JP4975588B2 - 樹脂中空管の製造方法 - Google Patents

樹脂中空管の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4975588B2
JP4975588B2 JP2007288624A JP2007288624A JP4975588B2 JP 4975588 B2 JP4975588 B2 JP 4975588B2 JP 2007288624 A JP2007288624 A JP 2007288624A JP 2007288624 A JP2007288624 A JP 2007288624A JP 4975588 B2 JP4975588 B2 JP 4975588B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
strand
take
hollow tube
resin
infrared
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007288624A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009113324A (ja
Inventor
豊 大越
敏文 伊香賀
結子 関口
智也 又吉
暁直 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Shinshu University NUC
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Shinshu University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc, Shinshu University NUC filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2007288624A priority Critical patent/JP4975588B2/ja
Publication of JP2009113324A publication Critical patent/JP2009113324A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4975588B2 publication Critical patent/JP4975588B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Description

本発明は、樹脂中空管の製造方法に関する。
熱可塑性樹脂から形成される樹脂中空管は、例えば医療用チューブ、光ファイバのクラッド材やコア材形成用の中空管として用いられている。
従来より、光ファイバのコア形成用の中空管、光ファイバのクラッド中空管、医療用チューブ等の中空管は、管の寸法精度として、高い真円度のほか、管内壁の平滑性が要求されている。
これらの中空管は、一般に溶融押出法で製造されており、マンドレル(芯線)を用いる方法と用いない方法とが知られている。
溶融押出法で製造する方法は、マンドレル(芯線)を用いるか否かに関わらず、管状の口金部を有するダイから溶融した樹脂を押出すことにより製造するため、押出機内部での樹脂の滞留時間が長いほど、熱分解生成物やゲル化物などの滞留劣化物が生成し易いといった問題がある。
また、マンドレル(芯線)を用いずに押出機により中空管を製造する場合には中空管内壁は管状の口金と接触した状態から押出されるため、連続押出でのロングランの際に、口金部に滞留劣化物や異物が堆積し易くなる。その結果中空管内壁に汚染物が付着したり、流れ方向に筋が発生し易くなり、中空管内壁表面の平滑性を損ない易いといった問題がある。
さらに、中空管の肉厚を薄くする場合には、中空管の肉厚に対応する口金の開口部の幅を狭くして、溶融樹脂の温度を上げて粘度を下げれば押出可能となるが、樹脂が熱劣化し易くなり、かつ冷却時間が長くなる。特に結晶性樹脂の場合、冷却時間が長いと、冷却中に結晶化が進み、中空管の平滑性の悪化を招くといった問題がある。
一方、マンドレルを用いる押出成形法は、例えば、マンドレルを押出成形機に供給してポリマーを被覆し、所定の長さに切断して、両端の口出し後、マンドレルを引き抜いて、中空管を得る方法である。しかしながら、マンドレルから中空管を引き抜くため、長尺の中空管の製造は困難である。またマンドレルから中空管を引き抜く際に中空管が変形して残留歪みを生じたり、中空管内壁が傷ついたりする問題がある。さらに中空管内壁にマンドレル表面から脱離した金属や潤滑剤の一部が移行し、汚染物となるといった問題があった。
上記製造方法によって得られる樹脂中空管は、特に光ファイバや医療用チューブ等の用途での中空管の品質信頼性、安全性を確保する上では問題があった。
これらの問題を解決するための様々な方法が従来提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
上記特許文献1に記載の方法は、押出成形の際の冷却温度をコントロールすることにより、樹脂の球晶を制御する方法であった。また、特許文献2に記載の方法は、原料の樹脂として結晶性ポリマーと、非晶性ポリマーとを混合して用いる方法であった。
しかしながらこれらの方法は共に樹脂の結晶化を制御するための方法であり、これらの方法では、上述の押出成形法自体に由来する問題(例えば滞留劣化物の生成し易いといっ
た問題、マンドルを用いない場合には中空管内壁に汚染物が付着したり、流れ方向に筋が発生し易くなり、中空管内壁表面の平滑性を損ない易い問題、マンドルを用いる場合には、マンドレルから中空管を引き抜く際に中空管が変形して残留歪みを生じたり、中空管内壁が傷ついたりする問題や、中空管内壁にマンドレル表面から脱離した金属や潤滑剤の一部が移行し、汚染物となるといった問題)を解決するための手段としては、不充分であり、いまだ改善の余地があった。
特開2004−249606号公報 特開2005−258297号公報
本発明は、上記押出成形法自体に由来する様々な問題を生じない樹脂中空管の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討を行った結果、押出成形法によらない樹脂中空管の製造方法を見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明の樹脂中空管の製造方法は、ストランド供給部、引取り部、および供給部と引取り部との間に配置した赤外線集光加熱部を有する加熱延伸装置内で、
熱可塑性樹脂からなるストランドを、該熱可塑性樹脂に吸収される波長を含む赤外線を該ストランドに向けて複数方向から集光することにより、該ストランドの延伸方向の中心部の粘度が、外周部の粘度よりも低くなるように加熱しながら延伸することにより、該ストランドの延伸方向に中空部を連続的に形成する工程Yを有する。
前記工程Yにおいて、ストランドの延伸方向の中心部の温度が、外周部の温度よりも高くなるように加熱しながら延伸することが好ましい。
