以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
[第1の磁性部品]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る磁性部品の構成を示す図である。図1(a)及び(b)には、それぞれ異なる閉磁路が矢印又は一点鎖線で示されている。これらの閉磁路の詳細については後述する。図1に示す磁性部品1は、第1ノーマルモード用コア部10と、第2ノーマルモード用コア部20と、コモンモード用コア部30とを備えている。
第1ノーマルモード用コア部10は、一対の第1コア片11,12を有している。一対の第1コア片11,12は、それぞれ半円弧状(半楕円弧状を含む)をなしており、互いに結合された状態において第1貫通孔13を形成すると共に第1閉磁路14を形成する。一対の第1コア片11,12の材料には、磁性体が用いられる。本実施形態では、一対の第1コア片11,12の結合部15には、ギャップが形成されている。このようにして、第1ノーマルモード用コア部10は、第1閉磁路14を形成し、第1閉磁路14に包囲されるように第1貫通孔13を有している。
第2ノーマルモード用コア部20は、一対の第2コア片21,22を有している。一対の第2コア片21,22は、それぞれ半円弧状をなしており、互いに結合された状態において第2貫通孔23を形成すると共に第2閉磁路24を形成する。一対の第2コア片21,22の材料には、磁性体が用いられる。本実施形態では、一対の第2コア片21,22の結合部25には、ギャップが形成されている。このようにして、第2ノーマルモード用コア部20は、第2閉磁路24を形成し、第2閉磁路24に包囲されるように第2貫通孔23を有している。
本実施形態では、第1コア片11と第2コア片21とが隣接している。換言すれば、第1ノーマルモード用コア部10と第2ノーマルモード用コア部20とは、第1閉磁路14と第2閉磁路24とが同一平面上に形成されるように隣接している。
コモンモード用コア部30は、一対の第3コア片31,32を有している。一対の第3コア片31,32は、それぞれ半円弧状をなしており、互いに結合された状態において第3貫通孔33を形成すると共に第3閉磁路34を形成する。一対の第3コア片31,32の材料には、磁性体が用いられる。このようにして、コモンモード用コア部30は、第3閉磁路34を形成し、第3閉磁路34に包囲されるように第3貫通孔33を有している。
第1ノーマルモード用コア部10とコモンモード用コア部30とは、第1貫通孔13と第3貫通孔33の一部とが重なるように重ねられており、第2ノーマルモード用コア部20とコモンモード用コア部30とは、第2貫通孔23と第3貫通孔33の他の一部とが重なるように重ねられている。換言すれば、第1ノーマルモード用コア部10とコモンモード用コア部30とは、第1コア片11と第3コア片31とが重なるように重ねられており、第2ノーマルモード用コア部20とコモンモード用コア部30とは、第2コア片21と第3コア片32とが重なるように重ねられている。なお、第1コア片11の一部と第3コア片31の一部とが重なっており、第2コア片21の一部と第3コア片32の一部とが重なっていればよい。
これより、第1ノーマルモード用コア部10における一対の第1コア片11,12の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20における一対の第2コア片21,22の結合部25には、コモンモード用コア部30が重ならないこととなる。換言すれば、第1ノーマルモード用コア部10のギャップ及び第2ノーマルモード用コア部20のギャップには、コモンモード用コア部30が重ならないこととなる。
本実施形態では、第1ノーマルモード用コア部10及び第2ノーマルモード用コア部20と、コモンモード用コア部30との結合部41には、ギャップが形成されている。
このようにして、第1ノーマルモード用コア部10とコモンモード用コア部30とによって第4閉磁路42が形成され、第2ノーマルモード用コア部20とコモンモード用コア部30とによって第5閉磁路43が形成される。具体的には、第1コア片11と第3コア片31とによって第4閉磁路42が形成され、第2コア片21と第3コア片32とによって第5閉磁路43が形成される。なお、本実施形態では、第1コア片11の一部と第3コア片31の一部とによって第4閉磁路42が形成され、第2コア片21の一部と第3コア片32の一部とによって第5閉磁路43が形成される。
