JP4982859B2 - 有機皮膜の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機材料粉末を固体基材の表面に固着させて有機皮膜を形成する有機皮膜の形成方法に関する。
従来、有機材料粉末として、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフルオロポリマーを、固体基材の表面に固着させる方法として、溶射による方法が知られている(特開2002−60432号公報等参照)。これは、フルオロポリマーをガス燃焼で発生した火炎中で皮膜として塗布するもので、フルオロポリマーは火炎中で急速加熱を受けて、融解状態で塗布されるべき固体基材に達し、これにより、フルオロポリマー皮膜を固体基材に形成するものである。燃焼ガスとして、水素、アセチレン及びメタン等を用いる。
特開2002−60432号公報
ところで、このような有機皮膜の形成方法にあっては、フルオロポリマーを高温のガス燃焼で発生した火炎中で融解状態にしているので、有機材料の劣化が少なからず生じてしまうという問題があった。また、固体基材との結合力も必ずしも良好とはいえない。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、有機材料粉末を低温溶射により固体基材に固着できるようにし、有機材料の劣化を抑止するとともに、低温溶射であっても固体基材に確実に固着できるようにして結合強度の向上を図った有機皮膜の形成方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明の有機皮膜の形成方法は、有機材料粉末を固体基材の表面に固着させて有機皮膜を形成する有機皮膜の形成方法において、材料粉末をその融点より低い温度に加温したガスに投入し該ガスを超音速流にして固体基材に対して噴射させるコールドスプレー方法を用い、上記有機材料粉末に該有機材料粉末より硬度が高い無機材料粉末を混合し、該無機材料粉末を混合した混合物における上記有機材料粉末の容積率を10〜70%にした構成としている。望ましくは、有機材料粉末の容積率は10〜50%である。
また、ガスの加温温度は、有機材料粉末の融点より低い温度であって、有機材料粉末の軟化温度が望ましい。軟化温度とは、例えば、有機材料粉末が流動性をもつ柔らかな状態となる温度と定義される。
これにより、固体基材に有機皮膜を形成するときは、コールドスプレー方法により、有機材料粉末に無機材料粉末を混合した混合物を、加温したガスに投入し、ガスを超音速流にして固体基材に対して噴射させる。有機材料粉末は無機材料粉末との適度な混合により、供給途中での粉末の凝集詰りがなく、その供給が安定化する。また、有機材料粉末は、加温したガスにより軟化し、固体基材に衝突してこれに固着しようとするが、当初は固体基材の表面への固着が不十分であっても、無機材料粉末の固体基材への衝突により固体基材に徐々に凹凸が面内均一に付与されていき、この付与された凹凸のアンカー効果により有機材料が基材全面に付着し易くなり、確実に固着が促進されていく。そのため、有機材料粉末を低温溶射により固体基材に固着できるようになるので、有機材料の劣化が抑止される。また、低温溶射であってもアンカー効果により、有機材料粉末を固体基材に確実に固着することができ、それだけ、結合強度が向上させられる。この結果、有機皮膜には気孔が少なくなり、防汚、防錆あるいは離型性等の有機材料粉末の機能を確実に発揮させることができるようになる。
そして、上記有機材料粉末の平均粒径DAをDA=10〜200μmとし、上記無機材料粉末の平均粒径DBをDB=200〜1000μmにした構成としている。
有機材料粉末の粉末サイズ(平均粒径)は10〜200μmが好ましい。この範囲より小さいと粉末が凝集し易く、その供給が安定しないし、大きいと付着効率が低下する。
また、有機材料粉末の平均粒径より、無機材料粉末の平均粒径を大きくしているので、固体基材に凹凸を形成しやすくなる。さらには、平均粒径の大きい無機材料粉末は初速が有機材料粉末より遅く、この流速の違いにより、無機材料粉末は有機材料粉末を凹部へ押し込む働きをすることになり、平均粒径の小さい有機材料粉末の付着が確実になる。かつ、大きな無機材料粉末は、基材への衝突によって微細化して散乱するため、皮膜内部に混入、付着し難くなる。
また、必要に応じ、上記有機材料粉末の平均粒径DAと上記無機材料粉末の平均粒径DBとの関係を、3×DA≦DBにした構成としている。即ち、無機材料粉末としては、皮膜形成の対象とする材質より硬度が高い材質で、皮膜形成する有機材料粉末より、3倍以上から10倍は大きい平均粒径の粉末が好ましい。この倍率より小さいと皮膜に混合し、凹凸形成機能が損なわれてしまう。また、あまりにも大きすぎてもアンカー効果による付着が起こり難くなり好ましくない。
