JP4977505B2 - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に係り、特に、中間転写体(転写体)上に形成した画像を記録媒体や他の中間転写体等(被転写体)に転写する中間転写型のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
従来より、インクジェット記録装置として、記録ヘッド(インクジェットヘッド)から記録媒体に向かってインク吐出することによって記録を行う直接記録型の記録装置が知られている。このような記録装置では、記録ヘッドのノズルから吐出されたインク滴が記録媒体上に直接着弾するため、記録媒体でインクの滲みや混色、記録媒体(特に紙)のカールやコックリング、紙粉によるノズル不良などが問題となることがある。
上記問題に対し、インクジェットヘッドによって中間転写体(転写体)上に形成した画像を記録媒体(被転写体)に転写する中間転写型のインクジェット記録装置が提案されている。また、中間転写型のインクジェット記録装置の転写効率を高める目的で、中間転写体と記録媒体の間に速度差を設ける技術も提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、中間転写体上に形成される画像は溶媒成分を多く含んだ液体状態であり、中間転写体から記録媒体に対して画像を転写すると、転写する際の加圧によってインク流れが発生し画像品質が大幅に低下してしまう問題がある。また、中間転写体上の画像の溶媒成分を乾燥させる方法も提案されているが、この方法では印刷速度の大幅な低下を招いてしまう。
これに対して、インクの着色剤を凝集させるための反応液(処理液)と各色のインクを中間転写体(転写ドラム)にそれぞれ付与して、2液反応による凝集体から成る画像を中間転写体上に形成し、中間転写体上の画像を記録媒体に転写する方法も提案されている(特許文献2参照)。しかし、特許文献2と同様の転写実験(ポリマー無し、速度差なし)での転写実験を行った結果、良好な転写率を得られなかった。
特許第3211845号公報 特開2006−56078号公報
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、印刷速度を低下させることなく、高い転写率を得られるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、転写体上に形成した画像を被転写体に転写するインクジェット記録方法であって、インク中の顔料及びポリマー成分を凝集させる成分を含有する処理液を前記転写体上に付与する工程と、インクジェットヘッドのノズルから、少なくとも前記顔料及びポリマー成分を含有し、且つ前記ポリマー成分のインクに対する含有量[重量%]が前記顔料成分のインクに対する含有量[重量%]の2倍以上であるインクを前記転写体に対して吐出する工程と、前記転写体と前記被転写体との間に所定の速度差が生じるように制御を行う工程と、前記転写体上の画像を加圧しながら前記被転写体に転写する工程と、前記転写体上に形成された画像の液体成分に溶媒除去手段を接触させることによって前記液体成分の除去を行う工程と、を含み、前記転写体の表面材質はヤング率3.0[GPa]以上のアルミニウム又はステンレスからなり、前記転写体の表面粗さ(Ra)は1.6[μm]以下であることを特徴とするインクジェット記録方法を提供する。
本発明によれば、インク中の顔料成分に対して2倍以上のポリマー成分を含有するインクと、これら顔料及びポリマー成分を凝集させる成分を含有する処理液との2液反応による凝集物から成る画像を転写体上に形成し、転写体と被転写体の間に速度差を生じさせつつ、転写体上の画像を加圧しながら被転写体に転写することで、印刷速度を低下させることなく、高い転写率を得ることができるとともに、転写時の画像乱れも少なくすることができる。
特に、本発明では、十分な量のポリマー成分と顔料により強固な凝集体を形成することにより、速度差転写時のせん断力に対しても凝集体が破断することがなくなり良好な転写が得られる。また、速度差転写を行うことにより、被コート紙(普通紙、上質紙等)などの表面が粗く、転写体との接触状態が均一とならない被転写体に対しても均一で良好な転写が得られる。
また本発明では、転写体上の画像を被転写体に転写する前に画像の液体成分に接触して除去するので、加熱により液体成分を乾燥させる工程が不要であり、印刷速度を低下させることがなく、転写時の画像乱れを低減することができる。また、記録媒体(特に紙)のカール、コックリングを効果的に抑制することができる。
さらに本発明は、転写体の表面材質はヤング率3.0[GPa]以上のアルミニウム又はステンレスからなり、転写体の表面粗さ(Ra)が1.6[μm]以下であるので、転写体の弾性変形を防ぐことができ、転写体と被転写体との間に速度差を生じさせた状態でも安定転写が可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェット記録方法であって、前記溶媒除去手段の少なくとも表面は多孔質体で構成されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のインクジェット記録方法であって、前記溶媒除去手段はローラー状部材からなることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法であって、前記転写体は複数のローラーに巻き掛けられた無端状ベルトであり、前記被転写体は記録媒体であることを特徴とする。
請求項の態様によれば、印刷速度を低下させることなく、無端状ベルト上に形成された画像を記録媒体に対して高い転写率で転写することができる。
請求項に記載の発明は、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法であって、前記転写体及び前記被転写体はそれぞれドラム状部材であることを特徴とする。
請求項の態様によれば、印刷速度を低下させることなく、第1のドラム状部材(転写体)上に形成された画像を第2のドラム状部材(被転写体)に対して高い転写率で転写することができる。
また、前記目的を達成するために、請求項乃至請求項に記載の発明は装置発明を提供する。
即ち、請求項に記載の発明は、転写体上に形成した画像を被転写体に転写するインクジェット記録装置であって、インク中の顔料及びポリマー成分を凝集させる成分を含有する処理液を前記転写体上に付与する処理液付与手段と、少なくとも前記顔料及びポリマー成分を含有し、且つ前記ポリマー成分のインクに対する含有量[重量%]が前記顔料成分のインクに対する含有量[重量%]の2倍以上であるインクをノズルから前記転写体に対して吐出するインクジェットヘッドと、前記転写体と前記被転写体との間に所定の速度差が生じるように制御を行う制御手段と、前記転写体上の画像を加圧しながら前記被転写体に転写する転写手段と、前記転写体上に形成された画像の液体成分に接触することによって前記液体成分の除去を行う液体除去手段と、を備え、前記転写体の表面材質はヤング率3.0[GPa]以上のアルミニウム又はステンレスからなり、前記転写体の表面粗さ(Ra)は1.6[μm]以下であることを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のインクジェット記録装置であって、前記溶媒除去手段の少なくとも表面は多孔質体で構成されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のインクジェット記録装置であって、前記溶媒除去手段はローラー状部材からなることを特徴とする。
