JP2008194576A - 液状体の吐出方法、カラーフィルタの製造方法、有機el素子の製造方法、電気光学装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い吐出量精度で液滴を吐出することができる液状体の吐出方法、カラーフィルタの製造方法、有機EL素子の製造方法、電気光学装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の液状体の吐出方法は、液滴吐出ヘッドの温度または液滴吐出ヘッドの周辺の雰囲気の温度を計測する計測工程(ステップS1)と、液滴を吐出するノズルごとに設けられたエネルギー発生手段の駆動電圧と液滴の吐出量と液滴吐出ヘッドの温度または液滴吐出ヘッドの周辺の雰囲気の温度との相関関係に従い、計測工程で計測された温度に基づいて所定の吐出量となる駆動電圧を求める演算工程(ステップS2)と、演算工程で求められた駆動電圧をエネルギー発生手段に印加して、ワーク上のパターン形成領域に液状体を液滴として吐出する吐出工程(ステップS3)と、を備えた。
【選択図】図6
【解決手段】本発明の液状体の吐出方法は、液滴吐出ヘッドの温度または液滴吐出ヘッドの周辺の雰囲気の温度を計測する計測工程(ステップS1)と、液滴を吐出するノズルごとに設けられたエネルギー発生手段の駆動電圧と液滴の吐出量と液滴吐出ヘッドの温度または液滴吐出ヘッドの周辺の雰囲気の温度との相関関係に従い、計測工程で計測された温度に基づいて所定の吐出量となる駆動電圧を求める演算工程(ステップS2)と、演算工程で求められた駆動電圧をエネルギー発生手段に印加して、ワーク上のパターン形成領域に液状体を液滴として吐出する吐出工程(ステップS3)と、を備えた。
【選択図】図6
Description
本発明は、液滴吐出法を用いた液状体の吐出方法、この方法を用いたカラーフィルタの製造方法、有機EL素子の製造方法、電気光学装置の製造方法に関する。
ワークに対して液滴を吐出する少なくとも1つの液滴吐出ヘッドと、液滴吐出ヘッドが吐出した液滴を受ける吐出量測定用液受け部とを有する液滴吐出装置と、液滴吐出装置を収容し、その内部の環境条件を調整可能なチャンバとを備えた液滴吐出システムが知られている(特許文献1)。
上記環境条件は、チャンバ内の雰囲気の温度および湿度の少なくとも一方を含み、ワークに対して液滴を吐出する際の環境条件と、液滴の吐出量を測定する際の環境条件とが同様となるように管理を行うことを特徴としている。
環境条件を制御する他の液滴吐出装置としては、高粘度液状体を入れる容器と、容器から液滴吐出ヘッドに至る流路において、高粘度液状体の温度を管理するための加熱部や温度管理部を設けた液滴吐出装置が知られている(特許文献2)。
上記液滴吐出装置において、流路の温度管理を行う一つの目的は、高粘度液状体の供給が異常なく行われる粘度を安定的に実現しようとするものである。
また、温度調整用媒体の流路を有する液滴吐出ヘッドを備えた製膜装置が知られている(特許文献3)。この製膜装置は、液滴吐出ヘッドの流路に温度調整用媒体を流すことによって、液滴吐出ヘッドに充填されたインクの温度を高精度、且つ一定状態に制御して吐出重量の変動を抑制しようとするものである。
上記液滴吐出システムにおいて、ワークに液滴を吐出する際と、液滴の吐出量を計測する際の環境条件を同様にし、計測された吐出量を基にして実際の吐出量を調整しても、液滴吐出ヘッドごとに実際の温度がわずかに異なっていた。したがって、液滴吐出ヘッドごとの液滴の吐出量にバラツキが生じていた。
また、上記液滴吐出装置のように、高粘度液状体を液滴として吐出するために、容器と液滴吐出ヘッドとの間の流路の温度管理を行っても、液滴吐出ヘッドの複数のノズルごとに吐出される液滴の吐出量が変動する場合があった。このように、これらの液滴吐出システムあるいは液滴吐出装置を用いた液状体の吐出方法では、液滴の吐出量の精度を上げることが困難であった。
また、複数の液滴吐出ヘッドから液状体を吐出する場合、上記温度調整用媒体を各液滴吐出ヘッドの流路に流す構成は、製膜装置が複雑になり、液滴吐出ヘッドごとに媒体の流量を管理することが難しくなるという課題を有している。
本発明は、上記課題を考慮してなされたものであり、高い吐出量精度で液滴を吐出することができる液状体の吐出方法、カラーフィルタの製造方法、有機EL素子の製造方法、電気光学装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の液状体の吐出方法は、液滴吐出ヘッドとワークとを対向させ、液滴吐出ヘッドの複数のノズルから機能性材料を含む液状体を液滴として吐出して、ワーク上に薄膜パターンを形成する液状体の吐出方法であって、液滴吐出ヘッドの温度または液滴吐出ヘッドの周辺の雰囲気の温度を計測する計測工程と、液滴を吐出するノズルごとに設けられたエネルギー発生手段の駆動電圧と液滴の吐出量と液滴吐出ヘッドの温度または液滴吐出ヘッドの周辺の雰囲気の温度との相関関係に従い、計測工程で計測された温度に基づいて所定の吐出量となる駆動電圧を求める演算工程と、演算工程で求められた駆動電圧をエネルギー発生手段に印加して、ワーク上のパターン形成領域に液状体を液滴として吐出する吐出工程と、を備えたことを特徴とする。
この方法によれば、計測工程において計測された温度に対応して、エネルギー発生手段に駆動電圧が印加されるので、ノズルごとに所定の吐出量の液滴を安定して吐出することができる。すなわち、高い吐出量精度で液滴を吐出することができる。
上記吐出工程において、複数の液滴吐出ヘッドから液滴を吐出し、上記計測工程では、液滴吐出ヘッドごとの温度または液滴吐出ヘッドごとの周辺の雰囲気の温度を計測し、上記演算工程では、液滴吐出ヘッドごとに、所定の吐出量となる駆動電圧を求めるとしてもよい。この方法によれば、複数の液滴吐出ヘッドを用いても高い吐出量精度で液滴を吐出することができる。
上記複数の液滴吐出ヘッドには、複数種の液状体が充填され、演算工程では、液状体の種類ごとに所定の吐出量となる駆動電圧を求めることが好ましい。この方法によれば、複数の液滴吐出ヘッドに複数種の液状体を充填して吐出しても、液状体ごとに所定の吐出量の液滴を安定して吐出することができる。
上記液滴吐出ヘッドは、複数のノズルが一定の間隔で配列した複数のノズル列を有し、ノズル列ごとに異なる流路を経由して液状体が供給され、演算工程では、ノズル列ごとに所定の吐出量となる駆動電圧を求めることが好ましい。この方法によれば、ノズル列ごとに液状体の流路が異なっていても、適正な駆動電圧が印加され、ノズル列ごとに所定の吐出量の液滴を吐出することができる。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、上記発明の液状体の吐出方法を用いて、着色層形成材料を含む少なくとも3色の液状体をワーク上の区画された着色領域に吐出する工程と、吐出された液状体を固化して少なくとも3色の着色層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。この方法によれば、必要量の液状体が着色領域ごとに吐出され、所望の光学特性を有するカラーフィルタを製造することができる。
本発明の有機EL素子の製造方法は、上記発明の液状体の吐出方法を用いて、発光層形成材料を含む少なくとも1種の液状体をワーク上の区画された発光層形成領域に吐出する工程と、吐出された液状体を固化して発光層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。この方法によれば、必要量の液状体が発光層形成領域ごとに吐出され、発光ムラや輝度ムラが少ない有機EL素子を製造することができる。
