方もないものであり、今日まで一般的な発話音声信号等の、ダイナミックスが時間的に変化する系では、時間局所的な第1リアプノフ指数等を計算することが現実的にはほぼ不可能なのである。
又、上述の手法に統計的手法を組み合わせて、時間局所的な第1リアプノフ指数を計算するシステムであったとしても、第1リアプノフ指数の計算に、従来のいずれかの手法を用いたシステムを使用する場合、安定な処理結果を得ながら、処理単位時間を、求められる時間的分解能に比較して十分に小さくすることは容易ではない。
例えば従来手法の組合せでは、1秒以下の短い時間に対するカオス論的指標値を有効な精度で確保することは困難であり、処理すべき信号が十分なSN比(信号と雑音の比率)を有する場合に於いてのみ、例えば時系列信号が発話音声信号の場合には単独の発話者による明瞭な単一の母音音声信号のみを処理することが可能である場合に於いてのみ、第1リアプノフ指数が計算可能である。つまり処理すべき信号のSN比が悪い場合には、又複数の音韻が混ざっているような場合には第1リアプノフ指数の計算が出来ない。
これは、連続的な発話音声、即ちダイナミックスが時間的に変化する系、の処理を従来のシステムで実行した場合、いずれのシステムを適用する場合であっても、まず連続的な発話音声(処理対象となる信号)から処理単位時間分の音声(信号)を切り出すことが必要となるが、例えばその音声(信号)をテープレコーダからシステムに入力することとした場合、システムが機械的にその処理音声(処理信号)を処理単位時間幅に切断したとすれば、テープレコーダの再生ボタンを押すタイミングが数十ミリ秒変化しただけでも、処理結果として毎処理単位の音声信号から計算される第1リアプノフ指数は数十パーセントも変化してしまうからである。
例えば、連続発話音声を処理対象とした場合、その処理単位を1秒とした場合には、処理単位を切り出すタイミングが0.1秒変化すれば、従来のシステムに於いては比較的高精度での計算が可能と考えられている佐野澤田のアルゴリズムによるシステムを用いたとしても、毎秒の第1リアプノフ指数値は10〜30%変化してしまい、その変化を時間的に平均化し小さなものにするとしても、時間的な平均値を計算する時間幅が5分程度であれば、処理単位切り出しのタイミングの0.1秒の差違による第1リアプノフ指数値の時間的平均値の差違は、数パーセント以上残ってしまう。
一方、発話音声の第1リアプノフ指数の時間的な平均値は、発話者に蓄積されている疲労度と強い相関を有するものであると考えられており、更に時間的平均値を計算する時間幅を短くして分解能を向上させることが出来れば、発話音声からその発話者の個々の発話内容に対するストレス等の評価が可能であると考えられているが、上述からも明らかなように、従来手法では、時間的な分解能が5分以下には出来ず、また指標値の信頼性も有効数字1桁であれば、中長期的なストレス等を定量化することが精一杯であり、発話者の発話時に於けるリアルタイム、或いはほぼリアルタイムのストレス等を評価することは不可能である。従って、連続的な発話音声(即ちダイナミックスが時間的に変化する系)から安定な処理結果を得ることは不可能である。尚、ここで安定とは、パラメータの微小な変化に対して処理結果が殆ど変わらない、ことを意味する。
又、上述のシステムを用いて単に時系列信号のカオス性を確認するために、第1リアプノフ指数が正の値を取ることを確認するだけであれば、近傍条件の設定に特に神経質になる必要はなく、近傍条件は、十分な数の近傍点が存在する程度に、例えば、近傍球(あるいは近傍超球)の直径をストレンジ・アトラクタを内包する球(あるいは超球)の直径に比較して数パーセント程度に設定すれば十分であるが、リアプノフ指数そのものを正確に計算する場合には近傍条件が適正に設定されることは極めて重要となる。
特に、カオス的な時系列信号に、計測システムの精度等の何等かの理由により白色雑音のようなノイズが重畳されている場合、その時系列信号を与えたシステムのリアプノフ指数を正確に算出しようとすれば、近傍条件の設定は理想的にカオス的な時系列信号の処理に比較してかなりに複雑なものとなる。
近傍条件を上記の例のように近傍球の直径(ε)として設定することにすれば、理想的にカオス的な時系列信号に対しては、模式的に図5に示すように ε<ε<εの範囲で第1リアプノフ指数は正しく計算されるが、白色雑音が重畳された場合には、近傍球直径と形式的に計算される第1リアプノフ指数の関係は、模式的に図6に示すように、その割合に応じて変化し、重畳される雑音が強い場合には、図5の場合と同様には第1リアプノフ指数を算出することはできない。
即ち、発話音声のように、例えばその音が単純な /a/ の連続音であったとしても、何等かのノイズが含まれていると考えることは十分に妥当であろうから、その /a/ 音を発声している発音システムのリアプノフ指数を、数学的なシステムが生成する時系列信号からそのシステムのリアプノフ指数を算出する場合程には、正確に計算することはできない問題点がある。
つまり、本発明者は上述したように、ダイナミックスが変化する系では従来は処理できなかったカオス論的指標値を計算し、その処理を高速に実時間で可能とするシステムを発明した。又ノイズが含まれている時系列信号であってもカオス論的指標値を計算することを可能とするシステムを発明した。
更にその課題の一つとして、時系列信号からの処理単位分のデータの切り出しに於いて、局所的に信号波形(音声信号波形)等が安定部分を切り出すことを特徴としている。これによって、切り出した信号から、従来手法に於ける第1リアプノフ指数に相当する、時間局所的な第1リアプノフ指数(以下、これをカオス論的指標値と呼ぶ。カオス論的指標値は時系列信号に対してカオス性を擾乱させる度合いを示す指数である)を計算し、信頼性の高いカオス論的指標値計算システムを発明した。
カオス論的指標値は上述したように、時系列信号のカオス性の強さとそのカオス性を擾乱させるノイズの強さ、また相対的な強さの比を示す指数であって、本発明のカオス論的指標値計算システム(以下、シセカという。シセカとは本件出願のカオス論的指標値計算システムの名称である。また後述するシセカ近傍距離とは、カオス論的指標値計算システムに於いて定義される値を言う。)により時系列信号から計算される。シセカにおける処理においては、ノイズの強さに対する感度を調整することが可能であることから、感度を低くすることによりカオス性の強さを、また感度を高くすることにより「カオス性の強さを示す値にノイズの強さを示す値を加えた値」を計算することが可能となり、更に上記より時系列信号のカオス性を擾乱するノイズの強さ、また時系列信号のカオス性の強さとノイズの強さの比を計算することが出来る、信頼性の高いカオス論的指標値計算システムとなる。
請求項1の発明は、ダイナミックスが時間的に変化する系において周期的特徴を有する、発話音声信号を含まない時系列信号に対して、サンプリングすることにより得られる時系列信号を読み込む手段と、サンプル時刻に対するカオス論的指標値を計算する為の処理単位毎に、前記読み込んだ時系列信号を切り出す手段と、前記読み込んだ時系列信号のカオス論的指標値を計算する手段と、を有しているカオス論的指標値計算システムであって、前記カオス論的指標値を計算する手段は、前記切り出した処理単位の時系列信号に於いて、各サンプル時刻に対するカオス論的指標値をミクロスコピックなカオス論的指標値として計算する第1の計算手段と、前記ミクロスコピックなカオス論的指標値を算出した処理単位を含む少なくとも一以上の処理単位からなる予め定められた時間に対する時系列信号のカオス論的指標値をマクロスコピックなカオス論的指標値として、前記ミクロスコピックなカオス論的指標値により計算する第2の計算手段と、を有する、カオス論的指標値計算システムである。
請求項2の発明は、前記カオス論的指標値計算システムは、埋め込み次元D、埋め込み遅延時間τ、発展遅延時間τ、近傍点集合の大きさN、前記時系列信号の最短周期T、最長周期Tをパラメータとして入力を受け付ける手段、を更に有しており、前記時系列信号を処理単位毎に切り出す手段は、前記読み込んだ時系列信号をs=s(t)とすると、数2に於けるt及びtを数3で予め設定する周期性条件を満たすt及びtとして、前記数2により前記時系列信号から処理単位x=x(i)毎に時系列信号を切り出す、カオス論的指標値計算システムである。
請求項3の発明は、前記第1の計算手段は、前記サンプル時刻の近傍点集合P={P,P,・・・,P(N−1)}を数5により生成し、前記サンプル時刻に於けるシセカ近傍距離εを設定し、前記近傍点集合Pに対応する発展点集合Sを数7により生成し、前記近傍点集合Pと前記発展点集合Sとから近傍点の変位ベクトルyとこれに対応する発展点の変位ベクトルzとを数8により定め、前記変位ベクトルyとzにより数9を満足する行列Aを、数10により計算し、前記行列AをQR分解により前記ミクロスコピックなカオス論的指標値cを計算する、カオス論的指標値計算システムである。
請求項4の発明は、前記第1の計算手段は、前記サンプル時刻の近傍点集合P={P,P,・・・,P(N−1)}を数5により生成し、前記サンプル時刻に於けるシセカ近傍距離εを設定し、前記切り出した処理単位から、埋め込み空間に構成されるストレンジ・アトラクタの半径に対して予め設定されているεより前記シセカ近傍距離εが小さい場合には前記近傍点候補集合Pを近傍点集合Pとし、前記近傍点集合Pに対応する発展点集合Sを数7により生成し、前記近傍点集合Pと前記発展点集合Sとから近傍点の変位ベクトルyとこれに対応する発展点の変位ベクトルzとを数8により定め、前記変位ベクトルyとzにより数9を満足する行列Aを、数10により計算し、前記行列AをQR分解により前記ミクロスコピックなカオス論的指標値cを計算する、カオス論的指標値計算システム。
請求項6の発明は、前記第2の計算手段は、前記切り出した処理単位x(i)に於ける、サンプル時刻tのミクロスコピックなカオス論的指標値cと前記シセカ近傍距離εと前記周期Tとを要素とする集合CEm(t)={c(t),ε(t),T(t)}を生成し、前記生成したCEm(t)から数24でサブセットCEm(t|t≦t≦t)を生成し、前記サブセットの要素のうち、前記処理単位x(i)に於けるシセカ近傍距離ε(t)が小さい方から数えてn×p(0<p≦1)番目までの要素を取りだし、それらの各要素のカオス論的指標値c(i)の平均値を、前記マクロスコピックなカオス論的指標値cとする、カオス論的指標値計算システムである。
請求項7の発明は、前記第2の計算手段は、前記生成した集合CEm(t)において、所定値以下の変化率を有する周期Tの時間帯を安定な時間帯として、前記数24でサブセットCEm(t|t≦t≦t)を生成する、カオス論的指標値計算システムである。
請求項8の発明は、前記第2の計算手段は、前記切り出した処理単位x(i)に於ける、サンプル時刻tのミクロスコピックなカオス論的指標値cと前記シセカ近傍距離εと前記周期Tとを要素とする集合CEm(t)={c(t),ε(t),T(t)}を生成し、前記生成したCEm(t)から数30でサブセットCEm(t|t≦t≦t)を生成し、前記生成したサブセットCEm(t|t≦t≦t)に数31を適用することによって、前記マクロスコピックなカオス論的指標値cとする、カオス論的指標値計算システムである。
