JP4751377B2 - クライオポンプ - Google Patents

クライオポンプ Download PDF

Info

Publication number
JP4751377B2
JP4751377B2 JP2007280990A JP2007280990A JP4751377B2 JP 4751377 B2 JP4751377 B2 JP 4751377B2 JP 2007280990 A JP2007280990 A JP 2007280990A JP 2007280990 A JP2007280990 A JP 2007280990A JP 4751377 B2 JP4751377 B2 JP 4751377B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
panel
opening
heat shield
region
cryopump
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007280990A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009108744A (ja
Inventor
良輔 露木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Heavy Industries Ltd filed Critical Sumitomo Heavy Industries Ltd
Priority to JP2007280990A priority Critical patent/JP4751377B2/ja
Publication of JP2009108744A publication Critical patent/JP2009108744A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4751377B2 publication Critical patent/JP4751377B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Compressors, Vaccum Pumps And Other Relevant Systems (AREA)

Description

本発明は、クライオポンプに関する。
クライオポンプは、極低温に冷却されたクライオパネルに気体分子を凝縮または吸着により捕捉して排気する真空ポンプである。クライオポンプは半導体回路製造プロセス等に要求される清浄な真空環境を実現するために一般に利用される。
特許文献1には、熱伝導率0.01w/cmK程度以上の活性炭がパネルに貼付されているクライオポンプが記載されている。これによれば、ポンプを大型化することなく水素やヘリウム等を確実かつ効率よく吸着できる排気能力の高いクライオポンプが提供される。このクライオポンプにおいては、シェブロンバッフルが設けられている開口部から見てクライオパネル板の裏側となる面に活性炭が貼付されている。
特開2005−54689号公報
ところで、クライオポンプに重視される性能は用途によって異なるという実情がある。クライオポンプの代表的な性能としては例えば、排気対象となる各気体の排気速度や吸蔵量が挙げられる。ある用途では例えば特定気体の排気速度を高くすることが必要とされる。この場合、排気速度を優先的に高めるとともに他の性能例えば吸蔵量もある程度高くすることが実用上要求される。
そこで、本発明は、排気性能を最適化して実用性の高いクライオポンプを提供することを目的とする。
本発明のある態様は、クライオポンプに関する。このクライオポンプは、一端に開口部を有する筒状の熱シールド部材と、熱シールド部材内部に配置され、熱シールド部材よりも低温に冷却されるパネル構造体と、を備え、パネル構造体表面に形成された吸着領域にて前記開口部から熱シールド部材内部へと飛来する気体分子を吸着により捕捉して排気する。パネル構造体は、気体分子が前記開口部から直線的な飛来経路を経て到達しうる部位に第1の吸着領域が形成され、気体分子が前記開口部から直線的な飛来経路を経ては到達しない部位に第2の吸着領域が形成され、第1の吸着領域の単位面積当たり排気速度が第2の吸着領域の単位面積当たり排気速度よりも相対的に高くされている。
この態様によれば、気体分子が熱シールド部材の開口部から直線的な飛来経路を経て到達しうるパネル構造体の部位に第1の吸着領域が形成されている。第1の吸着領域は第2の吸着領域よりも単位面積当たりの排気速度が相対的に高く設定されている。開口部から直線的な飛来経路を経て到達しうるパネル構造体の部位は、排気速度性能への寄与が相対的に大きい。よって、この部位の排気速度を他の部位よりも高めることにより、他の性能への影響を抑えつつクライオポンプの排気速度を向上させることができる。このようにしてクライオポンプの排気性能の最適化を図ることができる。
本発明の他の態様は、クライオポンプに関する。このクライオポンプは、一端に開口部を有する筒状の熱シールド部材と、熱シールド部材内部に配置され、熱シールド部材よりも低温に冷却されるパネル構造体と、を備え、パネル構造体表面に形成された吸着領域にて前記開口部から熱シールド部材内部へと飛来する気体分子を吸着により捕捉して排気する。パネル構造体は、気体分子が前記開口部から直線的な飛来経路を経て到達しうる部位に第1の吸着領域が形成され、気体分子が前記開口部から直線的な飛来経路を経ては到達しない部位に第2の吸着領域が形成され、第2の吸着領域の単位面積当たり気体吸蔵量が第1の吸着領域の単位面積当たり気体吸蔵量よりも大きい。
この態様によれば、気体分子が熱シールド部材の開口部から直線的な飛来経路を経ては到達しないパネル構造体の部位に第2の吸着領域が形成されている。第2の吸着領域は第1の吸着領域よりも単位面積当たり気体吸蔵量が大きい。このように排気速度性能への寄与が相対的に小さい部位の気体吸蔵量を大きくすることにより、排気速度性能への影響を抑えつつ気体吸蔵量の向上を実現し、排気性能の最適化を図ることができる。
あるいは、パネル構造体は、第1の吸着領域の単位面積当たり排気速度を第2の吸着領域の単位面積当たり排気速度よりも相対的に高くするとともに、第2の吸着領域が第1の吸着領域よりも単位面積当たり大きい気体吸蔵量を有するように構成されていてもよい。
この態様によれば、排気速度性能への寄与が相対的に大きい第1の吸着領域の排気速度が高くされるとともに、排気速度性能への寄与の比較的小さい第2の吸着領域を利用して気体吸蔵量が確保される。よって、高い排気速度と充分な気体吸蔵量とを両立させることができる。
本発明の更なる態様は、クライオパネル構造体である。このクライオパネル構造体は、異種の吸着剤がそれぞれ区分された領域に設けられている。
また、本発明の更なる他の態様は、クライオパネル構造体である。このクライオパネル構造体は、パネル表面に小径の活性炭が接着されて形成されている排気速度重視領域と、パネル表面に大径の活性炭が接着されて形成されている吸蔵量重視領域とを備える。
本発明によれば、クライオポンプ性能の最適化を図ることが可能となる。
まず、以下に説明する本発明に係る実施形態の概要を説明する。クライオポンプは、例えば10K乃至20K程度に冷却されるクライオパネルを備える。例えば窒素やアルゴン等のようにその冷却温度で蒸気圧が充分に低くなる気体はクライオパネル上に凝縮されて排気される。一方、この冷却温度においても蒸気圧の高い水素、ネオン、ヘリウム等の気体はクライオパネル上に凝縮されない。これらの非凝縮性気体は、パネル上に接着等により設けられて冷却される吸着剤(典型的には活性炭)により吸着されて排気される。
