JP4984141B2 - 水路内簡易設置型ろ過装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水路中に簡単に設置でき、それにより流体中の異物を分離除去することができるろ過装置およびそれに有利に用いられる固定ハネ付き水路内固定板に関する。
従来、厨房や工場等において、床に落ちた塵芥は、掃き集められて処理される場合と、床の水洗浄時に側溝へ水とともに流すことにより除去される場合に大別される。特に、塵芥が側溝へ流された場合における塵芥処理は、排水桝中にカゴを沈めた構造のトラップ桝を設けて、排水中の塵芥を該桝中に沈降・堆積させて回収処理するものであり、衛生上および廃水処理の次工程である浄化槽の耐用上、さらには塵埃の堆積による排水流量低下を来たさないように、こまめな清掃、すなわち桝を取り外して堆積している塵埃を除去することが必要である。
しかしながら、一般的にトラップ桝は排水路のターミナルとして集約した状態で屋外設置されるものであり、衛生管理の意識差によって、更には天候などさまざまな理由から、なおざりになりがちな部分であった。また、清掃にあっては、塵芥をカゴごと取り出しかご内を清掃する構造であるが、一箇所集中であるが故に大型であり、重量および落下の危険から一人作業は不適当であった。さらには、外観構造においても、排水桝への落下防止、雨水の流入防止、病害虫の発生防止などから桝内を覆い隠す構造であり、一見してその清掃状態を確認することができなかった。
この様な状況を、側溝中に金網メッシュを設け一次フィルタとすることで、トラップ桝内への塵芥流入を削減し、且つ、側溝内において塵芥の捕捉量が目視確認できる様にして、打開する対策を厨房において試みた。しかし、側溝中の金網はすぐに目詰まりし、放置すると側溝から排水が溢れる結果となり、金網メッシュを一次フィルタとして使用する方法は適切な方法とは言えない。
このようなことから、側溝への設置が容易で、開口面積が大きく、目詰まりし難い一次フィルタが求められていた。
一方、上記の技術分野に直接関連しないものの、透水性舗装道路に埋設する導水管として、樹脂モノフィラメントを編組するなどにより形成した網状の樹脂管を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この網状樹脂管は、砂礫等の異物の管内への侵入を防止するための選択透過性と、凹凸面への設置や曲がり配管を行うための柔軟性(可撓性)備えている点で舗装道路の導水管に適している。
特開2001−254873号公報
本発明者は、前記網状の樹脂管が、編組条件によって編み目の大小を調整することが可能であることおよび柔軟性を有していることから、フィルタ部材として使用できる可能性について検討し、さらにはフィルタの簡易な一体化構造および側溝などの水路における簡便な固定構造を検討した結果、本発明に到達した。
以上のことから、本発明は、フレキシブルな樹脂編組管の一端を封止して、筒状フィルタ(ろ過膜)として固定部材に一体化させ、側溝などの水路において任意の位置に設置固定することで、目詰まりを起こしにくい、メンテナンスの容易な流体ろ過用の装置を提供すること、さらに、このようなろ過装置に好適に使用することが出来る、側溝などの水路に簡便に固定できる構造体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、開けられた穴にフィルタが挿入固定されている板状の本体と、その外周に該本体と一体化されたゴム状弾性体によって形成されたハネ部からなり、該ハネ部を川下に向けて屈曲させながら水路に差し込むことで水路内に設置固定できるようにした固定ハネ付き水路内固定板である。
また、本発明は、開けられた穴にフィルタが挿入固定されている板状の本体と、その外周に該本体と一体化されたゴム状弾性体によって形成されたハネ部と、水路とからなり、該ハネ部を川下に向けて屈曲させながら水路に差し込むことで水路内に設置固定できるようにした水路内固定ろ過装置である。