上述のような各発明を用いることによって、従来は困難であった、ダイナミックスが時間的に変化する系(例えば、連続的な発話音声信号)に於いて、信号波形(音声信号波形等)が安定部分を局所的に切り出すことを可能とし、引いてはダイナミックスが時間的に変化する時系列信号に於いても、カオス論的指標値の計算を可能とした。
更に、請求項6及び請求項7に記載の発明を用いることによって、精度の高いカオス論的指標値を計算することが出来る。又請求項8の発明を用いた場合には、マクロカオス論的指標値を算出する処理単位に於けるミクロカオス論的指数のソートを不要としていることから、高速にカオス論的指標値を計算することが可能となる。
時系列信号が連続的な一般発話音声信号の場合には、この信号から如何に局所的に音声信号波形が安定な部分を正確に切り出すことが出来るかということが、これらの発話音声の評価分析に於いては大きな課題の一つであるが、これらの発明によって、数秒の発話音声信号からそのカオス性を評価するカオス論的指標値を、従来手法に比較して遙かに安定に、又、高速に計算することが可能になる。
現在までの実験により、発話音声のカオス論的指標値は発話者の疲労度やストレス状態との間に相関関係を有することが明らかになっているが、この発明により、発話者の疲労度やストレス状態等の心身状態を、発話時に於いてリアルタイムに、或いはほぼリアルタイムに計測評価することが可能になる。
更に上述の発明のシステムは、近傍点集合(或いは形式的近傍点集合)を周期性条件より生成する為、従来手法が、処理単位全体から近傍条件を満足する点の集合として近傍点集合を生成していたのに比較して、遙かに短時間で近傍点集合を生成することが可能であり、カオス論的指標値計算までの時間を、従来手法により第1リアプノフ指数を計算するまでの時間に比較して著しく短縮することが可能となる。
例えば44.1kHzでサンプリングした発話音声信号を処理する場合に於いて、従来手法に於いて処理単位時間を1秒に設定し、毎サンプルを処理単位の起点とする移動平均処理により平均的な第1リアプノフ指数値を計算する場合に比較して、本発明のシステムに於いては2桁以上短い時間で平均的なカオス論的指標値を計算することが可能である。
また、従来手法に於いては、近傍点集合を処理単位全体から近傍条件を満足する為の集合として生成していた為、処理単位内でダイナミックスが変化した場合には、必ずしも安定な処理結果を得ることが出来なかったが、本発明のシステムに於いては、近傍点集合(或いは形式的近傍点集合)を周期性条件より生成している為、又周期性条件に加えて近傍条件や収束演算継続条件を適用することが可能である為、安定なダイナミックスが存在する場合に於いてカオス論的指標値を計算することが可能であり、時間局所的に遙かに安定した処理結果を得ることが可能となる。
請求項5の発明は、前記第1の計算手段は、更に、前記計算したミクロスコピックなカオス論的指標値cをセレブラル・スペクトルに於ける第1カオス論的指標値とし、前記第1カオス論的指標値を計算後、前記発展点集合Sの第1要素を次の近傍点集合Pの第1要素として収束演算を行うことにより、前記ミクロスコピックなカオス論的指標値cのn回収束値を計算する、カオス論的指標値計算システム。
このようにn回収束値を計算することにより、1回の計算の場合よりも精度を高くしたサンプル時刻に対するカオス論的指標値を計算することが可能となる。尚、セレブラル・スペクトルとは本発明のカオス論的指標値計算システムにより計算されるカオス論的指標値のスペクトル(ミクロカオス論的指標値のスペクトル)であって、従来のリアプノフ指数とリアプノフ・スペクトルとの関係に相当するものである。
請求項9の発明は、前記時系列信号を読み込む手段は、AD変換器によりデジタル化された時系列信号を読み込む、カオス論的指標値計算システム。
請求項10の発明は、前記カオス論的指標値計算システムは、更に、前記マクロスコピックなカオス論的指標値に対して、その時間的変化を平滑化し、グラフとして出力することで、カオス論的指標値を視覚化する手段、を有するカオス論的指標値計算システムである。
請求項11の発明は、前記カオス論的指標値を視覚化する手段は、数29又は数34でフィルタリング処理を行うことで、マクロスコピックなカオス論的指標値を取り出し、その時間的変化をグラフ化することで視覚化する、カオス論的指標値計算システムである。
請求項10、請求項11の発明によって、計算したカオス論的指標値を視覚化して表示することが可能となる。これによって単に計算し数値データとして出力するのみならず、視覚化することにより、カオス論的指標値を用いて判断を行う者の理解の助けとなる。特に、これらによって時間的に高い分解能でカオス論的指標値を視覚化することが可能となり、精度の向上にも繋がる。
以上のような本発明のカオス論的指標値計算システムによって計算されるカオス論的指標値は、上記超球の大きさと形式的に計算されるリアプノフ指数の関係に於いて、図7に示すような意味を有する値である。
脳が活発に機能していれば、発話音声には多くのクロストーク雑音、即ち他の部位からの信号による擾乱が混ざり、シセカ近傍距離と計算されるカオス論的指標値の関係は、図7上の「脳の活性度が高い場合のカオス論的指標値とシセカ近傍距離との関係」を示す曲線上にあり、シセカ近傍距離パラメータpを10%とすれば、カオス論的指標値は、その関係曲線とCEM10を与える垂線との交点により与えられる。
図7から明らかなように、シセカ近傍距離パラメータを10%とすれば感度は高くなり、30%とすれば脳機能評価感度は低下する。100%の場合には、発話内容に対するストレス等を検出する感度を得ることは出来ない。
実際の発話音声を生成するダイナミックスは、図7のような理想的な雑音特性を有さない為、安定な処理結果を得る為には、シセカ近傍距離パラメータは、処理する信号の明瞭度に対応させ設定する必要があり、通常のオフィス環境に於ける音声等を分析する場合には20%程度に設定することが良い。
本発明の詳細な内容を図1から図4のフローチャート図を用いて詳細に説明する。尚、以下の説明に於いては、ダイナミックスが時間的に変化する系として、連続発話音声信号をカオス論的に解析し、カオス論的指標値を計算する場合を説明するが、連続発話音声信号以外の時系列信号であっても、それが周期的特徴(周期的特徴とは、スペクトル分析することにより周波数軸上に明確なピークを観測できる特徴を言う。図10に/a/音の波形を示し、図11に/a/音のスペクトルを示す)を有すれば、その解析も同様に行える。このことは、以下に示すカオス論的指標値計算システムの処理に於いて、連続発話音声信号独特の処理に依存しないことからも明らかである。尚、以下の本発明のカオス論的指標値計算システム(シセカ)の説明では、各変数や数式をコンピュータで計算する為に、コンピュータ内のメモリ、プロセッサ、記憶手段等を通常の手法で用い、これらの手順を任意のプログラミング言語又はマシン語等で表現し、コンピュータで実行させることは、当業者であれば当然に行える。例えば各変数や数式を配列、ポインタ等で処理し、更には分岐処理、反復処理、再帰処理等を用いることで実現できる。
時系列信号のカオス論的指標値による評価は、以下の2つの連続する手続きによる指数値を計算し、またそれらの時間的な移動平均値をグラフとしてプロットする処理を行うことにより、視覚化することが可能となる。
まず、発話音声をサンプリングすることにより得られる時系列信号に於いて、各サンプル時刻に対する時系列信号のカオス論的指標値(これをミクロスコピックなカオス論的指標値と呼ぶ)を計算する(S200)。尚、この場合、サンプル時刻全てに対して処理を行っても良いし、サンプル時刻を一つ飛ばしで、或いは10個飛ばし等で処理を行っても良い。
例えば処理する時系列信号のサンプリング周波数が44.1kHzであれば、ミクロスコピックなカオス論的指標値は約0.0227(=1/44.1)msの時間間隔で計算される。
次にミクロスコピックなカオス論的指標値のサンプル時刻を含む予め定められた時間、例えば発話される音韻の継続時間、に対する時系列信号のカオス論的指標値(これをマクロスコピックなカオス論的指標値と呼ぶ)を計算する(S400)。
一般的な発話音声に於いては、一つの音韻の継続時間は数十ミリ秒から百数十ミリ秒であるから、マクロスコピックなカオス論的指標値は、その間の時間に計算された数百から数千のミクロスコピックなカオス論的指標値から一つ、或いはマクロスコピックなカオス論的指標値の計算の為の処理パラメータの設定によっては数個程度の複数個、計算される。
マクロスコピックなカオス論的指標値に対しては30秒程度の平均処理時間幅を設定して時間的な移動平均処理を行えば、グラフ化によって視覚的に解読可能となる、脳の活性状態の経時的な変化を示す指標値を得ることが可能である(S500)。
尚、上述のマクロスコピックなカオス論的指標値に対する時間的な移動平均処理は、マクロスコピックなカオス論的指標値と発話内容やその個々のフレーズ、また音韻との関係を明確に対応づけることにより、他の処理方式によるプロセスに置き換えることも可能である。
上述のミクロスコピックなカオス論的指標値とは、各サンプリング時間に対する時系列信号のカオス論的指標値を示し、マクロスコピックなカオス論的指標値とは、ミクロスコピックなカオス論的指標値に基づく、予め定められた時間、例えば音韻の継続時間に対するカオス論的指標値を示す。図12にミクロカオス論的指標値とマクロカオス論的指標値の関係を示す概念図を示す。
本発明のカオス論的指標値計算システムは、これらの処理をコンピュータ端末で行う為のシステムであり、従来型のシステムによっては定義されていなかった、ダイナミックスが変化する系に対してミクロスコピックなカオス論的指標を与え、又従来はその定量化に特別な意味を見出されることのなかった、カオス論的な時系列信号に重畳することによりそのカオス性を乱すノイズについて、そのノイズ・レベルの定量化を可能としている。
従って、本発明を利用して発話音声から発話者の脳の活性状態の変化を観測する為のシステムを構築しようとする場合、この時間的な移動平均値計算の為のプロセスは、或いはこれに代わり脳の活性状態の変化を視覚的に見やすくするプロセスを設けることが好適である。
上述のように、シセカはカオス論的指標値を高速に計算することを可能としたシステムである。
以下の説明に於いて、ミクロスコピックなカオス論的指標値については、これをミクロカオス論的指標値c(=cmicro)と示し、マクロスコピックなカオス論的指標値については、マクロカオス論的指標値c(=cMACRO)と示す。
まず、ミクロスコピックなカオス論的指標値を計算するプロセス(S200)について説明する。シセカによりミクロカオス論的指標値cを計算する為に、カオス論的な処理パラメータとして、埋め込み次元D、埋め込み遅延時間τ、発展遅延時間τ、近傍点集合の大きさNを定義し、シセカに於ける周期条件の設定に係るパラメータとして、時系列信号の有する最短周期Tと最長周期Tの定義設定を行う(S110)。