本発明者は、クライオポンプ開口部の近くに配置されるパネル上の吸着剤のほうが遠くのパネルの吸着剤よりもクライオポンプの排気速度性能に寄与するということを実験的に見出した。この1つの理由は、気体分子が開口部を通じて直線的に飛来するから、開口部の近傍に配置されたパネルには気体分子が到達しやすいのに対し、奥に配置されたパネルは他のパネルの陰となり気体分子が到達しにくいためであると考えられる。このように、気体の流れ性によって各パネルの排気速度性能への寄与の度合いが異なる。
本発明に係る各実施形態はこの知見を前提としてなされたものである。排気速度性能への寄与が大きい部位では排気速度を重視してパネル構成を設計し、排気速度性能への寄与が大きい部位では他の性能例えば気体吸蔵量を重視してパネル構成を設計する。例えば、開口部の近くでは排気速度を重視して設計されたパネル構成を採用し、開口部から離れたところでは吸蔵量を重視して設計されたパネル構成を採用する。これにより、パネル構造体全体として高い排気速度と充分な気体吸蔵量とを両立させることが可能となり、より実用性に優れるクライオポンプを提供することができる。なお以下では、パネル構造体において排気速度に相対的に優れている部位を「排気速度重視領域」と適宜称し、パネル構造体において気体吸蔵量に相対的に優れている部位を「吸蔵量重視領域」と適宜称する。
クライオポンプを作動させる高真空においては通常気体は分子流の状態にあるから、開口部を経て進入する気体分子は直線的に飛来する。よって、気体分子がポンプ開口部から直線的な飛来経路を経て到達しうるパネル構造体の部位には気体分子が到達しやすい。一方、気体分子がポンプ開口部から直線的な飛来経路を経ては到達しないパネル構造体の部位には気体分子が到達しにくい。よって、一実施形態においては、気体分子がポンプ開口部から直線的な飛来経路を経て到達しうるパネル構造体の部位に排気速度重視領域が形成される。気体分子がポンプ開口部から直線的な飛来経路を経ては到達しないパネル構造体の部位に吸蔵量重視領域が形成される。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るクライオポンプ10の一部を模式的に示す図である。簡明化のため、パネル構造体14と、パネル構造体14を包囲する熱シールド16のみを示す。パネル構造体14は、平板状のパネル取付部材2と、パネル取付部材2に互いに平行に立設される平板状の複数の上部パネル4及び複数の下部パネル6とを備える。上部パネル4は熱シールド16の開口部に向けてパネル取付部材2に垂直に立設され、下部パネル6はクライオポンプ10の底部に向けてパネル取付部材2に垂直に立設されている。パネル取付部材2は熱シールド16の開口部に平行に配置されており、開口部からパネル構造体14を見たときに下部パネル6は最外部のものを除きパネル取付部材2により遮蔽され見ることができない。図1においては、開口部を通じて直線的に飛来する気体分子を模式的に矢印で示している。
図1においては、気体分子がポンプ開口部から直線的な飛来経路を経て到達しうるパネル構造体の部位が太字で示されている。すなわち、上部パネル4の両面、下部パネル6のうち最外部のものの外側の面、及びパネル取付部材2の開口部側の面には、気体分子がポンプ開口部から直線的な飛来経路を経て到達しうる。よって、これらの領域の全域またはいずれか一部に排気速度重視領域を設ける。このようにして排気速度重視領域の配置を設定することにより、排気速度重視領域における単位面積当たりの排気速度を他の部位よりも相対的に高くすることができる。ここで「単位面積当たりの排気速度」としているのは、領域の広さとは独立に当該領域の排気速度を相対的に高くすることを明確にする趣旨である。
また、パネル構造体14の残りの部位、つまり下部パネル6のうち最外部のものの内側の面、パネル取付部材2の中心部に設けられている下部パネル6の両面、及びパネル取付部材2のポンプ底部側の面には、気体分子がポンプ開口部から直線的な飛来経路を経ては到達しない。よって、これらの領域の全域またはいずれか一部に吸蔵量重視領域を設ける。
なお、要求される排気性能に応じて、気体分子がポンプ開口部から直線的な飛来経路を経て到達しうるパネル構造体の部位の一部に吸蔵量重視領域を設けてもよい。例えば、上述の実施形態では、下部パネル6のうち最外部のものの外側の面に吸蔵量重視領域を設けてもよい。
また、排気速度重視領域がパネル構造体に複数箇所設定される場合においてはそれらの複数箇所が定量的に等しい排気速度を有するわけではなく、それら複数の排気速度重視領域間でも排気速度に相対的な優劣があってもよい。吸蔵量重視領域についても同様である。
異なる吸着領域を区別して形成するための1つの具体的手法は、複数種類の吸着剤を使用することである。従来は1種類の吸着剤が使用されるのが通常である。本発明の一実施形態においては、パネル構造体上で区分された異なる領域に異なる種類の吸着剤が設けられる。パネル構造体の第1の部位に第1の吸着剤が設けられて第1の吸着領域が形成され、パネル構造体の第1の部位とは異なる第2の部位に第1の吸着剤とは異なる第2の吸着剤が設けられるて第2の吸着領域が形成される。第1の吸着剤及び第2の吸着剤はそれぞれ、例えば種類の異なる活性炭である。
例えば、第1の吸着剤は第1の活性炭であり、第2の吸着剤は第1の活性炭よりも大径である第2の活性炭である。このようにすれば、第1の活性炭が小径であるためパネル間の気体分子の流れ性を比較的良好にすることができる。よって排気速度を高くすることができる。一方、吸蔵量は活性炭の体積に比例する。よって、第2の活性炭を大径とすることにより充分な吸蔵量を確保することも可能となる。
なお、第1の吸着剤は第2の吸着剤よりも排気速度に優れる吸着剤であってもよい。つまり吸着剤自体の性質として排気対象気体の吸着速度に相対的に優れる吸着剤を第1の吸着領域に設けてもよい。また第2の吸着剤は第1の吸着剤よりも吸蔵量に優れる吸着剤であってもよい。つまり吸着剤自体の性質として排気対象気体の吸蔵量に相対的に優れる吸着剤を第2の吸着領域に設けてもよい。
ここで、吸着剤(例えば活性炭)の種類が異なるとは、吸着剤の特性の少なくとも1つが有意に異なることを意味するものとする。有意に異なるというのは、例えば、2種の吸着剤を比較したときにある特性に関して誤差を超える違いがあるということである。吸着剤の特性には物理特性及び化学特性が含まれる。物理特性は例えば、吸着剤の各粒子が円柱形状等に成形されている場合にはその径や長さ等を含み、粒子が不定形状である場合には平均粒径や有効径、均等係数などを含む。吸着剤の特性は1つの値で示されてもよいし、数値範囲で示されてもよい。
なお、吸着領域の形成は、パネル表面への吸着剤を設けること以外にパネル表面への表面加工により行ってもよい。例えば、パネル表面を例えば多孔質に改質することにより吸着領域を形成してもよい。
