JP4979423B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
例えば、疎水性のクッション材を吸収シートで包んだ吸収性物品(特許文献1参照)や、空気を封入したエアバックを突出部の吸収層内部に配した吸収性物品(特許文献2参照)が知られている。
特許文献2記載の吸収性物品においても、エアバックが、吸収シートに包まれた状態で配されているため、同様に突出部の変形性に劣る。肌当接面を構成するシートの直下に比較的硬めの吸収シートが位置し、、肌当接面が着用者の肌にやわらかくフィットしない点も同様である。また、エアバックの存在により、特許文献1記載の吸収性物品と同様に、肌当接面の近傍に液が残り易く、漏れやべたつきが生じやすい。
図1及び図2は、本発明の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキンを示す図である。
本実施形態の生理用ナプキン1は、通常の生理用ナプキンと同様に縦長の形状を有しており、図2に示すように、肌当接面Pと非肌当接面Qとの間に液保持性の吸収層42,44を備えている。
本実施形態の生理用ナプキン1は、ナプキン1の幅方向中央部に着用者の肌側に向かって突出する突出部5を有する。
突出部5は、その内部に、表面シート21に近接して配された上部クッション層42、及び上部クッション層42の下方に位置する下部クッション層43を備えている。より具体的には、突出部5における肌当接面Pを形成する表面シート21に近接して配された上部クッション層41、上部クッション層41の非肌当接面Q側に位置する上部吸収層42、及び上部吸収層42の非肌当接面側に位置する下部クッション層43を備えている。下部クッション層43の非肌当接面側には下部吸収層44が配されている。そして、下部クッション層43に比べて上部クッション層41の方が厚み方向の加圧に対して変形し易い。
生理用ナプキン1における肌当接面Pは、図2に示すように、複合表面シート2から形成されており、非肌当接面Qは、液不透過性又は液難透過性の裏面シート3から形成されている。複合表面シート2は、液透過性の表面シート21と、表面シート21の両側にヒートシール部23を介して連設された一対のサイドシート22とからなる。サイドシート22は、液不透過性又は液難透過性であり、例えば撥水性の不織布からなる。なお、表面シートは、前記複合表面シート以外にも、液透過性を有するシート(不織布や開孔フィルム等既知のシート材料)を複合化せずに用いても良い。
また、下部クッション層の非肌当接面側には下部吸収層44が配されている。
上部吸収層42は、中高部5の高さ方向において、上部クッション層41と下部クッション層43との間に配されている。上部吸収層42は、上部クッション層41の下面に隣接させて配されている。
上部クッション層41及び下部クッション層43は、何れも、その上下面間を液が透過可能になされている。上下面間を液が透過可能である場合には、表面シート21から上部クッション層41への液の移行と、上部クッション層41から上部吸収層42への液の移行とが同時に起こらない場合や、上部吸収層4から下部クッション層43への液の移行と、下部クッション層43から下部吸収層44への液の移行とが同時に起こらない場合も含まれる。
上部クッション層41、上部吸収層42及び下部クッション層43は、それぞれの幅が、下部吸収層44の幅の10〜90%、特に20〜80%であることが好ましく、また、それぞれのナプキン長手方向の長さが、ウイング部6と同方向の長さと同程度以上であることが好ましい。
上部クッション層41、上部吸収層42及び下部クッション層43の幅は、中高部5の最も高い部分を通る、ナプキン幅方向の断面(図2参照)において測定する。ウイング部6は、下部吸収層44の両側縁から外方に延出した、裏面シート3と複合表面シート2のサイドシート22部分とから形成されている。