本発明の樹脂中空管の製造方法は、熱可塑性樹脂からなるストランドを、流動延伸状態となるように加熱しながら延伸する工程Xと、
前記工程Xの加熱および/または延伸条件を変化させることにより、該ストランドへの赤外線入熱量を低下させ、かつ引取張力を増加させることにより行われる前記工程Yとを有することが好ましい。
前記工程Yにおいて、前記赤外線が単色光であって、該単色光における前記熱可塑性樹脂の吸収係数K(m-1)と、加熱前の前記ストランドの直径D(m)とが、下記式(1)の関係を満たし、かつ直径Dが0.5×10-3m以上であることが好ましい。
0.1<K・D<2.6 ・・・(1)
前記工程Xにおけるストランド供給速度をVf1、集光強度をI1、引取速度をVt1としたとき、
工程Yにおけるストランド供給速度がVf1、集光強度がI1であり、引取速度がVt1より速いVt2であることが好ましい。
前記赤外線が、炭酸ガスレーザーから照射される赤外線であり、
前記熱可塑性樹脂からなるストランドの材質がポリエチレンであることが好ましい。
本発明の樹脂中空管の製造方法は、従来の押出成形法と異なり、熱可塑性樹脂のストランドを特定の条件で延伸することにより、中空化の際、中空部を非接触状態で形成することができるため、押出成形法で中空管を製造した場合の様々な欠点を解消することがでる。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明の樹脂中空管の製造方法は、ストランド供給部、引取り部、および供給部と引取り部との間に配置した赤外線集光加熱部を有する加熱延伸装置内で、熱可塑性樹脂からなるストランドを、該熱可塑性樹脂に吸収される波長を含む赤外線を該ストランドに向けて複数方向から集光することにより、該ストランドの延伸方向の中心部の粘度が、外周部の粘度よりも低くなるように加熱しながら延伸することにより、該ストランドの延伸方向に中空部を連続的に形成する工程Yを有することを特徴とする。
前記工程Yは、ストランドを加熱しながら延伸することにより、該ストランドの延伸方向に中空部を連続的に形成するが、中空部を形成するためには、ストランドの延伸方向の中空部の粘度が、外周部の粘度よりも低くなるように加熱しながら延伸することが必要である。
すなわち、赤外線をストランドに向けて複数方向から集光し加熱したとしても、該ストランドの延伸方向の中心部の粘度が、外周部の粘度よりも高くなるような場合、樹脂中空管を得ることは困難である。
なお、本発明において特に断りがない限り、単に「製造方法」と記す場合には、「本発明の樹脂中空管の製造方法」を示し、「ストランド」と記す場合には「熱可塑性樹脂からなるストランド」を示す。
また、本発明における流動延伸状態とは、ストランドの外周部温度が、熱可塑性樹脂の溶融温度以上の状態で延伸されていることを意味する。流動延伸状態においては、通常は、延伸速度を増加しても、それに追従した延伸応力の増加はほとんど認められず、ストランドが赤外線集光領域でネック状にならずに細化することで確認できる。赤外線集光領域を通過直後のストランド外周部温度は赤外線放射温度計を用いて計測することができる。
本発明の製造方法には、ストランド供給部、引取り部、および供給部と引取り部との間に配置した赤外線集光加熱部を有する加熱延伸装置を用いる。
本発明に用いる加熱延伸装置の概略図の一例を図1に示し、以下本発明の製造方法を図1と共に示す。
ストランド供給部(A)としては、本発明に用いる熱可塑性樹脂組成物からなるストランドを、赤外線集光加熱部に向かって供給することができればよい。ストランド供給部(A)としては、例えば予め準備した熱可塑性樹脂からなるストランドを送り出すための送出ローラー、熱可塑性樹脂からなるストランドを押出成形法によって製造するための押出成形装置、および紡糸装置等が挙げられる。なお、本発明において、送出ローラーによって、ストランドを送り出す速度(送出速度)や、ストランドを製造して送り出す際の速度を、総称してストランド供給速度という。
引取り部(3)としては、上記ストランド供給部(A)から供給され、赤外線集光加熱部で加熱された熱可塑性樹脂からなるストランドを引き取ることができれば良く、例えば引取ローラー等が挙げられる。また、加熱延伸手段を有する装置の別の態様としては引取ローラーに変えて、熱可塑性樹脂からなるストランドを把持し延伸する態様が挙げられる。なお、本発明において、引取ローラー等の引取り部(3)によってストランドを引き取る速度を引取速度という。
なお、本発明における引取張力は、巻取部と引取り部の間にあるストランドに作用する
張力を意味する。引取張力は、引取り部にテンションコントローラーを設けること等により調整することができる。
図1に示す加熱延伸装置等においては、上記引取速度と供給速度の比(引取速度/供給速度)が延伸倍率となり、供給速度や、引取速度を調整することにより、延伸倍率や引取張力を変化させることができる。なお、安定した樹脂中空管の製造のためには、供給速度を一定とし、引取速度を変化させることにより延伸倍率や引取張力を変えることが好ましい。
赤外線集光加熱部(2)としては、複数方向すなわち二方向以上からストランドに向けて赤外線を集光させることができれば特に限定はない。赤外線集光加熱部(2)としては、通常は、赤外線を発生する光源と、光源から照射される赤外線を、二方向以上からストランドに向けて集光させるための光学系とを有する。この光源の波長は0.8〜12μmが好ましい。
赤外線を発生する光源としては、例えば、レーザー、発光ダイオード、赤外輻射ヒーター(以下、赤外ヒーターと略称する)を用いることができる。とくにレーザーは単色光源として好適に用いることができる。
光源がレーザーである場合、レーザーの種類としては、固体レーザー、半導体レーザー、ファイバレーザー、ディスクレーザー、気体レーザー、色素レーザー、及び化学レーザーのいずれを用いてもよい。
例えば、固体レーザーとしては、光源波長が0.94〜1.4μmの範囲にあるNd(ネオジウム)がドープされたYAGレーザー(以下、Nd:YAGレーザーと称する)、光源波長が1.8〜3.0μmの範囲にあるHo(ホルミウム)、Tm(ツリウム)、及びEr(エルビウム)をドープしたYAGレーザー、ErとCr(クロム)がドープされたY(イットリウム)、Sc(スカンジウム)、Ga(ガリウム)、Garnet(ガーネット)結晶を用いたEr,Cr:YSGGレーザー(光源波長2.78〜2.79μm)、Cr、Ho、TmがドープされたY、Sc、Ga、Garnet結晶を用いたCr,Ho,Tm:YSGGレーザー(光源波長2.09μm)が挙げられる。
例えば、半導体レーザーとしては、光源波長が0.8〜1.0μmの範囲にある半導体レーザーが挙げられる。
ファイバレーザーとしては、例えば、Yb(イッテルビウム)ファイバーレーザー、Tmファイバーレーザー、Hoファイバーレーザー、Erファイバーレーザーなどが挙げられる。また、例えば気体レーザーとしては、一酸化炭素レーザー(COレーザー、光源波長5〜6μm)、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー、光源波長9〜11μm)が挙げられ
