(実施形態1)
本発明の実施形態は、基板上の複数の画素領域としての着色領域に複数色の着色層を有するカラーフィルタの製造方法を例に説明する。着色層は画素構成要素であり、複数のノズルから複数の画素領域に向けて機能性材料としての着色層形成材料を含む液状体を液滴として吐出して形成する。上記液状体を液滴として吐出する際には、次のような液滴吐出装置を用いた。
図1は、液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、液滴吐出装置10は、ワークWを主走査方向(X軸方向)に移動させるワーク移動機構20と、ヘッドユニット9を副走査方向(Y軸方向)に移動させるヘッド移動機構30とを備えている。
ワーク移動機構20は、一対のガイドレール21と、一対のガイドレール21に沿って移動する移動台22と、移動台22上に回転機構としてのθテーブル6を介して配設されたワークWを載置するセットテーブル5とを備えている。移動台22は、ガイドレール21の内部に設けられたエアスライダとリニアモータ(図示せず)により主走査方向に移動する。セットテーブル5はワークWを吸着固定可能であると共に、θテーブル6によってワークW内の基準軸を正確に主走査方向、副走査方向に合わせることが可能となっている。
ヘッド移動機構30は、一対のガイドレール31と、一対のガイドレール31に沿って移動する2つの移動台32,33とを備えている。移動台32には、回転機構7を介して吊設されたキャリッジ8が設けられている。キャリッジ8には、複数の液滴吐出ヘッド50(図2参照)が搭載されたヘッドユニット9が取り付けられている。また、液滴吐出ヘッド50に液状体を供給するための液状体供給機構(図示せず)と、複数の液滴吐出ヘッド50の電気的な駆動制御を行うためのヘッドドライバ48(図4参照)とが設けられている。移動台32がキャリッジ8をY軸方向に移動させてヘッドユニット9をワークWに対して対向配置する。
移動台33には、カメラ15が搭載されている。カメラ15は、移動台33によってY軸方向に移動して液滴吐出ヘッド50から吐出されワークWの表面に着弾した液滴の着弾状態を観察して撮像することができる。必要により被写体を照明する照明装置を移動台33に備えてもよい。
液滴吐出装置10は、上記構成の他にも、ヘッドユニット9に搭載された複数の液滴吐出ヘッド50のノズルの目詰まりの解消、ノズル面の異物や汚れの除去などのメンテナンスを行うメンテナンス機構が、複数の液滴吐出ヘッド50を臨む位置に配設されているが図示省略した。
図2は液滴吐出ヘッドの構造を示す概略図である。同図(a)は概略分解斜視図、同図(b)はノズル部の構造を示す断面図である。図2(a)および(b)に示すように、液滴吐出ヘッド50は、液滴Dが吐出される複数のノズル52を有するノズルプレート51と、複数のノズル52がそれぞれ連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有するキャビティプレート53と、各キャビティ55に対応するエネルギー発生手段としての振動子59を有する振動板58とが、順に積層され接合された構造となっている。
キャビティプレート53は、ノズル52に連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有すると共に、このキャビティ55に液状体を充填するための流路56,57を有している。流路57は、ノズルプレート51と振動板58とによって挟まれ、出来上がった空間が、液状体が貯留されるリザーバの役目を果たす。
液状体は、液状体供給機構から配管を通じて供給され、振動板58に設けられた供給孔58aを通じてリザーバに貯留された後に、流路56を通じて各キャビティ55に充填される。
図2(b)に示すように、振動子59は、ピエゾ素子59cと、ピエゾ素子59cを挟む一対の電極59a,59bとからなる圧電素子である。外部から一対の電極59a,59bに駆動電圧パルスが印加されることにより接合された振動板58を変形させる。これにより隔壁54で仕切られたキャビティ55の体積が増加して、液状体がリザーバからキャビティ55に吸引される。そして、駆動電圧パルスの印加が終了すると、振動板58は元に戻り充填された液状体を加圧する。これにより、ノズル52から液状体を液滴Dとして吐出できる構造となっている。ピエゾ素子59cへ印加される駆動電圧パルスを制御することにより、それぞれのノズル52に対して液状体の吐出制御を行うことができる。
液滴吐出ヘッド50におけるエネルギー発生手段は、圧電素子(ピエゾ素子)に限らない。振動板58を静電吸着により変位させる電気機械変換素子や、液状体を加熱してノズル52から液滴Dとして吐出させる電気熱変換素子でもよい。
図3は、ヘッドユニットにおける液滴吐出ヘッドの配置を示す概略平面図である。詳しくは、ワークWに対向する側から見た図である。
図3に示すように、ヘッドユニット9は、複数の液滴吐出ヘッド50が配設されるヘッドプレート9aを備えている。ヘッドプレート9aには、3つの液滴吐出ヘッド50からなるヘッド群50Aと、同じく3つの液滴吐出ヘッド50からなるヘッド群50Bの合計6個の液滴吐出ヘッド50が搭載されている。この場合、ヘッド群50AのヘッドR1(液滴吐出ヘッド50)とヘッド群50BのヘッドR2(液滴吐出ヘッド50)とは同種の液状体を吐出する。他のヘッドG1とヘッドG2、ヘッドB1とヘッドB2においても同様である。すなわち、3種の異なる液状体を吐出可能な構成となっている。
各液滴吐出ヘッド50は、ほぼ等しい間隔(およそ140μmのノズルピッチ)で配設された複数(180個)のノズル52からなるノズル列52aを有している。ノズル52の径はおよそ20μmである。1つの液滴吐出ヘッド50によって描画可能な描画幅をL0とし、これをノズル列52aの有効長とする。以降、ノズル列52aとは、180個のノズル52から構成されるものを指す。
この場合、ヘッドR1とヘッドR2は、主走査方向(X軸方向)から見て隣り合うノズル列52a(ノズル列1Aとノズル列1B)が主走査方向と直交する副走査方向(Y軸方向)に1ノズルピッチを置いて連続するように主走査方向に並列して配設されている。したがって、同種の液状体を吐出するヘッドR1とヘッドR2の有効な描画幅L1は、描画幅L0の2倍となっている。ヘッドG1とヘッドG2、ヘッドB1とヘッドB2においても同様に主走査方向に並列して配置されている。
なお、液滴吐出ヘッド50に設けられるノズル列52aは、1列に限らない。例えば、複数のノズル列52aを互いにずらして配設すれば実質的なノズルピッチが狭くなり、高精細に液滴Dを吐出することが可能となる。
次に液滴吐出装置10の制御系について説明する。図4は、液滴吐出装置の制御系を示すブロック図である。液滴吐出装置10の制御系は、液滴吐出ヘッド50、ワーク移動機構20、ヘッド移動機構30等を駆動する各種ドライバを有する駆動部46と、駆動部46を含め液滴吐出装置10を制御する制御部4とを備えている。また、カメラ15が接続された画像処理部49を備えている。
駆動部46は、ワーク移動機構20およびヘッド移動機構30の各リニアモータをそれぞれ駆動制御する移動用ドライバ47と、液滴吐出ヘッド50を吐出制御するヘッドドライバ48と、メンテナンス機構の各メンテ用ユニットを駆動制御するメンテナンス用ドライバ(図示省略)とを備えている。
制御部4は、CPU41と、ROM42と、RAM43と、P−CON44とを備え、これらは互いにバス45を介して接続されている。P−CON44には、上位コンピュータ11が接続されている。ROM42は、CPU41で処理する制御プログラム等を記憶する制御プログラム領域と、描画動作や機能回復処理等を行うための制御データ等を記憶する制御データ領域とを有している。
