JP4981760B2 - 乳化分散装置 - Google Patents

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本発明は、ディスクバルブと、前記ディスクバルブに対向して設けられるシートとを備え、前記ディスクバルブと前記シートとの間に径方向に形成される乳化処理路に、被処理流体を通過させて前記被処理流体を乳化する乳化分散装置に関する。
上記のような乳化分散装置は、粒状固形物等が混入された被処理流体を乳化するためのものであり、被処理流体を一定圧力に昇圧する3連又は5連式プランジャーポンプ機構と、均質バルブ機構とを備えて構成されている。そして、プランジャーポンプ機構により加圧された被処理流体を均質ディスク機構に導入することにより、均質ディスク機構において被処理流体を乳化している。均質ディスク機構は、ディスクバルブとシートとの間に径方向に形成される乳化処理路に、被処理流体を通過させて被処理流体を乳化するように構成され、被処理流体の粒体分子間にせん断・衝突等の相乗作用を瞬間的に発生させることにより、均質的な乳化状態を作り、液分離(浮遊・沈殿)を防ぐようにしている。
従来の乳化分散装置では、均質バルブ機構において、シートに面するディスクバルブの表面に、軸心周りにリング状のバルブ側突起部を径方向に並ぶ状態で複数設け、ディスクバルブに面するシートの表面に、バルブ側突起部に組み合うシート側溝部を径方向に並ぶ状態で複数設けている。そして、複数のバルブ側突起部の夫々は、先端側ほど幅狭となる断面形状が三角形状に形成されており、複数のシート側溝部の夫々は、深さが深くなるほど幅狭となる断面形状が逆三角形状に形成され、バルブ側突起部とシート側溝部との間に乳化処理路が形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
別の従来の乳化分散装置では、図5に示すように、シート100に面するディスクバルブ101の表面101aが径方向(図5(a)中上下方向)に沿う平坦状に形成され、そのディスクバルブ101の表面101aを覆う有底筒状のネット102が設けられている。このネット102は、その底部にてディスクバルブ101の表面を覆い、その底部に複数の孔部103が形成されている。また、ディスクバルブ101に面するシート100の表面100aが径方向に沿う平坦状に形成され、ディスクバルブ101と同様に、シート100の表面100aを覆うようにネット102が設けられている。そして、ネット102同士の間及びネット102に形成された孔部103により乳化処理路104が形成されている。
また、別の従来の乳化分散装置では、図6に示すように、シート200に面するディスクバルブ201の表面201aに、半円形状のバルブ側凹部202を径方向(図6(a)中上下方向)に並ぶ状態で複数形成し、ディスクバルブ201に面するシート200の表面200aにも、半円形状のシート側凹部203を径方向に並ぶ状態で複数形成しており、径方向においてバルブ側凹部202とシート側凹部203とが異なる位置に形成されている。そして、シート200の表面200aとディスクバルブ201の表面201aとの間、バルブ側凹部202、及び、シート側凹部203により乳化処理路204が形成されている。
特開2003−190752号公報(段落〔0003〕、図11)
上記特許文献1に記載の乳化分散装置では、バルブ側突起部とシート側溝部との間に形成された乳化処理路を被処理流体が通過することにより乳化するので、バルブ側突起部及びシート側溝部に対して被処理流体が衝突する。しかしながら、バルブ側突起部は断面形状が三角形状に形成されているので、バルブ側突起部の先端部が角部となっており、そのバルブ側突起部の先端部が被処理流体との衝突により一塊となって欠けてしまう可能性がある。
また、図5に示すネットを設けた乳化分散装置においても、被処理流体との衝突によりネットの一部が欠けてしまう可能性があり、図6に示すディンプル部を設けた乳化分散装置でも、バルブ側凹部の一部等が欠けてしまう可能性がある。
このように、上記特許文献1に記載の乳化分散装置だけでなく、図5に示すネットや図6に示すディンプル部を設けた乳化分散装置においても、ディスクバルブの一部が欠けてしまう可能性があり、その欠けたディスクバルブの一部が異物として被処理流体に混入してしまう虞がある。