本発明の電気光学装置の製造方法は、基板上の複数の画素領域にカラーフィルタを備えた電気光学装置の製造方法であって、上記発明のカラーフィルタの製造方法を用いることを特徴とする。この方法によれば、所望の光学特性を有するカラーフィルタを備え、安定した表示品質を有する電気光学装置を製造することができる。
本発明の他の電気光学装置の製造方法は、基板上の複数の画素領域に有機EL素子を備えた電気光学装置の製造方法であって、上記発明の有機EL素子の製造方法を用いることを特徴とする。この方法によれば、発光ムラや輝度ムラが少ない安定した品質の電気光学装置を製造することができる。
(実施形態1)
本実施形態は、着色層形成材料を含む液状体をワーク上に吐出して、着色層を形成するカラーフィルタの製造方法を例に説明する。
本実施形態は、着色層形成材料を含む液状体をワーク上に吐出して、着色層を形成するカラーフィルタの製造方法を例に説明する。
<液滴吐出装置>
まず、液状体を吐出する液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置について説明する。図1は、液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図である。
まず、液状体を吐出する液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置について説明する。図1は、液滴吐出装置の構成を示す概略斜視図である。
図1に示すように、液滴吐出装置10は、ワークWを主走査方向(X軸方向)に移動させるワーク移動機構20と、ヘッドユニット9を副走査方向(Y軸方向)に移動させるヘッド移動機構30とを備えている。
ワーク移動機構20は、一対のガイドレール21と、一対のガイドレール21に沿って移動する移動台22と、移動台22上に回転機構としてのθテーブル6を介して配設されたワークWを載置するセットテーブル5とを備えている。移動台22は、ガイドレール21の内部に設けられたエアスライダとリニアモータ(図示せず)により主走査方向に移動する。セットテーブル5はワークWを吸着固定可能であると共に、θテーブル6によってワークW内の基準軸を正確に主走査方向、副走査方向に合わせることが可能となっている。
ヘッド移動機構30は、一対のガイドレール31と、一対のガイドレール31に沿って移動する移動台32とを備えている。移動台32には、回転機構7を介して吊設されたキャリッジ8が設けられている。キャリッジ8には、複数の液滴吐出ヘッド50(図2参照)が搭載されたヘッドユニット9が取り付けられている。また、液滴吐出ヘッド50に液状体を供給するための液状体供給機構(図示せず)と、複数の液滴吐出ヘッド50の電気的な駆動制御を行うための制御回路基板(図示せず)とが設けられている。移動台32がキャリッジ8をY軸方向に移動させてヘッドユニット9をワークWに対して対向配置する。
液滴吐出装置10は、上記構成の他にも、ヘッドユニット9に搭載された複数の液滴吐出ヘッド50のノズルの目詰まりの解消、ノズル面の異物や汚れの除去などのメンテナンスを行うメンテナンス機構を備えている。また、各液滴吐出ヘッド50から吐出された液状体の重量を計測する重量測定機構を備えている。メンテナンス機構および重量測定機構は、複数の液滴吐出ヘッド50を臨む位置に配設されているが図示省略した。
図2は液滴吐出ヘッドの構造を示す概略図である。同図(a)は概略分解斜視図、同図(b)はノズル部の構造を示す断面図である。図2(a)および(b)に示すように、液滴吐出ヘッド50は、液滴Dが吐出される複数のノズル52を有するノズルプレート51と、複数のノズル52がそれぞれ連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有するキャビティプレート53と、複数のキャビティ55に対応するエネルギー発生手段としての振動子59を有する振動板58とが、順に積層され接合された構造となっている。
キャビティプレート53は、ノズル52に連通するキャビティ55を区画する隔壁54を有すると共に、このキャビティ55に液状体を充填するための流路56,57を有している。流路57は、ノズルプレート51と振動板58とによって挟まれ、出来上がった空間が、液状体が貯留されるリザーバの役目を果たす。
液状体は、液状体供給機構から配管を通じて供給され、振動板58に設けられた供給孔58aを通じてリザーバに貯留された後に、流路56を通じて各キャビティ55に充填される。
図2(b)に示すように、振動子59は、ピエゾ素子59cと、ピエゾ素子59cを挟む一対の電極59a,59bとからなる圧電素子である。外部から一対の電極59a,59bに駆動電圧パルスが印加されることにより接合された振動板58を変形させる。これにより隔壁54で仕切られたキャビティ55の体積が増加して、液状体がリザーバからキャビティ55に吸引される。そして、駆動電圧パルスの印加が終了すると、振動板58は元に戻り充填された液状体を加圧する。これにより、ノズル52から液状体を液滴Dとして吐出できる構造となっている。ピエゾ素子59cへ印加される駆動電圧パルスを制御することにより、それぞれのノズル52に対して液状体の吐出制御を行うことができる。
液滴吐出ヘッド50におけるエネルギー発生手段は、圧電素子(ピエゾ素子)に限らない。振動板58を静電吸着により変位させる電気機械変換素子や、液状体を加熱してノズル52から液滴Dとして吐出させる電気熱変換素子でもよい。
図3は、ヘッドユニットにおける液滴吐出ヘッドの配置を示す平面図である。詳しくは、ワークWに対向する側から見た図である。
図3に示すように、ヘッドユニット9は、複数の液滴吐出ヘッド50が配設されるヘッドプレート9aを備えている。ヘッドプレート9aには、3つの液滴吐出ヘッド50からなるヘッド群50Aと、同じく3つの液滴吐出ヘッド50からなるヘッド群50Bの合計6個の液滴吐出ヘッド50が搭載されている。この場合、ヘッド群50AのヘッドR1(液滴吐出ヘッド50)とヘッド群50BのヘッドR2(液滴吐出ヘッド50)とは同種の液状体を吐出する。他のヘッドG1とヘッドG2、ヘッドB1とヘッドB2においても同様である。すなわち、3種の異なる液状体を吐出可能な構成となっている。
各液滴吐出ヘッド50は、ほぼ等しい間隔(およそ140μmのノズルピッチ)で配設された複数(180個)のノズル52からなるノズル列52aを有している。よって、1つの液滴吐出ヘッド50によって描画可能な描画幅をL0とし、これをノズル列52aの有効長とする。以降、ノズル列52aとは、180個のノズル52から構成されるものを指す。
この場合、ヘッドR1とヘッドR2は、主走査方向(X軸方向)から見て隣り合うノズル列52aが主走査方向と直交する副走査方向(Y軸方向)に1ノズルピッチを置いて連続するように主走査方向に並列して配設されている。したがって、同種の液状体を吐出するヘッドR1とヘッドR2の有効な描画幅L1は、描画幅L0の2倍となっている。ヘッドG1とヘッドG2、ヘッドB1とヘッドB2においても同様に主走査方向に並列して配置されている。
各液滴吐出ヘッド50には、ノズル列52aのほぼ中央付近の側面に温度センサ12が取り付けられている。各温度センサ12は、後述する制御部4(図4参照)に電気的に接続されている。温度センサ12としては、例えば、接触式の白金測温体、サーミスタ、熱電対などが挙げられる。
図4は、液滴吐出装置の制御系を示すブロック図である。図4に示すように、液滴吐出装置10の制御系は、上位コンピュータ11と、液滴吐出ヘッド50、ワーク移動機構20、ヘッド移動機構30等を駆動する各種ドライバを有する駆動部46と、駆動部46を含め液滴吐出装置10全体を統括制御する制御部4とを備えている。