本発明によれば、インク中の顔料成分に対して2倍以上のポリマー成分を含有するインクと、これら顔料及びポリマー成分を凝集させる成分を含有する処理液との2液反応による凝集物から成る画像を転写体上に形成し、転写体と被転写体の間に速度差を生じさせつつ、転写体上の画像を加圧しながら被転写体に転写することで、印刷速度を低下させることなく、高い転写率を得ることができるとともに、転写時の画像乱れも少なくすることができる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
本発明者らは、上記課題を解決するため詳細に検討を行った結果、ポリマー成分を多く含有する顔料インクを2液反応により凝集させ、加熱、加圧状態で転写を行うことで転写率を向上できることを見出した。
しかしながら、この方法では良好な転写率を得られるものの、中間転写体の熱が記録ヘッド(インクジェットヘッド)のノズル面に伝達してしまい、インクメニスカスの乾燥によってノズルの吐出不良が発生した。これは、特にポリマー成分を多く含有する顔料インクを用いたため、ポリマー成分がノズルで成膜し、吸引、ワイピング等のメンテナンスによっても容易に復帰しがたい、ノズルの吐出不良であった。また、この方法では転写体(中間転写体)と被転写体(記録媒体)の材料の選択の幅が狭く、特に、表面粗さの粗い被転写体や表面エネルギーの低い被転写体に対しての転写が困難である。
これらの問題を解決するために、本発明者らは更に検討を重ねた結果、ポリマー微粒子を多く含有する顔料インクを2液反応により凝集させ、更に熱を加えない状態で、転写体と被転写体との間の速度差を生じさせつつ加圧しながら転写を行うと各種被転写体に対して(被記録媒体の表面粗さ、表面エネルギーに依存せず)非常に高い転写率で乱れの少ない画像が得られ、同時に良好なインク吐出安定性が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
〔インクセットの説明〕
まず、本発明で用いられるインクセットについて詳述する。
<インク>
本発明に係るインクは、少なくとも顔料、ポリマー成分、溶媒を含有する。インク中にポリマー成分を含有させる手段としては、ポリマー微粒子としてインク中に分散させる方法、顔料表面をポリマー成分で覆ったカプセル顔料を用いる方法、顔料の周囲にポリマー成分を付着させる方法、また、これらの方法の組み合わせなどの各種方法を採用することができる。
[色材]
本発明のインクに使用される顔料は、分散剤により分散されている顔料、自己分散顔料、樹脂により顔料表面を被覆された顔料(マイクロカプセル顔料)、及び高分子グラフト顔料が特に好ましい。また、顔料凝集性の観点から、解離度の小さいカルボキシル基によって修飾されている形態がより好ましい。
マイクロカプセル顔料の樹脂は、限定されるものではないが、水に対して自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子の化合物であるのが好ましい。この樹脂は、通常、数平均分子量が1,000〜100,000範囲程度のものが好ましく、3、000〜50、000範囲程度のものが特に好ましい。また、この樹脂は有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量がこの範囲であることにより、顔料における被覆膜として、又はインク組成物における塗膜としての機能を十分に発揮することができる。
前記樹脂は、自己分散能あるいは溶解するものであっても、又はその機能が何らかの手段によって付加されたものであってもよい。例えば、有機アミンやアルカリ金属を用いて中和することにより、カルボキシル基、スルホン酸基、またはホスホン酸基等のアニオン性基を導入されてなる樹脂であってもよい。また、同種または異種の一又は二以上のアニオン性基が導入された樹脂であってもよい。本発明にあっては、塩基をもって中和されて、カルボキシル基が導入された樹脂が好ましくは用いられる。
本発明に用いる顔料としては、特に限定はされないが、具体例としては、オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。 レッドまたはマゼンタ用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本発明に用いるインクに含まれる色材の濃度は、使用する色材により最適な値を選択すればよいが、インクの全重量に対し、0.1重量%〜40質量%の範囲にするのが好ましい。より好ましくは、1重量%〜30質量%、さらに好ましくは2重量%〜20質量%である。
[ポリマー微粒子]
本発明に係るインク中にポリマー成分を含有させる手段としてインク中にポリマー微粒子を含有させる方法が好ましく用いられる。ポリマー微粒子は、処理液との反応によりインクの増粘作用、凝集作用を強め、画像品位の向上させることができる。特に、アニオン性のポリマー微粒子をインクに含有せしめることにより、安全性の高いインクが得られる。
処理液と反応して、増粘・凝集作用を起こすポリマー微粒子をインクに用いることにより、画像の品位を高めることができると同時に、ポリマー微粒子の種類によっては、ポリマー微粒子が中間転写体上で皮膜を形成し、画像の耐擦性、耐水性をも向上させる効果を有する。
ポリマーインクでの分散方法はエマルジョンに限定するものではなく、溶解していても、コロイダルディスパージョン状態で存在していてもよい。
ポリマー微粒子は、乳化剤を用いてポリマー微粒子を分散させたものであっても、また、乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては、通常、低分子量の界面活性剤が用いられているが、高分子量の界面活性剤を乳化剤として用いることもできる。外殻がアクリル酸、メタクリル酸などにより構成されたカプセル型のポリマー微粒子(粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのポリマー微粒子)を用いることも好ましい。
分散手法として、低分子量の界面活性剤を用いていないポリマー微粒子は、高分子量の界面活性剤を用いたポリマー微粒子、乳化剤を使用しないポリマー微粒子を含めてソープフリーラテックスと呼ばれている。例えば上記に記述した、スルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポリマー(可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるブロックポリマー)を乳化剤として用いたポリマー微粒子もこれに含まれる。
本発明では、特にこのソープフリーラテックスを用いることが好ましく、ソープフリーラテックスは従来の乳化剤を用いて重合したポリマー微粒子にくらべ、乳化剤がポリマー微粒子の反応凝集や造膜を阻害したり、遊離した乳化剤がポリマー微粒子の造膜後に表面に移動し、顔料とポリマー微粒子の混合した凝集体と中間転写体との接着性を低下させる懸念がない。
インクにポリマー微粒子として添加する樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
ポリマー微粒子への高速凝集性付与の観点から、解離度の小さいカルボン酸基を有するものがより好ましい。カルボン酸基はpH変化によって影響を受けやすいので、分散状態が変化しやすく、凝集性が高い。