る。
また、その他のレーザーとしては量子カスケードレーザー(光源波長4.7μm、5.7μm)、光パラメトリック共振器からなるレーザーを用いてもよい。
熱可塑性樹脂組成物からなるストランドの材質が、非フッ素系熱可塑性樹脂からなる場合には、発振波長が1.8〜3.0μmの範囲にあるHo、Tm、及びEr等をドープしたYAGレーザー、CO2レーザー、ファイバーレーザー等を好適に用いることができる
中でも、熱可塑性樹脂組成物からなるストランドの材質がポリエチレンである場合、CO2レーザーを用いることが好ましい。
また、ストランド材質がフッ素系熱可塑性樹脂からなる場合には、COレーザー、Er
,Cr:YSGGレーザーを用いることができる。
一方、光源が赤外ヒーターである場合、キセノンヒーター、ハロゲンヒーター、カーボンワイヤーを石英チューブ内に封止したカーボンヒーター等を用いることができる。
これらの光源から照射される赤外線を、ミラー、ハーフミラー、分光器、楕円ミラー、レンズ、プリズム、マスク、光ファイバー、波長フィルター等から構成される光学系を用いて、ストランドに向けて2以上の複数の方向から集光させることにより、前記工程Yにおいて、熱可塑性樹脂からなるストランドの延伸方向の中心部の粘度が、外周部の粘度よりも低くなるように加熱しながら延伸することができる。この集光は、集光領域(赤外線集光加熱部)を通過するストランドの横断面内の温度分布が中心軸対称に近くなるように加熱することが好ましい。
ストランドの横断面の温度分布が中心軸対称となるようにするためは、ストランド中心軸廻りに対して、複数の赤外線のビーム形状、空間強度分布を互いに等しくした上で、ストランド中心軸に向けて赤外線ビームを集光させることが好ましい。例えば、光学系の簡素化を考慮すると、互いのビーム形状、空間強度分布、及び互いのビームのなす角が等しい赤外線ビームを三方向からストランドに向けて集光させることにより、ストランド中心軸廻りに対し高い対照性を有する温度分布を形成することができる。
また、赤外線ビームの光軸は、ストランドの中心軸に対して垂直でなく傾いていてもよいが、中心軸に対して垂直、すなわち、ストランドの横断面内にあることが好ましい。
本発明において、赤外線光源がレーザーであり、互いのビーム形状、空間強度分布、及び互いのビームのなす角が等しい赤外線ビームをストランドの中心軸に向けて三方向から集光させた際の一態様を図2に示す。
図2においては、レーザー(B)から照射されたレーザー光を、三つのハーフミラー(4a〜c)を用いて、同一強度の4つのレーザー光に分けられており、そのうちの一つがパワーメーター(C)に照射され、レーザー光の強度をモニターすることができる。また、残りの三つのレーザー光が、ミラー(5a〜f)を用いてストランド(1)の中心軸に対して垂直な面の3方向から集光されている。また、熱可塑性樹脂からなるストランド(1)を通過したレーザー光をビームストッパーを用いて吸収している。図2において、レーザー光(10)がストランド(1)の延伸方向の中心軸を通過しており、3方向から集光されるレーザー光(10)の交点がストランドの延伸方向の中心軸に相当する。
本発明に用いる熱可塑性樹脂からなるストランドの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4メチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共重合体などのポリオレフィン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレンポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン12、MXDナイロン等のポリアミド、ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリル酸などのアクリル系ポリマー、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロペン共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体などのポリフルオロエチレン、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオロポリマーなどの含ハロゲンポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の合成ゴム、及びその水素添加物、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等の熱可塑性エラストマーとその水素添加物、液晶ポリマー、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドなどが挙げられる。
また、熱可塑性樹脂には、公知の様々な添加剤が含まれていてもよい。熱可塑性樹脂に含まれていてもよい添加剤としては、例えば、赤外線吸収剤が挙げられ、具体的にはカーボンブラックなどの顔料や、フタロシアニンなどの近赤外線吸収色素等が挙げられる。また、溶融粘度が高い熱可塑性樹脂に対しては、溶融可塑化を容易にする目的で可塑剤が添加されていても良い。
本発明において、光源から出射される赤外線の波長は、熱可塑性樹脂の材質に応じて適宜決めることができる。本発明においては、赤外線照射によって加熱を行うため、用いる熱可塑性樹脂としては、光源から出射された赤外線を吸収する必要がある。すなわち光源から出射される赤外線は、熱可塑性樹脂に吸収される赤外線の波長を有している必要がある。
また、集光される赤外線の波長に対する、熱可塑性樹脂の吸収係数が大きすぎると、ストランドの表面に赤外線の大半が吸収され、ストランドの横断面中央付近が充分に加熱されないため、該ストランドの延伸方向の中心部の粘度が、外周部の粘度よりも低くならず、樹脂中空管の製造を好適に行えない場合がある。
前記工程Yにおいて、赤外線照射を行う光源がレーザーであり、集光される赤外線が単色光である場合には、レーザーの発振波長(単色光)における熱可塑性樹脂の吸収係数K(m-1)と、ストランドの直径D(m)とが、下記式(1)の関係を満たし、かつ直径Dは0.5×10-3m以上であることが好ましい。
0.1<K・D<2.6 ・・・(1)
また、ストランドの直径Dは、1×10-3m以上であることがより好ましく、その上限としては10×10-3m以下であることが好ましい。
上記範囲では、好適に樹脂中空管の製造を行うことができる。
K・D値が上記上限を超えると、ストランド外周部の粘度(表面粘度)がストランドの延伸方向の中心部の粘度より高くなる傾向がある。このため、中空化が困難になり、延伸切れを生じる場合がある。また、K・D値が上記下限範囲を下回ると、ストランドの延伸方向の中心部の粘度がストランド外周部の粘度(表面粘度)より高くなり過ぎ、延伸切れを生じる場合がある。
