JP4977332B2 - 緩衝材 - Google Patents

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本発明は、緩衝材に係り、より詳細には、特定の陰イオン量を有する緩衝材表面を備える転動装置梱包・輸送用緩衝材に関する。
転動装置を梱包・輸送する際に、防錆処置をした後、紙やポリエチレンシートなどで覆いを施したり、あるいはテープ状のシートで巻き包装を行ったのち、意匠箱や木箱に格納することが、一般的に行われている。この場合、転動装置を構成するそれぞれの要素部材は互いに拘束することなく、輸送時に振動などを受けると、それぞれの接触面はこすれ合ってしまう。特に、転動装置が大型化すると、それぞれの要素部材の質量が大きくなり、接触部で微小滑りによる損傷(フレッチング損傷)が顕在化し、装置の機能に悪影響を及ぼすことがある。
そこで、要素部材を緊縛して、振動などで自由に動くことを防止することが考えられる。図1は、円錐ころ軸受に対する対策例を示す。図1に例示するように、緩衝材1を挿入するなどの対策が取られている。緩衝材1の弾性を利用して、保持器4で保持された転動体(ころ)2を軌道輪(内輪5と外輪3)に押し付けて、転動体2の動きを束縛しようとするものである。ここで用いられる緩衝材1としては、一般に弾性体が用いられ、詳細には、高圧法ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴム、NR(天然ゴム)、IR(イソプレンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、BR(ブタジエンゴム)等が用いられる。
国内間の通常の輸送であれば、上記手法は何等問題を提起しない。しかし、海外の輸送において、上記手法を用いて緩衝し、かつ赤道通過に代表される高温高湿条件下での輸送では、これらの緩衝材と金属表面の接触部において腐食が起きることがある。
他方、極地に近い寒冷地では、一般に弾性体の弾性が無くなる傾向にあるため、緩衝の作用を失い、フレッチングが発生することも考えられる。また、特に、ころ径がφ50mmを超えたり、内径がφ500mmを超える大型軸受は、生産拠点が限られ、航空輸送にも適さないので輸送が長期にわたり、あるいは極地付近から赤道を通過しての輸送(船)もしばしば有り得る。
特開平08−303523号
そこで、本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、緩衝材と転動装置要素表面の接触によるフレッチングを防止し、さらに高温高湿条件に放置されても、錆を発生させず、転動装置を梱包・輸送できる緩衝材を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、問題となる現象は、図2に示すように、緩衝材10と転動装置要素(例えば、内輪)12表面との間のすきまに水蒸気が浸入すると、毛細管現象で結露し、結露水中に陰イオン(Ne-)が溶出され、陰イオンが転動装置要素12表面の酸化膜を破壊し、転動装置要素12表面の腐食によって錆が発生するという、メカニズムにしたがっていることが明らかとなり、転動装置要素12表面の腐食による錆は、高温多湿環境下における緩衝材10と転動装置要素12表面との間のすきまと緩衝材10表面の陰イオン付着量によって加速されることが明らかになった。
また、梱包時に使用する防錆油に対応するため、ニトリルゴムをより好適に用いるに際して、ニトリルゴムにおいても、ガラス転移温度が低く、低温での弾力性に富むものでは、図3に示すように、転動装置要素12表面の油分を緩衝材10が吸収した状態で、緩衝材10と転動装置要素12表面との間のすきまに水蒸気が浸入すると、毛細管現象で結露し、結露水中に陰イオン(Ne-)が溶出され、陰イオンが転動装置要素12表面の酸化膜を破壊し、転動装置要素12表面の腐食によって錆が発生するという、メカニズムにより、錆の発生が加速されることが判明し、ガラス転移点(ガラス転移温度)が−29℃〜−57℃であるニトリルゴムを用いた場合、より一層防錆性能を向上させることが明らかになった。本発明者は、上記の知見を得て本発明を完成するに至った。また、特に、塩素、亜硝酸、硝酸、硫酸イオンの総量の影響が大きいことを解明した。
