上記エジェクタは、凝縮器を介した高圧冷媒を減圧しつつ蒸発器を介した低圧冷媒を吸引するノズル部と、高圧冷媒に対して吸引した低圧冷媒を混合する混合部と、混合した冷媒を昇圧して吐出するディフューザ部とで構成してある。しかし、上記冷凍サイクルにおいて、蒸発器に負荷変動が生じて吸い込み側の低圧冷媒量が変化した場合には、混合部やディフューザ部での流速が変化する。この結果、混合部やディフューザ部の圧力が変わってサイクル状態が変化してしまうという問題がある。例えば、冷媒密度が上がると冷却効率が低下してしまうことになる。特に、自動販売機などのようにエジェクタと気液分離器との間に蒸発器を複数並列して、各蒸発器を選択的に動作する冷媒循環経路とした場合では、動作する蒸発器の数によって大幅な負荷変動が生じて吸い込み側の低圧冷媒量が変化することになるので、上記問題が顕著にあらわれることになる。
また、一般的な自動販売機では、複数(例えば3つ)の商品収容庫にそれぞれ蒸発器を配置して各蒸発器を動作する。そして、一側の商品収容庫を冷却専用とし、中央および他側の商品収容庫を冷却および加熱が行えるようにヒータなどを配置してある。さらに、中央の商品収容庫は、両側の商品収容庫と比較して容積が小さいのが一般的である。このため、中央の商品収容庫を冷却するとき、他側の商品収容庫を冷却している場合と加熱している場合とでは、侵入熱の影響を受けて中央の商品収容庫に配置した蒸発器の負荷変動の幅が大きくなる。そこで、通常、冷媒循環量は、中央の商品収容庫における蒸発器の大きい負荷(他側の商品収容庫を加熱している場合)に対応させている。しかし、全ての商品収容庫を冷却する場合や、一側および中央の商品収容庫を冷却する場合において、中央以外の商品収容庫が適温となって蒸発器の動作を止め、容積が小さい中央の商品収容庫の蒸発器のみを動作する状態がある。このような状態では、中央の商品収容庫における蒸発器の冷媒循環量が多くなるため、蒸発温度が低下して運転効率(冷凍サイクル効率)が悪くなるという問題がある。
また、気液分離器では、エジェクタから得た混合冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒を圧縮機に戻し、液相冷媒を蒸発器に供給する。従来の気液分離器は、混合冷媒を一旦貯留する容積を有したタンク形状をなしているためにスペース効率が悪い。特に、上記自動販売機などのように複数の商品収容庫にそれぞれ蒸発器を配置して各蒸発器を動作する場合には、動作する蒸発器の数によって冷媒循環量が変化するので圧縮機における液圧縮を防止するためにタンクの大型化が必要になる。
本発明は、上記実情に鑑みて、蒸発器の負荷変動によるサイクル状態の変化を防ぐことができ、また気液分離器の小型化を図ることができる冷媒回路を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る冷媒回路は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される冷媒を放熱させる放熱器と、冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記放熱器から供給される高圧冷媒を減圧することによって前記蒸発器から吐出された低圧冷媒を吸引して混合するとともに混合した冷媒を昇圧して吐出するエジェクタと、前記エジェクタから供給される混合冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒を前記圧縮機に帰還させる一方で液相冷媒を前記蒸発器に供給する気液分離器とを備えた冷媒回路において、前記エジェクタに供給される高圧冷媒と低圧冷媒との相互の熱交換を行う内部熱交換器を備えたことを特徴とする。
本発明に係る冷媒回路は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される冷媒を放熱させる放熱器と、冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記放熱器から供給される高圧冷媒を減圧することによって前記蒸発器から吐出された低圧冷媒を吸引して混合するとともに混合した冷媒を昇圧して吐出するエジェクタと、前記エジェクタから供給される混合冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒を前記圧縮機に帰還させる一方で液相冷媒を前記蒸発器に供給する気液分離器とを備えて、前記蒸発器を複数並列して開閉弁を介して接続した複数の冷媒循環経路をなす冷媒回路において、前記エジェクタに供給される高圧冷媒と低圧冷媒との相互の熱交換を行う内部熱交換器を備えたことを特徴とする。
本発明に係る冷媒回路は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される冷媒を放熱させる放熱器と、冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記放熱器から供給される高圧冷媒を減圧することによって前記蒸発器から吐出された低圧冷媒を吸引して混合するとともに混合した冷媒を昇圧して吐出するエジェクタと、前記エジェクタから供給される混合冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒を前記圧縮機に帰還させる一方で液相冷媒を前記蒸発器に供給する気液分離器とを備えて、前記蒸発器を複数並列して開閉弁を介して接続した複数の冷媒循環経路をなす冷媒回路において、所定の蒸発器を他の蒸発器に対して開閉弁を介して直列に接続したことを特徴とする。
本発明に係る冷媒回路は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される冷媒を放熱させる放熱器と、冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記放熱器から供給される高圧冷媒を減圧することによって前記蒸発器から吐出された低圧冷媒を吸引して混合するとともに混合した冷媒を昇圧して吐出するエジェクタと、前記エジェクタから供給される混合冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒を前記圧縮機に帰還させる一方で液相冷媒を前記蒸発器に供給する気液分離器とを備えた冷媒回路において、前記気液分離器は、始端側を前記エジェクタに接続して螺旋状に形成した径外部位に貫通孔を設けて終端側を前記圧縮機に接続した内管と、始端側で前記内管の貫通孔を設けた部位を被覆して当該内管とともに螺旋状に形成してあり前記内管から分岐した終端側を前記蒸発器に接続した外管とからなることを特徴とする。
本発明に係る冷媒回路は、上記発明において、前記気液分離器は、前記外管の終端側において冷媒を一旦下方に向けて送りつつ上方に向けて送るトラップ部を設け、当該トラップ部の下部と当該下部の下方にある前記内管の終端側とを接続してあることを特徴とする。
本発明に係る冷媒回路は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される冷媒を放熱させる放熱器と、冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記放熱器から供給される高圧冷媒を減圧することによって前記蒸発器から吐出された低圧冷媒を吸引して混合するとともに混合した冷媒を昇圧して吐出するエジェクタと、前記エジェクタから供給される混合冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒を前記圧縮機に帰還させる一方で液相冷媒を前記蒸発器に供給する気液分離器とを備えて、前記蒸発器を複数並列して開閉弁を介して接続した複数の冷媒循環経路をなす冷媒回路において、前記エジェクタの減圧部分にて冷媒の流量を調節するノズル弁と、前記蒸発器に供給する冷媒の流量を調節する膨張弁と、前記各蒸発器の入口側にそれぞれ設けてあり冷媒の温度を検出する蒸発器入口温度センサとを備え、前記蒸発器入口温度センサで検出した冷媒の温度が所定の範囲内になる態様で前記ノズル弁および前記膨張弁の開度を調整することを特徴とする。