また、最近、被処理流体に混入する混入物として、カルシウムやココアパウダー等の強い磨耗性を有するものが用いられている。このような混入物が混入された被処理流体を乳化するためには、均質ディスク機構に導入する被処理流体の圧力を高圧(例えば、30〜150MPa)にする必要がある。よって、被処理流体の圧力を高圧にする場合には、高圧の被処理流体との衝突によりバルブ側突起部の先端部が欠損し易くなることから、ディスクバルブの一部が欠けてしまうのを防止することが求められている。
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、ディスクバルブの一部が欠けるのを防止して、被処理流体に対する異物の混入を防止できる乳化分散装置を提供する点にある。
この目的を達成するために、本発明に係る乳化分散装置の特徴構成は、ディスクバルブと、前記ディスクバルブに対向して設けられるシートとを備え、前記ディスクバルブと前記シートとの間に径方向に形成される乳化処理路に、被処理流体を通過させて前記被処理流体を乳化する乳化分散装置において、
前記シートに面する前記ディスクバルブの表面には、軸心周りにリング状のバルブ側突起部が設けられ、前記ディスクバルブに面する前記シートの表面には、前記バルブ側突起部に組み合うシート側溝部が設けられ、前記バルブ側突起部は、その先端側が基端側よりも幅狭に形成され、その先端部が前記乳化処理路に面する面状に構成されており、前記バルブ側突起部は、その先端側ほど幅狭に形成され、前記シート側溝部は、その深さが深くなるほど幅狭に形成され、前記バルブ側突起部は、前記ディスクバルブの径方向に並ぶ状態で複数設けられ、前記複数のバルブ側突起部の夫々の先端部における前記乳化処理路に面する面は、前記ディスクバルブの径方向で内径側のものほどその面積が大きくなるように構成されている点にある。
本特徴構成によれば、バルブ側突起部を先端側が基端側よりも幅狭に形成しているので、バルブ側突起部とシート側溝部との間に形成される乳化処理路を通過する被処理流体がバルブ側突起部やシート側溝部に衝突することになり、被処理流体を的確に乳化分散することができる。しかも、バルブ側突起部の先端部は、乳化処理路に面する面状であるので、例えば、ディスクバルブの径方向に沿う平坦面状やディスクバルブの径方向の外径側ほど突出する傾斜面状等とすることができ、その先端部には尖った部分がなく、被処理流体との衝突により欠けてしまうのを防止できる。
以上のことから、被処理流体を乳化分散することができながら、ディスクバルブの一部が欠けるのを防止して、被処理流体に対する異物の混入を防止できる乳化分散装置を実現できる。
また、先端側ほど幅狭のバルブ側突起部と深さが深くなるほど幅狭のシート側溝部とにより、乳化処理路として径方向に対して傾斜する直線状の流路を形成することができる。これにより、被処理流体を径方向に対して傾斜する乳化処理路を通過させて、被処理流体を的確に乳化分散することができる。
被処理流体は、径方向に延びる乳化処理路を内径側から外径側に向けて流動することになるので、径方向に並ぶ複数のバルブ側突起部のうち、内径側に位置するものほど、高圧の被処理流体と衝突することになる。そこで、本特徴構成によれば、複数のバルブ側突起部の夫々における乳化処理路に面する面を、ディスクバルブの径方向で内径側のものほどその面積を大きくすることにより、バルブ側突起部の先端部が欠けてしまうのを的確に防止することができる。しかも、複数のバルブ側突起部の夫々における乳化処理路に面する面は、ディスクバルブの径方向で外径側のものほどその面積が小さいので、被処理流体とバルブ側突起部等との衝突を的確に行い、被処理流体の乳化分散状態を的確なものに保つことができる。
本発明に係る乳化分散装置の更なる特徴構成は、前記複数のバルブ側突起部の夫々は、前記ディスクバルブの径方向で内径側のものほどその高さが低くなるように構成されている点にある。
