以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、本プリンタは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ1Y,C,M,Kを備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY,C,M,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。以下の説明では、各プロセスカートリッジ1Y,C,M,Kの構成はすべて同じであるため、色分け用の符号Y,C,M,Kについては省略する。
図2に示すように、プロセスカートリッジ1は、像担持体たるドラム状の感光体2、ドラムクリーニングユニット3、帯電ユニット4、現像ユニット5、潤滑剤塗布ユニット6、等を図示しない枠体に収めている。このプロセスカートリッジ1は、プリンタ本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
帯電ユニット4は、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体2の表面を一様帯電せしめる。同図においては、図示しない電源によって帯電バイアスが印加されながら、図中反時計回りに回転駆動される回転体たる帯電ローラ4aを感光体2と非接触にして、感光体2を一様帯電せしめる非接触帯電ローラ方式の帯電ユニット4を示している。帯電ユニット4としては、上記以外に、スコロトロン方式、コロトロン方式、接触ローラ方式等を用いることができる。
接触方式、非接触方式帯電ローラ4aに印加する帯電バイアスは、直流に対して交流を重畳する方式や、直流のみを印加する方式がある。接触方式の帯電ローラ4aにおける直流に対して交流を重畳する帯電バイアスは、交流を定電流制御にすることで環境変化によって帯電ローラ4aの抵抗値が変化しても帯電ローラ4aの表面電位がその影響を受けないメリットがある。しかし、電源装置のコストが高くなり、また交流高周波の音が問題としてある。一方、非接触方式の帯電ローラ4aにおいて、直流に対して交流を重畳する帯電バイアスでは、感光体2と帯電ローラ4aとのギャップ変動の影響により、感光体表面を均一に帯電することができず、画像にムラが出てしまう。このため、ギャップ変動に対応した帯電バイアス補正手段が必要となってくる。
帯電ローラ4aの駆動は、感光体2ととも回りさせる方式や、感光体2を駆動させる駆動源からギアなどを介して駆動力をもらう方式などがある。低速機の場合は、感光体2ととも回りさせる方式が一般的である。高速・高画質を要求される装置では、後者の方式が一般的である。
また、同図においては、帯電ローラ4aの表面をクリーニングする帯電ローラクリーナ4bを設けている。これにより、帯電ローラ4aに付着した汚れにより、感光体2が狙いの電位に帯電されなくなるのを抑制することができる。その結果、帯電不良による異常画像を抑制することができる。帯電ローラクリーナ4bは、一般的にメラニンで構成されており、帯電ローラ4aと連れ回りする構成としている。
現像手段たる現像ユニット5は、第1搬送スクリュウ5aが配設された第1剤収容部5eを有している。また、透磁率センサからなるトナー濃度センサ5c、第2搬送スクリュウ5b、現像ロール5g、ドクターブレード5dなどが配設された第2剤収容部5fも有している。これら2つの剤収容部内には、磁性キャリアとマイナス帯電性のトナーとからなる図示しない現像剤が内包されている。第1搬送スクリュウ5aは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、第1剤収容部5e内の現像剤を図中手前側から奥側へと搬送する。そして、第1剤収容部5eと第2剤収容部5fとの間の仕切壁に設けられた図示しない連通口を経て、第2剤収容部5f内に進入する。第2剤収容部5f内の第2搬送スクリュウ5bは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、現像剤を図中奥側から手前側へと搬送する。搬送途中の現像剤は、第2剤収容部5fの底部に固定されたトナー濃度センサ5cによってそのトナー濃度が検知される。このようにして現像剤を搬送する第2搬送スクリュウ5bの図中上方には、図中反時計回りに回転駆動せしめられる現像スリーブ5h内にマグネットローラ5iを内包する現像ロール5gが平行配設されている。第2搬送スクリュウ5bによって搬送される現像剤は、マグネットローラ5iの発する磁力によって現像スリーブ5h表面に汲み上げられる。そして、現像スリーブ5hと所定の間隙を保持するように配設されたドクターブレード5dによってその層厚が規制された後、感光体2と対向する現像領域まで搬送され、感光体2上の静電潜像にトナーを付着させる。この付着により、感光体2上にYトナー像が形成される。現像によってトナーを消費した現像剤は、現像ロール5gの現像スリーブ5hの回転に伴って第2搬送スクリュウ5b上に戻される。そして、図中手前端まで搬送されると、図示しない連通口を経て第1剤収容部5e内に戻る。
トナー濃度センサ5cによる現像剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として図示しない制御部に送られる。現像剤の透磁率は、現像剤のトナー濃度と相関を示すため、トナー濃度センサ5cはトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。上記制御部はRAMを備えており、この中にトナー濃度センサ5cからの出力電圧の目標値であるVtrefのデータを格納している。現像ユニット5については、トナー濃度センサ5cからの出力電圧の値とVtrefを比較し、図示しないトナー供給装置を比較結果に応じた時間だけ駆動させる。この駆動により、現像に伴ってトナーを消費してトナー濃度を低下させた現像剤に対して第1剤収容部5eで適量のトナーが供給される。このため、第2剤収容部5e内の現像剤のトナー濃度が所定の範囲内に維持される。