ポリマー微粒子のpH変化に対する分散状態の変化は、アクリル酸エステルなどのカルボン酸基を有する、ポリマー微粒子中の構成成分の含有割合によって調整することができ、分散剤として用いるアニオン性の界面活性剤によっても調整可能である。
ポリマー微粒子の樹脂成分は、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。疎水性部分を有することで、ポリマー微粒子の内側に疎水部分が配向し、外側に親水部分が効率よく外側に配向され、液体のpH変化に対する分散状態の変化がより大きくなる効果があり、凝集がより効率よくおこなわれる。
市販のポリマー微粒子の例としては、ジョンクリル537、7640(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、ジョンソンポリマー株式会社製)、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、ジュリマーET−410、FC−30(アクリル系樹脂エマルジョン、日本純薬株式会社製)、アロンHD−5、A−104(アクリル系樹脂エマルジョン、東亞合成株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、ザイクセンL(アクリル系樹脂エマルジョン、住友精化株式会社製)などが挙げられるが、これに限定するものではない。
インクに添加するポリマー微粒子の分子量は融着したときの接着力を鑑みて、5,000以上が好ましい。5,000未満だと、凝集したときのインク凝集体の内部凝集力向上や記録媒体に画像の定着性に効果が不足し、また画質改善効果が不足する。
ポリマー微粒子の体積平均粒子径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜500nmの範囲がより好ましく、20〜200nmの範囲が更に好ましく、50〜200nmの範囲が特に好ましい。10nm以下では、凝集しても画質の改善効果、転写性の向上に効果があまり期待できない。1μm以上では、インクのヘッドからの吐出性や保存安定性が悪化するおそれがある。また、ポリマー粒子の体積平均粒子径分布に関しては、特に制限は無く、広い体積平均粒子径分布を持つもの、又は単分散の体積平均粒子径分布を持つもの、いずれでもよい。
また、ポリマー微粒子を、インク内に2種以上混合して含有させて使用してもよい。
本発明のインクに添加するpH調整剤としては中和剤として、有機塩基、無機アルカリ塩基を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましい。
本発明のインクは、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。
水溶性有機溶媒としては、処理液の場合と同様に、例えば、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が、含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることもできる。
本発明のインクには、界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤の例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系、シリコーン系の界面活性剤も用いることができる。 これら表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
表面張力を下げて中間転写体上での又は処理液上でのぬれ性を高め、二液の接触面積の増加により効果的に凝集作用がすすむ。
本発明のインクの表面張力は、10〜50mN/mであることが好ましく、直接記録を行う場合には浸透性記録媒体への浸透性、また中間転写方式によって記録を行う場合には中間転写体上でのぬれ性と液滴の微液滴化および吐出性の両立の観点からは、15〜45mN/mであることが更に好ましい。
本発明のインクの粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましい。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
<処理液>
本発明に係る処理液として、インクのpHを変化させることにより、インクに含有される顔料およびポリマー微粒子を凝集させ、凝集物を生じさせるような処理液が好ましい。
処理液の成分として、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等の中から選ばれることが好ましい。
また、本発明に係る処理液の好ましい例として、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液を挙げることができる。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
本発明に係る処理液はインクとのpH凝集性能の観点からpHは1〜6であることが好ましく、pHは2〜5であることがより好ましく、pHは3〜5であることが特に好ましい。
本発明に係る処理液の中における、インクの顔料およびポリマー微粒子を凝集させる成分の添加量としては、液体の全重量に対し、0.01重量%以上20重量%以下であることが好ましい。0.01重量%以下の場合は処理液とインクが接触時に、濃度拡散が十分に進まずpH変化による凝集作用が十分に発生しないことがある。また20重量%以上であると、インクジェットヘッドからの吐出性が悪化することがある。
本発明に係る処理液は、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水、その他添加剤溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水、その他添加剤溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。
これらの溶媒は、水,その他添加剤と共に単独若しくは複数を混合して用いることができる。
水、その他添加剤溶性有機溶媒の含有量は処理液の全重量に対し、60重量%以下であることが好ましい。60重量%以上よりも多い場合は処理液の粘度が増加し、インクジェットヘッドからの吐出性が悪化することがある。
処理液には、定着性および耐擦性を向上させるため、樹脂成分をさらに含有してもよい。樹脂成分は、処理液をインクジェット方式によって打滴する場合ヘッドからの吐出性を損なわないもの、保存安定性があるものであればよく、水溶性樹脂や樹脂エマルジョンなどを自由に用いることができる。
インクと逆極性のポリマー微粒子を処理液に含ませ、インク中の顔料及びポリマー微粒子と凝集させることによってさらに凝集性を高めてもよい。
また、インクに含まれるポリマー微粒子成分に対応した硬化剤を処理液に含有し、二液が接触後、インク成分中の樹脂エマルジョンが凝集するとともに架橋又は重合するようにして、凝集性を高めてもよい。
本発明に係る処理液は、界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤の例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系、シリコーン系の界面活性剤も用いることができる。これら表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
表面張力を下げて中間転写体上でのぬれ性を高めるのに効果がある。また、インクを先立って打滴する場合においてもインク上でのぬれ性を高め、二液の接触面積の増加により効果的に凝集作用がすすむ。