RAM43は、ワークWに描画を行うための描画データを記憶する描画データ記憶部、ワークWおよび液滴吐出ヘッド50(実際には、ノズル列52a)の位置データを記憶する位置データ記憶部等の各種記憶部を有し、制御処理のための各種作業領域として使用される。P−CON44には、駆動部46の各種ドライバ等や画像処理部49が接続されており、CPU41の機能を補うと共に、周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が構成されて組み込まれている。このため、P−CON44は、上位コンピュータ11からの各種指令等をそのままあるいは加工してバス45に取り込むと共に、CPU41と連動して、CPU41等からバス45に出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部46に出力する。
そして、CPU41は、ROM42内の制御プログラムに従って、P−CON44を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、RAM43内の各種データ等を処理した後、P−CON44を介して駆動部46等に各種の制御信号を出力することにより、液滴吐出装置10全体を制御している。例えば、CPU41は、液滴吐出ヘッド50、ワーク移動機構20およびヘッド移動機構30を制御して、ヘッドユニット9とワークWとを対向配置させる。そして、ヘッドユニット9とワークWとの相対移動に同期して、ヘッドユニット9に搭載された各液滴吐出ヘッド50の複数のノズル52からワークWに液状体を液滴Dとして吐出して描画を行う。この場合、X軸方向へのワークWの移動に同期して液状体を吐出することを主走査と呼び、Y軸方向にヘッドユニット9を移動させることを副走査と呼ぶ。本実施形態の液滴吐出装置10は、主走査と副走査とを組み合わせて複数回繰り返すことにより液状体を吐出描画することができる。主走査は、液滴吐出ヘッド50に対して一方向へのワークWの移動に限らず、ワークWを往復させて行うこともできる。
また、CPU41は、ヘッド移動機構30を駆動して移動台33をY軸方向に移動させ、搭載されたカメラ15をワークWと対向させる。そして、ワークWの表面に着弾した液滴Dの状態を観察すると共に撮像する。ワークWに対してカメラ15を移動して観察する位置情報は、上位コンピュータ11により生成され観察座標として予めRAM43に入力されている。画像処理部49はP−CON44を介して上位コンピュータ11と接続されている。上位コンピュータ11は、カメラ15が撮像し画像処理部49によって変換された画像情報を表示部に表示することができ、オペレータは、液滴Dの着弾状態を確認することができる。
画像処理部49は、撮像された液滴Dの着弾状態をビットマップデータに変換する。CPU41は、このビットマップデータから液滴Dの着弾位置ずれ量や着弾径を演算することができる。演算結果は、RAM43に書き込まれる。またほぼ同時にノズル情報として上位コンピュータ11に送出され記憶部に格納される。ノズル52が目詰まりを起こし、液滴Dが吐出されなかった場合も同様に画像認識され、ノズル情報として記憶部に格納される。
上位コンピュータ11は、制御プログラムや制御データなどの制御情報を液滴吐出装置10に送出するだけでなく、これらの制御情報を修正することもできる。また、液状体の吐出状態を示す上記ノズル情報に基づいて、基板上の画素領域ごとに必要量の液状体を液滴Dとして配置する第1配置情報を補正した第2配置情報を生成する配置情報生成部としての機能を有している。
<ノズル検査工程>
次に、上記液滴吐出装置10を用いた本実施形態のノズル検査工程について説明する。図5(a)〜(d)はノズル検査工程を説明するための概略平面図である。本実施形態のノズル検査工程では、被吐出物として検査用の記録紙18を用いている。
図5(a)に示すように、液滴吐出装置10のセットテーブル5(図1参照)に記録紙18を載置する。各液滴吐出ヘッド50のノズル52から同種(同色)の液状体の液滴DがY軸方向において仮想の直線上に着弾するように吐出する。具体的には、制御部4がヘッドユニット9とセットテーブル5とを相対移動させ、主走査方向(X軸方向)において、各ノズル列52aの吐出タイミングを変えることにより直線上に着弾させる。そして、カメラ15を用いて記録紙18上に着弾した液滴Dの着弾状態を観察する。例えば、赤色(R)の液状体80Rを吐出するノズル列1Aとノズル列1Bとから液滴Dを吐出して吐出状態に不具合がなければ、液滴Dは直線上に着弾する。また、液滴Dの吐出量が各ノズル52においてほぼ同等ならば、着弾した各液滴Dの着弾径はほぼ同一となる。
図5(b)に示すように、例えば、ノズル列1Aのあるノズル52が目詰まりしていれば、液滴Dが吐出されない。すなわち、記録紙18上において隙間が空いて液滴Dが着弾するので、吐出抜けを検出することができる。
図5(c)および(d)に示すように、例えば、ノズル列1Aとノズル列1Bとにおいて、主走査方向に飛行曲がりが生ずるノズル52があれば、吐出された液滴Dが直線上からずれた位置に着弾する。すなわち、X軸方向およびY軸方向の着弾位置ずれを検出することができる。また、着弾状態を撮像して画像処理することにより、CPU41がずれ量ΔX1,ΔX2,ΔY1,ΔY2を演算することができる。
当然のことながら着弾位置がX軸方向(主走査方向)に限らず斜めにずれることがある。よって、ずれ量は、X軸方向のずれ量とY軸方向のずれ量とに分けて算出される。また、飛行曲がりが生ずるノズル52から吐出された液滴Dの着弾位置ずれは、液滴吐出ヘッド50(複数のノズル52)と被吐出物との相対移動の方向によってもずれ量が変化する。したがって、液滴吐出ヘッド50が搭載されたヘッドユニット9に対して記録紙18を主走査方向に往復させ、往動と復動とに分けて別の直線上に液滴Dが着弾するように吐出して着弾状態を観察する。
さらには、ノズル列1A,1Bにおいて吐出量が過多なノズル52があれば、着弾径が大きくなる。また、吐出量が過少なノズル52があれば、着弾径が小さくなる。このような着弾状態を撮像して画像処理することにより、吐出量異常を検出することもできる。なお、着弾径が極小となった場合には吐出抜けと判断する。
このようなノズル検査工程は、液滴吐出ヘッド50の機能回復を行うメンテナンス工程の後に実施する。これにより、メンテナンス後の液滴吐出ヘッド50(複数のノズル52)の吐出状態を示すノズル情報が入手され、上位コンピュータ11の記憶部に格納・蓄積される。
また、被吐出物として記録紙18を用いることにより、ガラス基板等を用いる場合に比べて、液滴Dが着弾する表面の界面張力の影響を受け難いので、比較的正確に着弾位置ずれや着弾径の情報を入手することができる。なお、被吐出物は、記録紙18に限らず、液滴Dの吐出状態を正確に把握できるように表面処理されたガラス基板やフィルムを用いてもよい。
次に、本実施形態のカラーフィルタの製造方法について説明する。まず、カラーフィルタを備えた液晶表示装置について簡単に説明しておく。図6は、液晶表示装置の構造を示す概略分解斜視図である。
<液晶表示装置およびその製造方法>
図6に示すように、電気光学装置としての液晶表示装置500は、TFT(Thin Film Transistor)透過型の液晶表示パネル520と、液晶表示パネル520を照明する照明装置516とを備えている。液晶表示パネル520は、3色の着色層を有するカラーフィルタ505を具備する対向基板501と、画素電極510に3端子のうちの1つが接続されたTFT素子511を有する素子基板508と、対向基板501と素子基板508とによって挟持された液晶(図示省略)とを備えている。また、液晶表示パネル520の外面側となる対向基板501と素子基板508の表面には、透過する光を偏向させる上偏光板514と下偏光板515とが配設される。
