JP4980181B2 - クライオパネル - Google Patents

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Description

本発明は、クライオポンプに用いられるクライオパネルに関する。
半導体製造装置では、高真空を実現するためにクライオポンプが用いられている。クライオポンプは、真空容器内のクライオパネルを冷却し、分子を凝固又は吸着させることによって高真空を実現する。
従来のクライオパネルは、冷却機のステージに結合され、表面がガス流入方向に向けて(水平に)配設される円板状パネルと、この円板状パネルの裏面側に配設されてガス流入方向の下流の方向に延伸する複数の細長板状パネルとを備える。
処理チャンバ内の気体は、真空容器の上部開口より流入し、水分子は主にクライオパネルの上方に配設されるルーバで凝固され、水分子以外のアルゴンや窒素は主に円板状パネルで凝固され、極低温で凍結しない水素やヘリウム等は、細長板状パネルの両面に形成される吸着層に吸着される(例えば、特許文献1参照)。
また、円錐型のパネルをガス流入方向に沿って複数段配設したクライオパネルも提案されている。この円錐型のパネルは、円錐形状の斜面を一定幅で切り取った円環状のパネルであり、このような円錐型のパネルがガス流路方向に沿って複数段配設することが提案されている(例えば、特許文献2参照)
特開平2−308985号公報 米国特許出願公開第2006/0064990号明細書
ところで、クライオポンプの主要性能である排気速度を向上させるためには、水素分子が吸着層に吸着される確率を向上させなければならない。
しかしながら、特許文献1記載のクライオパネルでは、吸着層が形成される細長板状パネルは、円板状パネルの裏面側(ガス流入方向において円板状パネルよりも下流側)だけに設けられており、また、平面視において、真空容器内で平板状パネルが占める面積比率が大きいため、構造上、排気速度が制限されていた。また、細長板状パネルは、円板状パネルの陰となる真裏では、特に凝固・吸着効率が低かった。
また、特許文献2記載のクライオパネルは、真空容器の上部開口から見て円環状であるため、ガス流路の上流側から下流側にかけて十分な流路が確保されず、これは特に、円環形状の中央側と、各段のパネルの陰において顕著であった。このため、下流側における通気性が低下し、凝固・吸着効率が低かった。
そこで、本発明は、排気速度と凝固・吸着効率を向上させたクライオパネルを提供することを目的とする。
本発明の一局面のクライオパネルは、ガス流入口を有する真空容器と、前記真空容器内に配設されるステージを有し、当該ステージを冷却する冷凍機とを備え、前記ガス流入口から前記真空容器内に流入する分子を凝固又は吸着させるクライオポンプに用いるクライオパネルであって、前記ステージにより保持されて冷却される伝熱板と、前記伝熱板によって支持され、前記真空容器内のガス流路に配置されるパネル部であって、断面コの字型の複数の板状のパネル片を含むパネル部とを備え前記パネル片は、平面視長方形の板状パネルが長手方向に均等に折り曲げられた断面コの字型のパネル片である、ことを特徴とする
また、前記パネル片の前記コの字型の内側の面には、活性層が形成又は貼着されてもよい。
また、前記パネル片は、前記コの字型の中央に位置する第1板部が前記ガス流路の上流側、側方外側、又は下流側のいずれかの方向を向くように配設されてもよい。
また、前記パネル片は、前記第1板部と、当該第1板部の両端に位置する一対の第2板部とで構成されており、一のパネル片の前記第2板部に他のパネル片の前記第1板部を面接続することにより、前記伝熱板から延出するように複数のパネル片接続されてもよい。

本発明によれば、排気速度と凝固・吸着効率を向上させたクライオパネルを提供できるという特有の効果が得られる。
以下、本発明のクライオパネルを適用した実施の形態について説明する。
「実施の形態1」
図1は、実施の形態1のクライオパネルが用いられるクライオポンプの構造を示す図である。クライオポンプ1は、真空容器2、冷凍機3、シールド4、及びクライオパネル10を含む。
真空容器2は、断面円形のカップ状の容器であり、上部開口2Aを介して、例えば、スパッタ装置やイオン注入装置等の半導体製造装置のプロセスチャンバ(図示せず)に接続される。真空容器2の内部には、冷凍機3のシリンダ(符号6及び7)、シールド4、及びクライオパネル10が配設される。
なお、真空容器2には、粗引き用のポンプ及びパージガス導入用の配管(共に図示せず)が接続され、また、真空容器2とプロセスチャンバとの間にはゲートバルブ(図示せず)が配設される。
冷凍機3には、圧縮機5が接続される。