尚、上記の埋め込み遅延時間τ、発展遅延時間τ、最短周期T及び最長周期Tについては、以下の記述を簡単化する為に、時系列信号のサンプリングの時間間隔Δtを単位時間として定義することとし、従って、以下τ、τ、T、Tはサンプリング間隔の数を表す無次元数として使用する。
埋め込み遅延時間τ、発展遅延時間τ、最短周期T及び最長周期Tについて、これらを時間の次元を有するものとして示す必要がある場合には、それぞれτ×Δt、τ×Δt、T×Δt、T×Δtと明示することとする。
近傍点集合の大きさNは、埋め込み次元数Dに対して(D+1)以上であることが必要であり、零割等を起こさずに安定な計算を行う為には(D+2)、(D+3)以上と設定することが好適であるが、ミクロカオス論的指標値c計算の為の計算量を低減させる為には、必要以上に大きな値にしない方が良い。
又、発話音声のようにダイナミックスが連続的に変化する場合には、近傍点集合、或いはその候補にダイナミックスの異なる点が紛れ込むのを防ぐ為に、近傍点集合の大きさNは、安定な計算が可能である限り、出来るだけ小さく設定することが、ミクロカオス論的指標値の信頼性向上の観点から好適であり、例えば埋め込み次元が4であれば、近傍点集合の大きさは6或いは7程度が適当である。
尚、Nを(D+1)としても、ディザ処理を用いれば零割の発生を防ぐことは可能であり、近傍点集合の大きさNについては、処理する信号の性質に対応して設定することが処理効率の改善と処理結果に対する信頼性の確保に重要である。
S110で設定後、図3のS210では初期値の計算であるから、初期値計算用の入力データである、時系列信号を読み込ませる(S220)。ここで、シセカにより処理を行おうとする連続的な発話音声のような時系列信号s=s(t)を、数1とする。
(数1)
Figure 0004989618
尚、sは音声信号等をAD変換器等によりサンプリングすることにより生成される時系列信号を構成する個々のデータであり、またtはサンプリングの時間間隔Δtにより量子化された時間を与える(サンプリング・クロックの周波数をfとすれば、f×Δt=1である)。
S220で時系列信号を読み込めた場合(S230)、ミクロカオス論的指標値cを計算する為に、数1の時系列信号s(t)から、時系列信号の処理単位x=x(i)を数2のように切り出す(S240)。
(数2)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
,・・・,
Figure 0004989618
Figure 0004989618
上述のように切り出した時系列信号x=x(i)に於いて、後述する近傍点候補集合P、発展点集合Pを生成するときに、時系列信号x=x(i)の周期性条件が最長周期Tに於いて満たされる場合、発展点集合Sに於いて時間的に一番後の点の第D次元目の要素はx(n)で与えられる。
従って、時系列信号の周期性条件を最短周期Tと最長周期Tにより与える場合、近傍点候補集合Pを生成する為に切り出される時系列信号x=x(i)は、数2を満たすものでなければならない。
数2に於ける周期性条件を満足するtは、数1に於いて定義するs(t)に対して、tを順に0からインクリメントして、数3で予め設定される周期性条件を満足することを確認して評価(決定)する(S250)。尚、上述した時系列信号x=x(i)に対して、例えばn≦nとして、ミクロカオス論的指標値を計算する為に切り出す時系列信号x^=x^(i)(但し、x^(i)={x|i=0,1,・・・,n})を、x=x(i)を包含するものとして、下記の数3のように設定することは当然に可能であるが、適用する周期性条件が最短周期Tと最長周期Tにより与える場合、数2に付加されたデータが何らの意味を有するものではない。そして、数2により与える部分時系列信号に対し、その第1要素x(0)よりも時間的に先行するデータを付加して切り出すことも、近傍点候補集合の起点の第1要素をx(0)とする限り、同様に無意味である。
(数3)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
数3に於いて定義するs(t)に対して、シセカに於ける最初の近傍点候補集合を算出する為の周期性条件の評価は、t=0からt=(N−1)×T+(D−1)τ+τ−1までの時刻にサンプルされたデータ、即ちs(t)からs(t)までのデータに対して行う。
上記数3に示すように切り出された時系列信号が予め設定する周期性条件を満足する場合、この切り出された時系列信号から近傍点候補集合を生成することが可能であり、近傍点候補集合がダイナミック・レンジ等他の近傍点集合条件を満足すれば、これを近傍点集合として時刻t=0に於けるミクロカオス論的指標値c(0)を計算することが出来る。
近傍点候補集合を近傍点集合とする条件が周期性条件のみである場合には、上述に於いて切り出す時系列信号が周期性条件を満足する場合には、この時系列信号から直ちに近傍点集合を生成し、時刻t=0に於けるミクロカオス論的指標値c(0)を計算することが出来る。
尚、シセカに於いては、周期性条件は、切り出された時系列信号から近傍点集合の生成処理に於ける必須条件であり、また必須条件は周期性条件のみである。
近傍点候補集合を評価し近傍点集合とする条件については、上記した必須の周期性条件に加えて、入力信号の強度や明瞭度等に対応した各種のフィルタリング条件を組み合わせて使用することが可能であり、コンピュータ端末に於ける演算処理に要求する処理速度や精度に対する要求に対応させて決定することが出来る。
上記の数3に於ける周期性条件の確認は、離散フーリエ変換(DFT)や高速フーリエ変換(FFT)等のフーリエ変換や線形予測分析(LPC)等の周波数分析の手法、或いはウェーブレット解析の手法を用いて、s[t0,t1](t)がT≦T≦Tを満足する周期Tを有することを確認することとして行う。
尚、シセカにより処理する時系列信号s=s(t)から切り出す、毎サンプル時刻のミクロカオス論的指標値c(t)を計算する為の部分時系列信号x=x(i)の周期性条件の評価に於いては、厳密には必ずしも数2、数3により定義される、その有する周期性が最長周期Tである場合に、近傍点集合の生成に必要な部分時系列信号x=x(i)の全体が必要とされるわけではなく、またこの部分時系列信号に前後するデータを加えて周期性条件に対する評価を行うことも出来る。
なおこのことは、周期性条件の評価を行う場合に、FFT等の高速処理を適用に対応させて検定対象とするデータサイズを、部分時系列信号x=x(i)に対して調整することが可能であることを述べるものであり、周期性条件の検定(確認)に使用するデータサイズが部分時系列信号x=x(i)のデータサイズに比較して数分の一であることや、或いは数倍の大きさであることを容認するものではない。
周期性条件の評価に使用するデータサイズを部分時系列信号x=x(i)のデータサイズに対して調整する場合、実用的な精度を維持する為には、実験的な結果からは、周期性条件の評価に使用するデータサイズは部分時系列信号x=x(i)のデータサイズの80%から120%程度が適当な範囲である。
尚、上述した処理単位x(i)の周期性条件の評価に於いては、その処理単位の大きさに対応して、又周期性条件の評価方法に対応して、例えばFFT(高速フーリエ変換)等の高速な信号処理方法を適用する為に、その処理単位x(i)の前後のデータを付加して行うことが出来る。
上記数2に於けるx(i)は、ミクロカオス論的指標値cを計算する処理単位と見なされるものであるが、s[t0,t1](t)の周期TがT≦Tを満足するものであることから、ミクロカオス論的指標値cの計算には必ずしもs[t0,t1](t)の全てのデータを必要とせず、またシセカの周期性条件の評価に於いて計算されるs[t0,t1](t)の周期Tが変動するものであることから、x(i)は、公知の佐野澤田のアルゴリズム等によるシステムに於いて厳密に設定することが必要とされる処理単位とは異なった意味を有するものである。
x(i)は、例えば連続的にサンプリングされた音声信号にシセカに於ける周期性条件等を適用して切り出すことが可能なものであり、サンプリング・インデックスiは、サンプリング時間間隔を基準とする時間を与える。
上述の時系列信号s=s(t)から処理単位x(i)の切り出しのプロセスを詳述すると、まず時系列信号s=s(t)を、一定の時間間隔を持ってサンプリングされた時系列信号として捉え、これに離散フーリエ変換(DFT)や線形予測分析(LPC)等を適用し、これから得られる局所的な周波数スペクトルから、その時系列信号を埋め込み空間に埋め込んだ場合に生成されるストレンジ・アトラクタの周期の予測を計算する。これにより時系列信号s=s(t)と、その周波数の時間的な変化、即ちその時々のストレンジ・アトラクタの周期を示すデータを得る。得られたデータにより、サンプリングされた時系列信号から、デジタル音声情報と周波数情報或いはストレンジ・アトラクタの周期を対応させた時系列信号とする。次に、周波数情報をサーチし、或いはストレンジ・アトラクタの周期情報をサーチし、予め設定された周期性が存在した場合には、その周期性を与えたデータを、処理単位x(i)として切り出すこととなる。尚、ストレンジ・アトラクタの安定性の評価予測の計算については、ウェーブレット変換等を用いても良い。
以下、x(i)をシセカを適用してミクロカオス論的指標値cを計算する為の処理単位と呼ぶこととする。
S240及びS250に於いては、時系列信号s(t)からの処理単位x(i)の切り出しに周期性条件のみを適用したが、処理目的や処理対象となる信号の性質によっては、処理単位x(i)のダイナミック・レンジ等を切り出し条件として付加することも可能であり、発話音声信号の無音部分に対する不要な処理を行わないこと等により、信号処理効率の改善を図ることが出来る。
上記より、処理単位x(i)の近傍点集合、或いはその候補集合を数4とすれば、近傍点集合或いはその候補集合は、数5で示される(S260)。
(数4)
Figure 0004989618
(数5)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
・・・・
Figure 0004989618
尚、上記近傍点候補集合Pに於いては、近傍点集合の候補に於ける起点、即ち基準点Pを処理する時系列信号の最初のデータxを第1要素とする点としている。
上記近傍点候補集合Pに対して、シセカ近傍距離εを上記近傍点集合を埋め込み次元空間に於いて内包する超球の半径とすれば、シセカ近傍距離εは、数6により与えられる。
(数6)
Figure 0004989618
尚、上記シセカ近傍距離εは上記近傍点候補集合を内包するに十分な大きさの超球の半径であって、上記近傍点候補集合を内包する最初の超球の半径を与えるものではない。
シセカ近傍距離εは、ミクロカオス論的指標値cの計算に要する近傍条件、また収束演算継続条件の設定に要するパラメータであると同時に、ミクロカオス論的指標値cからマクロカオス論的指標値cを計算する場合に必要となり、シセカに於いて本質的に重要な役割を果たす数値であるが、処理する時系列信号の生成するストレンジ・アトラクタの大きさに対して相対的に設定するものであるから、必ずしも数6により定義する必要はなく、又上記近傍点候補集合を内包する最小の超球の半径として定義することも問題ない。即ち、シセカ近傍距離εは、所定値として如何なる値(この値は予め定められた値として任意に設定が可能である)を設定することも可能であるが、上述のようにεを設定することで、効率的に計算が可能となる。