対向基板501は、透明なガラス等の材料からなり、液晶を挟む表面側に複数の画素領域としての着色領域をマトリクス状に区画する隔壁部としてのバンク504と、区画された複数の着色領域にRGB3色の着色層505R,505G,505Bとを備えている。バンク504は、Crなどの遮光性を有する金属あるいはその酸化膜からなるブラックマトリクスと呼ばれる下層バンク502と、下層バンク502の上(図面では下向き)に形成された有機化合物からなる上層バンク503とにより構成されている。また対向基板501は、バンク504とバンク504によって区画された着色層505R,505G,505Bとを覆う平坦化層としてのオーバーコート層(OC層)506と、OC層506を覆うように形成されたITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなる対向電極507とを備えている。カラーフィルタ505は後述するカラーフィルタの製造方法を用いて製造されている。
素子基板508は、同じく透明なガラス等の材料からなり、液晶を挟む表面側に絶縁膜509を介してマトリクス状に形成された画素電極510と、画素電極510に対応して形成された複数のTFT素子511とを備えている。TFT素子511の3端子のうち、画素電極510に接続されない他の2端子は、互いに絶縁された状態で画素電極510を囲むように格子状に配設された走査線512とデータ線513とに接続されている。
照明装置516は、光源として白色のLED、EL、冷陰極管等を用い、これらの光源からの光を液晶表示パネル520に向かって出射することができる導光板や拡散板、反射板等の構成を備えたものであれば、どのようなものでもよい。
なお、液晶を挟む対向基板501と素子基板508の表面には、液晶の分子を所定の方向に配列させるための配向膜がそれぞれ形成されているが、図示省略した。また、上偏光板514と下偏光板515は、視角依存性を改善する目的等で用いられる位相差フィルムなどの光学機能性フィルムと組み合わされたものでもよい。液晶表示パネル520は、アクティブ素子としてTFT素子に限らずTFD(Thin Film Diode)素子を有したものでもよく、さらには、少なくとも一方の基板にカラーフィルタを備えるものであれば、画素を構成する電極が互いに交差するように配置されるパッシブ型の液晶表示装置でもよい。
上記液晶表示装置500は、カラーフィルタ505を備えた対向基板501がマトリクス状に複数区画形成されたマザー基板と、同じく素子基板508がマトリクス状に複数区画形成された他のマザー基板とが液晶を挟んで接合された構造体を所定の位置で切断して取り出すことにより製造される。
<カラーフィルタの製造方法>
図7(a)〜(e)は、カラーフィルタの製造方法を示す概略断面図である。上記3色の着色層505R,505G,505Bを有するカラーフィルタ505の製造方法は、対向基板501の表面にバンク504を形成する工程と、バンク504によって区画された着色領域Aを表面処理する工程とを備えている。また、表面処理された着色領域Aに着色層形成材料を含む3種(3色)の液状体を液滴Dとして吐出する吐出工程と、吐出された液状体を乾燥して着色層505R,505G,505Bを形成する固化工程としての成膜工程とを備えている。さらにバンク504と着色層505R,505G,505Bとを覆うようにOC層506を形成する工程と、OC層506を覆うようにITOからなる透明な対向電極507を形成する工程とを備えている。
バンク504を形成する工程では、図7(a)に示すように、まずブラックマトリクスとしての下層バンク502を対向基板501上に形成する。下層バンク502の材料は、例えば、Cr、Ni、Al等の不透明な金属、あるいはこれらの金属の酸化物等の化合物を用いることができる。下層バンク502の形成方法としては、蒸着法あるいはスパッタ法で上記材料からなる膜を対向基板501上に成膜する。膜厚は、遮光性が保たれる膜厚を選定された材料に応じて設定すればよい。例えば、Crならば、100〜200nmが好ましい。そして、フォトリソグラフィ法により開口部502a(図6参照)に対応する部分以外の膜表面をレジストで覆い、上記材料に対応する酸等のエッチング液を用いて膜をエッチングする。これにより開口部502aを有する下層バンク502が形成される。
次に上層バンク503を下層バンク502の上に形成する。上層バンク503の材料としては、アクリル系の感光性樹脂材料を用いることができる。また、感光性樹脂材料は、遮光性を有することが好ましい。上層バンク503の形成方法としては、例えば、下層バンク502が形成された対向基板501の表面に感光性樹脂材料をロールコート法やスピンコート法で塗布し、乾燥させて厚みがおよそ2μmの感光性樹脂層を形成する。そして、着色領域Aに対応した大きさで開口部が設けられたマスクを対向基板501と所定の位置で対向させて露光・現像することにより、上層バンク503を形成する方法が挙げられる。これにより対向基板501上に複数の着色領域Aをマトリクス状に区画するバンク504が形成される。そして表面処理工程へ進む。
表面処理工程では、O2を処理ガスとするプラズマ処理とフッソ系ガスを処理ガスとするプラズマ処理とを行う。すなわち、着色領域Aが親液処理され、その後感光性樹脂からなる上層バンク503の表面(壁面を含む)が撥液処理される。そして、吐出工程へ進む。
吐出工程では、図7(b)に示すように、表面処理された各着色領域Aのそれぞれに、対応する液状体80R,80G,80Bを液滴Dとして吐出する。液状体80Rは赤色(R)の着色層形成材料を含むものであり、液状体80Gは緑色(G)の着色層形成材料を含むものであり、液状体80Bは青色(B)の着色層形成材料を含むものである。液滴吐出装置10の各液滴吐出ヘッド50に液状体80R,80G,80Bを充填する。そして、ヘッドユニット9とワークWとを相対移動させる主走査に同期して各液滴吐出ヘッド50から液状体80R,80G,80Bを着色領域Aに向けて吐出する。液状体80R,80G,80Bは、着色領域Aの面積に応じて必要量が付与される。
次に成膜工程では、図7(c)に示すように、吐出された液状体80R,80G,80Bを一括乾燥し、溶剤成分を除去して着色層505R,505G,505Bを成膜する。乾燥方法としては、溶剤成分を均質に乾燥可能な減圧乾燥などの方法が望ましい。そして、OC層形成工程へ進む。
OC層形成工程では、図7(d)に示すように、着色層505R,505G,505Bと上層バンク503とを覆うようにOC層506を形成する。OC層506の材料としては、透明なアクリル系樹脂材料を用いることができる。形成方法としては、スピンコート法、オフセット印刷などの方法が挙げられる。OC層506は、着色層505R,505G,505Bが形成された対向基板501の表面の凹凸を緩和して、後にこの表面に膜付けされる対向電極507を平担化するために設けられている。また、対向電極507との密着性を確保するために、OC層506の上にさらにSiO2などの薄膜を形成してもよい。そして、透明電極形成工程へ進む。なお、着色層505R,505G,505Bが形成された対向基板501の表面が比較的に平坦であれば、OC層506は必須ではない。
透明電極形成工程では、図7(e)に示すように、スパッタ法や蒸着法を用いてITOなどの透明電極材料を真空中で成膜して、OC層506を覆うように全面に対向電極507を形成する。