また、他の具体的手法は、パネルの配置を工夫することである。例えば、パネル構造体は複数のパネルを含み、気体分子がポンプ開口部から直線的な飛来経路を経て到達しうるパネル構造体の部位においてはパネルを相対的に疎に配置してもよい。このとき、気体分子がポンプ開口部から直線的な飛来経路を経ては到達しないパネル構造体の部位においてはパネルを相対的に密に配置してもよい。このようにしても、排気速度重視領域の周囲の気体分子の流れ性を良好にすることができるので排気速度を高めることができる。また、吸蔵量重視領域が密に形成されることにより充分な吸蔵量を確保することも可能となる。なおこの場合、排気速度重視領域及び吸蔵量重視領域のそれぞれに使用される吸着剤は同じ種類であってもよいし、あるいは異なる種類を採用することによりさらなる排気性能の最適化を追求してもよい。
なお、パネル構造体においては、第1の吸着領域とも第2の吸着領域とも性質の異なる第3の吸着領域が形成されてもよい。また、第1の吸着領域から第2の吸着領域へと連続的に性質が変化していくように形成されていてもよい。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態についてさらに詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るクライオポンプ10を模式的に示す断面図である。
クライオポンプ10は、例えばイオン注入装置やスパッタリング装置等の真空チャンバ80に取り付けられて、真空チャンバ80内部の真空度を所望のプロセスに要求されるレベルにまで高めるために使用される。例えば10^−5Pa乃至10^−8Pa程度の高い真空度が実現される。クライオポンプ10は、冷凍機12とパネル構造体14と熱シールド16とを備える。パネル構造体14は複数のパネルを含み、これらのパネルは冷凍機12により冷却される。パネル表面には気体を凝縮または吸着により捕捉して排気するための極低温面が形成される。
図2に示されるクライオポンプ10は、いわゆる縦型のクライオポンプである。縦型のクライオポンプとは、熱シールド16の軸方向に沿って冷凍機12が挿入されて配置されているクライオポンプである。なお、本発明はいわゆる横型のクライオポンプにも同様に適用することができる。横型のクライオポンプとは、熱シールド16の軸方向に交差する方向(通常は直交方向)に冷凍機の第2段の冷却ステージが挿入され配置されているクライオポンプである。
冷凍機12は、ギフォード・マクマホン式冷凍機(いわゆるGM冷凍機)である。また冷凍機12は2段式の冷凍機であり、第1冷却ステージ22及び第2冷却ステージ24を有する。冷凍機12は配管18を介して圧縮機20に接続されており、圧縮機20から供給される例えばヘリウム等の作動流体を内部で断熱膨張させて第1冷却ステージ22及び第2冷却ステージ24に寒冷を発生させる。第2冷却ステージ24は第1冷却ステージ22よりも低温に冷却される。第2冷却ステージ24は例えば10K乃至20K程度に冷却され、第1冷却ステージ22は例えば80K乃至100K程度に冷却される。
冷凍機12の第1冷却ステージ22には熱シールド16が熱的に接続された状態で固定され、冷凍機12の第2冷却ステージ24にはパネル構造体14が熱的に接続された状態で固定されている。このため、熱シールド16は第1冷却ステージ22と同程度の温度に冷却され、パネル構造体14は第2冷却ステージ24と同程度の温度に冷却される。
熱シールド16は、パネル構造体14及び第2冷却ステージ24を周囲の輻射熱から保護するために設けられている。熱シールド16は一端に開口部26を有する円筒状の形状に形成されている。開口部26は熱シールド16の筒状側面の端部内面により画定される。
一方、熱シールド16の開口部26とは反対側つまりポンプ底部側の他端には閉塞部28が形成されている。閉塞部28は、熱シールド16の円筒状側面のポンプ底部側端部において径方向内側に向けて延びるフランジ部により形成される。図2に示されるクライオポンプ10は縦型のクライオポンプであるので、このフランジ部が冷凍機12の第1冷却ステージ22に取り付けられている。これにより、熱シールド16内部に円柱状の内部空間30が形成される。冷凍機12は熱シールド16の中心軸に沿って内部空間30に突出しており、第2冷却ステージ24は内部空間30に挿入された状態となっている。
なお、横型のクライオポンプの場合には、閉塞部28は通常完全に閉塞されている。冷凍機12は、熱シールド16の側面に形成されている冷凍機取付用の開口部から熱シールド16の中心軸に直交する方向に沿って内部空間30に突出して配置される。冷凍機12の第1冷却ステージ22は熱シールド16の冷凍機取付用開口部に取り付けられ、冷凍機12の第2冷却ステージ24は内部空間30に配置される。第2冷却ステージ24にはパネル構造体14が取り付けられる。パネル構造体14は、適当な形状のパネル取付部材を介して第2冷却ステージ24に取り付けられてもよい。
なお、熱シールド16の形状は、円筒形状には限られず、角筒形状や楕円筒形状などいかなる断面の筒形状でもよい。典型的には熱シールド16の形状はポンプケース34の内面形状に相似する形状とされる。また、熱シールド16は図示されるような一体の筒状に構成されていなくてもよく、複数のパーツにより全体として筒状の形状をなすように構成されていてもよい。これら複数のパーツは互いに間隙を有して配設されていてもよい。
また熱シールド16の開口部26にはバッフル32が設けられている。バッフル32は、パネル構造体14とは熱シールド16の中心軸方向に間隔をおいて設けられている。バッフル32は、熱シールド16の開口部26側の端部に取り付けられており、熱シールド16と同程度の温度に冷却される。バッフル32は、真空チャンバ80側から見たときに例えば同心円状に形成されていてもよいし、あるいは格子状等他の形状に形成されていてもよい。なお、バッフル32と真空チャンバ80との間にはゲートバルブ(図示せず)が設けられている。このゲートバルブは例えばクライオポンプ10を再生するときに閉とされ、クライオポンプ10により真空チャンバ80を排気するときに開とされる。
熱シールド16、バッフル32、パネル構造体14、及び冷凍機12の第1冷却ステージ22及び第2冷却ステージ24は、ポンプケース34の内部に収容されている。ポンプケース34は径の異なる2つの円筒を直列に接続して形成されている。ポンプケース34の大径の円筒側端部は開放され、真空チャンバ80との接続用のフランジ部36が径方向外側へと延びて形成されている。またポンプケース34の小径の円筒側端部は冷凍機12に固定されている。クライオポンプ10はポンプケース34のフランジ部36を介して真空チャンバ80の排気用開口に気密に固定され、真空チャンバ80の内部空間と一体の気密空間が形成される。
ポンプケース34及び熱シールド16はともに円筒状に形成されており、同軸に配設されている。ポンプケース34の内径が熱シールド16の外径を若干上回っているので、熱シールド16はポンプケース34の内面との間に若干の間隔をもって配置される。
パネル構造体14は熱シールド16の内部空間30に配置されている。パネル構造体の表面には気体を吸着するための吸着剤として例えば活性炭が接着されている。パネル構造体14の構造は図3を参照して後述する。