また、上部クッション層41、上部吸収層42及び下部クッション層43は、それぞれ、ナプキン長手方向の長さが6cm以上であることが好ましく、10cm以上であることがより好ましい。下部吸収層44のナプキン長手方向の全長に対して10〜90%の長さであることが好ましい。
尚、各層長さ41,42,43は同じ長さでもよく、異なっていてもよい。例えば、上部クッション層41、上部吸収層42がウイング全長とほぼ同じ長さで製品中央に位置し、下部クッション層43のみが肛門後部にまで及ぶ長さであってもよい。
なお、クッション層を上記一体化した場合、溝部分の硬さは使用する材料によって制御可能であり、ナプキン1の可撓性をあまり低下させないことができるため、以下の特長を付与することが可能である。上部クッション層を一体化させるには、上部吸収体より幅方向に長く形成されている必要があり、この場合、中高部の断面形状をなだらかに隆起する曲面形状を付与できるため、装着時の違和感(主に装着した瞬間)を感じにくくできる点で好ましい。また、下部クッション層のみを一体化した場合には、中高部の固定性が増し様々な動きに対応して中高部が移動せず形状追従性を与えることができる点で好ましい。
上部クッション層41と上部吸収層42間、該上部吸収層42と該下部クッション層43間、及び、該下部クッション層43と該下部吸収層44間は、総ての層間あるいは一部の層間が、液の透過性を損なわない方法で固定されていてもよい。このような固定として、好ましくは、当業者公知の各種ホットメルトのスパイラルスプレー塗工、線状(ビード)塗工などが用いられる。
このように、加圧に対して潰れ易い上部クッション層41と潰れにくい下部クッション層43とを組み合わせることで、中高部(突出部)5の着用者の肌に対するフィット性や追従変形性を向上させ、また、着用中における装着感を向上させることができる。また、液の移行性に関しても良好なものとすることができる。
上部吸収層との関係では、毛管力は上部吸収層と等しいか、上部吸収層や下部吸収層に比べて低く、中装着圧力下では、クッション層が優先的に厚み変化をおこすため、クッション層の毛管力は上部吸収層より高く、下部吸収層よりは低い状態となる。
また、高装着圧力下では、クッション層の毛管力が最も高くなっているかクッション層と下部吸収体が略等しい毛管力を有する状態が好ましい。
なお、前記毛管力は、各々の構成材料における親水性と空間構造によって制御されるものであるため、その高低はクレム吸水度によって規定される。
荷重20gf/cm2は、通常の使用における着用中の衛生用品にかかる装着圧は中装着圧力である15〜40gf/cm2の圧力を想定したものであり、上部クッション層41と下部クッション層43の両方の効果を確認可能である。このような荷重下における圧縮率を、上述した範囲とすることにより、中装着圧力だけでなく、フィット力に劣る下着や装着ミス等の要因、さらには動作における瞬間的な状態によって起こりうる低装着圧力や、座った状態に多いと考えられる高装着圧力における状態が容易に確認できるため、中高部が着用者の肌に柔軟にフィットし追従変形性にも優れたものとなる。
また、上部クッション層及び下部クッション層は、何れも50gf/cm 2 荷重下に1分間放置した後、無荷重下に戻したときの厚み回復率が80%以上であることが好ましい。
また、下部吸収層は、50gf/cm 2 荷重下の圧縮率が30%以下であることが好ましい。
(サンプリング)
製品からクッション層を取り出す。好ましい実施形態の如く、上部吸収層42を挟んで上部クッション層41、下部クッション層43が明瞭に分かれている場合は、夫々を取り出す。このとき、該上部クッション層41、下部クッション層43のいずれかが複数のクッション材で構成されている場合は、その全体をクッション層として試験に用いる。
後述する好ましい他の実施形態の如く上部吸収層42がなく、クッション層が複数枚積層されている場合は、分割可能な部位で2層に引き剥がして上部クッション層41、下部クッション層43として計測に用いる。