この場合、第1コア片11、12、第2コア片21、22及び第3コア片31、32の形状(厚み及び大きさも含む)が適切に調整されており、これにより、第4閉磁路42の磁路長は第1閉磁路14の磁路長より短く、第5閉磁路43の磁路長は第2閉磁路24の磁路長より短くなるように形成されている。
次に、第1の実施形態の磁性部品1の作用効果を説明する。
第1の実施形態の磁性部品1では、第1ノーマルモード用コア部10の貫通孔13とコモンモード用コア部30の貫通孔33とに一対の信号線51,52のうちの信号線51が挿入され、第2ノーマルモード用コア部20の貫通孔23とコモンモード用コア部30の貫通孔33とに一対の信号線51,52のうちの信号線52が挿入されると、第1閉磁路14及び第2閉磁路24にそれぞれノーマルモードノイズに起因する磁束(矢印の向き)が生じ、第3閉磁路34にコモンモードノイズに起因する磁束が生じる。その結果、一対の信号線51,52にはノーマルモードノイズに対してインピーダンスが生じると共にコモンモードノイズに対してインピーダンスが生じる。このように、第1の実施形態の磁性部品1では、第1ノーマルモード用コア部10及び第2ノーマルモード用コア部20がノーマルモードノイズフィルタとして作用し、コモンモード用コア部30がコモンモードノイズフィルタとして作用する。
また、第4閉磁路42及び第5閉磁路43にもそれぞれノーマルモードノイズに起因する磁束(矢印の向き)が生じる。その結果、ノーマルモード用コア部10、20単体の場合に比べて、一対の信号線51,52に生じるインピーダンスであってノーマルモードノイズに対するインピーダンスを大きくすることができ、ノーマルモードノイズの抑制効果を高めることができる。
更に、第1の実施形態の磁性部品1によれば、第4閉磁路42の磁路長が第1閉磁路14の磁路長より短く、第5閉磁路43の磁路長が第2閉磁路24の磁路長より短いので、第4閉磁路42及び第5閉磁路43における磁束の減衰量を小さくすることができ、第4閉磁路42及び第5閉磁路43によって比較的大きなノーマルモードノイズに対するインピーダンスを得ることができる。しかもこの磁性部品1によれば、コモンモード用コア部30を利用することにより、ノーマルモード用コア部10,20を大きくすることなく、一対の信号線51,52に生じるノーマルモードノイズに対するインピーダンスをより大きくすることができ、ノーマルモードノイズの抑制効果をより高めることができる。
また、第1の実施形態の磁性部品1によれば、第1ノーマルモード用コア部10における一対の第1コア片11,12の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20における一対の第2コア片21,22の結合部25にはコモンモード用コア部30が重ねられていないので、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25にギャップを設けても、ギャップにおける漏洩磁束がコモンモード用コア部30をバイパスすることがなく、適切に直流重畳特性を向上させることができる。
以下では、本実施形態の磁性部品1の作用効果を実験によって検証する。
図2は、本実施形態の磁性部品によって信号線に生じるインピーダンスであってノーマルモードノイズに対するインピーダンスの周波数特性を示す図である。図2において、曲線Aは、比較例の磁性部品によって信号線51,52に生じるインピーダンスであってノーマルモードノイズに対するインピーダンス特性である。比較例の磁性部品は、磁性部品1においてコモンモード用コア部30を備えない点で本実施形態と異なる。曲線Aにおける実験条件としては、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25に約0.2mmのギャップを形成し、信号線51,52に直流電流を流していない。一方、曲線Bは、曲線Aと同一な構成において、信号線51,52に30Aの電流を直流重畳したときのノーマルモードノイズに対するインピーダンス特性である。
