JPH07205275A - 合成樹脂製スティック及びその製造装置 - Google Patents

合成樹脂製スティック及びその製造装置

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JPH07205275A
JPH07205275A JP6005733A JP573394A JPH07205275A JP H07205275 A JPH07205275 A JP H07205275A JP 6005733 A JP6005733 A JP 6005733A JP 573394 A JP573394 A JP 573394A JP H07205275 A JPH07205275 A JP H07205275A
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JP
Japan
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stick
synthetic resin
rod
raw material
stretching
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JP6005733A
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English (en)
Inventor
Tsugio Iwahashi
次男 岩橋
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KENSEI KAGAKU KK
Original Assignee
KENSEI KAGAKU KK
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Publication date
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  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外径が1〜5mm程度の中実あるいは中空の合
成樹脂製スティックにあって、曲げ方向の物理的特性に
優れ、且つ縦割れ現象の発生を防止する。 【構成】 ポリプロピレン単体、ポリプロピレンに他の
熱可塑性結晶性樹脂、例えばポリエチレン,ポリブテ
ン,ポリアミド等を混合したものや、プロピレンと他の
オレフィンとの共重合体等からなる熱可塑性結晶性樹脂
に、変成ポリアミド,ポリカーボネート,液晶ポリマ
ー,ポリスチレン等の熱可塑性非結晶性樹脂を1〜20
%混合した合成樹脂材料に、炭酸カルシウムやタルク,
マイカの微粉などの無機質フィラーを2〜15%添加し
た原料を、押出成形装置2により押出成形してロッド7
を得、これを延伸処理装置3により7〜15倍に延伸処
理し、さらにアニール処理装置4によりアニーリングし
てスティック14を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリプロピレンを主成
分とした外径が1〜5mm程度の中実あるいは中空の合成
樹脂製スティック及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば綿棒の軸や台所用の簀の子等にお
いては、近年、従来の紙製や竹製のスティックに代え
て、ポリプロピレン等の合成樹脂製のスティックを用い
ることが行われてきている。このような合成樹脂製のス
ティックにあっては、単なる押出成形品では、曲げ方向
の物理的特性に劣る事情があり、このため、近年では、
延伸処理により合成樹脂製のスティックを得ることが行
われてきている。
【0003】このように延伸処理により合成樹脂製のス
ティックを製造する技術として、例えば特開平4−33
2624号公報に示されたものがある。このものでは、
MFRが0.5〜20の結晶性ポリプロピレン樹脂から