各層がホットメルト粘着剤などで接着されている場合、先に中高部5を20mm角の正方形に切り出し、接着点を慎重に剥していくのが好ましい。ホットエアーによって粘着剤を軟化させて剥すことは、クッション材が熱風回復して厚みが変わるため好ましくなく、トルエン、酢酸エチルなどの溶剤で粘着剤を溶解除去することは、処理が不完全で粘着剤を除去し残すと残存物が溶剤と共にクッション材全体に行き渡ってクッション材の性状を変えてしまうので好ましくない。層間接着が強固でどうしても剥せない場合のみ、トルエンなどの溶剤で粘着剤を確実に洗い流し、ドラフト等に室温放置して完全に乾燥させる(熱風乾燥は上記の如く不適である)。以上のように取り出した20mm角の上部クッション層41、下部クッション層43を夫々試験片とする。
圧縮試験には、カトーテック(株)製KES圧縮試験機(KES−G5)を用いた。
測定条件は、基本的に標準条件を用い、圧縮ヘッド10mmφ、ヘッドスピード10mm/分で測定を行った。
圧縮試験は、サンプル(試験片)を、標準測定で荷重50gf/cm2まで圧縮(往路)し、50gf/cm2で1分保持した後、標準測定で荷重0gf/cm2まで戻した(復路)。
以上の行程で圧縮試験を行い、得られたチャートを適宜拡大して、以下の厚みをチャートから読んで、以下の計測に用いた。
0.5g/cm2荷重時厚み(往路データより)を初期厚みL0とした。
(20gf/cm2荷重下厚み)
20g/cm2荷重時厚み(往路データより)をL20とした。
(50gf/cm2荷重下厚み)
50g/cm2荷重時厚み(往路データより)をL50とした。
(回復厚み)
復路での5gf/cm2荷重時厚みを回復厚みLRとした。
(20gf/cm2荷重下の圧縮率)
同圧縮率R20(%)=〔(L0−L20)/L0〕×100・・・・(1)
(50gf/cm2荷重下の圧縮率)
同圧縮率R50(%)=〔(L0−L50)/L0〕×100・・・・(2)
(厚み回復率)
厚み回復率(%)=〔LR/L0〕×100・・・・(3)
尚、初期厚みL0及び回復厚みLRは、毛羽立ち等による誤差を排除する観点から0.5gf/cm2荷重下の厚みとした。また、一辺20mmの試験片が切り出せない場合は、それより小さい面積の試験片を用いて測定しても良い。
この観点からは、上部吸収層42は1mm以上、好ましくは2.5mm以上の厚みがあることが好ましく、中高部突出高さTに対する上部吸収層42厚みの比率が、7%以上(特に10%以上)であることが好ましい。従って上部吸収層42は、厚さ1〜10mm(特に2.5〜6mm)であることが好ましく、中高部突出高さTに対する比率が7〜50%(特に10〜37%)であることが好ましい。
合成繊維を主体として構成された不織布としては、捲縮繊維、特に潜在捲縮性繊維が螺旋状に捲縮して生じたコイル状繊維を含む不織布が好ましい。コイル状繊維には圧縮されると、それに抗して元の状態に戻ろうとする性質があるので、コイル状繊維を含む不織布は、厚み方向のクッション性や弾性が良好になる。
潜在捲縮性繊維は、例えば、収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型複合繊維又はサイド・バイ・サイド型複合繊維からなり、具体的には、特開平9−296325号公報や特許第2759331号公報に記載のものが挙げられる。収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料の例としては、例えば、エチレン−プロピレンランダム共重合体(EP)とポリプロピレン(PP)との組み合わせが好適に挙げられる。
非熱収縮性繊維は、熱収縮性を全く示さないか又はほとんど示さない繊維、及び潜在捲縮性繊維の捲縮開始温度以下では実質的に熱収縮しない熱収縮性繊維を包含する。
また、非熱収縮性繊維に、相対的に太い繊維を用いると、細いコイル状に密集した捲縮繊維の密な領域と、撓んだ太い繊維の多い粗な領域が不均一に混在するため、クッション性と液浸透性を向上させる効果が高い。このため、好ましいコイル状繊維の太さ(繊度)は1.5〜11dtex、特に2.0〜8dtexであり、非熱収縮性繊維は2〜22dtex、特に4〜16dtexであることが好ましい。また、上記の如く良好なクッション性(圧縮され易く、かつ回復し易い性質)を得るには、コイル状繊維より非熱収縮性繊維の方が太いこと、特に非熱収縮繊維のdtex値が、コイル状繊維の1.5倍以上であることが、更に好ましい。