曲線C,E,G,J,Kは、本実施形態の磁性部品1によって信号線51,52に生じるインピーダンスであってノーマルモードノイズに対するインピーダンス特性である。曲線C,E,G,J,Kにおける実験条件としては、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25に約0.2mmのギャップを形成し、信号線51,52に直流電流を流していない。また、曲線C,E,G,Jでは、第1ノーマルモード用コア部10及び第2ノーマルモード用コア部20とコモンモード用コア部30との結合部41にそれぞれ約10mm,約5mm,約2mm,約0.2mmのギャップを形成し、曲線Kでは、結合部41にギャップを形成していない。一方、曲線D,F,H,I,Lは、それぞれ曲線C,E,G,J,Kと同一な構成において、信号線51,52に30Aの電流を直流重畳したときのノーマルモードノイズに対するインピーダンス特性である。
曲線A及びCによれば、第1ノーマルモード用コア部10及び第2ノーマルモード用コア部20とコモンモード用コア部30とが重ねられることによって、ノーマルモードノイズに対するインピーダンスを大きくできることがわかる。また、曲線C,E,G,J,Kによれば、第1ノーマルモード用コア部10及び第2ノーマルモード用コア部20とコモンモード用コア部30とを近づけるほど、ノーマルモードノイズに対するインピーダンスをより大きくできることがわかる。これは、第4閉磁路42及び第5閉磁路43にノーマルモードノイズに起因する磁束が生じ、第1ノーマルモード用コア部10及び第2ノーマルモード用コア部20とコモンモード用コア部30とを近づけるほどこれらの磁束が増加することによると考えられる。
また、曲線B,D,F,H,I,Lによれば、直流重畳特性を適切に向上できていることがわかる。これは、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25にコモンモード用コア部30が重なっていないので、ギャップを設けても直流重畳特性が低下しないことによると考えられる。
これより、第1の実施形態の磁性部品1では、第1ノーマルモード用コア部10及び第2ノーマルモード用コア部20とコモンモード用コア部30との結合部41のギャップは10mm以下であればよい。結合部41のギャップが10mm以下であれば、30MHz以上でのインピーダンスの増大効果が大きい。また、結合部41のギャップは好ましくは5mm以下である。結合部41のギャップが5mm以下であれば、広帯域にわたってインピーダンスの増大効果がより大きい。また、結合部41のギャップは更に好ましくは2mm以下である。結合部41のギャップが2mm以下であれば、30MHz以下でのインピーダンスの増大効果が大きい。
このように、第1の実施形態の磁性部品1は、2MHz〜30MHzにおいてインピーダンスの増大効果が大きいので、例えば電力線通信における信号線のノイズフィルタとして好適に適用可能である。
更に、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25とコモンモード用コア部30との重なりについて検証する。
図3は、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25とコモンモード用コア部30との重なり有無による信号線に生じるインピーダンスであってノーマルモードノイズに対するインピーダンスの周波数特性を示す図であり、図4は、図3の実験に用いられた磁性部品の構成を示す図である。図4(a)には、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25とコモンモード用コア部30との重なり有の実験に用いられた磁性部品1の構成を示しており、図4(b)には、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25とコモンモード用コア部30との重なり無の実験に用いられた磁性部品1の構成を示している。
なお、図3の実験では、図2の実験のときとコア部の材料を変えているので、図3の実験結果と図2の実験結果とは異なっている。図3では、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25とコモンモード用コア部30との重なり有無の相対比較をすることが目的であるため、図2の実験のときとコア部の材料が異なっても問題ないと考える。また、この実験の目的は、重なり有無の相対比較であるので、コモンモード用コア部の大きさを一定とし、ノーマルモード用コア部の位置をずらすことにより、重なりが有る場合と重なりがない場合を実現している。