K・D値が上記範囲内では、ストランドの延伸方向の中心部の粘度がストランド外周部の粘度(表面粘度)より高くなり、中空化可能な粘度条件が得られる。
また前記工程Yにおいて、光源として、レーザー光以外の光源を用いた場合であっても波長フィルター等を用いて、赤外線として単色光を照射した場合には、上記式(1)を満たし、かつ直径Dは0.5×10-3m以上が好ましく、1×10-3m以上であることがより好ましい。Dの上限としては10×10-3m以下であることが好ましい。
さらに前記工程Yにおいて、ストランドの延伸方向の中心部の温度が、外周部の温度よりも高くなるように加熱しながら延伸することが好ましい。
上記温度条件を満たさない場合、すなわち、ストランド外周部の温度(表面温度)がストランドの延伸方向の中心部の温度より高い場合には、中空化が困難になり、ストランド表層で熱分解などの熱劣化、延伸切れを生じる場合がある。
なお、本発明において、ストランドは、ストランドの延伸方向の中心部の粘度が、外周部の粘度よりも低くなるように加熱される必要があるが、ストランドの延伸方向の中心部の粘度が外周部の粘度よりも低くなる加熱条件であるか否かは、次のような予備試験で確かめることができる。また工程Yにおいてストランドの延伸方向の中心部の温度が、外周
部の温度よりも高くなるように加熱されていることも、同じ予備試験で確認できる。
すなわち、ストランドを加熱延伸手段を有する装置内にセットし、無延伸の状態でストランドに向けて、複数の方向から赤外線を集光した場合、ストランドの赤外吸収に伴う発熱によりストランドに熱影響部が生じる。熱影響部の有無は、赤外線照射前後で複屈折変化を生じているかどうかを確かめることで判定できる。そこで、赤外線照射により、ストランド外周部の複屈折が変化する前に、ストランド中心部の複屈折変化が認められるかどうかを調べることで、ストランドの延伸方向の中心部の粘度が外周部の粘度よりも低くなる加熱特性を有するかどうかを判定することができる。
具体的には、1:ストランドに向けて赤外線を照射する過程で、ストランド外周部が溶融し始める赤外線強度と赤外線照射時間をあらかじめ確認する。2:次いで、同様の赤外線強度でそれより短い赤外線照射時間で、赤外線照射前後の外周部と中心部の複屈折の変化を確認する。ここで、ストランド外周部と中心部の複屈折変化を調べる手段としては、ストランドに向けて赤外線照射を停止して冷却したあと、ストランドの赤外線照射部からストランド中心軸に対し垂直な断面切片試料をミクロトームなどを用いて一様な厚さで切り出し、位相差顕微鏡を用いて、赤外線照射前後の断面切片試料の複屈折分布を調べることが一例として挙げられる。3:前記赤外線強度でストランドの中空化が可能な場合、すなわち、ストランドの延伸方向の中心部の粘度が外周部の粘度よりも低くなる条件である場合には、予備試験では、通常、赤外線照射前と比べて、赤外線照射後のストランド断面切片試料の中心部の複屈折が低下し、外周部の複屈折は変化しないような赤外線照射時間を見出すことができる。これとは逆に、ストランドの中空化が困難な場合、このような予備試験では、赤外線照射前と比べて、赤外線照射後のストランド断面切片試料の外周部の複屈折の方が中心部の複屈折より先に変化するかたちで観察される。
このような予備試験に用いることができる位相差顕微鏡の例としては、偏光顕微鏡、微小面積複屈折計(王子計測機器(株)製、KOBRA CCD)を挙げることができる。
さらに、赤外線をストランドに集光する際に、ストランド中心部の粘度を外周部の粘度より高く保つための補助手段として、赤外線集光により加熱を行う際に、ストランド表面に強制的にストランドの外周部温度より低い冷却空気などの冷却風を吹き付けても良い。また、赤外線を集光する前にストランド供給部と赤外線集光加熱部との間で、一旦、熱風炉や熱板炉などの加熱炉にストランドを通し、ストランドを中心部まで十分に加熱した後、連続して水槽や冷風槽などの冷媒槽に通すなどして、予め、ストランドを固相状態で外周部より中心温度を高く保持した上で、赤外線集光加熱部に通すようにしても良い。
本発明の製造方法において、ストランド供給部から供給される熱可塑性樹脂からなるストランドとしては、通常は、ストランドの延伸方向の中心軸に対して垂直な面で規定される断面が円形であることが好ましいが、異形断面であってもよい。また、ストランドは供給部と引取り部の間で延伸する際、延伸方向に沿って中心軸が蛇行せず直線状になることが好ましい。なお、ストランドの中心軸とは、ストランドの延伸方向に沿う中心軸を意味する。
さらに、前記断面の直径は、ポリエチレンの場合は0.5〜10mm、好ましくは1.0〜3.0mmである。前記範囲内では、好適に樹脂中空管を製造することができる。
また本発明においては、前記工程Yの前に、熱可塑性樹脂からなるストランドを、流動延伸状態となるように加熱しながら延伸する工程Xを設け、前記工程Xの加熱および/または延伸条件を変化させることにより、該ストランドへの赤外線入熱量を低下させ、かつ引取張力を増加させることにより行われる前記工程Yへと変化させることが好ましい。前記工程Yの前に、前記工程Xを設けることにより、ストランドの延伸切れや延伸ムラを抑制し、安定した延伸状態を形成することができるため好ましい。
また本発明においては、前記工程Xにおけるストランド供給速度をVf1、集光強度をI1、引取速度をVt1としたとき、工程Yにおけるストランド供給速度がVf1、集光強度がI1であり、引取速度がVt1より速い引取速度Vt2であることが好ましい。
本発明の製造方法において、工程Xから工程Yに変化させる際には、加熱条件を変えることにより集光強度を変化させる方法や、供給速度や引取速度を調節し、延伸条件を変え、延伸速度を変化させる方法、あるいは加熱条件と延伸条件とを変える方法があるが、上述のように工程Xと工程Yとで、ストランド供給速度Vf1と、集光強度I1を一定とし、引取速度を工程XのVt1から、工程YのVt2へ変化させることが好ましい(ただし、Vt1よりVt2の方が速い)。このようにストランド供給速度Vf1と、集光強度I1を変化させることなく、引取速度(Vt1、Vt2)を調整した場合には、加熱延伸装置の運転条件の管理が容易であり、好ましい。
さらに、本発明の製造方法においては、前記工程Xの前に、工程Xよりも集光強度が弱い工程Wを経ることが好ましい。すなわち工程Wを行い、工程Wの集光強度を増加させて、工程Xを行い、さらに前記工程Xの加熱および/または延伸条件を変化させて工程Yを行うことが好ましい。
工程Xの前に、工程Wを経ることで、工程Xの状態を形成する過程で、延伸切れや延伸ムラなどの不安定な延伸状態を抑制し、安定した延伸状態をつくることができる。
