JP4974376B2 - 成膜成形体およびその製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電気回路が形成された基板や車両に取り付けたりするエンブレムに用いることができる成膜成形体およびその製造装置に関するものである。
従来、射出成形された基材の表面に成膜を施す場合、射出成形用の金型から取出した射出成形体の複数を成膜室に搬入し、その表面に成膜を施した後、搬出するようにしていた。ところがこのものでは、作業効率が悪いだけでなく、搬入、搬出の工程で埃が表面に付着したり指が触れたりするようなことがあり、このような場合、該部位で成膜不良になるという問題がある。
そこで成膜装置を射出成形用の金型に組み込み、射出成形された基材の表面に成膜を施すという一連の加工工程で射出成形、成膜成形を行うようにし、これによって作業効率を大幅にアップすると共に、成膜面に埃が付着したり指で触るようなことがないようにして不良率の著しい低減が図れ、大きなコストダウンを達成できるようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1、2)。
国際公開WO2004−101253号公報 国際公開WO2004−101254号公報
ところが前記何れのものも表面全体に成膜を施すものであり、このため、例えば凹凸面部があるものについて、凹面部および凸面部にのみ成膜を施し、凹面部と凸面部とのあいだにある段差面部には成膜を施さないようにして上下二段の立体感があるエンブレムを製造したり上下二段の電気回路用の基板を製造したいような場合、該段差面をマスキングする等して成膜が施されないようにする必要があるが、このようなマスキングは面倒かつ煩雑であり、特に凹凸面の形状が複雑になったり小さくなったりするとマスキングが事実上できなくなるという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、射出成形された基材の表面に成膜が施されたものであって、該基材の成膜部位を、金型の押圧で形成された段差面部を介して成膜が分断された少なくとも二段の凹面部、凸面部が形成されたエンブレムであることを特徴とする成膜成形体である。
請求項2の発明は、互いに型合わせされて基材を射出成形するための射出用型面と、該成形された基材の表面に成膜を施すための成膜用型面とが形成された金型を備えて構成される成膜成形体の製造装置であって、前記金型には、基材の成膜部位を押圧することで少なくとも二段の凹面部、凸面部を成膜が分断された段差面部を介して形成するための金型が設けられていることを特徴とする成膜成形体の製造装置である。
請求項1、の発明とすることにより、凹凸面部にのみ成膜が施され、段差面部には成膜が施されていない成膜成形体を、面倒なマスキングをすることなく簡単に製造できることになる。
次ぎに、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1は電気回路の基板であって、該基板1は、絶縁性樹脂材で形成され、凹面部2a、凸面部2bを段差面部2cを介する状態で備えた基材2と、前記凹面部2a、凸面部2bにそれぞれ施された導電性金属からなってそれぞれ電気回路を構成する成膜3、4と、基板1の表面に施される保護膜5とを備えて構成されている。そして斯かる基板1は、次のようにして製造される。
図2、3に本発明の実施の形態を示すが、このものにおいて、6、7は互いに対向する金型面に対して垂直な方向と平行な方向とに互いに相対移動するように構成された第一、第二の金型(ベース金型)であって、本実施の形態では第一金型6が固定金型、第二金型7が移動金型となっているが、固定、移動を逆にしても良く、また両者を移動するものにしても構成できる。
そして本実施の形態では第一金型6に、基板1の表面側を形成するため凹型になった射出用型面6aと、基板1の表面に成膜を施すための成膜装置(真空蒸着やスパッタリング等の通常知られた成膜装置を用いることができる)8を組込んだ(内装した)成膜用型面6bとが形成され、第二金型7には基板1の裏面側を形成するため凹型になった射出用型面7aが形成されているが、前記射出用型面6a、7aには、前記凹凸面部2a、2bを形成するための射出用型面6a、7aに対して出没移動できる金型(第一、第二金型6、7と区別するため、以降「子金型」という)6c、7bがそれぞれ設けられているが、これら子金型6c、7bは、本実施の形態では互いに対向するようにして設けられている。
そしてこのものでは、まず図2(A)に示すように、子金型6c、7bが各型面6a、7aに対して突出したり没入したりすることがない状態、つまり面一状になった状態で射出用型面6a、7a同士が対向している姿勢から、第一、第二金型6、7を型合わせして型面6a、7a同士を付き合わせ、ここに樹脂材を射出して基礎基板9を形成する(図2(B)参照)。ついで第一、第二金型6、7を型離れさせることになるが、このとき基礎基板9は第二金型7に残るように型設計されている。この状態で第二金型7の射出用型面7aを第一金型6の成膜用型面6bとが型合わせされるよう型移動させた後、成膜装置8によって基礎基板9の表面(型面6aからの脱型表面)に銅や銀、金等の導電性金属を素材とした基礎成膜10を施す(図2(C)参照)。基礎成膜10は、電気を通電するに充分な厚さになるようにして成膜される。