上述の如く、径方向に並ぶ複数のバルブ側突起部のうち、内径側に位置するものほど、より高圧の被処理流体と衝突することになる。よって、本特徴構成の如く、複数のバルブ側突起部の夫々を、ディスクバルブの径方向で内径側のものほどその高さを低くすることにより、バルブ側突起部の先端部が欠けてしまうのを的確に防止することができ、しかも、径方向で外径側の高さの高いバルブ側突起部と被処理流体とを衝突させて、被処理流体の乳化分散状態を的確なものに保つことができる。
本発明に係る乳化分散装置の更なる特徴構成は、前記乳化処理路における軸心方向の幅が、前記ディスクバルブの径方向で内径側ほど大きくなるように構成されている点にある。
上述の如く、被処理流体は、径方向に延びる乳化処理路を内径側から外径側に向けて流動することになるので、乳化処理路において径方向の内径側ほど高圧の被処理流体が衝突することになる。本特徴構成の如く、乳化処理路における軸心方向の幅を、ディスクバルブの径方向で内径側ほど大きくすることにより、乳化処理路における径方向の内径側でのディスクバルブの一部の欠けを的確に防止できながら、被処理流体の乳化分散状態を的確なものに保つことができる。そして、例えば、バルブ側突起部を径方向に並ぶ状態で複数設けるものでは、径方向に並ぶ複数のバルブ側突起部のうち、径方向の内径側に位置するものほど、その高さを低くする等により、乳化処理路における軸心方向の幅を径方向で内径側ほど大きくすることができる。また、1つのバルブ側突起部において、その先端部の乳化処理路に面する面を径方向において外径側ほど突出する傾斜面とすることにより、乳化処理路における軸心方向の幅を径方向で内径側ほど大きくすることができる。
本発明に係る乳化分散装置の更なる特徴構成は、前記ディスクバルブに面する前記シートの表面には、軸心周りにリング状のシート側突起部が設けられ、前記シートに面する前記ディスクバルブの表面には、前記シート側突起部に組み合うバルブ側溝部が設けられ、前記シート側突起部は、その先端側が基端側よりも幅狭に形成され、その先端部が前記乳化処理路に面する面状に構成されている点にある。
本特徴構成によれば、ディスクバルブ側だけでなく、シート側にもシート側突起部を設けることにより、シート側突起部との間でも被処理流体を衝突させることができ、乳化分散状態の向上を図ることができる。しかも、シート側突起部も、バルブ側突起部と同様に、その先端部が乳化処理路に面する面状であるので、シート側突起部の先端部が欠けてしまうのを防止することができ、被処理流体への異物の混入を防止することができる。
本発明に係る乳化分散装置の更なる特徴構成は、前記乳化処理路に面する面状として、前記ディスクバルブの径方向に沿う平坦面状に構成されている点にある。
本特徴構成によれば、バルブ側突起部の先端部をディスクバルブの径方向に沿う平坦面状とすることにより、乳化処理路に面する面状としている。これにより、バルブ側突起部の先端部を単にディスクバルブの径方向に沿って平坦に加工するだけでよく、このような簡易な加工を行うだけで、被処理流体との衝突により欠けてしまうのを防止できる。
本発明に係る乳化分散装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
〔参考例〕
この乳化分散装置1は、被処理流体Lを受け入れる受入部2と、受入部2にて受け入れた被処理流体Lを一定圧力に昇圧するプランジャーポンプ機構3と、プランジャーポンプ機構3にて昇圧されて導入される被処理流体Lを均質化する第1均質ディスク機構4と、第1均質ディスク機構4にて均質化された被処理流体Lをさらに均質化する第2均質ディスク機構5と、第2均質ディスク機構5にて均質化された被処理流体Lを送出する送出部6とが備えられている。
プランジャーポンプ機構3は、例えば、被処理流体Lを一定圧力に昇圧して第1均質ディスク機構4に送り出すプランジャーポンプを3つ備えた3連式に構成されている。プランジャーポンプ機構3は、プランジャーポンプの夫々により被処理流体Lを第1均質ディスク機構4に送り出すタイミングを異なるようにして、高圧状態の被処理流体Lを連続的に第1均質ディスク機構4に送り出すように構成されている。
