JP4989136B2 - インクジェット用液体インク及びそれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

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本発明は、優れた吐出特性を有するインクジェット用液体インク及びそれを用いたインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、インク小滴を普通紙や専用光沢メディア上に飛翔させ、画像を形成する記録方法であり、低価格化の進行や記録速度の向上に伴って、近年、急速に普及が進んでいる。又、画像の高画質化が進んだことに加えて、デジタルカメラの急速な普及に伴い、銀塩写真に匹敵する写真画像の出力方法として広く一般的になっている。
近年、飛翔させるインク滴の極小液滴化や、多色インクの導入に伴う色域の拡大等、より高画質化が進んでいる。その反面、形成された画像の発色性や、耐光性、耐オゾン性等の堅牢性だけではなく、装置に適用した場合の吐出安定性等の信頼性についても、より厳しい特性が要求されている。
例えば、耐オゾン性等の堅牢性に優れた画像を与えるインクとして、特定構造のフタロシアニン化合物を含有するインクが開示されている(特許文献1参照)。又、高い彩度と高い耐光性を有する画像が得られるインクとして、特定構造のモノアゾ化合物を含有するインクが開示されている(特許文献2参照)。
しかしながら、近年のインクジェット記録画像の高画質化に伴うインク吐出部の細密化により、インクジェット記録用のインクに対して、これらの特性に加え、吐出安定性等の信頼性を従来にも増して向上させることが検討されている。
吐出安定性を向上させる手段として、水、水不溶性色材、該水不溶性色材を水性媒体に分散させるための樹脂分散剤、グリセリン、エチレン尿素及びHLBが13以上のポリオキシエチレンアルキルエーテルを含むインクジェット用インクが提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この文献に開示されているインクは、色材として顔料を含有することが必須であり、染料を用いることについては記載されていない。
特許第2942319号公報 特表2002−504613号公報 特開2003−138186号公報
従って、本発明の目的は、上記従来のインクジェット用インクにおける課題を解決し、極めて優れた吐出特性を有するインクジェット用液体インク、及び高い吐出安定性を実現したインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、水、色材、1,5−ペンタンジオール及び保湿剤を含有するインクジェット用液体インクであって、該1,5−ペンタンジオールの含有量が3質量%以上15質量%以下であり、該1,5−ペンタンジオールの含有量及び該保湿剤の含有量の合計が、10質量%以上40質量%以下であり、前記色材が、下記式(1)及び(3)で示される化合物の少なくとも1つであることを特徴とするインクジェット用液体インクである。
Figure 0004989136
(式(1)中、Mはアルカリ金属又はアンモニウムを表し、l(エル)、m及びnは、それぞれ、l=0〜2、m=1〜3、n=1〜3(但し、l+m+n=3〜4)であり、置換基の置換位置は、4若しくは4’位である。)
Figure 0004989136
(式(3)中、Mは、アルカリ金属又はアンモニウムを表す。)
又、本発明は、水、色材、1,5−ペンタンジオール及び保湿剤を含有するインクジェット用液体インクであって、温度25℃、湿度50%RH環境下に実質的に重量変化がなくなるまで放置されるとゲル化又は固化し、温度30℃、湿度50%RH環境下に24時間放置されると液体であり、前記色材が、前記式(1)及び(3)で示される化合物の少なくとも1つであることを特徴とするインクジェット用液体インクである。
又、本発明は、上記したインクジェット用液体インクを用いたことを特徴とするインクジェット記録方法である。
本発明によれば、極めて優れた吐出特性を有するインクジェット用液体インク、及び高い吐出安定性が実現されたインクジェット記録方法が提供される。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。本発明者らは、前記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、インク吐出時のインク温度が、インク吐出命令が発せられる前のインク温度よりも高くなる形式のインクジェット記録装置に好適に用いられるインクの特性を見いだして本発明に至った。即ち、下記の特性を満足するインクによれば、下記に述べるように、優れた効果を有するインクジェット用液体インクの提供が可能となる。先ず、吐出命令が発せられる前等の吐出時以外の温度条件(即ち、吐出時よりも低い温度条件)で、ゲル化又は固化しやすい特性のインクとすれば、吐出時以外は、ノズル内部のインクの蒸発を抑制することができる。一方、上記の特性のインクは、吐出時の温度条件(即ち、吐出時以外よりも高い温度条件)においては、吐出口近傍のインクを液化することができるため、優れた吐出安定性を有するものとなる。ここで、インク吐出時のインク温度が、インク吐出命令が発せられる前のインク温度よりも高くなる形式のインクジェット記録装置としては、下記のものがある。例えば、温度調整機能を有し、吐出時のインクの温度調整を可能とした装置や、インクを吐出するエネルギーとして熱エネルギーを用いる装置が挙げられる。