クリーニングユニット3は、転写されずに感光体2の表面に残留した転写残トナーを感光体2の表面から除去するものである。このクリーニングユニット3は、カウンター方向に感光体表面に当接するブレード部材たるクリーニングブレード3aを設けている。また、クリーニングユニット3は、クリーニングブレード3aによって除去された感光体2表面上の転写残トナーを回収する回収部3bを備えている。回収部3bには、回収部に回収されたトナーを図示しない廃トナーボトルへ搬送する搬送オーガ3cを備えている。
感光体2表面上の転写残トナーは、クリーニングブレード3aに除去される。クリーニングブレード3aの先端に溜まった転写残トナーは、回収部3bに落下する。そして、搬送オーガ3cにより廃トナーとして図示しない廃トナーボトルへ搬送され、ここに蓄えられる。このようにして廃トナーボトルに蓄えられた廃トナーは、サービスマンなどにより回収される。なお、回収部3bに回収された転写残トナーを、リサイクルトナーとして現像ユニット5などに搬送し、再度現像に使用するようにしてもよい。
潤滑剤塗布手段たる潤滑剤塗布ユニット6は、感光体2の表面に潤滑剤を塗布して感光体2表面の摩擦係数を低くするものである。感光体2の表面への潤滑剤の塗布は、潤滑剤を固形状に成型して固形潤滑剤6aとし、固形潤滑剤6aを加圧バネ6bで回転するファーブラシ6cに押圧して、ファーブラシ6cを介して感光体2に塗布している。潤滑剤としては、ZnSt(ステアリン酸亜鉛)が最も一般的に用いられる。また、ファーブラシ6cのブラシは、絶縁PET、導電PET、アクリル繊維などが用いられる。感光体表面に塗布された潤滑剤は、潤滑剤塗布ブレード6dによって均一な厚さになって感光体表面に定着する。感光体2表面に潤滑剤を塗布することで、感光体2のフィルミングを防止することができる。
先の図1に示すように、プロセスカートリッジ1Y,C,M,Kの図中下方には、光書込ユニット20が配設されている。潜像形成手段たる光書込ユニット20は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、各プロセスカートリッジ1Y,C,M,Kにおける各感光体に照射する。これにより、感光体2Y,C,M,K上にY,C,M,K用の静電潜像が形成される。なお、光書込ユニット20は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されるポリゴンミラー21によって偏向せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体2Y,C,M,Kに照射するものである。
光書込ユニット20の図中下側には、第1給紙カセット31、第2給紙カセット32が鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット内には、それぞれ、記録体たる転写紙Pが複数枚重ねられた転写紙束の状態で収容されており、一番上の転写紙Pには、第1給紙ローラ31a、第2給紙ローラ32aがそれぞれ当接している。第1給紙ローラ31aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第1給紙カセット31内の一番上の転写紙Pが、カセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路33に向けて排出される。また、第2給紙ローラ32aが図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転駆動せしめられると、第2給紙カセット32内の一番上の転写紙Pが、給紙路33に向けて排出される。給紙路33内には、複数の搬送ローラ対34が配設されており、給紙路33に送り込まれた転写紙Pは、これら搬送ローラ対34のローラ間に挟み込まれながら、給紙路33内を図中下側から上側に向けて搬送される。
給紙路33の末端には、レジストローラ対35が配設されている。レジストローラ対35は、転写紙Pを搬送ローラ対34から送られてくる転写紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに、両ローラの回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
各プロセスカートリッジ1Y,C,M,Kの図中上方には、中間転写体たる中間転写ベルト41を張架しながら図中反時計回りに無端移動せしめる転写ユニット40が配設されている。転写手段たる転写ユニット40は、中間転写ベルト41の他、ベルトクリーニングユニット42、第1ブラケット43、第2ブラケット44などを備えている。また、4つの1次転写ローラ45Y,C,M,K、2次転写バックアップローラ46、駆動ローラ47、補助ローラ48、テンションローラ49なども備えている。中間転写ベルト41は、これら8つのローラに張架されながら、駆動ローラ47の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。4つの1次転写ローラ45Y,C,M,Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト41を感光体2Y,C,M,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト41の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト41は、その無端移動に伴ってY,C,M,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、そのおもて面に感光体2Y,C,M,K上のY,C,M,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト41上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