第1均質ディスク機構4は、図2に示すように、シート7、ディスクバルブ8、インパクトリング9を備えて構成されている。シート7は、プランジャーポンプ機構3に接続される導入流路形成部材10の先端に装着されており、ディスクバルブ8は、シート7と対向するように設けられている。シート7とディスクバルブ8との間には、径方向に延びる乳化処理路11が形成され、その乳化処理路11の出口側(外径側)にインパクトリング9が設けられている。径方向においてディスクバルブ8とインパクトリング9との間には、乳化処理路11に連通する幅狭の狭隘路12が形成されている。その狭隘路12の下流側に吐出流路形成部材13が設けられ、狭隘路12に連通して径方向の外径側に延びる吐出路14が形成されている。そして、この吐出路14は、第2均質ディスク機構5に被処理流体Lを導入する導入路として構成されている。シート7、ディスクバルブ8、インパクトリング9、導入流路形成部材10、及び、吐出流路形成部材13は、円形状に形成された部材であり、その中心軸が同じとなるように設けられている。
シート7は、導入流路形成部材10に嵌め込まれる連結部7aと、導入流路形成部材10の軸方向端面10aに当接されてシートが位置決めされるシート本体部7bとを備えて構成され、シート本体部7bにおいて、導入流路形成部材10とは反対側でありディスクバルブ8と対向する表面を乳化処理流路形成面7cとしている。
ディスクバルブ8は、概略円筒状部材として構成されており、シート7に対向する表面を乳化処理流路形成面8aとしている。ディスクバルブ8は、シート7とは反対側の端面側を位置決め機構15により保持されており、位置決め機構15が、ディスクバルブ8の位置を調整することにより、シート7側の乳化処理流路形成面7cとディスクバルブ8側の乳化処理流路形成面8aとの間の隙間(乳化処理路11の幅)を調整自在に構成されている。
インパクトリング9は、乳化処理路11の出口側(外径側)に配設されており、乳化処理路11を通過した被処理流体Lがインパクトリング9に衝突することにより、乳化・分散を促進するように構成されている。
第1均質ディスク機構4に加圧導入される被処理流体Lは、水等の流体内に比較的大粒径の粒子(ココアパウダー等の固体粒子の集合体、油・牛乳等の流体で比較的粒径の大きなもの)が不均一に混合した混合流体である。この被処理流体Lは、第1均質ディスク機構4を通過させることで、粒径が小径化した粒子が流体内に処理前の状態よりも均一に分散した状態とされる。第2均質ディスク機構5は、第1均質ディスク機構4にて乳化分散された被処理流体Lを、さらに乳化分散する、もしくは、乳化分散状態を整えるように構成されている。
ディスクバルブ8の乳化処理流路形成面8aには、その中央部に、導入流路形成部材10の中央部において軸心方向に沿って延びる導入路16側に延びる中央突起部17が設けられ、この中央突起部17よりも径方向の外径側に、軸心周りにリング状のバルブ側突起部18が径方向に並ぶ状態で複数(例えば3つ)設けられている。シート7の乳化処理流路形成面7cには、導入路16の開口部よりも径方向の外径側に、バルブ側突起部18に組み合うシート側溝部19が径方向に並ぶ状態で複数(例えば3つ)設けられている。
また、シート7の乳化処理流路形成面7cには、径方向においてシート側溝部19同士の間の夫々及び径方向の両端部に、軸心周りにリング状のシート側突起部20が設けられている。ディスクバルブ8の乳化処理流路形成面8aには、径方向においてバルブ側突起部18同士の間の夫々に、シート側突起部20に組み合うバルブ側溝部21が設けられている。
このようにして、バルブ側突起部18とシート側溝部19との組み合わせ、及び、シート側突起部20とバルブ側溝部21との組み合わせにより、径方向に延びるジグザグ状の乳化処理路11が形成されている。このジグザグ状の乳化処理路11を被処理流体Lが通過することにより、被処理流体Lの粒体分子間にせん断・衝突等の相乗作用を瞬間的に発生させることにより、均質的な乳化状態を作るようにしている。
中央突起部17は、その先端側ほど幅狭となる傾斜状に形成され、その先端部が径方向に沿う平坦面17aを有する面状に構成されている。中央突起部17は、その高さが、仮に平坦面17aを形成せず三角形状に形成したものの高さに対して10〜50%となるように構成されている。また、中央突起部17は、その平坦面17aの径方向の幅が、例えば、1〜10mm程度)になるように構成されている。