パネル構造体14の各パネルまたは他の部材の表面は、所定の基準平面に対して垂直、平行、または斜めのいずれかの位置関係を有する。なお位置関係が斜めであるとは、基準平面に対してパネル表面が垂直でも平行でもないことをいい、基準平面に対してパネル表面が傾斜していることをいう。本実施形態においては熱シールド16の開口部26は円形の平面であるとみなすことができるから、パネル構造体14の各パネルの表面は開口部26に対して垂直、平行、または斜めのいずれかの位置関係を有する。パネルが平板である場合にはそのパネル表面の全体が開口部26に対して垂直、平行、または斜めのいずれかの位置関係を有するということができる。パネルが湾曲または屈曲している場合にはそのパネルの局所的領域ごとに開口部26との位置関係が異なる。この場合でもパネルの局所的領域と開口部26との位置関係は垂直、平行、または斜めのいずれかであるいえる。なお熱シールド16の端部形状によっては開口部26の形状を平面とはみなせない場合もある。この場合には基準平面として代替的に例えばバッフル32が配置される面または熱シールド16の中心軸に垂直な面を用いて、各パネルの基準平面に対する位置関係を規定することができる。
クライオポンプ10の作動に際しては、まずその作動前に他の適当な粗引きポンプを用いて真空チャンバ80内部を1Pa程度にまで粗引きする。その後クライオポンプ10を作動させる。冷凍機12の駆動により第1冷却ステージ22及び第2冷却ステージ24が冷却され、これらに熱的に接続されている熱シールド16、バッフル32、パネル構造体14も冷却される。
冷却されたバッフル32は、真空チャンバ80からクライオポンプ10内部へ向かって飛来する気体分子を冷却し、その冷却温度で蒸気圧が充分に低くなる気体(例えば水分など)を表面に凝縮させて排気する。バッフル32の冷却温度では蒸気圧が充分に低くならない気体はバッフル32を通過して熱シールド16内部へと進入する。進入した気体分子のうちパネル構造体14の冷却温度で蒸気圧が充分に低くなる気体(例えばアルゴンなど)は、パネル構造体14の表面に凝縮されて排気される。その冷却温度でも蒸気圧が充分に低くならない気体(例えば水素など)は、パネル構造体14の表面に接着され冷却されている吸着剤により吸着されて排気される。このようにしてクライオポンプ10は真空チャンバ80内部の真空度を所望のレベルに到達させることができる。
図3は、本発明の第2の実施形態に係るパネル構造体14を模式的に示す断面図である。パネル構造体14は、パネル取付部材40と複数のパネル42a、42b、42cとを備える。なお以下ではパネル42a、42b、42cを総称してパネル42という場合がある。パネル取付部材40は、一端が開放され他端が円板部44により閉塞されている円筒状の部材である。パネル取付部材40内部を向くほうの円板部44の面が冷凍機12の第2冷却ステージ24に固定されており、パネル取付部材40は第2冷却ステージ24を包囲するように配置されている。円板部44の他方の面は熱シールド16の開口部26を向き、開口部26に平行に配置されている(図2参照)。なお図3において熱シールド16の開口部26の向きを矢印Aにより示す。
パネル構造体14の円筒状側面に複数のパネル42が互いに間隔をあけて取り付けられている。パネル42は3枚設けられており、熱シールド16の開口部26に近接するほうから順に最上パネル42aと2枚の下部パネル42b、42cが開口部26に垂直な方向に沿って等間隔に設けられている。複数のパネル42はいずれも同一形状に形成されており、円すい台側面の形状あるいは傘状の形状である。パネル42は、パネル取付部材40の円筒状側面から径方向外側に向けて延び、径方向外側に向けて延びるにつれて熱シールド16の開口部26から離れるように取り付けられている。このためパネル42の表面は、熱シールド16の中心軸から径方向外側に向かうにつれて熱シールド16の開口部26から離れるように開口部26に対して斜めに配置されている。
第2の実施形態においては、最上パネル42aの表面のうち開口部26を向くほうの面46(以下この面を適宜「パネル前面46」と呼ぶ)の全域に排気速度重視領域が形成されている。排気速度重視領域が形成されている面46の裏面48(以下この面を適宜「パネル裏面48」と呼ぶ)の全域に吸蔵量重視領域が形成されている。具体的には、パネル前面46の全域に相対的に径の小さい活性炭50が吸着材として接着され、パネル裏面48の全域に相対的に径の大きい活性炭52が吸着材として接着されている。下部パネル42b、42cについても最上パネル42aと同様に、パネル前面の全域に小径の活性炭が接着され、パネル裏面の全域に大径の活性炭が接着されている。
パネル42の両面に接着されている活性炭50、52はともに円柱形状に成形されている。活性炭50、52はその中心軸が開口部26に平行となる姿勢で側面がパネル表面に接着されている。多数の活性炭50、52がパネル42の表面に密に並べられた状態で接着されている。
最上パネル42aのパネル前面46は、開口部26及びバッフル32に直接対向しているので開口部26及びバッフル32を通過した気体分子が直線的経路で飛来する。言い換えれば、パネル前面46にはバッフル32を通過した気体分子が他のパネル等にじゃまされることなく直接的に到達する。このため、最上パネル42aのパネル前面46は、パネル構造体14の他の部位に比べて相対的に単位面積当たりの排気速度が高くなる。
また下部パネル42b、42cにおいては、パネル前面46に小径の活性炭50を設けることによりパネル前面に対向する直上の隣接パネルとの間隙を広くすることができる。よって、隣接パネル間での気体の流れ性を良好にすることができ、他の部位に比べて相対的に単位面積当たりの排気速度が高くなる。
これに対してパネル裏面48には開口部26及びバッフル32を通過した気体分子が直線的な飛来経路を経ては到達しない。他のパネルや熱シールド16等に例えば多数回衝突し反射されてはじめてパネル裏面48に気体分子は到達する。このためパネル裏面48の排気速度への寄与は相対的に低い。よって、相対的に大径の活性炭52を設けて単位面積当たりの吸蔵量を高くする。気体吸蔵量は吸着剤の体積に比例して増大するので、大径の活性炭52を設けることにより単位面積当たりの吸蔵量を高くすることができる。
このように、第2の実施形態によれば、パネル前面46に小径の活性炭を設け、パネル裏面48に大径の活性炭を設けることにより、高い排気速度を実現するとともに充分な吸蔵量を確保することができる。
図4は、第2の実施形態の一変形例を示すパネル構造体14の部分断面図である。上述の実施形態では、パネル42の一方の面に1種類の吸着剤が設けられているが、この変形例のようにパネルの1つの面に複数の吸着剤を区分して設けてもよい。例えば、下部パネル42bのパネル前面に相対的に小径の活性炭を設ける領域と相対的に大径の活性炭を設ける領域とを区分して設定してもよい。
具体的には図4に示されるように、下部パネル42bのパネル前面の外側領域には、矢印Bに示されるように気体分子が熱シールド16の開口部26から直線的な飛来経路を経て到達し得る。よって、下部パネル42bのパネル前面の外側領域を排気速度重視領域に設定して小径の活性炭50を設ける。また、下部パネル42bのパネル前面の内側領域には気体分子は上部のパネルにより妨げられるため開口部26から直線的な飛来経路を経ては到達しないから、排気速度への寄与が比較的小さいと考えられる。よって、下部パネル42bのパネル前面の内側領域を吸蔵量重視領域に設定して大径の活性炭50を設ける。このようにして更なる排気性能の最適化を図ることも可能である。ただし、パネルの1つの面に複数種類の吸着剤を設ける場合には製造上のコストが高まる可能性がある。よって、製造上のコストと要求される排気性能とのトレードオフによってパネルの一方の面に複数種類の吸着剤を設けるか否かを定めればよい。