2次転写バックアップローラ46は、中間転写ベルト41のループ外側に配設された2次転写ローラ50との間に中間転写ベルト41を挟み込んで2次転写ニップを形成している。先に説明したレジストローラ対35は、ローラ間に挟み込んだ転写紙Pを、中間転写ベルト41上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで、2次転写ニップに向けて送り出す。中間転写ベルト41上の4色トナー像は、2次転写バイアスが印加される2次転写ローラ50と2次転写バックアップローラ46との間に形成される2次転写電界や、ニップ圧の影響により、2次転写ニップ内で転写紙Pに一括2次転写される。そして、転写紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト41には、転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニングユニット42によってクリーニングされる。
2次転写ニップの図中上方には、加圧ローラ61や定着ベルトユニット62などを備える定着ユニット60が配設されている。この定着ユニット60の定着ベルトユニット62は、定着ベルト64を、加熱ローラ63、テンションローラ65、駆動ローラ66によって張架しながら、図中反時計回りに無端移動せしめる。加熱ローラ63は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包しており、定着ベルト64を裏面側から加熱する。このようにして加熱される定着ベルト64の加熱ローラ63の掛け回し箇所には、図中時計回りに回転駆動される加圧ローラ61がおもて面側から当接している。これにより、加圧ローラ61と定着ベルト64とが当接する定着ニップが形成されている。
2次転写ニップを通過した転写紙Pは、中間転写ベルト41から分離した後、定着ユニット60内に送られる。そして、定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ベルト64によって加熱されたり、押圧されたりして、フルカラートナー像が定着せしめられる。
このようにして定着処理が施された転写紙Pは、排紙ローラ対67のローラ間を経た後、機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部68が形成されており、排紙ローラ対67によって機外に排出された転写紙Pは、このスタック部68に順次スタックされる。
転写ユニット40の上方には、Y,C,M,Kトナーを収容する4つのトナーカートリッジ120Y,C,M,Kが配設されている。トナーカートリッジ120Y,C,M,K内のY,C,M,Kトナーは、それぞれプロセスカートリッジ1Y,C,M,Kの現像ユニットに適宜供給される。これらトナーカートリッジ120Y,C,M,Kは、プロセスカートリッジ1Y,C,M,Kとは独立してプリンタ本体に脱着可能である。
以上の構成の本プリンタにおいては、4つのプロセスカートリッジ1Y,C,M,K、光書込ユニット20、転写ユニット40などの組合せにより、記録体たる転写紙Pにトナー像を形成するトナー像形成手段が構成されている。
図3(a)は、プリンタ内にセットされたプロセスカートリッジ1とその周囲構成とを示す縦断面図であり、図3(b)は、プリンタから取り外されている最中のプロセスカートリッジ1をその周囲構成とともに示す縦断面図である。これらの図の左右方向において、左側はプリンタの正面側に相当し、右側はプリンタの後面側に相当する。図3(a)に示すように、回転体を有し、装置本体に対して脱着可能なユニットであるプロセカートリッジ1は、プリンタ本体の前端付近に配設された前側板71と、プリンタ本体の後側板70との間に位置している。円柱状の感光体2の円中心には、図3(b)に示すように、軸線方向の一端側から他端側に向けて貫通する中心穴が形成されている。そして、後側板70は、被駆動軸たる感光体軸172を図示しない軸受によって回転自在に支持している。そして、図3(a)に示すように、プロセスカートリッジ1がプリンタ内にセットされると、後側板70に支持されている感光体軸172が、回転体たる感光体2の中心穴に感光体軸172が挿入される。この中心穴の横断面形状は、例えばD字型や小判型などといった非円形状になっており、感光体軸172の横断面形状も同様の形状になっている。これにより、中心穴に挿入された感光体軸172が穴内で空転することなく、感光体軸172の回転駆動力が感光体2Yに伝達される。
上述の感光体軸172は、プリンタ本体の後側板70を貫通しているため、その後端部は後側板70の更に後側に位置している。プリンタ本体の後側板70における前側板70と対向する面と反対の面には、ブラケット82、駆動源たる駆動モータ81、連結手段たる等速ジョイント130などからなる駆動装置80が固定されている。駆動モータ81と、感光体軸172とは一直線上に並んでおり、駆動モータ81からの回転駆動力が等速ジョイント130を介して感光体軸172に伝達される。
駆動モータ81は、ギヤなどを介さずに感光体2に回転駆動力を伝達するいわゆるダイレクトドライブモータとなっている。ギヤを介さずに駆動軸81aと感光体軸172との間で駆動力を繋ぐことで、ギヤの偏心や歯のピッチムラに起因する感光体2の速度変動を回避することができる。
プロセスカートリッジ1をプリンタから取り外すときには、移動可能な前側板71を後側板70との対向位置から待避させる。そして、プロセスカートリッジ1をプリンタ後側から前側に向けて引き出す。なお、感光体2は、プロセスカートリッジ1の枠体90に保持されている。