尚、先に挙げた特許文献2に記載の発明では、被膜形成能があるエチレン尿素を、保湿能力の高いグリセリンと共に用いることによって、吐出されるインクの力で破れるような、適度な固さの被膜をノズル先端に作ることによって吐出安定性を得ている。これに対して、本発明では、インクジェット用インクの特性を、吐出前の通常の温度ではゲル化又は固化しやすく、その一方、インクの吐出時の温度では液化しているように設計することによって、極めて良好な状態でインクを吐出させることを実現させる。このように、本発明のメカニズム、技術思想は、特許文献2に開示された技術とは全く異なる。
(インクの温度依存性)
上述のように、本発明においては、先ず、インク吐出命令が発せられる前の環境下におけるインクの特性を想定している。本発明者らの検討によれば、温度25℃、湿度50%RHにおけるインクの状態を規定することにより、実環境で得られるインクの特性とよく一致させることができることがわかった。具体的には、温度25℃、湿度50%RHで実質的に重量変化がなくなるまで放置されたときに、ゲル化又は固化する特性を有するインクを用いる。
本発明においては、上記に加えて、インク吐出時におけるインク温度を想定している。これに対して、前述した温度調整機能を有するインクジェット記録装置でも、サーマル方式のインクジェット記録装置でも、インクの温度は通常30℃以上(湿度50%RH)となる。本発明者らの検討によれば、このような、温度30℃、湿度50%RHにおけるインクの状態を規定することにより、実環境で得られるインクの特性とよく一致させることができることがわかった。具体的には、温度30℃、湿度50%RHで放置されたときに、液状であるようなインクを用いる。
尚、本発明における、『実質的に重量変化がなくなるまで』とは、インク中に含有されている揮発成分が蒸発し、重量変化がほとんどなくなった状態をいう。より具体的には、1時間あたりのインクの重量変化が1質量%程度以内になったときのことをいう。但し、放置期間は10日を超えない。又、『ゲル化』とは、インクに流動性がなくなり、ゼリー状になった状態を言い、『固化』とは、ゲル化から更に固化が進んだ状態を言う。インクの特性が、『実質的に重量変化がなくなるまでインクを放置するとゲル化又は固化する』こと、及び『温度30℃、湿度50%RH環境下に24時間放置されると液体である』ことについては、以下の方法によって検証できる。
先ず、検証しようとするインクをインクカートリッジから抜き取る。次に、インク10gを直径4〜5cm程度のシャーレに取り、25℃、50%RHの環境下に放置し、重量変化が1質量%以内になったときにゲル化又は固化するかどうかを目視等の手法により確認する。又、該インクを搭載するインクジェットプリンタのヘッドの吐出部近傍に温度センサーを付け、吐出時の温度をモニターする。ヘッドの吐出部近傍の温度は、この付近のインクの温度と近似できると考えられるので、モニターされた温度環境下でゲル化又は固化したインクを放置し、液化するか否かを目視等の手法により確認する。又、吐出時の温度をモニターすることが困難である場合であっても、30℃、50%RHの環境下に放置し、液化するか否かを目視等の手法により確認する、という方法で検証できる。
以下、本発明のインクが含有する材料について説明する。本発明のインクは、少なくとも、水、色材、1,5−ペンタンジオール及び保湿剤を含有する。
(1,5−ペンタンジオール及び保湿剤)
前述のような特性を示すインクとするための重要な手段として、1,5−ペンタンジオール及び保湿剤を用いることが挙げられる。本発明者らの検討によれば、1,5−ペンタンジオールの色材を溶解する能力(溶解度)は、温度25℃以下、湿度50%RH以下の温度環境下では低い。従って、1,5−ペンタンジオールと色材を含有するインクをインクジェット用インクとして用いた場合には、吐出口近傍のインクは、ゲル化又は固化しやすくなる。その結果、かかる形態のインクとすれば、吐出部内部のインクからの揮発分の蒸発を抑制することができる。
一方、温度30℃以上、湿度50%RH以上の温度環境下では、1,5−ペンタンジオールと保湿剤の混合溶剤の色材の溶解度は非常に高くなる。このため、1,5−ペンタンジオール、保湿剤及び色材を含有するインクをインクジェット用インクとして用いた場合には、吐出口近傍のインクも十分に液化している。このため、かかる形態のインクとすれば、拡散によって吐出部内部のインクと混ざり合い、初期状態のインクと同等の吐出性能を示す。
本発明においては、1,5−ペンタンジオールの含有量を、インク全質量に対し、3質量%以上15質量%以下とする。含有量が3質量%に満たないと、本発明の顕著な効果が得られず、15質量%を超えると、インクの粘度が高くなり過ぎ、吐出特性が悪化する。本発明においては、特に、インク中における1,5−ペンタンジオールの含有量を4質量%以上とすることが好ましい。又、インク中における1,5−ペンタンジオールの含有量は、10質量%以下であることが好ましく、更には、7.5質量%以下であることが好ましい。
又、本発明に用いる好ましい保湿剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン、エチレン尿素及び尿素からなる群から選ばれる化合物が挙げられる。これらの保湿剤は、上述の1,5−ペンタンジオールとの併用による相乗効果という観点で好ましい。中でも、エチレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン及びエチレン尿素が特に好ましい。
本発明においては、更に、1,5−ペンタンジオールの含有量と、上記保湿剤の含有量との合計が、インク全質量に対し、10質量%以上40質量%以下であることを要す。これらの成分の含有量の合計が10質量%に満たないと、本発明の顕著な効果が得られず、一方、40質量%を超えるとインクの粘度が高くなり過ぎ、吐出特性が悪化することが生じる。更に、本発明においては、インク中における1,5−ペンタンジオールの含有量が、1,5−ペンタンジオールの含有量と保湿剤の合計の含有量の13質量%以上、50質量%以下であるように設計することが好ましい。