本発明に係る処理液の表面張力は、10〜50mN/mであることが好ましく、直接記録を行う場合には浸透性記録媒体への浸透性、また中間転写方式によって記録を行う場合には、中間転写体上でのぬれ性と液滴の微液滴化および吐出性の両立の観点からは、15〜45mN/mであることが更に好ましい。
本発明に係る処理液の粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましい。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線、吸収剤、等も添加することができる。
〔インクジェット記録装置〕
本発明に係るインクジェット記録装置は、上述したインクセットのインク及び処理液の2液反応による凝集物から成る画像を転写体上に形成し、転写体と被転写体の間に速度差を生じさせつつ、転写体上の画像を加圧しながら被転写体に転写する中間転写型の記録装置である。以下、本発明に係るインクジェット記録装置の実施態様の一例(第1及び第2の実施形態)について詳説する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。
図1に示すインクジェット記録装置10は、中間転写体12上に形成した画像を記録媒体14に転写する転写型の記録装置である。本実施形態においては、中間転写体12が本発明の転写体に相当し、記録媒体14が本発明の被転写体に相当する。
中間転写体12は、所定幅を有する無端状ベルトで構成され、3つのローラー16、18、20に巻き掛けられている。各ローラー16、18、20のうち少なくとも1つのローラーは駆動モータの動力が伝達される主ローラーとして構成されており、図示の例ではローラー16に駆動モータ22の動力が伝達される。もちろん本例に限定されるものではなく、ローラー18、20のいずれかを主ローラーとしてもよい。
駆動モータ22を駆動させると、ローラー16の回転に応じて中間転写体12が図1の反時計回りの方向(以下、「中間転写体回転方向」という。)に回転を行う。なお、駆動モータ22の制御は、後述するシステムコントローラ72内のモータ制御部72aで行われる。
ローラー16の中間転写体回転方向下流側には、中間転写体12表面(外周面)に対向する位置に、処理液付与手段としての記録ヘッド(処理液ヘッド)24と、インク吐出手段としての記録ヘッド(インクヘッド)26が配置される。図示の例では、記録ヘッド(処理液ヘッド)24より中間転写体回転方向下流側に、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色インクに対応する記録ヘッド(インクヘッド)26C、26M、26Y、26Kが上流側から順番に配置される。
本実施形態において、各記録ヘッド24、26(26C、26M、26Y、26K)は、いずれも同一のヘッド構造を有するものである。もちろん、異なるヘッド構造の記録ヘッドを用いてもよい。
また、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する記録ヘッドを追加する構成も可能である。
各記録ヘッド24、26(26C、26M、26Y、26K)は、中間転写体12の中間転写体回転方向と直交する方向(転写体幅方向)の最大記録幅にわたってそれぞれ所定の液体(処理液又は色インク)を吐出するノズルを配列した長尺のフルラインヘッドとして構成される。各記録ヘッド24、26を転写体幅方向に移動させることなく、中間転写体回転方向について中間転写体12と各記録ヘッド24、26を相対的に移動させる動作を1回行うだけで中間転写体12の全面に画像を形成することができるので、記録速度を向上させることができる。
なお、本発明は、転写体幅方向に沿って短尺の記録ヘッド(シリアル型ヘッド)を往復走査させながら中間転写体12上に画像を形成するシリアル型の記録装置に対しても適用可能である。
図2は、記録ヘッド24、26の構造例を示した断面図である。各記録ヘッド24、26には、図示は省略するが、中間転写体12に対向する吐出面(ノズル面)に複数のノズル(吐出口)51が2次元的に形成されている。
また、各記録ヘッド24、26には、図2に示すように、各ノズル51にそれぞれ対応する圧力室52が設けられている。圧力室52とそれに対応するノズル51は連通しており、圧力室52はノズル51から吐出するための液体(処理液又は色インク)が充填される空間部として構成される。
共通流路55は、各圧力室52に供給するための所定の液体(処理液又は色インク)が貯留される空間部として構成されており、各圧力室52の一端にそれぞれ形成される供給口54を介して各圧力室52と連通している。
不図示のタンクから各記録ヘッド24、26に対してそれぞれ供給される所定の液体(処理液又は色インク)は、共通流路55を通って各圧力室52に分配供給される。こうして各圧力室52には所定の液体がそれぞれ充填される。
圧力室52の一壁面(図2の上面)を構成する振動板56上の圧力室52に対応する位置(振動板56を挟んで圧力室52に対向する位置)には、個別電極57を備えた圧電素子58が設けられている。振動板56はSUS等の導電性材料から成り、各圧力室52に対応して配置される複数の圧電素子58の共通電極を兼ねる。なお、樹脂などの非導電性材料によって振動板を形成する態様も可能であり、この場合は、振動板部材の表面に金属などの導電材料による共通電極層が形成される。圧電素子58には、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛などの圧電材料が好適に用いられる。これら中でも特にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)は、圧電定数や高周波応答性等の圧電特性に優れているので好ましい。
圧力室52にインクが充填された状態で、圧電素子58に駆動電圧が印加されると、圧電素子58の変位に伴う振動板56の変形によって、圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインク滴が吐出される。インク吐出後、圧電素子58の変位が元に戻る際に、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に再充填される。
なお、本実施形態では、圧電素子の変位を利用してインク吐出を行う方式(圧電方式)が採用されているが、本発明の実施に際してインク吐出方式は特に限定されるものではなく、ヒータ等の発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク吐出を行うサーマル方式やその他各種方式を採用することができる。
このように構成される各記録ヘッド24、26(26C、26M、26Y、26K)を用いて、図1に示すように、中間転写体12を回転させつつ、画像データに応じて各記録ヘッド24、26(26C、26M、26Y、26K)からそれぞれ所定の液体(処理液又は色インク)を吐出することにより、中間転写体12上の所定領域に処理液が付与されるとともに各色インク(CMYK)が打滴される。
中間転写体12上において各色インクは処理液と接触した瞬間に速やかに反応し、各色インクに含有される顔料及びポリマー微粒子が凝集するので、着弾干渉やブリーディング、フェザリングを防止することができ、これらの凝集体によって中間転写体12上に良好な品質の画像を形成することができる。