バルブ側突起部18は、図2及び図3に示すように、その先端側ほど幅狭となる傾斜状に形成され、その先端部が径方向(図2(a)及び図3中上下方向)に沿う平坦面18aを有する平坦面状に構成されている。これにより、バルブ側突起部18の先端部が乳化処理路11に面する面状に構成されている。シート側溝部19は、その深さが深くなるほど幅狭となる傾斜状に形成されている。シート側突起部20は、バルブ側突起部18と同様に、その先端側ほど幅狭となる傾斜状に形成され、その先端部が径方向に沿う平坦面20aを有する平坦面状に構成されている。これにより、シート側突起部20の先端部も乳化処理路11に面する面状に構成されている。バルブ側溝部21は、シート側溝部19と同様に、その深さが深くなるほど幅狭となる傾斜状に形成されている。バルブ側突起部18及びシート側突起部20は、径方向に並ぶ複数のもの全てについて、その高さが一定の高さHとなり、平坦面18a,20aの径方向の幅が一定の面幅Dとなるように構成されている。ここで、バルブ側突起部18及びシート側突起部20については、平坦面が形成されていない場合にはその先端部が尖った同じ大きさで同一形状の三角形状になるように形成されている。また、バルブ側突起部18及びシート側突起部20は、その高さが、仮に平坦面17aを形成せず三角形状に形成したものの高さに対して、例えば、5〜15%程度になるように構成されている。
このように、バルブ側突起部18及びシート側突起部20の夫々の先端部が、径方向に沿う平坦面18a,20aとなっているので、被処理流体Lとの衝突により先端部が欠けてしまうのを防止することができる。これにより、シート7やディスクバルブ8の一部が異物として被処理流体L内に混入するのを防止することができる。
第1実施形態〕
この第1実施形態は、上記参考例におけるバルブ側突起部20の別実施形態を示すものである。以下、第1実施形態におけるバルブ側突起部20について図4に基づいて説明するが、その他の構成については、上記参考例と同様であるので、説明は省略する。
複数のバルブ側突起部18の夫々における平坦面18aは、径方向で内径側(図4中下方側)のものほどその面積が大きくなるように、径方向で内径側のものほど径方向の面幅が大きくなるように構成されている。つまり、最も外径側に位置するバルブ側突起部18の平坦面18aの面幅をDとし、次に内径側に位置するバルブ側突起部18の平坦面18aの面幅をD1とし、最も内径側に位置するバルブ側突起部18の平坦面18aの面幅をD2とし、D2>D1>Dとしている。ここで、複数のバルブ側突起部18の全てについては、上記参考例と同様に、平坦面18aが形成されていない場合にはその先端部が尖った同じ大きさで同一形状の三角形状になるように形成されている。また、バルブ側突起部18の平坦面18aの径方向の面幅は、周方向において一定の面幅となるように構成されている。
また、複数のバルブ側突起部18の夫々は、径方向で内径側(図4中下方側)のものほどその高さが低くなるように構成されている。つまり、最も外径側に位置するバルブ側突起部18の高さをHとし、次に内径側に位置するバルブ側突起部18の高さをH1とし、最も内径側に位置するバルブ側突起部18の高さをH2とし、H>H1>H2としている。
このように、バルブ側突起部18の高さや平坦面18aの面幅を調整することにより、乳化処理路11においてバルブ側突起部18とシート側溝部19との間の軸心方向の幅が、ディスクバルブ8の径方向で内径側ほど大きくなるように構成されている。
被処理流体Lは、乳化処理路11を径方向において内径側から外径側に流動するので、複数のバルブ側突起部18のうち、最も内径側に位置するバルブ側突起部18において高圧の被処理流体Lが衝突することになり、その先端部の欠けが生じ易くなる。よって、複数のバルブ側突起部18の夫々における平坦面18aについて、径方向で内径側(図4中下方側)のものほどその面積を大きくする、或いは、複数のバルブ側突起部18の夫々における高さについて、径方向で内径側(図4中下方側)のものほど低くすることにより、バルブ側突起部18の先端部の欠けを的確に防止することができる。しかも、乳化処理路11の軸心方向の幅は、径方向の外側(図4中上方側)ほど小さくなっているので、被処理流体Lの粒体分子間にせん断・衝突等の相乗作用を的確に発生させることができ、均質的な乳化状態を作ることができる。