また、他の変形例としては、最上パネル42aのパネル前面46が他のパネルのパネル前面よりも高い単位面積当たり気体吸蔵量を有するように構成してもよい。例えば、最上パネル42aのパネル前面46には他のパネルのパネル前面よりも気体吸蔵量に優れている吸着剤を設けてもよい。例えば、最上パネル42aのパネル前面46に設ける活性炭を下部パネル42b、42cのパネル前面に設ける活性炭よりも相対的に大径の活性炭としてもよい。この場合、最上パネル42aの両面にはともに同種類の大径の活性炭52が設けられてもよい。最上パネル42aのパネル前面46に設けられる吸着剤は熱シールド16の開口部26に直接対向しているので、吸着剤の形状に大きく依存することなく相対的に高い排気速度を実現すると考えられる。よって、最上パネル42aのパネル前面46の吸着剤は気体吸蔵量を優先して選択されてもよい。
また、パネル構造体14においてパネル42以外の露出されている表面をパネルとして利用してもよい。例えばパネル取付部材40の円板部44をパネルの1つとして利用してもよい。この場合、円板部44の開口部26を向くほうの面に吸着剤を設けてもよい。なお、円板部44に設けられる吸着剤は最上パネル42aのパネル前面46の吸着剤と同種であってもよいし、異種であってもよい。
また、吸着剤として活性炭を用いる場合には、真空チャンバ80側からパネル構造体14(例えば最上パネル42a、円板部44)を見たときにバッフル32の陰となる位置に活性炭を設けるようにしてもよい。そうすれば、真空チャンバ80からの輻射による熱入力の影響を低減することができる。
上述の実施形態とは異なるパネル配置を採用してもよい。例えば、パネル間隔はすべてのパネルについて等しくてもよいし、各々異なっていてもよい。例えば開口部26からパネルの位置が遠ざかるにつれてパネル間隔が狭くなるように複数のパネル42のそれぞれを配置してもよい。または図5に示されるように最上パネル42aと隣接する下部パネル42bとのパネル間隔を他のパネルのパネル間隔よりも大きくしてもよい。この場合、開口部26から相対的に遠いパネルについては両面とも吸蔵量重視領域としてもよく、例えば図5に示されるように下部パネル42cの両面に大径の活性炭52が接着されていてもよい。このようにすれば、開口部26に近接するパネル構造体14の部位での気体の流れ性を良好とし排気速度を高くすることができる。それとともに、開口部26から遠いパネル構造体14の部位では相対的にパネルが密に配置されることにより吸着領域を増加させることができるので充分な気体吸蔵量を確保することもできる。
また、上述の実施形態とは異なる形状のパネル42を採用してもよい。例えば、パネル42の向きは開口部26に平行であってもよいし、径方向外側に延びるにつれて開口部26に近づくように斜めになっていてもよい。吸着領域として機能するパネル表面積を増大させるためには、パネルの向きは開口部26に平行であるよりも斜めであるほうが好ましい。
パネル42の形状はパネルごとに異なる形状であってもよい。例えば、パネル42の径方向の長さを異ならせてもよく、開口部26から遠ざかるにつれて長くしてもよいし、あるいは短くしてもよい。例えば排気速度重視領域を広くする場合には最上パネル42aの径方向の長さを下部パネル42b、42cよりも大きくしてもよい。吸蔵量重視領域を広くする場合には下部パネル42b、42cを最上パネル42aよりも大きくしてもよい。また、パネル42を開口部26側から見たときの形状は円形でなくてもよく、例えば多角形形状などの他の形状であってもよい。パネル42の枚数は3枚に限られず、何枚であってもよい。
また吸着剤の形状は円柱形状でなくてもよく、例えば球状やその他の成形された形状、あるいは不定形状であってもよい。吸着剤のパネル上での配列は規則的配列であっても不規則な配列であってもよい。また、パネルごとにまたはパネル上の領域ごとに同一種類の吸着剤の配列を異ならせることによって排気速度重視領域及び吸蔵量重視領域を区別して形成してもよい。
次に第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は第2の実施形態とはパネル構造体の構成に関して異なる。なお以下の説明では第2の実施形態と同様の箇所については冗長を避けるため説明を適宜省略する。第2の実施形態及びこれに付随して説明された各変形例は、第3の実施形態及びこれに付随して説明される各変形例に適宜組み合わせることも可能である。
図6は、第3の実施形態に係るパネル構造体14を模式的に示す上面図である。図7は、第3の実施形態に係るパネル構造体14を模式的に示す側面図である。図7においては図3と同様に熱シールド16の開口部26の方向が矢印Aで示されている。
図6及び図7に示されるように、パネル構造体14は、円板状のパネル取付部材60と複数の第1パネル62と複数の第2パネル64とを備える。第1パネル62はパネル取付部材60の開口部26を向く面に立設されており、第2パネル64はその反対側の面すなわち熱シールド16の閉塞部28を向く面に立設されている。中間部材としてのパネル取付部材60により第1パネル62と第2パネル64とが連結されている。
第3の実施形態では、第1パネル62に排気速度重視領域が形成され、第2パネル64に吸蔵量重視領域が形成される。つまり、中間部材としてのパネル取付部材60を挟んで開口部26に近いほうに排気速度重視領域が形成され、開口部26から遠いほうに吸蔵量重視領域が形成される。このように開口部26の近傍のパネルに排気速度重視領域を設け、他のパネルに吸蔵量重視領域を設けることにより、高い排気速度と充分な気体吸蔵量との両立が可能となる。
また第3の実施形態では、隣接する第1パネル62間にて対向する排気速度重視領域間に形成される間隙が、隣接する第2パネル64間にて対向する吸蔵量重視領域間に形成される間隙よりも広くなるように、第1パネル62の配置、第2パネル64の配置、及び各領域での吸着剤の選択が定められる。このように排気速度重視領域間及び吸蔵量重視領域間のそれぞれの間隙を設定することにより、排気速度重視領域での気体の流れ性を良好にすることができる。よって高い排気速度を実現することができる。
第1パネル62及び第2パネル64の表面には第2の実施形態と同様に吸着剤が設けられるが、図6及び図7においてはパネル配置の理解を容易にするために吸着剤の図示を省略している。吸着剤については図8乃至図10を参照して後述する。
本実施形態では第1パネル62と第2パネル64とは立設される面が互いに反対側であることを除いて同じレイアウトで配置されている。第1パネル62及び第2パネル64はともに矩形の平板状部材である。第1パネル62と第2パネル64とは同じ寸法に形成されている。第1パネル62はパネル取付部材60上に放射状かつ等間隔に立設され、第2パネル64はパネル取付部材60上に放射状かつ第1パネル62と同じ間隔で等間隔に立設されている。つまり第1パネル62と第2パネル64とは等しい枚数が設けられている。
第1パネル62及び第2パネル64はともにパネル取付部材60に垂直に立設されている。よって第1パネル62及び第2パネル64はともに開口部26に対して垂直に配置されている。第1パネル62の両面に吸着領域が形成される場合にはパネル両面に均等に気体が到達するように第1パネル62は基本的には開口部26に垂直に配置されることが好ましい。しかし、気体の流れ性及び真空チャンバ80からの輻射熱等を考慮して第1パネルを適宜傾斜させてもよい。また、第2パネル64は必ずしもパネル取付部材60に垂直に立設されなくてもよい。パネル表面積を増大させひいては吸蔵量を増大させるためにパネル取付部材60に第2パネル64は斜めに立設されてもよい。