そして、このようなろ過装置において、本体に、筒状フィルタを挿入するために該本体に開けられた穴および該穴内の周上にゴム状弾性体からなる膜が一体化された固定穴を有している水路内固定ろ過装置である。

さらに、好ましくは、編み目状の隙間により形成された筒状フィルタが穴に挿入固定されており、固定されている側とは反対側の端部が封止されている上記のろ過装置である。
さらに、より好ましくは、筒状フィルタが素線を編組して形成されたものであり、素線間に接合(接着、融着など一体化)部を有さない構造であり、素線が主に樹脂モノフィラメントである上記のろ過装置であり、また筒状フィルタが複数本束ねられ、固定されている端部とは反対側の端部で結束封止されている上記ろ過装置である。
このように、本発明に係るろ過装置は、側溝などの水路の任意の場所に容易に設置固定、さらに容易に取り外し可能なものであり、板状体の本体と、本体の外周に該本体と一体化された、ゴム状弾性体によって形成されたハネ部、さらにはフィルタ部からなり、好適には該板状体の本体は長方体の形状を有しており、そして、その外周に一体化されたハネ部としては長方体の少なくとも向かい合う2辺(すなわち側溝に設置した場合に両サイド)に設置されている。そして、本体とハネ部との境には溝が形成されているのが好ましい。溝は、側溝などの水路中に設置固定する際に、ハネ部が下流側に曲がりやすいように、下流側面(すなわち筒状フィルタ側とは反対側の面)に設けるのが好ましい。
この構成によれば、筒状フィルタのほぼ全体がろ過面となるので、設置スペースに対するろ過面積を大幅に増加させることができ、目詰まりが発生し難い構造となる。さらには、ハネ部の反発を利用し固定する構造であり、水路中のどこでも任意の場所にろ過装置を設置することが可能で、掃除がし易く目視確認が容易な場所への設置が容易である。したがって、一次フィルタである当該ろ過装置のメンテナンス負担が軽減されると共に、トラップ桝への塵芥流入量も減らすことができ、衛生上の維持管理が向上するものである。
本発明に係る上記ろ過装置は、筒状フィルタを、水を通さない板状本体に固定することにより、筒状フィルタ以外での排水の流動を止めてフィルタに集め、水路の任意の位置に固定できる形態とした。上記の板状本体を水路に固定するために、ハネ部を川下側に曲げることによって発生する反発力(押しつけ力)と、水路に密着したハネ部の摩擦抵抗に加え、川上側から流水圧力が加わることによって、ハネが開く方向に力が加わり固定力が一段と増す構造である。
さらに、上記のハネ付き板状本体に、筒状フィルタの固定機能を固定穴によって付加したものである。固定穴とは、筒状フィルタの外径以上の径である穴と、その周内に設けたドーナッツ状の固定膜からなるものであり、川下側から筒状フィルタを挿入するだけで、固定膜が変形し、筒状フィルタ外周にまとわりつくことで、川上側からの流水圧力に対して摩擦抵抗を発揮し固定する構造である。
しかしながら、本発明の様な構造体においては、一般的に川上側に向けて突きだす様に設けたニップルに、筒状フィルタを被せて固定する方法が考えられ、この方法を採用した場合においても充分に使用可能であるが、筒状フィルタより小さなニップル内径によって流動が抵抗を受けることから、最良とは言い難い。
前記筒状フィルタとは、あらゆる有孔管を指すものであるが、水路における曲がり部などへの設置を考えると柔軟であり、水分による経時劣化が少ないものであることが望ましい。この様な特性をもつ筒状フィルタとして、樹脂モノフィラメントを編組し、素線間に接合を有さず形成された前記排水性舗装用導水管が、汎用的で最適な形態である。