上記吐出工程では、液滴吐出装置10を用いて、3種の異なる液状体80R,80G,80Bをほぼ同時に吐出する。このような吐出方法においては、必要量の液状体80R,80G,80Bを対応する着色領域Aに安定的に吐出することが求められる。例えば、ノズル52の目詰まりや吐出される液滴Dの吐出量が変動すると着色領域Aにおいて吐出ムラとなる。ノズル52から吐出された液滴Dが飛行曲がりによって本来着弾すべき着色領域Aに着弾せず、他の異なる液状体が付与されるべき着色領域Aに着弾すると、異種の液状体同士が混じり合って所謂混色が発生する。これらの吐出不具合はカラーフィルタ505の製造における歩留りに影響する。また、液晶表示装置500においては、吐出ムラや混色となった着色層505R,505G,505Bを有する画素は色ムラなどの不良画素となる。よって、これらの吐出不具合の発生を極力防止しなくてはならない。
ヘッドユニット9には、同種(同色)の液状体が充填された液滴吐出ヘッド50が2個ずつ配置され、合計360個のノズル52から同種の液滴Dが吐出される。液滴Dの吐出不具合が発生するごとに、メンテナンス機構によって各液滴吐出ヘッド50のメンテナンスを実施していたのでは、ワークWの流動が停止してカラーフィルタ505の製造における生産性を向上させることが難しい。本発明の液状体の吐出方法は、このような課題を考慮してなされた。
<ノズルの分類方法および液状体の吐出方法>
次に、本実施形態のノズルの分類方法とこれを適用した液状体の吐出方法について説明する。図8はノズルの分類方法を示すフローチャート、図9は液状体の吐出方法を示すフローチャートである。
図8に示すように、本実施形態のノズルの分類方法は、正常ノズルAを特定する第1の特定工程(ステップS1)と、液滴Dが吐出されない抜けノズルを特定する第2の特定工程(ステップS2)と、着弾位置ずれノズルを分類して特定する第3の特定工程(ステップS3〜ステップS6)と、正常ノズルBを特定する第4の特定工程(ステップS7)とを備えている。
図8のステップS1(第1の特定工程)では、前述したノズル検査工程から得られたノズル情報を参照する。ノズル検査工程は、液滴吐出ヘッド50のメンテナンス工程の後に実施されており、複数回に渡って実施されたノズル検査工程から得られたノズル情報が上位コンピュータ11の記憶部に蓄積されている。この場合、上位コンピュータ11に格納された表計算ソフト等を用いてノズル情報のデータを扱う。上位コンピュータ11に接続された表示部(図示省略)で確認表示できるように、ノズル情報に含まれたN=256個の不良ノズルのデータを参照した。データは、時系列的に上位コンピュータ11の表示部に表示される。また、当然ながら、液滴吐出ヘッド50を交換した場合には、交換以降のデータを参照する。
複数のノズル52は、ヘッドユニット9に配置された複数の液滴吐出ヘッド50ごとに予め管理番号が付与されている。不良ノズルのデータは、当該管理番号を確認することにより、ヘッドユニット9に搭載された複数(6個)の液滴吐出ヘッド50のどれに該当するかが分かるようになっている。
256個の不良ノズルのデータを参照して、このうち1回だけ「吐出抜け」や「着弾位置ずれ」の不良とされた不良ノズルを正常ノズルAとして特定する。この正常ノズルAは、記録紙18上の異物やキズによって誤って不良ノズルと判断されたケースを含む確率が高い。また、メンテナンス工程で容易に機能が回復したノズル52と解釈することができる。すなわち、今後不良ノズルとなる可能性が低いノズル52であると判断する。そして、特定された正常ノズルAのデータに分類記号あるいは分類番号を付しておく。そして、ステップS2へ進む。
図8のステップS2(第2の特定工程)では、256個の不良ノズルのデータのうち、時系列的に新しいn個のデータを参照する。参照するデータの個数は、ノズル検査工程の実施、液滴吐出装置10の稼動日などを単位として決める方法が挙げられる。この場合、直近に行われた2回のノズル検査工程から得られたn個の不良ノズルのデータを参照した。そして、n個の不良ノズルのデータのうち、「吐出抜け」の不良とされた回数が2回の不良ノズルを抜けノズルとして特定する。言い換えれば、n個の不良ノズルのデータが2回以上のノズル検査工程から得られたならば、2回以上「吐出抜け」の不良とされた不良ノズルを抜けノズルとする。繰り返し「吐出抜け」とされた不良ノズルは、通常のメンテナンス工程を実施したのでは、機能回復が見込めないノズル52と判断する。特定された抜けノズルのデータに分類記号あるいは分類番号を付しておく。そして、ステップS3へ進む。
図8のステップS3(第3の特定工程)では、n個の不良ノズルのデータを参照して、「着弾位置ずれ」の不良とされた不良ノズルのうち、ずれ量が変動している不良ノズルを曲がり変動ノズルとして特定する。具体的には、不良ノズルごとにずれ量の標準偏差(σ)を演算し、標準偏差(σ)が所定の値よりも大きな不良ノズルを曲がり変動ノズルとする。この場合、カラーフィルタ505の製造における精度を考慮して所定の値をσ=1μmとした。特定された曲がり変動ノズルのデータに分類記号あるいは分類番号を付しておく。そして、ステップS4へ進む。
図8のステップS4(第3の特定工程)では、前ステップS3において特定された曲がり変動ノズルのうち、ずれ量が急増している曲がり変動ノズルを曲がり急増ノズルとして分類・特定する。具体的には、時間の経過に伴ってずれ量が増加しているものを指す。この場合、カラーフィルタ505の製造における精度を考慮し、時間軸を1日単位として、ずれ量の増加が10μm/日以上となっているものを対象とした。特定された曲がり急増ノズルのデータに分類記号あるいは分類番号を付しておく。そして、ステップS5へ進む。
図8のステップS5(第3の特定工程)では、n個の不良ノズルのデータを参照して、「着弾位置ずれ」の不良とされた不良ノズルのうち、主走査方向のずれ量が安定している不良ノズルを定常曲がりノズルAとして特定する。具体的には、カラーフィルタ505の製造における精度を考慮して主走査方向のずれ量が15μm以上で安定している不良ノズルを対象とした。特定された定常曲がりノズルAのデータに分類記号あるいは分類番号を付しておく。そして、ステップS6へ進む。
図8のステップS6(第3の特定工程)では、n個の不良ノズルのデータを参照して、「着弾位置ずれ」の不良とされた不良ノズルのうち、副走査方向のずれ量が安定している不良ノズルを定常曲がりノズルBとして特定する。具体的には、カラーフィルタ505の製造における精度を考慮して副走査方向のずれ量が10μm以上で安定している不良ノズルを対象とした。特定された定常曲がりノズルBのデータに分類記号あるいは分類番号を付しておく。そして、ステップS7へ進む。
図8のステップS7(第4の特定工程)では、n個の不良ノズルのデータのうち、上記正常ノズルA、上記曲がり変動ノズル、上記曲がり急増ノズル、上記定常曲がりノズルA、上記定常曲がりノズルBを除いた不良ノズルを正常ノズルBとして特定する。特定された正常ノズルBのデータに分類記号あるいは分類番号を付しておく。
以上のようなノズルの分類方法によれば、ノズル検査工程から得られたノズル情報を基に、一旦吐出不良が発生するとした不良ノズルであっても、実際の液状体の吐出に求められる精度や液滴Dの吐出安定性を考慮して、正常ノズルと不良ノズルとに分類することが可能である。また、ノズル検査工程での検出ミスを考慮して不良ノズルのうちの正常ノズルを特定することが可能である。さらには、分類結果における不良ノズルの特定状態(例えば、不良ノズルの数、吐出不良別の割合の変化など)から、液滴吐出ヘッド50のメンテナンス時期や交換時期を適正に判断することが可能となる。