圧縮機5は、ヘリウムガス等の冷媒ガスを昇圧して冷凍機3に送り、また冷凍機3で断熱膨張した冷媒ガスを回収して再び昇圧する。
冷凍機3は、2段式のGM(Gifford-McMahon)型冷凍機であり、第1段シリンダ6、第2段シリンダ7、及びモータ(図示せず)を含む。第1段シリンダ6と第2段シリンダ7には、互いに連結される第1段ディスプレーサ6A及び第2段ディスプレーサ7Aがそれぞれ内蔵されており、モータによって図中上下方向に往復動されることにより、断熱膨張による寒冷が発生される。
第1段シリンダ6の外周には、第1段冷凍ステージ8Aがろう付される。シールド4は、この第1段冷凍ステージ8Aによって保持される。
このシールド4は、真空容器2の輻射熱からクライオパネル10を保護するための断面円形のカップ形状の部材であり、上部開口にルーバ9が配設される。また、このルーバ9は、真空容器2の上部開口2Aに近接して配設される。シールド4及びルーバ9は、第1段冷凍ステージ8Aによって30〜100Kに冷却される。
また、第2段シリンダ7の外周には、第2段冷凍ステージ8Bがろう付される。クライオパネル10は、この第2段冷凍ステージ8Bによって保持され、10〜20Kレベルに冷却される。
ここでは、プロセスチャンバ内に、水分子、アルゴン、窒素、水素、ネオン、及びヘリウムが存在するものとして説明する。シールド4及びルーバ9を30〜100Kに冷却すると共に、クライオパネル10を10〜20Kレベルに冷却すると、水分子は主にシールド4及びルーバ9で凝固され、水分子以外のアルゴンや窒素は主にクライオパネル10で凝固される。また、水素、ネオン、ヘリウム等は主にクライオパネル10の表面に形成される活性層(層状の活性炭、以下同様)に吸着される。これにより、プロセスチャンバは排気されて高真空に保持される。
また、プロセスチャンバ内のガスは、上部開口2Aを介して真空容器2内に流入する。ここでは、ガスの流入方向とは、真空容器2の上部開口2Aから下に向かう方向とし、この方向にガス流路が形成される。このガス流路において、上部開口2Aの側を上流側、シールド4の底部の側を下流側と称する。また、ガス流路の側方外側とは、ガス流入方向に対する側方であって、真空容器2(又はシールド4)の外側を称するものとする。これらは、すべての図面において共通である。
なお、図1に示すクライオポンプは、第1段冷凍ステージ8A及び第2段冷凍ステージ8Bが真空容器2の下方向から挿入される、いわゆる縦型のクライオポンプである。
図2は、実施の形態1のクライオパネルを示す図であり、(a)は真空容器2の上部開口2Aの側から見た平面図、(b)は斜視図、(c)はパネル片を示す斜視図である。
図2に示すように、クライオパネル10は、伝熱板11とパネル部12とを含む。伝熱板11は、断面がコの字型になるように折り曲げられた板状の支持部材であり、その頂部には第2段冷凍ステージ8Bにネジ止めするための孔部11aが2つ形成されている。
図2(a)及び(b)に示すパネル部12は、複数のパネル片をモザイク状に接続したものであり、各パネル片12Aは、図2(c)に示すように断面コの字型の板状の部材である。
パネル片12Aは、コの字型の中央に位置する第1板部12aと、第1板部12aの両端に位置する一対の第2板部12bとで構成され、第1板部12a及び第2板部12bは、例えば、縦30mm、横30mmの正方形の面を有する厚さ0.5mmの銅板である。
このような伝熱板11及びパネル部12(パネル片12A)は、共に銅製であり、めっき仕上げがなされる。パネル片12Aのコの字型の内側の面には、活性層が形成される。ここでは、活性層をドットで示す。なお、伝熱板11には活性層は形成されない。
次に伝熱板11へのパネル片12Aの取り付け方について説明する。パネル片12Aは、上部開口2Aから見た平面視において、伝熱板11の一対の側壁11Aに対称に取り付けられるため、ここでは、一方の側壁11Aへの取り付け方を説明する。なお、ここでは、各パネル片12Aは半田付けによって接続されるものとする。
伝熱板11の側壁11Aには、ガス流入方向の上流側から下流側に3つのパネル片12Aが並べて取り付けられる。3つのうちの中央に位置するパネル片12Aは、第1板部12aが伝熱板11の側壁11Aに面接続するように取り付けられる。また、この中央に位置するパネル片12Aの上流側及び下流側に位置するパネル片12Aは、第1板部12aが中央のパネル片の第2板部12bに面接続されるとともに、第2板部12bが伝熱板11の側壁11Aに面接続されるように取り付けられる。