なる原料を押出成形して得られたロッド(原反)を、延
伸率6倍以上に延伸処理して小口径の中空のスティック
を得るようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、結晶性
ポリプロピレン樹脂から延伸処理により得られた外径が
1〜5mm程度の小口径のスティックでは、曲げ弾性や曲
げ強度等の物性については、未延伸のものと比べて格段
に改善されるものの、分子配向が縦方向となるため、曲
げ方向の小さい力により縦方向の亀裂が容易に生じ、遂
にはいわば竹を割った如き縦割れ現象が生じてしまう不
具合がある。この縦割れ現象は、延伸倍率が大きくなる
ほど顕著となり、上記の結晶性ポリプロピレン樹脂から
構成されるものでは、延伸倍率が9倍程度以上となる
と、使用に耐え得るものが得られなかった。
【0005】ところで、この種の合成樹脂製スティック
を製造するための装置としては、やはり、特開平4−3
32624号公報に示されるように、押出機,冷却槽,
引取機からなる押出成形装置と、この押出成形装置によ
り得られたロッドを熱風により加熱軟化させて延伸処理
する延伸処理装置とを連続して備えるものがあった。と
ころが、このものでは、延伸処理の際に熱風によりロッ
ドを加熱するようにしているため、延伸ポイントが安定
せず、また、熱効率が悪いという欠点を有していると共
に、アニーリングが別工程で行われるため生産性に劣る
欠点を有していた。
【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、曲げ方向の物理的特性に優れると共
に、縦割れ現象の発生を防止することができる合成樹脂
製スティックを提供するにある。また、その合成樹脂製
スティックの製造に好適する合成樹脂製スティックの製
造装置を提供することを副次的な目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の合成樹脂製ステ
ィックは、外径が1〜5mm程度の中実あるいは中空の合
成樹脂製スティックであって、ポリプロピレンを主成分
とした熱可塑性結晶性樹脂に、熱可塑性非結晶性樹脂を
1〜20%混合した合成樹脂材料に、無機質フィラーを
2〜15%添加した原料からなり、前記原料を押出成形
して得られたロッドを、7〜15倍に延伸処理してなる
ところに特徴を有するものである。
【0008】また、本発明の合成樹脂製スティックの製
造装置は、上記の合成樹脂製スティックを製造するため
の装置であって、上記の原料を押出成形して所定径のロ
ッドを成形する押出成形装置と、この押出成形装置に連
続して設けられ前記ロッドを遠赤外線ヒータにより加熱
軟化させて延伸処理し所定径のスティックとする延伸処
理装置と、この延伸処理装置に連続して設けられ前記ス
ティックのアニーリングを行うアニール処理装置とを具
備するところに特徴を有する。
【0009】
【作用】ポリプロピレン樹脂を主体とした外径が1〜5
mm程度の中実あるいは中空の合成樹脂製スティックにあ
っては、7〜15倍に延伸処理することにより、曲げ方
向の物理的特性に優れるのであるが、その半面、縦割れ
現象が顕著に生ずる不具合がある。本発明者は、このよ
うな延伸処理により得られる合成樹脂製スティックにお
いて、曲げ方向の物理的特性を損なうことなく、縦割れ
現象の発生を防止すべく、実験,研究を重ねた結果、ポ
リプロピレンを主成分とした熱可塑性結晶性樹脂に、熱
可塑性非結晶性樹脂を混合し、さらに無機質フィラーを
添加した原料を用いることにより、曲げ方向の物理的特
性に優れると共に、縦割れ現象の発生を防止することが
できる合成樹脂製スティックを得ることができることを
見出し、本発明を成し遂げたのである。
【0010】即ち、延伸処理により得られる合成樹脂製
スティックに縦割れ現象が生ずる要因は、結晶性樹脂の
分子が延伸方向に延びた直鎖状の分子配向に均一化さ
れ、分子同士の横方向のからみがなくなるためである。
これに対し、非結晶性樹脂は、分子構造がブロック化し