工程Xのストランド供給速度をVf1、集光強度をI1、引取速度をVt1としたとき、工程Wの供給速度は、通常、Vf1、引取速度Vt1で、集光強度は、I1よりも弱いI0である。本発明の製造方法において、前述の工程W、工程Xおよび工程Yを有する態様としては、例えば、熱可塑性樹脂からなるストランドに対し、該熱可塑性樹脂の吸収波長を含む赤外線を、該ストランドに向けて複数方向から、集光強度I0で集光することにより、該ストランドの延伸方向の中心部の粘度が、外周部の粘度よりも低くなる条件で加熱しながら、供給速度Vf1、引取速度Vt1で延伸し(工程W)、赤外線を集光強度I0よりも大きい集光強度I1で集光することにより、流動延伸状態を形成させ(工程X)、次いで、引取速度をVt1よりも速いVt2へ変化させることにより、ストランドへの赤外線入熱量を低下させ、かつ引取張力を増加させて延伸することにより、該ストランドの延伸方向に中空部を連続的に形成すること(工程Y)により樹脂中空管を製造することが好ましい。
前記集光強度I0と集光強度I1との強度比(集光強度I0:集光強度I1)は1:1.2〜1:3であることが好ましく、1:1.5〜1:2.5であることがより好ましい。
また、集光強度I0から集光強度I1へ変化させる際の変化率は通常は、0.5〜1.5%/sであり、好ましくは0.6〜0.8%/sである。なお、変化率とは((集光強度I1−集光強度I0)/集光強度I0/(集光強度変化に要した時間[s])×100%)と定義され、例えば、集光強度を0.8Wから1.5Wまで140秒で変化させた場合には、(1.5W−0.8W)/0.8W/140s×100%=0.6%/sとなる。
さらに、工程Yにおいて、延伸倍率(Vt/Vf)の範囲として1を超え30未満を満たす条件、より好ましくは5を超え25未満の条件で延伸することが好ましい。
本発明の樹脂中空管の製造方法によって、樹脂中空管が得られる理由は、明らかではないが、本発明者らは以下のように推定した。
すなわち、本発明においては、複数方向からストランドに向かって赤外線を集光させる
が、その集光領域を熱可塑性樹脂からなるストランドが通過することにより、集光領域内にあるストランドの中心軸付近(中心部)の粘度は、外表面付近(外周部)よりも低くなる。この状態で延伸を行うことにより、粘度が低い中心軸付近の樹脂は、粘度が高い外表面側に引っ張られ、ストランド表面に裂け目が生じると同時にストランドの中心軸付近に穴が開く。その後直ちに、ストランド表面の裂け目は閉じ、中心軸付近から連続した空洞部が形成される。以上のような理由によって、本発明の製造方法によって、連続した中空部を有する樹脂中空管が得られると本発明者らは推定した。
また、本発明の製造方法において、工程Xを設けることが好ましい理由を、本発明者らは以下のように推定した。
上記集光領域を熱可塑性樹脂からなるストランドが通過することにより、集領域内にあるストランドの中心軸付近の粘度が外表面よりも低くなる。まず供給速度Vf1、引取速度Vt1、集光強度I1で流動延伸状態とし、その後、加熱および/または延伸条件を変化させることにより、ストランドへの赤外線入熱量を低下させるとともに、引取張力を増加させるが、この際好適に、粘度が低い中心軸付近の樹脂は、粘度が高い外表面側に引っ張られ、ストランド表面に裂け目が生じると同時にストランドの中心軸付近に穴が開く。その後直ちに、ストランド表面の裂け目は閉じ、中心軸付近から連続した空洞部が形成される。以上のような理由によって、本発明の製造方法によって、連続した中空部を有する樹脂中空管が得られると本発明者らは推定した。
上記本発明の製造方法は、中空化の際、押出成形法によらないため、従来の押出成形法で樹脂中空管を製造した場合の様々な欠点を解消することができる。
また上記製造方法で得られる、樹脂中空管は、通常樹脂中空管の内壁の表面平滑性に優れる。
前記樹脂中空管は、内壁の表面平滑性に優れるため例えば医療用チューブ、光ファイバのクラッド材やコア材形成用の樹脂中空管のほか、中空糸として用いることができる。
〔実施例〕
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(熱可塑性樹脂からなるストランドの作製)
熱可塑性樹脂として高密度ポリエチレン(重量平均分子量150,000、JIS K
7210に準拠して測定した190℃、荷重2.16kgfのメルトフローレート0.33g/10分、融点134℃、炭酸ガスレーザー発振波長10.6μmにおける吸収係数6.5×102-1)を用い、該ポリエチレンを溶融押出法によって、ノズル(内径2
mm、ランド長10mm)から押出温度155℃で溶融押出を行い、直径2.5mmの未延伸のストランドを得た。
(レーザー加熱延伸装置)
樹脂中空管の製造に用いたレーザー加熱延伸装置は、図1に示す構成を有しており、その赤外線集光加熱部は図2に示す構成を有している。
なお、実施例においては、図1のAは、上記直径2.5mmの未延伸のストランドの供給速度Vfを制御することが可能な送出ローラーである。
実施例に用いた赤外線集光加熱部は、光源がレーザー発振器[鬼塚硝子社製 炭酸ガスレーザーPIN‐30S(レーザー波長(発振波長)10.6μm、定格出力30W、照射スポット径6mm)]であり、レーザービームを三方向から照射するための図2に示す光学系を有している。なお、レーザーの照射パワー密度は、光軸について対称なガウシア
ン分布を成しており、照射スポット径は、照射パワー密度がレーザー光軸のe-2になる位置を半径としている。なお、eは自然対数の底である。
また、実施例に用いたレーザー加熱延伸装置は、ストランドの引取速度Vt、引取張力Tを制御するための引取ローラーを有している。
本発明に用いるレーザー加熱延伸装置は、送出ローラーから直径2.5mmの未延伸のストランドを送り出し、引取ローラーにて引取り、その間にレーザービームが三方向からストランドの中心軸に向けて集光される赤外線集光加熱部を有している。
(樹脂中空管の製造)
前記レーザー加熱延伸装置の送出ローラーから前記熱可塑性樹脂からなるストランドを供給速度Vf1(0.06m/分)で送出し、引取ローラーで引取速度Vt1(0.17m/分)で引取り、延伸倍率(Vt1/Vf1)2.8倍で延伸状態を形成した。なお、このときのレーザー出力は一方向あたり0.8W(合計I0=0.8×3=2.4W)であった。
次いで、前記延伸状態を保ったまま、レーザー出力を変化率0.6%/sで大きくし、一方向あたり1.5W(合計I1=1.5×3=4.5W)へ変化させて流動延伸状態を形成させた。なお、レーザー出力の変化に要した時間は140秒であった。また、このときの引取張力T1は(5N)であった。
次いで、供給速度VfをVf1(=Vf2)、及びレーザー出力合計IをI1(=I2)に保ったまま、引取速度Vtを引取速度Vt1(0.17m/分)から引取速度Vt2(1.02m/分)に上げて、引取張力Tを引取張力T1(5N)から引取張力T2(12N)まで上げることにより、ストランドの赤外線入熱量を低下させ、かつ引取張力を増加させた。
これに伴い、熱可塑性樹脂からなるストランドのレーザー照射部(赤外線集光加熱部)の引取ロール側の近傍で、一時的に裂け目が生じた後、速やかに裂け目が閉じ、外周面が閉じ、中空管が連続して安定的に形成された。
(樹脂中空管の性状)
得られた樹脂中空管は、外径が1.2mmであり、内径が0.98mmであった。