すなわち、本発明は、緩衝材表面の、塩素イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンの総量を、100ng/mm2以下、好ましくは、30ng/mm2以下の緩衝材を構成したものである。緩衝材は、転動装置の梱包・輸送用として用いることが好ましい。
また、緩衝材は、弾性体あるいは多孔質材で構成することができる。緩衝材を多孔質材で構成するときには、例えば、転動装置要素表面を密閉しない多孔質材を用いることで、高温多湿環境下においても緩衝材と転動装置要素表面との間のすきまの腐食を防止できる。
また、前記緩衝材は、ガラス転移点(ガラス転移温度)が−29℃〜−57℃であるニトリルゴムであることが好ましく、さらに、緩衝材表面には、ワックス分を含まない防錆油が付着されていることが好ましい。
なお、緩衝材表面の陰イオン量とは、緩衝材あるいは試験片を80℃の純水もしくは超純水に2時間浸漬した後に、純水もしくは超純水に抽出された陰イオンの量(重量)を緩衝材あるいは試験片の外形寸法から求められる表面積で除したものをいう。
本発明によれば、塩素イオンと、亜硝酸イオンと、硝酸イオンと、硫酸イオンからなる、緩衝材表面の陰イオンの総量を、30ng/mm2以下にすることにより、相手材表面を腐食させない転動装置梱包用緩衝材が実現される。また、緩衝材表面の陰イオン量を制御する方法としては、純水洗浄が好適である。
また、本発明によれば、緩衝材として転動装置要素表面を密閉しない多孔質緩衝材を用いることで、高温多湿環境下においても緩衝材と転動装置要素表面の間のすきま腐食を防止することができ、さらに、転動装置要素表面の陰イオンの総量を30ng/mm2以下にすることで、より一層の腐食防止性を高められる転動装置梱包用緩衝材が実現される。
次に、本発明の実施の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
本発明では、転動装置と接触する、弾性体である梱包用緩衝材の表面に陰イオンの総量を、特定の値以下に制御する。
本発明に用いる弾性体としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。これは、密度が0.91〜0.929g/ml(JISK6748−1981の低密度ポリエチレンの定義による)の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体である。直鎖状低密度ポリエチレンは、チグラー・ナッタ触媒を用いて重合したα―オレフィン含有量が10重量%程度のもの、あるいは、シングルサイト触媒を用いて重合したα−オレフィン含有量が10重量%程度のものが好適に用いられる。上記のα−オレフィンとしては、炭素数3〜12のα−オレフィンであって、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等を挙げられる。
また、本発明で用いる直鎖状低密度ポリエチレンとしては、融点が80〜125 ℃、好ましくは100〜120℃のものが用いられる。さらに、前記ポリエチレンのMFR(メルトフローレート:JISK6760)が、好ましくは、0.1〜20g/10 分、より好ましくは、0.5〜10g/10分である。さらにまた、前記ポリエチレンの曲げ弾性率は、3000Kg/cm2以下が好ましい。
くわえて、本発明では、エチレン系エラストマーも好適に用いることができる。好適なエチレン系エラストマーとしては、エチレンを50〜90重量%と、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数3〜12のα−オレフィンの1種または2種以上の10〜50重量%と、をランダム共重合させた共重合体である。重合触媒にシングルサイト触媒を用いた重合してものが好ましい。
本発明で用いるエチレン系エラストマーは、その融点が、20〜110℃、好ましくは40〜50℃のものが使用できる。また、本発明で用いるエチレン系エラストマーは、そのMFRが好ましくは0.1〜20g/10分、より好ましくは0.5〜10g/10分である。さらに、本発明で用いるエチレン系エラストマーは、その密度が、0.80〜0.90g/ml、好ましくは0.86〜0.88g/mlである。