ているため、延伸が掛かっても分子が延伸方向に伸びき
ることがない。このため、結晶性樹脂に非結晶性樹脂を
混合した材料を用いることにより、非結晶性樹脂がバイ
ンダー的役割を果たし、結晶性樹脂の分子間にからみ現
象を起こして分子の横方向のからみを確保することがで
き、縦割れ現象を防止するのである。
【0011】さらに、適量の無機質フィラーを添加する
ことにより、その無機質フィラーが、結晶性樹脂の分子
が延伸方向に延びる際の障害となるため、結晶性樹脂の
分子が直線状ではなくある程度蛇行した形状となり、上
記した非結晶性樹脂によるからみの作用と相俟って、よ
り一層分子同士の横方向のからみが促進されるのであ
る。この結果、熱可塑性結晶性樹脂を主体として延伸処
理された合成樹脂製スティックにあって、縦割れ現象の
発生を効果的に防止することができるのである。この場
合、非結晶性樹脂あるいは無機質フィラーのいずれか一
方だけの添加では、特に延伸倍率が9倍以上と高くなっ
た場合に、十分な縦割れ現象の発生防止効果が得られな
くなってしまう。
【0012】そして、十分な縦割れ現象の発生防止効果
を得るためには、熱可塑性結晶性樹脂に熱可塑性非結晶
性樹脂を少なくとも1%以上混合した合成樹脂材料に対
し、無機質フィラーを少なくとも2%以上添加した原料
を用いることが必要であり、それらの配合割合は、延伸
倍率や、製品の使用目的,目標とする物性等に応じて適
宜選定することができる。この場合、延伸倍率が小さい
(7倍程度)のものでは、熱可塑性非結晶性樹脂及び無
機質フィラーの最低限度の添加量で、十分な縦割れ現象
の防止効果を得ることができる。
【0013】一方、熱可塑性結晶性樹脂に対する熱可塑
性非結晶性樹脂の混合割合は20%以下に止めるべきで
ある。これは、熱可塑性非結晶性樹脂が20%を越える
と、延伸効果つまり製品の物理的特性が低下するためで
あり、また、原料コストも高騰してしまうことになる。
そして、合成樹脂材料に対する無機質フィラーの添加割
合は15%以下に止めるべきである。これは、無機質フ
ィラーの添加量が15%を越えると、製品にいわゆる針
金物性(曲げられると元に戻らなくなる現象)が生じて
しまうからである。
【0014】また、本発明に使用される熱可塑性結晶性
樹脂としては、ポリプロピレン単体は勿論、ポリプロピ
レンに他の熱可塑性結晶性樹脂、例えばポリエチレン,
ポリブテン,ポリアミド等を混合したものや、プロピレ
ンと他のオレフィンとの共重合体等を用いることができ
る。そして、熱可塑性非結晶性樹脂としては、変成ポリ
アミド,ポリカーボネート,液晶ポリマー,ポリスチレ
ン等を用いることができる。さらには、無機質フィラー
としては、炭酸カルシウムやタルク,マイカの微粉など
を用いることができる。
【0015】尚、本発明の原料を用いた場合、分子切断
が生ずる等の理由により、延伸倍率が15倍を越えた延
伸処理は困難となるが、合成樹脂製スティックにあって
は、実使用上、延伸倍率は15倍までで十分であり、そ
れを越える延伸倍率を必要とすることはない。
【0016】そして、本発明の合成樹脂製スティックの
製造装置によれば、押出成形装置により、上記した原料
が押出成形されて所定径のロッドが成形され、延伸処理
装置により、前記ロッドが延伸処理されて所定径のステ
ィックとされ、アニール処理装置により、前記スティッ
クのアニーリングが行われる。
【0017】このとき、延伸処理装置は、ロッドを加熱
軟化させる赤外線ヒータを備えるものであるから、ロッ
ドを効率的且つ安定的に加熱することができ、延伸ポイ
ントを安定させることができる。また、押出成形,延伸
処理,アニーリングが連続的に行われるので、生産性に
優れ、短時間で製造を完了することができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら説明する。本実施例に係る合成樹脂製スティッ
クは、外径が1〜5mm程度の中実あるいは中空の合成樹
脂製スティックであり、まず、図1及び図2を参照し