駆動部46は、ワーク移動機構20およびヘッド移動機構30の各リニアモータをそれぞれ駆動制御する移動用ドライバ47と、液滴吐出ヘッド50を吐出制御するヘッドドライバ48と、メンテナンス機構の各メンテ用ユニットを駆動制御するメンテナンス用ドライバ(図示省略)と、重量測定機構の各測定ユニットを駆動制御する重量測定用ドライバ(図示省略)とを備えている。
制御部4は、CPU41と、ROM42と、RAM43と、P−CON44とを備え、これらは互いにバス45を介して接続されている。ROM42は、CPU41で処理する制御プログラム等を記憶する制御プログラム領域と、吐出動作や機能回復処理等を行うための制御データ等を記憶する制御データ領域とを有している。
RAM43は、ワークWに吐出を行うための吐出データを記憶する吐出データ記憶部、ワークWおよび液滴吐出ヘッド50の位置データを記憶する位置データ記憶部等の各種記憶部を有し、制御処理のための各種作業領域として使用される。P−CON44には、駆動部46の各種ドライバ等が接続されており、CPU41の機能を補うと共に、周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が構成されて組み込まれている。このため、P−CON44は、上位コンピュータ11からの各種指令等をそのままあるいは加工してバス45に取り込むと共に、CPU41と連動して、CPU41等からバス45に出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部46に出力する。
そして、CPU41は、ROM42内の制御プログラムに従って、P−CON44を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、RAM43内の各種データ等を処理した後、P−CON44を介して駆動部46等に各種の制御信号を出力することにより、液滴吐出装置10全体を制御している。例えば、CPU41は、液滴吐出ヘッド50、ワーク移動機構20およびヘッド移動機構30を制御して、ヘッドユニット9とワークWとを対向配置させる。そして、ヘッドユニット9とワークWとの相対移動に同期して、ヘッドユニット9に搭載された各液滴吐出ヘッド50の複数のノズル52からワークWに液状体を液滴Dとして吐出して描画を行う。この場合、X軸方向へのワークWの移動に同期して液状体を吐出することを主走査と呼び、Y軸方向にヘッドユニット9を移動させることを副走査と呼ぶ。本実施形態の液滴吐出装置10は、主走査と副走査とを組み合わせて複数回繰り返すことにより液状体を吐出描画することができる。主走査は、液滴吐出ヘッド50に対して一方向へのワークWの移動に限らず、ワークWを往復させて行うこともできる。
また、P−CON44には、各液滴吐出ヘッド50に装着された温度センサ12が接続されている。上位コンピュータ11は、温度センサ12が検出した温度に基づいて液滴吐出ヘッド50ごとに、振動子59に印加する駆動電圧パルスの電圧を設定することが可能となっている。詳しくは後述する。
図5は、液滴の吐出量と駆動電圧と温度との関係を示すグラフである。詳しくは、同図(a)は赤色の液状体、同図(b)は緑色の液状体、同図(c)は青色の液状体の液滴の吐出量と駆動電圧と温度との関係を示すグラフである。
本実施形態では、赤色(R)の着色層形成材料を含む液状体、緑色(G)の着色層形成材料を含む液状体、青色(B)の着色層形成材料を含む液状体をそれぞれ液滴吐出ヘッド50を用いて吐出する。液状体の物性、特に粘度は、主に含まれる着色層形成材料や溶媒によって異なる。また、色ごとの着色層に求められる光学特性(透過率、色度、彩度など)は、必ずしも同一ではない。よって、求められる光学特性に応じて着色層形成材料が選択され、溶媒に対する割合も異なる場合がある。また、これらの光学特性と着色層の膜厚とに相関関係があることが知られており、所定の膜厚の着色層を形成するには、これに対応した必要量の液状体を着色領域に付与しなければならない。ゆえに、異なる色の液状体ごとに、適切な吐出量(体積または重量)の液滴Dを吐出する必要がある。
本実施形態の液滴吐出装置10は重量測定機構を備えており、一定の測定条件下において液滴Dとして吐出された液状体の重量を測定することができる。これにより、測定された重量を吐出数で除することにより、1滴あたりの吐出量を求めることができる。この場合、吐出数は、ノズル52の数と吐出回数で決まる。例えば、180個のノズル52から1万回の吐出を行ってその重量を測定することにより、微量な液滴Dの吐出量Iwを液滴吐出ヘッド50ごとに求めることができる。
図5(a)に示すように、赤色(R)の着色層形成材料を含む液状体の場合、吐出量Iwと駆動電圧パルスの電圧Vh(以降、駆動電圧Vhとする)との関係は、1次関数f1(25)で表された。点Pは、駆動電圧V1のときの吐出量Iw1を示す。また、このときの温度センサ12の温度は25℃であることを示している。駆動電圧V1を上昇させれば、吐出量Iwは増加する。この場合、1次関数f1(25)の傾きは、α(R)=0.56ng/Vであった。よって、所定の範囲dに吐出量Iwを収めるための駆動電圧V2(R)をこの1次関数f1(25)から求めることができる。重量測定時の温度を25℃に対して±1℃ずらして重量測定した結果から、1次関数f1(25)は、ほぼその傾きα(R)を維持して温度シフトすることが見出された。破線で示した1次関数f1(24),f1(26)は、測定温度が24℃と26℃に対応したものである。温度センサ12が検出する温度は、液滴吐出ヘッド50の温度または液滴吐出ヘッド50の周辺の雰囲気の温度を示すと考えられ、実質的な液滴Dの吐出時における温度として捉えることができる。
図5(b)および(c)に示すように、緑色(G)の着色層形成材料を含む液状体、青色(B)の着色層形成材料を含む液状体の場合も同様な結果が得られた。すなわち、緑色(G)の液状体における吐出量Iwと駆動電圧Vhとの関係は1次関数f2で表され、その傾きは、α(G)=0.57ng/Vであった。同じく、青色(B)の液状体における吐出量Iwと駆動電圧Vhとの関係は1次関数f3で表され、その傾きは、α(G)=0.58ng/Vであった。1次関数f2(24),f2(25),f2(26),f3(24),f3(25),f3(26)は、それぞれ測定温度24℃、25℃、26℃に対応したものである。
このような液状体ごとの1次関数f1,f2,f3は、吐出データの一つとして上位コンピュータ11の記憶部に格納され、本実施形態の液状体の吐出方法において活用される。
なお、一定の温度下においてノズル52ごと吐出にされる液滴Dの吐出量(体積あるいは重量)を予め求めておけば、上記1次関数f1,f2,f3に基づいて、ノズル52ごとに液滴Dが所定の吐出量となる駆動電圧Vhを設定することも可能である。
<液状体の吐出方法>
次に、本実施形態の液状体の吐出方法について説明する。図6は、液状体の吐出方法を示すフローチャートである。
次に、本実施形態の液状体の吐出方法について説明する。図6は、液状体の吐出方法を示すフローチャートである。
本実施形態の液状体の吐出方法は、温度を計測する計測工程(ステップS1)と、計測された温度に基づいて、吐出される液滴Dが所定の吐出量となる駆動電圧Vhを求める演算工程(ステップS2)と、求められた駆動電圧Vhを振動子59に印加して液滴Dを吐出する吐出工程(ステップS3)とを備えている。
図6のステップS1は、計測工程である。ステップS1では、図4に示すように、各液滴吐出ヘッド50に取り付けられた温度センサ12が検出した温度をP−CON44を介して上位コンピュータ11が取り込む。温度情報を取り込むタイミング(時期)は、ワークWに液状体を吐出する直前に設定されている。また、検出された温度が安定した状態にあるか否か判定できるようにリアルタイム(連続的)に温度検出している。温度が安定した状態にあるか否かは、温度の変動幅を予め決めておく。例えば、本実施形態の液滴吐出装置10は、空調管理されたチャンバ内に配置されている。チャンバ内の温度は、25℃±1℃で管理されている。よって、温度の変動幅を同様に±1℃とした。