(色材)
本発明のインクで使用される色材は、上記のインクの物性を実現できるものであれば、いずれのものも使用することができる。かかる物性を達成するための好ましい色材としては、下記式(1)〜(4)で示される化合物が挙げられる。本発明においては、色材の含有量が、インク全質量に対し、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、特には、1質量%以上6質量%以下であることが好ましい。
Figure 0004989136
(式(1)中、Mはアルカリ金属又はアンモニウムを表し、l(エル)、m及びnは、それぞれ、l=0〜2、m=1〜3、n=1〜3(但し、l+m+n=3〜4)であり、置換基の置換位置は、4若しくは4’位である。)
Figure 0004989136
(式(2)中、Mは、アルカリ金属又はアンモニウムを表し、x、yは夫々独立に、1、2、3及び4のいずれかであり、x+y=2〜5である。)
Figure 0004989136
(式(3)中、Mは、アルカリ金属又はアンモニウムを表す。)
Figure 0004989136
(式(4)中、Mは、アルカリ金属又はアンモニウムのいずれかを表す。)
上記式(1)及び(2)で示される化合物は、シアン色相を有し、高い耐オゾン性を持つ銅フタロシアニン骨格を有する色材である。一般に、フタロシアニン骨格を有する色材は、他の構造の色材(トリフェニルメタン、アゾ、キサンテン等)に比べて凝集性が高く、その凝集性を高めることで、画像の堅牢性も高くなる。又、上記式(3)で示される化合物は、マゼンタ色相を有し、高い耐光性を持つアントラピリドン色材である。又、上記式(4)で示される化合物は、イエロー色相を有し、高い発色性と高い耐光性を持つモノアゾ色材である。
本発明においては、上記した式(1)又は(3)で示される化合物を色材としてインクを構成することが特に好ましい。これらの化合物は、非常に優れた堅牢性を有することに加え、分子が比較的大きいため、先に説明した1、5−ペンタンジオールを添加することによる効果との相乗効果によって、温度25℃、湿度50%RHの環境下における溶解度が低くなる。その結果、式(1)又は(3)で示される化合物を含有してなる本発明のインクは、上記環境下では、よりゲル化又は固化しやすくなる。
(インク中に含有されている色材の検証方法)
前記した式(1)及び(2)で示される化合物が、インクに含有されているか否かについて検証する場合には、以下の方法を用いることができる。即ち、分析手段に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用し、各検出器と組み合わせて以下に挙げる3点の測定値を求めることで、インクに目的とする色材が含有されているか否かを検証することができる。
[1]HPLCによるピークの保持時間
[2]上記[1]のピークにおける極大吸収波長
[3]上記[1]のピークにおけるマススペクトルのM/Z(posi)
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は、以下に示す通りである。純水で約50倍に希釈したインク溶液に対して、下記の条件の高速液体クロマトグラフィーで分析を行い、ピークの保持時間(retention time)及びピークの極大吸収波長を測定する。
・カラム:Symmetry C18 2.1mm×150mm
Figure 0004989136
・流速:0.2ml/min
・カラム温度:40℃
・測定波長領域:210nm〜700nm
又、HPLCにより得られたピークについて、質量分析装置を用いてマススペクトルを測定し、色材の同定に利用する。マススペクトルの分析条件は、以下の通りであり、これによってM/Z(posi)を測定する。
・イオン化法
・ESI
キャピラリ電圧:3.1kV
脱溶媒ガス:300℃
イオン源温度:120℃
・検出器
posi:40V 500−2000amu/0.9sec
上記した分析方法によって、前記式(1)及び(2)で示される化合物を含有する検討用の標準インクについて分析した結果、以下のことがわかった。即ち、式(1)又は(2)で示される化合物を含有するインクの場合、HPLCのピークから得られるマススペクトルのピーク比は、置換基の種類、位置及び数の異なる異性体の混合比率によって異なるが、下記に記載されたM/Zのピークが常に検出される。
従って、上記した分析方法は、式(1)又は(2)で示される化合物がインクに含有されるか否かの検証方法として有効である。上記の検証方法によって得られた上記[1]〜[3]のそれぞれの値が、いずれも以下の範囲に該当すれば、測定対象にしたインクは、式(1)又は(2)で示される化合物を含有するインクであると言える。
Figure 0004989136
Figure 0004989136
前記した式(3)で示される化合物がインクに含有されているか否かを検証する場合には、下記に述べる条件で測定した以下に挙げる3点の測定値を用いる。即ち、[1]高速液体クロマトグラフィーによるピークの保持時間、[2]該ピークの極大吸収波長、[3]該ピークのマススペクトルにおけるM/Z(posi、nega)である。
先ず、高速液体クロマトグラフィーの分析条件は、以下の通りである。純水で約1,000倍に希釈したインク溶液に対して、下記の条件の高速液体クロマトグラフィーで分析を行い、ピークの保持時間(retention time)及び該ピークの極大吸収波長を測定する。
・カラム:Symmetry C18 2.1mm×150mm
Figure 0004989136
・流速:0.2ml/min
・カラム温度:40℃