図3に示す上部クッション層41は、伸縮性を有する第1繊維層41aと第2繊維層41bとを有する積層不織布41Aからなる。この積層不織布41Aにおいては、第1繊維層41aと第2繊維層41bとが、熱エンボス加工等によって部分的に接合されて接合部が形成されており、第2繊維層41bが、前記接合部以外の部分において、第1繊維層側とは反対側に向かって凸の突出部を形成している。この積層不織布41Aにおいては、第1繊維層41aが、螺旋状の捲縮を発現したコイル状繊維を含んでいることによって、平面方向(厚み方向に直交する方向)に伸縮性を有している。第2繊維層41bは、非熱収縮性繊維を主体としてなるが、積層不織布41Aが圧縮されたときには、前記凸部が潰れる方向に変形し、その変形に伴って、第1繊維層41aが平面方向に伸張する。そして、圧力から開放されると、第1繊維層41aが平面方向に収縮し、その収縮力と、第2層を構成する繊維集合体自体の厚み回復力とによって、前記凸部の突出高さが回復する。
このような作用によって、積層不織布41Aは、厚み方向の加圧に対して柔軟に変形すると共に圧縮状態からの回復性にも優れている。
図3に示す中高部5の下部クッション層43においては、上述した構成の積層不織布41Aが折り畳まれて多層構造とされて用いられている。より具体的には、その積層不織布41Aは、第2繊維層41b側が内側となるように丸められて、中高部5に組み込まれている。
ここで、積層不織布41Aは、図3のように折り重ね状態を変えることで圧縮特性を様々に変えることが可能であるが、上部クッション層41、下部クッション層43夫々に適した、上述したような圧縮特性を得るには、例えば下層側の積層不織布41Aに用いる繊維を太くする、あるいは積層不織布41A製造工程での熱収縮率を高くする、等の方法で、下層側の圧縮反発力を予め強めることも可能であり、効果的である。
上部クッション層41及び/又は下部クッション層43は、図4に示す下部クッション層43のように、パルプ、レーヨン等の親水性の繊維、又はこれらと吸水ポリマーを混合したもの等からなる芯部43aを、前述した積層不織布41Aのような、クッション性に富む不織布43bで包んだものであっても良い。
本質的に親水性の繊維としては、レーヨン、コットン、パルプ等のセルロース系繊維が好ましく用いられ、特にレーヨンが好ましい。レーヨンは、ビスコース法、銅アンモニア法等、製法を問わずに用いることができる。第2繊維層中における、本質的に親水性の繊維の配合割合は、20〜100重量%であることが好ましく、より好ましくは25〜75重量%である。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリマー材料として上述したもの等を用いることができる。第2繊維層中における、熱可塑性樹脂からなる繊維の割合は、0〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは25〜75重量%である。
また、第1繊維層41a中に、潜在捲縮性繊維(捲縮の発現の有無を問わずない)は、40〜100重量%含まれていることが好ましく、50〜100重量%含まれていることが更に好ましい。
上部吸収層42は、下部吸収層44より吸液力や液保持容量が小さいことが好ましい。 このような観点等から、下部吸収層44には、高吸水性ポリマーを含ませ、上部吸収層42には、高吸水性ポリマーを含ませないか、あるいは含ませたとしての下部吸収層44に比して少量の高吸水性ポリマーを含ませることが好ましい。特に上部吸収層42には、高吸水性ポリマーを実質的に含ませないこと(例えば、上部吸収層42中、15重量%未満)が好ましい。
下部吸収層44に含有させる高吸水性ポリマーの坪量は、12〜65g/m2量であることが好ましく、より好ましくは15〜55g/m2である。