て、この合成樹脂製スティックを製造する手順について
述べる。
【0019】図1は、本実施例に係る合成樹脂製スティ
ックの製造装置1の全体構成を概略的に示すものであ
り、この製造装置1は、ロッドを成形するための押出成
形装置2、ロッドを延伸処理してスティックを得るため
の延伸処理装置3、延伸処理されたスティックの内部ひ
ずみを除去するアニーリングを行うためのアニール処理
装置4を連続して備えて構成されている。
【0020】このうち、押出成形装置2は、原料を加熱
溶融して円形あるいはリング状のダイ5から押出す周知
の押出機6と、この押出機6から押出されたロッド7を
冷却するための冷却槽8と、前記ロッド7を所定速度で
引取ると共に延伸処理装置3へ向けて送り出すロッド用
引取機9とを順に備えて構成されている。また、前記冷
却槽8の先端部には、サイザー10が設けられている。
【0021】前記ロッド用引取機9は、速度調整可能な
モータ(図示せず)により駆動される2本の駆動ローラ
11,11と、それら駆動ローラ11,11の上部に夫
々位置され挟み付け力の調整が可能なテンションローラ
12,12とを備え、それらの間にロッド7を挟んで引
取るように構成されている。また、この場合、各ローラ
11,12は、弾力性があり且つロッド7との間ですべ
りが少なく、強い力でホールドを行うことができると共
に、耐磨耗性に優れるウレタン製のものを使用してい
る。尚、前記原料は、後述するように、ポリプロピレン
を主成分とした熱可塑性結晶性樹脂に、熱可塑性非結晶
性樹脂を1〜20%混合した合成樹脂材料に、無機質フ
ィラーを2〜15%添加した成分組成とされている。
【0022】これにて、押出機6から押出された断面円
形あるいはリング状の溶融樹脂は、駆動ローラ11,1
1とテンションローラ12,12との間に挟まれた状態
で所定速度で引取られ、サイザー10によって形状が整
えられながら、冷却槽8の冷却水中を通って冷却されて
硬化され、所定径の長尺なロッド7としてロッド用引取
機9から連続的に送り出されるのである。このとき、ロ
ッド7の外径寸法は、目標とするスティックの最終的な
外径寸法(1〜5mm)に、目標とする延伸倍率(7〜1
5倍)の平方根を乗算した値に設定される。
【0023】次に、前記延伸処理装置3は、前記ロッド
7を加熱軟化させて延伸可能とする加熱炉13と、延伸
されたスティック14を冷却する冷却槽15と、前記ス
ティック14を所定速度で引取ると共にアニール処理装
置4へ向けて送り出す延伸用引取機16とを順に備えて
構成されている。
【0024】前記加熱炉13は、図2に示すように、円
形のトンネル状をなし、その内壁部に、円弧状をなす複
数個の遠赤外線ヒータ17を備えて構成されている。前
記ロッド7は、この加熱炉13内の中心部を通されるよ
うになっており、前記各遠赤外線ヒータ17は、加熱炉
13内の中心部に向けて、波長3.3〜3.7μmの熱
線を照射するように構成されている。また、前記延伸用
引取機16は、スティック14を挟んで引取るためのや
はりウレタン製の例えば5個のローラ18を、速度調整
可能なモータにより回転させるように構成され、この場
合、各ローラ18は上下にいわゆる千鳥状に配置されて
いる。
【0025】これにて、前記ロッド用引取機9から送り
出されたロッド7は、延伸用引取機16により所定速度
で連続的に引取られるのであるが、このとき、ロッド7
は、ロッド用引取機9から送り出されてから加熱炉13
内の前半部までは、ほぼそのままの径でゆっくりと送ら
れ、加熱炉13内にて加熱されることにより次第に軟化
していき、遂には加熱炉13の終端部分(延伸ポイント
P)にて延伸可能な状態まで軟化される。そして、軟化
したロッド7はその延伸ポイントPにて速い速度で引張
られて延伸され、細い径のスティック14となって冷却
槽15の冷却水中を通って冷却されて硬化され、所定径
のスティック14として形状固定されるのである。
【0026】この場合、ロッド7を構成する合成樹脂材
料は、遠赤外線の波長3.3〜3.7μmのものに関す
