JP4976621B2 - Atc地上装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ATC地上装置に関し、特に無絶縁軌道回路への適用に好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
列車自動制御装置(Automatic Train Control system, ATC)では、直列に設定されている複数の軌道区間のそれぞれに対して、ATC地上装置から上限速度信号を出力し、車両側ではこの上限速度信号を受信しその上限速度に達した場合に列車の制動装置を作動させることで、列車の速度が上限速度を下回るように制御している。
【0003】
そしてATC地上装置は、複数の編成の列車が同じ軌道を連続して通行する場合につき、先行列車が存在する軌道区間(以下適宜第1軌道区間という)に対して外方側に隣接する軌道区間(以下適宜第2軌道区間という)に対しては非常停止信号を出力し、この第2軌道区間に対して外方側に隣接する軌道区間(以下適宜第3軌道区間という)に対しては、通常停止信号を出力するように設定されている。このように設定されている理由は、先行列車が存在する第1軌道区間に隣接している第2軌道区間に後行列車が進入する場合には、その外方である第3軌道区間への進入の場合に比して、後行列車を制動する必要性が高いからである。
【0004】
なお、従来のATC地上装置の構成は図5に示すとおりであり、出力されるATC信号の種類を選択する主回路133a、列車を検知する踏み込み検知回路133c、踏み込み検知を条件にATC信号の送信を許可する送信許可回路133dを備えている。主回路133aでは、ある軌道区間Bに対して出力されるATC信号として、先行列車がない場合には上限速度75km/hを示す「B75」が選択されるが、先行列車が他の軌道区間Eに存在(軌道リレーETRが落下)している場合には上限速度40km/hを示す「B40」が選択される。また、先行列車が他の軌道区間Dに存在(軌道リレーDTRが落下)している場合には通常停止信号である「B01」が選択され、先行列車が他の軌道区間Cに存在(軌道リレーCTRが落下)している場合には非常停止信号である「B02」が選択される。この非常停止信号である「B02」には、無信号状態が適用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
他方、列車に搭載されたATC車上装置は、非常停止信号を受信した場合には空気制動管の吐出弁を制御してこれを開放させ、また通常停止信号を受けた場合には、列車の制動装置を制御して制動動作を行わせるように設定されている。したがって、列車が通常停止信号を受けた場合には、その通常停止信号が解除されれば直ちに運転を再開できるが、非常停止信号を受けた場合には、その非常停止信号が解除された場合に運転を再開するには、複雑な復帰操作と、駅務室との交信による安全確認を行う必要がある。
【0006】
ところが、無絶縁軌道回路の場合、これを構成するそれぞれの軌道区間同士の境界点の近傍では、列車が存在する軌道区間に対して内方側に隣接する他方の軌道区間によって、列車が検出されてしまう場合がある。
【0007】
例えば、図4に示すように、いま、時点8における軌道区間D(第1軌道区間)に先行列車が存在する場合には、ATC地上装置の上述の設定に従い、その外方側に隣接する軌道区間C(第2軌道区間)に対しては非常停止信号「02」が、また更に外方側に隣接する軌道区間B(第3軌道区間)に対しては通常停止信号「01」が、それぞれ出力される。この状態において、後行列車は軌道区間Bで通常停止信号「01」を受けて停止するが(時点9)、この停止位置が、軌道区間Bと軌道区間Cとの境界点の近傍(例えば境界点から15mだけ外方側)である場合には、この後行列車がまだ軌道区間Cに進入していないにもかかわらず、軌道区間Cに設けられた列車検出器によって当該後行列車が検出されてしまう。すると軌道区間Bに対しては、軌道区間Cに列車が存在する場合にその隣接する外方の軌道区間に対して与えられるべき信号、すなわち非常停止信号「02」が出力される。その結果、当該列車では上述のATC車上装置の設定に従って空気制動管の吐出弁が開放されてしまい、複雑な復帰操作と、駅務室との交信による安全確認を行う必要が生ずることになる。
【0008】
この現象を回避するには列車の運転間隔を長くすればよいが、それでは輸送能力を低下させてしまう。また、通常停止信号「01」を受信した場合の停止位置が軌道区間C,Dの境界点に対して十分に外方側になるように軌道区間Bの長さを設定する方法もあるが、軌道区間の長尺化と設計上の自由度の低下を招いていた。