すなわち、中央のパネル片12Aは、コの字型がガス流路の側方外側を向くように配設され、上流側のパネル片12Aは、コの字型がガス流路の上流方向を向くように配設され、下流側のパネル片12Aは、コの字型がガス流路の下流方向を向くように配設される。
また、上流側及び下流側のパネル片12Aの第2板部12bには、それぞれ、さらに別のパネル片12Aの第1板部12aが面接続される。すなわち、このパネル片12Aは、コの字型がガス流路の側方外側を向くように配設される。
さらに、このパネル片12Aの一対の第2板部12bには、さらに別のパネル片12Aの第1板部12aが面接続される。このパネル片12Aのコの字型は、真空容器2(及びシールド4)の側方外側を向くように配設される。
以上、図2(b)に示すように、伝熱板11には18個のパネル片12Aを含むパネル部12が取り付けられる。すべてのパネル片12Aは、コの字型がガス流路の上流方向、側方外側、又は下流方向のいずれかの方向を向くように配設され、伝熱板11から延出するようにモザイク状に互いに接続される。
このようなクライオパネル10を有するクライオポンプで真空引きを行う際に、クライオパネル10は、第2段冷凍ステージ8Bによって冷却される。すなわち、第2段冷凍ステージ8Bによって発生される冷熱は、伝熱板11を伝導し、各パネル片12Aが10〜20Kレベルに冷却される。そして、アルゴン、窒素、水素、ネオン、ヘリウム等パネル片12Aに形成された活性層に凝固又は吸着される。
ここで、クライオパネル10は、真空容器2の上部開口2Aから見た平面視において、中心側からシールド4に近い側にわたって全体的に流路が確保されており、また、活性層が形成される十分な表面積を有する。このため、従来のように中心部の円板状パネルによって流路は制限されず、また、パネルの陰となる部分に活性層が配置されることもない。
以上のように、本実施の形態のクライオパネル10によれば、ガス流路の陰になる部分を少なくすることができ、また、活性層が形成されるパネル部12の表面積も十分に確保できるため、従来のように円板状パネルの下流側にしか板状パネルを有しないクライオパネルよりも排気速度を向上させることができる。また、従来のような円錐型のパネルに比べると、コの字型のパネル片12Aがモザイク状に接続されることにより、ガス流路の上流側から下流側にかけて十分な流路を確保でき、排気速度を向上させることができる。特に、10〜20Kレベルでは凝縮しない水素、ネオン、ヘリウム等の排気速度を向上させることができる。
また、活性層はパネル片12Aのコの字型の内側にのみ形成されているため、パネル片12Aの両面に活性層が形成される場合に比べて、クライオパネル10を囲むように配設されるシールド4から受ける輻射熱の影響を低減することができる。
また、本実施の形態では、パネル片12Aは、コの字型に折り曲げられた板状部材であり、このパネル片12Aをモザイク状に接合パネル部12を構成しているので、パネル片12Aの製造が容易であり、クライオパネルの製造コストを大幅に低減することができる。
また、以上の説明では、すべてのパネル片12Aのコの字型の内側の面に、活性層が形成される形態について説明したが、上流側に配設されるパネル片12Aには、活性層を形成しないようにしてもよい。クライオパネル10のガス流路における上流側には、シールド4に接続されるルーバ9が配設されるため、ルーバ9側からの輻射熱の影響が大きい場合には、活性層が形成されていないパネル片12Aを上流側に配設することにより、輻射熱の影響を低減することができる。なお、この場合、上流側を向いている面のみに活性層を形成しないようにしてもよい。
また、以上では、図2に示すように18個のパネル片12Aをモザイク状に接合したパネル部12を有するクライオパネル10について説明したが、パネル部12の形状は図2に示す形状に限られず、断面コの字型のパネル片12Aをランダムに組み合わせて実現される他の形状であってもよい。
なお、クライオポンプが接続されるプロセスチャンバの容量やプロセスの種類に応じて、各パネル部12に含まれるパネル片12Aの数を変更してもよい。
また、各パネル部12に含まれるパネル片12Aの数を増減するのと同様に、真空容器2の深さや内部形状に応じて、ガス流入方向にパネル部12を複数段配設してもよく、この場合も同様の効果を得ることができる。
また、以上では、パネル片12Aを半田付けする形態について説明したが、図3に示すように、第1板部12a及び第2板部12bの中央に孔部を形成し、パネル片12A同士をネジ止めしてもよい。
なお、以上では、パネル片12Aに活性層が形成される形態について説明したが、シート状の活性層をパネル片12Aの表裏面に貼着してもよい。
「実施の形態2」