本発明に係る筒状フィルタ、および、固定ハネ付き筒状フィルタ固定部材は、抗菌機能を有する部材を使用することで、雑菌および藻類の繁殖を防ぐことが可能である。例えば樹脂モノフィラメント編組管を筒状フィルタとする場合、その構成するモノフィラメント素線の何本かを銅線にすることで、銅イオンの効果により雑菌によるヌメリ発生を抑制できる。
以上のように、本発明に係るろ過装置によれば、筒状フィルタ(ろ過膜)を固定部材(板状本体)に一体化させ、側溝などの既設水路において任意の位置に設置固定することで、塵芥の沈降状態を確認し易い場所に、清掃が簡単な構造の流体ろ過装置を容易に設けることが可能となるものである。さらには、多数本設置した筒状フィルタによる立体的なろ過面積拡大と、水流振動による揺動性によって、目詰まりによる排水の溢れ出しを防ぐものである。また、既存の排水トラップ桝においても、流入塵芥量を大幅に削減することで、清掃などのメンテナンス負担をも低減するものである。
以下、本発明に係る実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る水路内固定ろ過装置の一実施形態を示すもので、川上側から見た斜視図であり、図2は、同様に川下側から見た斜視図である。さらに、図3は、水路に設置した場合の川下側から見た斜視図である。但し、これら図1〜図3では、筒状フィルタは記載されていない。これら図に示す穴7に筒状フィルタを挿入固定することにより本発明の水路内固定ろ過装置となる。これら図に示されるように、本発明の固定ハネ付水路内固定板1およびそれを用いたろ過装置は、本体2とハネ部3に大別され、本体は、設置される水路の断面形態に類似した寸法形態であり、ヒンジ(溝)4によってハネ部が可動状態で接続一体化された形態のものであり、図3では、ハネ部を川下側に曲げることによって発生する反発力(押しつけ力)と、水路5に密着したハネ部の摩擦抵抗に加え、川上側から流水圧力が加わることによって、ハネが開く方向に力が加わり、固定力が一段と増す構造であることを示している。
板状本体1の大きさとしては、設置する水路の大きさにより決定されるが、使用し易い大きさとしては幅方向(横方向)に10〜50cm、深さ方向(縦方向)に10〜50cmである。そして、水路の断面形状に合致するような形状および大きさを有していることが塵埃を確実に捕集できることから好ましい。また、板状本体1の厚さとしては10〜40mmが好ましい。
素材としては、あらゆる硬質材および半硬質材が考えられるが、本発明の構造的な特徴が、ハネ部を有しその反発で密着固定することであり、さらには、全体として密着固定力を高める為に、板状本体においても上流側が凸面になるような弓反りになるような材質が好ましく、デュロメータA硬度70度〜90度程度のゴムやエラストマー樹脂が最適である。もちろん、水路の設置した場合に、水圧により板状本体が大きく曲げられ、水路遮蔽能を喪失するような素材、厚さ及び構造は好ましくない。
この板状本体に設けるハネ部としては、板状本体から1〜10cm突出しており、かつ水路に設置した場合に下流側に45〜90度程度曲がることが好ましい。
好ましい素材としては弾性体が挙げられ、ゴムやエラストマー樹脂が好適例として挙げられる。ヒンジ(溝)の幅としては、1〜10mmが好ましく、また深さとしては1〜5mmが好ましい。そしてヒンジ部最深部における弾性体の厚さとしては1〜5mmが固定能の点で好ましい。ハネ部は、通常、水路の両側面に相当する場所に設けられる。また、水路の底部と板状本体の隙間から排水が漏れることを防止するために、板状本体の下部(水路底面側)に弾性体の遮蔽帯を設けるのも好ましい。ヒンジ部は水路側壁に平行となるように設けるのが好ましい。もちろんヒンジ部は1本である必要はなく、複数本のヒンジ部が共同して下流側に曲げられているような構造であっても良い。
本体2は、その内部に穴6を設け、筒状フィルタの固定機能を付加する。穴とは、挿入する筒状フィルタの外径以上の径である導入穴7と、その周内に筒状フィルタ外径以下のドーナッツ内径の固定膜8が一体化された穴であり、筒状フィルタを挿入することで、その外周に固定膜がまとわりつき固定するものであるのが好ましい。