特にシセカ近傍距離εを上記近傍点候補集合を内包する最小の超球の半径として定義すれば、ミクロカオス論的指標値cからマクロカオス論的指標値cを計算する場合に、より高い精度でマクロカオス論的指標値cを計算することが可能である。
ミクロカオス論的指標値cの計算に於いて、近傍条件を、例えばε<ε(εは、処理単位から埋め込み空間に構成されるストレンジ・アトラクタの半径に予め設定する値、シセカによる通常の処理に於いては0.5程度、を乗じて与える)とするとき、上記εがこれを満足するものであれば、上記近傍点候補集合は近傍点集合となるが、満足しないものであれば近傍点集合としては棄却される(S270)。
上記近傍点候補集合が近傍点集合として棄却された場合には、処理対象である発話音声信号等の時系列信号s(t)に対して再びシセカによる周期性条件を適用し、先の処理単位より時系列的に後の点を起点とする新たな処理単位x(i’)を切り出し、この新たな処理単位x(i’)に於いて近傍点候補集合を生成し、又同様に近傍条件を適用し、これを満足するものとしての近傍点集合を探索する。
上記εが近傍条件を満足する時、近傍点集合となったPに対して発展遅延時間τを適用して、発展点集合Sを数7のように生成する(S280)。
(数7)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
・・・
Figure 0004989618
尚、上記SはPに対する発展点であり、S,・・・,S(N−1)はそれぞれP,・・・,P(N−1)に対する発展点である。
以上のように近傍点集合Pとこれに対する発展点集合Sが得られた時、近傍点の変位ベクトルyと、これに対する発展点の変位ベクトルzを数8のように定義する。
(数8)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
上記ベクトルyとベクトルzの関係に於いて、数9を満足する行列Aを得ることが出来れば、佐野澤田のアルゴリズムによるシステムに於いてリアプノフ・スペクトルが推定されるように(厳密には、佐野澤田のアルゴリズムによるシステムに於いては、リアプノフ・スペクトル推定の為の初期値が推定される)、シセカに於けるセレブラル・スペクトルが計算される。
(数9)
Figure 0004989618
上記数8及び数9は、人間の発話音声信号等の時系列信号に対する信号処理によりリアプノフ・スペクトルを推定する場合の処理を記述するものであり、近傍点候補集合Pを数4、数5により、又発展点集合Sを数7により定義した場合の位相空間(一般には時間遅れ座標系と呼ぶ)に構成されるアトラクタに於ける微小変位ベクトルyの発展(尚、発展変位はベクトルzである)としてリアプノフ指数を与える推定ヤコビアン行列Aが与えられる。
セレブラル・スペクトルを計算する為には、行列Aを数10を満足するように計算すればよい。
(数10)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
行列AがD次元である場合、上述したように行列Aの計算の為には、比例関係にはない、独立した微小変位ベクトルyと発展変位zの組みがD組み以上必要である。微小変位ベクトルyと発展変位zの組みがD組以上与えられた場合に、数10に於けるSは行列Aを与えた場合の、微小変位ベクトルyと発展変位zの関係に於ける誤差の平方和を与えるものである。従って、数10に於けるSに対する偏微分は、微小変位ベクトルyと発展変位zの関係に於ける誤差の平方和を最小とすることを意味する。
即ち、数10は、行列Aが最小二乗法により推定されることを記述したものである。
上記数10を計算すると数11となり、従って行列Aは数11により与えられる。
(数11)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
数11により与えられた行列Aを、数12によりQR分解すれば、行列Rの対角成分の最大値として、時系列信号の最初のデータxを与えた時刻に対するミクロカオス論的指標値cが計算される(S290)。
(数12)
Figure 0004989618
行列Rの対角成分を大きい順に並べて、それぞれを第1ミクロカオス論的指標値、第2ミクロカオス論的指標値、・・・、と呼ぶことにすると、埋め込み次元数と同数の要素を有するセレブラル・スペクトルを得ることが出来る。尚、本発明に於いて、ミクロカオス論的指標値は、特に第1ミクロカオス論的指標値とは異なるものと記載がない限り、第1ミクロカオス論的指標値を意味している。
ミクロカオス論的指標値cは、セレブラル・スペクトルに於ける第1ミクロカオス論的指標値である。
ミクロカオス論的指標値cの計算に於いては、その局所時間的な信頼性を向上させる為に、佐野澤田のアルゴリズムによるシステムに於いてリアプノフ・スペクトルを計算した場合と同様に、先の発展点集合の第1要素を次の近傍点集合の第1要素として、以下のような収束演算を行う(即ちS210へ戻り収束演算を行う)。
尚、収束演算の実施にあたっては、S240に於いてS220の時系列信号s(t)から初期の近傍点集合を生成する為に処理単位x(i)を切り出したように、数1に対して、新たにx’(i)を数13のように切り出さなければならない(S300)。
(数13)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
,・・・
・・・,
Figure 0004989618
であり、
Figure 0004989618
[t0+τe,t1+τe](t)が予め設定される周期性条件を満足することを確認して、又ダイナミック・レンジ等による付加的な信号処理条件が設定されている場合には、その条件についても初期的な処理単位x(i)に対して適用した場合と同様に適用し、それらの条件をいずれも満足することを確認して、次の処理単位x’(i)としなければならない。
ミクロカオス論的指標値cの収束演算の継続については、発展点集合の第1要素を起点とする次の計算の為の処理単位が、周期性条件や処理単位を切り出す為の付加的な信号処理条件を満足しなくなるまで、またその処理単位が近傍条件あるいは収束演算継続条件を満足する近傍点集合を与えなくなるまで繰り返し継続する。
尚、収束演算継続条件としては、第n回目の収束演算に於ける近傍点集合P(n)のシセカ近傍距離ε(n)が、第(n−1)回目の収束演算に於ける近傍点集合P(n−1)のシセカ近傍距離ε(n−1)以下であること、或いはε(n−1)×a(aは予め設定する値であり、通常の発話音声の処理に於いてa≦1.1とする)以下であること、等として設定する。
第n回目の収束演算に於いては第(n−1)回目の収束演算に於ける発展点集合の第1要素から第n回目の収束演算を想定する近傍点集合の第1要素とし、この近傍点集合P(n)が数14により与えられるとする。
(数14)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
・・・
Figure 0004989618
上記近傍点候補集合P(n)が近傍条件及び収束演算継続条件を満足する時、これに対する発展点集合S(n)は、数15により与えられる。
(数15)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
・・・
Figure 0004989618
以下、S280以降と同様に、近傍点集合P(n)とこれに対する発展点集合S(n)に対して、近傍点の変位ベクトルy(n)と、これに対応する発展点の変位ベクトルz(n)を数16のように定義する。
(数16)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
上記のベクトルy(n)とベクトルz(n)の関係に於いて、数17を満足する行列Aを得ることが出来れば、佐野澤田のアルゴリズムによるシステムに於けるリアプノフ・スペクトル推定の収束演算と同様に、シセカに於けるセレブラル・スペクトル計算の収束演算を行うことが出来る。
(数17)
Figure 0004989618
セレブラル・スペクトルの計算の為には、行列Aを数18を満足するように計算すればよい。
(数18)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
行列Aは数19により与えられる。
(数19)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
n回の収束演算が可能であった場合、セレブラル・スペクトルc={c|s=1,2,・・・,D}は、時間発展行列をMとして数20により与えられる。
(数20)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
ミクロカオス論的指標値c(t)は、時刻tを起点第1次元要素とする近傍点集合と、時刻tをその起点に対する第1次元要素とする発展点集合の関係から行列Aとして与えられる。収束演算継続条件が満足される場合には、引き続き第1回目の収束演算を行うことが可能であり、先の時刻tを起点第1次元要素とする近傍点集合と時刻tをその起点に対する発展点の第1次元要素とする発展点集合の関係から行列Aとして、時刻tに対するミクロカオス論的指標値c(t)が与えられる。
時刻tから発展した時刻tに於いて、収束演算継続条件が満足され、時刻tに対するミクロカオス論的指標値c(t)が計算される場合、これを用いて時刻tに於ける、より正確なミクロカオス論的指標値c(t)を、佐野澤田のアルゴリズムを用いた処理に於けるリアプノフ・スペクトルの収束演算の場合と同様に、数35により与えることが出来る。
(数35)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
従って、数36が成立する。
(数36)
Figure 0004989618
上述した時刻tに於いても収束演算継続条件が満足されれば、これらを同様に反復して時刻tに於けるミクロカオス論的指標値c(t)の信頼性を向上させていくことが出来る。
ミクロカオス論的指標値cは数20から数21により与えられる。
(数21)
Figure 0004989618
佐野澤田のアルゴリズムのシステムによりリアプノフ・スペクトルを計算する場合、時間発展行列Mを同様に与えた場合、ミクロカオス論的指標値cに相当するリアプノフ指数λは数22のように定義される。
(数22)
Figure 0004989618
mmは、行列Rのm番目対角要素を意味するが、発話音声のミクロカオス論的指標値cの計算に於いては、一般的に、発話音声のダイナミックスが安定な期間は短く、収束演算も日常の会話音声等をデータとした場合には数回から十数回程度しか繰り返されない為、実験的な結果より、上記の数20における定義による方が安定な処理が可能である。
シセカはミクロカオス論的指標値cの計算に於いて、入力x(i)(=s[t0,t1](t))に対して、(t,c(t),ε(t))を出力する。