(a)上部クッション層41が下部クッション層43より加圧に対して潰れ易い。
(b)上部クッション層41より下部クッション層43の方が厚みが厚い。
(c)上部クッション層41の方が下部クッション層43より液透過性が高い。
(d)上部クッション層41より下部クッション層43の方が毛管力が高い。
このような関係を満足する具体的な材料の組み合わせとしては、
上下クッション層41,43に、潜在捲縮性繊維が螺旋状に捲縮して生じたコイル状繊維を含む、合成繊維を主体とする不織布を用い、上部クッション層41には、繊維径の太いコイル状繊維と、比較的細い非熱収縮性繊維を含む不織布を用い、下部クッション層43には、繊維径の細いコイル状繊維と、比較的太い非熱収縮性繊維を含む不織布を用いることが好ましい。
また、非熱収縮性繊維のdtex値とコイル状繊維のdtex値の関係は、上部クッション層41では、1.0〜3程度、特に1.2〜2.5倍であることが好ましく、下部クッション層43では1.5倍以上であることが好ましい。
このような繊維集合体は、吸液に伴って繊維間隙が狭まる、いわゆる「へたり」を生じ易い。一旦へたって狭くなった繊維間隙は、液が下層側に移行した後でも元の間隙に復元することはできない為、吸収空間が著しく狭まり、液の一時貯留機能を大きく損なう。これを防ぐ為には、該上部吸収層の親水繊維に適当な太さの熱可塑性繊維を混ぜることが効果的である。
該熱可塑性繊維は、湿潤弾性率が高く、吸液後吸収層がへたることを効果的に抑制できる。例えば、吸収層を2dtexのレーヨンステープルから構成するとき、レーヨンをカード開繊して綿状にする際に、繊度7dtex程度のポリエステル繊維を適宜混合することで、熱可塑性繊維を均一に混合した、へたりにくい吸収層を形成可能である。
上部吸収層42の好ましい液引き込み性を得るには、用いる親水性繊維の太さは1.4〜7dtex、より好ましくは1.6〜5dtexである。
同様に、へたりにくい補強のためには、用いる熱可塑性繊維の太さは、2.0〜14dtex、より好ましくは4〜11dtexである。尚、該熱可塑性繊維は親水化処理がなされているほうがより好ましい。
また、該熱可塑性繊維の配合比は、(親水性繊維と熱可塑性繊維全体重量に対し)20〜80%、より好ましくは25〜75%である。
例えば、上部クッション層41と下部クッション層43とは、上部吸収層42を介することなく直接接していても良い。その場合においても、そのクッション性の分担による良好なクッション効果、フィット効果が得られる。このような形態としては、表面シート側から裏面シート側に向かって、(A)上部吸収層42、上部クッション層41、下部クッション層43及び下部吸収層44がこの順に積層されている形態、(B)上部クッション層41、下部クッション層43、上部吸収層42及び下部吸収層44がこの順に積層されている形態、(C)上部クッション層41、下部クッション層43及び下部吸収層44がこの順に積層されている形態があるが、ここでは、上記(C)の形態によって、クッション層が直接接している形態の特長を説明する。
尚、図5(a)〜(c)に、上記(A)〜上記(C)の形態を有する吸収性物品の例を示した。
このため、上部、下部クッション層;最も好ましい構成に同じ(上部クッション層/上部吸収層/下部吸収層の構成で例示したもの)。
上部吸収層42;下層への液伝達がよく、かつクッション性を有する為に、綿状パルプやレーヨン等の親水性繊維に、湿潤弾性率が特別高い熱可塑性繊維を混合した吸収層が好ましい。好ましいクッション性を得るためには、該熱可塑性繊維の好ましい太さは3.0〜14dtex、特に4.4〜12dtexである。好ましい繊維長は30mm以上、特に50〜100mmが好ましく、3次クリンプして立体的な曲線形状となっている事がより好ましい。また、熱可塑性繊維の配合比は25重量%以上、より好ましくは30〜60重量%である。
上部吸収層42はまた、上記の組成で繊維を堆積した後、熱エンボス(ピンエンボス等の離散的なパターンエンボス)又はホットエアーによって、熱可塑性繊維同士を熱結合する操作を加えると更に好ましい。