固定板に設ける穴の直径としては、筒状フィルタの外径が収縮可能な場合は筒状フィルタの外径と比べて−0.5〜0mm程度が好ましく、筒状フィルタの外径が収縮できない場合は外径より0〜2.0mm大きい程度が好ましい。それらの穴の周りに設ける固定膜は、筒状フィルタの収縮可否にかかわらず、該固定膜の存在により穴の直径が筒状フィルタの外径よりも1.0〜0.5mm小さくなる程度のものが好ましく、該固定膜自体の厚さとして0.1〜2.0mmであることが好ましい。そして、固定膜を構成する素材としては、ゴムまたはエラストマー樹脂が、筒状フィルタへの柔軟な追随性の点で好ましい。
固定ハネ付き水路内固定板は、特に限定されるものではないが、その全体がデュロメータA硬度70度〜90度程度のゴムに代表される半硬質的な柔軟材料で一体形成され、ヒンジおよび固定膜を薄くすることで、部分的に、特に柔らかく仕上げた形態であることが成型上簡便であり望ましい。
図4は、穴への筒状フィルタ9の固定状況を模式的に示す断面図である。矢印Aは川下側から筒状フィルタを挿入することを示し、曲がり矢印Bは、固定膜が変形し、筒状フィルタの外周にまとわりつくことで、川上側からの流水圧力に対して摩擦抵抗を発揮し固定する構造であることを示している。
図5は、本発明のろ過装置を示す一部断面を含む上面図である。ろ過装置10は、大別して、筒状フィルタと、ハネ付き筒状フィルタ固定板と、水路から構成されるものであり、塵芥11を含む矢印Cに示される水路内の排水流動が、矢印Dの様に筒状フィルタの選択透過によって塵芥が取り除かれて浸透し、浄化排水として矢印Eの方向に排水されることを示す。
前記筒状フィルタとは、あらゆる有孔管を指すものであるが、水路における曲がり部などへの設置を考えると柔軟であり、水分による経時劣化が少ないものであることが望ましい。この様な特性をもつ筒状フィルタとして、樹脂モノフィラメントを編組し、素線間に接合を有さず形成された前記排水性舗装用導水管が、汎用的で最適な形態である。
本発明を構成する筒状フィルタは、樹脂モノフィラメントから構成されているのが好ましく、そして樹脂モノフィラメントを構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ナイロン6で代表されるナイロン類、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等で代表されるポリエステル類などが揚げられる。なかでもポリプロピレンがもっとも好ましい。
モノフィラメントの太さとしては直径0.5〜2.0mmが好ましい。筒状フィルタの直径としては10〜30cmが好ましく、そして、この筒状フィルタは12〜48本の樹脂モノフィラメントから構成されており、該モノフィラメントは筒状フィルタの長さ方向に対して角度45°〜65°傾いて螺旋状に管を形成しているのが好ましい。そして、筒状フィルタにおいて、隣り合う樹脂モノフィラメントにより形成される目の大きさとしては、目的とする捕捉する塵埃の大きさにもより一概には言えないが、通常は3〜15mmの範囲が好ましい。
本発明に用いられる筒状フィルタとしては、素線間(樹脂モノフィラメント間)が接着または溶融により固定されていないのが好適な形状に変形できることから好ましく、また、筒状フィルタには、筒状フィルタの長さ方向に平行に存在する樹脂モノフィラメントが存在していないのが好適な形状に変形できることから好ましい。