図4は、駆動装置80を示す断面図である。同図において、後側板70の図中左側は、図示しないプロセスカートリッジ1が収納されるユニット側であり、図中右側は駆動装置80などが収納される駆動伝達側である。駆動装置80は、後側板70の駆動伝達側の面に固定されたブラケット82と、ブラケット82の背面に固定された駆動モータ81と、ブラケット82の内部に収納された連結手段たる等速ジョイント130とを有している。
ブラケット82は、板金がプレス加工などの曲げ成形によって成形されたものである。そして、後側板70の2つの位置決め孔74、75にそれぞれ挿入されて後側板70上におけるブラケット82の位置決めを行うための2つの位置決めピン82a、82bを有している。また、後側板70にネジ固定するための固定部82cを有している。固定部82cには、ブラケット82を後側板70にねじ止め固定するための図示しないねじ孔が設けられている。
ブラケット82の背面に固定された駆動モータ81は、駆動軸81aをブラケット82の背面に形成された丸穴に貫通させることで、モータ本体をブラケット82の外部に位置させた状態で駆動軸81aの先端側をブラケット82の内部に位置させている。
被駆動軸としての感光体軸172は、後側板70に固定された軸受73に圧入されながら後側板70を貫通している。感光体軸172の軸線方向における所定箇所には、感光体軸172よりも大径の固定リング173が嵌め込まれており、この固定リング173が軸受73のユニット側の側面に突き当たることで、装置本体に対する感光体軸172の軸線方向の位置決めがなされている。
等速ジョイント130は、ブラケット82の内部において、互いに軸線方向に並ぶ駆動軸81aと感光体軸172とを連結している。上述のように、ブラケット82は板金の曲げ加工によるものであり、加工時に曲げ角のバラツキが生じ易いために、後側板70に対して駆動モータ81を精度良く位置決めすることが困難である。そして、感光体軸172に対して、駆動モータ81の駆動軸81aを傾けてしまい易い。本プリンタでは、このように駆動軸81aのスキューが起こっても、駆動軸81aと感光体軸172とを等速ジョイント130で連結することで、駆動軸81aから感光体軸172に対して回転駆動力を等速で伝達することが可能になっている。
次に、等速ジョイントについて、図4乃至図9に基づき説明する。
等速ジョイント130は、外輪140と、ケージ150とを有している。そして、ケージ150の軸線方向の図中左側端部には、感光体軸172が接続されている。また、外輪140の軸線方向の図中右側端部には、駆動モータ81の駆動軸81aが接続されている。
外輪140は、軸線方向の一端側に設けられた開口からケージ150の一部が挿入される円筒状のカップ部141を備えている。このカップ部141の他端側からは、円筒状の軸取付け部147がカップ部141の中心軸線上に延在するように突出している。また、カップ部内には、内ボス部143がカップ部141の中心軸線上に設けられており、カップ部141と内ボス部143との間に環状空間144が形成される。外輪140を構成するカップ部141と軸取付け部147と内ボス部143とは同一の樹脂材料によって一体形成(一体成形)されたものである。
外輪140は、カップ部141の内周面に設けられた3つのトラック溝たる外溝145と、内ボス部143の外周面に設けられた3つのトラック溝たる内溝146とを有している。そして、図4に示したように、環状空間144における軸線方向の一端側を開口させつつ他端側を塞いでおり、その開口からケージ150が挿入される。また、円筒状の軸取付け部147の内部空間に駆動軸81aが嵌合固定されている。
図5に示したように、カップ部141の内周面に設けられた3つの外溝145は、カップ部141の軸線方向に延在しながら、互いに120[°]の位相差をもって円方向に並ぶように形成されている。内ボス部143の外周面に設けられた3つの内溝146も、内ボス部143の軸線方向に延在しながら、互いに120[°]の位相差をもって円方向に並ぶように形成されている。そして、外溝145と内溝146とは環状空間144を介して互いに対面している。
また、図6に示すように、外溝145の開口端側には、開口端に向かうにつれて軸中心から離れ、かつ、溝幅が拡大するテーパ状の外溝案内部145aが設けられている。また、内溝146の開口端部には、開口端に向かうにつれて軸中心に近づき、かつ、溝幅が拡大するテーパ状の内溝案内部146aが設けられている。このように、案内部145a、146aを設けることにより、ボール152を外溝145と内溝146とが対向する環状空間144に案内することができ、ケージ150の外輪140への挿入を容易に行うことができる。
また、カップ部141の開口端において、各内溝案内部146aの縁部が交わっている。このように構成することで、ケージ150と外輪140とを組み付けるときに、トラック溝(外溝145および内溝146)とボール152との位相が60°付近であっても、ボール152を内溝案内部146aの開口端に接触させることができる。これにより、ボール152とトラック溝(内溝146および外溝145)との位相が60°付近であっても、内ボス部143に加わる軸方向の力の一部を、内溝案内部146aによって回転方向の力に変換することができ、ケージ150が外輪140に対して相対的にスムーズに回転させることができる。よって、ケージ150に保持されたボール152を外輪140の外溝145と内溝146との間の環状空間144へ挿入するときの挿入抵抗を低減することができ、ボール152を外輪140の外溝145と内溝146との間の環状空間144にスムーズに挿入することができる。
ケージ150は、その先端側が円筒状の挿入部151になっている。この挿入部151は、図7に横断面を示すように、互いに120[°]の位相差をもって周方向に沿って並ぶように円筒状の周壁に設けられた3つのボール保持穴たる貫通穴151aを有しており、それぞれの貫通穴151a内に球体としてのボール152を回転可能に保持している。