温度センサ12は、液滴吐出ヘッド50ごとに取り付けられている。すなわち、異なる色の液状体が充填された液滴吐出ヘッド50ごとの温度またはその周辺の雰囲気の温度を検出する。そして、ステップS2へ進む。
図6のステップS2は、演算工程である。ステップS2では、安定状態にあると判定した計測温度に基づき、上位コンピュータ11は、計測温度に対応した1次関数f1,f2、f3を参照して、異なる色の液状体ごと、また液滴吐出ヘッド50ごとに、液滴Dが所定の吐出量となる駆動電圧V2(R),V2(G),V2(B)を演算して求める。そして、ステップS3へ進む。
図6のステップS3は、吐出工程である。ステップS3では、ステップS2で求められた駆動電圧V2(R),V2(G),V2(B)を対応する液滴吐出ヘッド50の振動子59に印加して複数のノズル52から液滴Dを吐出する。これにより、液状体ごとに所定の吐出量の液滴Dが吐出される。なお、液滴DをワークWに対してどのように(吐出位置、吐出回数)吐出するかは、液滴吐出ヘッド50とワークWとを相対移動させる主走査に対応した吐出データとしてのビットマップにより設定される。ビットマップは、液状体をワークW上のパターン形成領域に付与することにより形成される薄膜パターンを液滴Dの配置として表したものである。
このような液状体の吐出方法によれば、液滴吐出ヘッド50またはその周辺の雰囲気の温度に対応して液状体ごとに所定の吐出量の液滴Dが必要な回数吐出される。すなわち、必要量の液状体をパターン形成領域(後述する画素領域に相当)に付与することが可能である。
次に、上記液状体の吐出方法を適用したカラーフィルタの製造方法について図7および図8に基づいて説明する。
<液晶表示装置およびその製造方法>
図7は、液晶表示装置の構造を示す概略分解斜視図である。まず、カラーフィルタを有する電気光学装置としての液晶表示装置とその製造方法について簡単に説明する。
図7は、液晶表示装置の構造を示す概略分解斜視図である。まず、カラーフィルタを有する電気光学装置としての液晶表示装置とその製造方法について簡単に説明する。
図7に示すように、液晶表示装置500は、TFT(Thin Film Transistor)透過型の液晶表示パネル520と、液晶表示パネル520を照明する照明装置516とを備えている。液晶表示パネル520は、3色の着色層を有するカラーフィルタ505を具備する対向基板501と、画素電極510に3端子のうちの1つが接続されたTFT素子511を有する素子基板508と、対向基板501と素子基板508とによって挟持された液晶(図示省略)とを備えている。また、液晶表示パネル520の外面側となる対向基板501と素子基板508の表面には、透過する光を偏向させる上偏光板514と下偏光板515とが配設される。
対向基板501は、透明なガラス等の材料からなり、液晶を挟む表面側に複数の画素領域としての着色領域をマトリクス状に区画する隔壁部としてのバンク504と、区画された複数の着色領域にRGB3色の着色層505R,505G,505Bとを備えている。バンク504は、Crなどの遮光性を有する金属あるいはその酸化膜からなるブラックマトリクスと呼ばれる下層バンク502と、下層バンク502の上(図面では下向き)に形成された有機化合物からなる上層バンク503とにより構成されている。また対向基板501は、バンク504とバンク504によって区画された着色層505R,505G,505Bとを覆う平坦化層としてのオーバーコート層(OC層)506と、OC層506を覆うように形成されたITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなる対向電極507とを備えている。カラーフィルタ505は後述するカラーフィルタの製造方法を用いて製造されている。
素子基板508は、同じく透明なガラス等の材料からなり、液晶を挟む表面側に絶縁膜509を介してマトリクス状に形成された画素電極510と、画素電極510に対応して形成された複数のTFT素子511とを備えている。TFT素子511の3端子のうち、画素電極510に接続されない他の2端子は、互いに絶縁された状態で画素電極510を囲むように格子状に配設された走査線512とデータ線513とに接続されている。
照明装置516は、光源として白色のLED、EL、冷陰極管等を用い、これらの光源からの光を液晶表示パネル520に向かって出射することができる導光板や拡散板、反射板等の構成を備えたものであれば、どのようなものでもよい。
なお、液晶を挟む対向基板501と素子基板508の表面には、液晶の分子を所定の方向に配列させるための配向膜がそれぞれ形成されているが、図示省略した。また、上偏光板514と下偏光板515は、視角依存性を改善する目的等で用いられる位相差フィルムなどの光学機能性フィルムと組み合わされたものでもよい。液晶表示パネル520は、アクティブ素子としてTFT素子に限らずTFD(Thin Film Diode)素子を有したものでもよく、さらには、少なくとも一方の基板にカラーフィルタを備えるものであれば、画素を構成する電極が互いに交差するように配置されるパッシブ型の液晶表示装置でもよい。
上記液晶表示装置500は、カラーフィルタ505を備えた対向基板501がマトリクス状に複数区画形成されたマザー基板と、同じく素子基板508がマトリクス状に複数区画形成された他のマザー基板とが液晶を挟んで接合された構造体を所定の位置で切断して取り出すことにより製造される。
<カラーフィルタの製造方法>
図8(a)〜(e)は、カラーフィルタの製造方法を示す概略断面図である。上記3色の着色層505R,505G,505Bを有するカラーフィルタ505の製造方法は、対向基板501の表面にバンク504を形成する工程と、バンク504によって区画された着色領域Aを表面処理する工程とを備えている。また、表面処理された着色領域Aに着色層形成材料を含む3種(3色)の液状体を液滴Dとして吐出する吐出工程と、吐出された液状体を乾燥して着色層505R,505G,505Bを形成する固化工程としての成膜工程とを備えている。さらにバンク504と着色層505R,505G,505Bとを覆うようにOC層506を形成する工程と、OC層506を覆うようにITOからなる透明な対向電極507を形成する工程とを備えている。
図8(a)〜(e)は、カラーフィルタの製造方法を示す概略断面図である。上記3色の着色層505R,505G,505Bを有するカラーフィルタ505の製造方法は、対向基板501の表面にバンク504を形成する工程と、バンク504によって区画された着色領域Aを表面処理する工程とを備えている。また、表面処理された着色領域Aに着色層形成材料を含む3種(3色)の液状体を液滴Dとして吐出する吐出工程と、吐出された液状体を乾燥して着色層505R,505G,505Bを形成する固化工程としての成膜工程とを備えている。さらにバンク504と着色層505R,505G,505Bとを覆うようにOC層506を形成する工程と、OC層506を覆うようにITOからなる透明な対向電極507を形成する工程とを備えている。