更に、必要に応じ、上記有機材料粉末は、粒径範囲の異なる2種類の粉末からなる構成としている。
粒径範囲の異なる粉末を用いると、流速分布の広がりが生ずることとなる。比較的遅い流速の大きな有機材料粉末で形成される皮膜には、気孔が形成しやすい。この気孔に速い流速の小さな粉末が入りこみ、気孔のない緻密な皮膜を形成することが出来る。
この場合、上記有機材料粉末のうち、一方の粉末の粒径範囲DA1をDA1=5〜50μm、他方の粉末の粒径範囲DA2をDA2=80〜200μmにしたことが有効である。
粒径範囲が80〜200μmの粉末は、付着効率がよく、凝集も起こりにくい皮膜形成には最も好ましい粉末サイズである。この粒径範囲の大きい一方の粉末で得られる気孔は5〜50μm程度であるが、粒径範囲の小さい他方の粉末を用いると、これが気孔に入り込み易く、緻密な皮膜を形成しやすい。
また、必要に応じ、上記有機材料粉末は、
ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリサルホン,アクリル樹脂,ポリアセタール,ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトンの何れかの熱可塑性樹脂、四フッ化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP),4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)の何れかの含フッ素有機材料から選択される樹脂粉末である。また、これらの混合材料としてよい。
更に、必要に応じ、上記無機材料粉末は、酸化アルミナ,酸化クロム,酸化ジルコニウム,酸化チタン,酸化シリコン、酸化ボロン、酸化セリウム、酸化コバルト、アルミニウムカーバイド、タングステンカーバイド,クロムカーバイド、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化クロム、ダイヤモンドから選択される。
更にまた、必要に応じ、上記固体基材としては、鉄,鋳鉄,ステンレス,パ−マロイ,銅,黄銅,リン青銅,ニッケル,キュプロニッケル,錫,鉛,コバルト,半田,チタン,アルミニウム,クロム,金,銀,白金,パラジウム,亜鉛何れかの金属、あるいはこれらの合金、さらには、金属の酸化物、リン酸塩処理金属、クロム酸塩処理金属、木材、紙、プラスチックス、複合強化プラスチックから選択される。複合強化プラスチックはガラスや金属粉末等を混合した樹脂である。プラスチックスには、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とがある。
本発明の有機皮膜の形成方法によれば、有機材料粉末は無機材料粉末との適度な混合により、供給途中での粉末の凝集詰りがなく、その供給を安定化させることができる。また、無機材料粉末の固体基材への衝突により付与される凹凸のアンカー効果により、有機材料粉末が基材全面に付着し易くなり、有機材料粉末を確実に固着させることができる。そのため、有機材料粉末を低温溶射により固体基材に固着できるようになるので、有機材料の劣化を抑止することができる。また、低温溶射であってもアンカー効果により、有機材料粉末を固体基材に確実に固着することができ、それだけ、結合強度を向上させることができ、この結果、有機皮膜には気孔が少なくなり、防汚、防錆あるいは離型性等の有機材料粉末の機能を確実に発揮させることができるようになる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る有機皮膜の形成方法について詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る有機皮膜の形成方法は、図1及び図2に示すように、有機材料粉末Pを固体基材Kの表面に固着させて有機皮膜を形成するもので、材料粉末をその融点より低い温度に加温したガスに投入し、このガスを超音速流にして固体基材Kに対して噴射させるコールドスプレー方法を用いる。
図1には、コールドスプレー方法を実施する低温溶射装置1の概略を示す。この低温溶射装置1は、空気,窒素,ヘリウムなどの高圧の作動ガスが供給される主配管2と、主配管2の途中に設けられ作動ガスを有機材料粉末Pの融点または軟化温度よりも低い温度に加温するガス加熱器3と、主配管2から分岐された枝配管4と、枝配管4に介装され作動ガスにより材料粉末を搬送せしめる粉末供給装置5と、主配管2及び枝配管4が合流し枝配管4からの材料粉末を加温されたガスに投入させる粉末投入管6と、粉末投入管6に接続され固体基材Kに材料粉末をガスとともに吹き付けるスプレーノズル7とから構成されている。スプレーノズル7では作動ガス及び材料粉末は超音速流となって噴出される。
