JP4979535B2 - ボイラ装置 - Google Patents
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このような問題を解決する方法として特許文献1には、微粉炭焚きボイラの低負荷運転時において、石炭ミル本体の計測値が目標設定値を超えた場合、または給炭機がトリップした場合の信号が補助燃料供給コントローラーに送信され、このいずれかの信号が送信されると、補助燃料供給コントローラーは第2燃料系の補助燃料供給弁に開信号を送信し、補助燃料は補助燃料供給管を通って、該信号が送信されていない石炭ミル系バーナよりボイラ火炉内に噴射され補助燃焼が行われるトリップ防止方法およびその装置について開示されている。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、微粉炭機がトリップした場合に、当該微粉炭機に対応する微粉炭バーナを点火する点火用バーナを発火し続けて、点火用バーナの燃焼エネルギにより不足したエネルギを補うことにより、発生蒸気圧の低下を最小限に押さえて運転を安定化し、且つ設備コストの上昇を抑制したボイラ装置を提供することを目的とする。
各微粉炭機から生成された微粉炭は、送炭管を介して微粉炭バーナに供給される。微粉炭バーナは別の燃料により点火される点火用バーナにより点火され、その燃焼エネルギによりボイラから蒸気が生成される。一般的には、ボイラ1つに対して複数の微粉炭機から微粉炭が供給されて、複数の微粉炭バーナを燃焼して蒸気を生成して一定の圧力になるように制御されている。このとき、例えば1つの微粉炭機がトリップした場合、その微粉炭バーナの燃焼が停止するため、その分ボイラに供給される燃焼エネルギが減少して、ボイラの蒸気圧が低下する。この蒸気により発電機を回転した場合は、発電量が低下して、安定的な発電を行なえなくなる。そこで本発明では、微粉炭機がトリップしたことを制御手段が検知すると、その微粉炭機を停止すると共に、その微粉炭機の微粉炭バーナを点火する点火用バーナを発火し続けるものである。これにより、停止した微粉炭機によるエネルギの低下を最小限に抑えることができ、安定的な運転を行うことができる。
また、パイプの温度分布を考慮しなくても支障の内場合は、特に停止した微粉炭バーナに対応する点火用バーナを選択して発火し続ける必要はない。即ち、停止した微粉炭バーナによるエネルギの低下を補えれば、どの点火用バーナを点火しても構わない。これにより、エネルギの低下を最小限に抑えることができ、安定的な運転を行うことができる。
点火用バーナは微粉炭機とは別系統の燃料により点火される。例えば、軽油、重油等の油やLNG等のガスにより点火される。これにより、微粉炭機のトリップによる影響を回避することができる。
請求項3は、前記制御手段は、前記微粉炭機の異常状態を検知した場合、異常発生により停止した微粉炭バーナに対応する点火用バーナを発火し続けるように前記制御弁を制御することを特徴とする。
ボイラにより水蒸気を生成する場合、ボイラ内には水を循環するパイプが配設されている。そして、そのパイプを加熱するように各微粉炭バーナが配置されている。その状態で、1つの微粉炭バーナが停止した場合、その部分のパイプが加熱されなくなり、パイプの温度分布が崩れる可能性がある。そこで本発明では、異常発生により停止した微粉炭バーナに対応する点火用バーナを発火し続けるものである。これにより、パイプの温度分布を維持しつつ、エネルギの低下を最小限に抑えることができ、安定的な運転を行うことができる。
微粉炭機がトリップして、その微粉炭機に対応する点火用バーナを発火し続けた場合でも、必ずしも蒸気圧が元に戻るとは限らない。そのような場合は、他の点火用バーナも点火して不足分を補うようにする。これにより、ボイラの蒸気圧の低下を可能な限り補うことができる。
図1は本発明のボイラ装置の概略構成図である。このボイラ装置100は、微粉炭を燃料として蒸気を生成するボイラ装置であって、ボイラ本体1と、ホッパ10内の石炭塊11を微粉炭機3に供給する給炭機2と、給炭機2により給炭された石炭塊11を粉砕して微粉炭を生成する微粉炭機3と、微粉炭機3により生成された微粉炭を燃焼する微粉炭バーナ4と、微粉炭バーナ4を点火する点火用バーナ5と、点火用バーナ5に燃料の供給及び停止を行なう制御弁8と、微粉炭機3の状態を検知して制御弁8の開閉を制御する制御手段6と、点火用バーナ5の燃料を貯蔵するタンク7と、を備えて構成されている。尚、本実施形態では、微粉炭機3を4基(3A〜3D)備え、夫々にホッパ10と給炭機2を備えるものとする。そして、各微粉炭機3A〜3Dにより生成された微粉炭は、夫々個別に設けられた送炭管12により各微粉炭バーナ4a〜4dに供給される。また、タンク7の燃料は給送管15を介して各制御弁8a〜8dに供給され、制御弁8a〜8dの出力側は各点火用バーナ5a〜5dに接続されている。また、制御手段6は、信号線13を介して各微粉炭機3A〜3Dの状態を検知する図示しないセンサからの信号を受信し、制御手段6から各微粉炭機3A〜3Dの駆動を制御する。また、信号線14を介して各制御弁8a〜8dの開閉を制御する。