バンク504を形成する工程では、図8(a)に示すように、まずブラックマトリクスとしての下層バンク502を対向基板501上に形成する。下層バンク502の材料は、例えば、Cr、Ni、Al等の不透明な金属、あるいはこれらの金属の酸化物等の化合物を用いることができる。下層バンク502の形成方法としては、蒸着法あるいはスパッタ法で上記材料からなる膜を対向基板501上に成膜する。膜厚は、遮光性が保たれる膜厚を選定された材料に応じて設定すればよい。例えば、Crならば、100〜200nmが好ましい。そして、フォトリソグラフィ法により開口部502a(図7参照)に対応する部分以外の膜表面をレジストで覆い、上記材料に対応する酸等のエッチング液を用いて膜をエッチングする。これにより開口部502aを有する下層バンク502が形成される。
次に上層バンク503を下層バンク502の上に形成する。上層バンク503の材料としては、アクリル系の感光性樹脂材料を用いることができる。また、感光性樹脂材料は、遮光性を有することが好ましい。上層バンク503の形成方法としては、例えば、下層バンク502が形成された対向基板501の表面に感光性樹脂材料をロールコート法やスピンコート法で塗布し、乾燥させて厚みがおよそ2μmの感光性樹脂層を形成する。そして、着色領域Aに対応した大きさで開口部が設けられたマスクを対向基板501と所定の位置で対向させて露光・現像することにより、上層バンク503を形成する方法が挙げられる。これにより対向基板501上に複数の着色領域Aをマトリクス状に区画するバンク504が形成される。そして表面処理工程へ進む。
表面処理工程では、O2を処理ガスとするプラズマ処理とフッソ系ガスを処理ガスとするプラズマ処理とを行う。すなわち、着色領域Aが親液処理され、その後感光性樹脂からなる上層バンク503の表面(壁面を含む)が撥液処理される。そして、吐出工程へ進む。
吐出工程では、図8(b)に示すように、表面処理された各着色領域Aのそれぞれに、対応する液状体80R,80G,80Bを液滴Dとして吐出する。液状体80Rは赤色(R)の着色層形成材料を含むものであり、液状体80Gは緑色(G)の着色層形成材料を含むものであり、液状体80Bは青色(B)の着色層形成材料を含むものである。液滴吐出装置10の各液滴吐出ヘッド50に液状体80R,80G,80Bを充填する。そして、ヘッドユニット9とワークWとを相対移動させる主走査に同期して各液滴吐出ヘッド50から液状体80R,80G,80Bを着色領域Aに向けて吐出する。液状体80R,80G,80Bを吐出する方法は、上記液状体の吐出方法を用いているので、液滴吐出ヘッド50またはその周辺の雰囲気の温度に対応して、液状体80R,80G,80Bごと且つ液滴吐出ヘッド50ごとに駆動電圧Vhが設定される。よって、各色の着色領域Aに対応して必要量の液状体80R,80G,80Bが付与される。
次に成膜工程では、図8(c)に示すように、吐出された液状体80R,80G,80Bを一括乾燥し、溶剤成分を除去して着色層505R,505G,505Bを成膜する。乾燥方法としては、溶剤成分を均質に乾燥可能な減圧乾燥などの方法が望ましい。そして、OC層形成工程へ進む。
OC層形成工程では、図8(d)に示すように、着色層505R,505G,505Bと上層バンク503とを覆うようにOC層506を形成する。OC層506の材料としては、透明なアクリル系樹脂材料を用いることができる。形成方法としては、スピンコート法、オフセット印刷などの方法が挙げられる。OC層506は、着色層505R,505G,505Bが形成された対向基板501の表面の凹凸を緩和して、後にこの表面に膜付けされる対向電極507を平担化するために設けられている。また、対向電極507との密着性を確保するために、OC層506の上にさらにSiO2などの薄膜を形成してもよい。そして、透明電極形成工程へ進む。なお、着色層505R,505G,505Bが形成された対向基板501の表面が比較的に平坦であれば、OC層506は必須ではない。
透明電極形成工程では、図8(e)に示すように、スパッタ法や蒸着法を用いてITOなどの透明電極材料を真空中で成膜して、OC層506を覆うように全面に対向電極507を形成する。
上記実施形態1の効果は、以下の通りである。
(1)上記液状体の吐出方法は、液滴吐出ヘッド50ごとに取り付けられた温度センサ12により検出された温度と、異なる色の液状体ごとの1次関数f1,f2,f3とに基づいて、液滴Dが所定の吐出量となるように、エネルギー発生手段としての振動子59に印加する駆動電圧V2(R),V2(G),V2(B)を設定する。したがって、異なる色の液状体ごとに必要量を液滴Dとして吐出することができる。すなわち、液滴吐出ヘッド50の温度またはその周辺の雰囲気の温度に対応して、高い吐出量精度で吐出を行うことができる。
(1)上記液状体の吐出方法は、液滴吐出ヘッド50ごとに取り付けられた温度センサ12により検出された温度と、異なる色の液状体ごとの1次関数f1,f2,f3とに基づいて、液滴Dが所定の吐出量となるように、エネルギー発生手段としての振動子59に印加する駆動電圧V2(R),V2(G),V2(B)を設定する。したがって、異なる色の液状体ごとに必要量を液滴Dとして吐出することができる。すなわち、液滴吐出ヘッド50の温度またはその周辺の雰囲気の温度に対応して、高い吐出量精度で吐出を行うことができる。
(2)上記カラーフィルタ505の製造方法は、上記液状体の吐出方法を用い、3色の液状体80R,80G,80Bを吐出する。したがって、3色の着色領域Aごとに対応する必要量の液状体80R,80G,80Bが安定して付与される。ゆえに、所望の光学特性を有するカラーフィルタ505を製造することができる。
(3)上記液晶表示装置500の製造方法は、上記カラーフィルタ505の製造方法を用いているので、安定したカラー表示品質を有する液晶表示装置500を製造することができる。
(実施形態2)
次に、上記実施形態1の液状体の吐出方法を適用した他の実施形態として、発光層を有する有機EL素子の製造方法について説明する。
次に、上記実施形態1の液状体の吐出方法を適用した他の実施形態として、発光層を有する有機EL素子の製造方法について説明する。
<有機EL表示装置およびその製造方法>
まず、有機EL素子を有する有機EL表示装置とその製造方法について簡単に説明する。図9は、有機EL表示装置の要部構造を示す概略断面図である。図9に示すように、有機EL表示装置600は、有機EL素子としての発光素子部603を有する素子基板601と、素子基板601と空間622を隔てて封着された封止基板620とを備えている。また素子基板601は、素子基板601上に回路素子部602を備えており、発光素子部603は、回路素子部602上に重畳して形成され、回路素子部602により駆動されるものである。発光素子部603には、3色の発光層617R,617G,617Bが画素領域としての発光層形成領域Aに形成され、ストライプ状となっている。素子基板601は、3色の発光層617R,617G,617Bに対応する3つの発光層形成領域Aを1組の絵素とし、この絵素が素子基板601の回路素子部602上にマトリクス状に配置されたものである。有機EL表示装置600は、発光素子部603からの発光が素子基板601側に出射するものである。
まず、有機EL素子を有する有機EL表示装置とその製造方法について簡単に説明する。図9は、有機EL表示装置の要部構造を示す概略断面図である。図9に示すように、有機EL表示装置600は、有機EL素子としての発光素子部603を有する素子基板601と、素子基板601と空間622を隔てて封着された封止基板620とを備えている。また素子基板601は、素子基板601上に回路素子部602を備えており、発光素子部603は、回路素子部602上に重畳して形成され、回路素子部602により駆動されるものである。発光素子部603には、3色の発光層617R,617G,617Bが画素領域としての発光層形成領域Aに形成され、ストライプ状となっている。素子基板601は、3色の発光層617R,617G,617Bに対応する3つの発光層形成領域Aを1組の絵素とし、この絵素が素子基板601の回路素子部602上にマトリクス状に配置されたものである。有機EL表示装置600は、発光素子部603からの発光が素子基板601側に出射するものである。