貫通穴151aの穴径Aは、ボール73の直径Bよりも大きくしている。また、貫通穴151aの内側面の内周側端部から突出する内周抜け止め突起151cが180°の位相差をもって設けられている。また、貫通穴151aの内側面の外周側端部から突出する外周抜け止め突起151bが180°の位相差をもって設けられている。また、外周抜け止め突起151bは、内周抜け止め突起151cと90°の位相差をもって設けられている。抜け止め突起151b、151cの内接円径Cは、ボールの直径の80〜99%の範囲に設定するのがよい。内接円径Cをボールの直径の80%より小さくすると、抜け止め突起151b、151cが貫通穴から突出しすぎてしまい、貫通穴151aにボール152を挿入することができなくなる。また、抜け止め突起151b、151cは、金型を無理抜きすることによって成形しているが、突出しすぎてしまうと、射出成形後の型抜き時に抜け止め突起151b、151cが破損するおそれがある。このため、抜け止め突起151b、151cの内接円径Cは、ボール152の直径の80%以上に設定するのが好ましい。外周抜け止め突起151bによって、貫通穴151a内のボール152が、挿入部151の外周面から抜け落ちることがない。また、内周抜け止め突起151cによって、貫通穴151a内のボール152が、挿入部151の内周面から抜け落ちることがない。
また、貫通穴151aの穴径Aを、ボール152の直径Bよりも大きくすることにより、ボール152が貫通穴151a内を径方向に移動可能とすることができる。これにより、ケージ150の挿入部151を外輪の環状空間に挿入するとき、ボール152が外輪140のカップ部141に突き当たったとき、ボール152が、軸中心方向へ移動する。これにより、ケージ150の挿入部151が外輪140の環状空間144へスムーズに挿入することができる。
また、貫通穴151aの穴径Aを、ボール152の直径Bよりも大きくすることにより、ボールが貫通穴内でスムーズに回転する。これにより、駆動時における内溝および外溝内をボールが回転しながら摺動するので、内溝および外溝の磨耗を抑制することができ、長期に亘り等速性を確保することができる。これにより、等速ジョイントの耐久性を向上することができる。
特に、詳細は、後述するが、貫通穴の穴径を、ボールの直径よりも5[μm]〜50[μm]、より好ましくは、10[μm]〜30[μm]大きく設定するのが好ましい。このように設定することで、高い等速精度を長期に亘り維持することができる。
先に示した図4においては、ケージ150の円筒状の挿入部151が、外輪140のカップ部141における環状空間144内に挿入されている。この状態では、図8に示すように、貫通穴151aに保持される3つのボール152が、それぞれ、外輪のカップ部141の内周面に設けられた外溝145と、内ボス部143の外周面に設けられた内溝146との間に挟まれて、法線方向への動きが阻止される。但し、外溝145、内溝146はそれぞれ軸線方向に延在しているので、ボール152の軸線方向の動きは許容される。
ケージ150の円筒状の挿入部151は、図8に示すように外輪のカップ部141の環状空間144内に挿入されて、自らが保持している3つのボール152を図8に示したように環状空間144内で外溝145及び内溝146に係合させる。そして、図4に示した駆動モータ81の駆動軸81aとともに回転すると、3つのボール152を介してその回転駆動力をケージ150に等速で伝達する。これにより、感光体軸172、ひいては図示しない感光体が等速で回転する。
なお、カップ部141の内周面と内ボス部143の外周面との両方にそれぞれボール152を係合させるためのトラック溝を設けた例について説明したが、何れか一方だけにトラック溝を形成してもよい。
図4に示したカップ部141、軸取付け部147、内ボス部143を一体物としている樹脂材料は、射出成形が可能な合成樹脂からなる。射出成形が可能であれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の何れであってもよい。射出成形が可能な合成樹脂には結晶性樹脂と、非結晶性樹脂とがある。何れの樹脂を使用してもよいが、非結晶性樹脂は靱性が低く、許容量以上のトルクがかかった場合に急激な破壊が生じるため、結晶性樹脂を用いるのが好ましい。また、潤滑特性の比較的高いものを用いることが望ましい。かかる合成樹脂としては、ポリアセタール(POM)、ナイロン、射出成形可能なフッ素樹脂(例えば、PFA、FEP、ETFEなど)、射出成形可能なポリイミド、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、全芳香族ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド等を例示することができる。これらの合成樹脂を単独で使用しても、2種類以上を混合したポリマーアロイとして使用してもよい。また、これら以外の合成樹脂で且つ潤滑特性の比較的低い樹脂であっても、前述した合成樹脂を配合したポリマーアロイとすれば、使用することが可能である。
カップ部141等に最も適した合成樹脂は、POM、ナイロン、PPS、PEEKである。ナイロンはナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、分子鎖中に芳香族環を有する半芳香族ナイロン等である。中でも、POM、ナイロン、PPSは、耐熱性、潤滑性に優れて比較的安価であるため、コストパフォーマンスの優れた等速ジョイント130を実現することができる。また、PEEKは補強材や潤滑剤を配合しなくても機械的強度や潤滑性に優れるため、高機能な等速ジョイントを実現することができる。