得られた樹脂中空管を斜めに切り出し、中空管内壁にオスミウムコートを施した後、走査電子顕微鏡(日立製作所:S‐4700)を用いて、加速電圧5kV、倍率250倍、および10,000倍にて樹脂中空管内壁を観察した。結果を図3および4に示す。本発明の樹脂中空管は流れ方向の筋は観察されず、滑らかな表面を有していた。
(樹脂中空管の製造)
実施例1と同様の熱可塑性樹脂からなるストランドと、レーザー加熱延伸装置とを用いて行った。
実施例1において引取速度Vtは、引取速度Vt1(0.17m/分)から引取速度Vt2(1.02m/分)、かつ引取張力Tは、引取張力T1(5N)から引取張力T2(12N)へ変化させることにより流動延伸状態から赤外線入熱量を低下させ、かつ引取張力を増加させて延伸したが、実施例2では引取速度Vt1(0.17m/分)から引取速度Vt2(1.25m/分)、かつ引取張力T1(5N)から引取張力T2(14N)へ変化させることにより、流動延伸状態から赤外線入熱量を低下させ、かつ引取張力を増加させて延伸した。
それ以外はすべて実施例1と同様に行い、樹脂中空管を製造した。
(樹脂中空管の性状)
得られた樹脂中空管は、外径が1.1mmであり、内径が0.93mmであった。
(樹脂中空管の製造)
実施例1と同様の熱可塑性樹脂からなるストランドと、レーザー加熱延伸装置とを用いて行った。
実施例1において引取速度Vtは、引取速度Vt1(0.17m/分)から引取速度Vt2(1.02m/分)、かつ引取張力Tは、引取張力T1(5N)から引取張力T2(12N)へ変化させることにより流動延伸状態から赤外線入熱量を低下させ、かつ引取張力を増加させ延伸したが、実施例3では引取速度Vt1(0.17m/分)、から引取速度Vt2(1.53m/分)、かつ引取張力T1(5N)から引取張力T2(15N)へ変化させることにより、流動延伸状態から赤外線入熱量を低下させ、かつ引取張力を増加させて延伸した。
それ以外はすべて実施例1と同様に行い、樹脂中空管を製造した。
(樹脂中空管の性状)
得られた樹脂中空管は、外径が1.1mmであり、内径が0.90mmであった。
(熱可塑性樹脂からなるストランドの作製)
熱可塑性樹脂として高密度ポリエチレン(重量平均分子量150,000、JIS K
7210に準拠して測定した190℃、荷重2.16kgfのメルトフローレート0.33g/10分、融点134℃、炭酸ガスレーザー発振波長10.6μmにおける吸収係数6.5×102-1)を用い、該ポリエチレンを溶融押出法によって、ノズル(内径2
mm、ランド長10mm)から押出温度155℃で溶融押出を行い、直径1.5mmの未延伸のストランドを得た。
(樹脂中空管の製造)
実施例1と同様のレーザー加熱延伸装置を用いて行った。
実施例1においてストランド直径は2.5mm、初期レーザー出力は一方向あたり0.8W(合計I0=0.8×3=2.4W)で延伸状態を保ったまま、レーザー出力を大きくし、一方向あたり1.5W(合計I1=1.5×3=4.5W)へ変化させ流動延伸状態を形成させた。その後、供給速度VfはVf1=Vf2(0.06m/分)、引取速度Vtは、引取速度Vt1(0.17m/分)から引取速度Vt2(1.02m/分)、かつ引取張力Tは、引取張力T1(5N)から引取張力T2(12N)へ変化させることにより流動延伸状態から赤外線入熱量を低下させ、かつ引取張力を増加させて延伸したが、実施例4では、上記熱可塑性樹脂からなるストランドを用いて、初期レーザー出力は一方向あたり0.8W(合計I0=0.8×3=2.4W)で延伸状態を保ったまま、レーザー出力を大きくし、一方向あたり1.3W(合計I1=1.3×3=3.9W)へ変化させて流動延伸状態を形成させた。その後、供給速度VfはVf1=Vf2(0.12m/分)、引取速度Vtは、引取速度Vt1(0.36m/分)から引取速度Vt2(2.26m/分)、かつ引取張力Tは、引取張力T1(3N)から引取張力T2(12N)へ変化させることにより流動延伸状態から赤外線入熱量を低下させ、かつ引取張力を増加させて延伸した。それ以外はすべて実施例1と同様に行い、樹脂中空管を製造した。
(樹脂中空管の性状)
得られた樹脂中空管は、外径が0.7mmであり、内径が0.4mmであった。
〔比較例1〕
(樹脂中空管の製造)
熱可塑性樹脂として高密度ポリエチレン(重量平均分子量150,000、JIS K
7210に準拠して測定した190℃、荷重2.16kgfのメルトフローレート0.33g/10分、融点134℃)を用い、中空ダイを備えた押出機を用いて、溶融押出法による樹脂中空管を作製した。中空ダイの溶融樹脂の出口に相当する環状部サイズは外形4mm、内径3mmのものを用いた。
押出温度155℃、押出流量1.57cm3/分、中空管の引取速度3.0m/分で行
った。
(樹脂中空管の性状)
得られた樹脂中空管は、外径が1.2mmであり、内径が0.92mmであった。
実施例1と同様な方法で樹脂中空管内壁を観察した。結果を図5および6に示す。倍率250倍では流れ方向の筋が多数認められた。また、倍率10,000倍でも表面が荒れていた。
〔比較例2〕
(樹脂中空管の製造)
押出温度170℃、引取速度3.6m/分とした以外は比較例1と同様に行い樹脂中空管を作製した。
(樹脂中空管の性状)
得られた樹脂中空管は、外径が1.1mmであり、内径が0.84mmであった。
実施例1と同様な方法で樹脂中空管内壁を観察した。結果を図7および8に示す。倍率250倍では流れ方向の筋が多数認められた。また、倍率10,000倍でも表面が荒れていた。
実施例の製造条件、得られた樹脂中空管の寸法を表1に示す。
本発明の樹脂中空管の製造方法は、上述のように従来の押出成形法に由来する欠点を有
していない。また得られる樹脂中空管は通常、中空管内壁の表面平滑性に優れており、例えば医療用チューブ、光ファイバのクラッド材やコア材形成用の樹脂中空管として用いることができる。
本発明の樹脂中空管を製造する方法の一実施態様を示す概略図である。 本発明に用いるレーザー加熱延伸装置の赤外線集光加熱部の一構成態様を示す概略図である。 実施例1で得られた樹脂中空管の内壁を観察した際の倍率250倍の結果を示す写真である。 実施例1で得られた樹脂中空管の内壁を観察した際の倍率10,000倍の結果を示す写真である。 比較例1で得られた樹脂中空管の内壁を観察した際の倍率250倍の結果を示す写真である。 比較例1で得られた樹脂中空管の内壁を観察した際の倍率10,000倍の結果を示す写真である。 比較例2で得られた樹脂中空管の内壁を観察した際の倍率250倍の結果を示す写真である。 比較例2で得られた樹脂中空管の内壁を観察した際の倍率10,000倍の結果を示す写真である。
符号の説明
1・・・熱可塑性樹脂からなるストランド
2・・・赤外線集光加熱部
3・・・引取り部
4a・・・ハーフミラー
4b・・・ハーフミラー
4c・・・ハーフミラー
5a・・・ミラー
5b・・・ミラー
5c・・・ミラー
5d・・・ミラー
5e・・・ミラー
5f・・・ミラー
6a・・・ビームストッパー
6b・・・ビームストッパー
6c・・・ビームストッパー
10・・・レーザー光
A・・・ストランド供給部
B・・・レーザー発振器
C・・・パワーメーター