封止基板620は、ガラスまたは金属からなるもので、封止樹脂を介して素子基板601に接合されており、封止された内側の表面には、ゲッター剤621が貼り付けられている。ゲッター剤621は、素子基板601と封止基板620との間の空間622に侵入した水または酸素を吸収して、発光素子部603が侵入した水または酸素によって劣化することを防ぐものである。なお、このゲッター剤621は省略しても良い。
素子基板601は、回路素子部602上に複数の画素領域としての発光層形成領域Aを有するものであって、複数の発光層形成領域Aを区画する隔壁部618と、複数の発光層形成領域Aに形成された電極613と、電極613に積層された正孔注入/輸送層617aとを備えている。また複数の発光層形成領域A内に発光層形成材料を含む3種の液状体を付与して形成された発光層617R,617G,617Bを有する発光素子部603を備えている。隔壁部618は、下層バンク618aと発光層形成領域Aを実質的に区画する上層バンク618bとからなり、下層バンク618aは、発光層形成領域Aの内側に張り出すように設けられて、電極613と発光層617R,617G,617Bとが直接接触して電気的に短絡することを防止するためにSiO2等の無機絶縁材料により形成されている。
素子基板601は、例えばガラス等の透明な基板からなり、素子基板601上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜606が形成され、この下地保護膜606上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜607が形成されている。半導体膜607には、ソース領域607aおよびドレイン領域607bが高濃度Pイオン打ち込みにより形成されている。なお、Pイオンが導入されなかった部分がチャネル領域607cとなっている。さらに下地保護膜606および半導体膜607を覆う透明なゲート絶縁膜608が形成され、ゲート絶縁膜608上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極609が形成され、ゲート電極609およびゲート絶縁膜608上には透明な第1層間絶縁膜611aと第2層間絶縁膜611bが形成されている。ゲート電極609は半導体膜607のチャネル領域607cに対応する位置に設けられている。また、第1層間絶縁膜611aおよび第2層間絶縁膜611bを貫通して、半導体膜607のソース領域607a、ドレイン領域607bにそれぞれ接続されるコンタクトホール612a,612bが形成されている。そして、第2層間絶縁膜611b上に、ITO等からなる透明な電極613が所定の形状にパターニングされて配置され、一方のコンタクトホール612aがこの電極613に接続されている。また、もう一方のコンタクトホール612bが電源線614に接続されている。このようにして、回路素子部602には、各電極613に接続された駆動用の薄膜トランジスタ615が形成されている。なお、回路素子部602には、保持容量とスイッチング用の薄膜トランジスタも形成されているが、図9ではこれらの図示を省略している。
発光素子部603は、陽極としての電極613と、電極613上に順次積層された正孔注入/輸送層617a、各発光層617R,617G,617B(総称して発光層Lu)と、上層バンク618bおよび発光層Luを覆うように積層された陰極604とを備えている。正孔注入/輸送層617aと発光層Luとにより発光が励起される機能層617を構成している。なお、陰極604と封止基板620およびゲッター剤621を透明な材料で構成すれば、封止基板620側から発光する光を出射させることができる。
有機EL表示装置600は、ゲート電極609に接続された走査線(図示省略)とソース領域607aに接続された信号線(図示省略)とを有し、走査線に伝わった走査信号によりスイッチング用の薄膜トランジスタ(図示省略)がオンになると、そのときの信号線の電位が保持容量に保持され、該保持容量の状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ615のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ615のチャネル領域607cを介して、電源線614から電極613に電流が流れ、さらに正孔注入/輸送層617aと発光層Luとを介して陰極604に電流が流れる。発光層Luは、これを流れる電流量に応じて発光する。有機EL表示装置600は、このような発光素子部603の発光メカニズムにより、所望の文字や画像などを表示することができる。
<有機EL素子の製造方法>
次に本実施形態の有機EL素子としての発光素子部の製造方法について図10に基づいて説明する。図10(a)〜(f)は、発光素子部の製造方法を示す概略断面図である。なお、図10(a)〜(f)においては、素子基板601上に形成された回路素子部602は、図示を省略している。
次に本実施形態の有機EL素子としての発光素子部の製造方法について図10に基づいて説明する。図10(a)〜(f)は、発光素子部の製造方法を示す概略断面図である。なお、図10(a)〜(f)においては、素子基板601上に形成された回路素子部602は、図示を省略している。
本実施形態の発光素子部603の製造方法は、素子基板601の複数の発光層形成領域Aに対応する位置に電極613を形成する工程と、電極613に一部が掛かるように下層バンク618aを形成し、さらに下層バンク618a上に実質的に発光層形成領域Aを区画するように上層バンク618bを形成する隔壁部形成工程とを備えている。また上層バンク618bで区画された発光層形成領域Aの表面処理を行う工程と、表面処理された発光層形成領域Aに正孔注入/輸送層形成材料を含む液状体を吐出する工程と、吐出された液状体を乾燥して正孔注入/輸送層617aを成膜する工程とを備えている。また、正孔注入/輸送層617aが形成された発光層形成領域Aの表面処理を行う工程と、表面処理された発光層形成領域Aに発光層形成材料を含む3種の液状体を吐出する吐出工程と、吐出された3種の液状体を乾燥して発光層Luを形成する固化工程とを備えている。さらに、上層バンク618bと発光層Luを覆うように陰極604を形成する工程を備えている。
電極(陽極)形成工程では、図10(a)に示すように、回路素子部602がすでに形成された素子基板601の発光層形成領域Aに対応する位置に電極613を形成する。形成方法としては、例えば、素子基板601の表面にITO等の透明電極材料を用いて真空中でスパッタ法あるいは蒸着法で透明電極膜を形成する。その後、フォトリソグラフィ法にて必要な部分だけを残してエッチングして電極613を形成する方法が挙げられる。また、フォトレジストで素子基板601を先に覆って、電極613を形成する領域が開口するように露光・現像する。そして開口部にITO等の透明電極膜を形成し、残存したフォトレジストを除く方法でもよい。そして隔壁部形成工程へ進む。
隔壁部形成工程では、図10(b)に示すように、素子基板601の複数の電極613の一部を覆うように下層バンク618aを形成する。下層バンク618aの材料としては、無機材料である絶縁性のSiO2(酸化珪素)を用いている。下層バンク618aの形成方法としては、例えば、後に形成される発光層Luに対応して、各電極613の表面をレジスト等を用いてマスキングする。そしてマスキングされた素子基板601を真空装置に投入し、SiO2をターゲットあるいは原料としてスパッタリングや真空蒸着することにより下層バンク618aを形成する方法が挙げられる。レジスト等のマスキングは、後に剥離する。なお、下層バンク618aは、SiO2により形成されているため、その膜厚が200nm以下であれば十分な透明性を有しており、後に正孔注入/輸送層617aおよび発光層Luが積層されても発光を阻害することはない。