この第1実施形態では、シート側突起部20については上記参考例と同様としているが、バルブ側突起部18と同様に、複数のシート側突起部20の夫々における平坦面20aは、径方向で内径側(図4中下方側)のものほどその面積が大きくなるように、径方向で内径側のものほど径方向の面幅が大きくなるように構成することができる。また、複数のシート側突起部20の夫々は、径方向で内径側(図4中下方側)のものほどその高さが低くなるように構成することもできる。
第2実施形態〕
上記参考例及び第1実施形態では、バルブ側突起部18の先端部を径方向に沿う平坦面18aを有する平坦面状とすることにより、乳化処理路11に面する面状としているが、平坦面に代えて、例えば、径方向において外径側ほど突出する傾斜面を有する傾斜面状とすることにより、乳化処理路11に面する面状とすることもできる。このような傾斜面を設けることにより、乳化処理路11における軸心方向の幅を、ディスクバルブ8の径方向で内径側ほど大きくなるように構成することができる。よって、バルブ側突起部18の先端部における内径側での欠けを的確に防止しながら、バルブ側突起部18の先端部における外径側にて被処理流体とバルブ側突起部18等との衝突を的確に行い、被処理流体Lの乳化分散状態を的確なものに保つことができる。
本発明は、ディスクバルブと、前記ディスクバルブに対向して設けられるシートとを備え、前記ディスクバルブと前記シートとの間に径方向に形成される乳化処理路に、被処理流体を通過させて前記被処理流体を乳化し、ディスクバルブの一部が欠けるのを防止して、被処理流体に対する異物の混入を防止できる各種の乳化分散装置に適応可能である。
乳化分散装置の概略構成を示す図 参考例における第1均質ディスク機構を示す図 図2の要部を拡大した図 第1実施形態における第1均質ディスク機構の要部を拡大した図 従来の乳化分散装置の要部を示す図 従来の乳化分散装置の要部を示す図
符号の説明
7 シート
8 ディスクバルブ
11 乳化処理路
18 バルブ側突起部
19 シート側溝部
20 シート側突起部
21 バルブ側溝部

Claims (5)

  1. ディスクバルブと、前記ディスクバルブに対向して設けられるシートとを備え、前記ディスクバルブと前記シートとの間に径方向に形成される乳化処理路に、被処理流体を通過させて前記被処理流体を乳化する乳化分散装置であって、
    前記シートに面する前記ディスクバルブの表面には、軸心周りにリング状のバルブ側突起部が設けられ、
    前記ディスクバルブに面する前記シートの表面には、前記バルブ側突起部に組み合うシート側溝部が設けられ、
    前記バルブ側突起部は、その先端側が基端側よりも幅狭に形成され、その先端部が前記乳化処理路に面する面状に構成されており、
    前記バルブ側突起部は、その先端側ほど幅狭に形成され、前記シート側溝部は、その深さが深くなるほど幅狭に形成され、
    前記バルブ側突起部は、前記ディスクバルブの径方向に並ぶ状態で複数設けられ、
    前記複数のバルブ側突起部の夫々の先端部における前記乳化処理路に面する面は、前記ディスクバルブの径方向で内径側のものほどその面積が大きくなるように構成されている乳化分散装置。
  2. 記複数のバルブ側突起部の夫々は、前記ディスクバルブの径方向で内径側のものほどその高さが低くなるように構成されている請求項に記載の乳化分散装置。
  3. 前記乳化処理路における軸心方向の幅が、前記ディスクバルブの径方向で内径側ほど大きくなるように構成されている請求項1又は2に記載の乳化分散装置。
  4. 前記ディスクバルブに面する前記シートの表面には、軸心周りにリング状のシート側突起部が設けられ、
    前記シートに面する前記ディスクバルブの表面には、前記シート側突起部に組み合うバルブ側溝部が設けられ、
    前記シート側突起部は、その先端側が基端側よりも幅狭に形成され、その先端部が前記乳化処理路に面する面状に構成されている請求項1〜の何れか1項に記載の乳化分散装置。
  5. 前記乳化処理路に面する面状として、前記ディスクバルブの径方向に沿う平坦面状に構成されている請求項1〜の何れか1項に記載の乳化分散装置。
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