また、第1パネル62及び第2パネル64は円板状のパネル取付部材60の径方向外周側に設けられており、パネル取付部材60の中心部66にはパネルに包囲される円柱状空間が形成される。第1パネル62及び第2パネル64の幅はパネル取付部材60の径方向において例えば最外周部からパネル取付部材60の半径の半分程度の位置までを占めるように設定されている。この場合パネル取付部材60の中心部66にはパネル取付部材60の直径の半分程度の直径を有する円柱状空間が形成される。このように、パネルを中間部材の表面で放射状に配置する場合にはパネルを中間部材表面の外周側に設け中心部に開放空間を形成することが好ましい。これにより中心部でのパネルの密集を避けることができるので気体の流れ性を良好にすることができる。
この空間を利用してパネル構造体14が冷凍機12に熱的に接続される。つまりパネル取付部材60の中心部66に冷凍機12の第2冷却ステージ24が取り付けられる。第2冷却ステージ24は、パネル取付部材60の第2パネル64が設けられている面に取り付けられる。なお、パネル構造体14を横型のクライオポンプに取り付ける場合には冷凍機12の取付のための空間を形成するために例えば第2パネル64のうち一部のパネルを省略してもよい。
図8は、パネル構造体14の一部を模式的に示す部分側面図である。図9及び図10は、パネル構造体14の一部を模式的に示す部分上面図である。図8には吸着剤が設けられた状態の第1パネル62及び第2パネル64が示されている。図9には吸着剤が設けられた状態の第1パネル62が示されている。図10には吸着剤が設けられた状態の第2パネル64が示されている。
第3の実施形態においても第2の実施形態と同様に吸着剤として円柱状に成形された小径の活性炭50及び大径の活性炭52が用いられている。図8に示されるように、第1パネル62の表面全域に小径の活性炭50が接着され、第2パネル64の表面全域に大径の活性炭52が接着されている。小径の活性炭50及び大径の活性炭52はともにパネル表面に規則的に並べて接着されている。具体的には、円柱形状の中心軸を開口部26に垂直な方向に一致させた状態で側面がパネル表面に接着されている。パネル外形の縦横に沿ってマトリックス状に密集させてパネル表面に接着されている。図9に示されるように小径の活性炭50は第1パネル62の両面に設けられている。図10に示されるように大径の活性炭52は第2パネル64の両面に設けられている。このようにして第1パネル62の両面全域に排気速度重視領域が形成され、第2パネル64の両面全域に吸蔵量重視領域が形成される。なお、吸着剤はパネルの一方の面にのみ設けてもよいし、パネル表面に一部に設けてもよい。
ここで、隣接する第1パネル62間にて対向する排気速度重視領域間に形成される間隙Gは(図9参照)、隣接する第2パネル64間にて対向する吸蔵量重視領域間に形成される間隙G(図10参照)よりも広くされている。第1パネル62及び第2パネル64がともに等しい角度間隔で放射状に配置され、第1パネル62上の活性炭50のほうが第2パネル64上の活性炭52よりも小さいためである。このため排気速度重視領域において相対的に良好な流れ性を実現することができるので高い排気速度を達成することが可能となる。また吸蔵量重視領域においては大型の活性炭が用いられているので高い気体吸蔵量を達成することも可能となる。
上述のように対向する排気速度重視領域間に形成される間隙と対向する吸蔵量重視領域間に形成される間隙とを比較する場合には、各パネルが放射状に配置されている場合には角度間隔を比較すればよい。また各パネルが平行に配置されている場合には吸着領域間の距離を比較すればよい。隣接するパネルが平行ではない場合やパネルが湾曲している場合などの他の場合には、対向する吸着領域間の距離は均一ではない。このような場合には、例えば対向する排気速度重視領域間に形成される間隙の最小値が、対向する吸蔵量重視領域間に形成される間隙の最小値または平均値よりも大きくなるようにしてもよい。排気速度重視領域での気体の流通経路を広めにとることにより、排気速度重視領域での気体の流れ性を相対的に良好にすればよいからである。
図11は、第3の実施形態の一変形例を模式的に示す図である。図11には、パネル構造体14の側面図が示されている。この変形例においては、第1パネル62のほうが第2パネル64よりも広いパネル間隔で配置されている。例えば第1パネル62の間隔は第2パネル64の間隔の倍の大きさとされている。第1パネル62及び第2パネル64には同一の吸着剤例えば同じ大きさの活性炭(図示せず)が設けられる。このようにパネル配置を工夫することによっても、隣接する第1パネル62間にて対向する排気速度重視領域間に形成される間隙は、隣接する第2パネル64間にて対向する吸蔵量重視領域間に形成される間隙よりも広くなる。このようにして排気速度と気体吸蔵量との両立を図ることもできる。
なお上述の実施形態とは異なるパネル配置を採用してもよい。例えば、放射状のパネル配置ではなく、各パネルを平行に配列したり、格子状に配置してもよい。また各パネルの間隔は共通であってもよいし、異ならせてもよい。また中間部材は円板状の平板部材でなくてもよく、他の形状の平板部材であってもよい。あるいは中間部材は湾曲形状または屈曲形状を有していてもよく、例えば中心部に近づくほど開口部26に向けて近接するようなドーム状の形状であってもよい。また、隣接するパネル間において、気体の流通を促進させるスリットを中間部材に形成してもよい。このようにすればクライオポンプ底部側に向けて立設されているパネル上の吸着領域への気体流通を促進させることができる。
また、上述の実施形態においては第1パネル62及び第2パネル64の形状及び寸法は共通であるが、これらを適宜異ならせてもよい。例えば第1パネル62及び第2パネル64の表面積を異ならせることにより排気速度と吸蔵量とを調整することができる。また、第1パネル62の一部に吸蔵量重視領域を形成してもよいし、第2パネル64の一部に排気速度重視領域を形成してもよい。例えば第1パネル62の中間部材との接続部近傍に吸蔵量重視領域を設けてもよい。あるいは、中間部材の露出された表面にも吸着領域を形成して排気速度重視領域または吸蔵量重視領域のいずれかとしてもよい。
本発明の第1の実施形態に係るクライオポンプを模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係るクライオポンプを模式的に示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るパネル構造体を模式的に示す断面図である。 第2の実施形態の一変形例に係るパネル構造体の部分断面図である。 第2の実施形態の一変形例に係るパネル構造体の部分断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るパネル構造体を模式的に示す上面図である。 第3の実施形態に係るパネル構造体を模式的に示す側面図である。 第3の実施形態に係るパネル構造体の一部を模式的に示す部分側面図である。 第3の実施形態に係るパネル構造体の一部を模式的に示す部分上面図である。 第3の実施形態に係るパネル構造体の一部を模式的に示す部分上面図である。 第3の実施形態の一変形例を模式的に示す図である。
符号の説明
10 クライオポンプ、 12 冷凍機、 14 パネル構造体、 16 熱シールド、 26 開口部、 28 閉塞部、 32 バッフル、 42a 最上パネル、 42b 下部パネル、 60 パネル取付部材、 62 第1パネル、 64 第2パネル。