・測定波長領域:210nm〜700nm
又、HPLCにより得られたピークについてのマススペクトルの分析条件は、以下の通りである。HPLCにより得られたピークについて、下記の条件でマススペクトルを測定し、最も強く検出されたM/Zを、posi、negaそれぞれに対して測定する。
・イオン化法
・ESI
キャピラリ電圧:3.5kv
脱溶媒ガス:300℃
イオン源温度:120℃
・検出器
posi:40V 200−1500amu/0.9sec
nega:40V 200−1500amu/0.9sec
上記で得られた[1]高速液体クロマトグラフィーのピークの保持時間、[2]該ピークのPDAによる極大吸収波長、[3]該ピークのマススペクトルにおけるM/Z(posi)、M/Z(nega)の値を以下に示す。前述した式(1)で示される化合物の場合と同様に、インクが式(3)で示される化合物を含有する場合は、常にこれらの検出結果が得られた。従って、上記の検証方法によって得られた上記[1]〜[3]のそれぞれの値が、いずれも以下の範囲に該当すれば、測定対象にしたインクは、式(3)で示される化合物を含有するインクであると言える。
Figure 0004989136
前記した式(4)で示される化合物がインクに含有されているか否かを検証する場合には、下記に述べる条件で測定した以下に挙げる3点の測定値を用いる。即ち、[1]高速液体クロマトグラフィーによるピークの保持時間、[2]該ピークの極大吸収波長、[3]該ピークのマススペクトルにおけるM/Z(posi、nega)を用いる。
先ず、高速液体クロマトグラフィーの分析条件は、以下の通りである。純水で約1,000倍に希釈したインク溶液に対して、下記の条件の高速液体クロマトグラフィーで分析を行い、ピークの保持時間(retention time)、及び、該ピークの極大吸収波長を測定する。
・カラム:Symmetry C18 2.1mm×150mm
Figure 0004989136
・流速:0.2ml/min
・カラム温度:40℃
・PDA:210nm〜700nm
又、HPLCにより得られたピークについてのマススペクトルの分析条件は、以下の通りである。HPLCにより得られたピークについて、下記の条件でマススペクトルを測定し、最も強く検出されたM/Zを、posi、negaそれぞれに対して測定する。
・イオン化法
・ESI
キャピラリ電圧:3.5kv
脱溶媒ガス:300℃
イオン源温度:120℃
・検出器
posi:40V 200−1500amu/0.9sec
nega:40V 200−1500amu/0.9sec
上記で得られた[1]高速液体クロマトグラフィーのピークの保持時間、[2]該ピークのPDAによる極大吸収波長、[3]該ピークのマススペクトルにおけるM/Z(posi)、M/Z(nega)の値を以下に示す。前述した式(1)で示される化合物の場合と同様に、インクが式(4)で示される化合物を含有する場合は、常にこれらの検出結果が得られた。従って、上記の検証方法によって得られた上記[1]〜[3]のそれぞれの値が、いずれも以下の範囲に該当すれば、測定対象にしたインクは、式(4)で示される化合物を含有するインクであると言える。
上記で得られた[1]高速液体クロマトグラフィーのピークの保持時間、[2]該ピークのPDAによる極大吸収波長、[3]該ピークのマススペクトルにおけるM/Z(posi)、M/Z(nega)の値を以下に示す。前述した式(1)で示される化合物の場合と同様に、インクが式(4)で示される化合物を含有する場合は、常にこれらの検出結果が得られた。従って、上記の検証方法によって得られた上記[1]〜[3]のそれぞれの値が、いずれも以下の範囲に該当すれば、測定対象にしたインクは、式(4)で示される化合物を含有するインクであると言える。
Figure 0004989136
(水性媒体)
本発明にかかるインクは、水性媒体として、水、1,5−ペンタンジオール及び保湿剤を含有する。本発明にかかるインクは、水性媒体として、前記で説明した1,5−ペンタンジオール及び保湿剤の他に、更に、インクジェット特性等を付与させるため、下記に挙げるような水溶性有機溶媒や水溶性の添加剤等を、必要に応じて適宜添加してもよい。
好ましい水溶性有機溶剤としては、下記のものが挙げられる。例えば、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第2ブタノール、第3ブタノール等のC1〜C4アルカノール;
N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;
アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン、又は、ケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;
トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2又は1,3−プロピレングリコール、1,2又は1,4−ブチレングリコール、
1,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジチオグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体;
トリメチロールプロパン等のような多価アルコール類;
エチレングリコールモノメチル(或いはエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(或いはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;