図4は、実施の形態2のクライオパネルの構成を示す図であり、(a)は、パネル部及び取付板を示す正面図、(b)はパネル部を示す斜視図である。なお、この実施の形態2のクライオパネル20の構成は、実施の形態1のクライオパネルの構成に準ずるため、同一又は同等の構成要素には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4(a)に示すように、実施の形態2のクライオパネル20では、図2に示すクライオパネル10よりも、伝熱板11から外側に延出するように、さらに多くのパネル片12Aが取り付けられている点が実施の形態1と異なる。このクライオパネル20は、34個のパネル片12Aを含んでおり、真空容器2の直径が大きい場合に適する。
このように、実施の形態2のクライオパネル20においても、ガス流路の陰になる部分を少なくでき、また、活性層が形成されるパネル部12の表面積も十分に確保できるため、従来のように円板状パネルの下流側にしか板状パネルを有しないクライオパネルに比べて、排気速度を向上させることができる。また、従来のような円錐型のパネルに比べると、コの字型のパネル片12Aがモザイク状に接続されることにより、ガス流路の上流側から下流側にかけて十分な流路を確保することができる。特に、10〜20Kレベルでは凝縮しない水素、ネオン、ヘリウム等の排気速度を向上させることができる。
以上の実施の形態1及び2では、図1に示す縦型のクライオポンプに用いるクライオパネルについて説明したが、真空容器2内に側方からステージが導入される横型のクライオポンプに用いてもよい。実施の形態1及び2のクライオパネルでは、伝熱板11のコの字型の側面にはパネル部12が取り付けられていないので、真空容器2内に側方から導入される第2段冷凍ステージ8Bとパネル部12とが干渉することなく、クライオパネルを第2段冷凍ステージ8Bに取り付けることができる。
また、ガス流入方向におけるパネル部12の段数の変更、径方向に配置されるパネル片の数、あるいは、パネルの接続パターンは、ここに示す形態に限定されるものではない。
また、以上の説明において半田付けされる部材は、リベット及びネジ止めにより接合されていてもよく、あるいは半田付け及びネジ止めの両方によって接合されていてもよい。
以上、本発明の例示的な実施の形態のクライオパネルについて説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
実施の形態1のクライオパネルが用いられる縦型のクライオポンプの構造を示す図である。 実施の形態1のクライオパネルを示す図であり、(a)は真空容器の上部開口の側から見た平面図、(b)は斜視図、(c)はパネル片を示す斜視図である。 実施の形態1の変形例のパネル片を示す斜視図である。 実施の形態2のクライオパネルの構成を示す図であり、(a)は、パネル部及び取付板を示す正面図、(b)はパネル部を示す斜視図である。
符号の説明
1 クライオポンプ
2 真空容器
3 冷凍機
4 シールド
5 圧縮機
6 第1段シリンダ
6A 第1段ディスプレーサ
7 第2段シリンダ
7A 第2段ディスプレーサ
8A 第1段冷凍ステージ
8B 第2段冷凍ステージ
9 ルーバ
10、20 クライオパネル
11 伝熱板
11a 孔部
12 パネル部
12A パネル片

Claims (4)

  1. ガス流入口を有する真空容器と、前記真空容器内に配設されるステージを有し、当該ステージを冷却する冷凍機とを備え、前記ガス流入口から前記真空容器内に流入する分子を凝固又は吸着させるクライオポンプに用いるクライオパネルであって、
    前記ステージにより保持されて冷却される伝熱板と、
    前記伝熱板によって支持され、前記真空容器内のガス流路に配置されるパネル部であって、断面コの字型の複数の板状のパネル片を含むパネル部と
    を備え
    前記パネル片は、平面視長方形の板状パネルが長手方向に均等に折り曲げられた断面コの字型のパネル片であるクライオパネル。
  2. 前記パネル片の前記コの字型の内側の面には、活性層が形成又は貼着される、請求項1に記載のクライオパネル。
  3. 前記パネル片は、前記コの字型の中央に位置する第1板部が前記ガス流路の上流側、側方外側、又は下流側のいずれかの方向を向くように配設される、請求項2に記載のクライオパネル。
  4. 前記パネル片は、前記第1板部と、当該第1板部の両端に位置する一対の第2板部とで構成されており、
    一のパネル片の前記第2板部に他のパネル片の前記第1板部を面接続することにより、前記伝熱板から延出するように複数のパネル片接続される、請求項3に記載のクライオパネル。
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