図3の実験条件としては、第1の実施形態の磁性部品1において、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25に約0.2mmのギャップを形成し、第1ノーマルモード用コア部10及び第2ノーマルモード用コア部20とコモンモード用コア部30との結合部41に約0.2mmのギャップを形成している。
曲線N,Oは、図4(a)に示すように、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25とコモンモード用コア部30とを重ねた場合の信号線51,52に生じるインピーダンスであってノーマルモードノイズに対するインピーダンス特性である。曲線N,Oでは信号線51,52にそれぞれ10A、20Aの電流を直流重畳した。
一方、曲線Q,Rは、図4(b)に示すように、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25とコモンモード用コア部30とを重ねない場合の信号線51,52に生じるインピーダンスであってノーマルモードノイズに対するインピーダンス特性である。曲線Q,Rでは信号線51,52にそれぞれ10A、20Aの電流を直流重畳した。
曲線N,Oによれば、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25とコモンモード用コア部30とを重ねてしまうと、インピーダンスが低下してしまうことがわかる。これは、第1ノーマルモード用コア部10のギャップ及び第2ノーマルモード用コア部20のギャップにおいて、漏洩磁束がコモンモード用コア部30をバイパスし、再び第1ノーマルモード用コア部10及び第2ノーマルモード用コア部20に戻ることによって、直流重畳特性が低下してしまうことによると考えられる。一方、曲線Q,Rによれば、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25とコモンモード用コア部30との重なりが無いので、第1ノーマルモード用コア部10のギャップ及び第2ノーマルモード用コア部20のギャップにおいて、漏洩磁束がコモンモード用コア部30をバイパスすることがない。その結果、ギャップによる直流重畳特性の向上効果が低下することなく、インピーダンスを適切に向上している。
これより、第1の実施形態では、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25とコモンモード用コア部30との重なりが無いので、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25にギャップを設けても、適切にインピーダンスを向上することができる。
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る磁性部品の構成を示す図である。図5(a)及び(b)には、それぞれ異なる閉磁路が矢印、点線又は一点鎖線で示されている。これらの閉磁路の詳細については後述する。図5に示す磁性部品1Aは、ノーマルモード用コア部60と、コモンモード用コア部30Aとを備えている。
ノーマルモード用コア部60は、枠体62と枠体62に結合された中脚61とを有している。枠体62の一部と中脚61とは、貫通孔13Aを形成してなる第1ノーマルモード用コア部10Aを構成し、枠体62の他の一部と中脚61とは、貫通孔23Aを形成してなる第2ノーマルモード用コア部20Aを構成している。
第1ノーマルモード用コア部10Aは、一対の第1コア部11Aと第1コア片12Aとを有している。第1コア部11Aはコの字状をなし、第1コア片12AはIの字状をなしており、互いに結合された状態において第1貫通孔13Aを形成すると共に第1閉磁路14Aを形成する。一対の第1コア部11Aと第1コア片12Aとの材料には、磁性体が用いられる。本実施形態では、一対の第1コア部11Aと第1コア片12Aとの結合部15Aには、ギャップが形成されている。このようにして、第1ノーマルモード用コア部10Aは、第1閉磁路14Aを形成し、第1閉磁路14Aに包囲されるように第1貫通孔13Aを有している。