本発明に係る冷媒回路は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される冷媒を放熱させる放熱器と、冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記放熱器から供給される高圧冷媒を減圧することによって前記蒸発器から吐出された低圧冷媒を吸引して混合するとともに混合した冷媒を昇圧して吐出するエジェクタと、前記エジェクタから供給される混合冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒を前記圧縮機に帰還させる一方で液相冷媒を前記蒸発器に供給する気液分離器とを備えて、前記蒸発器を複数並列して開閉弁を介して接続した複数の冷媒循環経路をなす冷媒回路において、前記エジェクタの減圧部分にて冷媒の流量を調節するノズル弁と、前記蒸発器に供給する冷媒の流量を調節する膨張弁と、前記各蒸発器の入口側にそれぞれ設けてあり冷媒の温度を検出する蒸発器入口温度センサと、前記各蒸発器の出口側にそれぞれ設けてあり冷媒の温度を検出する蒸発器出口温度センサとを備え、前記蒸発器入口温度センサで検出した冷媒の温度と、前記蒸発器出口温度センサで検出した冷媒の温度との温度差が所定の範囲内になる態様で前記ノズル弁および前記膨張弁の開度を調整することを特徴とする。
本発明に係る冷媒回路は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される冷媒を放熱させる放熱器と、冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記放熱器から供給される高圧冷媒を減圧することによって前記蒸発器から吐出された低圧冷媒を吸引して混合するとともに混合した冷媒を昇圧して吐出するエジェクタと、前記エジェクタから供給される混合冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒を前記圧縮機に帰還させる一方で液相冷媒を前記蒸発器に供給する気液分離器とを備えて、前記蒸発器を複数並列して開閉弁を介して接続した複数の冷媒循環経路をなす冷媒回路において、前記蒸発器に供給する冷媒の流量を調節する膨張弁と、高圧冷媒の圧力を検出する高圧圧力センサと、低圧冷媒の圧力を検出する低圧圧力センサと、前記各蒸発器の出口側にそれぞれ設けてあり冷媒の温度を検出する蒸発器出口温度センサと前記蒸発器を配置した断熱雰囲気の内部の温度を検出する庫内温度センサとを備え、前記高圧圧力センサおよび低圧圧力センサで検出した冷媒の圧力、前記蒸発器入口温度センサで検出した冷媒の温度、および前記庫内温度センサで検出した温度から推定した冷媒密度と、高圧圧力センサおよび低圧圧力センサで検出した冷媒の圧力に応じて予め設定した冷媒密度設定値とを比較して前記推定冷媒密度が所定の範囲内になる態様で前記膨張弁の開度を調整することを特徴とする。
本発明に係る冷媒回路は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される冷媒を放熱させる放熱器と、冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記放熱器から供給される高圧冷媒を減圧することによって前記蒸発器から吐出された低圧冷媒を吸引して混合するとともに混合した冷媒を昇圧して吐出するエジェクタと、前記エジェクタから供給される混合冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒を前記圧縮機に帰還させる一方で液相冷媒を前記蒸発器に供給する気液分離器とを備えて、前記蒸発器を複数並列して開閉弁を介して接続した複数の冷媒循環経路をなす冷媒回路において、前記蒸発器を送風する蒸発器ファンと、高圧冷媒の圧力を検出する高圧圧力センサと、低圧冷媒の圧力を検出する低圧圧力センサと、前記各蒸発器の出口側にそれぞれ設けてあり冷媒の温度を検出する蒸発器出口温度センサと、前記蒸発器を配置した断熱雰囲気の内部の温度を検出する庫内温度センサとを備え、前記高圧圧力センサおよび低圧圧力センサで検出した冷媒の圧力、前記蒸発器入口温度センサで検出した冷媒の温度、および前記庫内温度センサで検出した温度から推定した冷媒密度と、高圧圧力センサおよび低圧圧力センサで検出した冷媒の圧力に応じて予め設定した冷媒密度設定値とを比較して前記推定冷媒密度が所定の範囲内になる態様で前記蒸発器ファンの風量を調整することを特徴とする。
本発明に係る冷媒回路は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される冷媒を放熱させる放熱器と、冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記放熱器から供給される高圧冷媒を減圧することによって前記蒸発器から吐出された低圧冷媒を吸引して混合するとともに混合した冷媒を昇圧して吐出するエジェクタと、前記エジェクタから供給される混合冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒を前記圧縮機に帰還させる一方で液相冷媒を前記蒸発器に供給する気液分離器とを備えた冷媒回路において、前記エジェクタと前記気液分離器との間に設けてあり、前記放熱器から供給される高圧冷媒を減圧することによって前記エジェクタから吐出された混合冷媒を吸引して混合するとともに混合した冷媒を昇圧して吐出して前記気液分離器に供給する他のエジェクタを設けたことを特徴とする。
本発明に係る冷媒回路は、上記発明のいずれか一つにおいて、前記冷媒が二酸化炭素であることを特徴とする。
本発明に係る冷媒回路は、エジェクタに供給される高圧冷媒と低圧冷媒との相互の熱交換を行う内部熱交換器を備えた。すなわち、蒸発器に負荷変動が生じて吸い込み側の低圧冷媒量が変化した場合でも、内部熱交換器によって余剰する低圧冷媒の潜熱を放熱器から吐出された高圧冷媒の冷却に利用してすることで、高圧側の圧力上昇を防止する。この結果、低圧冷媒に過熱度をつけて蒸発させることでエジェクタでの吸い込み冷媒密度が一定になるので、サイクル状態を最適化させることができる。
特に、蒸発器を複数並列して開閉弁を介して接続した複数の冷媒循環経路をなす冷媒回路においては、開閉弁の開閉で動作する蒸発器の数が減ることによって動作している蒸発器に大幅な負荷変動が生じるが、内部熱交換器によって高圧冷媒と低圧冷媒との熱交換を行うことで、エジェクタでの吸い込み冷媒密度を一定にしてサイクル状態を最適化させることができる。
本発明に係る冷媒回路は、所定の蒸発器を他の蒸発器に対して開閉弁を介して直列に接続した。すなわち、所定の蒸発器のみを動作させたときに、当該蒸発器での余剰の冷媒を他の蒸発器で蒸発させるので所定の蒸発器の単独運転がなくなることになる。この結果、余剰冷媒を廃棄することなく活用できるため運転効率を改善することができる。
本発明に係る冷媒回路は、気液分離器において、エジェクタと圧縮機との間に接続して螺旋に形成した径外部位に貫通孔を設けた内管と、内管の貫通孔を設けた部位を被覆して内管とともに螺旋状に形成して内管から分岐した終端側を蒸発器に接続した外管とで構成した。すなわち、エジェクタから供給された混合冷媒を内管に通し、螺旋状の部位に通過する混合冷媒の液相冷媒を遠心力によって径外側に偏らせて貫通孔を介して外管に液相冷媒を移送することで気相冷媒と液相冷媒とを分離する。このように、螺旋状にした2重管構造としたことにより、小型化を図ることができ、スペース効率を向上できる。特に、蒸発器を複数並列して開閉弁を介して接続した複数の冷媒循環経路をなす冷媒回路においては、開閉弁の開閉で動作する蒸発器の数によって冷媒循環量が変化するが、内管及び外管の螺旋の長さによって対応するので大型化することがない。
また、気液分離器において、外管の終端側において冷媒を一旦下方に向けて送りつつ上方に向けて送るトラップ部を設け、当該トラップ部の下部と当該下部の下方にある内管の終端側とを接続した。すなわち、トラップ部にて、液相冷媒に含まれる冷凍機油を自身の比重によって下部に沈下させて内管の終端側に移送することで、液相冷媒と冷凍機油とを分離する。このように、トラップ部を設けた構成により、冷媒を貯留させて冷媒と冷凍機油とに分離するタンクを有する従前のオイルセパレータに比較して小型化を図ることができ、スペース効率を向上できる。特に、気液分離器の内管および外管に冷凍機油を分離する構成を一体化しているので、気・液・油の分離を効率良く行うことができる。