【0009】
そこで本発明の目的は、軌道区間の境界の近傍における列車の誤検出の影響を抑制することにより、運行の円滑化・運行ダイヤの高密度化を実現することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、内方側から外方側に向け第1軌道区間、第2軌道区間および第3軌道区間が順に設定されている無絶縁軌道回路に対し、上限速度信号・通常停止信号・非常停止信号のいずれかを出力する制御手段を備えたATC地上装置であって、前記制御手段は、軌道区間毎に設けられた軌道リレー、及び前記第3軌道に通常停止信号が与えられている場合にその出力を保持するメモリリレーを有する主回路と、選択されている信号が通常停止信号である場合に打ち上する第1の検知リレー、及びメモリ指示信号を検出した場合に打ち上する第2の検知リレーを有するメモリ回路と、非常停止信号を抑制する第3の検知リレーを有して送信許可信号を出力する踏み込み検知回路と、前記送信許可信号の出力を受けて打ち上する許可リレーを有する送信許可回路とを備え、前記第1軌道区間に先行列車が存在し、かつ前記第3軌道区間に後行列車が存在する場合には、前記主回路は通常停止信号を選択し、メモリ回路は、第1の検知リレーが主回路による通常停止信号の選択により打ち上して信号保持指令を出力し、メモリ回路の第2の検知リレーが前記信号保持指令を受けて自己保持動作を行い、前記主回路は、前記信号保持指令により前記メモリリレーが打ち上することで、後行列車が第2軌道区間に進入していないにもかかわらず第2軌道区間の軌道リレーが落ちることのないように、前記第3軌道区間に与えられている通常停止信号の出力を保持し、前記踏み込み検知回路は、第2軌道区間の軌道リレーが誤って落下した場合であっても、第3の検知リレーが打ち上していることで前記送信許可信号を引き続き出力し、前記第2軌道区間による前記後行列車の検出に基づく非常停止信号を、前記第3軌道区間に対して出力しないことを特徴とするATC地上装置である。
【0011】
第1の本発明では、制御手段は、第1軌道区間に先行列車が存在し、かつ第3軌道区間に後行列車が存在する場合には、第2軌道区間による後行列車の検出に基づく非常停止信号を、第3軌道区間に対して出力しない。したがって第1の本発明では、軌道区間の境界の近傍における列車の誤検出、とくに後行列車が第3軌道区間に存在するにもかかわらず第2軌道区間によって検出される事態が生じた場合にも、その後行列車の運行への影響を抑制でき、運行の円滑化・運行ダイヤの高密度化を実現できる。
【0016】
第2の本発明は、第1の本発明のATC地上装置であって、前記制御手段は、前記第1軌道区間に先行列車が存在しなくなった場合に、前記通常停止信号の出力の保持を解除することを特徴とするATC地上装置である。
【0017】
第2の本発明では、第1軌道区間に先行列車が存在しなくなった場合に、通常停止信号の出力の保持を解除することとしたので、簡易な構成により上記各効果を実現でき好適である。
【0018】
第3の本発明は、内方側から外方側に向け第1軌道区間、第2軌道区間および第3軌道区間が順に設定されている無絶縁軌道回路に対し、上限速度信号・通常停止信号・非常停止信号のいずれかを出力する制御をコンピュータに行わせるための信号制御プログラムを記録した記録媒体であって、前記信号制御プログラムは軌道区間毎に設けられた軌道リレー、及び前記第3軌道に通常停止信号が与えられている場合にその出力を保持するメモリリレーを有する主回路と、選択されている信号が通常停止信号である場合に打ち上する第1の検知リレー、及びメモリ指示信号を検出した場合に打ち上する第2の検知リレーを有するメモリ回路と、非常停止信号を抑制する第3の検知リレーを有して送信許可信号を出力する踏み込み検知回路と、前記送信許可信号の出力を受けて打ち上する許可リレーを有する送信許可回路とに関する制御プログラムを備え、前記コンピュータに、前記第1軌道区間に先行列車が存在し、かつ前記第3軌道区間に後行列車が存在する場合には、前記主回路は通常停止信号を選択し、メモリ回路は、第1の検知リレーが主回路による通常停止信号の選択により打ち上して信号保持指令を出力し、メモリ回路の第2の検知リレーが前記信号保持指令を受けて自己保持動作を行い、前記主回路は、前記信号保持指令により前記メモリリレーが打ち上することで、後行列車が第2軌道区間に進入していないにもかかわらず第2軌道区間の軌道リレーが落ちることのないように、前記第3軌道区間に与えられている通常停止信号の出力を保持させ、前記踏み込み検知回路は、第2軌道区間の軌道リレーが誤って落下した場合であっても、第3の検知リレーが打ち上していることで前記送信許可信号を引き続き出力し、前記第2軌道区間による前記後行列車の検出に基づく非常停止信号を、前記第3軌道区間に対して出力させないことを特徴とする信号制御プログラムを記録した記録媒体である。