第2ノーマルモード用コア部20Aは、一対の第2コア部21Aと第2コア片22Aとを有している。第2コア部21Aはコの字状をなし、第2コア片22AはIの字状をなしており、互いに結合された状態において第2貫通孔23Aを形成すると共に第2閉磁路24Aを形成する。一対の第2コア部21Aと第2コア片22Aとの材料には、磁性体が用いられる。本実施形態では、一対の第2コア部21Aと第2コア片22Aとの結合部25Aには、ギャップが形成されている。このようにして、第2ノーマルモード用コア部20Aは、第2閉磁路24Aを形成し、第2閉磁路24Aに包囲されるように第2貫通孔23Aを有している。
なお、第1ノーマルモード用コア部10Aにおける第1コア部11Aと第2ノーマルモード用コア部20Aにおける第2コア部21Aとは、一体化されて単一の第4コア片65を構成している。
コモンモード用コア部30Aは、一対の第3コア片31A,32Aを有している。一対の第3コア片31A,32Aは、それぞれコの字状をなしており、互いに結合された状態において第3貫通孔33Aを形成すると共に第3閉磁路34Aを形成する。一対の第3コア片31A,32Aの材料には、磁性体が用いられる。このようにして、コモンモード用コア部30Aは、第3閉磁路34Aを形成し、第3閉磁路34Aに包囲されるように第3貫通孔33Aを有している。
第1ノーマルモード用コア部10Aとコモンモード用コア部30Aとは、第1貫通孔13Aと第3貫通孔33Aの一部とが重なるように重ねられており、第2ノーマルモード用コア部20Aとコモンモード用コア部30Aとは、第2貫通孔23Aと第3貫通孔33Aの他の一部とが重なるように重ねられている。換言すれば、第1ノーマルモード用コア部10Aとコモンモード用コア部30Aとは、第1コア部11Aと第3コア片31Aとが重なるように重ねられており、第2ノーマルモード用コア部20Aとコモンモード用コア部30Aとは、第2コア部21Aと第3コア片32Aとが重なるように重ねられている。なお、第1コア部11Aの一部と第3コア片31Aの一部とが重なっており、第2コア部21Aの一部と第3コア片32Aの一部とが重なっていればよい。
これより、第1ノーマルモード用コア部10Aにおける一対の第1コア部11Aと第1コア片12Aとの結合部15A及び第2ノーマルモード用コア部20Aにおける一対の第2コア部21Aと第2コア片22Aとの結合部25Aには、コモンモード用コア部30Aが重ならないこととなる。換言すれば、第1ノーマルモード用コア部10Aのギャップ及び第2ノーマルモード用コア部20Aのギャップには、コモンモード用コア部30Aが重ならないこととなる。
本実施形態では、第1ノーマルモード用コア部10A及び第2ノーマルモード用コア部20Aと、コモンモード用コア部30Aとの結合部41Aには、ギャップが形成されている。
このようにして、第1ノーマルモード用コア部10Aとコモンモード用コア部30Aとによって第4閉磁路42Aが形成され、第2ノーマルモード用コア部20Aとコモンモード用コア部30Aとによって第5閉磁路43Aが形成される。具体的には、第1コア部11Aと第3コア片31Aとによって第4閉磁路42Aが形成され、第2コア部21Aと第3コア片32Aとによって第5閉磁路43Aが形成される。なお、本実施形態では、第1コア部11Aの一部と第3コア片31Aの一部とによって第4閉磁路42Aが形成され、第2コア部21Aの一部と第3コア片32Aの一部とによって第5閉磁路43Aが形成される。
この場合、第1コア部11A、第1コア片12A、第2コア部21A、第2コア片22A、第3コア片31A、32Aの形状(厚み及び大きさも含む)が適切に調整されており、これにより、第4閉磁路42Aの磁路長は第1閉磁路14Aの磁路長より短く、第5閉磁路43Aの磁路長は第2閉磁路24Aの磁路長より短くなるように形成されている。
この第2の実施形態の磁性部品1Aでも、第1の実施形態の磁性部品1と同様の利点を得ることができる。
[第3の実施形態]
図6は、本発明の第3の実施形態に係る磁性部品の構成を示す図である。図6(a)及び(b)には、それぞれ異なる閉磁路が矢印、点線又は一点鎖線で示されている。これらの閉磁路の詳細については後述する。図6に示す磁性部品1Bは、磁性部品1Aにおいてノーマルモード用コア部60及びコモンモード用コア部30Aに代えてノーマルモード用コア部60B、コモンモード用コア部30Bを備えている構成で第2の実施形態と異なっている。
ノーマルモード用コア部60Bは、ノーマルモード用コア部60において第1ノーマルモード用コア部10A及び第2ノーマルモード用コア部20Aに代えて第1ノーマルモード用コア部10B、第2ノーマルモード用コア部20Bを備えている構成で第2の実施形態と異なっている。