本発明に係る冷媒回路は、蒸発器入口温度センサで検出した冷媒の温度が所定の範囲内になる態様でノズル弁および膨張弁の開度を調整する。すなわち、蒸発器を複数並列して開閉弁を介して接続した複数の冷媒循環経路をなす冷媒回路においては、開閉弁の開閉で動作する蒸発器を選択する。このため、1つの蒸発器を動作させる場合や、複数の蒸発器を動作させる場合がある。このように、蒸発器の動作状態が変化すると蒸発温度および高圧圧力は大きく変化する。したがって、蒸発器入口温度センサで検出した冷媒の温度が所定の範囲内になる態様でノズル弁および膨張弁の開度を調整すれば、蒸発器の動作状態の変化による蒸発温度および高圧圧力の変化を抑えるので、蒸発器での交換熱量や、圧縮機の運転効率を最適化させることができる。
本発明に係る冷媒回路は、蒸発器入口温度センサで検出した冷媒の温度と、蒸発器出口温度センサで検出した冷媒の温度との差が所定の範囲内になる態様でノズル弁および膨張弁の開度を調整する。すなわち、蒸発器を複数並列して開閉弁を介して接続した複数の冷媒循環経路をなす冷媒回路においては、開閉弁の開閉で動作する蒸発器を選択する。このため、1つの蒸発器を動作させる場合や、複数の蒸発器を動作させる場合がある。このように、蒸発器の動作状態が変化すると蒸発温度および高圧圧力は大きく変化する。したがって、蒸発器入口温度センサで検出した冷媒の温度と、蒸発器出口温度センサで検出した冷媒の温度との差が所定の範囲内になる態様でノズル弁および膨張弁の開度を調整すれば、蒸発器の動作状態の変化による蒸発温度および高圧圧力の変化を抑えるので、蒸発器での交換熱量や、圧縮機の運転効率を最適化させることができる。
本発明に係る冷媒回路は、高圧圧力センサおよび低圧圧力センサで検出した冷媒の圧力、蒸発器入口温度センサで検出した冷媒の温度、および前記庫内温度センサで検出した温度から推定した冷媒密度と、高圧圧力センサおよび低圧圧力センサで検出した冷媒の圧力に応じて予め設定した冷媒密度設定値とを比較して推定冷媒密度が所定の範囲内になる態様で膨張弁の開度および蒸発器ファンの風量を調整する。すなわち、蒸発器を複数並列して開閉弁を介して接続した複数の冷媒循環経路をなす冷媒回路においては、開閉弁の開閉で動作する蒸発器を選択する。このため、1つの蒸発器を動作させる場合や、複数の蒸発器を動作させる場合がある。このように、蒸発器の動作状態が変化すると蒸発温度および高圧圧力は大きく変化する。したがって、推定冷媒密度が所定の範囲内になる態様で膨張弁の開度および蒸発器ファンの風量を調整すれば、蒸発器の動作状態の変化による蒸発温度および高圧圧力の変化を抑えるので、蒸発器での交換熱量や、圧縮機の運転効率を最適化させることができる。
本発明に係る冷媒回路は、他のエジェクタを設けたことにより、多段化されたエジェクタによって冷媒圧力が増加するので圧縮機の負担が軽減してサイクルをさらに高効率化することができる。
本発明に係る冷媒回路は、特に二酸化炭素を冷媒として用いたときに有効である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る冷媒回路の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
最初に、本発明に係る冷媒回路を適用した自動販売機について説明する。図1は本発明に係る冷媒回路を適用した自動販売機の内部を開放した状態を示す斜視図、図2は図1に示した自動販売機の正面図である。
ここで例示する自動販売機は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料などの商品を販売するためのもので、図1に示すように本体キャビネット1、内扉2およびメインドア3を備えている。
本体キャビネット1は、複数の鋼板を適宜組み合わせることによって堅牢に構成したもので、前面が開口した直方状をなしている。この本体キャビネット1の内部には、3つの独立した断熱構造の商品収容庫4a,4b,4cが並設してある。また、商品収容庫4a,4b,4cの下方となる位置には、唯一の機械室5が設けてある。
商品収容庫4a,4b,4cは、飲料缶やペットボトルを所望の温度に維持した状態で収容するためのもので、それぞれの上方部にコラム状のラック6a,6b,6cが配設してある。本実施の形態では、図1において正面向かって左側に位置する商品収容庫4aには、ラック6aが2列配設してあり、正面向かって中央に位置する商品収容庫4bには、ラック6bが1列配設してあり、正面向かって右側に位置する商品収容庫4cには、ラック6cが2列配設してある。また、商品収容庫4a,4b,4cは、ラック6a,6b,6cの下方部分がシュータ7によって区画してある。本発明に係る冷媒回路は、上記商品収容庫4a,4b,4cのシュータ7で区画した部分、および機械室5を跨いで配置してある。詳細は後述する。
自動販売機の内扉2およびメインドア3は、それぞれ本体キャビネット1の一側縁部に支承して設けてある。
図1に示すように内扉2は、本体キャビネット1に設けた商品収容庫4a,4b,4cの前面を覆うに十分な大きさを有したもので、鋼材によって構成してある。図示の例では、内扉2を上下に分割し、それぞれを個別に開閉できるようにしてある。
メインドア3は、本体キャビネット1の前面開口を覆うに十分な大きさを有したもので、鋼材により堅牢に構成してある。図2に示すようにメインドア3には、その表面側にディスプレイウィンド8、選択ボタン9、硬貨投入口10、紙幣挿入口11、一体表示器12、硬貨返却口13、商品取出口14が設けてある。一方、図1に示すようにメインドア3の裏面側には、硬貨処理機15、硬貨回収箱16、紙幣処理機17、ディスプレイドア18、メインコントロールボックス19が設けてある。ディスプレイウィンド8は、ディスプレイドア18に配置した商品見本8a、および電照板8bを利用者に視認させるための窓である。選択ボタン9は、利用者が購入商品を選択するための押ボタンスイッチであり、ディスプレイウィンド8を通じて視認される商品見本8a毎に用意してある。硬貨投入口10は、利用者が硬貨を投入するための開口である。この硬貨投入口10を通じて投入された硬貨は、硬貨処理機15においてその金種が識別され、その後、硬貨回収箱16に収容されることになる。紙幣挿入口11は、利用者が紙幣を挿入するための開口である。この紙幣挿入口11を通じて挿入された紙幣は、紙幣処理機17においてその金種が識別されることになる。また上記紙幣挿入口11は、紙幣処理機17において識別できなかった紙幣を返却するための機能も有している。一体表示器12は、貨幣の投入金額、販売中であるか否か、釣り銭があるか否かなど、各種情報を利用者に表示するための表示手段である。硬貨返却口13は、硬貨処理機15において識別できなかった硬貨、あるいは釣り銭となる硬貨を利用者に返却するための開口である。商品取出口14は、ラック6a,6b,6cから払い出された商品を利用者が受け取るための開口である。メインコントロールボックス19は、自動販売機の各種制御を行う制御基板(図示せず)を収容した箱体である。
上述した自動販売機では、利用者が硬貨投入口10から貨幣を投入、もしくは紙幣挿入口11から紙幣を挿入し、当該貨幣の認識した金額が商品販売に必要となる金額であったときに選択ボタン9を有効化する。利用者によって選択ボタン9が押されると、選択ボタン9に対応する商品を商品収容庫4a(または4b,4c)にあるラック6a(または6b,6c)の下部から切り出す。ラック6a(または6b,6c)から切り出された商品は、シュータ7の上で転動した商品取出口14に搬出される。そして、商品取出口14に搬送された商品を利用者が受け取る。
次に、本発明に係る冷媒回路について説明する。図3は本発明に係る冷媒回路の実施の形態を示す概略図である。図3に示すように冷媒回路は、主に、圧縮機51、ガスクーラ(放熱器)52、エジェクタ53、気液分離器54、蒸発器55および内部熱交換器56を接続して、冷媒を循環可能な冷媒循環経路を形成したものである。また、冷媒は、本実施の形態では、例えばHFC冷媒(ハイドロフルオロカーボン)または二酸化炭素を使用してある。特に、二酸化炭素は、不燃性、安全性、不腐食性を有し、さらにオゾン層への影響が少ない冷媒である。