N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルモルホリン等の複素環類、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物等が好適な例として挙げられる。
又、水溶性の添加剤として、例えば、界面活性剤、pH調整剤、キレート剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、消泡剤、及び、水溶性ポリマー等、種々の添加剤を含有させてもよい。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、両面界面活性剤、カチオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤等、必要に応じていずれのものも使用することができる。より具体的には、下記に挙げるものを使用することができる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、
アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、
アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩及びジエチルヘキシルスルホ琥珀酸ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等がある。両面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン及びその他イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、下記のものが使用できる。ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系;
ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、
ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート及びポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系等が挙げられる。アセチレングリコール系のノニオン界面活性剤の具体的なものとしては、例えば、川研ファインケミカル社製のアセチレノールEH(商品名)、日信化学社製のサーフィノール104、82、465、オルフィンSTG(いずれも商品名)等がある。
pH調整剤としては、インクのpHを6.0〜11.0の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用できる。例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン及びトリスヒドロキシメチルアミノメタン等のアルコールアミン化合物;
水酸化リチウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;
水酸化アンモニウム、或いは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられる。これらの中でも、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン及びトリスヒドロキシメチルアミノメタン等のアルコールアミン化合物や、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩は、ブロンズ現象の発生の抑制にも効果があり、好適に用いられるpH調整剤である。
防腐、防黴剤としては、下記のような化合物が挙げられる。例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ベンツチアゾール系、ニトチリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、
ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジアジン系、
アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系及び無機塩系等の化合物が挙げられる。
上記の有機ハロゲン系化合物としては、例えば、ペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、上記のピリジンオキシド系化合物としては、例えば、2−ピリジンチオール−1オキサイドナトリウムが挙げられる。又、上記の無機塩系化合物としては、例えば、無水酢酸ソーダが挙げられる。又、上記のイソチアゾリン化合物としては、例えば1,2,−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド及び5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤として、ソルビン酸ソーダ安息香酸ナトリウム等が挙げられるが、市販されているものとしては、例えば、アベシア社製のプロキセルGXL(S)、プロキセルXL−2(S)等がある。
キレート剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム、2ニトロ3酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン5酢酸ナトリウム及びウラミル2酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール及びジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物及びスチルベン系化合物が挙げられる。又は、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