かかる構成の等速ジョイント130においては、カップ部141を樹脂材料で形成したことで、カップ部141を金属材料で形成していた従来の構成に比べて、外輪140の重量を小さくすることができる。また、カップ部141の内周面を樹脂材料としたことから、環状空間144にグリースを充填しなくても、外輪140とケージ150とをスムーズに回転させつつ、金属材料で形成していた従来の構成に比べて動作音を小さくすることもできる。以上の結果、本プリンタにおける等速ジョイント130は、軽量化を図り、トルク伝達時の動作音を小さくし、且つグリースの充填を不要にすることができる。そして、これにより、騒音やグリース汚染の制限を受けることがなくなり、従来では困難であった事務機、音響機器、医療機器、家庭用電化製品、食品製造機器などへの適用を可能にすることができる。
なお、カップ部141等を構成する樹脂材料に固体潤滑剤や潤滑油を添加して潤滑特性を高めることも可能である。固体潤滑剤としては、PTFE、黒鉛、二硫化モリブデン等を例示することができる。また、樹脂材料にガラス繊維、炭素繊維、各種鉱物性繊維(ウィスカー)を配合して強度を高めてもよく、固体潤滑剤等と併用してもよい。
なお、本実施形態の等速ジョイントにおいては、上述したように、貫通穴の穴径を、ボールの直径よりも10[μm]〜30[μm]大きく設定するのが好ましいが、合成樹脂製のケージのため貫通穴の成形精度が影響される。このため、射出成形時の成形条件、金型精度、使用する合成樹脂の成形収縮率等の詳細な考慮が必要である。例えば、合成樹脂に対して無機質の配合剤を15容量%以上配合して成形収縮率を小さくすることなどが考えられる。
ボール152としては、軸受鋼、ステンレス球、セラミックス球、合成樹脂からなる球などを利用することができる。中でも、ステンレス球は発錆の心配が無く、低価格であるため好適である。
本プリンタでは、外輪140だけでなく、ケージ150についても、樹脂材料からなるものを用いている。ケージ150に好適な樹脂材料としては、外輪140に好適なものと同様である。ケージ150を樹脂材料で構成することで更なる軽量化を図ることができる。
また、本プリンタでは、図3(b)に示したように、潜像担持体として、被駆動軸たる感光体軸172を中心に回転する感光体2を用い、感光体軸172を等速ジョイント130で連結している。そして、ブラケット82の折り曲げ加工精度のバラツキによって駆動モータ81の駆動軸81aを感光体軸172に対してスキューさせたとしても、感光体2に対して回転駆動力を等速で伝達することができることは既に述べた通りである。また、図3に示すように、感光体2は、その軸線方向に穿たれた中心穴に感光体軸172を貫通係合させる。かかる構成では、感光体軸172を装置本体側に固定した状態で、感光体2やプロセスカートリッジ1を装置本体に対して着脱することができる。
先に示した図4において、外輪140は、カップ部の軸線方向の一端部から軸線方向に突出する円筒状の軸取付け部147を有している。そして、軸部153の中空の空間に、駆動モータ81の駆動軸81aが圧入されていることで、外輪140と、駆動軸81aとが軸線方向に接続される。
感光体軸172は、その一端部が中空構造になっており、その中空構造の中にケージ150の軸部153が挿入されることで、感光体軸172とケージ150とが接続されている。また、感光体軸172の一端部には、その外側にスラスト押さえ部材174が嵌め込まれる。これにより、感光体軸172の一端側では、スラスト押さえ部材174と感光体軸172と軸部153とがオーバーラップしている。感光体軸172及び軸部153には、それぞれ軸線方向と直交する方向に貫通する不図示の貫通穴が設けられている。また、中空のスラスト押さえ部材174の周面における一部にも、軸線方向と直交する不図示の貫通穴が設けられている。更には、中空を介してこの貫通穴に対向するネジ穴も設けられている。それぞれの貫通穴やネジ穴を一直線上に位置させた状態で、ネジ175がスラスト押さえ部材174、感光体軸172、軸部153の貫通穴に挿入された後、スラスト押さえ部材174のネジ穴に螺合せしめられている。これにより、ケージ150が感光体軸172に固定される。
筒状部材たるスラスト押さえ部材174は、図示のように、挿入部151と軸受73との間に隙間無く挟み込まれている。これにより、感光体軸172の軸受73からの抜けが阻止されている。このように、本プリンタでは、感光体軸172よりも大きな径のスラスト押さえ部材174に感光体軸172を挿入してスラスト押さえ部材174をケージ150と軸受73との間に位置させたことで、感光体軸172の軸受73からの抜けを阻止することが可能になる。
次に、感光体軸172と駆動軸81aとの連結方法について説明する。
図4に示すように、プリンタ本体の後側板70に固定された軸受73に対して、感光体軸172を図示しないプロセスカートリッジ側から圧入する。そして、感光体軸172に固定された固定リング173を軸受73のプロセスカートリッジ側面に突き当てることで、プリンタ本体に対する感光体軸172の軸線方向の位置決めを行う。
次に、感光体軸172の後側板70から駆動装置80側へ貫通した一端部に、スラスト押さえ部材174を挿入し、中空部分にケージの軸部153を挿入して、ネジ175でケージ150およびスラスト押さえ部材174を感光体軸172に固定する。
以上のようにして感光体軸172を装置本体に取付けたら、次に、図9に示すように、駆動モータ81の駆動軸と、駆動軸に取付けられている外輪とを、ブラケット82の背面に形成された丸穴に挿入し、外輪のカップ部内に感光体軸172に取付けられているケージの挿入部151を挿入して外輪とケージと係合させる。このとき、ボール152の位相と、トラック溝(内溝146および外溝145)の位相とが異なっていた場合、内溝案内部146aおよび外溝案内部145aにボール152が案内されて、駆動モータ81の挿入動作に連動してケージ150または外輪140が回転し、ボール152の位相とトラック溝(内溝146および外溝145)の位相とが合わせられる。ボール152とトラック溝(内溝146および外溝145)との位相が合うと、ケージ150の挿入部151が外輪140の環状空間内へ挿入されて、自らが保持している3つのボール152を環状空間144内で外溝145及び内溝146に係合する。このようにして、ケージ150と外輪140とが係合したら、駆動モータ81をブラケット82にネジ固定する。