圧縮機51は、冷媒を圧縮して高温高圧の状態としてガスクーラ52に供給するものである。圧縮機51としては、レシプロ圧縮機、ロータリー圧縮機、スクロール圧縮機、あるいは、これらの圧縮能力を調整可能なインバータ圧縮機などがある。そして、冷媒回路を配設する対象、環境、あるいは、冷媒回路のコストなどに見合う圧縮機を適宜適用すればよい。
また、圧縮機51は、中間熱交換器511を使用して2段階の圧縮動作を実行する構成もある。図4に示すように2段階の圧縮動作を行う圧縮機51は、2段階の圧縮動作において、1段階目の圧縮動作を行う第1圧縮機51aと、2段階目の圧縮動作を行う第2圧縮機51bとの間に中間熱交換器511を設けてある。そして、中間熱交換器511は、第1圧縮機51aによる1段階目の圧縮動作の後に、第1圧縮機51aが圧縮した状態の冷媒を冷却して第2圧縮機51bに戻す。このように、圧縮機51は、中間熱交換器511を介して2段階の圧縮動作を実行することで、低消費電力で高圧縮効率を得て冷媒を所望とする高温高圧の状態に圧縮することが可能になる。なお、図4に示す2段階の圧縮動作を行う圧縮機51は、冷媒として二酸化炭素を適用した場合に特に有用である。
ガスクーラ52は、圧縮機51から供給される高温高圧の冷媒を、放熱させて当該冷媒を液化するためのものである。ガスクーラ52は、例えば銅管とアルミフィンとで構成したフィンチューブタイプのものを使用してある。図3には明示しないがガスクーラ52には、ガスクーラファンが設けてある。ガスクーラファンは、ガスクーラ52を送風するためのものであり、ファンモータによって駆動される。
エジェクタ53は、ガスクーラ52から供給される冷媒を利用した吸引作用によって蒸発器55側からの冷媒を吸引するとともに、昇圧作用によって圧縮機51に至る吸入圧を上昇させるものである。図3に示すようにエジェクタ53は、二相流噴射型エジェクタを使用してあり、ノズル部531、混合部532およびディフューザ部533からなる。ノズル部531は、ガスクーラ52を介した高圧冷媒を減圧して加速することで蒸発器55を介した低圧冷媒を吸引する。このノズル部531は、高圧冷媒を減圧するためのノズル径を調節するノズル弁531aを有している。混合部532は、高圧冷媒に対して低圧冷媒を混合する。ディフューザ部533は、混合した混合冷媒を昇圧して吐出する。
気液分離器54は、エジェクタ53から供給される混合冷媒を液相冷媒と気相冷媒とに分離し、気相冷媒を圧縮機51に帰還させる一方で液相冷媒を蒸発器55に供給するものである。一般に気液分離器54は、図には明示しないが混合冷媒を貯留するタンク形状の貯留部を有し、当該貯留部の上部に滞留した気相冷媒を圧縮機51に帰還させる一方で、貯留部の下部に滞留した液相冷媒を蒸発器55に供給するものがある。本実施の形態では、特に図5〜図7に示す気液分離器54を使用してある。
図5に示すように気液分離器54は、気液分離部541および液油分離部542からなる。気液分離部541は、内管541Aと外管541Bとを有している。内管541Aは、管部材を螺旋状に形成してある。そして、内管541Aは、始端側541Aaをエジェクタ53の吐出側(ディフューザ部533)に接続して、終端側541Abを圧縮機51(第1圧縮機51a)の吸入側に接続してある。また、内管541Aは、螺旋状に形成した径外部位に貫通孔541Acが設けてある。外管541Bは、管部材からなり、始端側541Baで内管541Aの貫通孔541Acを設けた部位を被覆して内管541Aとともに螺旋状に形成してある。そして、外管541Bは、終端側541Bbを内管541Aから分岐して蒸発器55の入口側に接続してある。
図6に示すように気液分離部541は、エジェクタ53から供給された混合冷媒を内管541Aに通し、螺旋状の部位に通過する混合冷媒の液相冷媒を遠心力によって径外側に偏らせる。そして、螺旋状の径外部位に設けた貫通孔541Acを介して外管541Bに液相冷媒を移送する。この結果、気相冷媒と液相冷媒とが分離されて、内管541Aには気相冷媒が送られ、外管541Bには液相冷媒が送られることになる。なお、図5では内管541Aおよび外管541Bの螺旋形状を側方に向けて図示してあるが上下方向に向けてあってもよい。
液油分離部542は、分岐した内管541Aの終端側541Abおよび外管541Bの終端側541Bbにおいて設けてある。図5に示すように外管541Bの終端側541Bbには、トラップ部541Bcが設けてある。トラップ部541Bcは、液相冷媒を一旦下方に向けて送りつつ上方に向けて送る形態としてある。具体的には、外管541Bの終端側541Bbを側方に向けて螺旋状に形成することによって当該螺旋形状の下部をトラップ部541Bcとしてある。そして、トラップ部541Bcの下部は、当該下部の下方にある内管541Aの終端側541Abに接続管542Aを介して接続してある。
図7に示すように液油分離部542は、トラップ部541Bcにおいて、液相冷媒に含まれる油を当該油の比重によって下部に沈下させる。この油は、圧縮機51において機械的摩擦を緩和するための冷凍機油である。そして、トラップ部541Bcの下部に沈下した冷凍機油は、接続管542Aを介して内管541Aの終端側541Abに移送される。この結果、液相冷媒と冷凍機油とが分離されて、外管541Bには液相冷媒が送られ、内管541Aには気相冷媒とともに冷凍機油が送られることになる。
蒸発器55は、気液分離器54から供給される液相冷媒を蒸発させて、周囲の熱を吸収することによって周囲温度を冷却するためのものである。本実施の形態における蒸発器55は、例えば銅管とアルミフィンとで構成したフィンチューブタイプのものを使用してある。図3には明示しないが蒸発器55には、蒸発器ファンが設けてある。蒸発器ファンは、蒸発器55を送風するためのものであり、ファンモータによって駆動される。
蒸発器55は、例えば自動販売機、冷蔵庫、冷凍ショーケース・冷蔵ショーケース、あるいは飲料ディスペンサなどにおける断熱構造の冷却庫の内部に配置してある。特に、本実施の形態では、自動販売機において、複数(3つ)の商品収容庫(冷却庫)4a,4b,4cをそれぞれ独立して冷却するために、各商品収容庫4a,4b,4cに蒸発器55(55a,55b,55c)をそれぞれ配置してある。すなわち、蒸発器55a,55b,55cは、気液分離器54の内管541Aの終端側541Abから3方に分岐したそれぞれの経路に並列して接続してある。また、分岐した各経路において各蒸発器55a,55b,55cの入口側には、開閉弁としての電磁弁551a,551b,551cがそれぞれ設けてある。そして、各電磁弁551a,551b,551cを選択的に開放することで、各蒸発器55a,55b,55cに気液分離器54からの液相冷媒が供給される。また、各蒸発器55a,55b,55cの出口側の経路は、互いに集合してエジェクタ53におけるノズル部531の吸入側に接続してある。
内部熱交換器56は、エジェクタ53に供給される高圧冷媒と低圧冷媒との相互の熱交換を行うためのものである。内部熱交換器56は、ガスクーラ52とエジェクタ53との間、および蒸発器55とエジェクタ53との間に設けてある。図8〜図12に示すように内部熱交換器56は、ガスクーラ52とエジェクタ53との間に高圧冷媒配管561を設けてある。また、内部熱交換器56は、蒸発器55とエジェクタ53との間に低圧冷媒配管562を設けてある。高圧冷媒配管561は、低圧冷媒配管562の内部に配置してある。また、高圧冷媒配管561は、熱伝導率の高い複数(本実施の形態では3つ)の管を束ねて設けてある。このように、内部熱交換器56は、高圧冷媒配管561を低圧冷媒配管562の内部に配置した2重管構造としてある。
内部熱交換器56は、複数の高圧冷媒配管561を低圧冷媒配管562の内部に配置した形態で上下方向に螺旋状にして形成してある。具体的に、高圧冷媒配管561は、図8〜図11に示すように、複数の管を束ねた形態で螺旋状とした下端に高圧冷媒配管561の入口部561aを設け、螺旋状とした上端に高圧冷媒配管561の出口部561bを設けてある。これら入口部561aおよび出口部561bは、高圧冷媒配管561の複数の管の口を集束した一口に形成してある。一方、低圧冷媒配管562は、図12に示すように、高圧冷媒配管561を被覆して設けてあり、図8〜図11に示すように、高圧冷媒配管561とともに螺旋状に形成してある。この低圧冷媒配管562は、螺旋状とした上端側に入口部562aを設け、螺旋状とした下端側に出口部562bを設けてある。このように、内部熱交換器56は、高圧冷媒配管561が下方から上方に向けて冷媒を送る態様で設けてあり、低圧冷媒配管562が上方から下方に向けて冷媒を送る態様で設けて高温の高圧冷媒と低温の低圧冷媒とに対向流を生じさせる。