る熱吸収率がほぼ100%であることが知られており、
前記加熱炉13の加熱手段として遠赤外線ヒータ17を
採用すると共に、ロッド7が通る加熱炉13内の中心部
に向けて熱線を集める構成としたので、熱効率が極めて
高くなると共に、安定的な加熱を行うことができ、延伸
ポイントPを安定させることができるものである。
【0027】また、前記延伸用引取機16の引取り速度
は、前記ロッド用引取機9の引取り速度に対して、目標
とする延伸倍率を乗じた速度よりも若干だけ大きく設定
される。これは、後のアニーリングの工程によるスティ
ック14の収縮(例えば5%程度)を考慮に入れたもの
である。
【0028】最後に、前記アニール処理装置4は、前記
スティック14を加熱するアニール炉19と、冷却槽2
0と、アニール用引取機21とを順に備えて構成されて
いる。この場合、アニール炉19は、遠赤外線及び近赤
外線を併用した加熱を行うように構成されている。ま
た、詳しく図示はしないが、アニール用引取機21も、
速度調整可能なモータによりローラを所定速度で回転さ
せてスティック14を引取るように構成されている。さ
らに、アニール用引取機21には、スティック14を所
定長さにカットするカッターが組込まれている。
【0029】これにて、延伸処理を経たスティック14
は、延伸用引取機16の送り出し速度よりも若干(例え
ば5%程度)だけ遅い速度でアニール用引取機21によ
り連続的に引取られ、このとき、アニール炉19におい
て所定のアニーリング温度まで加熱されることにより内
部ひずみに伴って収縮し、引続き、冷却槽20の冷却水
中を通されることにより内部ひずみが除去された状態に
形状固定されるのである。もって、目標とした延伸倍率
に延伸処理された所定外径寸法のスティック14が得ら
れるのである。得られたスティック14は、カッターに
て所定長さにカットされて製品とされる。
【0030】このように、本実施例の製造装置1によれ
ば、延伸処理装置3を、赤外線ヒータ17によりロッド
7を加熱軟化させるように構成したので、ロッド7を効
率的且つ安定的に加熱することができ、延伸ポイントP
を安定させることができる。また、押出成形,延伸処
理,アニーリングが連続的に行われるので、生産性に優
れ、短時間で製造を完了することができるものである。
【0031】さて、次に、本発明に係る合成樹脂製ステ
ィックの有用性を調べた試験結果について述べる。実施
例1乃至実施例3は、特許請求の範囲に記載された通り
の合成樹脂製スティックである。即ち、実施例1乃至実
施例3の合成樹脂製スティックは、外径が1〜5mmの中
実あるいは中空の合成樹脂製スティックであって、ポリ
プロピレンを主成分とした熱可塑性結晶性樹脂に、熱可
塑性非結晶性樹脂を1〜20%混合した合成樹脂材料
に、無機質フィラーを2〜15%添加した原料からな
り、その原料を押出成形して得られたロッドを、7〜1
5倍に延伸処理してなるものである。
【0032】具体的には、後に掲載する表1にも示すよ
うに、実施例1乃至実施例3の合成樹脂製スティック
は、この場合、外径2mmφ,内径0.4mmφの中空パイ
プ状をなすスティックであって、ポリプロピレンからな
る熱可塑性結晶性樹脂に、熱可塑性結晶性樹脂としての
液晶ポリマーを混合した合成樹脂材料に、無機質フィラ
ーとしての炭酸カルシウムを添加した原料を用い、上記
した製造装置1により得られたものである。それらの配
合割合は、原料全体に対し、ポリプロピレンが90%重
量、液晶ポリマーが5重量%、炭酸カルシウムが5重量
%とされている。また、実施例1は延伸倍率が7倍とさ
れ、実施例2は延伸倍率が9倍とされ、実施例3は延伸
倍率が11倍とされている。
【0033】これに対し、これも表1に示すように、比
較例1乃至比較例7は、同等形状の外径2mmφ,内径
0.4mmφの中空パイプ状をなすポリプロピレンを主体
とした合成樹脂製スティックであって、原料組成が特許
請求の範囲から逸脱しているものである。具体的には、
比較例1〜4は、ポリプロピレン単体の原料を用い、比