続いて、発光層形成領域Aを実質的に区画するように下層バンク618aの上に上層バンク618bを形成する。上層バンク618bの材料としては、後述する発光層形成材料を含む3種の液状体100R,100G,100Bの溶媒に対して耐久性を有するものであることが望ましく、さらに、フッソ系ガスを処理ガスとするプラズマ処理により撥液化できること、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、感光性ポリイミドなどといった有機材料が好ましい。上層バンク618bの形成方法としては、例えば、下層バンク618aが形成された素子基板601の表面に感光性の上記有機材料をロールコート法やスピンコート法で塗布し、乾燥させて厚みがおよそ2μmの感光性樹脂層を形成する。そして、発光層形成領域Aに対応した大きさで開口部が設けられたマスクを素子基板601と所定の位置で対向させて露光・現像することにより、上層バンク618bを形成する方法が挙げられる。これにより下層バンク618aと上層バンク618bとを有する隔壁部618が形成される。そして、表面処理工程へ進む。
発光層形成領域Aを表面処理する工程では、隔壁部618が形成された素子基板601の表面を、まずO2ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより電極613の表面、下層バンク618aの張り出し部および上層バンク618bの表面(壁面を含む)を活性化させて親液処理する。次にCF4等のフッ素系ガスを処理ガスとしてプラズマ処理する。これにより有機材料である感光性樹脂からなる上層バンク618bの表面のみにフッ素系ガスが反応して撥液処理される。そして、正孔注入/輸送層形成工程へ進む。
正孔注入/輸送層形成工程では、図10(c)に示すように、正孔注入/輸送層形成材料を含む液状体90を発光層形成領域Aに付与する。液状体90を付与する方法としては、上記実施形態1の液状体の吐出方法を用いる。液滴吐出ヘッド50から吐出された液状体90は、液滴Dとして素子基板601の電極613に着弾して濡れ拡がる。液状体90は発光層形成領域Aの面積に応じて必要量が液滴Dとして吐出される。そして乾燥・成膜工程へ進む。
乾燥・成膜工程では、素子基板601を例えばランプアニール等の方法で加熱することにより、液状体90の溶媒成分を乾燥させて除去し、電極613の下層バンク618aにより区画された領域に正孔注入/輸送層617aが形成される。本実施形態では、正孔注入/輸送層形成材料としてPEDOT(Polyethylene Dioxy Thiophene;ポリエチレンジオキシチオフェン)を用いた。なお、この場合、各発光層形成領域Aに同一材料からなる正孔注入/輸送層617aを形成したが、後に形成される発光層Luに対応して正孔注入/輸送層617aの材料を発光層形成領域Aごとに変えてもよい。そして次の表面処理工程へ進む。
次の表面処理工程では、上記の正孔注入/輸送層形成材料を用いて正孔注入/輸送層617aを形成した場合、その表面が、3種の液状体100R,100G,100Bに対して撥液性を有するので、少なくとも発光層形成領域Aの領域内を再び親液性を有するように表面処理を行う。表面処理の方法としては、3種の液状体100R,100G,100Bに用いられる溶媒を塗布して乾燥する。溶媒の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法等の方法が挙げられる。そして発光層Luの吐出工程へ進む。
発光層Luの吐出工程では、図10(d)に示すように、液滴吐出装置10を用いて複数の液滴吐出ヘッド50から複数の発光層形成領域Aに発光層形成材料を含む3種の液状体100R,100G,100Bを付与する。液状体100Rは発光層617R(赤色)を形成する材料を含み、液状体100Gは発光層617G(緑色)を形成する材料を含み、液状体100Bは発光層617B(青色)を形成する材料を含んでいる。液状体100R,100G,100Bの発光層形成領域Aへの付与は、上記実施形態1の液状体の吐出方法を用いて行う。必要量の液状体100R,100G,100Bがそれぞれ対応する発光層形成領域Aに液滴Dとして吐出される。そして、固化工程へ進む。
固化工程では、図10(e)に示すように、吐出された液状体100R,100G,100Bの溶媒成分を乾燥させて除去し、発光層形成領域Aの正孔注入/輸送層617aに発光層617R,617G,617Bが積層されるように成膜化する。液状体100R,100G,100Bが吐出された素子基板601の乾燥方法としては、溶媒の蒸発速度をほぼ一定とすることが可能な、減圧乾燥が好ましい。そして陰極形成工程へ進む。
陰極形成工程では、図10(f)に示すように、素子基板601の発光層617R,617G,617Bと上層バンク618bの表面とを覆うように陰極604を形成する。陰極604の材料としては、Ca、Ba、Al等の金属やLiF等のフッ化物を組み合わせて用いるのが好ましい。特に発光層617R,617G,617Bに近い側に仕事関数が小さいCa、Ba、LiFの膜を形成し、遠い側に仕事関数が大きいAl等の膜を形成するのが好ましい。また、陰極604の上にSiO2、SiN等の保護層を積層してもよい。このようにすれば、陰極604の酸化を防止することができる。陰極604の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、CVD法等が挙げられる。特に発光層617R,617G,617Bの熱による損傷を防止できるという点では、蒸着法が好ましい。
このようにして出来上がった素子基板601は、必要量の液状体100R,100G,100Bが対応する発光層形成領域Aに付与され、成膜化後の膜厚がほぼ一定となった発光層617R,617G,617Bを有する。
上記実施形態2の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態2の発光素子部603の製造方法において、発光層Luの吐出工程では、上記実施形態1の液状体の吐出方法を用いて素子基板601の発光層形成領域Aに、必要量の液状体100R,100G,100Bが液滴Dとして吐出される。したがって、成膜化後の膜厚がほぼ一定となった発光層617R,617G,617Bを有する発光素子部603を歩留りよく製造することができる。
(1)上記実施形態2の発光素子部603の製造方法において、発光層Luの吐出工程では、上記実施形態1の液状体の吐出方法を用いて素子基板601の発光層形成領域Aに、必要量の液状体100R,100G,100Bが液滴Dとして吐出される。したがって、成膜化後の膜厚がほぼ一定となった発光層617R,617G,617Bを有する発光素子部603を歩留りよく製造することができる。
(2)上記実施形態2の有機EL表示装置の製造方法において、上記発光素子部603の製造方法により製造された素子基板601を用いれば、発光層617R,617G,617Bごとの膜厚がほぼ一定であるため、発光層617R,617G,617Bごとの抵抗がほぼ一定となる。よって、発光層617R,617G,617Bごとの抵抗ムラによる発光ムラや輝度ムラ等が低減される。すなわち、発光ムラや輝度ムラ等が少なく、見映えのよい表示品質を有する有機EL表示装置600を製造することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記実施形態以外の変形例は、以下の通りである。