第3の本発明では、第1および第2の本発明の効果を実現するための有用な手段を、コンピュータプログラムを記録した記録媒体として提供できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施形態について、以下に図面を参照しながら説明する。図1において、本発明の実施形態に係る無絶縁軌道回路21は、非共振式の無絶縁軌道回路であって、進行方向である図中右側を内方とし、図中左側を外方としている。無絶縁軌道回路21には、軌道区間A,B,C,D,E,F,G(図中「軌道A」等と表示している)が外方側から順に設定されている。
【0020】
これら軌道区間AないしGには、それぞれATC/TD地上装置30が接続されている。これを、軌道区間Bに接続されたATC/TD地上装置30を例として説明すると、軌道区間Bの外方側端部の近傍にはTD(列車検知装置)受信器31が接続され、また、軌道区間Bの内方側端部の近傍には、TD送信器32およびATC送信器33が分岐して接続されている。なお、他の軌道区間A,C,D,E,F,Gにも、同様のATC/TD地上装置30が接続されているが、その機械的構成は軌道区間Bに接続されているものと同様である。
【0021】
ATC送信器33は、図3に示されるとおり、出力されるATC信号の種類を選択する主回路33a、列車を検知する踏み込み検知回路33c、および踏み込み検知を条件にATC信号の送信を許可する送信許可回路33dを含んでいるが、特に本実施形態では、軌道区間Bに与えられている通常停止信号の出力を後述する条件下で保持するためのメモリ回路33bを備えている。
【0022】
主回路33aは、軌道区間Cについて設けられた軌道リレーCTR、軌道区間Dについて設けられた軌道リレーDTR、および軌道区間Eについて設けられた軌道リレーETRを備えている点で上記従来例における主回路133aと同様であるが、特に、軌道区間Bに与えられている通常停止信号の出力を保持するためのメモリリレー41を備えている。
【0023】
メモリ回路33bは、軌道区間Bについて設けられた軌道リレーBTR、軌道区間Dについて設けられた軌道リレーDTRを備えているほか、選択されている信号が通常停止信号B01である場合に扛上する検知リレー42、および後述するメモリ指示信号を検出した場合に扛上する検知リレー43を備えている。
【0024】
踏み込み検知回路33cは、軌道リレーBTR,CTRを備えている点で上記従来例における踏み込み検知回路133cと同様であるが、特に、非常停止信号を抑制するための検知リレー44を備えている。
【0025】
送信許可回路33dは、踏み込み検知回路33cの出力に応じて扛上する許可リレー45、および非励磁接点に接続された抵抗器からなる室内ダミー46を備えており、上記従来例における送信許可回路133dと同様の構成である。
【0026】
本実施形態に係る各列車T,T1,T2は、いずれも上記従来例におけるものと同様のATC車上装置を搭載しており、このATC車上装置は、非常停止信号を受信した場合には空気制動管の吐出弁を制御してこれを開放させ、また通常停止信号を受けた場合には、列車の制動装置を制御して制動動作を行わせるように設定されている。
【0027】
次に、本実施形態の動作について、図2に従って説明する。図2は、軌道回路BについてのATC送信器33において、主回路33aによって選択されるATC信号を示しており、同図における左端列の数字1ないし11は、それぞれ時点(タイミング)を示している。
【0028】
まず、時点1ないし時点7で示される通常の走行の場合、すなわち1編成の列車Tのみが軌道回路を通過する場合の動作について説明する。
【0029】
時点1ないし時点3においては、軌道区間CないしEのいずれにも列車Tが存在していないため、主回路33aにおける軌道リレーCTR,DTR,ETRは全て扛上しており、したがって主回路33aでは、上限速度75km/hを示すATC信号「B75」(以下、上限速度信号B75という)が選択され、列車Tは当該上限速度に近い通常の走行速度で軌道区間Bを通過する。
【0030】