また、本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレン70〜95 重量%と、酢酸ビニル含有量30〜5重量%との共重合体である。本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体の融点は、70〜150℃、好ましくは85〜95℃である。また、本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合のMFRは、好ましくは0.1〜20g/10分、より好ましくは0.5〜10/10分である。さらに、本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、その密度が、0.92〜0.95g/mlである。
上記のポリエチレンまたはエチレン系エラストマーは、そのまま、あるいは発砲倍率を40倍程度まで変化させて成形し、25%圧縮硬さを、30〜600kPaとして用いることもできる。
さらに、本発明で用いる表面の陰イオンの総量を制御した弾性体としては、ゴム系材料も利用することができる。原料ゴムとしては、NR(天然ゴム)、IR(イソプレンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、BR(ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、IIR(ブチルゴム)、EDPM(エチレンプロピレンゴム)、ウレタンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等を使用することができる。なお、ニトリルゴムには、アクリルニトリル含有量により低ニトリルNBR、中ニトリルNBR、中高ニトリルNBR、高ニトリルNBR、極高ニトリルNBR等がある。
また、本発明で用いる弾性体としては、生分解性を有するものを使用することもできる。
上記のポリエチレン、エラストマーおよびゴム組成物には、必要に応じて、補強製充填剤、加工助剤、磨耗改良剤、潤滑油、潤滑剤等を添加することができる。なお、ゴム組成物に対する補強性充填剤、磨耗改良剤等の添加量を調整することにより、所定硬度のゴム成形体を得ることができる。
上記成形体は、成形工程、加工工程等でも表面に陰イオンが付着する。また、原材料そのものにも陰イオンを含有することがある。そこで、本発明に用いる弾性体は、その原材料段階から陰イオンの少ないものを使用し、後述する陰イオン除去のための洗浄時間を短縮することもできる。特に、本発明に用いる弾性体がゴムの場合、加硫条件を最適化し残余硫黄等を残さないようにすることが好ましい。さらに、ゴムに添加されるワックス、重点材や可塑剤には不純物の少ないものを用いることが好ましい。くわえて、本発明に用いる弾性体の硬度や形状は、緩衝すべき転動装置の大きさや形状に合わせることも、発砲体、たとえば、発砲ゴム等を使用することもできる。
本発明で用いる弾性体の表面から、陰イオンを取り除く方法の一つとして、純水などによる洗浄が挙げられる。洗浄により、表面残留陰イオンの総量、すなわち、塩素イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンの総量を、30ng/mm2以下にすることで、緩衝材と転動装置要素表面が接触しても錆が発生せず、転動装置を梱包・輸送することが可能になる。また、緩衝材と転動装置要素表面が接触してもより一層錆の発生を抑制し、転動装置を梱包・輸送することが可能になる。なお、本発明による洗浄時には、洗剤もしくは有機溶剤を併用することもできる。
また、緩衝材として転動装置要素表面に密着しない多孔質緩衝材を用いることで、高温多湿環境下においても緩衝材と転動装置要素表面の間のすきま腐食を防止し、さらに、転動装置要素表面の陰イオン量を30ng/mm2以下にすることで、より一層の腐食防止性を高められる。
また、本発明による洗浄後の弾性体に、清浄な防錆油を含油させた含油ゴムとしても、本発明の目的を奏することはできる。
本発明で用いる防錆油は、ワックス分を含まないものであれば、特に指定はない。基油として、鉱油、エステル油などを用い、公知の酸化防止剤、防錆添加剤を含有させて使用する。
一方で、本発明に用いる弾性体としては、寒冷地用に低温まで弾性を保持する材質とすることもできる。
本発明は、ころ径がφ50mm以上、及び/または内径がφ500mm以上の大型の軸受用として好適に適用される。