外輪140とケージ150のどちらを駆動軸81aに取付けてもよいが、図に示すように、外輪140を駆動軸81aに取付けた方が好ましい。これは、外輪140は、ボール152との摺動量がケージ150に比べて多いため、ケージ150に比べて磨耗の進行が早く、早期に寿命到達してしまう。外輪140を感光体軸172に取付けた場合、外輪140の交換は、ブラケット82を後側板70から取り外して、後側板70に支持された装置本体内の感光体軸から取り外すことで行われる。このように、外輪140を感光体軸に取付けた場合は、装置本体内から外輪を取り外すこととなるため、交換作業性がわるい。一方、外輪140を駆動軸81aに取付けた場合は、ブラケット82から駆動モータ81を取り外して装置本体から取り出すことで、外輪140を交換することができる。このように、外輪140を駆動軸81aに取付けた場合は、装置本体外で外輪の交換作業を行うことができ、作業性がよい。よって、外輪140を駆動軸81aに取付けた方が、感光体軸に取付けたときよりも外輪140の交換作業が容易となる。そして、寿命がケージ150よりも早期にくる外輪140を駆動軸81aに取付けた方が、ケージ150を駆動軸81aに取付けた場合よりもメンテナンス性を向上することができる。
次に、本実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について、実験1、2に基づき説明する。
[実験1]
実験1は、ボールと貫通穴との嵌め合い隙間(貫通穴の穴径−ボール直径)がそれぞれ異なる等速ジョイントを6つ用意し、以下に示す実験条件で、磨耗量と、等速精度とを調べたものである。なお、実験に用いた等速ジョイントは、材質がSUS304で、直径が6mmのボールと、材質がPPS(炭素繊維15容量%配合)の外輪と、材質がPPS(炭素繊維15容量%配合)のケージとを用いた。
[実験条件]
運転時間:200時間(1Cycle(順回転5時間→休止→反転回転5時間→休止)×20Cycle)
回転速度:100rpm
磨耗量:外輪質量の変化(運転開始前外輪質量−200時間運転後の外輪質量)
等速精度:駆動−従動差分の速度ズレ周波数解析による駆動に対する従動ズレ
(◎:従動ズレ0.03%以下、○:従動ズレ0.1%以下、△:従動ズレ0.2%以下、×:従動ズレ0.2%以上)
表1に示すように、嵌め合い隙間が0の等速ジョイントにおいては、200時間後の磨耗量が40[mg]であり、トラック溝がかなり磨耗していることがわかる。その結果、200時間後の等速精度が、×となり、長期に亘り等速性が維持できないことがわかる。また、嵌め合い隙間が110[μm]の等速ジョイントにおいては、使用初期から等速精度が十分得られなかった。これは、嵌め合い隙間が大きすぎて、駆動時にボールが貫通穴内でガタついてしまい、等速性が維持できなくなったと考えられる。
一方、嵌め合い隙間が5[μm]以上50[μm]以下の等速ジョイントにおいては、初期時および200時間運転後も良好な等速精度を確保することができた。特に、嵌め合い隙間が10[μm]以上30[μm]以下の等速ジョイントにおいては、磨耗量を1[mg]以下に抑えることができ、長期に亘って等速性を維持することができる。なお、嵌め合い隙間が大きくなると、磨耗量が大きくなるのは以下の理由からである。駆動開始時にケージの貫通穴がボールに突き当たるときの衝撃が、嵌め合い隙間が大きくなるにつれて大きくなる。この駆動開始時の衝撃によって、トラック溝が磨耗する。よって、嵌め合い隙間が大きくなると、磨耗量が大きくなると考えられる。
[実験2]
実験2は、ボールの直径が8[mm]の等速ジョイントを用いて、実験1と同様な実験を行った。すなわち、実験に用いた等速ジョイントは、材質がSUS304で、直径が8[mm]のボールと、材質がPPS(炭素繊維15容量%配合)の外輪と、材質がPPS(炭素繊維15容量%配合)のケージとを用いた。
このときの実験結果を表2に示す。
表2に示すように、ボール径が実験1よりも大きい等速ジョイントにおいても、嵌め合い隙間が0のときは、実験1と同様、内溝および外溝が磨耗してしまい、200時間後の等速精度が×になってしまった。一方、嵌め合い隙間が5[μm]以上50[μm]以下の等速ジョイントにおいては、200時間後の良好な等速精度を確保することができた。特に、嵌め合い隙間が10[μm]以上30[μm]の等速ジョイントにおいては、磨耗量を1[mg]以下に抑えることができた。
また、図10に示すように、装置本体に対して着脱可能なユニットであるプロセスカートリッジ1と一体となって装置本体から着脱される感光体軸172に外輪140を取付け、駆動モータ81の駆動軸81aにケージ150を取付けて、プロセスカートリッジ1の装置本体への装着動作によって、外輪140とケージ150とを係合させてもよい。
図11(a)は、プリンタ本体にプロセスカートリッジ1を装着する前の等速ジョイント130の周辺を示す概略構成図であり、(b)は、プリンタ本体にプロセスカートリッジ1を装着したときの等速ジョイント130の周辺を示す概略構成図である。
装置本体の不図示の前側板71を開放した状態で、プロセスカートリッジ1をプリンタ本体へ挿入して、図11(a)に示すように、プロセスカートリッジ1のガイド穴90aに後側板70から延びるガイドピン76を挿入する。そして、ガイド穴90aにガイドピン76を挿入した状態で、プロセスカートリッジ1を装置本体内へ挿入していくと、プロセスカートリッジ1は、ガイドピン76によって外輪140がケージ150と係合可能な位置に案内される。