Claims (3)

  1. ストランド供給部、引取り部、および供給部と引取り部との間に配置した赤外線集光加熱部を有する加熱延伸装置内で、
    熱可塑性樹脂からなるストランドを、該熱可塑性樹脂に吸収される波長を含む赤外線を該ストランドに向けて複数方向から集光することにより、該ストランドの延伸方向の中心部の粘度が、外周部の粘度よりも低くなるように加熱しながら延伸することにより、
    該ストランドの延伸方向に中空部を連続的に形成する工程Yを有する樹脂中空管の製造方法。
  2. 前記工程Yにおいて、ストランドの延伸方向の中心部の温度が、外周部の温度よりも高くなるように加熱しながら延伸することを特徴とする請求項1に記載の樹脂中空管の製造方法。
  3. 前記赤外線が、炭酸ガスレーザーから出射される赤外線であり、
    前記熱可塑性樹脂からなるストランドの材質がポリエチレンであることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂中空管の製造方法。
JP2007288624A 2007-11-06 2007-11-06 樹脂中空管の製造方法 Active JP4975588B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007288624A JP4975588B2 (ja) 2007-11-06 2007-11-06 樹脂中空管の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007288624A JP4975588B2 (ja) 2007-11-06 2007-11-06 樹脂中空管の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009113324A JP2009113324A (ja) 2009-05-28
JP4975588B2 true JP4975588B2 (ja) 2012-07-11