また、筒状フィルタの長さおよび本数は、特に限定されるものではないが、構造的に長く、本数が多いほど空隙面積が大きくなり、目詰まりし難いものであり、設置場所のスペースが許す範囲で、より長く、より多い使用数本で設計することが好ましい。しかしながら、あまりに長すぎると取り扱いが厄介となり、さらに、流れの上流方向に向けて折れ曲がらずに存在させることが難しくなることから、5〜50cmが好ましい。ただ、前記したように複数の筒状フィルタの先端部分を集束させることにより筒状フィルタが途中で折れ曲がることを防ぐことができ、このような場合には個々の筒状フィルタの長さとしては15〜100cmが好適である。
すなわち、本発明に係るろ過装置によれば、筒状フィルタ(ろ過膜)を固定板に一体化させ、側溝などの既設水路において任意の位置に設置固定することで、塵芥の沈降状態を確認し易い場所に、清掃が簡単な構造の流体ろ過装置を容易に設けることが可能となるものである。さらには、多数本設置した筒状フィルタによる立体的なろ過面積拡大と、水流振動による揺動性によって、目詰まりによる排水の溢れ出しを防ぐものである。また、既存の排水トラップ桝においても、流入塵芥量を大幅に削減することで、清掃などのメンテナンス負担をも低減するものである。
具体的な利用分野としては、各種の排水関連が挙げられるが、特には、レストランなどの厨房における衛生上効果が著しい。厨房では、床にこぼれた食品屑などが床の洗浄時の水流で、側溝に押し流され、トラップ桝にて回収される排水構造であるが、トラップ桝は一般に屋外設置されており、荒天時の清掃が問題であった。また、トラップ桝は内部の沈降具合が外観からは目立たない構造であり、管理状況によっては腐敗臭やネズミを発生させ、側溝を通じて厨房の衛生を脅かす要因になっていた。本実施形態に係るろ過装置は、厨房内の側溝に一次フィルタとして設置することで、食品屑の溜まり具合を確認できると共に、容易に取り外しこまめな掃除が可能となり、厨房内を衛生的に保つことができる。
次に実施例により本発明を説明するが、これら実施例により本発明は何ら制限を受けるものではない。
実施例1
φ0.8mmのPETモノフィラメントを24錘(ボビン数24ヶ)ブレーダーを用いて、外径φ20mm、長さ25mのフッ素樹脂製フレキシブルマンドレルに対して編組し、150℃×0.5hの加熱処理によって形状固定させた上でフレキシブルマンドレルを抜き取り、内径φ20mm、外径24mm、長さ25m、交合角度112°の網状樹脂管を得た。次に、網状管を長さ0.5mで8本裁断し、各々の先端を熱融着によって封止し、フレキシブルな筒状フィルタを8本得た。
固定ハネ付き筒状フィルタ固定板は、縦100mm、横130mm、厚さ15mmの板状本体に、穴として内径25mm、厚さ14.2mmの導入穴と、その先端に内径22mm、厚さ0.8mmの固定膜(素材:EPDMゴム)を設けて穴とし、本体に8箇所(4ヶを2段)設けた。ハネ部は、縦100mm、横40mm、厚さ5mmとし、厚さ2mm、幅2mm、のヒンジを介して繋がった形態とした。尚、固定ハネ付き筒状フィルタ固定部材は、デュロメータA硬度85度のEPDMゴムをプレス架橋によって一体成型した。
上記の筒状フィルタを、上記の固定ハネ付き固定部材の固定穴に根本まで挿入し、ハネ部を下流側に曲げて、開口幅150mm、底部幅130mmのU字側溝に挿入し、実施例1のろ過装置とした。
参考例1
固定ハネ付き水路遮断板として、縦100mm、横130mm、厚さ15mmの本体と、ハネ部が、縦100mm、横40mm、厚さ5mmとし、厚さ2mm、幅2mm、のヒンジを介して繋がった形態とし、本体に内径25mm穴を8箇所(4ヶを2段)設け、穴上に1mm角メッシュを貼り付けた。尚、固定ハネ付き水路遮断板は、デュロメータA硬度85度のEPDMゴムをプレス架橋によって一体成型した。
上記の穴あき固定ハネ付き水路遮断板のハネ部を下流側に曲げて、開口幅150mm、底部幅130mmのU字側溝に挿入し、参考例1のろ過装置とした。
比較例1
開口幅150mm、底部幅130mmのU字側溝に対し、水路を遮る様に1mm角メッシュを固定し、比較例2のろ過装置とした。なお、このメッシュはU字側溝の表面に溝を設ける、上記メッシュを固定した板を同溝にはめ込むことにより側溝に固定した。