時点4ないし時点6においては、列車Tが軌道区間C,D,Eをこの順で通過するため、主回路33aにおける軌道リレーCTR,DTR,ETRが順次に落下し、これにより主回路33aでは、非常停止信号を示すATC信号「02」(以下、非常停止信号B02という)、通常停止信号を示すATC信号「01」(以下、通常停止信号B01という)、および上限速度40km/hを示すATC信号「B40」(以下、上限速度信号B40という)が、この順に選択される。時点7では軌道リレーCTR,DTR,ETRは全て扛上しており、主回路33aでは上限速度信号B75が選択される。なお、時点4ないし時点6では後行列車が進入していないため、踏み込み検知回路33cおよび送信許可回路33dが動作せず、したがって選択されたこれらの信号は、軌道区間Bには出力されない。
【0031】
次に、時点8ないし時点11で示される場合、すなわち2編成の列車T1,T2(以下それぞれ、先行列車T1、および後行列車T2という)が存在する場合の動作について説明する。
【0032】
時点8において、いま、軌道区間Bに後行列車T2が、また軌道区間Dに先行列車T1が存在する場合、主回路33aの軌道リレーDTRが先行列車T1を検出して落下する一方、軌道リレーCTRが扛上しているため、主回路33aでは通常停止信号B01が選択される。
【0033】
他方、主回路33aによる通常停止信号B01の選択を受けて、メモリ回路33bの検知リレー43が扛上し、これにより信号保持指令B01Sが出力される。なお、この信号保持指令B01Sを受けて、メモリ回路33bの検知リレー43が自己保持動作を行う。
【0034】
この信号保持指令B01Sにより、主回路33aのメモリリレー41が扛上する。なお、この時点では、メモリリレー41は信号伝達系路とはされていない。
【0035】
また踏み込み検知回路33cでは、軌道リレーBTRの落下と、主回路33aに選択されている通常停止信号B01を受けた検知リレー44の落下とにより、送信許可信号BSRが出力される。これにより送信許可回路33dの許可リレー45が接続状態になり、この時点で主回路33aに選択されている通常停止信号B01が、軌道区間Bに出力される。その結果、後行列車T2では、車上装置によって後行列車T2の制動装置が制御され、制動動作が行われる。
【0036】
次に時点9では、後行列車T2が通常停止信号B01に従って減速しながら、軌道区間Bにおける軌道区間Cとの境界点の近傍であってその外方側(例えば、境界点から15mだけ外方側)の地点に到達すると、軌道区間C(第2軌道区間)による後行列車T2の検出が行われてしまう事態、すなわち、後行列車T2が軌道区間Cに進入していないにもかかわらず、軌道リレーCTRが誤って落下してしまう事態が生ずる。
【0037】
しかしながら本実施形態では、このとき主回路33cのメモリリレー41が上述のとおり扛上しているため、主回路33aにおける電力は軌道リレーCTR、メモリリレー41および軌道リレーDTRを順に経由し、このため主回路33aでは、通常停止信号B01が、引き続き選択される。
【0038】
他方、踏み込み検知回路33cでは、軌道リレーCTRが落下するが、ここでは検知リレー44が上述のとおり扛上しているため、送信許可信号BSRが引き続き出力される。したがって、この時点においてもなお、通常停止信号B01が、軌道区間Bに引き続いて出力される。
【0039】
時点10においては、先行列車T1が軌道区間Dから軌道区間Eに移動すると、これに応じてメモリ回路33bでは軌道リレーDTRが落下し断状態となるため、信号保持指令B01Sが解除される。また、主回路33aのメモリリレー41が落下し、これにより、通常停止信号B01の選択が終了し、非常停止信号02が選択される。
【0040】
なお、このとき踏み込み検知回路33cでは、B01の選択の終了に伴う検知リレー44の落下により、送信許可信号BSRが送信されなくなり、これを受けて送信許可回路の許可リレー45が室内ダミー44側に落下する。したがって、軌道回路BについてのATC送信器33からの出力は無信号状態になる。
【0041】
しかしながら、このとき軌道区間CについてのATC送信器(図示せず)における出力信号が、通常停止信号である「C01」(以下、通常停止信号C01という)とされており、かつ後行列車T2が上述のとおり軌道区間Bにおける軌道区間Cとの境界点の近傍であってその外方側の地点に存在するため、後行列車T2における車上装置はこの通常停止信号C01に従って、後行列車T2を通常停止状態に制御する。したがって後行列車T2では、非常停止状態の制御は行われず、空気制動管の吐出弁が開放されてしまう事態が回避される。
【0042】