図9は、液状体の吐出方法を示すフローチャートである。本実施形態の液状体の吐出方法は、上記ノズルの分類方法により得られた分類結果を反映させたノズルリストを生成するノズルリスト生成工程(ステップS11)と、主走査において着色領域Aごとに必要量の液状体80R,80G,80Bを液滴Dとして配置する第1配置情報を上記ノズルリストに基づいて補正した第2配置情報を生成する配置情報生成工程(ステップS12)とを備えている。また、第2配置情報に基づいて液滴吐出ヘッド50の複数のノズル52から着色領域Aごとに液滴Dを吐出する吐出工程(ステップS13)とを備えている。
図10(a)および(b)は、第1配置情報に基づく液滴の配置の一例を示す概略平面図である。詳しくは、同図(a)は主走査における往動時の液滴の配置を示し、同図(b)は主走査における復動時の液滴の配置を示す概略平面図である。図11(a)は第1配置情報を示す表、同図(b)はノズルリストを示す表、同図(c)は第2配置情報を示す表である。図12(a)および(b)は、第2配置情報に基づく液滴の配置の一例を示す概略平面図である。
図10(a)に示すように、例えば、ヘッドユニット9とマザー基板とを主走査方向(X軸方向)に相対移動させる間に液滴Dを吐出し、バンク504により区画された画素領域としての着色領域Aに着弾させる。この場合、往動時には、赤色(R)の液状体80Rを吐出するノズル列1AのノズルN1〜ノズルN3が掛かる着色領域Aには、それぞれ3回の吐出を行って、9滴の液滴Dを着弾させた。ノズルN4〜N6においても同様である。また、図12(b)に示すように、復動時には、先に着弾した液滴Dの間に着弾するようにヘッドユニット9を副走査してノズル列1Aの位置をずらし、着色領域Aに掛かるノズルN1とノズルN2からそれぞれ3回吐出を行って、さらに6滴の液滴Dを着弾させた。これにより、着色領域Aには2回の主走査を行って合計15滴の液滴Dを着弾させた。他の異なる色(G,B)の着色領域Aにおいても同様である。着色領域Aに掛かるノズル52の数は、当然ながら着色領域Aの大きさとマザー基板上における配置、ノズル52のノズルピッチやノズル列52aの着色領域Aに対する相対位置によって異なる。
図10(a)および(b)は、液滴Dの配置を示すものであり、実際の着弾状態を示すものではない。言い換えれば、主走査の往動と復動とにおける着色領域Aごとに掛かるノズル52の配置を示すものである。図11(a)の表は、その配置を示す第1配置情報であり、赤色(R)の液状体80Rが付与される画素1Rには、主走査においてノズルN1〜N3が掛かる。同様に画素2Rには、ノズルN4〜N6が掛かる。走査1は往動を示し、走査2は復動を示している。第1配置情報には、ノズルN1〜N6のノズル選択(選択「1」、非選択「0」)、吐出回数、吐出タイミング(標準「1」)の情報が含まれている。このような配置情報は、ビットマップデータとして上位コンピュータ11の記憶部に格納されている。
複数のノズル52がすべて正常な吐出状態であれば、第1配置情報に基づいて液滴Dの吐出を行えばよい。しかし、実際には、前述したように正常ノズル、不良ノズルが含まれる。よって、正常ノズルおよび不良ノズルに対応した液滴Dの配置を見直すこと、すなわち補正が必要となる。本実施形態の液状体の吐出方法は、このような補正の方法を示すものである。
図9のステップS11は、ノズルリスト生成工程である。ステップS11では、主走査において、着色領域Aごとに掛かるノズル52について、上記ノズルの分類方法により得られた分類結果に基づいてノズルリストを生成する。例えば、図11(b)に示すように、画素1Rでは、ノズルN1が正常ノズル(分類番号9)、ノズルN2が抜けノズル(分類番号0)、ノズルN3が主走査方向の定常曲がりノズルA(分類番号3)である。画素2Rでは、ノズルN4とノズルN6が正常ノズル(分類番号9)、ノズルN5が曲がり変動ノズル(分類番号1)である。このノズルリストには、副走査方向の定常曲がりノズルBが含まれていない。それは、同色の着色領域Aが副走査方向に配列しているので、副走査方向に液滴Dの着弾位置ずれが生じても混色となる可能性が低い。ゆえに、この場合、定常曲がりノズルBを考慮していない。
このようなノズルリストは、各画素(着色領域A)に対応して生成され、上位コンピュータ11の記憶部に格納される。そして、ステップS12へ進む。
図9のステップS12は、配置情報生成工程である。ステップS12では、上記ノズルリストに基づいて第1配置情報を補正した第2配置情報を上位コンピュータ11により生成する。
上位コンピュータ11は、この場合、ノズルリストを参照して、着色領域Aに掛かる少なくとも1つのノズル52を選択せず、他のノズル52を用いて必要量の液状体を液滴Dとして吐出するように第1配置情報を補正する。非選択とするノズル52は、ノズルリストの分類番号0〜3に該当するノズル52から選ばれる。また、図11(b)に示すように、画素1Rには、分類番号0〜3に該当するノズル52が複数(2つ)ある。その場合には、分類番号が小さいノズル52が非選択となる。すなわち、抜けノズルのノズルN2を非選択とし、正常ノズルのノズルN1と定常曲がりノズルのノズルN3とを選択する。ノズルN3に対して標準の吐出タイミングで吐出したのでは、液滴Dが主走査方向にずれて着弾するので、ずれ量とずれ方向に応じて吐出タイミングを変えた駆動波形をエネルギー発生手段としての振動子59(図2参照)に印加する。これにより、ノズルN3から吐出された液滴Dが飛行曲がりにより本来の着弾位置からずれて着弾することを抑制(修正)する。このようなノズル選択と、吐出タイミングの修正がすべての画素(着色領域A)に掛かるノズル52に対して行われる。そして、ステップS13へ進む。
図9のステップS13は、吐出工程である。ステップS13では、例えば、図11(c)に示した第2配置情報に基づいて、図12(a)および(b)に示すように液滴Dを吐出する。
図12(a)に示すように、主走査の往動時には、画素1RではノズルN2が選択されず、ノズルN1とノズルN3から5回の吐出が行われる。着色領域A内に5滴の液滴Dを配置する吐出タイミングを標準の「1」とし、着弾位置ずれが生ずるノズルN3は、ずれ量とずれ方向とを考慮して吐出開始位置が早いまたは遅い吐出タイミング「2」が補正により設定されている。同様に画素2RではノズルN5が選択されず、ノズルN4とノズルN6から5回の吐出が行われる。これにより画素1Rと画素2Rにはそれぞれ10滴の液滴Dが着弾する。
図12(b)に示すように、主走査の復動時には、画素1Rでは、ノズルN1のみが選択され、5回の吐出が行われる。画素2Rでは、ノズルN4のみが選択され、5回の吐出が行われる。これにより、図10(b)に示した液滴Dの配置と同様に、各着色領域Aにそれぞれ15滴の液滴Dが配置される。すなわち、必要量の赤色の液状体80Rが対応する着色領域Aに付与される。他の緑色の液状体80G、青色の液状体80Bにおいても、同様に補正された第2配置情報に基づいて吐出が行われる。
このような上記ノズルの分類方法を適用した液状体の吐出方法によれば、正常ノズルと不良ノズルとを適正に分類して、第1配置情報が補正され、補正後の第2配置情報に基づいて液状体80R,80G,80Bの吐出を行うので、必要量の液状体80R,80G,80Bを画素領域(着色領域A)ごとに安定して付与することが可能である。
上記実施形態1の効果は、以下の通りである。