シセカにより連続的な発話音声信号s=s(t)を処理すれば、まず、ミクロスコピックなカオス論的指標値を計算するプロセス(S200)により、周期性条件等を適用して連続音声から切り出された各処理単位に対して、発話音声からサンプルされたそれぞれのデータの発話時刻tと、その時刻に於けるミクロカオス論的指標値c(t)、そのミクロカオス論的指標値を与えたシセカ近傍距離ε(t)のリスト(t,c(t),ε(t))を要素とする集合を得ることが出来る。この計算した結果に対してマクロスコピックなカオス論的指標値を計算するプロセス(S400)を実行し、マクロスコピックなカオス論的指標値を計算する。以下にマクロスコピックなカオス論的指標値を計算するプロセスを説明する。
連続的な発話音声信号s=s(t)に周期性条件等を適用して処理単位を切り出す時に計算される、その処理単位の有する周期Tを、上記シセカ近傍距離ε(t)のリスト(t,c(t),ε(t))に組み合わせれば、発話時刻に於ける周期を含むリスト(t,c(t),ε(t),T(t))を得ることが出来る(S410)。
シセカのミクロカオス論的指標値処理機能による連続的な発話音声信号s=s(t)の処理結果は、数23により与えられる。
(数23)
Figure 0004989618
tはサンプリングの時間間隔Δtにより量子化された時間である。
Figure 0004989618
シセカはミクロカオス論的指標値c(t)の計算結果CEm(t)から、以下の処理により、連続的な発話音声を構成する各音韻に対するマクロカオス論的指標値c(t)を計算する。
連続的な発話音声を構成する各音韻の継続時間に於いて、その間、上記周期Tは、緩やかな或いは数パーセント以下程度の少しの変化は存在しても、ほぼ安定な値を維持する。
例えば日本語の場合、それぞれ/a/音の周期をT、/i/音の周期をT、/u/音の周期をT、/e/音の周期をT、/o/音の周期をTとすれば、T(t)は、T=T(t|t≦t≦t)(即ち、ある時間帯にはTであり)、T=T(t|t≦t≦t)(また別なある時間帯にはTである)といったような関数となる。
実際の発話音声に於いては複数の母音が同じ周期を有していたり、又逆に同じ母音であっても、フレーズに於ける存在位置や、前後の子音との関係により異なる周期となる場合も存在するが、一般的な発話が為されている場合には、言語に依存することなく、又声の高低や男女差の影響も受けることなく、T(t)から、子音や句読点等により分けられた個々の母音の継続状態を識別することは十分に可能である。
シセカに於いて、マクロカオス論的指標値c(t)は、T(t)に於いて個々の母音の継続時間帯に対して一つ、或いは母音の継続時間が長い場合には予め設定する処理時間に分割して、数個程度までの複数個計算される。
尚、シセカは、マクロカオス論的指標値c(t)の計算に於いて母音と子音の区別は行っていないが、子音は母音に比較して明確な周期性を示さない為に、子音に対しては安定にマクロカオス論的指標値を計算することは出来ない。
CEm(t)に於いて、t≦t≦tに於いてT(t|t≦t≦t)がほぼ安定にTであったとすれば(つまり、予め定められた時間の周期T(t)と比して、周期T(t)が所定値(予め定められた任意の値)以下の変化率を有する時間帯を安定な時間帯として)、マクロカオス論的指標値c(t|t≦t≦t)は数24により計算される(S420、S430)。CEm(t)からサブセットCEm(t|t≦t≦t)を、数24で生成する(S440)。
(数24)
Figure 0004989618
CEm(t|t≦t≦t)に於いて、これを構成する要素(c(t),ε(t),T(t))を、ε(t)の大きさにより小さい順にソートして数25を得る(S450)。
(数25)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
CEm(t|t≦t≦t)に対するマクロカオス論的指標値c(t|t≦t≦t)は、マクロスコピックなカオス論的指標値の設定に係るシセカ近傍距離ε(t)に係るパラメータとしてiε(p|0<p≦1)を定義すれば、数26により与えられる(S460)。
(数26)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
上述したマクロカオス論的指標値c(t)の計算処理は、起点に対する近傍点を、探索範囲の全体から近い順に、予め設定する数(最小の必要数から最大の十分数までの範囲設定が可能である)だけ取り出すことによって実現をしている。
リアプノフ・スペクトル、またリアプノフ指数の計算に於いて、このように近傍点集合を生成する場合、予め設定される近傍距離は、探索範囲の全体から常に、或いは殆どの起点に対して、予め設定する以上の数の点が近傍距離による近傍条件を満足するように比較的に大きく設定される。
即ち、この近傍距離については、その大きさは必要とされる処理精度と処理に許容される計算時間との関係に於いて設定されるものであり、最大限の精度を実現しようとすれば、近傍距離は探索範囲の全ての点がこれを近傍点条件として満足するように設定しなければならない。
上記のS460に於いて、c (t|t≦t≦t)は、CEm(i|1≦i≦n)の要素のうち、ε(t)が小さい方から数えてn×p番目までの要素を取り出し、即ち集合CEm(i|1≦i≦n)の大きさに対する割合としてpの要素をε(t)が小さい方から取り出し、それらの各要素のミクロカオス論的指標値c(i)の平均値を与えている。
上記のS460に於けるpをパーセンテージにより表記することとして、例えばp=10%とすれば、集合CEm(i|1≦i≦n)から、その大きさの10%の数の要素をε(t)が小さい方から取り出し、取り出した各要素のミクロカオス論的指標値c(i)の平均値として、マクロカオス論的指標値c 10(t|t≦t≦t)は定義される。
20(t|t≦t≦t),c 30(t|t≦t≦t),・・・についても同様である。
上述のS450及びS460は、マクロカオス論的指標値c(t|t≦t≦t)について、その時間的な変化の観測に於いて、比較的に時間的に高い分解能を要さない場合、即ち高精度でなくても良い場合には以下の通りに算出することも可能である。まず、CEm(t|t≦t≦t)に於いて、これを構成する要素(c(t)、ε(t),T(t))を、ε(t)の大きさを基準として数30を得る。
(数30)
Figure 0004989618
CEm(t|t≦t≦t)に対するマクロカオス論的指標値c(t|t≦t≦t)は、シセカ近傍距離ε(t)の大きさに対して、数31により与えられる。
(数31)
Figure 0004989618
はcCEm(t|t≦t≦t)を満足するcの数である。
上述したマクロカオス論的指標値c(t)の計算処理は、起点に対する近傍点を、時間的に起点に近い順に、予め設定する数(最小の必要数から最大の十分数までの範囲設定が可能である)だけ取り出すことによって実現をしている。
このrをストレンジ・アトラクタ径に対するパーセンテージにより表記することとして、例えばr=10%とすれば、集合CEm(t|t≦t≦t)から、シセカ近傍距離ε(t)がc(t)を与えた時刻に於けるストレンジ・アトラクタ径の10%よりも小さいミクロカオス論的指標値c(t)の平均値として、マクロカオス論的指標値c 10(t|t≦t≦t)は定義される。又、c 20(t|t≦t≦t),c 30(t|t≦t≦t),・・・についても同様である。
以上のような2通りのうち何れかの方法でマクロカオス論的指標値を定めることが可能となる。
ミクロカオス論的指標値cからマクロカオス論的指標値cを計算する場合の処理単位は、予め定められた時間、一般的な発話音声の処理に於いては音韻の継続時間とすることが適当であるが、同一の音韻が数百ミリ秒から数秒以上の時間にわたって継続するような場合には、その継続時間内に於いても脳の活性状態は変化していると考えられる為、200ミリ秒程度までの時間幅に分割して、即ち処理単位を200ミリ秒程度として、分割した各処理単位に於いてそれぞれミクロカオス論的指標値cからマクロカオス論的指標値cを計算することが適当である。
更にシセカ近傍率をpとしてS450及びS460のようにシセカ近傍距離ε(t)の順序関係により決める場合、またシセカ近傍率をrとしてS450及びS460の変形例のようにシセカ近傍距離ε(t)の大きさにより決める場合のいずれに於いても、上記処理以降の時系列信号からマクロカオス論的指標値cから評価する為の処理は同様である。
マクロカオス論的指標値c (t)は、機械的には0%<p≦100%の任意のpについて計算可能であるが、発話音声(時系列信号)から発話者の脳の活性状態をカオス論的指標値により評価する目的には、pは、10%≦p≦30%に設定されることが好適である。
マクロカオス論的指標値c (t)は、機械的には0%<r≦100%の任意のrについて計算可能であるが、シセカにより処理する時系列信号が発話音声信号のように強いカオス性を有する場合には、r>10%では変化の割合が急速に小さくなる為、時系列信号(発話音声信号)に重畳されるそのカオス性を乱すノイズ・レベルを検出する為には、r≦10%に設定される必要がある。
また、シセカ近傍率pを用いた場合と同様に、数26及び数31のように、マクロカオス論的指標値cがミクロカオス論的指標値cの平均値として与えられる為、数26に於いてはiε(p)が小さくなれば、数31に於いてはNが小さくなれば、マクロカオス論的指標値cの精度が低下するので、rについては2%から3%以上に設定される必要がある。
シセカが上述の特徴を有するのは、シセカに於いては佐野澤田のアルゴリズムによるシステムに於ける近傍条件としてのεに相当するシセカ近傍距離εが、時系列信号s(t)から生成される近傍点集合Pから計算されるものであることにより、即ち、佐野澤田のアルゴリズムによるシステムにおけるように近傍条件としてのεが、近傍点集合を生成する為に、近傍点集合に先立ち存在するものではないことによる。
佐野澤田のアルゴリズムによるシステムに於いては、時系列信号が埋め込み空間に生成するストレンジ・アトラクタの大きさに対して任意に近傍条件としてのεを設定することが出来るが、シセカに於いては、処理する時系列信号が十分にカオス論的な特徴を有して埋め込み空間に明確なストレンジ・アトラクタを生成するようなものであれば、時系列信号から生成される近傍点集合に対して計算されるシセカ近傍距離εは、ストレンジ・アトラクタの大きさに比較してかなり小さなものに留まってしまう。
ミクロカオス論的指標値のcの計算において、シセカでは近傍条件を、例えばε<ε、εは近傍超球の直径(或いは半径)、εはストレンジ・アトラクタを内包する最小の超球の直径(或いは半径)の30%、のように設定することが出来るが、これは白色雑音のようにカオス性を有さない信号に対する処理を省いて処理時間の短縮を図る為のものである。従って、信号処理に要する時間を考慮する必要がない場合には、即ちミクロカオス論的指標値cからマクロカオス論的指標値cを計算するプロセスに於いて近傍条件を設定する場合に比較して比較的に長時間を要することを許容すれば、シセカに於いては近傍条件の設定は必要条件ではない。