Family

ID=40781008

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007288624A Active JP4975588B2 (ja) 2007-11-06 2007-11-06 樹脂中空管の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4975588B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009262484A (ja) * 2008-04-28 2009-11-12 Shinshu Univ プロピレン系ポリマーフィルムまたはシートの加熱方法および延伸フィルムの製法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58166020A (ja) * 1982-03-29 1983-10-01 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> プラスチツクの延伸方法
JPH01148829A (ja) * 1987-12-02 1989-06-12 Showa Denko Kk ロッドまたは肉薄物の連続製造方法
JPH01162835A (ja) * 1987-12-21 1989-06-27 Showa Denko Kk 高弾性、高強度延伸物の製造装置
JPH0639127B2 (ja) * 1990-04-13 1994-05-25 チッソ株式会社 結晶性熱可塑性材料の押出し延伸装置
JPH07205276A (ja) * 1994-01-24 1995-08-08 Kensei Kagaku:Kk 合成樹脂製スティックの製造方法及びその装置
JPH07205275A (ja) * 1994-01-24 1995-08-08 Kensei Kagaku:Kk 合成樹脂製スティック及びその製造装置
JPWO2004024809A1 (ja) * 2002-09-13 2006-01-05 旭化成ケミカルズ株式会社 微多孔膜及びその製造方法
JP4081554B2 (ja) * 2003-03-07 2008-04-30 国立大学法人山梨大学 延伸された芯鞘型フィラメント
JP2009045911A (ja) * 2007-08-23 2009-03-05 Toyota Motor Corp 多孔質材料の製造方法、多孔質膜の製造方法、高分子電解質の製造方法、多孔質材料、多孔質膜、高分子電解質膜、及び固体高分子型燃料電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009113324A (ja) 2009-05-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2103723A1 (en) Production method and production device of ultrafine filament
EP1602759B1 (en) Method of manufacturing an oriented sheath core type filament
JP4748513B2 (ja) 極細繊維及びその製造方法
JP4975588B2 (ja) 樹脂中空管の製造方法
WO2000073556A1 (fr) Fibres synthetiques tres resistantes, leur procede de traitement et dispositif de traitement connexe
US6818683B2 (en) Apparatus for manufacturing optical fiber made of semi-crystalline polymer
US20190032248A1 (en) Method and device for generating continuous fibres having a nanoscale diameter and nanoscale fibres generated
US20230040327A1 (en) Anti-resonant hollow core optical fiber and methods of making
JP4912956B2 (ja) ポリエステル繊維の製造方法
JP2009138322A (ja) モノフィラメントの製造方法
JP2007056402A (ja) ポリフッ化ビニリデン系フィラメント、及びポリフッ化ビニリデン系フィラメントの水中での透明性を向上させる方法
JP5883229B2 (ja) 極細多孔チューブの製造方法
JP2017002423A (ja) ポリプロピレン繊維の繊維物理量または繊維物性の測定方法
JP2002363820A (ja) 熱可塑性合成樹脂からなるフラットヤーンの製造方法
JP5134417B2 (ja) ポリエステルマルチフィラメントの製造方法
JP2002013021A (ja) 熱可塑性合成繊維の製造方法
JP2014133967A (ja) 未延伸フッ素樹脂繊維及び延伸フッ素樹脂繊維並びに未延伸フッ素樹脂繊維の製造方法及び延伸フッ素樹脂繊維の製造方法
JP2002161451A (ja) 高強度高伸度合成繊維とその製造方法および製造装置
JP2009262484A (ja) プロピレン系ポリマーフィルムまたはシートの加熱方法および延伸フィルムの製法
JP6497506B2 (ja) フッ化ビニリデン系樹脂の極細ファイバの製造方法及び、フッ化ビニリデン系樹脂の極細ファイバ
JP2008297641A (ja) ポリエステル繊維
EP4380902A1 (en) Anti-resonant hollow core optical fiber preform and methods of making
JP2001154036A (ja) プラスチック製光ファイバ及びその製造方法
JP2006249617A (ja) 高倍率で高物性のフィラメントの製造方法及び製造装置
JP5549348B2 (ja) 側面漏光プラスチック光ファイバの製造方法および製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100811

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100811

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120308

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120308

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120403

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120411

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4975588

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150420

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250