上記の実施例1、参考例1、比較例1のろ過装置を、5%勾配で設置し、2mm球体を嵩体積で5リットル加え、次に止水した状態で25リットルの水を満たし、一気に止水を解除して排水時間を測定し、効果の比較をした。
Figure 0004984141
実施例1は表1の結果に示される様に、目詰まりし難い構造によって大幅に排水時間を短縮するものであり、目詰まりによる排水の溢れ出しを防ぐものである。
排水時間では比較例1は参考例1のものより優れていたが、フィルタを任意の位置に設置できないことから、設置性の点で劣るものであった。
本発明に係るろ過装置によれば、筒状フィルタ(ろ過膜)を固定板に一体化させ、側溝などの既設水路において任意の位置に設置固定することで、塵芥の沈降状態を確認し易い場所に、清掃が簡単な構造の流体ろ過装置を容易に設けることが可能となるものである。さらには、多数本設置した筒状フィルタによる立体的なろ過面積拡大と、水流振動による揺動性によって、目詰まりによる排水の溢れ出しを防ぐものである。また、既存の排水トラップ桝においても、流入塵芥量を大幅に削減することで、清掃などのメンテナンス負担をも低減するものである。このように、本発明に係るろ過装置は、衛生管理において非常に有用である。
本発明の一実施形態に係るろ過装置に用いる固定板を川上側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係るろ過装置に用いる固定板を川下側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係るろ過装置に用いる固定板を側溝に設置した状態を川下側から見た斜視図である。 本発明の一実施形態に係るろ過装置に用いる、固定穴による筒状フィルタの固定状況を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るろ過装置の一部断面を含む上面図である。
符号の説明
1 固定板
2 本体
3 ハネ部
4 ヒンジ
5 水路
6 穴
7 導入穴
8 固定膜
9 筒状フィルタ
10 ろ過装置
11 塵芥
矢印A 筒状フィルタ挿入方向
矢印B 固定膜変形方向
矢印C 水路内排水流動方向
矢印D 筒状フィルタの選択透過
矢印E 浄化排水方向

Claims (6)

  1. 開けられた穴にフィルタが挿入固定されている板状の本体と、その外周に該本体と一体化されたゴム状弾性体によって形成されたハネ部からなり、該ハネ部を川下に向けて屈曲させながら水路に差し込むことで水路内に設置固定できるようにした固定ハネ付き水路内固定板。
  2. 開けられた穴にフィルタが挿入固定されている板状の本体と、その外周に該本体と一体化されたゴム状弾性体によって形成されたハネ部と、水路とからなり、該ハネ部を川下に向けて屈曲させながら水路に差し込むことで水路内に設置固定できるようにした水路内固定ろ過装置。
  3. 該本体に開けられた穴が、挿入するフィルタの外径以上の径である導入穴と該導入穴の周内に筒状フィルタ外径以下の内径である固定膜とが一体化された穴である、請求項2に記載の水路内固定ろ過装置。
  4. 編み目状の隙間により形成された筒状フィルタが、該筒状フィルタの外周に固定膜がまとわりつくことによって、穴に挿入固定されており、固定されている側とは反対側の端部が封止されている請求項3に記載のろ過装置。
  5. 筒状フィルタが素線を編組して形成されたものであり、素線間に接合(接着、融着など一体化)部を有さない構造であり、素線が樹脂モノフィラメントである請求項3又は4に記載のろ過装置。
  6. 筒状フィルタが複数本束ねられ、固定されている端部とは反対側の端部で結束封止されている請求項4または5に記載のろ過装置。
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