各記録ヘッド24、26(26C、26M、26Y、26K)より中間転写体回転方向下流側には、中間転写体12から記録媒体14への転写が行われる転写部28が設けられる。
転写部28には、中間転写体12及び記録媒体14を挟んでローラー20に対向する位置に加圧ローラー30が配置される。加圧ローラー30は、駆動モータ32の駆動に応じて図1の反時計回りの方向に回転を行うように構成され、複数の搬送ローラー34(34A〜34D)によって案内(ガイド)される記録媒体14は、加圧ローラー30の周速度V2と同速度で図1の左から右の方向へ搬送される。
なお、後述するように、駆動モータ32に対する制御は、システムコントローラ72のモータ制御部72a(図3参照)で行われる。
また、加圧ローラー30は中間転写体12及び記録媒体14を挟んで対向するローラー20側に向かって加圧するように構成されており、中間転写体12上の画像に所定の転写圧力(ニップ圧)が加えられた状態で、中間転写体12から記録媒体14への転写が行われる。
また、中間転写体12と記録媒体14が接触する部分(即ち、転写部28)において中間転写体12と記録媒体14との間に所定の速度差が生じるように構成されている。具体的には、中間転写体12の周速度(搬送速度)V1と記録媒体14の搬送速度V2が異なる速度となるように、ローラー16を回転させる駆動モータ22と加圧ローラー30を回転させる駆動モータ32との駆動制御が行われている。なお、駆動モータ22、32の駆動制御は、後述するシステムコントローラ72のモータ制御部72aで行われる。こうして、中間転写体12と記録媒体14との間に所定の速度差を設けた状態で、中間転写体12から記録媒体14に対して転写(以下、「速度差転写」という。)が行われる。
本実施形態において、中間転写体12の周速度(搬送速度)V1よりも記録媒体14の搬送速度V2が遅くなるような状態で速度差転写が行われることが好ましく、転写時における速度差((V1−V2)/V1)×100[%])が1〜5%の範囲内で行われることが特に好ましい。
中間転写体12上の画像を記録媒体14に対して速度差転写(シアリング転写)を行うことで、転写時に中間転写体12上の画像を加熱することなく、常温(35℃以下)で中間転写体12から記録媒体14に画像を転写することができる。このため、中間転写体12を介して各記録ヘッド24、26の吐出面(ノズル面)に前記加熱による熱が伝達することがなく、ポリマー成分(ポリマー微粒子)を多く含有する顔料インクを用いてもノズルの吐出不良が生じる恐れがなく、各記録ヘッド24、26の安定した吐出性能を得ることが可能となる。従って、印刷速度を低下させることなく、高い転写率を得ることができるとともに、乱れの少ない良好な画像を得ることができる。
本実施形態において、本発明の転写体に相当する中間転写体12の表面材質はヤング率2.0[GPa]の材料からなり、中間転写体12の表面粗さ(Ra)は1.6以下であることが好ましい。中間転写体12の好ましい表面材質として、例えば、ポリイミド、延伸PET、アルミニウム、ステンレス等が挙げられる。中間転写体12の弾性変形を防ぐことができるので、速度差転写を行う場合でも中間転写体12の回転や記録媒体14の搬送を滑らかに行うことができ、安定転写が可能となる。
本実施形態において、各記録ヘッド24、26より中間転写体回転方向下流側であって、転写部28より中間転写体回転方向上流側には、中間転写体12上の画像の溶媒成分を除去する手段(溶媒除去手段)が設けられていることが好ましい。図示の例では、中間転写体12を挟んでローラー18に対向する位置に、接触式の溶媒除去手段として溶媒除去ローラー36が配置される。溶媒除去ローラー36はローラー状の多孔質体であり、例えばセラミック焼結多孔質体で構成される。溶媒除去ローラー36の表面のみが多孔質体で構成されていてもよい。中間転写体12上に形成された画像に溶媒除去ローラー36を接触させることによって、画像の余分な溶媒成分を除去することができる。
中間転写体12上に形成された画像の余分な溶媒を除去した状態で、中間転写体12から記録媒体14への転写が行われるので転写率を向上させることができる。特に、記録媒体14として普通紙などの浸透系媒体が用いられる場合には、カール、カックルといった水系溶媒に特徴的な問題を防止することができる。
また、本実施形態において、転写部28より中間転写体回転方向下流側であって、各記録ヘッド24、26より中間転写体回転方向上流側に、中間転写体12上の残留物等を除去するクリーニング手段が設けられていることが好ましい。図示の例では、中間転写体12を挟んでローラー16に対向する位置にクリーニングローラー38が配置される。
クリーニングローラー38として、例えば、ローラー表面が柔軟性ある多孔質部材で構成され、洗浄液付与手段(不図示)にて洗浄液を染み込みながら中間転写体表面を洗浄する態様、ローラー表面にブラシを備え、洗浄液を中間転写体表面に付与しながらブラシで中間転写体表面のゴミを除去する態様、柔軟性のあるブレードをローラー表面に備えて中間転写体表面の残留物を掻き落とす態様などがある。
中間転写体12の周速度V1とクリーニングローラー38の周速度V3に速度差を設けることが好ましい。中間転写体12の周速度V1に比べて、クリーニングローラー38の周速度V3は遅くてもよいし速くてもよい。不図示の駆動モータによってクリーニングローラー38を周速度V3(≠V1)で回転させてやればよい。中間転写体12とクリーニングローラー38の周速度V1、V3を同速度にする場合に比べて、速度差に応じて中間転写体12の表面にせん断力が生じるので、残留物を効率的に除去することができ、中間転写体12上の残留物の除去率を高くすることができる。
本実施形態においては、中間転写体12が無端状ベルトで構成される態様を示したが、本発明の実施に際して特に限定されるものではなく、中間転写体がドラム状部材や板状部材で構成されていてもよい。
図3は、本実施形態のインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。図3に示すように、インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、インクヘッドドライバ84、処理液ヘッドドライバ85等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはシリアルインターフェースやパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88(図1の駆動モータ22、32を含む)やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示に従ってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示に従って各部のヒータ89を駆動するドライバである。
本実施形態においては、システムコントローラ72内部に設けられるモータ制御部72aが、図1における中間転写体12の周速度(搬送速度)V1と記録媒体14の搬送速度V2に所定の速度差が生じるように、モータドライバ76を介して駆動モータ22、32の駆動を制御する。即ち、モータ制御部72aは本発明の制御手段に相当する。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(ドットデータ)を各ヘッドドライバ84、85に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてインクヘッドドライバ84を介して記録ヘッド(インクヘッド)26のインク滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。同様に、処理液ヘッドドライバ85を介して記録ヘッド(処理液ヘッド)24の処理液の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図3において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