(1)上記ノズルの分類方法では、N=256個の不良ノズルのデータを参照して、吐出不良とされた回数が1回の不良ノズルを正常ノズルAとする。また、256個の不良ノズルのデータのうち、時系列的に新しいn個の不良ノズルのデータを参照して、吐出抜けとされた回数が2回の不良ノズルを抜けノズルとする。また、ずれ量の標準偏差(σ)が1μm以上の不良ノズルを曲がり変動ノズルとする。ずれ量が少なくとも10μm以上で安定している不良ノズルを定常曲がりノズルA,Bとする。そして、上記正常ノズルA、上記曲がり変動ノズル、上記定常曲がりノズルA,Bを除く不良ノズルを正常ノズルBとする。したがって、カラーフィルタ505の製造における液状体80R,80G,80Bの吐出精度および吐出安定性、並びにノズル検査工程における検出ミスを考慮して、正常ノズルと不良ノズルとを適正に分類することができる。
(2)上記ノズルの分類方法において、複数のノズル52の吐出状態を示すノズル情報は、液滴吐出ヘッド50のメンテナンス工程を実施した後に行われるノズル検査工程から得られる。したがって、通常のメンテナンス工程では、機能回復し難いまたは吐出状態が不安定な不良ノズルの情報を的確に入手することができる。
(3)上記液状体の吐出方法は、主走査において画素(着色領域A)ごとに掛かるノズル52について、上記ノズルの分類方法により得られた分類結果を反映したノズルリストを生成する。また、このノズルリストに基づいて着色領域Aごとに必要量の液状体80R,80G,80Bを液滴Dとして配置する第1配置情報を補正した第2配置情報を生成する。そして、吐出工程では、第2配置情報に基づいて着色領域Aごとに液滴Dを吐出する。したがって、正常ノズルと不良ノズルとを適正に分類して、第1配置情報が補正された第2配置情報に基づいて液状体80R,80G,80Bの吐出を行うので、必要量の液状体80R,80G,80Bを着色領域Aごとに安定して付与することができる。ゆえに、「吐出抜け」による吐出ムラや「着弾位置ずれ」による混色を低減することができる。
(4)上記カラーフィルタ505の製造方法は、上記液状体の吐出方法を用いているので、吐出ムラや混色を低減して、カラーフィルタ505を歩留りよく製造することができる。
(5)上記液晶表示装置500の製造方法において、上記カラーフィルタ505の製造方法を用いて対向基板501を製造しているので、吐出ムラや混色に起因する色ムラが低減された高い表示品質を有する液晶表示装置500を製造することができる。
(実施形態2)
次に、実施形態1の液状体の吐出方法とを適用した他の実施形態として、発光層を有する有機EL素子の製造方法について説明する。
<有機EL表示装置およびその製造方法>
まず、有機EL素子を有する有機EL表示装置について簡単に説明する。図13は、有機EL表示装置の要部構造を示す概略断面図である。図13に示すように、有機EL表示装置600は、有機EL素子としての発光素子部603を有する素子基板601と、素子基板601と空間622を隔てて封着された封止基板620とを備えている。また素子基板601は、素子基板601上に回路素子部602を備えており、発光素子部603は、回路素子部602上に重畳して形成され、回路素子部602により駆動されるものである。発光素子部603には、3色の発光層617R,617G,617Bが画素領域としての発光層形成領域Aに形成され、ストライプ状となっている。素子基板601は、3色の発光層617R,617G,617Bに対応する3つの発光層形成領域Aを1組の絵素とし、この絵素が素子基板601の回路素子部602上にマトリクス状に配置されたものである。有機EL表示装置600は、発光素子部603からの発光が素子基板601側に出射するものである。
封止基板620は、ガラスまたは金属からなるもので、封止樹脂を介して素子基板601に接合されており、封止された内側の表面には、ゲッター剤621が貼り付けられている。ゲッター剤621は、素子基板601と封止基板620との間の空間622に侵入した水または酸素を吸収して、発光素子部603が侵入した水または酸素によって劣化することを防ぐものである。なお、このゲッター剤621は省略しても良い。
素子基板601は、回路素子部602上に複数の画素領域としての発光層形成領域Aを有するものであって、複数の発光層形成領域Aを区画する隔壁部618と、複数の発光層形成領域Aに形成された電極613と、電極613に積層された正孔注入/輸送層617aとを備えている。また複数の発光層形成領域A内に発光層形成材料を含む3種の液状体を付与して形成された発光層617R,617G,617Bを有する発光素子部603を備えている。隔壁部618は、下層バンク618aと発光層形成領域Aを実質的に区画する上層バンク618bとからなり、下層バンク618aは、発光層形成領域Aの内側に張り出すように設けられて、電極613と各発光層617R,617G,617Bとが直接接触して電気的に短絡することを防止するためにSiO2等の無機絶縁材料により形成されている。
素子基板601は、例えばガラス等の透明な基板からなり、素子基板601上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。半導体膜607には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度Pイオン打ち込みにより形成されている。なお、Pイオンが導入されなかった部分がチャネル領域607cとなっている。さらに下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、ゲート絶縁膜608上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極609が形成され、ゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。ゲート電極609は半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置に設けられている。また、第1層間絶縁膜611aおよび第2層間絶縁膜611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ接続されるコンタクトホール612a,612bが形成されている。そして、第2層間絶縁膜611b上に、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明な電極613が所定の形状にパターニングされて配置され(電極形成工程)、一方のコンタクトホール612aがこの電極613に接続されている。また、もう一方のコンタクトホール612bが電源線614に接続されている。このようにして、回路素子部602には、各電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615が形成されている。なお、回路素子部602には、保持容量とスイッチング用の薄膜トランジスタも形成されているが、図13ではこれらの図示を省略している。
発光素子部603は、陽極としての電極613と、電極613上に順次積層された正孔注入/輸送層617a、発光層617R,617G,617B(総称して発光層Lu)と、上層バンク618bおよび発光層Luを覆うように積層された陰極604とを備えている。正孔注入/輸送層617aと発光層Luとにより発光が励起される機能層617を構成している。なお、陰極604と封止基板620およびゲッター剤621を透明な材料で構成すれば、封止基板620側から発光する光を出射させることができる。