以下に示す本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本発明は以下の具体例に制限されるものではない。当業者は、以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を実施することができ、かかる変更は本願特許請求の範囲に包含される。なお、実施例1、3〜16は、必ずしも、特許請求の範囲に記載された発明の具体例ではない。
緩衝材料としては、コーエイゴム社製NBR−710、直径(太さ)3.8mm、内径45mmのOリング状のものを用いた。各実施例1〜6および比較例1〜3は、取り扱い法、洗浄法を変えることにより、表面残留陰イオン量を変化させた。
洗浄には、ブランソン社製超音波洗浄機ブランソニック、純水および超純水は、和光純薬工業より購入した。
表面残留陰イオンの抽出は、10mlの超純水により80℃で2時間行った。抽出物をダイオネクス社製イオンクロマト分析器DX−120および分離カラム IonPacAS12A(4mm)にて測定した。測定方法は、JIS K0127の解説図6と同様の条件で行った。定量は、塩素イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンの4種について行った。測定結果と表面積から、陰イオンの単位体積あたりの量を算出した。
〔錆試験方法1〕
SUJ3ころ(直径50mm、長さ50mm、焼入れ焼き戻しを行った後、表面を超仕上げした)に、溶剤希釈型防錆油を浸漬塗油したのち緩衝材を歪量5%で圧着し、赤道通過要件を想定し、60℃−湿度90%で168時間放置した。試験後の緩衝材接触部表面に円周方向長さ1mm以上の錆が見つかった場合、有りと判断した。実施例1〜6および比較例1〜3の陰イオン量測定結果、およびその錆試験結果を、図4に示す。
図4に示す結果から、緩衝材表面の陰イオン量(塩素イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンの総量)を、30ng/mm2以下にさせた場合、錆の発生は確認されなかった。
緩衝材としては、川上産業製サンペルカL−2000、10mm×10mm×30mm、およびコーエイゴム社製NBR−710の10mm×10mm×30mmのものを用いた。
実施例7〜11、比較例4〜8は取り扱い法、洗浄法を変えることによって表面残留陰イオン量を変化させた。洗浄にはブランソン社製超音波洗浄機ブランソニック、純水、超純水は一般に入手できるものを用いた。表面残留陰イオンの抽出は、10mlの超純水により80℃で2時間行った。抽出物をダイオネクス社製イオンクロマト分析器DX−120および分離カラムIonPacAS12A(4mm)にて測定した。測定結果と表面積から陰イオンの単位体積当たりの量を算出した。比較例8は、緩衝材を変えた場合である。これら実施例7〜11、比較例4〜6、8では防錆油として新日本石油製アンチラストP2810を、比較例7は、高分子量ペトロラタムを10%添加したP2810をそれぞれ浸漬塗油法で使用した。
[錆試験方法2]
SUJ3球面ころ(直径50mm、長さ50mm、焼き入れ焼き戻しを行った後、表面を超仕上げした。)に溶剤希釈型防錆油を浸漬塗油したのち緩衝材を歪量5%で圧着し、赤道通過条件60℃−湿度90%で168時間放置した。試験後の緩衝材接触部表面に1mm以上の錆が見つかった場合、有りと判断した。
上記実施例7〜11と比較例4〜8の陰イオン量測定結果とその錆試験結果を図5に示す。
図5において、緩衝材表面の陰イオン量(塩素イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンの総量)を100ng/mm2以下にした場合、実施例7〜11のように、錆の発生は見られない。
また、緩衝材表面の陰イオンが100ng/mm2であっても、ペトロラタムを含む防錆油を塗油した場合には錆は発生した。
本実施例によれば、緩衝材表面の陰イオン量(塩素イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンの総量)を100ng/mm2以下にすることによって、相手材表面を腐食させない転動装置梱包用緩衝材を提供でき、また、ワックス分を含まない防錆油を組み合わせることで緩衝材と転動装置要素表面の間に油膜を形成させ、さらに、腐食防止性を高めて転動装置を梱包・輸送することが可能になる。