各ヘッドドライバ84、85は、プリント制御部80から与えられる印字データに基づいて、それぞれ対応する記録ヘッド26、24の圧電素子58(図2参照)を駆動するための駆動信号を生成し、圧電素子58に生成した駆動信号を供給する。各ヘッドドライバ84、85にはそれぞれ対応する記録ヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印字検出部90は、ラインセンサを含むブロックであり、中間転写体12に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部80に提供する。なお、図1では、印字検出部90の図示を省略している。
プリント制御部80は、必要に応じて印字検出部90から得られる情報に基づいて記録ヘッド24、26に対する各種補正を行う。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。以下、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。
図4に示すインクジェット記録装置100は、それぞれドラム状部材で構成される2つの中間転写体(中間転写ドラム)102、104を用いて、第1中間転写体102上に形成した画像を第2中間転写体104に転写を行い、更に第2中間転写体104上に転写された画像を記録媒体106に転写を行う2段転写型の記録装置である。本実施形態では、第1中間転写体102が本発明の転写体に相当し、第2中間転写体104が本発明の被転写体に相当する。なお、本発明の実施に際して、転写回数は特に制限されるものではない。
第1中間転写体102は、第1駆動モータ108の駆動に応じて、図4の時計回転方向(以下、「第1中間転写体回転方向」という。)に回転を行うように構成されている。
本実施形態のインクジェット記録装置100では、処理液付与手段として、処理液塗布ローラー110が第1中間転写体102表面に接触するように配置されており、第1中間転写体102の回転に応じて処理液塗布ローラー110が回転することによって、容器112内の処理液が処理液塗布ローラー110を介して第1中間転写体102表面に付与される。
処理液塗布ローラー110より第1中間転写体回転方向下流側には、インク吐出手段としての記録ヘッド(インクジェットヘッド)114が、第1中間転写体102表面に対向するように配置される。図示の例では、第1中間転写体回転方向上流側から順に、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色インクにそれぞれ対応する記録ヘッド114C、114M、114Y、114Kが配置される。
なお、各記録ヘッド114(114C、114M、114Y、114K)の構成は、第1の実施形態の記録ヘッド24、26のヘッド構造と同一なので説明を省略する(図2参照)。
第1中間転写体102上に処理液塗布ローラー110によって処理液が付与され、更に、第1中間転写体102上の処理液が付与された領域に各記録ヘッド114(114C、114M、114Y、114K)から所定の色インクが画像データに応じて打滴されると、第1中間転写体102上には、処理液と各色インクとの2液反応によって顔料及びポリマー微粒子の凝集物から成る画像が形成される。
記録ヘッド114より第1中間転写体回転方向下流側には、第1中間転写体102と第2中間転写体104が接触する第1転写部116が設けられる。第1転写部116においては、不図示の圧縮コイルばねを利用して、対向する第1中間転写体102と第2中間転写体104の間に所定の荷重(ドラム間荷重)が加えられるように構成されている。
また、第2中間転写体104は、第2駆動モータ118の駆動に応じて、図4の反時計回転方向(以下、「第2中間転写体回転方向」という。)に回転を行うように構成されている。
本実施形態においては、第1転写部116において第1中間転写体102と第2中間転写体104との間に所定の速度差が生じるように構成されている。具体的には、第1中間転写体102の周速度V1′と第2中間転写体104の周速度V2′が異なる速度(周速度)となるように、各中間転写体102、104を回転させる駆動モータ108、118の駆動制御が行われる。なお、駆動モータ108、118の駆動制御は、第1の実施形態と同様、システムコントローラ72のモータ制御部72a(図3参照)で行われる。
第2中間転写体104より第2中間転写体回転方向下流側には、記録媒体106が接触する第2転写部120が設けられる。第2転写部120においては、記録媒体106を挟んで第2中間転写体104に対向する位置には加圧ローラー122が配置されており、加圧ローラー122によって記録媒体106の裏面側から第2中間転写体104に向かって所定圧力が加えられるように構成されている。
記録媒体106は、複数の搬送ローラー124(124A、124B)や搬送ガイド126によって案内(ガイド)されつつ、加圧ローラー122による加圧によって第2中間転写体104の周速度V2′と同速度で図4の左から右へと搬送される。
このような構成により、処理液とインクの2液反応によって第1中間転写体102上に形成された画像は、第1中間転写体102と第2中間転写体104との間に所定の速度差が設けられた状態で、第2中間転写体104に加圧転写される。更に、第2中間転写体104上に転写された画像は記録媒体106に加圧転写される。こうして、記録媒体106上には所望の画像が記録される。
本実施形態によれば、第1中間転写体102と第2中間転写体104の間に所定の速度差を設けた状態で転写を行う速度差転写が行われるので、第1の実施形態と同様に、良好な転写率を得ることができる。
本実施形態において、本発明の転写体に相当する第1中間転写体102の表面材質はヤング率2.0[GPa]の材料からなり、第1中間転写体102の表面粗さ(Ra)は1.6以下であることが好ましい。中間転写体12の好ましい表面材質は、第1の実施形態と同様である。第1中間転写体102の弾性変形を防ぐことができ、安定転写が可能となる。
また、本実施形態において、第1中間転写体102上に形成された画像が第2中間転写体104に転写される前に、第1中間転写体102上の余分な溶媒成分を除去するために、溶媒除去手段が配置されていることが好ましい。図示の例では、記録ヘッド(インクヘッド)114(114C、114M、114Y、114K)より第1中間転写体回転方向下流側であって、第1転写部116より第1中間転写体回転方向上流側に、溶媒除去手段として溶媒除去ローラー128が第1中間転写体102表面に接触するように配置される。
なお、溶媒除去ローラー128の構成は、第1の実施形態の溶媒除去ローラー36(図1参照)と同様であり、また、溶媒除去手段の他の態様についても第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態において、第1中間転写体102上の残留物等を除去するクリーニング手段が設けられていることが好ましい。図示の例では、第1転写部116より第1中間転写体回転方向下流側であって、処理液塗布ローラー110より第1中間転写体回転方向上流側に、クリーニング手段としてクリーニングローラー130が第1中間転写体102表面に接触するように配置される。