さらに、低圧冷媒配管562の外周には、可撓性を有したチューブ状の断熱材563が設けてあり、低圧側と高圧側との間の熱交換が外気の影響を受けないように構成してある。
なお、内部熱交換器56は、上記構成に限らず、図には明示しないが熱伝導率の高圧冷媒配管と低圧冷媒配管とを互いに沿わせて接触する態様でろう付けなどで接続する構成であってもよい。
ところで、上述したように自動販売機の各商品収容庫4a,4b,4cにそれぞれ蒸発器55(55a,55b,55c)を配置した場合、3庫全て、2庫あるいは1庫のみを冷却するために対応する各蒸発器55a,55b,55cの動作が考えられる。そして、全て(3つ)の蒸発器55が動作する場合に対し、1つの蒸発器55が動作する場合では低圧冷媒の余剰が増加することになる。すなわち、蒸発器55に大幅な負荷変動が生じて吸い込み側の低圧冷媒量が変化し、エジェクタ53での冷媒圧力が変動してサイクル状態が変化する。具体的には、高圧側である圧縮機51、ガスクーラ52、エジェクタ53および気液分離器54の循環経路の圧力が上昇して、圧縮機51に液相冷媒が戻る。この結果、冷却効率が低下し、場合によっては圧縮機51の破損もある。そこで、内部熱交換器56によって余剰する低圧冷媒の潜熱をガスクーラ52から吐出された高圧冷媒の冷却に利用してすることで、高圧側の圧力上昇を防止する。すなわち、内部熱交換器56によって高圧冷媒と低圧冷媒との熱交換を行うことで、エジェクタ53での吸い込み冷媒密度を一定にして、サイクル状態を最適化する。
図13は内部熱交換器56による高圧冷媒と低圧冷媒との熱交換を示す図である。図13においては、3庫全ての蒸発器55が動作する場合を実線で示し、1庫のみの蒸発器55が動作する場合を破線で示している。内部熱交換器56による熱交換に際して、図13に示すように低圧冷媒は、始めは温度上昇なく潜熱変化してその後に顕熱変化して高圧冷媒を冷却する。このため、低圧冷媒に過熱度をつけて蒸発させることでエジェクタ53での吸い込み冷媒密度が一定になるので、サイクル状態を最適化させることになる。なお、内部熱交換器56は、3庫全ての蒸発器55が動作する場合と、2庫あるいは1庫のみの蒸発器55が動作する場合とでそれぞれ熱交換を行うが、1庫の場合に熱交換が完了するまでに多く距離(長さ)を必要とするため、1庫の場合に合わせた所望の長さLとしてある。また、本実施の形態において内部熱交換器56は、螺旋状とすることで所望の長さLを省スペースで得ている。
なお、上述した冷媒回路において、図3に示すように気液分離器54と蒸発器55との間であって、気液分離器54の内管541Aの出口側で各蒸発器55(55a,55b,55c)に分岐する以前の部位には、電子膨張弁57が設けてある。電子膨張弁57は、気液分離器54から供給される低圧冷媒を減圧し蒸発温度および流量を制御する。また、上述した冷媒回路において、各電磁弁551a,551b,551cと各蒸発器55a,55b,55cとの間には、キャピラリチューブ58が設けてある。キャピラリチューブ58は、抵抗管路を螺旋状に形成したもので、各蒸発器55a,55b,55cに対応して気液分離器54から供給される低圧冷媒を減圧する。このキャピラリチューブ58は、特に各蒸発器55a,55b,55cを配置した各商品収容庫4a,4b,4cの大きさ(容積)が異なる場合に、それぞれの蒸発器55a,55b,55cに供給する低圧冷媒を減圧することに好適である。また、上記電子膨張弁57とキャピラリチューブ58は、双方とも設けてもよく、あるいはいずれか一方を設けてもよい。
また、上述した冷媒回路を上記自動販売機に適用した場合、図3、図14および図15に示すように冷媒回路は、商品収容庫4a,4b,4cのシュータ7で区画した下方部分、および機械室5を跨いで配置してある。商品収容庫4a,4b,4cには蒸発器55および蒸発器ファン(図示せず)が配置してあり、機械室5には圧縮機51、ガスクーラ52、ガスクーラファン(図示せず)、電磁弁551a,551b,551c、内部熱交換器56、電子膨張弁57およびキャピラリチューブ58が配置してある。本実施の形態において、商品収容庫4a,4b,4cのうち正面向かって左側に位置する所定の商品収容庫4aは、冷却専用である。この冷却専用である所定の商品収容庫4aには、エジェクタ53および気液分離器54が配置してある。また、正面向かって中央に位置する商品収容庫4bおよび右側に位置する商品収容庫4cは、冷却と加熱とを切り換え可能であり、加熱ヒータ59を配置してある。なお、所定の商品収容庫4aには、エジェクタ53および気液分離器54のうちの気液分離器54のみが配置してあってもよい。
また、正面向かって中央に位置する商品収容庫4bは、上述したようにラック6bが1列配設してあり、ラック6aが2列配設してある他の商品収容庫4a,4cと比較して容積が小さい。このため、中央の商品収容庫を冷却するとき、他側の商品収容庫を冷却している場合と加熱している場合とでは、侵入熱の影響を受けて中央の商品収容庫に配置した蒸発器の負荷変動の幅が大きくなる。そこで、中央の商品収容庫における蒸発器の大きい負荷(他側の商品収容庫を加熱している場合)に冷媒循環量を対応させている。さらに、本実施の形態では、図3に示すように商品収容庫4bに配置した蒸発器55bの出口側と、冷却専用である商品収容庫4aに配置した蒸発器55aの入口側との間を、開閉弁としての電磁弁61を介在したバイパス路60で直列に接続してある。また、蒸発器55bの出口側であって、他の蒸発器55a,55cと集合する部位と、バイパス路60との間の経路には、開閉弁としての電磁弁62が設けてある。すなわち、全ての商品収容庫4a,4b,4cを冷却する場合や、左側および中央の商品収容庫4a,4bを冷却する場合において、中央以外の商品収容庫4a,4cが適温となって蒸発器55a,55cの動作を止め、容積が小さい中央の商品収容庫4bの蒸発器55bのみを動作する状態がある。このような状態であっても、蒸発器55bの出口側と蒸発器55aの入口側との間を直列に接続してあるため、蒸発器55bでの余剰の冷媒を蒸発器55aで蒸発させるので蒸発器55bの単独運転がなくなることになる。また、内部熱交換器56以前の冷媒密度を低下させることになる。この結果、エジェクタ53の吸い込み冷媒密度を一定にしてサイクル状態を最適化させることができる。
次に、上述した冷媒回路の制御系について説明する。図16は冷媒回路の制御系を示すブロック図である。冷媒回路は、図16に示すように冷媒回路制御部100を有している。冷媒回路制御部100は、冷媒回路の動作において、予めメモリ101に格納したプログラムやデータに従って、冷媒回路の冷却能力を常に適した状態に維持するために、圧縮機51、電子膨張弁57、電磁弁551a,551b,551c,61,62、エジェクタ53のノズル弁531a、各蒸発器55a,55b,55cに設けた蒸発器ファン63a,63b,63cおよびガスクーラ52に設けたガスクーラファン64の制御を行う。この冷媒回路制御部100には、冷媒回路の冷却能力を常に適した状態に維持する制御を行うために、高圧圧力センサ71、中圧圧力センサ72、低圧圧力センサ73、ガスクーラ出口温度センサ74、外気温度センサ75、第1蒸発器入口温度センサ76a、第2蒸発器入口温度センサ76b、第3蒸発器入口温度センサ76c、第1蒸発器出口温度センサ77a、第2蒸発器出口温度センサ77b、第3蒸発器出口温度センサ77c、第1庫内温度センサ78a、第2庫内温度センサ78b、第3庫内温度センサ78cおよび内部熱交換器出口温度センサ79が接続してある。