(変形例1)上記実施形態1の液滴吐出装置10において、液滴吐出ヘッド50はこれに限定されない。図11は、変形例の液滴吐出ヘッドを示す概略図である。同図(a)は概略斜視図、同図(b)はノズルプレートを示す概略平面図である。例えば、同図(a)に示すように、液滴吐出ヘッド70は、2つの接続針72a,72bを有する液導入部71と、一対のコネクタ79を有するヘッド基板73とヘッド本体74と、複数のノズル78を有するノズルプレート76とを備えている。ノズルプレート76のノズル面76aには、多連(2連)のノズル列77a,77bが形成されている。同図(b)に示すように、ノズル列77a,77bは、ノズルピッチP1で配列した複数のノズル78が半ノズルピッチP2ずれた状態で千鳥状に形成されている。接続針72aを経由してヘッド本体74内部に形成された第1の流路を通過した液状体は、ノズル列77aの複数のノズル78から液滴として吐出される。一方接続針72bを経由してヘッド本体74内部に形成された第2の流路を通過した液状体は、ノズル列77bの複数のノズル78から液滴として吐出される。このように異なる流路に繋がったノズル列77a,77bから吐出される液滴は、液状体の粘度(温度)や液滴吐出ヘッド70のエネルギー発生手段に印加される駆動電圧Vhが同一であっても、その吐出量がノズル列77a,77bごとに異なる場合がある。その要因の一つとしては、液状体に対する流路抵抗の違いが挙げられる。このような液滴吐出ヘッド70を用いる場合には、上記実施形態1の液状体の吐出方法において、流路が異なるノズル列77a,77bごとに駆動電圧Vhを設定することが望ましい。これによれば、液滴吐出ヘッド70またはその周辺の雰囲気の温度に対応して、ノズル列77a,77bが異なっても複数のノズル78から所定の吐出量の液滴を吐出することができる。
(変形例2)上記実施形態1の液状体の吐出方法において、液滴吐出ヘッド50またはその周辺の雰囲気の温度を計測し、その計測結果を吐出工程にフィードバックする方法は、これに限定されない。例えば、ワークWに液滴Dを吐出する主走査を複数回に渡って繰り返す場合は、リアルタイムに計測された計測結果を基に所定の吐出量の液滴Dが吐出されるように主走査ごとに駆動電圧Vhの設定を行ってもよい。これによれば、より高い吐出量精度で液滴Dを吐出することができる。
(変形例3)上記液滴吐出装置10において、液滴吐出ヘッド50またはその周辺の雰囲気の温度を計測する方法は、接触式の温度センサ12に限定されない。例えば、非接触式の感熱センサを用いてもよい。
(変形例4)上記実施形態1のカラーフィルタ505の製造方法および上記実施形態2の発光素子部603の製造方法において、着色領域Aおよび発光層形成領域Aの配置は、ストライプ方式に限定されない。デルタ方式や、モザイク方式の配置であっても、上記実施形態1の液状体の吐出方法を適用することができる。また、3色の着色層505R,505G,505Bに限定されず、RGB3色に他色を加えた多色のカラーフィルタ505の製造方法においても適用可能である。
(変形例5)上記実施形態1の液状体の吐出方法を適用可能なデバイスの製造方法は、カラーフィルタ505の製造方法、発光素子部603の製造方法に限定されない。例えば、図7の液晶表示装置500や図9の有機EL表示装置600において、画素領域ごとに形成されるスイッチング素子の製造方法や画素電極の製造方法についても適用可能である。また、液状体の種類は、複数種に限定されず、例えば、図7の液晶表示装置500の製造において、配向膜形成材料を含む液状体を配向膜形成領域に付与して配向膜を形成する方法、シール材により区画された塗布領域に液状体としての液晶を液滴として塗布する塗布方法についても適用可能である。
(変形例6)上記実施形態1の液状体の吐出方法において、液滴吐出ヘッド50を用いた駆動電圧Vhと液滴Dの吐出量Iwと液滴吐出ヘッド50の温度または液滴吐出ヘッド50の周辺の雰囲気の温度との相関関係は、1次関数に限定されない。予測される温度範囲において、液状体の種類に応じて相関関係を求めておけばよい。
50,70…液滴吐出ヘッド、52,78…ノズル、52a,77a,77b…ノズル列、80R,80G,80B…着色層形成材料を含む3色の液状体、100R,100G,100B…発光層形成材料を含む液状体、505…カラーフィルタ、505R,505G,505B…着色層、617R,617G,617B…発光層、A…パターン形成領域または画素領域としての着色領域または発光層形成領域、D…液滴、Iw…液滴の吐出量、Vh…駆動電圧、W…ワーク。
Claims (8)
- 液滴吐出ヘッドとワークとを対向させ、前記液滴吐出ヘッドの複数のノズルから機能性材料を含む液状体を液滴として吐出して、前記ワーク上に薄膜パターンを形成する液状体の吐出方法であって、
前記液滴吐出ヘッドの温度または前記液滴吐出ヘッドの周辺の雰囲気の温度を計測する計測工程と、
前記液滴を吐出する前記ノズルごとに設けられたエネルギー発生手段の駆動電圧と前記液滴の吐出量と前記液滴吐出ヘッドの温度または前記液滴吐出ヘッドの周辺の雰囲気の温度との相関関係に従い、前記計測工程で計測された温度に基づいて所定の吐出量となる前記駆動電圧を求める演算工程と、
前記演算工程で求められた前記駆動電圧を前記エネルギー発生手段に印加して、前記ワーク上のパターン形成領域に前記液状体を前記液滴として吐出する吐出工程と、を備えたことを特徴とする液状体の吐出方法。 - 前記吐出工程において、複数の前記液滴吐出ヘッドから前記液滴を吐出し、
前記計測工程では、前記液滴吐出ヘッドごとの温度または前記液滴吐出ヘッドごとの周辺の雰囲気の温度を計測し、
前記演算工程では、前記液滴吐出ヘッドごとに、前記所定の吐出量となる前記駆動電圧を求めることを特徴とする請求項1に記載の液状体の吐出方法。 - 複数の前記液滴吐出ヘッドには、複数種の前記液状体が充填され、
前記演算工程では、前記液状体の種類ごとに前記所定の吐出量となる前記駆動電圧を求めることを特徴とする請求項2に記載の液状体の吐出方法。 - 前記液滴吐出ヘッドは、複数のノズルが一定の間隔で配列した複数のノズル列を有し、前記ノズル列ごとに異なる流路を経由して前記液状体が供給され、
前記演算工程では、前記ノズル列ごとに前記所定の吐出量となる前記駆動電圧を求めることを特徴とする請求項3に記載の液状体の吐出方法。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液状体の吐出方法を用いて、着色層形成材料を含む少なくとも3色の液状体をワーク上の区画された着色領域に吐出する工程と、
吐出された前記液状体を固化して少なくとも3色の着色層を形成する工程と、を備えたことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液状体の吐出方法を用いて、発光層形成材料を含む少なくとも1種の液状体をワーク上の区画された発光層形成領域に吐出する工程と、
吐出された前記液状体を固化して発光層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする有機EL素子の製造方法。 - 基板上の複数の画素領域にカラーフィルタを備えた電気光学装置の製造方法であって、
請求項5に記載のカラーフィルタの製造方法を用いることを特徴とする電気光学装置の製造方法。 - 基板上の複数の画素領域に有機EL素子を備えた電気光学装置の製造方法であって、
請求項6に記載の有機EL素子の製造方法を用いることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
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