緩衝材としては、コーエイゴム社製NBR−710で直径10mmのものを用いた。
実施例12〜21、比較例9〜15は取り扱い法、洗浄法を変えることによって表面残留陰イオン量を変化させた。洗浄にはブランソン社製超音波洗浄機ブランソニック、純水、超純水は一般に入手できるものを用いた。表面残留陰イオンの抽出は、10mlの超純水により80℃で2時間行った。抽出物をダイオネクス社製イオンクロマト分析器DX−120および分離カラムIonPacAS12A(4mm)にて測定した。測定結果と表面積から陰イオンの単位体積当たりの量を算出した。
緩衝材料として、原料のブタジエン/アクリロニトリル比を90/10〜50/50まで変化させて作成した。ニトリルゴムを直径10mmに成形したものを用いた。これらのゴムのガラス転移点(ガラス転移温度)は、−15℃〜−75℃である。成形後洗浄を行って陰イオンを測定した結果、表面残留陰イオン量すなわち塩素イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンの総量は25〜28ng/mm2であった。
[錆試験方法3]
SUJ3球面ころ(直径50mm、長さ50mm、焼き入れ焼き戻しを行った後、表面を超仕上げした。)に溶剤希釈型防錆油を浸漬塗油したのち緩衝材を歪量5%で圧着し、赤道通過条件60℃−湿度90%で168時間放置した。試験後の緩衝材接触部表面に1mm以上の錆が見つかった場合、有りと判断した。
上記実施例12〜16と比較例9〜11の陰イオン量測定結果とその錆試験結果を図6に示す。
図6において、緩衝材表面の陰イオン量(塩素イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンの総量)を30ng/mm2以下にした場合、錆の発生は見られない。
[錆試験方法4]
SUJ3球面ころ(直径50mm、長さ50mm、焼き入れ焼き戻しを行った後、表面を超仕上げした。)に溶剤希釈型防錆油を浸漬塗油したのち緩衝材を歪量5%で圧着し、赤道通過条件より過酷な80℃−湿度90%で168時間放置した。試験後の緩衝材接触部表面に1mm以上の錆が見つかった場合、有りと判断した。
上記実施例17〜21と比較例12〜15の陰イオン量測定結果とその錆試験結果を図7に示す。
図7において、緩衝材のガラス転移点(ガス転移温度)が−57℃以上の場合、錆の発生は見られなかったが、−29℃以上では柔軟性に乏しく、緩衝材として使用することはできない。
本実施例によれば、緩衝材表面の陰イオン量(塩素イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンの総量)を30ng/mm2以下にすることによって、相手材表面を腐食させない転動装置梱包用緩衝材を提供できる。さらに、緩衝材として、ガラス転移点(ガス転移温度)が−29℃〜−57℃であるニトリルゴムを用いることにより、より一層防錆性能を向上させることができる。
従来技術における、円錐ころ軸受に挿入した緩衝材の状態を示す図である。 緩衝材と金属表面の接触部において腐食が起きるメカニズムを説明するための図である。 緩衝材と金属表面の接触部において腐食が起きる他のメカニズムを説明するための図である。 本発明における実施例および比較例の陰イオン量の測定結果と、その錆試験結果を示す図である。 本発明における実施例および比較例の陰イオン量の測定結果と、その錆試験結果を示す図である。 本発明における実施例および比較例の陰イオン量の測定結果と、その錆試験結果を示す図である。 本発明における実施例および比較例の陰イオン量の測定結果と、その錆試験結果を示す図である。
符号の説明
1…緩衝材、2…ころ、3…外輪、4…保持器、5…内輪、6…梱包材

Claims (3)

  1. 転動装置梱包・輸送用緩衝材であるゴム弾性体表面の塩素、亜硝酸、硝酸、硫酸イオンの総量が30ng/mm2以下であって、前記ゴム弾性体のガラス転移点が−29℃〜−57℃である、転動装置梱包・輸送用緩衝材。
  2. 前記ゴム弾性体が、ニトリルゴムである、請求項に記載の転動装置梱包・輸送用緩衝材。
  3. 前記ゴム弾性体表面には、ワックス分を含まない防錆油が付着している、請求項1または2に記載の転動装置梱包・輸送用緩衝材。
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