第1ノーマルモード用コア部10Bは、上記した一対の第1コア部11Aと第1コア片12Aとを有しており、第2ノーマルモード用コア部20Bは、上記した一対の第2コア部21Aと第2コア片22Aとを有している。第1ノーマルモード用コア部10B及び第2ノーマルモード用コア部20Bは、これらの結合方法が第1ノーマルモード用コア部10A、第2ノーマルモード用コア部20Aと異なっている。
具体的には、第1コア片12Aは、第1コア部11A、すなわち第4コア片65に対してコモンモード用コア部30Bと反対側に重なるように配置されている。一対の第1コア部11Aと第1コア片12Aとは、互いに結合された状態において第1貫通孔13Bを形成すると共に第1閉磁路14Bを形成する。本実施形態では、一対の第1コア部11Aと第1コア片12Aとの結合部15Bには、ギャップが形成されている。このようにして、第1ノーマルモード用コア部10Bは、第1閉磁路14Bを形成し、第1閉磁路14Bに包囲されるように第1貫通孔13Bを有している。
一方、第2コア片22Aは、第2コア片21A、すなわち第4コア片65に対してコモンモード用コア部30Bと反対側に重なるように配置されている。一対の第2コア部21Aと第2コア片22Aとは、互いに結合された状態において第2貫通孔23Bを形成すると共に第2閉磁路24Bを形成する。本実施形態では、一対の第2コア部21Aと第2コア片22Aとの結合部25Bには、ギャップが形成されている。このようにして、第2ノーマルモード用コア部20Bは、第2閉磁路24Bを形成し、第2閉磁路24Bに包囲されるように第2貫通孔23Bを有している。
コモンモード用コア部30Bは、コモンモード用コア部30Aにおいて大きさが異なっている。具体的には、コモンモード用コア部30Bの外形は、ノーマルモード用コア部60Bとコモンモード用コア部30Bとの重なり方向から見てノーマルモード用コア部60Bの外形と略同一となっている。コモンモード用コア部30Bは、一対の第3コア片31B,32Bを有している。一対の第3コア片31B,32Bは、それぞれコの字状をなしており、互いに結合された状態において第3貫通孔33Bを形成すると共に第3閉磁路34Bを形成する。このようにして、コモンモード用コア部30Bは、第3閉磁路34Bを形成し、第3閉磁路34Bに包囲されるように第3貫通孔33Bを有している。
第1ノーマルモード用コア部10Bとコモンモード用コア部30Bとは、第1貫通孔13Bと第3貫通孔33Bの一部とが重なるように重ねられており、第2ノーマルモード用コア部20Bとコモンモード用コア部30Bとは、第2貫通孔23Bと第3貫通孔33Bの他の一部とが重なるように重ねられている。換言すれば、第1ノーマルモード用コア部10Bとコモンモード用コア部30Bとは、第1コア部11Aと第3コア片31Bとが重なるように重ねられており、第2ノーマルモード用コア部20Bとコモンモード用コア部30Bとは、第2コア部21Aと第3コア片32Bとが重なるように重ねられている。なお、第1コア部11Aの一部と第3コア片31Bの一部とが重なっており、第2コア部21Aの一部と第3コア片32Bの一部とが重なっていればよい。
これより、第1ノーマルモード用コア部10Bにおける一対の第1コア部11Aと第1コア片12Aとの結合部15B及び第2ノーマルモード用コア部20Bにおける一対の第2コア部21Aと第2コア片22Aとの結合部25Bには、コモンモード用コア部30Bが重ならないこととなる。換言すれば、第1ノーマルモード用コア部10Bのギャップ及び第2ノーマルモード用コア部20Bのギャップには、コモンモード用コア部30Bが重ならないこととなる。
本実施形態では、第1ノーマルモード用コア部10B及び第2ノーマルモード用コア部20Bと、コモンモード用コア部30Bとの結合部41Bには、ギャップが形成されている。
このようにして、第1ノーマルモード用コア部10Bとコモンモード用コア部30Bとによって第4閉磁路42Bが形成され、第2ノーマルモード用コア部20Bとコモンモード用コア部30Bとによって第5閉磁路43Bが形成される。具体的には、第1コア部11Aと第3コア片31Bとによって第4閉磁路42Bが形成され、第2コア部21Aと第3コア片32Bとによって第5閉磁路43Bが形成される。なお、本実施形態では、第1コア部11Aの一部と第3コア片31Bの一部とによって第4閉磁路42Bが形成され、第2コア部21Aの一部と第3コア片32Bの一部とによって第5閉磁路43Bが形成される。