較例5〜7は、原料全体に対し、ポリプロピレンが95
%重量、フィラーとしての炭酸カルシウムが5重量%の
原料組成とされている。さらに、そのうち比較例1は延
伸処理を行わず、押出成形により上記形状に成形され、
比較例2及び5は延伸倍率7倍、比較例3及び6は延伸
倍率9倍、比較例4及び7は延伸倍率11倍の延伸処理
を行ったものである。
【0034】さて、上記した実施例1〜3並びに比較例
1〜7について、縦割れ現象が発生しやすいかどうかを
次のような試験方法により調べた。即ち、図3に示すよ
うに、実施例1〜3並びに比較例1〜7の同径の各ステ
ィック(試料A)を、先端(図で右端)から50mmの部
分だけが水平方向に突出するようにして上下から挟付け
て支持し、その先端部に、真下方向に100gの荷重を
急激に作用させた。そして、その際の、試料の先端部の
下方へのたわみ距離W(mm)を計ると共に、試料の曲げ
の支点部分B(先端から50mm左側の部分)の縦方向の
亀裂(割れ)の発生状況を目視にて観察した。
【0035】この試験結果を、原料の成分組成及び延伸
倍率と共に次の表1に示す。尚、亀裂の発生状況の評価
欄は、全く亀裂が発生しなかったものを二重丸、僅かに
亀裂が見られるがものを丸、亀裂が多く見られるものの
割れに至ってはいないものを三角、無数の亀裂が生じ縦
割れ現象が生じたものをバツで示している。また、たわ
み距離Wの値が小さいほど、曲げ剛性に優れるものであ
る。
【0036】
【表1】
【0037】この試験結果から明らかなように、実施例
1〜3のスティックは、亀裂の発生が全く見られず、縦
割れ現象の発生を確実に防止することができるものであ
る。また、曲げ剛性についても、ポリプロピレン単体の
原料を用いた比較例2〜4のスティックに比べて若干劣
るに止まり、実使用上十分優れた曲げ方向の物理的特性
を備えるものであった。これは、延伸処理の際に無機質
フィラーが、ポリプロピレンの分子が延伸方向に延びる
際の障害となるため、ポリプロピレンの分子が直線状で
はなくある程度蛇行した形状となると共に、ジグザグ
状,コイル状等の複雑に絡み合った形状をなす非結晶性
樹脂の分子が、延伸方向に延びたポリプロピレンの直鎖
状の分子間に、巻付くようにして絡み合うようになるた
めであると考えられる。
【0038】これに対し、未延伸の比較例1のスティッ
クは、曲げ方向の物理的特性に極めて劣り、製品として
の使用に耐え得るものではなかった。また、ポリプロピ
レン単体の原料を用いた比較例2〜4のスティックで
は、延伸処理により曲げ方向の物理的特性に優れたもの
となるものの、縦割れ現象の発生が顕著で、やはり実使
用に耐え得るものではない。これは、ポリプロピレンの
分子が延伸方向に延びた直鎖状の分子配向に均一化さ
れ、分子同士の横方向のからみがなくなるためであると
考えられる。
【0039】さらには、ポリプロピレンに無機質フィラ
ーを添加した原料を用いた比較例5〜7においては、延
伸倍率が7倍程度と小さいもの(比較例5)は、縦割れ
現象の発生防止効果が得られたが、延伸倍率が9倍以上
と大きくなると(比較例6,7)については、縦割れ現
象の発生防止効果が実施例1〜3に比べて劣っていた。
このことから、無機質フィラーだけの添加では、十分な
縦割れ現象の発生防止効果が得られず、熱可塑性非結晶
性樹脂及び無機質フィラーの双方を添加することにより
初めて、縦割れ現象の発生を効果的に防止することがで
きると言えるのである。
【0040】そして、上記表1には示されていないが、
本発明者の実験,研究によれば、十分な縦割れ現象の発
生防止効果を得るためには、熱可塑性結晶性樹脂に熱可
塑性非結晶性樹脂を少なくとも1%以上混合した合成樹
脂材料に対し、無機質フィラーを少なくとも2%以上添
加した原料を用いることが必要であることが明らかとな
った。この場合、それらの配合割合は、延伸倍率や、製
品の使用目的,目標とする物性等に応じて適宜選定すれ
ば良く、例えば、延伸倍率が小さい(7倍程度)のもの