同様に時点11では、後行列車T2は、軌道区間Cについて与えられる上限速度40km/hを示す信号「C40」を受信し、これに従って運転を再開し、その上限速度40km/hを下回る速度で走行する。
【0043】
以上のとおり本実施形態では、ATC送信器33は、時点9において、第1軌道区間(軌道区間D)に先行列車T1が存在し、かつ第3軌道区間(軌道区間B)に後行列車T2が存在する場合には、第3軌道区間(軌道区間B)の主回路33aのメモリリレー41が扛上しているため、主回路33aにおける電力は軌道リレーCTR、メモリリレー41および軌道リレーDTRを順に経由し、このため主回路33aでは、通常停止信号B01が、引き続き選択される。このように、第2軌道区間(軌道区間C)の軌道回路による後行列車T2の検出に基づく非常停止信号B02を、第3軌道区間(軌道区間B)に対して出力しない。したがって本実施形態では、軌道区間の境界の近傍における列車の誤検出、とくに後行列車T2が第3軌道区間(軌道区間B)に存在するにもかかわらず第2軌道区間(軌道区間C)によって検出される事態が生じた場合にも、その後行列車T2の運行への影響を抑制でき、運行の円滑化・運行ダイヤの高密度化を実現できる。
【0044】
また本実施形態では、ATC送信器33が、第1軌道区間(軌道区間D)に先行列車T1が存在し、かつ第3軌道区間(軌道区間B)に後行列車T2が進入したことを条件に、第3軌道区間(軌道区間B)に対し通常停止信号B01を出力することとしたので、上記誤検出が生じた場合に第3軌道区間(軌道区間B)に代用の信号としての通常停止信号B01が出力され、後行列車T2の運転再開をスムーズに行うことができる。
【0045】
また本実施形態では、第1軌道区間(軌道区間D)に先行列車T1が存在し、かつ第3軌道区間(軌道区間B)に後行列車T2が進入したことを条件に、踏み込み検知回路33cでは、軌道リレーCTRが落下するが、ここでは検知リレー44が扛上しているため、送信許可信号BSRが引き続き出力されるので、この時点においてもなお、通常停止信号B01が、軌道区間Bに引き続いて出力される。従って、その時点で第3軌道区間(軌道区間B)に与えられている通常停止信号B01の出力を保持することとしたので、保持動作のみにより上記効果を実現でき好適である。
【0046】
また本実施形態では、第1軌道区間(軌道区間D)に先行列車T1が存在しなくなった場合に、先行列車T1が軌道区間Dから軌道区間Eに移動すると、これに応じてメモリ回路33bでは軌道リレーDTRが落下し遮断状態となるため、信号保持指令B01Sが解除される。また、主回路33aのメモリリレー41が落下し、これにより、通常停止信号B01の選択が終了し、非常停止信号02が選択される。このように、通常停止信号B01の出力の保持を解除することとしたので、簡易な構成により上記効果を実現でき好適である。
【0047】
また本実施形態では、非常停止信号B02を無信号状態に設定しているので、時点10,11において後行列車T2が軌道区間Bにおける軌道区間Cとの境界点の近傍であってその外方側の地点に存在する場合に、第2軌道区間(軌道区間C)に対する信号を利用して運転を続行でき好適である。
【0048】
なお、上記実施形態では、電磁リレー装置を利用した回路構成により本発明を実施した例について説明したが、本発明は例えば、周知のサーバコンピュータおよびこれにインストールされたコンピュータプログラムにより同様の論理を実現する構成によっても実施することができ、かかる構成も本発明の範疇に属するものである。
【0049】
また、そのようなコンピュータプログラムは、これをCD−ROMなどの公知の記録媒体に記録してもよい。すなわち同プログラムは、内方側から外方側に向け第1軌道区間、第2軌道区間および第3軌道区間が順に設定されている無絶縁軌道回路に対し、上限速度信号・通常停止信号・非常停止信号のいずれかを出力する制御をコンピュータに行わせるための信号制御プログラムを記録した記録媒体であって、前記信号制御プログラムは前記コンピュータに、前記第1軌道区間に先行列車が存在し、かつ前記第3軌道区間に後行列車が存在する場合には、前記第2軌道区間による前記後行列車の検出に基づく非常停止信号を、前記第3軌道区間に対して出力させないことを特徴とする信号制御プログラムを記録した記録媒体として取引でき、本発明の効果を実現するための有用な手段として用いることができる。
【0050】
また、上記実施形態では、本発明を非共振式の無絶縁軌道回路21について適用した例について説明したが、本発明は共振式の無絶縁軌道回路に適用することも可能である。また、本発明は鉄道だけでなく、モノレールなどの他の軌道系輸送機関についても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】 実施形態における信号現示展開図である。