同様に、第2中間転写体104上の残留物等を除去するクリーニング手段が設けられていることが好ましい。図示の例では、第2転写部120より第2中間転写体回転方向下流側であって、第1転写部116よりより第2中間転写体回転方向上流側に、クリーニング手段としてクリーニングローラー132が第2中間転写体104表面に接触するように配置される。
なお、各クリーニングローラー130、132の構成は、第1の実施形態のクリーニングローラー38と同様であり、また、クリーニング手段の他の態様についても第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実験1〕
<使用インク>
下記組成のインク1〜7を使用した。
[インク1]
・顔料 Pigment Red 122 5重量%
・グリセリン 20重量%
・ジエチレングリコール 10重量%
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1重量%
・イオン交換水 残部
[インク2]
・顔料 Pigment Red 122 5重量%
・グリセリン 20重量%
・ジエチレングリコール 10重量%
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1重量%
・ポリマー微粒子 ジュリマーET−410(日本純薬製) 8重量%
・イオン交換水 残部
[インク3]
・顔料 Pigment Red 122 5重量%
・グリセリン 20重量%
・ジエチレングリコール 10重量%
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1重量%
・ポリマー微粒子 ジュリマーET−410(日本純薬製) 10重量%
・イオン交換水 残部
[インク4]
・顔料 Pigment Red 122 5重量%
・グリセリン 20重量%
・ジエチレングリコール 10重量%
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1重量%
・ポリマー微粒子 ジュリマーET−410(日本純薬製) 15重量%
・イオン交換水 残部
[インク5]
・顔料 Pigment Red 122 5重量%
・グリセリン 20重量%
・ジエチレングリコール 10重量%
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1重量%
・ポリマー微粒子 ジョンクリル537(ジョンソンポリマー製) 8重量%
・イオン交換水 残部
[インク6]
・顔料 Pigment Red 122 5重量%
・グリセリン 20重量%
・ジエチレングリコール 10重量%
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1重量%
・ポリマー微粒子 ジョンクリル537(ジョンソンポリマー製) 10重量%
・イオン交換水 残部
[インク7]
・顔料 Pigment Red 122 5重量%
・グリセリン 20重量%
・ジエチレングリコール 10重量%
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1重量%
・ポリマー微粒子 ジョンクリル537(ジョンソンポリマー製) 15重量%
・イオン交換水 残部
なお、各インク1〜7について、インク全重量に対するポリマー微粒子の含有量X(重量%)と、インク全質量に対する顔料の含有量Y(重量%)との含有比(X/Y)は表1に示すとおりである。
Figure 0004977505
<使用処理液>
下記組成の処理液を使用した。
・ジエチレングリコール 20重量%
・オルフィンE1010 1重量%
・2−ピロリドン−5−カルボン酸 1重量%
・水酸化ナトリウム 0.25重量%
・イオン交換水 残部
<実験方法>
各々が駆動源(ステッピングモーター)により駆動可能な2個の転写ドラム(図4の第1中間転写体102、第2中間転写体104に相当)を対向させて配置した。
その際、圧縮コイルばねを利用して、対向する転写ドラムが互いに接触する部分(転写部)に所定の圧力(転写圧力、ニップ圧)が加圧される状態とした。
処理液塗布ローラーによって処理液を第1転写ドラム上に付与するとともに、インクジェットヘッドによって第1転写ドラム上の処理液が付与された領域にインクを打滴し、第1転写ドラム上に画像を形成し、第1転写ドラム上の溶媒に溶媒除去ローラーを接触させることにより溶媒の除去を行った後、第1転写ドラム(転写体)から第2転写ドラム(被転写体)へ画像を転写した。
転写後、第1転写ドラム(転写体)表面に残留したインク量を顕微鏡観察し、転写率を測定した。
更に、転写時の温度条件下で10分間放置した後、使用したインクジェットヘッドでノズルチェックパターン(テストパターン)を第1転写ドラムに記録し、顕微鏡観察により、不吐出、吐出方向性不良が発生したノズル数をカウントし、吐出不良発生率(吐出不良発生ノズル数/全ノズル数)を算出した。
上記実験に際して、インク1〜7をそれぞれ用いた場合について実験を行った。
また、第1転写ドラム(転写体)の表面材質をアルミニウムとし、第2転写ドラム(被転写体)については、次の4種類の表面材質(A1〜A4)をそれぞれ表面に貼り付けた場合について実験を行った。
A1:シリコーンゴム(硬度70度、厚さ0.5mm)
A2:ポリイミド(厚さ0.08mm)
A3:アート紙(三菱製紙 特菱アート両面)
A4:上質紙(日本製紙 しらおい上質紙)
また、転写時に加熱を行わず、加圧状態にある2個の転写ドラムを速度差のある状態で転写を行う場合(速度差転写)と、速度差を設けずに加熱した状態で転写を行う場合(熱圧力転写)とのそれぞれについて実験を行った。速度差転写と熱圧力転写を行ったときの詳細条件を表2に示す。
Figure 0004977505
<実験結果>
実験結果を表3に示す。
Figure 0004977505
表3における総合判定の評価基準は以下の通りである。
◎:すべての被転写体への転写率99%以上、吐出不良発生率1%以下
○:すべての被転写体への転写率95%以上、吐出不良発生率1%以下
△:1つ以上の被転写体への転写率90%以上
×:すべての被転写体への転写率90%未満
表3から分かるように、顔料及びポリマー微粒子を含有し、且つポリマー微粒子のインクに対する含有量[重量%]が顔料のインクに対する含有量[重量%]の2倍以上であるインク3、4、6、7を用いて速度差転写を行うことで、吐出不良発生率を1[%]以下に低く抑えることができるとともに、第2転写ドラム(被転写体)の表面材質に関わりなく、高い転写率を得ることができることを確認した。
〔実験2〕
<実験方法>
実験1で使用したインク3と処理液を用いて、実験1と同様な方法で実験を行った。
上記実験に際して、第1転写ドラム(転写体)の表面材質については、シリコーンゴム(硬度70)、ウレタンゴム(硬度80)、ポリエチレン、ナイロン、ポリイミド、延伸PET、アルミニウム、ステンレスの各材質に変更してそれぞれ実験を行った。
一方、第2転写ドラム(被転写体)の表面材質は、シリコーンゴム(硬度70度、厚さ0.5mm)とした。
また、上記実験に際して、以下に示すように、実験1の速度差転写と同じ条件(表2参照)で行った。
第1転写ドラム周速度:515[mm/sec]
第2転写ドラム周速度:500[mm/sec]
転写幅(ドラム幅):300[mm]
ドラム間荷重:600[N]