有機EL表示装置600は、ゲート電極609に接続された走査線(図示省略)とソース領域607aに接続された信号線(図示省略)とを有し、走査線に伝わった走査信号によりスイッチング用の薄膜トランジスタ(図示省略)がオンになると、そのときの信号線の電位が保持容量に保持され、該保持容量の状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ615のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ615のチャネル領域607cを介して、電源線614から電極613に電流が流れ、さらに正孔注入/輸送層617aと発光層Luとを介して陰極604に電流が流れる。発光層Luは、これを流れる電流量に応じて発光する。有機EL表示装置600は、このような発光素子部603の発光メカニズムにより、所望の文字や画像などを表示することができる。
<有機EL素子の製造方法>
次に本実施形態の有機EL素子としての発光素子部の製造方法について図14に基づいて説明する。図14(a)〜(f)は、発光素子部の製造方法を示す概略断面図である。なお、図14(a)〜(f)においては、素子基板601上に形成された回路素子部602は、図示を省略している。
本実施形態の発光素子部603の製造方法は、素子基板601の複数の発光層形成領域Aに対応する位置に電極613を形成する工程と、電極613に一部が掛かるように下層バンク618aを形成し、さらに下層バンク618a上に実質的に発光層形成領域Aを区画するように上層バンク618bを形成する隔壁部形成工程とを備えている。また上層バンク618bで区画された発光層形成領域Aの表面処理を行う工程と、表面処理された発光層形成領域Aに正孔注入/輸送層形成材料を含む液状体を付与して正孔注入/輸送層617aを吐出する工程と、吐出された液状体を乾燥して正孔注入/輸送層617aを成膜する工程とを備えている。また、正孔注入/輸送層617aが形成された発光層形成領域Aの表面処理を行う工程と、表面処理された発光層形成領域Aに発光層形成材料を含む3種の液状体を吐出する吐出工程と、吐出された3種の液状体を乾燥して発光層Luを成膜する固化工程とを備えている。さらに、上層バンク618bと発光層Luを覆うように陰極604を形成する工程を備えている。
電極(陽極)形成工程では、図14(a)に示すように、回路素子部602がすでに形成された素子基板601の発光層形成領域Aに対応する位置に電極613を形成する。形成方法としては、例えば、素子基板601の表面にITO等の透明電極材料を用いて真空中でスパッタ法あるいは蒸着法で透明電極膜を形成する。その後、フォトリソグラフィ法にて必要な部分だけを残してエッチングして電極613を形成する方法が挙げられる。また、フォトレジストで素子基板601を先に覆って、電極613を形成する領域が開口するように露光・現像する。そして開口部にITO等の透明電極膜を形成し、残存したフォトレジストを除く方法でもよい。そして隔壁部形成工程へ進む。
隔壁部形成工程では、図14(b)に示すように、素子基板601の複数の電極613の一部を覆うように下層バンク618aを形成する。下層バンク618aの材料としては、無機材料である絶縁性のSiO2(酸化珪素)を用いている。下層バンク618aの形成方法としては、例えば、後に形成される発光層Luに対応して、各電極613の表面をレジスト等を用いてマスキングする。そしてマスキングされた素子基板601を真空装置に投入し、SiO2をターゲットあるいは原料としてスパッタリングや真空蒸着することにより下層バンク618aを形成する方法が挙げられる。レジスト等のマスキングは、後に剥離する。なお、下層バンク618aは、SiO2により形成されているため、その膜厚が200nm以下であれば十分な透明性を有しており、後に正孔注入/輸送層617aおよび発光層Luが積層されても発光を阻害することはない。
続いて、発光層形成領域Aを実質的に区画するように下層バンク618aの上に上層バンク618bを形成する。上層バンク618bの材料としては、後述する発光層形成材料を含む3種の液状体100R,100G,100Bの溶媒に対して耐久性を有するものであることが望ましく、さらに、フッソ系ガスを処理ガスとするプラズマ処理により撥液化できること、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、感光性ポリイミドなどといった有機材料が好ましい。上層バンク618bの形成方法としては、例えば、下層バンク618aが形成された素子基板601の表面に感光性の上記有機材料をロールコート法やスピンコート法で塗布し、乾燥させて厚みがおよそ2μmの感光性樹脂層を形成する。そして、発光層形成領域Aに対応した大きさで開口部が設けられたマスクを素子基板601と所定の位置で対向させて露光・現像することにより、上層バンク618bを形成する方法が挙げられる。これにより下層バンク618aと上層バンク618bとを有する隔壁部618が形成される。そして、表面処理工程へ進む。
発光層形成領域Aを表面処理する工程では、隔壁部618が形成された素子基板601の表面を、まずO2ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより電極613の表面、下層バンク618aの張り出し部および上層バンク618bの表面(壁面を含む)を活性化させて親液処理する。次にCF4等のフッ素系ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより有機材料である感光性樹脂からなる上層バンク618bの表面のみにフッ素系ガスが反応して撥液処理される。そして、正孔注入/輸送層形成工程へ進む。
正孔注入/輸送層形成工程では、図14(c)に示すように、正孔注入/輸送層形成材料を含む液状体90を発光層形成領域Aに付与する。液状体90を付与する方法としては、図1の液滴吐出装置10を用いる。液滴吐出ヘッド50から吐出された液状体90は、液滴Dとして素子基板601の電極613に着弾して濡れ拡がる。液状体90は発光層形成領域Aの面積に応じて必要量が液滴Dとして吐出される。そして乾燥・成膜工程へ進む。
乾燥・成膜工程では、素子基板601を例えばランプアニール等の方法で加熱することにより、液状体90の溶媒成分を乾燥させて除去し、電極613の下層バンク618aにより区画された領域に正孔注入/輸送層617aが形成される。本実施形態では、正孔注入/輸送層形成材料としてPEDOT(Polyethylene Dioxy Thiophene;ポリエチレンジオキシチオフェン)を用いた。なお、この場合、各発光層形成領域Aに同一材料からなる正孔注入/輸送層617aを形成したが、後に形成される発光層Luに対応して正孔注入/輸送層617aの材料を発光層形成領域Aごとに変えてもよい。そして次の表面処理工程へ進む。
次の表面処理工程では、上記の正孔注入/輸送層形成材料を用いて正孔注入/輸送層617aを形成した場合、その表面が、3種の液状体100R,100G,100Bに対して撥液性を有するので、少なくとも発光層形成領域Aの領域内を再び親液性を有するように表面処理を行う。表面処理の方法としては、3種の液状体100R,100G,100Bに用いられる溶媒を塗布して乾燥する。溶媒の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法等の方法が挙げられる。そして発光層Luの吐出工程へ進む。