粘度調整剤としては、水溶性有機溶剤の他に、水溶性高分子化合物が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン及びポリイミン等を必要に応じて用いることができる。
消泡剤としては、例えば、フッ素系或いはシリコーン系化合物が必要に応じて用いられる。
(インクジェット記録方法)
本発明のインクジェット用液体インクは、インクを記録信号に応じてインクジェットヘッドから吐出させて記録媒体上に付与するインクジェット記録方法に使用することができる。特に、インクを吐出するためのエネルギーが熱エネルギーであるインクジェット記録方法に好ましく使用できる。
(インクカートリッジ)
本発明のインクジェット用液体インクを用いてインクジェット記録を行うのに好適なインクカートリッジの好ましい具体例を、以下に示す。
図1は、本発明のインクジェット用液体インクを用いてインクジェット記録を行うのに好適なインクカートリッジである液体収納容器の概略説明図であり、断面図である。図1中、液体収納容器(インクタンク)は、上部で大気連通口112を介して大気に連通し、下部でインク供給口114に連通している。又、液体収納容器(インクタンク)は、内部に負圧発生部材を収容する負圧発生部材収納室134と、液体のインクを収容する実質的に密閉された液体収納室136とに仕切壁138で仕切られている。負圧発生部材収納室134と液体収納室136とは、液体収納容器(インクタンク)底部付近で仕切壁138に形成された連通孔140及び液体供給動作時に液体収納室への大気の導入を促進するための大気導入溝(大気導入路)150を介してのみ連通されている。負圧発生部材収納室134を形成する液体収納容器(インクタンク)の上壁には、内部に突出する形態で複数個のリブが一体に成形され、負圧発生部材収納室134に圧縮状態で収容される負圧発生部材と当接している。このリブにより、上壁と負圧発生部材の上面との間にエアバッファ室が形成されている。
又、インク供給口114を備えたインク供給筒には、負圧発生部材より毛管力が高く且つ物理的強度の強い圧接体146が収納されており、負圧発生部材と圧接している。本実施例の負圧発生部材収納室内には、負圧発生部材として、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂の繊維からなる第一の負圧発生部材132B及び第二の負圧発生部材132Aの2つの毛管力発生型負圧発生部材を収納している。132Cはこの2つの負圧発生部材の境界層であり、境界層132Cの仕切壁138との交差部分は、連通部を下方にした液体収納容器の使用時の姿勢において大気導入溝(大気導入路)150の上端部より上方に存在している。又、負圧発生部材内に収容されているインクは、インクの液面Lで示されるように、上記境界層132Cよりも上方まで存在している。
ここで、第一の負圧発生部材と第二の負圧発生部材の境界層は圧接しており、負圧発生部材の境界層近傍は他の部位と比較して圧縮率が高く、毛管力が強い状態となっている。即ち、第一の負圧発生部材の毛管力をP1、第二の負圧発生部材の持つ毛管力をP2、負圧発生部材同士の界面の持つ毛管力をPSとすると、P2<P1<PSなっている。
図2は、本発明のインクジェット用液体インクを用いて記録を行うのに好適な、更に別のインクカートリッジである液体収納容器の概略説明図であり、断面図である。該インクカートリッジは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色のインクを収容する容器41と、容器41を覆う蓋部材42とを有する。容器41の内部は、3色のインクを収容するために、互いに平行に配置された2つの仕切板411、412により、容量がほぼ等しい3つの空間に仕切られる。これら3つの空間は、互いにインクタンクホルダへカラーインクタンクを装着する際のカラーインクタンクの挿入方向に沿って並んでいる。又、これら各空間に、それぞれイエローのインクを吸収して保持するインク吸収体44Y、マゼンタのインクを吸収して保持するインク吸収体44M、及びシアンのインクを吸収して保持するインク吸収体44Cが収納されている。又、負圧発生部材であるインク吸収体44Y、インク吸収体44M、インク吸収体44C内に収容されているインクは、インクの液面Lで示されるように、夫々のインク吸収体の上部まで存在している。このインクカートリッジは、更に、Y、M、Cそれぞれの吐出口を備えたインクジェット記録ヘッドを具備していてもよい。
次に、好ましい実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。文中、「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<色材の合成>
(シアンインク用色材である式(1−1)の化合物)
[(1)銅フタロシアニンテトラスルホン酸テトラナトリウム塩(下記式(A)で示される化合物)の合成]
Figure 0004989136
スルホラン、4−スルホフタル酸モノナトリウム塩、塩化アンモニウム、尿素、モリブデン酸アンモニウム、塩化銅(II)を撹拌し、メタノールで洗浄後、水を加え、水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整した。そして撹拌しながら塩酸水溶液を加え、そこに塩化ナトリウムを徐々に添加した。析出した結晶を濾過し、20%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、続いてメタノールを加え析出した結晶を濾別し、70%メタノール水溶液で洗浄後、乾燥して、上記式(A)で示される銅フタロシアニンテトラスルホン酸テトラナトリウム塩を青色結晶として得た。