熱可塑性繊維には、下部吸収層44に含ませても良い熱融着性繊維として上述した、各種の樹脂からなる熱融着性繊維を用いる事が可能であり、上記の如く熱結合による弾性ネットワークを効果的に形成する為には、特に、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン−ポリエステル複合繊維、低融点ポリエステル−ポリエステル複合繊維(芯鞘型又はサイドバイサイド型の何れも可)を用いる事が効果的である。特に熱融着成分として、メタロセン触媒系ポリエチレン、又はエチレン−プロピレン共重合体を用い、他方をポリエステル又はポリプロピレンとした複合繊維が、結合点が弾性回復性に富む為、クッション性の吸収層を形成する上で非常に好ましい。
この様な表面シートとしては、ウレタンフィルムなどのエラスティックフィルムに所定のパターンで開孔した開孔フィルムの他、エアスルー不織布上に潜在捲縮繊維を積層し、ピンエンボスなどの離散的なパターンでエンボス一体化し、ピンテンターを用いて任意の収縮率で熱風収縮させて得られる、縦横両方向に伸縮可能な表面シート(エアスルー不織布側を肌当接面側として使用する)が好ましく使用できる。
本発明の吸収性物品は、生理用ナプキンに代えて、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド、使い捨ておむつ等であっても良い。また、生理用ナプキン等は、ウイング部6や、ナプキンの後方部において側方に拡がる後部フラップ部8を有しないものであっても良い。
2 複合表面シート
21 表面シート
22 サイドシート
3 裏面シート
4 吸収層
41 上部クッション層
42 上部吸収層
43 下部クッション層
44 下部吸収層
5 中高部(突出部)
7 エンボス溝
Claims (6)
- 表面シート、裏面シート、及び両者の間に介層される吸収層を備え、実質的に縦長に形成されている吸収性物品であって、
吸収性物品の幅方向中央部に着用者の肌側に向かって突出する突出部を有し、
前記突出部は、その内部に、表面シートに近接して配された上部クッション層、及び該上部クッション層の下方に位置する下部クッション層を備えており、
下部クッション層の非肌当接面側に下部吸収層が配されており、
上部クッション層と下部クッション層との間に上部吸収層を有し、上部吸収層は、親水性の繊維材料を主体として構成されており、
上部クッション層及び下部クッション層は、潜在捲縮性繊維が螺旋状に捲縮して生じたコイル状繊維と非熱収縮性繊維とを混合状態で含む不織布からなり、
下部クッション層の非熱収縮性繊維の太さが、上部クッション層の非熱収縮性繊維の太さより太く、
下部クッション層より上部クッション層の方が厚み方向の加圧に対して変形し易い吸収性物品。 - 上部クッション層は、20gf/cm2荷重下の圧縮率が30%以上であり、下部クッション層は、20gf/cm2荷重下の圧縮率が25%以下である、請求項1記載の吸収性物品。
- 上部クッション層は、50gf/cm2荷重下の圧縮率が60%以上であり、下部クッション層は、50gf/cm2荷重下の圧縮率が40%以上である、請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 上部クッション層及び下部クッション層は、何れも50gf/cm2荷重下に1分間放置した後、無荷重下に戻したときの厚み回復率が80%以上である、請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品。
- 上部クッション層、上部吸収層及び下部クッション層は、この順に吸収性物品幅方向の寸法が大きくなっている請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
- 下部吸収層は、50gf/cm2荷重下の圧縮率が30%以下である請求項1〜5の何れか1項に記載の吸収性物品。
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