図3に示すように、高圧圧力センサ71は、圧縮機51とガスクーラ52との間に設けてあり圧縮機51で圧縮された冷媒の圧力を検出する。中圧圧力センサ72は、エジェクタ53と気液分離器54との間に設けてありエジェクタ53で昇圧された冷媒の圧力を検出する。低圧圧力センサ73は、電子膨張弁57と蒸発器55との間に設けてあり電子膨張弁57で減圧した冷媒の圧力を検出する。ガスクーラ出口温度センサ74は、ガスクーラ52の出口に設けてありガスクーラ52の出口温度を検出する。外気温度センサ75は、例えば自動販売機の外部などに設けてあり自動販売機の外気温度を検出する。第1蒸発器入口温度センサ76aは、蒸発器55aの入口に設けてあり蒸発器55aの入口温度を検出する。第2蒸発器入口温度センサ76bは、蒸発器55bの入口に設けてあり蒸発器55bの入口温度を検出する。第3蒸発器入口温度センサ76cは、蒸発器55cの入口に設けてあり蒸発器55cの入口温度を検出する。第1蒸発器出口温度センサ77aは、蒸発器55aの出口に設けてあり蒸発器55aの出口温度を検出する。第2蒸発器出口温度センサ77bは、蒸発器55bの出口に設けてあり蒸発器55aの出口温度を検出する。第3蒸発器出口温度センサ77cは、蒸発器55cの出口に設けてあり蒸発器55cの出口温度を検出する。第1庫内温度センサ78aは、断熱雰囲気をなす商品収容庫4a内に設けてあり商品収容庫4aの庫内温度を検出する。第2庫内温度センサ78bは、断熱雰囲気をなす商品収容庫4b内に設けてあり商品収容庫4bの庫内温度を検出する。第3庫内温度センサ78cは、断熱雰囲気をなす商品収容庫4c内に設けてあり商品収容庫4cの庫内温度を検出する。内部熱交換器出口温度センサ79は、内部熱交換器56における低圧冷媒の出口に設けてあり当該低圧冷媒の温度を検出する。
図17は冷媒回路制御部の制御動作を示すフローチャートである。図17に示すように冷媒回路を動作させる場合、圧縮機51を始動する(ステップS1)。すなわち、冷媒回路では、圧縮機51で高温高圧に圧縮された冷媒をガスクーラ52で放熱して高圧冷媒とする。そして、高圧冷媒と、蒸発器55(55a,55b,55c)から吐出された低圧冷媒とを内部熱交換器56で熱交換して、余剰する低圧冷媒の潜熱で高圧冷媒を冷却する。そして、エジェクタ53でガスクーラ52からの高圧冷媒を減圧することで蒸発器55(55a,55b,55c)からの低圧冷媒を吸引して混合しつつ昇圧する。そして、気液分離器54で、気相冷媒と液相冷媒と冷凍機油とに分離して、液相冷媒を蒸発器55(55a,55b,55c)に供給し、気相冷媒および冷凍機油を圧縮機51に帰還させる。このため、蒸発器55(55a,55b,55c)では、液相冷媒を蒸発させることで吸熱して商品収容庫4a,4b,4cの庫内を冷却することになる。
このように圧縮機51を始動して冷媒回路を動作させているとき、冷媒回路制御部100は、各圧力センサ71,72,73で検出した圧力データと、各温度センサ74,75,76a,76b,76c,77a,77b,77c,78a,78b,78c、79で検出した温度データと、各電磁弁551a,551b,551c,61,62およびノズル弁531aの動作状況とを取得する(ステップS2)。
冷媒回路制御部100は、商品収容庫4a,4b,4cの庫内温度を取得して当該庫内温度が所定温度を下回った場合に、電磁弁551a,551b,551cを閉じて蒸発器55a,55b,55cの動作を停止させる。このため、1つの蒸発器55を動作させる場合や、2つや全部の蒸発器55を動作させる場合がある。このように、蒸発器55の動作状態が変化すると蒸発温度および高圧圧力は大きく変化する。蒸発温度が高くなると、商品収容庫4a,4b,4cの庫内雰囲気との温度差が小さくなり、蒸発器55での交換熱量が小さくなる。逆に、蒸発温度が低くすぎると、圧縮機51の運転効率が低下するため、消費電力が増し、冷媒循環量が減って冷却能力が減少することになる。そこで、冷媒回路制御部100では、取得した各圧力状態や各温度状態から電子膨張弁57およびノズル弁531aの開度を調節する。
そして、冷媒回路制御部100は、電子膨張弁57およびノズル弁531aの開度の変更の有無を判定して変更ありの場合に(ステップS3:変更あり)、電子膨張弁57およびノズル弁531aの開度変更量を取得して(ステップS4)、当該開度を変更する(ステップS5)。
上記判定と開度変更量を図18および図19に例示する。図18は、蒸発器55の入口温度によって電子膨張弁57およびノズル弁531aの開度を調節する蒸発温度一定制御の図表を示す。図18に示すように蒸発器55の入口温度が所定の範囲(例えば−9℃〜−12℃)のときを最適とし、このときには電子膨張弁57の開度を「現状維持(変更なし)」と判定して予め設定されたデータに従って開度を維持する。また、蒸発器55の入口温度が所定の範囲以上(例えば−8℃以上)である場合には、電子膨張弁57の開度を「絞る」と判定して開度変更量「−P(plus)」を取得する。そして、蒸発器55の入口温度が所定の範囲以下(例えば−13℃以上)である場合には、電子膨張弁57の開度を「開放」と判定して開度変更量「+P(plus)」を取得する。一方、図18に示すように蒸発器55の入口温度が所定の範囲(例えば−9℃〜−12℃)のときを最適とし、このときにはノズル弁531aの開度を「現状維持(変更なし)」と判定して予め設定されたデータに従って開度を維持する。また、蒸発器55の入口温度が所定の範囲以上(例えば−8℃以上)である場合には、ノズル弁531aの開度を「絞る」と判定して開度変更量「−P(plus)」を取得する。そして、蒸発器55の入口温度が所定の範囲以下(例えば−13℃以上)である場合には、ノズル弁531aの開度を「開放」と判定して開度変更量「+P(plus)」を取得する。
図19は、蒸発器55の入口温度と出口温度との差によって電子膨張弁57の開度を調節する過熱度一定制御の図表を示す。図19に示すように蒸発器55の入口温度−出口温度の温度差が所定の範囲(例えば5℃〜10℃)を最適とし、このときには電子膨張弁57の開度を「現状維持(変更なし)」と判定して開度量「0」を取得する。また、蒸発器55の入口温度−出口温度の温度差が上記所定の範囲以上(例えば15℃)である場合には、電子膨張弁57の開度を「開放」と判定して開度量「+10(plus)」を取得する。そして、蒸発器55の入口温度−出口温度の温度差が上記所定の範囲以下(例えば2℃)である場合には、電子膨張弁57の開度を「絞る」と判定して開度量「−10(plus)」を取得する。一方、図19に示すように蒸発器55の入口温度−出口温度の温度差が所定の範囲(例えば5℃〜10℃)を最適とし、このときにはノズル弁531aの開度を「現状維持(変更なし)」と判定して開度量「0」を取得する。また、蒸発器55の入口温度−出口温度の温度差が上記所定の範囲以上(例えば15℃)である場合には、ノズル弁531aの開度を「開放」と判定して開度量「+5(plus)」を取得する。そして、蒸発器55の入口温度−出口温度の温度差が上記所定の範囲以下(例えば3℃)である場合には、ノズル弁531aの開度を「絞る」と判定して開度量「−5(plus)」を取得する。
図20は冷媒回路制御部の他の制御動作を示すフローチャートである。図20に示すように冷媒回路を動作させる場合、圧縮機51を始動する(ステップS21)。すなわち、冷媒回路では、圧縮機51で高温高圧に圧縮された冷媒をガスクーラ52で放熱して高圧冷媒とする。そして、高圧冷媒と、蒸発器55(55a,55b,55c)から吐出された低圧冷媒とを内部熱交換器56で熱交換して、余剰する低圧冷媒の潜熱で高圧冷媒を冷却する。そして、エジェクタ53でガスクーラ52からの高圧冷媒を減圧することで蒸発器55(55a,55b,55c)からの低圧冷媒を吸引して混合しつつ昇圧する。そして、気液分離器54で、気相冷媒と液相冷媒と冷凍機油とに分離して、液相冷媒を蒸発器55(55a,55b,55c)に供給し、気相冷媒および冷凍機油を圧縮機51に帰還させる。このため、蒸発器55(55a,55b,55c)では、液相冷媒を蒸発させることで吸熱して商品収容庫4a,4b,4cの庫内を冷却することになる。
このように圧縮機51を始動して冷媒回路を動作させているとき、冷媒回路制御部100は、各圧力センサ71,72,73で検出した圧力データと、各温度センサ74,75,76a,76b,76c,77a,77b,77c,78a,78b,78c、79で検出した温度データとを取得する(ステップS22)。
冷媒回路制御部100では、エジェクタ53に流入する冷媒密度を、高圧圧力、低圧圧力、蒸発器出口温度、庫内温度から推定する(ステップS23)。このとき、冷媒が臨界状態の場合は、圧力および温度から冷媒密度を推定する。一方、冷媒が亜臨界状態の場合では、高圧圧力および定圧圧力から冷媒循環量を推定し、庫内温度から蒸発器55の交換熱量を算出して冷媒の乾き度を推定する。そして、冷媒循環量と冷媒乾き度とから冷媒密度を算出する。