また、実施の形態においては、有機材料粉末Pに該有機材料粉末Pより硬度が高い無機材料粉末Mを混合する。この無機材料粉末Mを混合した混合物における有機材料粉末Pの容積率は、10〜70%、望ましくは、10〜50%にしている。
詳しくは、有機材料粉末Pの平均粒径DAは、DA=10〜200μmとし、無機材料粉末Mの平均粒径DBは、DB=200〜1000μmに設定されている。特に、有機材料粉末Pの平均粒径DAと無機材料粉末Mの平均粒径DBとの関係が、3×DA≦DBになるように設定されている。
また、有機材料粉末Pは、粒径範囲の異なる2種類の粉末からなる。有機材料粉末Pのうち、一方の粉末の粒径範囲DA1はDA1=5〜50μm、他方の粉末の粒径範囲DA2はDA2=80〜200μmになるように設定されている。
有機材料粉末Pとしては、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリサルホン,アクリル樹脂,ポリアセタール,ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトンの何れかの熱可塑性樹脂、
四フッ化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP),4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)の何れかの含フッ素有機材料、
から選択される樹脂粉末である。
無機材料粉末Mは、酸化アルミナ,酸化クロム,酸化ジルコニウム,酸化チタン,酸化シリコン、酸化ボロン、酸化セリウム、酸化コバルト、アルミニウムカーバイド、タングステンカーバイド,クロムカーバイド、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化クロム、ダイヤモンドから選択される。
また、固体基材Kとしては、鉄,鋳鉄,ステンレス,パーマロイ,銅,黄銅,リン青銅,ニッケル,キュプロニッケル,錫,鉛,コバルト,半田,チタン,アルミニウム,クロム,金,銀,白金,パラジウム,亜鉛の何れかの金属、あるいはこれらの合金、金属の酸化物、リン酸塩処理金属、クロム酸塩処理金属、木材、紙、プラスチックス、ガラスや金属粉末等を混合した複合強化プラスチックから選択される。
従って、固体基材Kに有機皮膜を形成するときは、図1に示すように、低温溶射装置1において、有機材料粉末Pに無機材料粉末Mを混合した混合物を、粉末供給装置5に入れ、装置を駆動する。これにより、加温したガスに混合物が投入され、スプレーノズル7からガスが超音速流になって噴出され、固体基材Kに対して吹き付けられる。この場合、有機材料粉末Pは無機材料粉末Mとの適度な混合により、供給途中での粉末の凝集詰りがなく、その供給が安定化する。
また、図2に示すように、有機材料粉末Pは、加温したガスにより軟化し、固体基材Kに衝突してこれに固着しようとするが、当初は固体基材Kの表面への固着が不十分であっても、無機材料粉末Mの固体基材Kへの衝突により固体基材Kに徐々に凹凸が面内均一に付与されていき、この付与された凹凸のアンカー効果により有機材料粉末Pが基材K全面に付着し易くなり、確実に固着が促進されていく。そのため、有機材料粉末Pを低温溶射により固体基材Kに固着できるようになるので、有機材料粉末Pの劣化が抑止される。また、低温溶射であってもアンカー効果により、有機材料粉末Pを固体基材Kに確実に固着することができ、それだけ、結合強度が向上させられる。この結果、有機皮膜には気孔が少なくなり、防汚、防錆あるいは離型性等の有機材料粉末Pの機能を確実に発揮させることができるようになる。
また、実施の形態においては、皮膜の原料となる有機材料粉末Pに無機材料粉末Mを混合して用い、その有機材料粉末Pの混合率は10〜70容積%とし、望ましくは、10〜50容積%にしているので、以下の不具合が抑制される。即ち、有機材料粉末Pでも特に含フッ素有機粉末は、その粉末自体凝集しやすく、原料供給途中での目詰まりが発生し、粉末供給が安定しない。しかしながら、本実施の形態では、セラミック等の無機材料粉末Mを混合したので、原料供給が均一に安定化させられ、供給途中での粉末の凝集詰りがなく、その供給が安定化し、皮膜が確実に形成されていく。有機粉末の混合容積率が小さいと、有機粉末の皮膜成長は見られず、その混合比率が10%以上で皮膜成長する。
以下、本発明の実施例について説明する。
<実施例1〜13>