転写温度:室温(25[℃])
処理液付与量:7[μm]厚
本実験では、上記条件で速度差転写を行う際の転写体速度変動として、第1転写ドラムの設定速度(周速度)Vと、実際の実速度(周速度)V′との最大ずれ量{Max(V−V′)/V×100}[%]の測定を行った。
<実験結果>
実験結果を表4に示す。
Figure 0004977505
表4の判定における評価基準は以下の通りである。
◎:転写体速度変動 2%未満
○:転写体速度変動 2%以上
△:転写体速度変動 4%以上
×:転写体速度変動 10%以上
表4から分かるように、第1転写ドラム(転写体)の表面材質が、ポリイミド、延伸PET、アルミニウム、ステンレスのいずれかである場合には、3[%]以下の転写体速度変動で速度差転写を行うことができる。即ち、第1転写ドラム(転写体)の表面材質をヤング率3.0[GPa]以上の材料で構成することで、転写体の弾性変形が防止されるので、転写体速度変動を低く抑えることができ、速度差転写による転写体から被転写体への転写状態を良好にすることができる。
〔実験3〕
<実験方法>
実験1で使用したインク4と処理液を用いて、実験1と同様な方法で実験を行った。
上記実験に際して、第1転写ドラム(転写体)の表面材質については、アルミニウム(表面粗さRa=0.5,1.6,2.5,6.5)、ステンレス(表面粗さRa=0.5,1.6,2.5,6.5)各材質に変更してそれぞれ実験を行った。
一方、第2転写ドラム(被転写体)の表面材質は、シリコーンゴム(硬度70度、厚さ0.5mm)とした。
また、上記実験に際して、以下に示すように、実験1の速度差転写と同じ条件(表2参照)で行った。
第1転写ドラム周速度:515[mm/sec]
第2転写ドラム周速度:500[mm/sec]
転写幅(ドラム幅):300[mm]
ドラム間荷重:600[N]
転写温度:室温(25[℃])
処理液付与量:7[μm]厚
転写後、第1転写ドラム(転写体)表面に残留したインク量を顕微鏡観察し、転写率を測定した。
<実験結果>
実験結果を表5に示す。
Figure 0004977505
表5の判定における評価基準は以下の通りである。
◎:すべての被転写体への転写率99%以上
○:すべての被転写体への転写率95%以上
△:1つ以上の被転写体への転写率90%以上
×:すべての被転写体への転写率90%未満
表5から分かるように、第1転写ドラム(転写体)の表面材質がアルミニウム、ステンレスのいずれの場合においても、その表面粗さ(Ra)を1.6以下とすることで、速度差転写による転写体から被転写体への転写状態を良好にすることができる。
なお、上記実験1〜3では、インク中に含有させるポリマー成分として、インク中にポリマー微粒子を分散させる方法を採用したが、顔料表面をポリマー成分で覆ったカプセル顔料を用いたり、顔料の周囲にポリマー成分を付着させたり、その他のポリマー成分を含むインクを用いるなどの各種方法を好ましく採用することができ、ポリマー微粒子を用いた場合と同様な効果を得ることができる。
以上、本発明のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図 記録ヘッドの構造例を示した断面図 インクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 第2の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、12…中間転写体、14…記録媒体、22…駆動モータ、24…記録ヘッド(処理液ヘッド)、26…記録ヘッド(インクヘッド)、30…加圧ローラー、32…駆動モータ、36…溶媒除去ローラー、38…クリーニングローラー、51…ノズル、52…圧力室、55…共通流路、56…振動板、58…圧電素子、72…システムコントローラ、72a…モータ制御部、100…インクジェット記録装置、102…第1中間転写体、104…第2中間転写体、106…記録媒体、108…駆動モータ、110…処理液塗布ローラー、114…記録ヘッド(インクヘッド)、118…駆動モータ、128…溶媒除去ローラー、130…クリーニングローラー、132…クリーニングローラー

Claims (8)

  1. 転写体上に形成した画像を被転写体に転写するインクジェット記録方法であって、
    インク中の顔料及びポリマー成分を凝集させる成分を含有する処理液を前記転写体上に付与する工程と、
    インクジェットヘッドのノズルから、少なくとも前記顔料及びポリマー成分を含有し、且つ前記ポリマー成分のインクに対する含有量[重量%]が前記顔料成分のインクに対する含有量[重量%]の2倍以上であるインクを前記転写体に対して吐出する工程と、
    前記転写体と前記被転写体との間に所定の速度差が生じるように制御を行う工程と、
    前記転写体上の画像を加圧しながら前記被転写体に転写する工程と、
    前記転写体上に形成された画像の液体成分に溶媒除去手段を接触させることによって前記液体成分の除去を行う工程と、を含み、
    前記転写体の表面材質はヤング率3.0[GPa]以上のアルミニウム又はステンレスからなり、前記転写体の表面粗さ(Ra)は1.6[μm]以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記溶媒除去手段の少なくとも表面は多孔質体で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記溶媒除去手段はローラー状部材からなることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記転写体は複数のローラーに巻き掛けられた無端状ベルトであり、
    前記被転写体は記録媒体であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記転写体及び前記被転写体はそれぞれドラム状部材であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 転写体上に形成した画像を被転写体に転写するインクジェット記録装置であって、
    インク中の顔料及びポリマー成分を凝集させる成分を含有する処理液を前記転写体上に付与する処理液付与手段と、
    少なくとも前記顔料及びポリマー成分を含有し、且つ前記ポリマー成分のインクに対する含有量[重量%]が前記顔料成分のインクに対する含有量[重量%]の2倍以上であるインクをノズルから前記転写体に対して吐出するインクジェットヘッドと、
    前記転写体と前記被転写体との間に所定の速度差が生じるように制御を行う制御手段と、
    前記転写体上の画像を加圧しながら前記被転写体に転写する転写手段と、
    前記転写体上に形成された画像の液体成分に接触することによって前記液体成分の除去を行う溶媒除去手段と、を備え
    前記転写体の表面材質はヤング率3.0[GPa]以上のアルミニウム又はステンレスからなり、前記転写体の表面粗さ(Ra)は1.6[μm]以下であることを特徴とするインクジェット記録装置。
  7. 前記溶媒除去手段の少なくとも表面は多孔質体で構成されていることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記溶媒除去手段はローラー状部材からなることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
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