そして、冷媒回路制御部100は、推定冷媒密度と、予め設定した冷媒密度設定値とを比較して、電子膨張弁57の開度変更や蒸発器ファン63a,63b,63cの風量変更の有無を判定して変更ありの場合に(ステップS24:変更あり)、電子膨張弁57の開度変更量や蒸発器ファン63a,63b,63cの風量変更量を取得して(ステップS25)、当該開度や風量を変更する(ステップS26)。
ステップS24において、冷媒密度設定値は、高圧圧力または低圧圧力の値によって変動する。すなわち、図21−1に示すように高圧圧力の範囲(P<Pl1,Pl1≦P<Pl2,Pl3≦P<Pl4,Pl4≦P<Pl5,P≧Pl5)に応じて冷媒密度設定値の上限(ρ1,ρ3,ρ5,ρ7,ρ9)および下限(ρ2,ρ4,ρ6,ρ8,ρ10)を予め設定してある。また、図21−2に示すように低圧圧力の範囲(P<Pl1,Pl1≦P<Pl2,Pl3≦P<Pl4,Pl4≦P<Pl5,P≧Pl5)に応じて冷媒密度設定値の上限(ρ11,ρ13,ρ15,ρ17,ρ19)および下限(ρ12,ρ14,ρ16,ρ18,ρ20)を予め設定してある。
そして、ステップS24では、図22に示すように冷媒密度設定値下限ρloおよび冷媒密度設定値上限ρhiに対する推定冷媒密度ρが、冷媒密度設定値下限ρloと冷媒密度設定値上限ρhiとの間の所定の範囲(ρlo≦ρ≦ρhi)のときを最適とし、このときには電子膨張弁57の開度を「現状維持(変更なし)」と判定して開度を維持する。また、推定冷媒密度ρが冷媒密度設定値下限ρlo以下(ρ<ρlo)である場合には、電子膨張弁57の開度を「開放」と判定して開度量「+P(plus)」を取得する。そして、推定冷媒密度ρが冷媒密度設定値上限ρhi以上(ρhi<ρ)である場合には、電子膨張弁57の開度を「絞る」と判定して開度量「−P(plus)」を取得する。
また、ステップS24では、図23に示すように冷媒密度設定値下限ρloおよび冷媒密度設定値上限ρhiに対する推定冷媒密度ρが、冷媒密度設定値下限ρloと冷媒密度設定値上限ρhiとの間の所定の範囲(ρlo≦ρ≦ρhi)のときを最適とし、このときには蒸発器ファン63a,63b,63cの風量を「現状維持(変更なし)」と判定して風量を維持する。また、推定冷媒密度ρが冷媒密度設定値下限ρlo以下(ρ<ρlo)である場合には、蒸発器ファン63a,63b,63cの風量を「低減」と判定して風量「−Q」を取得する。そして、推定冷媒密度ρが冷媒密度設定値上限ρhi以上(ρhi<ρ)である場合には、蒸発器ファン63a,63b,63cの風量を「増加」と判定して風量「+Q」を取得する。ここで、蒸発器ファン63a,63b,63cの風量変更には、印加電圧の変更と、デューティ比(以下Duty比という)の変更とがある。印加電圧の変更の場合は、低電圧「−Q」、あるいは高電圧「+Q」とする。Duty比の変更の場合は、Duty比を低くする「−Q」、あるいはDuty比を高くする「+Q」とする。Duty比は、図24に示すように蒸発器ファンのON指令時に印加電圧を一定の周期でON/OFFさせたときの比率(Duty比=ON時間/(ON+OFF時間))である。
以上のように、上述した冷媒回路では、エジェクタ53に供給される高圧冷媒と低圧冷媒との相互の熱交換を行う内部熱交換器56を備えた。すなわち、蒸発器55に負荷変動が生じて吸い込み側の低圧冷媒量が変化した場合でも、内部熱交換器56によって余剰する低圧冷媒の潜熱をガスクーラ52から吐出された高圧冷媒の冷却に利用してすることで、高圧側の圧力上昇を防止する。この結果、低圧冷媒に過熱度をつけて蒸発させることでエジェクタ53での吸い込み冷媒密度が一定になるので、サイクル状態を最適化させることが可能になる。
特に、自動販売機などのように複数の商品収容庫4a,4b,4cにそれぞれ蒸発器55(55a,55b,55c)を配置している場合では、動作する蒸発器55の数が減ることによって動作している蒸発器55に大幅な負荷変動が生じるが、内部熱交換器56によって高圧冷媒と低圧冷媒との熱交換を行うことで、エジェクタ53での吸い込み冷媒密度を一定にしてサイクル状態を最適化させることが可能になる。
上述した冷媒回路では、容積の小さい中央の商品収容庫4bに配置した蒸発器55bを、冷却専用である左側の商品収容庫4aに配置した蒸発器55aに対して電磁弁61を介して直列に接続した。すなわち、蒸発器55bでの余剰の冷媒を蒸発器55aで蒸発させるので蒸発器55bの単独運転がなくなることになる。また、内部熱交換器56以前の冷媒密度を低下させることになる。この結果、蒸発器55bの冷媒循環量が減るので、蒸発温度が低下して運転効率を改善することが可能になる。
上述した冷媒回路では、気液分離器54において、エジェクタ53と圧縮機51との間に接続されて螺旋に形成された径外部位に貫通孔541Acを設けた内管541Aと、内管541Aの貫通孔541Acを設けた部位を被覆して内管541Aとともに螺旋状に形成して内管541Aから分岐した終端側541Bbを蒸発器55に接続した外管541Bとで構成した。すなわち、エジェクタ53から供給された混合冷媒を内管541Aに通し、螺旋状の部位に通過する混合冷媒の液相冷媒を遠心力によって径外側に偏らせて貫通孔541Acを介して外管541Bに液相冷媒を移送することで気相冷媒と液相冷媒とを分離して圧縮機51に気相冷媒を送り、蒸発器55に液相冷媒を送る。この結果、螺旋状にした2重管構造としたことにより、混合冷媒を貯留させて液相冷媒と気相冷媒とに分離するタンクを有する従前の気液分離器に比較して小型化を図ることが可能になる。特に、上述したように気液分離器54を自動販売機の商品収容庫4aの内部に配置する場合に、気液分離器54の小型化を図ることによってスペース効率を向上できる。
また、気液分離器54において、外管541Bの終端側にトラップ部541Bcを設け、このトラップ部541Bcと、トラップ部541Bcの下方にある内管541Aの終端側541Abとを接続管542Aを介して接続した。すなわち、トラップ部541Bcにて、液相冷媒に含まれる冷凍機油を自身の比重によって下部に沈下させ接続管542Aを介して内管541Aの終端側541Abに移送することで、液相冷媒と冷凍機油とを分離して、蒸発器55に液相冷媒を送り、圧縮機51に気相冷媒とともに冷凍機油を送る。この結果、トラップ部541Bcを設けた構成により、冷媒を貯留させて冷媒と冷凍機油とに分離するタンクを有する従前のオイルセパレータに比較して小型化を図ることが可能になる。特に、気液分離器54の内管541Aおよび外管541Bに冷凍機油を分離する構成を一体化しているので、気・液・油の分離を効率良く行うことが可能になる。さらに、上述したように気液分離器54を自動販売機の商品収容庫4aの内部に配置する場合に、気液分離器54の小型化を図ることによってスペース効率を向上できる。
上述した冷媒回路では、冷媒回路制御部100において、蒸発器入口温度センサ76a,76b,76cで検出した冷媒の温度が所定の範囲内になる態様でエジェクタ53のノズル弁531aおよび電子膨張弁57の開度を調整する。あるいは、冷媒回路制御部100において、蒸発器入口温度センサ76a,76b,76cで検出した冷媒の温度と、蒸発器出口温度センサ77a,77b,77cで検出した冷媒の温度との差が所定の範囲内になる態様でノズル弁531aおよび電子膨張弁57の開度を調整する。すなわち、自動販売機などのように複数の商品収容庫4a,4b,4cにそれぞれ蒸発器55(55a,55b,55c)を配置している場合では、商品収容庫4a,4b,4cの庫内温度を取得して当該庫内温度が所定温度を下回った場合に、該当する蒸発器55a,55b,55cに係る電磁弁551a,551b,551cを閉じて蒸発器55a,55b,55cの動作を停止させる。このため、1つの蒸発器55を動作させる場合や、2つや全部の蒸発器55を動作させる場合がある。このように、蒸発器55の動作状態が変化すると蒸発温度および高圧圧力は大きく変化する。上記冷媒回路制御部100では、取得した各圧力状態や各温度状態から電子膨張弁57およびノズル弁531aの開度を調整するため、蒸発器55の動作状態の変化による蒸発温度および高圧圧力の変化を抑えるので、蒸発器55での交換熱量や、圧縮機51の運転効率を最適化させることが可能になる。