近傍条件を適用せずに、白色雑音に対して機械的にシセカを適用すれば、生成される近傍点集合に対して計算されるシセカ近傍距離εは、最大で、その白色雑音が埋め込み空間に構成するアトラクタ(厳密にはアトラクタと呼べるものではない)の大きさと同程度となる。
上記はシセカが佐野澤田のアルゴリズムによるシステムに似た計算処理を行っていながらも、全く異なるアルゴリズムによるシステムであることを示す特徴的な性質である。
又、処理する時系列信号がそのカオス性を乱すノイズを含んでいる場合、今日、明確にそのカオス性を発生させているダイナミックスの第1リアプノフ指数を計算する手法は明らかではなく、佐野澤田のアルゴリズムによるシステム等の従来型のものよりカオス性を発生させているダイナミックスの第1リアプノフ指数を見積もろうとする時には、近傍条件としてのεを変化させ、計算される第1リアプノフ指数の変化が最も少なくなるε値を見つける必要があり(そのεに対して計算される第1リアプノフ指数をカオス性を発生させているダイナミックスの第1リアプノフ指数と考えるが)、ノイズを含まない信号の処理に比較して遙かに多くの計算量が発生するが、シセカに於いては、近傍条件を設定しない、或いは近傍条件の設定を十分に緩やかなものとすることによりc 100(t)として、処理する時系列信号がそのカオス性を乱すノイズを含んでいる場合であっても、何らその処理方法を変えることなく、そのカオス性を発生させているダイナミックスの第1リアプノフ指数を見積もることが出来る。
発話音声から発話者の脳の活性状態をカオス論的指標値により評価しようとする場合、ノイズを含まない理想的な発話音声は存在しないので、ノイズにより上昇した指数値と、ノイズを含まない場合に予想される指数値の両方を計算することが必要であり、シセカはこれらの指数値を同時に効率的に計算するシステムとなっている。
尚、実験的な事実として、十分に広帯域な、20Hz〜20kHz程度の帯域を有する、マイクロフォンで十分に明瞭に収得した音声をAD変換器によりデジタル化し、シセカにより処理した場合、計算されるc 100(t)の値は発話者に強くは依存せず、個人差と思われるものは数十パーセント以下である。発話音声から計算されるマクロカオス論的指標値c (t)及びc (t)は、血液や唾液中のステロイドのように数百パーセント以上の個人差を有する指標と異なり、血圧や脈拍程度には不偏な指標であり、従って、発話内容に対するストレスの変化等を観測する目的に対しては、予め個々の発話者の平常値を計測しておくこと、等による初期設定等の調整作業を必要としない。
シセカのマクロカオス論的指標値処理機能により、連続的な発話音声信号s=s(t)から得られたミクロカオス論的指標値CEm(t)より、数27又は数32のマクロカオス論的指標値処理結果を得ることが出来る。
(数27)
Figure 0004989618
tはサンプリングの時間間隔Δtにより量子化された時間である。
Figure 0004989618
(数32)
Figure 0004989618
tはサンプリングの時間間隔Δtにより量子化された時間である。
Figure 0004989618
尚、マクロカオス論的指標値c (t)及びc (t)のサフィックスとしてのp及びrについては、パーセンテージを用いて記述する。
発話音声からカオス論的指標値により脳の活性状態を評価しようとする場合、実験的な結果として、一般的な発話音声の分析に於いて発話内容に対するストレスを検出する為には、pを20%程度又はrを10%程度に設定すれば十分であるが、発話音声の明瞭度が高い場合には、pを10%程度又はrを5%程度に設定することにより発話内容に対するストレスの検出感度を向上させることが可能である。
発話内容に対するストレスの検出感度を向上させる為にはp又はrをできるだけ小さく設定する必要があるが、発話内容の明瞭度やAD変換器によるダイナミック・レンジが不足する場合には、安定な処理結果を得ることは難しくなる。
逆に、周辺雑音等の状況により発話音声の明瞭度が不足する場合には、計測の信頼性を実現する為には、pを30%程度以上に設定することが必要となる場合もある。
シセカ近傍率としてrを使用する場合、シセカ近傍率としてpを使用する場合に比較して、ストレス状態の評価に於ける時間分解能は比較的に低下する。尚、シセカ近傍率としてp又はrのいずれを使用しても、原理的にc 100(t)の値は一致する。
逆に周辺雑音等の影響により発話音声の明瞭度が不足する場合には、計測の信頼性を実現する為にはpを30%程度以上に設定することが必要となる場合もあるが、その場合には計測感度は低下する。
上述のようなプロセスを経ることによって、シセカはミクロカオス論的指標値処理機能とマクロカオス論的指標値処理機能により、音声信号s(t)から数28又は数33により、カオス論的指標値SiCECA(s(t))の処理結果を得る(S470)。
シセカ近傍率としてpを使用する場合のカオス論的指標値SiCECA(s(t))の処理結果が数28であり、シセカ近傍率としてrを使用する場合のカオス論的指標値SiCECA(s(t))の処理結果が数33である。
(数28)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
tはサンプリングの時間間隔Δtにより量子化された時間である。
(数33)
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
Figure 0004989618
tはサンプリングの時間間隔Δtにより量子化された時間である。
シセカは入力された時系列信号に対してダイナミックスの安定性を検証しながら、佐野澤田のアルゴリズムによるシステム等の従来型のものによっては計算が不可能であった、局所的なミクロカオス論的指標値及びマクロカオス論的指標値を計算するが、ミクロカオス論的指標値については時系列信号の各サンプリング時刻に対応して出力され、マクロカオス論的指標値についても時系列信号においてダイナミックスが安定である時間と時刻を検出して、その各時刻に対して出力するため、平均的に毎秒十数以上の音韻が含まれる発話音声のように、短時間で目紛しくダイナミックスが変化する場合、検出されたダイナミックスの数だけのマクロカオス論的指標値を出力する。
本明細書に於けるマクロとは、ミクロに対応する概念として冠されているものであって、発話音声に対してシセカにより処理することで得られるマクロカオス論的指標値の時間的な変化を直接にグラフ化しても、数十ミリ秒から百数十ミリ秒の時間的な間隔で激しく変動する様子が見られるのみであり、秒単位や分単位での発話者の脳の活性状態を観測することはできない。
発話音声から脳の活性状態の経時的な変化を視覚的に観測する為には、シセカによる処理による場合、更にマクロカオス論的指標値CEM(p,t)又はCEM(r,t)に対して、時間的な移動平均処理等を行うことにより、その変化を時間的に平滑化する(S500)。
マクロカオス論的指標値CEM(p,t)又はCEM(r,t)に対する時間的な平滑化は、一般的な発話音声を処理した場合、母音が複数個存在すること等により、その処理結果であるCEM(p,t)、CEM(r,t)に、複数の異なるダイナミックスに対する処理結果が、ダイナミックスの差異を区別することなく時間的な順序関係のみをもって含まれていることによる。
一般的な発話音声に対しては、単位時間を各母音の含まれている割合が安定する程度の長さ以上とすれば、上記のような時間幅を設定した移動平均処理により、その単位時間を分解能として、発話者の発話内容に対するストレス状態の変化等を観測することができる。
一般的な発話において、発話内容に対する発話者のストレス状態の変化を観測しようとする場合、移動平均幅を30秒、移動間隔を1秒として、CEM(20%、t)={c 20(t)|t=0,1,・・・}に通常の移動平均処理を行えば十分であり、その結果をグラフとしてプロットすれば、視覚的にストレスの起伏を観測することができる。
発話者の発話内容に対するストレス状態を、より高い時間的な分解能において観測しようとする場合には、数28又は数32に於けるSiCECA(s(t))から、特定のダイナミックスに対するCEM(p,t)、CEM(r,t)のみを取出し、その時間的な変化をグラフ化する等の処理が必要である。
SiCECA(s(t))からの特定のダイナミックスに対するCEM(p,t)、CEM(r,t)の取り出しに於いては、CEm(t)のε(t)とT(t)をフィルタリングの為のパラメータとして使用することが可能である。
このようなフィルタリング処理結果は、数29又は数34により与えられる。シセカ近傍率としてpを使用した場合の処理結果が数29であり、シセカ近傍率としてrを使用した場合の処理結果が数34である。
(数29)
Figure 0004989618
tはサンプリングの時間間隔Δtにより量子化された時間である。
又pは処理する信号の明瞭度等に対して、又目的とする感度に対して設定する。
(数34)
Figure 0004989618
tはサンプリングの時間間隔Δtにより量子化された時間である。
又rは処理する信号の明瞭度等に対して、又目的とする感度に対して設定する。
数34に示すSiCECA (s(t))は、シセカ近傍距離がε =ε(t)となり、周期性条件がT=T(t)となる各時刻のミクロカオス論的指標値から計算されるマクロカオス論的指標値の集合を意味する。
尚、本発明を実施するにあたり本実施態様の機能を実現するシステムを記録した記憶媒体をシステムに供給し、そのシステムのコンピュータが記憶媒体に格納されたシステムを読み出し実行することによって実現されることは当然である。
この場合、記憶媒体から読み出されたシステム自体が前記した実施態様の機能を実現することとなり、そのシステムを記憶した記憶媒体は本発明を当然のことながら構成することになる。又、このシステムを実行する手順、それらを実行するコンピュータシステム、装置、方法、更には電気通信回線(ネットワーク)を介して通信される搬送波も本発明を同様に構成しうる。
システムを供給する為の記憶媒体としては、例えば磁気ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を使用することができる。
又、コンピュータが読み出したシステムを実行することにより、上述した実施態様の機能が実現されるだけではなく、そのシステムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステムなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前記した実施態様の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
更に、記憶媒体から読み出されたシステムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わる不揮発性あるいは揮発性の記憶手段に書き込まれた後、そのシステムの指示に基づき、機能拡張ボードあるいは機能拡張ユニットに備わる演算処理装置などが実際の処理の一部あるいは全部を行い、その処理により前記した実施態様の機能が実現される場合も含まれることは当然である。