Claims (17)

  1. 一端に開口部を有する筒状の熱シールド部材と、熱シールド部材内部に配置され、熱シールド部材よりも低温に冷却されるパネル構造体と、を備え、パネル構造体表面に形成された吸着領域にて前記開口部から熱シールド部材内部へと飛来する気体分子を吸着により捕捉して排気するクライオポンプであって、
    前記パネル構造体は、気体分子が前記開口部から直線的な飛来経路を経て到達しうる部位に第1の吸着領域が形成され、気体分子が前記開口部から直線的な飛来経路を経ては到達しない部位に第2の吸着領域が形成され、第1の吸着領域の単位面積当たり排気速度が第2の吸着領域の単位面積当たり排気速度よりも相対的に高くされていることを特徴とするクライオポンプ。
  2. 前記パネル構造体は、第2の吸着領域が第1の吸着領域よりも大きい単位面積当たり気体吸蔵量を有するよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のクライオポンプ。
  3. 第1の吸着領域は、第2の吸着領域に比べ、パネル構造体の前記開口部により近い部位に形成されることを特徴とする請求項1に記載のクライオポンプ。
  4. 前記熱シールド部材は、前記開口部とは反対側の端部に閉塞部を有し、
    前記パネル構造体は、前記熱シールド部材内部に配置され、前記開口部に向く第1の面と前記閉塞部に向く第2の面とを有する中間部材と、互いに間隔をあけて前記第1の面に立設される複数の第1パネルと、互いに間隔をあけて前記第2の面に立設される複数の第2パネルと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のクライオポンプ。
  5. 第1の吸着領域は第1パネルの両面に第1の吸着剤を設けることにより形成され、第2の吸着領域は第2パネルの両面に第2の吸着剤を設けることにより形成され、
    隣接する第1パネル間にて対向する第1の吸着領域間に形成される間隙が、隣接する第2パネル間にて対向する第2の吸着領域間に形成される間隙よりも広くなるように、第1の吸着剤の大きさ、第2の吸着剤の大きさ、第1パネルの配置、及び第2パネルの配置が定められていることを特徴とする請求項4に記載のクライオポンプ。
  6. 前記中間部材は前記開口部に対して平行に配置される円板状の部材であり、前記第1の面と前記第2の面とは互いに反対側を向く面であり、
    前記第1パネルは前記第1の面に放射状に第1の間隔で等間隔に立設され、前記第2パネルは前記第2の面に放射状に前記第1の間隔で等間隔に立設され、
    第1の吸着剤は第1の活性炭であり、第2の吸着剤は第1の活性炭よりも大径である第2の活性炭であることを特徴とする請求項5に記載のクライオポンプ。
  7. 前記中間部材は前記開口部に対して平行に配置される円板状の部材であり、前記第1の面と前記第2の面とは互いに反対側を向く面であり、
    前記第1パネルは前記第1の面に放射状に第1の間隔で等間隔に立設され、前記第2パネルは前記第2の面に放射状に前記第1の間隔よりも狭い第2の間隔で等間隔に立設され、
    第1の吸着剤及び第2の吸着剤はともに同径の活性炭であることを特徴とする請求項5に記載のクライオポンプ。
  8. 前記パネル構造体は、前記開口部に対して斜めに配置されるパネルを含み、
    第1の吸着領域は、前記パネルの表面のうち前記開口部を向くほうの面に形成されており、第2の吸着領域は、第1の吸着領域が形成されている面の裏面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のクライオポンプ。
  9. 第1の吸着領域は第1の活性炭を接着することにより形成され、第2の吸着領域は第1の活性炭よりも大径である第2の活性炭を接着することにより形成されることを特徴とする請求項8に記載のクライオポンプ。
  10. 前記開口部に設けられ、前記シールド部材に熱的に接続されているバッフルをさらに備え、
    第1の吸着領域は、バッフルを通過した気体分子が直線的な飛来経路を経て到達しうるパネル構造体の部位に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のクライオポンプ。
  11. 一端に開口部を有する筒状の熱シールド部材と、熱シールド部材内部に配置され、熱シールド部材よりも低温に冷却されるパネル構造体と、を備え、パネル構造体表面に形成された吸着領域にて前記開口部から熱シールド部材内部へと飛来する気体分子を吸着により捕捉して排気するクライオポンプであって、
    前記パネル構造体は、気体分子が前記開口部から直線的な飛来経路を経て到達しうる部位に第1の吸着領域が形成され、気体分子が前記開口部から直線的な飛来経路を経ては到達しない部位に第2の吸着領域が形成され、第2の吸着領域の単位面積当たり気体吸蔵量が第1の吸着領域の単位面積当たり気体吸蔵量よりも大きいことを特徴とするクライオポンプ。
  12. 共通の冷却ステージに熱的に接続されるクライオパネル構造体であって、
    異種の吸着剤がそれぞれ区分された領域に設けられており、該異種の吸着剤は前記共通の冷却ステージにより冷却されることを特徴とするクライオパネル構造体。
  13. パネル表面に小径の活性炭が接着されて形成されている排気速度重視領域と、パネル表面に大径の活性炭が接着されて形成されている吸蔵量重視領域とを備えるクライオパネル構造体。
  14. 一端に開口部を有する筒状の熱シールド部材と、熱シールド部材内部に配置され、熱シールド部材よりも低温に冷却されるパネル構造体と、を備え、前記開口部から熱シールド部材内部へと飛来する気体分子をパネル構造体表面にて捕捉して排気するクライオポンプであって、
    前記パネル構造体は、第1の部位と第2の部位とをパネル前面に有し、非凝縮性気体についての第2の部位の単位面積当たり気体吸蔵量が第1の部位の単位面積当たり気体吸蔵量よりも大きいことを特徴とするクライオポンプ。
  15. 前記第1の部位は、気体分子が前記開口部から直線的な飛来経路を経て到達しうる部位であり、前記第2の部位は、気体分子が前記開口部から直線的な飛来経路を経ては到達しない部位であることを特徴とする請求項14に記載のクライオポンプ。
  16. 前記第1の部位は前記パネル前面の外側領域であり、前記第2の部位は前記パネル前面の内側領域であることを特徴とする請求項14または15に記載のクライオポンプ。
  17. 前記パネル構造体は、前記開口部に垂直な方向に沿って配列された複数のクライオパネルを含み、前記開口部から遠ざかるにつれて該複数のクライオパネルは径方向の長さが長くなることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載のクライオポンプ。
JP2007280990A 2007-10-29 2007-10-29 クライオポンプ Active JP4751377B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007280990A JP4751377B2 (ja) 2007-10-29 2007-10-29 クライオポンプ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007280990A JP4751377B2 (ja) 2007-10-29 2007-10-29 クライオポンプ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009108744A JP2009108744A (ja) 2009-05-21
JP4751377B2 true JP4751377B2 (ja) 2011-08-17