上述した冷媒回路では、高圧圧力センサ71および低圧圧力センサ73で検出した冷媒の圧力、前記蒸発器入口温度センサ76a,76b,76cで検出した冷媒の温度、および庫内温度センサ78a,78b,78cで検出した温度から推定した冷媒密度ρと、高圧圧力センサ71および低圧圧力センサ73で検出した冷媒の圧力に応じて予め設定した冷媒密度設定値ρlo,ρhiとを比較して、推定冷媒密度ρが所定の範囲内になる態様で電子膨張弁57の開度および蒸発器ファン63a,63b,63cの風量を調整する。すなわち、すなわち、自動販売機などのように複数の商品収容庫4a,4b,4cにそれぞれ蒸発器55(55a,55b,55c)を配置している場合では、商品収容庫4a,4b,4cの庫内温度を取得して当該庫内温度が所定温度を下回った場合に、該当する蒸発器55a,55b,55cに係る電磁弁551a,551b,551cを閉じて蒸発器55a,55b,55cの動作を停止させる。このため、1つの蒸発器55を動作させる場合や、2つや全部の蒸発器55を動作させる場合がある。このように、蒸発器55の動作状態が変化すると蒸発温度および高圧圧力は大きく変化する。上記冷媒回路制御部100では、推定冷媒密度ρが冷媒密度設定値下限ρlo以下の場合には、電子膨張弁57の開度を開放し、蒸発器ファン63a,63b,63cの風量を低減して、冷媒循環量を増加させて蒸発器55で冷媒を気化しにくくし冷媒密度を上げる。逆に、推定冷媒密度ρが冷媒密度設定値上限ρhi以上の場合には、電子膨張弁57の開度を絞り、蒸発器ファン63a,63b,63cの風量を増加して、蒸発器55で冷媒を気化させやすくし冷媒密度を下げる。この結果、蒸発器55の動作状態の変化による蒸発温度および高圧圧力の変化を抑えるので、蒸発器55での交換熱量や、圧縮機51の運転効率を最適化させることが可能になる。
また、上述した冷媒回路は、特に二酸化炭素を冷媒として用いたときに有効であり、二酸化炭素冷媒を用いた場合に上記効果を得ることが可能である。
なお、上述した実施の形態では、冷媒回路として自動販売機の商品収容庫4a,4b,4cを冷却する構成を説明したが、所望の商品収容庫を加熱することも可能である。図25は蒸発器を加熱手段として用いた場合の冷媒回路の概略図である。
まず、冷却系統について説明する。図25に示すように圧縮機51は、中間熱交換器511を使用して2段階の圧縮動作を実行する構成としてある。すなわち、1段階目の圧縮動作を行う第1圧縮機51aと、2段階目の圧縮動作を行う第2圧縮機51bとの間に中間熱交換器511を設けてある。この圧縮機51で圧縮された冷媒は、ガスクーラ52に供給されて放熱され、内部熱交換器56で熱交換されてエジェクタ53、気液分離器54、電子膨張弁57を経る。そして、電子膨張弁57から供給された冷媒は、各電磁弁551a,551b,551c,551dの開閉によって選択された各蒸発器55(55a,55b,55c,55d)に至り蒸発することで各商品収容庫(図25中示せず)が冷却される。蒸発器55を経た冷媒は、内部熱交換器56で熱交換されてエジェクタ53に吸引される。この構成は、上述した冷媒回路と同じである。
次に、加熱系統について説明する。ここでは、蒸発器55cを加熱手段として用いている。この場合以下のごとく接続してある。圧縮機51(51b)の吐出側と蒸発器55cの入口側との間が電磁弁80を介して接続してある。蒸発器55cの出口側とガスクーラ52の出口側との間が電磁弁81を介して接続してある。蒸発器55cの出口側とガスクーラ52の入口側との間が電磁弁82を介して接続してある。そして、圧縮機51(51b)をガスクーラ52との間に電磁弁83が設けてある。さらに、蒸発器55cの出口側であって、ガスクーラ52の出口側および入口側に至る分岐部位と、各蒸発器55の集合部位との間に電磁弁84が設けてある。また、蒸発器55cの入口側であって、圧縮機51(51b)からの合流部位と電磁弁551cとの間に、電磁弁551c側への逆流を防ぐ逆止弁91が設けてある。さらに、蒸発器55cの出口側からガスクーラ52に至る電磁弁81および電磁弁82以前の部位に蒸発器55c側への逆流を防ぐ逆止弁92が設けてある。
上記加熱系統によれば、電磁弁551c,84を閉じ、電磁弁80を開けることで、蒸発器55cが加熱手段として用いられる。このとき、電磁弁82,83を閉じて電磁弁81を開ければガスクーラ52に冷媒を経由しない冷媒回路が得られる。電磁弁83を閉じて電磁弁81,82を開ければ蒸発器55cからガスクーラ52の入口側および出口側に冷媒を経由する冷媒回路が得られる。電磁弁82を閉じて電磁弁81,83を開ければ、蒸発器55cとガスクーラ52とにそれぞれ冷媒を経由しつつ蒸発器55cからガスクーラ52の出口側に冷媒を経由する冷媒回路が得られる。電磁弁81を閉じて電磁弁82,83を開ければ蒸発器55cとガスクーラ52とにそれぞれ冷媒を経由しつつ蒸発器55cからガスクーラ52の入口側に冷媒を経由する冷媒回路が得られる。電磁弁81,83を閉じて電磁弁82を開ければ蒸発器55cからガスクーラ52の入口側に冷媒を経由する冷媒回路が得られる。電磁弁81,82,83を開ければ蒸発器55cとガスクーラ52とにそれぞれ冷媒を経由しつつ蒸発器55cからガスクーラ52の入口側および出口側に冷媒を経由する冷媒回路が得られる。
また、別の加熱系統について説明する。ここでは、蒸発器55bを加熱手段として用いている。この場合以下のごとく接続してある。圧縮機51(51a)の吐出側と蒸発器55bの入口側との間が電磁弁85を介して接続してある。蒸発器55bの出口側と中間熱交換器511の出口側との間が電磁弁86を介して接続してある。蒸発器55cの出口側と中間熱交換器511の入口側との間が電磁弁87を介して接続してある。そして、圧縮機51(51a)を中間熱交換器511との間に電磁弁88が設けてある。さらに、蒸発器55bの出口側であって、中間熱交換器511の出口側および入口側に至る分岐部位と、各蒸発器55の集合部位との間に電磁弁89が設けてある。また、蒸発器55bの入口側であって、圧縮機51(51a)からの合流部位と電磁弁551bとの間に、電磁弁551b側への逆流を防ぐ逆止弁93が設けてある。さらに、蒸発器55bの出口側から中間熱交換器511に至る電磁弁86および電磁弁87以前の部位に蒸発器55b側への逆流を防ぐ逆止弁94が設けてある。
上記別の加熱系統によれば、電磁弁551b,89を閉じ、電磁弁85を開けることで、蒸発器55bが加熱手段として用いられる。このとき、電磁弁87,88を閉じて電磁弁86を開ければ中間熱交換器511に冷媒を経由しない冷媒回路が得られる。電磁弁88を閉じて電磁弁86,87を開ければ蒸発器55bから中間熱交換器511の入口側および出口側に冷媒を経由する冷媒回路が得られる。電磁弁87を閉じて電磁弁86,88を開ければ、蒸発器55bと中間熱交換器511とにそれぞれ冷媒を経由しつつ蒸発器55bから中間熱交換器511の出口側に冷媒を経由する冷媒回路が得られる。電磁弁86を閉じて電磁弁87,88を開ければ蒸発器55bと中間熱交換器511とにそれぞれ冷媒を経由しつつ蒸発器55bから中間熱交換器511の入口側に冷媒を経由する冷媒回路が得られる。電磁弁86,88を閉じて電磁弁87を開ければ蒸発器55bから中間熱交換器511の入口側に冷媒を経由する冷媒回路が得られる。電磁弁86,87,88を開ければ蒸発器55bと中間熱交換器511とにそれぞれ冷媒を経由しつつ蒸発器55bから中間熱交換器511の入口側および出口側に冷媒を経由する冷媒回路が得られる。
このように、蒸発器55を加熱手段として用いた場合でも、内部熱交換器56および気液分離器54による効果を得ることが可能である。
ところで、図26は本発明に係る冷媒回路の他の実施の形態を示す概略図である。図26では、上述したエジェクタ53と気液分離器54との間に他のエジェクタ53′を設けてある。他のエジェクタ53′は、放熱器としてのガスクーラ52から供給される高圧冷媒を減圧することによってエジェクタ53から吐出された混合冷媒を吸引してガスクーラ52から供給した高圧冷媒とさらに混合するとともに混合した冷媒を昇圧して吐出して気液分離器54に供給するものである。
他のエジェクタ53′を設けていない場合、例えば内部熱交換器56によってエジェクタ53の高効率化を図っても昇圧作用による冷媒圧力に限界が生じることがある。一方、他のエジェクタ53′を設けた場合では、多段化されたエジェクタ53,53′によって冷媒圧力が増加するので圧縮機51の負担が軽減してサイクルをさらに高効率化することが可能になる。