発光層Luの吐出工程では、図14(d)に示すように、液滴吐出装置10を用いて複数の液滴吐出ヘッド50から複数の発光層形成領域Aに発光層形成材料を含む3種の液状体100R,100G,100Bを付与する。液状体100Rは発光層617R(赤色)を形成する材料を含み、液状体100Gは発光層617G(緑色)を形成する材料を含み、液状体100Bは発光層617B(青色)を形成する材料を含んでいる。液状体100R,100G,100Bの発光層形成領域Aへの付与は、上記実施形態1の液状体の吐出方法を用いて行う。この場合、液状体100R,100G,100Bは、それ自体で色の識別が困難である。そこで、液滴Dの着弾状態をカメラ15で観察する方法として、紫外線を放出する照明装置を用いる。これにより、着弾後の液滴Dが紫外線によって励起され発光するので、着弾状態を観察して撮像することが可能となる。ノズル検査工程で複数のノズル52のノズル情報を入手し、上記ノズルの分類方法により得られた分類結果を反映したノズルリストを生成する。このノズルリストに基づいて補正された配置情報を用いて液状体100R,100G,100Bの吐出を行う。よって、正常ノズルと不良ノズルとが適正に分類され、必要量の液状体100R,100G,100Bがそれぞれ対応する発光層形成領域Aに液滴Dとして吐出される。そして、固化工程へ進む。
固化工程では、図14(e)に示すように、吐出された液状体100R,100G,100Bの溶媒成分を乾燥させて除去し、発光層形成領域Aの正孔注入/輸送層617aに発光層617R,617G,617Bが積層されるように成膜化する。液状体100R,100G,100Bが吐出された素子基板601の乾燥方法としては、溶媒の蒸発速度をほぼ一定とすることが可能な、減圧乾燥が好ましい。そして陰極形成工程へ進む。
陰極形成工程では、図14(f)に示すように、素子基板601の発光層617R,617G,617Bと上層バンク618bの表面とを覆うように陰極604を形成する。陰極604の材料としては、Ca、Ba、Al等の金属やLiF等のフッ化物を組み合わせて用いるのが好ましい。特に発光層617R,617G,617Bに近い側に仕事関数が小さいCa、Ba、LiFの膜を形成し、遠い側に仕事関数が大きいAl等の膜を形成するのが好ましい。また、陰極604の上にSiO2、SiN等の保護層を積層してもよい。このようにすれば、陰極604の酸化を防止することができる。陰極604の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法等が挙げられる。特に発光層617R,617G,617Bの熱による損傷を防止できるという点では、蒸着法が好ましい。
このようにして出来上がった素子基板601は、必要量の液状体100R,100G,100Bが対応する発光層形成領域Aに付与され、成膜化後の膜厚がほぼ一定となった発光層617R,617G,617Bを有する。
上記実施形態2の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態2の発光素子部603の製造方法において、発光層Luの吐出工程では、上記実施形態1の液状体の吐出方法を用いて素子基板601の発光層形成領域Aに、必要量の液状体100R,100G,100Bが液滴Dとして吐出される。したがって、成膜化後の膜厚がほぼ一定となった発光層617R,617G,617Bを有する発光素子部603を歩留りよく製造することができる。
(2)上記実施形態2の有機EL表示装置の製造方法において、上記発光素子部603の製造方法により製造された素子基板601を用いれば、発光層617R,617G,617Bの膜厚がほぼ一定であるため、発光層617R,617G,617Bごとの抵抗がほぼ一定となる。よって、発光層617R,617G,617Bごとの抵抗ムラによる発光ムラや輝度ムラ等が低減される。すなわち、発光ムラや輝度ムラ等が少なく、見映えのよい表示品質を有する有機EL表示装置600を製造することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記実施形態以外の変形例は、以下の通りである。
(変形例1)上記ノズルの分類方法において、分類対象となる不良ノズルは、抜けノズル、着弾位置ずれが生ずるノズルに限定されない。例えば、ノズル検査工程では、吐出量異常ノズルを検出可能であり、吐出量異常ノズルを分類基準を設けて不良ノズルまたは正常ノズルのいずれかに分類してもよい。これによれば、上記液状体の吐出方法において、吐出量が過多あるいは過少の吐出量異常ノズルを非選択とすることにより、吐出ムラを低減可能である。
(変形例2)上記ノズルの分類方法において、第2および第3並びに第4の特定工程において、参照する不良ノズルのデータは、N個のデータのうちの時系列的に新しいn個に限定されない。例えば、2回のノズル検査工程から得られたデータしかないときは、すべてのデータを活用することが望ましい。
(変形例3)上記ノズルの分類方法において、曲がり急増ノズルの特定は、必須ではない。少なくとも曲がり変動ノズルを特定することができれば、着弾位置ずれに起因する混色の影響を低減することができる。
(変形例4)上記ノズルの分類方法において、ノズル情報を入手するノズル検査工程は、液滴吐出ヘッド50の機能回復を行うメンテナンス工程の後に、複数回実施してもよい。これによれば、吐出状態が不安定な不良ノズルをより的確に検出することが可能である。
(変形例5)上記ノズルの分類方法において、ノズル情報を入手するノズル検査工程は、必ずしも液滴吐出ヘッド50の機能回復を行うメンテナンス工程の後に実施しなくてもよい。例えば、1日の作業開始時や、液滴吐出装置10の休止後など液滴吐出装置10の稼動状態を考慮して実施する。これによれば、ワークWに対して液状体の吐出を行う前に、正常ノズルと不良ノズルの分類ができる。
(変形例6)上記実施形態1の液状体の吐出方法において、第1配置情報を補正する方法は、これに限定されない。例えば、画素領域に掛かる正常ノズルが少なくとも1つあれば、分類番号0〜3に該当するすべての不良ノズルを非選択として、正常ノズルから必要量の液状体を吐出するように主走査の回数を増やしてもよい。
(変形例7)上記実施形態1の液状体の吐出方法において、液滴Dの着弾位置ずれを補正する方法は、該当するノズル52の吐出タイミングを変える方法に限定されない。例えば、主走査方向における着弾位置ずれならば、ワークWと複数のノズル52との相対移動における吐出開始位置を補正してもよい。また、副走査方向における着弾位置ずれならば、副走査方向におけるヘッドユニット9の位置を補正する方法が挙げられる。
(変形例8)上記実施形態1のカラーフィルタ505の製造方法および上記実施形態2の発光素子部603の製造方法において、着色領域Aおよび発光層形成領域Aの配置は、ストライプ方式に限定されない。デルタ方式や、モザイク方式の配置であっても、上記実施形態1の液状体の吐出方法を適用することができる。また、3色の着色層505R,505G,505Bに限定されず、RGB3色に他色を加えた多色のカラーフィルタ505の製造方法においても適用可能である。
(変形例9)上記実施形態1の液状体の吐出方法を適用可能なデバイスの製造方法は、カラーフィルタの製造方法、有機EL素子の製造方法に限定されない。例えば、図6の液晶表示装置500や図13の有機EL表示装置600において、画素領域ごとに形成されるスイッチング素子の製造方法や画素電極の製造方法についても適用可能である。
18…被吐出物としての記録紙、52…ノズル、80R,80G,80B…着色層形成材料を含む液状体、100R,100G,100B…発光層形成材料を含む液状体、500…電気光学装置としての液晶表示装置、501…基板としての対向基板、505…カラーフィルタ、505R,505G,505B…着色層、600…電気光学装置としての有機EL表示装置、601…基板としての素子基板、603…有機EL素子としての発光素子部、617R,617G,617B…発光層、A…画素領域としての着色領域あるいは発光層形成領域、Lu…発光層、W…ワーク。