そして、ケージ150の挿入部151が外輪140の環状空間内へ挿入される。このとき、ボール152の位相と、トラック溝(内溝146および外溝145)の位相とが異なっていた場合、内溝案内部146aおよび外溝案内部145aにボール152が案内されて、プロセスカートリッジ1の挿入方向への移動に連動してケージ150または外輪140が回転し、ボール152の位相とトラック溝(内溝146および外溝145)の位相とが合わせられる。
ボール152とトラック溝(内溝146および外溝145)との位相が合うと、ケージ150の挿入部151が外輪140の環状空間内へ挿入されて、自らが保持している3つのボール152を環状空間144内で外溝145及び内溝146に係合させる。これにより、プロセスカートリッジ1が装置本体に対して、ラジアル方向に位置決めされて、プロセスカートリッジ1が、装置本体内に装着される。
感光体2の感光体軸172をプロセスカートリッジ1の装置本体に対する位置決めの主基準としているため、感光体軸172と、駆動軸81aとの間に軸心ずれが生じることがない。しかしながら、例えば、組み付け誤差や製造誤差などによって、後側板70が傾いて装置装置に取付けられていた場合、駆動軸81aが傾き、駆動軸81aと感光体軸172との間に偏角が生じてしまう。
しかし、駆動軸81aと感光体軸172との連結に等速ジョイント130を用いることで、このように駆動軸81aと感光体軸172との間に偏角が生じても、ボール152が外輪140の外溝145と内溝146との間の環状空間内を軸方向に摺動することで、偏角があっても、感光体軸172を等速で回転させることができる。これにより、駆動軸81aと感光体軸172との間に偏角θが生じないように取付け精度や部品の精度を高めなくても、感光体2を等速で回転駆動させることができ、濃度ムラなどの異常画像を抑制することができる。よって、製造コスト、部品コストを抑えて、濃度ムラなどの異常画像を抑制することができる。
また、等速ジョイント130は、外輪140と、ケージ150と、ボール152との3部品で構成されている。よって、少ない部品点数で、感光体軸172の等速回転と、感光体軸172と駆動軸81aとの連結とを行うことができ、装置のコストを低減することができる。
また、着脱可能なユニットと駆動装置との連結に等速ジョイント130を用いる場合は、ユニットの被駆動軸に外輪140を取付るのが好ましい。このように構成することで、ケージ150よりも寿命が早い外輪140をプロセスカートリッジ1とともに、装置本体から容易に取り出せることができる。これにより、外輪の交換を容易に行うことができ、メンテナンス性を上げることができる。
また、装置本体に対して着脱可能な現像ユニットの現像ローラ軸と駆動軸との連結手段、装置本体に対して着脱可能な定着ユニットの定着ローラ軸と駆動軸との連結手段、装置本体に対して着脱可能な二次中間転写ユニットの2次転写ローラ軸と駆動軸との連結手段、装置本体に対して着脱可能な中間転写ユニットの駆動ローラの軸と駆動軸との連結手段、などにも本発明の等速ジョイントを適用することができる。
また、図12に示すように、中間転写タンデム方式の電子写真式カラー画像形成装置における中間転写ベルト41に代えてドラム状の中間転写体141を用いたカラー画像形成装置にも本発明を適用することができる。また、図13に示すように、直接転写タンデム方式のカラー画像形成装置にも本発明を適用できる。さらに、図14に示すように、上述したようなプロセスカートリッジ1を1つ備え、そのプロセスカートリッジ1の感光体2に画像を形成してその画像を転写ローラ50で転写して記録材に画像を記録する直接転写タイプのモノクロ画像形成装置にも、本発明を適用することができる。
以上、本実施形態の等速ジョイントによれば、ボール保持穴たる貫通穴151aの穴径をボール152の直径よりも大きくしているので、貫通穴151aとボール152とが接触することがなくなり、貫通穴151aがボール152の回転を阻害することがなくなる。その結果、ボール152をスムーズに回転させることができ、駆動時にボール152が回転しながらトラック溝を摺動することができる。これによって、トラック溝の磨耗を抑制することができ、磨耗によって、トラック溝に凹凸ができるのを抑制することができる。その結果、長期に亘りにボール152がトラック溝をスムーズに摺動させることができ、長期に亘り等速性を維持することができる。
また、貫通穴151aとボール152とが接触することがなくなり、貫通穴151aがボール152の径方向の動きを阻害することがない。よって、ボール152をトラック溝との間の環状空間144へ挿入するときに、ボール152とトラック溝との位相が径方向にずれていて、ボール152が環状空間144の外壁面の開口端または内壁面の開口端に当接しても、ボール152がスムーズに径方向に移動する。これにより、ケージ150を外輪140側へ強く押し込まなくてもボール152とトラック溝との径方向の位相を合わせることができ、ケージ150を外輪140にスムーズに組み付けることのできる。
また、貫通穴151aの穴径を、ボールの直径よりも5[μm]以上50[μm]以下大きくすることで、長期に亘り等速精度を維持することができる。
さらに、貫通穴151aの穴径を、ボールの直径よりも10[μm]以上30[μm]以下大きくすることで、トラック溝の磨耗をより一層抑制することができる。
また、上述の等速ジョイントを脱着可能なユニットたるプロセスカートリッジの被駆動軸と装置本体に設けられた駆動源から駆動力を受けて回転駆動する駆動軸とを連結するための連結手段として用いる。これにより、被駆動軸と駆動軸との間に偏角が生じても、被駆動軸を等速で回転させることができ、濃度ムラなどのない良好な画像を得ることができる。