本発明によって、ダイナミックスが時間的に変化する系に於いても、カオス論的指標値を計算することが可能となり、特に、ミクロスコピックなカオス論的指標値を高速に計算することが可能となる。
ミクロスコピックなカオス論的指標値は、形式的には、カオス論的な指標の一つとしての第1リアプノフ指数に類似なものであり、シセカも、一部、ミクロスコピックなカオス論的指標値に関する部分において、リアプノフ指数を計算するシステムとしての佐野澤田のアルゴリズムによるシステムと似た構造を有している。
しかしながら、上述のようにその信号処理条件や処理手順において、シセカと佐野澤田のアルゴリズムによるシステムは全く別なシステムである。
佐野澤田のアルゴリズムは一般的な時系列信号の処理に対応するが、シセカは発話音声信号のように周期性を有する信号に対して適用可能である。更に、佐野澤田のアルゴリズムによるシステムを始めとする従来型のシステムは、処理単位として切出した信号に対して、原則的に一つの第1リアプノフ指数を計算するが、シセカにおいては、一定の時間的な幅や、また一定のデータサイズとして設定される処理単位は明確には存在せず、シセカは、原則的に全てのサンプル時刻に対してミクロスコピックなカオス論的指標値(処理するデータが発話音声である場合には、ミクロスコピックなカオス論的指標値)を計算する。
又、シセカにおいては、上述の特徴により、一連の時系列信号においてダイナミックスの変化を検出することが可能であり、これによりミクロスコピックな指標値の計算における収束演算の継続と打切りを制御するので、このミクロスコピックに計算される指標値は、それぞれが個々に安定なダイナミックスに対する値となっているが、時間的な幅として一定の処理単位が設定される佐野澤田のアルゴリズムによるシステムを始めとする従来型のシステムにおいては、処理単位内におけるダイナミックスの変化等により処理単位において複数のダイナミックスが生成したデータが混在している場合には、適正な処理結果を得ることができない。
シセカは、処理データを構成するデータの全てのサンプル時刻に対する指標値を計算するため、佐野澤田のアルゴリズムによるシステムにより処理する処理単位と同じ大きさのデータを処理する場合、それに比較して1桁以上長い処理時間を要するが、佐野澤田のアルゴリズムによるシステムにおいて、処理単位を1サンプルずつずらすこと等によりシセカと同様に全てのサンプル時刻に対する指標値を計算しようとすれば、このような計算を行っても上述した理由により、シセカ程に意味のある結果を得られる訳ではないが、佐野澤田のアルゴリズムによるシステムは、シセカに比較して数桁以上の、長い処理時間を要する。
シセカは、時系列信号からミクロスコピックな指標を計算するプロセスと、ミクロスコピックな指標からマクロスコピックな指標を計算するプロセスとから構成されており、二つのプロセスを接続するパラメータを適切に設定することにより、ダイナミックスが変化する系に対してカオス論的な指標値を計算することを可能としているが、例えば、リアプノフ指数を指標とする場合の佐野澤田のアルゴリズム等、従来型のカオス論的信号処理アルゴリズムによるシステムにおいては、ダイナミックスは安定であることが想定されており、これらはダイナミックスが変化する系による時系列信号に対しては有効な処理結果を与えない。
カオス的な時系列信号にノイズが重畳されている場合の処理についても、従来型のアルゴリズムによるシステムにおいては、処理において初期的に設定するパラメータを様々に変化させる事等により、また他のノイズ除去システムと組合わせることにより、ノイズが重畳されていない場合の指標値を計算する目的に対しては有効なものも存在するが、シセカの様にノイズ・レベルそのものの定量化を、精密に、且つ従来型のシステムを使用する場合に比較して数桁以上の高い処理効率で、行おうとするものは存在しない。
発話音声から、カオス論的指標値により脳の活性状態を評価しようとする場合、上記のシセカの特徴は必要不可欠なものであり、これらの特徴により、シセカによれば、発話内容とその発話時のストレスとの関係を、十数秒から数十秒程度の時間的な分解能において観測することが可能である。
又従来型のアルゴリズムによるシステムを使用した場合、どのような組合わせによっても、そもそもミクロスコピックな指標値が存在せずダイナミックスの変化への対応が想定されていないのであるから、シセカを使用した場合と同等な処理結果を得ることはできない。
又、本発明のシセカにより、従来の佐野澤田のアルゴリズム等を用いたシステムに比較して柔軟であり、実装するコンピュータ等のアーキテクチャに対応させる最適化が容易となる。
更に本発明のシステムは、近傍点集合(或いは形式的近傍点集合)を周期性条件より生成する為、従来手法が、処理単位全体から近傍条件を満足する点の集合として近傍点集合を生成していたのに比較して、遙かに短時間で近傍点集合を生成することが可能であり、カオス論的指標値計算までの時間を、従来のシステムにより第1リアプノフ指数を計算するまでの時間に比較して著しく短縮することが可能となる。
例えば44.1kHzでサンプリングした発話音声信号を処理する場合に於いて、従来手法に於いて処理単位時間を1秒に設定し、毎サンプルを処理単位の起点とする移動平均処理により平均的な第1リアプノフ指数値を計算する場合に比較して、本発明のシステムに於いては2桁以上短い時間で平均的なカオス論的指標値を計算することが可能である。
また、従来のシステムに於いては、近傍点集合を処理単位全体から近傍条件を満足する為の集合として生成していた為、処理単位内でダイナミックスが変化した場合には、必ずしも安定な処理結果を得ることが出来なかったが、本発明のシステムに於いては、近傍点集合(或いは形式的近傍点集合)を周期性条件より生成している為、又周期性条件に加えて近傍条件や収束演算継続条件を適用することが可能である為、安定なダイナミックスが存在する場合に於いてカオス論的指標値を計算することが可能であり、時間局所的に遙かに安定した処理結果を得ることが可能となる。
本発明のプロセスの全体の流れの一例を示すフローチャート図である。 本発明のプロセスのカオス論的指標値の計算に於ける処理とデータの対応の一例を示すフローチャート図である。 本発明のプロセスのミクロスコピックなカオス論的指標値の計算に於ける処理とデータの対応の一例を示すフローチャート図である。 本発明のプロセスのマクロスコピックなカオス論的指標値の計算及び出力に於ける処理とデータの対応の一例を示すフローチャート図である。 ノイズを含まない時系列信号に於ける超球径と第1リアプノフ指数の関係を模式的に示した図である。 ノイズレベルの差違により変化する超球径と第1リアプノフ指数の関係を模式的に示した図である。 発話音声のカオス論的なノイズレベルとカオス論的指標値の模式的な関係を示した図である。 /a/音のストレンジ・アトラクタの形状を示す図である。 /o/音のストレンジ・アトラクタの形状を示す図である。 /a/音の波形を示す図である。 /a/音のスペクトルを示す図である。 ミクロカオス論的指標値とマクロカオス論的指標値の関係を示す概念図である。

Claims (21)

  1. ダイナミックスが時間的に変化する系において周期的特徴を有する、発話音声信号を含まない時系列信号に対して、サンプリングすることにより得られる時系列信号を読み込む手段と、
    サンプル時刻に対するカオス論的指標値を計算する為の処理単位毎に、前記読み込んだ時系列信号を切り出す手段と、
    前記読み込んだ時系列信号のカオス論的指標値を計算する手段と、を有しているカオス論的指標値計算システムであって、
    前記カオス論的指標値を計算する手段は、
    前記切り出した処理単位の時系列信号に於いて、各サンプル時刻に対するカオス論的指標値をミクロスコピックなカオス論的指標値として計算する第1の計算手段と、
    前記ミクロスコピックなカオス論的指標値を算出した処理単位を含む少なくとも一以上の処理単位からなる予め定められた時間に対する時系列信号のカオス論的指標値をマクロスコピックなカオス論的指標値として、前記ミクロスコピックなカオス論的指標値により計算する第2の計算手段と、を有する、
    ことを特徴とするカオス論的指標値計算システム。
  2. 前記カオス論的指標値計算システムは、
    埋め込み次元D、埋め込み遅延時間τ、発展遅延時間τ、近傍点集合の大きさN、前記時系列信号の最短周期T、最長周期Tをパラメータとして入力を受け付ける手段、を更に有しており、
    前記時系列信号を処理単位毎に切り出す手段は、
    前記読み込んだ時系列信号をs=s(t)とすると、数2に於けるt及びtを数3で予め設定する周期性条件を満たすt及びtとして、前記数2により前記時系列信号から処理単位x=x(i)毎に時系列信号を切り出す、
    ことを特徴とする請求項1に記載のカオス論的指標値計算システム。
    数2
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    ,・・・,
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    数3
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
  3. 前記第1の計算手段は、
    前記サンプル時刻の近傍点集合P={P,P,・・・,P(N−1)}を数5により生成し、
    前記サンプル時刻に於けるシセカ近傍距離εを設定し、
    前記近傍点集合Pに対応する発展点集合Sを数7により生成し、
    前記近傍点集合Pと前記発展点集合Sとから近傍点の変位ベクトルyとこれに対応する発展点の変位ベクトルzとを数8により定め、
    前記変位ベクトルyとzにより数9を満足する行列Aを、数10により計算し、
    前記行列AをQR分解により前記ミクロスコピックなカオス論的指標値cを計算する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のカオス論的指標値計算システム。
    数5
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    ・・・・
    Figure 0004989618
    数7
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    ・・・
    Figure 0004989618
    数8
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    数9
    Figure 0004989618
    数10
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
  4. 前記第1の計算手段は、
    前記サンプル時刻の近傍点集合P={P,P,・・・,P(N−1)}を数5により生成し、
    前記サンプル時刻に於けるシセカ近傍距離εを設定し、