この場合、第1コア部11A、第1コア片12A、第2コア部21A、第2コア片22A、第3コア片31B、32Bの形状(厚み及び大きさも含む)が適切に調整されており、これにより、第4閉磁路42Bの磁路長は第1閉磁路14Bの磁路長より短く、第5閉磁路43Bの磁路長は第2閉磁路24Bの磁路長より短くなるように形成されている。
この第3の実施形態の磁性部品1Bでも、第1及び第2の実施形態の磁性部品1,1Aと同様の利点を得ることができる。更に、重なり方向からみた面積(例えば、実装面積)を小さくすることができ、小型化が可能である。
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。
第1の実施形態では、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25にはギャップが設けられていたが、図7に示すように、第1ノーマルモード用コア部10の結合部15及び第2ノーマルモード用コア部20の結合部25にはギャップが設けられていなくともよい。また、第1の実施形態では、コモンモード用コア部30が第1ノーマルモード用コア部10及び第2ノーマルモード用コア部20と同一方向に結合部を有していたが、図7に示すように、コモンモード用コア部30は第1ノーマルモード用コア部10及び第2ノーマルモード用コア部20と異なる方向に結合部35を有していてもよい。
また、第2及び第3の実施形態では、コモンモード用コア部30A,30Bとノーマルモード用コア部60,60Bとの重なり面積が大きい例を示したが、コモンモード用コア部30A,30Bはノーマルモード用コア部60,60Bと一部でも重なっていれば、上記した第4閉磁路14A,14B及び第5閉磁路24A,24Bを形成することができる(例えば、図8及び9参照)。
また、ノーマルモード用コア部60(又は60B)の結合部15A,25A(又は15B,25B)の位置、すなわちギャップの位置は本実施形態に限られるものではない(例えば、図9参照)。
また、上記実施形態では、第4閉磁路42,42A,42Bの磁路長が第1閉磁路14,14A,14Bの磁路長よりも短く、第5閉磁路43,43A,43Bの磁路長が第2閉磁路24,24A,24Bの磁路長よりも短くなるようにしたが、第4閉磁路42,42A,42Bの磁路長と第1閉磁路14,14A,14Bの磁路長が等しく、第5閉磁路43,43A,43Bの磁路長と第2閉磁路24,24A,24Bの磁路長が等しくても良い。この場合、ノーマルモードノイズに対するインピーダンス向上効果は若干薄れるが、第1ノーマルモード用コア部10,10A,10B及び第2ノーマルモード用コア部20,20A,20Bだけの場合よりも少なくともノーマルモードノイズに対するインピーダンスを向上することができ、さらに第1ノーマルモード用コア部10,10A,10Bのギャップ及び第2ノーマルモード用コア部20,20A,20Bのギャップにコモンモード用コア部30,30A,30Bが重なっていなければ、少なくともコモンモード用コア部30,30A,30Bによる直流重畳特性の低下を抑制することができる。
また上記実施形態では、コモンモード用コア部30(又は30A又は30B)が第3コア片31、32(又は31A、32A又は31B、32B)に分割されている場合を説明したが、コア片に分割されずに一体化されたコアであっても良い。
1,1A,1B…磁性部品、10,10A,10B…第1ノーマルモード用コア部、11,12…一対の第1コア片、11A,12A…一対の第1コア部と第1コア片、13,13A,13B…第1貫通孔、14,14A,14B…第1閉磁路、15,15A,15B…結合部、20,20A,20B…第2ノーマルモード用コア部、21,22…一対の第2コア片、21A,22A…一対の第2コア部と第2コア片、23,23A,23B…第2貫通孔、24,24A,24B…第2閉磁路、25,25A,25B…結合部、30,30A,30B…コモンモード用コア部、31,32…一対の第3コア片、31A,32A…一対の第3コア片、31B,32B…一対の第3コア片、33,33A,33B…第3貫通孔、34,34A,34B…第3閉磁路、35,35A,35B…結合部、41,41A,41B…結合部、42,42A,42B…第4閉磁路、43,43A,43B…第5閉磁路、51,52…一対の信号線、60,60B…ノーマルモード用コア部、61…枠体、62…中脚、65…第4コア片。