【図3】 軌道区間Bに係る現示構成結線図である。
【図4】 従来例における信号現示展開図である。
【図5】 従来例における現示構成結線図である。
【符号の説明】
21 無絶縁軌道回路、30 ATC/TD地上装置、33 ATC送信器、33a,133a 主回路、33b メモリ回路、33c,133c 踏み込み検知回路、33d,133d 送信許可回路、A,B,C,D,E,F,G 軌道区間、T1 先行列車、T2 後行列車。
Claims (3)
- 内方側から外方側に向け第1軌道区間、第2軌道区間および第3軌道区間が順に設定されている無絶縁軌道回路に対し、上限速度信号・通常停止信号・非常停止信号のいずれかを出力する制御手段を備えたATC地上装置であって、
前記制御手段は、軌道区間毎に設けられた軌道リレー、及び前記第3軌道に通常停止信号が与えられている場合にその出力を保持するメモリリレーを有する主回路と、選択されている信号が通常停止信号である場合に打ち上する第1の検知リレー、及びメモリ指示信号を検出した場合に打ち上する第2の検知リレーを有するメモリ回路と、非常停止信号を抑制する第3の検知リレーを有して送信許可信号を出力する踏み込み検知回路と、前記送信許可信号の出力を受けて打ち上する許可リレーを有する送信許可回路とを備え、
前記第1軌道区間に先行列車が存在し、かつ前記第3軌道区間に後行列車が存在する場合には、前記主回路は通常停止信号を選択し、メモリ回路は、第1の検知リレーが主回路による通常停止信号の選択により打ち上して信号保持指令を出力し、メモリ回路の第2の検知リレーが前記信号保持指令を受けて自己保持動作を行い、前記主回路は、前記信号保持指令により前記メモリリレーが打ち上することで、後行列車が第2軌道区間に進入していないにもかかわらず第2軌道区間の軌道リレーが落ちることのないように、前記第3軌道区間に与えられている通常停止信号の出力を保持し、
前記踏み込み検知回路は、第2軌道区間の軌道リレーが誤って落下した場合であっても、第3の検知リレーが打ち上していることで前記送信許可信号を引き続き出力し、前記第2軌道区間による前記後行列車の検出に基づく非常停止信号を、前記第3軌道区間に対して出力しないことを特徴とするATC地上装置。 - 請求項1に記載のATC地上装置であって、前記制御手段は、前記第1軌道区間に先行列車が存在しなくなった場合に、前記通常停止信号の出力の保持を解除することを特徴とするATC地上装置。
- 内方側から外方側に向け第1軌道区間、第2軌道区間および第3軌道区間が順に設定されている無絶縁軌道回路に対し、上限速度信号・通常停止信号・非常停止信号のいずれかを出力する制御をコンピュータに行わせるための信号制御プログラムを記録した記録媒体であって、
前記信号制御プログラムは軌道区間毎に設けられた軌道リレー、及び前記第3軌道に通常停止信号が与えられている場合にその出力を保持するメモリリレーを有する主回路と、選択されている信号が通常停止信号である場合に打ち上する第1の検知リレー、及びメモリ指示信号を検出した場合に打ち上する第2の検知リレーを有するメモリ回路と、非常停止信号を抑制する第3の検知リレーを有して送信許可信号を出力する踏み込み検知回路と、前記送信許可信号の出力を受けて打ち上する許可リレーを有する送信許可回路とに関する制御プログラムを備え、
前記コンピュータに、前記第1軌道区間に先行列車が存在し、かつ前記第3軌道区間に後行列車が存在する場合には、前記主回路は通常停止信号を選択し、メモリ回路は、第1の検知リレーが主回路による通常停止信号の選択により打ち上して信号保持指令を出力し、メモリ回路の第2の検知リレーが前記信号保持指令を受けて自己保持動作を行い、前記主回路は、前記信号保持指令により前記メモリリレーが打ち上することで、後行列車が第2軌道区間に進入していないにもかかわらず第2軌道区間の軌道リレーが落ちることのないように、前記第3軌道区間に与えられている通常停止信号の出力を保持させ、
前記踏み込み検知回路は、第2軌道区間の軌道リレーが誤って落下した場合であっても、第3の検知リレーが打ち上していることで前記送信許可信号を引き続き出力し、前記第2軌道区間による前記後行列車の検出に基づく非常停止信号を、前記第3軌道区間に対して出力させないことを特徴とする信号制御プログラムを記録した記録媒体。
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