    前記切り出した処理単位から、埋め込み空間に構成されるストレンジ・アトラクタの半径に対して予め設定されているεより前記シセカ近傍距離εが小さい場合には前記近傍点候補集合Pを近傍点集合Pとし、
    前記近傍点集合Pに対応する発展点集合Sを数7により生成し、
    前記近傍点集合Pと前記発展点集合Sとから近傍点の変位ベクトルyとこれに対応する発展点の変位ベクトルzとを数8により定め、
    前記変位ベクトルyとzにより数9を満足する行列Aを、数10により計算し、
    前記行列AをQR分解により前記ミクロスコピックなカオス論的指標値cを計算する、
    ことを特徴とする請求項2に記載のカオス論的指標値計算システム。
    数5
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    ・・・・
    Figure 0004989618
    数7
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    ・・・
    Figure 0004989618
    数8
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    数9
    Figure 0004989618
    数10
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
    Figure 0004989618
  5. 前記第1の計算手段は、更に、
    前記計算したミクロスコピックなカオス論的指標値cをセレブラル・スペクトルに於ける第1カオス論的指標値とし、
    前記第1カオス論的指標値を計算後、前記発展点集合Sの第1要素を次の近傍点集合Pの第1要素として収束演算を行うことにより、前記ミクロスコピックなカオス論的指標値cのn回収束値を計算する、
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のカオス論的指標値計算システム。
  6. 前記第2の計算手段は、
    前記切り出した処理単位x(i)に於ける、サンプル時刻tのミクロスコピックなカオス論的指標値cと前記シセカ近傍距離εと前記周期Tとを要素とする集合CEm(t)={c(t),ε(t),T(t)}を生成し、
    前記生成したCEm(t)から数24でサブセットCEm(t|t≦t≦t)を生成し、
    前記サブセットの要素のうち、前記処理単位x(i)に於けるシセカ近傍距離ε(t)が小さい方から数えてn×p(0<p≦1)番目までの要素を取りだし、それらの各要素のカオス論的指標値c(i)の平均値を、前記マクロスコピックなカオス論的指標値cとする、
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のカオス論的指標値計算システム。
    数24
    Figure 0004989618
  7. 前記第2の計算手段は、
    前記生成した集合CEm(t)において、所定値以下の変化率を有する周期Tの時間帯を安定な時間帯として、前記数24でサブセットCEm(t|t≦t≦t)を生成する、
    ことを特徴とする請求項6に記載のカオス論的指標値計算システム。
  8. 前記第2の計算手段は、
    前記切り出した処理単位x(i)に於ける、サンプル時刻tのミクロスコピックなカオス論的指標値cと前記シセカ近傍距離εと前記周期Tとを要素とする集合CEm(t)={c(t),ε(t),T(t)}を生成し、
    前記生成したCEm(t)から数30でサブセットCEm(t|t≦t≦t)を生成し、
    前記生成したサブセットCEm(t|t≦t≦t)に数31を適用することによって、前記マクロスコピックなカオス論的指標値cとする、
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のカオス論的指標値計算システム。
    数30
    Figure 0004989618
    数31
    Figure 0004989618
    はcCEm(t|t≦t≦t)を満足するcの数である。
  9. 前記時系列信号を読み込む手段は、
    AD変換器によりデジタル化された時系列信号を読み込む、
    ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のカオス論的指標値計算システム。
  10. 前記カオス論的指標値計算システムは、更に、
    前記マクロスコピックなカオス論的指標値に対して、その時間的変化を平滑化し、グラフとして出力することで、カオス論的指標値を視覚化する手段、
    を有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載のカオス論的指標値計算システム。
  11. 前記カオス論的指標値を視覚化する手段は、
    数29又は数34でフィルタリング処理を行うことで、マクロスコピックなカオス論的指標値を取り出し、その時間的変化をグラフ化することで視覚化する、
    ことを特徴とする請求項10に記載のカオス論的指標値計算システム。
    数29
    Figure 0004989618
    tはサンプリングの時間間隔Δtにより量子化された時間である。
    又pは処理する信号の明瞭度等に対して、又目的とする感度に対して設定する。
    数34
    Figure 0004989618
    tはサンプリングの時間間隔Δtにより量子化された時間である。
    又rは処理する信号の明瞭度等に対して、又目的とする感度に対して設定する。
  12. ダイナミックスが時間的に変化する系において周期的特徴を有する、発話音声信号を含まない時系列信号に対して、サンプリングすることにより得られる時系列信号のカオス論的指標値を計算する為のカオス論的指標値計算システムであって、
    カオス解析の対象となる前記サンプリングすることにより得られる時系列信号を読み込む手段と、
    サンプル時刻に対するカオス論的指標値を計算する為の処理単位毎に、前記読み込んだ時系列信号を切り出す手段と、
    前記切り出した処理単位の時系列信号に於いて、各サンプル時刻に対するカオス論的指標値を、ミクロスコピックなカオス論的指標値として計算する第1の計算手段と、
    前記ミクロスコピックなカオス論的指標値を算出した処理単位を含む少なくとも一以上の処理単位からなる予め定められた時間に対する時系列信号のカオス論的指標値をマクロスコピックなカオス論的指標値として、前記ミクロスコピックなカオス論的指標値により計算する第2の計算手段と、を有しており、
    前記時系列信号を切り出す手段は、
    前記時系列信号から信号波形の安定部分を処理単位として切り出す、
    ことを特徴とするカオス論的指標値計算システム。
  13. 前記時系列信号を切り出す手段は、
    前記処理単位として切り出す際に、前記時系列信号から得られる周波数スペクトルからストレンジ・アトラクタの周期を計算する手段と、
    前記計算したストレンジ・アトラクタの周期を示すデータを取得する手段と、
    前記取得した周期を示すデータが予め設定された周期性条件を満足する場合には、その周期性を与えた時系列信号を処理単位として切り出す手段と、
    を有することを特徴とする請求項12に記載のカオス論的指標値計算システム。
  14. 前記ストレンジ・アトラクタの周期を計算する手段は、
    前記周波数スペクトルを計算する際に、フーリエ変換、線形予測分析又はウェーブレット変換のいずれかを用いる、
    ことを特徴とする請求項13に記載のカオス論的指標値計算システム。
  15. 前記第1の計算手段は、
    前記処理単位として切り出した時系列信号に対して周期性条件を用いることで近傍点集合を生成する手段と、
    前記近傍点集合に対する発展点集合を生成する手段と、
    前記近傍点集合と前記発展点集合とからセレブラル・スペクトルを計算する手段と、
    前記セレブラル・スペクトルから前記ミクロスコピックなカオス論的指標値を計算する手段と、
    を有することを特徴とする請求項12に記載のカオス論的指標値計算システム。
  16. 前記近傍点集合を生成する手段は、
    前記切り出した時系列信号から近傍点集合の候補を生成し、
    前記近傍点集合の候補に、予め設定した近傍条件を適用し、それを充足するものを近傍点集合として生成する、
    ことを特徴とする請求項15に記載のカオス論的指標値計算システム。
  17. 前記第1の計算手段は、更に、
    第1ミクロスコピックなカオス論的指標値を計算後、前記発展点集合の第1要素を次の近傍点集合の第1要素として収束演算を行うことにより、ミクロスコピックなカオス論的指標値を計算する手段を、
    有することを特徴とする請求項15に記載のカオス論的指標値計算システム。
  18. 前記第1の計算手段は、更に、
    前記発展点集合を生成した後、前記生成した発展点集合を構成する発展点のうちで、時系列的に最も早い時刻の点を起点構成要素とする新たな近傍点集合の候補を生成する手段と、
    前記新たな近傍点集合の候補に、予め設定した近傍条件を適用し、それを充足するものを新たな近傍点集合として生成する手段と、
    前記新たな近傍点集合に、予め設定された収束演算継続条件を適用し、前記新たな近傍点集合に対応する発展点集合を生成する手段と、
    前記新たな近傍点集合と前記新たな発展点集合とから新たなセレブラル・スペクトルを計算することで、前記セレブラル・スペクトルのn回収束値を計算する手段と、
    を有しており、
    前記新たな近傍点集合が前記収束演算継続条件を満たす間、収束演算を反復する、
    ことを特徴とする請求項15に記載のカオス論的指標値計算システム。
  19. 前記収束演算は、
    前記発展点集合の第1要素を起点とする次の計算の為の処理単位が、周期性条件又は周期性条件を切り出す為の付加的な信号処理条件を満足しなくなるまで、或いは前記処理単位が前記近傍条件又は前記収束演算継続条件を満足する近傍点集合を与えなくなるまで反復する、
    ことを特徴とする請求項18に記載のカオス論的指標値計算システム。
  20. 前記カオス論的指標値計算システムは、更に、
    前記マクロスコピックなカオス論的指標値に対して、その時間的変化を平滑化し、グラフとして出力することで、カオス論的指標値を視覚化する手段、
    を有することを特徴とする請求項12から請求項19のいずれかに記載のカオス論的指標値計算システム。
  21. 前記カオス論的指標値を視覚化する手段は、
    前記カオス論的指標値から特定のダイナミックスに対する前記マクロスコピックなカオス論的指標値を取り出し、その時間的変化をグラフ化することで、カオス論的指標値を視覚化する、
    ことを特徴とする請求項20に記載のカオス論的指標値計算システム。
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