実施例1〜13に係る固体基材Kとしては、縦100mm、横100mm、厚さ2mmのAl(アルミニウム)板(JIS規格:A5052)を用いた。この固体基材Kを、10容量%の苛性ソーダ水に3分間浸漬した後、10容量%の塩酸水溶液に浸漬、さらに水洗洗浄後、乾燥して用いた。
薄膜の原料となる有機材料粉末Pとして、平均粒径20μm(粒径範囲:5〜40μm)のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粉末を用い、無機材料粉末Mとして、平均粒径150μm(粒径範囲:80〜200μm)のアルミナ(Al2O3)の粉末を準備した。
そして、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粉末とアルミナ(Al2O3)の粉末とを混合し、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の混合比を種々に変え、PTFEの容積率が5%のもの(実施例1)、10%のもの(実施例2)、15%のもの(実施例3)、25%のもの(実施例4)、35%のもの(実施例5)、45%のもの(実施例6)、50%のもの(実施例7)、55%のもの(実施例8)、65%のもの(実施例9)、70%のもの(実施例10)、75%のもの(実施例11)、80%のもの(実施例12)、85%のもの(実施例13)を作成した。
各実施例1〜13の原料粉末を十分に混合し、粉末供給装置5に投入した。その後、粉末供給装置5からスプレーノズル7に供給される供給孔からの原料供給速度を計測し、1g/minに調整した。原料供給を止めて、その供給孔からノズルに原料供給するホースを取り付けた後、ヘリウムガスボンベの元栓を開け、圧力調整器によりヘリウムガスの供給圧力を0.60MPaに調節した。次に、他方の作動ガスの供給経路であるガス加熱器3側の主配管2の供給圧力を、0.55MPaに調整した。スプレーノズル7に作動ガスを供給する途中で、ガス加熱機によりガス温度が約200℃になるようにヘリウムを加熱し、供給した。この加熱されたヘリウムガスと、粉末供給装置5から、1g/minで供給される混合粉末を含むヘリウムガスがスプレーガンに供給され、スプレーガンのノズルを通して、スプレー距離を10mm、ガントラバース横速度を50mm/min、ガントラバース縦ピッチ1mmで、予め準備した固体基材Kに噴射し、有機皮膜を形成した。
<実施例14〜16>
実施例14は、固体基材KとしてNi基材を用い、これを10容量%の塩酸水溶液に浸漬、さらに水洗洗浄後、乾燥して用いた。固体基材KとしてNi基材を使用した以外、全て上記の実施例2(PTFE容積率10%)と同じ条件で皮膜を形成した。実施例15、16は固体基材KとしてNi基材を使用した以外、上記実施例7(PTFE容積率50%)、実施例10(PTFE容積率70%)と同じ条件で皮膜を形成した。
<実施例17〜19>
さらに、実施例17〜19について記述する。
平均粒径20μm(粒径範囲:5〜40μm)と150μm(粒径範囲:80〜200μm)のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粉末を準備し、1:1の容積率で混合した粉末を準備した。また無機材料粉末Mとして、平均粒径300μm(粒径範囲:150〜600μm)のアルミナ(Al2O3)の粉末を準備した。混合有機材料粉末の容積率を10%(実施例17)、50%(実施例18)、および70%(実施例19)とした以外、上記実施例2、7および10と同じ条件で皮膜を形成した。
次に、実施例1〜13において、粉末供給量の時間による変化を調べた。結果を図3に示す。この結果から、実施例1〜7までが時間に関係なく一定であることを示す。また、実施例8〜10までは時間によって変化し、減少する。これは短時間では粉末供給され、皮膜形成できることを示す。また、実施例11〜13までは、調査した初期から供給量は計測されず、成膜出来ないことを示す。
また、実施例1,5及び11で得られた皮膜表面を成膜方向から観察した電子顕微鏡写真を図4に示す。コールドスプレー法で、有機粉末を提案する容積率で形成した皮膜は、全面に形成されている。
また、実施例1〜19について、皮膜の水に対する接触角を計測した。また、エポキシ樹脂に対する接着試験を行った。結果を図5に示す。
水に対する接触角は液滴量を、1mlとし計測した。実施例1は110°、実施例2は145°、実施例14は105°、実施例3〜10、15〜19は着滴せず計測不能であって、150°以上の超撥水を示す。