Family

ID=40777481

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007280990A Active JP4751377B2 (ja) 2007-10-29 2007-10-29 クライオポンプ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4751377B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5669659B2 (ja) * 2011-04-14 2015-02-12 住友重機械工業株式会社 クライオポンプ及び真空排気方法
JP5398780B2 (ja) * 2011-05-12 2014-01-29 住友重機械工業株式会社 クライオポンプ
JP5460644B2 (ja) * 2011-05-12 2014-04-02 住友重機械工業株式会社 クライオポンプ
KR101873841B1 (ko) 2016-09-05 2018-07-03 주식회사 조인솔루션 크라이오 트랩

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5855118A (en) * 1996-03-26 1999-01-05 Saes Pure Gas, Inc. Combination cryopump/getter pump and method for regenerating same

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009108744A (ja) 2009-05-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5031548B2 (ja) クライオポンプ
JP5184995B2 (ja) クライオポンプ
JP5193786B2 (ja) クライオポンプ
JP6338403B2 (ja) クライオポンプ及び真空排気方法
JP6057782B2 (ja) クライオポンプ
JP6076843B2 (ja) クライオポンプ
TWI544149B (zh) Low temperature pump and vacuum exhaust method
JP4751377B2 (ja) クライオポンプ
JP6053588B2 (ja) クライオポンプ、及び非凝縮性気体の真空排気方法
KR102342228B1 (ko) 크라이오펌프
JP6466225B2 (ja) クライオポンプ
JP5123103B2 (ja) クライオポンプ
JP4751410B2 (ja) クライオポンプ及び真空排気方法
JP7339950B2 (ja) クライオポンプ
TWI614406B (zh) 低溫泵
TWI537468B (zh) Very cold pump, very cold plate structure and vacuum exhaust method
JP4980179B2 (ja) クライオパネル
TWI666382B (zh) Cryopump
JP2010196632A (ja) クライオポンプ
JP4980181B2 (ja) クライオパネル
WO2023145296A1 (ja) クライオポンプ
US20220389921A1 (en) Cryopump

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110324

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110517

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110520

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4751377

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140527

Year of fee payment: 3

S802 Written request for registration of partial abandonment of right

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R311802

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250