では、熱可塑性非結晶性樹脂及び無機質フィラーの最低
の添加量で、十分な縦割れ現象の防止効果を得ることが
できるのである。
【0041】さらに、熱可塑性結晶性樹脂に対する熱可
塑性非結晶性樹脂の混合割合は20%以下に止めるべき
である。これは、熱可塑性非結晶性樹脂が20%を越え
ると、延伸効果つまり製品の物理的特性が低下するため
であり、また、原料コストも高騰してしまうことにな
る。そして、合成樹脂材料に対する無機質フィラーの添
加割合は15%以下に止めるべきである。これは、無機
質フィラーの添加量が15%を越えると、製品にいわゆ
る針金物性(曲げられると元に戻らなくなる現象)が生
じてしまうからである。
【0042】
【発明の効果】以上の説明にて明らかなように、本発明
の合成樹脂製スティックによれば、ポリプロピレンを主
成分とした熱可塑性結晶性樹脂に、熱可塑性非結晶性樹
脂を1〜20%混合した合成樹脂材料に、無機質フィラ
ーを2〜15%添加した原料からなり、前記原料を押出
成形して得られたロッドを、7〜15倍に延伸処理して
構成したので、曲げ方向の物理的特性に優れると共に、
縦割れ現象の発生を効果的に防止することができるとい
う優れた実用的効果を奏するものである。
【0043】また、本発明の合成樹脂製スティックの製
造装置によれば、原料を押出成形して所定径のロッドを
成形する押出成形装置と、この押出成形装置に連続して
設けられ前記ロッドを遠赤外線ヒータにより加熱軟化さ
せて延伸処理し所定径のスティックとする延伸処理装置
と、この延伸処理装置に連続して設けられ前記スティッ
クのアニーリングを行うアニール処理装置とを具備する
ので、ロッドを効率的且つ安定的に加熱することがで
き、生産性に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、製造装置の概
略的縦断正面図
【図2】加熱炉の縦断側面図
【図3】縦割れ現象の発生を調べる試験方法を説明する
ための図
【符号の説明】
図面中、1は製造装置、2は押出成形装置、3は延伸処
理装置、4はアニール処理装置、6は押出機、7はロッ
ド、8は冷却槽、9はロッド用引取機、13は加熱炉、
14はスティック、15は冷却槽、16は延伸用引取
機、17は遠赤外線ヒータ、19はアニール炉、20は
冷却槽、21はアニール用引取機、Pは延伸ポイントを
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 23:00 105:16 B29L 23:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外径が1〜5mm程度の中実あるいは中空
    の合成樹脂製スティックであって、ポリプロピレンを主
    成分とした熱可塑性結晶性樹脂に、熱可塑性非結晶性樹
    脂を1〜20%混合した合成樹脂材料に、無機質フィラ
    ーを2〜15%添加した原料からなり、前記原料を押出
    成形して得られたロッドを、7〜15倍に延伸処理して
    なる合成樹脂製スティック。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の合成樹脂製スティックを
    製造するための装置であって、前記原料を押出成形して
    所定径のロッドを成形する押出成形装置と、この押出成
    形装置に連続して設けられ前記ロッドを遠赤外線ヒータ
    により加熱軟化させて延伸処理し所定径のスティックと
    する延伸処理装置と、この延伸処理装置に連続して設け
    られ前記スティックのアニーリングを行うアニール処理
    装置とを具備することを特徴とする合成樹脂製スティッ
    クの製造装置。
JP6005733A 1994-01-24 1994-01-24 合成樹脂製スティック及びその製造装置 Pending JPH07205275A (ja)

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