[(2)銅フタロシアニンテトラスルホン酸クロリド(下記式(B)で示される化合物)の合成]
Figure 0004989136
次に、クロロスルホン酸中に、上記で得た銅フタロシアニンテトラスルホン酸テトラナトリウム塩を徐々に添加し、更に、塩化チオニルを滴下した。反応液を冷却し、析出している結晶を濾過し、上記式(B)で示される銅フタロシアニンテトラスルホン酸クロライドのウェットケーキを得た。
[(3)下記式(C)で示される化合物の合成]
Figure 0004989136
氷水中にリパールOH、塩化シアヌル、アニリン−2,5−ジスルホン酸モノナトリウム塩を投入し、水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら反応を行った。次に反応液に、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH10.0に調整した。この反応液に、28%アンモニア水、エチレンジアミンを加えた。続いて、塩化ナトリウム、濃塩酸を滴下し、結晶を析出させた。析出した結晶を濾過分取し、20%塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、ウェットケーキを得た。得られたウェットケーキにメタノール、水を加え、濾過し、メタノールで洗浄、乾燥して、所望の上記(C)で示される化合物を得た。
[(4)下記式(1−1)で表される化合物の合成]
氷水中に、前記した(2)の方法で得られた上記式(B)で示される銅フタロシアニンテトラスルホン酸クロライドウェットケーキを撹拌懸濁させた。次に、その中にアンモニア水、前記した(1)の方法で得られた上記(A)で示される化合物を加え、水及び塩化ナトリウムを加えた。析出した結晶を濾過し、塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、再度、濾過、洗浄後、乾燥し、青色結晶として下記式(1−1)で示されるフタロシアニン化合物を得た。
Figure 0004989136
(l=0〜2、m=1〜3、n=1〜3、但し、l+m+n=3〜4、m≧1、置換基の置換位置は、4若しくは4’位であり、MはNaである。)
(シアンインク用色材である式(2−1)の化合物)
市販のC.I.ダイレクトブルー199を用意した。該化合物は、下記の式で示される。
Figure 0004989136
(マゼンタインク用色材である式(3−1)の化合物)
キシレン中に下記式(α)の化合物、炭酸ナトリウム、ベンゾイル酢酸エチルエステルを反応させ、反応物を濾過、洗浄した。これをN,N−ジメチルホルムアミド中で、メタアミノアセトアニリド、酢酸銅、炭酸ナトリウムを順次添加し、反応物を濾過、洗浄した。更に、これを発煙硫酸中でスルホン化し、濾過、洗浄を行い、これを水酸化ナトリウム存在下、シアヌルクロライドと縮合反応を行った。この反応液中にアンスラニル酸を添加し、水酸化ナトリウム存在下、縮合反応を行った。これを濾過、洗浄し、再度、濾過、洗浄後、乾燥することによって、式(3−1)で表される化合物の赤色結晶を得た。
Figure 0004989136
(イエローインク用色材である式(4−1)の化合物)
特表2002−504613公報の実施例を参考にして、下記式(4−1)で表される化合物を合成した。
Figure 0004989136
<インクの調製>
上記で合成した各色材を用いて、下記表1〜8に示すような処方でインクを調製し、それぞれ0.2μmのメンブランフィルターで加圧ろ過することによって、実施例1〜6、参考例1〜4、比較例1〜16のインクを得た。又、特に指定がない限り、実施例、参考例、比較例のインク成分は「質量%」を意味する。尚、各表中の*1の、「25℃、50%RH放置後の状態」とは、以下のことである。即ち、内径4.5cm、高さ2cmのシャーレ容器にインクを10g入れ、25℃、50%RHの環境下で最長10日放置した際に1時間あたりの重量変化が1%以内になったときの、目視で観察したインクの状態のことである。又、各表中の*2の、「30℃、50%RH放置後の状態」とは、以下のことである。即ち、上記*1の状態の後、30℃、50%RHの環境下で24時間放置した後の、目視で観察したインクの状態のことである。
Figure 0004989136
Figure 0004989136
Figure 0004989136
Figure 0004989136
Figure 0004989136
Figure 0004989136
Figure 0004989136
Figure 0004989136
(インクの評価)
熱エネルギーを付与することによりインクを吐出するサーマルインクジェットプリンタ(商品名:PIXUS 950i改造機;キヤノン社製)を用い、シアンインクの位置に上記インクを充填し、以下の試験を行った。尚、インクジェットヘッドは、温度センサー及び温度調整(ヒート)手段を調整して、吐出時のインクの温度が常に30℃以上となるようにした。
(吐出安定性)
上記のインクを搭載したプリンタを温度25℃、相対湿度50%の条件下で5時間以上放置後、該環境下で、あるノズルからインク滴を吐出させた。そして、吐出を5秒間休止した後、そのノズルから再びインク滴を吐出させ、記録媒体(商品名:HR−101;キヤノン社製)にインクを付与した。得られた記録物の品位を目視にて観察し、下記基準で評価した。評価結果を下記表9に示す。
○:正常な記録を行うことができる。
△:文字に若干の乱れがある。
×:不吐出又は文字の乱れがある。
Figure 0004989136
以上の結果から、本発明のインクは、吐出安定性に極めて優れるということがわかった。