エポキシ樹脂に対する接着試験では、155℃に加熱したホットプレートに皮膜形成基板を乗せ、熱硬化エポキシ樹脂(日東電工(株)製NT−600)を置いた。3分間加熱硬化した後、ホットプレートから基板を取り出して空冷した。室温になったところで基板と、エポキシ樹脂とが自然に離型することを調べた。その結果、実施例6〜9、15及び18は、エポキシ樹脂に対する接着試験で離型することを示す。
本発明によれば、得られる固体表面の被膜は、例えば、各種プラスチック製品や、コネクター材料、金属ギア、装飾用金属製品、金属鏡、金属金型などの各種金属製品表面に超撥水性あるいは離型性機能を付与する改質膜として応用可能である。
そして、この被膜は樹脂の種類を選択することにより、各種用途の表面改質にも有効である。
本発明の実施の形態に係る有機皮膜の形成方法を示す図である。 本発明の実施の形態に係る有機皮膜の形成方法において、固体基材Kに対する有機材料粉末Pの固着作用を示す図である。 本発明の実施例において、粉末供給量の時間による変化を調べた結果を示すグラフ図である。 本発明の実施例1,5及び11の皮膜表面を成膜方向から観察した電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例において、水に対する接触角を調べた結果と、エポキシ樹脂に対する接着性を調べた結果を示すグラフ図である。
符号の説明
K 固体基材
P 有機材料粉末
M 無機材料粉末
1 低温溶射装置
2 主配管
3 ガス加熱器
4 枝配管
5 粉末供給装置
6 粉末投入管
7 スプレーノズル

Claims (7)

  1. 有機材料粉末を固体基材の表面に固着させて有機皮膜を形成する有機皮膜の形成方法において、
    材料粉末をその融点より低い温度に加温したガスに投入し該ガスを超音速流にして固体基材に対して噴射させるコールドスプレー方法を用い、
    上記有機材料粉末に該有機材料粉末より硬度が高い無機材料粉末を混合し、該無機材料粉末を混合した混合物における上記有機材料粉末の容積率を10〜70%にし、
    上記有機材料粉末の平均粒径DAをDA=10〜200μmとし、上記無機材料粉末の平均粒径DBをDB=200〜1000μmにしたことを特徴とする有機皮膜の形成方法。
  2. 上記有機材料粉末の平均粒径DAと上記無機材料粉末の平均粒径DBとの関係を、3×DA≦DBにしたことを特徴とする請求項1記載の有機皮膜の形成方法。
  3. 上記有機材料粉末は、粒径範囲の異なる2種類の粉末からなることを特徴とする請求項1または2記載の有機皮膜の形成方法。
  4. 上記有機材料粉末のうち、一方の粉末の粒径範囲DA1をDA1=5〜50μm、他方の粉末の粒径範囲DA2をDA2=80〜200μmにしたことを特徴とする請求項3記載の有機皮膜の形成方法。
  5. 上記有機材料粉末は、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリサルホン,アクリル樹脂,ポリアセタール,ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトンの何れかの熱可塑性樹脂、
    四フッ化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),4フッ化エチレン・6フッ化ポリピレン共重合体(FEP),4フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)の何れかの含フッ素有機材料、から選択される樹脂粉末であることを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の有機皮膜の形成方法。
  6. 上記無機材料粉末は、酸化アルミナ,酸化クロム,酸化ジルコニウム,酸化チタン,酸化シリコン、酸化ボロン、酸化セリウム、酸化コバルト、アルミニウムカーバイド、タングステンカーバイド,クロムカーバイド、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化クロム、ダイヤモンドから選択されることを特徴とする請求項1乃至5何れかに記載の有機皮膜の形成方法。
  7. 上記固体基材としては、鉄,鋳鉄,ステンレス,パ−マロイ,銅,黄銅,リン青銅,ニッケル,キュプロニッケル,錫,鉛,コバルト,半田,チタン,アルミニウム,クロム,金,銀,白金,パラジウム,亜鉛の何れかの金属、あるいはこれらの合金、金属の酸化物、リン酸塩処理金属、クロム酸塩処理金属、木材、紙、プラスチックス、複合強化プラスチックから選択されることを特徴とする請求項1乃至6何れかに記載の有機皮膜の形成方法。
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