例えば、制御手段6は、微粉炭機3Aの異常状態を検知した場合、当該異常状態の微粉炭機3Aを停止すると共に、少なくともこの微粉炭機3Aに備えられた点火用バーナ5aを発火し続けるように制御弁8aを制御するものである。
また、点火用バーナ5a〜5dは微粉炭機とは別系統の燃料により点火される。例えば、軽油、重油等の油やLNG等のガスにより点火される。これにより、微粉炭機のトリップによる影響を回避することができる。
まず、微粉炭機3A〜3Dが正常に動作すると、微粉炭が微粉炭バーナ4a〜4dに供給される(a点)。その状態を制御手段6が信号線13を介して検知すると、最適なタイミングで信号線15を介して制御弁8a〜8dを開放して、点火用バーナ5a〜5dを一斉に点火する。それにより各微粉炭バーナ4a〜4dは一斉に燃焼を開始して、ボイラ本体1の水を加熱して蒸気を発生する(A点)。時間の経過と共にボイラ本体1の蒸気圧は上昇して所定の圧力まで上昇する(B点)。この時点から安定運転が開始する。ここで、微粉炭機3Bが何らかの原因によりb点でトリップしたとすると、その状態は信号線13を介して制御手段6に伝達される。制御手段6は直ちに微粉炭機3Bを停止する。そのとき、ボイラ本体1の蒸気圧は一瞬低下するが(C点)、制御手段6はその低下を最小限にするために、信号線15を介して制御弁8bを開放して点火用バーナ5bを再点火して発火し続ける。これにより、ボイラ本体1の蒸気圧は再び上昇して(D点)、蒸気圧がE点まで低下するのを補うことができる。
尚、制御手段6は、微粉炭機3Bの異常状態を検知した場合、異常発生により停止した微粉炭バーナ4b以外の微粉炭バーナ4a、4c、4dに対応する点火用バーナ5a、5c、5dを発火し続けるように制御弁8a、8c、8dを制御してもよい。即ち、パイプの温度分布を考慮しなくても支障の内場合は、特に停止した微粉炭バーナ4bに対応する点火用バーナ5bを選択して発火し続ける必要はない。即ち、停止した微粉炭バーナ4bによるエネルギの低下を補えれば、どの点火用バーナを点火しても構わない。これにより、エネルギの低下を最小限に抑えることができ、安定的な運転を行うことができる。
即ち、微粉炭機3Bがトリップして、その微粉炭機3Bに対応する点火用バーナ5bを点火した場合でも、必ずしも蒸気圧が元に戻るとは限らない。そのような場合は、例えば他の点火用バーナ5cも点火して不足分を補うようにする。これにより、ボイラ本体1の蒸気圧の低下を可能な限り補うことができる。尚、本実施形態では、不足分を補うために点火用バーナ5cを点火したが、同時に複数の点火用バーナを点火しても構わない。
Claims (4)
- 微粉炭を燃料として蒸気を生成するボイラ装置であって、
ボイラ本体と、該ボイラ本体の適所に配置され前記微粉炭を燃焼する少なくとも1つの微粉炭バーナと、該微粉炭バーナごとに配置された点火用バーナと、該点火用バーナの燃料を貯蔵する燃料タンクと、該点火用バーナに前記燃料タンクからの燃料の供給及び停止を行なう制御弁と、前記微粉炭を供給する微粉炭機と、該微粉炭機の状態を検知して前記制御弁の開閉を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記微粉炭機の異常状態を検知した場合、異常発生により停止した微粉炭バーナ以外の微粉炭バーナに対応する点火用バーナを発火し続けるように前記制御弁を制御することを特徴とするボイラ装置。 - 前記点火用バーナは油又はガスを燃料とすることを特徴とする請求項1に記載のボイラ装置。
- 前記制御手段は、前記微粉炭機の異常状態を検知した場合、異常発生により停止した微粉炭バーナに対応する点火用バーナを発火し続けるように前記制御弁を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のボイラ装置。
- 前記制御手段は、前記微粉炭機の異常状態を検知した際は、異常発生により停止した微粉炭バーナに対応する点火用バーナを発火し続け、その後、前記ボイラ本体の蒸気圧が所定の値以下に低下したことを検知した場合は、他の点火用バーナも併せて点火するように前記制御弁を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のボイラ装置。
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