しかる後、第一、第二金型6、7の相対移動によって、前記基礎成膜10が施された基礎基板9を第一金型の射出用型面6aに型入れする(図3(A)参照)。そして第二金型7側の子金型7bを射出用型面7aから没入(退避)移動させる(図3(B)参照)と共に、第一金型6側の子金型7cを射出用型面6aから突出移動させる(図3(C)参照)。これによって前記基礎成膜10が施された基礎基板9は、打ち抜きまでされない状態での剪断が施されることになって、前記成膜3が施された凹面部2aと成膜4が施された凸面部2bとが、成膜が施されていない段差面部2cを介して形成されることになって上下二段の電気回路が形成された基板1を構成するようになっている。因みに、子金型によって段差面部2cを形成する工程では、射出した樹脂材の温度がまだ高く、子金型による押圧で樹脂材がまだ流動できる状態、つまりゲル状態に維持されていることが必要である。また保護膜5は、必要である場合に施されるが、この保護膜5は、成膜分断工程後、必要な電気、電子部品を取付けた後に施すことが好ましい。
叙述の如く構成された本発明の実施の形態にすることで、基礎基板9の表面に基礎成膜10を施したものについて、子金型6cによる押圧で基礎成膜10を分断した状態の段差面部2cが形成されることになり、この結果、導電性の成膜3、4がそれぞれ形成された凹面部2a、凸面部2bが互いに絶縁された状態で形成される。
このように本発明が実施されたものにおいては、互いに絶縁され、電気回路としてそれぞれ成り立つ成膜3、4が施されたものでありながら、斯かる成膜3、4は、成膜時に面倒なマスキングをする必要がなく、単に子金型6cによる押圧で段差面部2cを形成することでできることになり、作業性が向上する。
尚、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものでないことは勿論であって、図4に示す第二の実施の形態のように車両のボンネット等に取付けるエンブレム11としても形成することができる。このものは、凹凸面部11a、11b、11cが上、中、下の三段になったものである。そしてこの場合、凹凸面部11a、11b、11cを形成するため子金型を最初に射出形成される基礎基材に押し入れることになるが、該押し入れることによって流れる樹脂材について、前記第一の実施の形態のように裏面に突出させることなくフラットにしたものであり、このため、基礎基材の裏面側に流れる樹脂材分に相当する凹形状をしたスペース11fを型形成しておき、このスペース11fに樹脂材を流すようにしている。そしてこのようにして形成したエンブレムは、二つの段差面部11d、11eに基材自体が露出した立体感のある凹凸面部を提供できることになる。そしてエンブレムとして使用する場合、成膜分断工程の後、透明な保護材12を射出する等して施すことが好ましいが、この場合には、第一金型に保護材射出用の型面を形成しておき、成膜分断工程の後、分断基板を保護膜射出用型面に型入れし、保護材を射出して施すようにすれば、一連の工程で保護材まで施されたエンブレムを製造することができ、作業性が向上する。
また前記実施の形態では、基材の射出成形するための第一金型の射出用型面6aに子金型6cを設けたが、これに限定されることなく、成膜分断をするため専用の型面を設け、該型面に分断用の子金型を形成したものとしても実施することができる。また第二金型側に形成される没入用の子金型としては、第一金型側に形成される押圧用の子金型と同一形状をする必要はなく、樹脂材に流動性があることを考慮すれば、例えば一部に纏まったものを流動させるようにしても実施することができる。
(A)(B)は第一の実施の形態である回路基板の正面図、断面図である。 (A)〜(C)は回路基板の前半の製造工程を示す工程図である。 (A)〜(C)は回路基板の前半の製造工程を示す工程図である。 (A)(B)は第二の実施の形態であるエンブレムの正面図、断面図である。
符号の説明
1 基板
2 基材
2a 凹面部
2b 凸面部
2c 段差面部
3、4 成膜
6 第一金型
6c 子金型
7 第二金型
7b 子金型

Claims (2)

  1. 射出成形された基材の表面に成膜が施されたものであって、該基材の成膜部位を、金型の押圧で形成された段差面部を介して成膜が分断された少なくとも二段の凹面部、凸面部が形成されたエンブレムであることを特徴とする成膜成形体。
  2. 互いに型合わせされて基材を射出成形するための射出用型面と、該成形された基材の表面に成膜を施すための成膜用型面とが形成された金型を備えて構成される成膜成形体の製造装置であって、前記金型には、基材の成膜部位を押圧することで少なくとも二段の凹面部、凸面部を成膜が分断された段差面部を介して形成するための金型が設けられていることを特徴とする成膜成形体の製造装置。
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