本発明のインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジである液体収納容器の概略説明図である。 本発明のインクを用いて記録を行うのに好適なインクカートリッジである液体収納容器の概略説明図である。

Claims (12)

  1. 水、色材、1,5−ペンタンジオール及び保湿剤を含有するインクジェット用液体インクであって、該1,5−ペンタンジオールの含有量が3質量%以上15質量%以下であり、該1,5−ペンタンジオールの含有量及び該保湿剤の含有量の合計が、10質量%以上40質量%以下であり、
    前記色材が、下記式(1)及び(3)で示される化合物の少なくとも1つであることを特徴とするインクジェット用液体インク。
    Figure 0004989136
    (式(1)中、Mはアルカリ金属又はアンモニウムを表し、l(エル)、m及びnは、それぞれ、l=0〜2、m=1〜3、n=1〜3(但し、l+m+n=3〜4)であり、置換基の置換位置は、4若しくは4’位である。)
    Figure 0004989136
    (式(3)中、Mは、アルカリ金属又はアンモニウムを表す。)
  2. 前記保湿剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン、エチレン尿素及び尿素からなる群から選ばれる請求項1に記載のインクジェット用液体インク。
  3. 前記保湿剤が、エチレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン及びエチレン尿素からなる群から選ばれる請求項2に記載のインクジェット用液体インク。
  4. 前記1,5−ペンタンジオールの含有量が3質量%以上7.5質量%以下であり、該1,5−ペンタンジオールの含有量及び前記保湿剤の含有量の合計が10質量%以上40質量%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット用液体インク。
  5. 前記色材が、記式(1)で示される化合物である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット用液体インク
  6. 前記色材が、前記式(3)で示される化合物である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット用液体インク。
  7. 水、色材、1,5−ペンタンジオール及び保湿剤を含有するインクジェット用液体インクであって、温度25℃、湿度50%RH環境下に実質的に重量変化がなくなるまで放置されるとゲル化又は固化し、温度30℃、湿度50%RH環境下に24時間放置されると液体であり、
    前記色材が、下記式(1)及び(3)で示される化合物の少なくとも1つであることを特徴とするインクジェット用液体インク。
    Figure 0004989136
    (式(1)中、Mはアルカリ金属又はアンモニウムを表し、l(エル)、m及びnは、それぞれ、l=0〜2、m=1〜3、n=1〜3(但し、l+m+n=3〜4)であり、置換基の置換位置は、4若しくは4’位である。)
    Figure 0004989136
    (式(3)中、Mは、アルカリ金属又はアンモニウムを表す。)
  8. 前記色材が、前記式(1)で示される化合物である請求項7に記載のインクジェット用液体インク。
  9. 前記色材が、前記式(3)で示される化合物である請求項7に記載のインクジェット用液体インク。
  10. インクをインクジェットヘッドから吐出することによって記録媒体に付与するインクジェット記録方法において、上記インクが、水、色材、1,5−ペンタンジオール及び保湿剤を含有し、且つ、該1,5−ペンタンジオールの含有量が3質量%以上15質量%以下であり、該1,5−ペンタンジオールの含有量及び該保湿剤の含有量の合計が10質量%以上40質量%以下であり、
    前記色材が、下記式(1)及び(3)で示される化合物の少なくとも1つであることを特徴とするインクジェット記録方法。
    Figure 0004989136
    (式(1)中、Mはアルカリ金属又はアンモニウムを表し、l(エル)、m及びnは、それぞれ、l=0〜2、m=1〜3、n=1〜3(但し、l+m+n=3〜4)であり、置換基の置換位置は、4若しくは4’位である。)
    Figure 0004989136
    (式(3)中、Mは、アルカリ金属又はアンモニウムを表す。)
  11. 前記インクを吐出するためのエネルギーが熱エネルギーである請求項10に記載のインクジェット記録方法。
  12. インクをインクジェットヘッドから吐出することによって記録媒体に付与するインクジェット記録方法において、上記インクが、水、色材、1,5−ペンタンジオール及び保湿剤を含有し、且つ、温度25℃、湿度50%RH環境下に実質的に重量変化がなくなるまで放置されるとゲル化又は固化し、温度30℃、湿度50%RH環境下に24時間放置されると液体である特性を有し、
    前記色材が、下記式(1)及び(3)で示される化合物の少なくとも1つであることを特徴とするインクジェット記録方法。
    Figure 0004989136
    (式(1)中、Mはアルカリ金属又はアンモニウムを表し、l(エル)、m及びnは、それぞれ、l=0〜2、m=1〜3、n=1〜3(但し、l+m+n=3〜4)であり、置換基の置換位置は、4若しくは4’位である。)
    Figure 0004989136
    (式(3)中、Mは、アルカリ金属又はアンモニウムを表す。)
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