JP4973625B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置に関する。
画像形成装置には、例えばシート材を搬送するためのベルトと、クリーニング機構とを備えたものがある。クリーニング機構は、例えば上記ベルトに接触するクリーニングローラ及び電圧生成回路を有し、電圧生成回路の生成電圧をクリーニングローラに与えることにより、ベルト上の付着物(トナーやシート材の破片など)を電気的に吸引する。また、通常、クリーニングローラに与えられている電圧をモニタするためのフィードバック抵抗が備えられ、電圧生成回路の生成電圧は、このフィードバック抵抗の端子電圧レベルに基づきフィードバック制御される構成になっている。
ここで、従来から、例えばクリーニングローラの劣化状態等を把握するために、当該クリーニングローラに流れる電流を検出する電流検出機構を備えた画像形成装置がある(特許文献1参照)。具体的には、この電流検出機構は、電圧生成回路とグランドラインとの間に設けられた検出抵抗を有し、この検出抵抗の端子電圧レベルに基づきクリーニングローラに流れる電流レベルを検出するようになっている。
特開2008−58475公報
ところが、上記従来の電流検出機構では、クリーニングローラに流れる電流を正確に検出できないことがあり、更なる改良が望まれていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、クリーニング部材(上記クリーニングローラを含む)に流れる電流の検出精度を向上させることが可能な画像形成装置を提供するところにある。
上記の目的を達成するための手段として、第1発明に係る画像形成装置は、被クリーニング体と、前記被クリーニング体の付着物をクリーニングするための第1クリーニング部材と、前記第1クリーニング部材の付着物をクリーニングするための第2クリーニング部材と、前記第1クリーニング部材との間で前記被クリーニング体を挟むように配置され、且つ、前記第1クリーニング部材と基準電位ラインとの間に電気的に接続されるバックアップ部材と、前記第2クリーニング部材に印加する第2クリーニング電圧を生成する電圧生成回路と、前記電圧生成回路の出力側と前記第1クリーニング部材との間に電気的に接続されるシャント回路と、前記シャント回路から前記第1クリーニング部材に印加される第1クリーニング電圧を検出するためのフィードバック抵抗と、前記シャント回路に流れる電流レベルを、前記フィードバック抵抗の端子電圧に基づき変更することにより、前記第1クリーニング電圧を制御する制御部と、前記バックアップ部材と前記基準電位ラインとの間に電気的に接続される検出抵抗と、前記検出抵抗の抵抗値、及び、前記検出抵抗の端子電圧に基づき、前記第1クリーニング部材に流れる電流レベルを検出する検出部と、を備える。
従来の電流検出機構では、クリーニング部材に流れる電流検出用としての検出抵抗が、電圧生成回路とグランドラインとの間に接続されていたため、クリーニング部材には流れずにフィードバック抵抗に流れる電流が、検出抵抗に流れてしまう。このことが、従来の電流検出機構においてクリーニング部材に流れる電流レベルの検出精度を悪化させていた要因の1つであると考えられる。
これに対して、本発明は、検出抵抗がバックアップ部材と基準電位ライン(例えばグランドライン)との間に接続されている。即ち、検出抵抗を、フィードバック抵抗に流れる電流の経路とは異なる電流経路に接続した。これにより、フィードバック抵抗に流れる電流による影響が抑制され、クリーニング部材に流れる電流レベルの検出精度を向上させることができる。
第2の発明は、第1の発明の画像形成装置であって、前記制御部は、前記検出部により検出された検出電流レベル、前記第1クリーニング電圧と、前記第2クリーニング電圧とに基づき、前記第1クリーニング部材及び前記第2クリーニング部材の負荷抵抗値が下限値を下回る場合に、前記第2クリーニング電圧を減少させる。
例えば第1クリーニング部材が劣化したり損傷したりすると、当該第1クリーニング部材の抵抗値が低下し、第1クリーニング部材と被クリーニング体との間に過電流が流れるおそれがある。これに対し、本発明によれば、第1クリーニング部材及び第2クリーニング部材の負荷抵抗値を監視することにより、上記過電流が流れることを抑制できる。
第3の発明は、第1または第2の発明の画像形成装置であって、前記制御部は、前記検出部により検出された検出電流レベル、前記第1クリーニング電圧と、前記第2クリーニング電圧とに基づき、前記第1クリーニング部材及び前記第2クリーニング部材の負荷抵抗値が上限値を上回る場合に、前記第2クリーニング電圧を増加させる。
例えば第1クリーニング部材に多量の付着物が残存したりすると、当該第1クリーニング部材の抵抗値が高くなり、第1クリーニング部材と被クリーニング体との間に過少な電流しか流れなくなるおそれがある。これに対し、本発明によれば、第1クリーニング部材及び第2クリーニング部材の負荷抵抗値を監視することにより、上記過少な電流しか流れなくなることを抑制できる。
第4の発明は、第1から第3のいずれか一つの発明の画像形成装置であって、前記制御部による前記第1クリーニング電圧の制御を実行する電圧制御モードと、前記検出部による電流検出を実行する検出モードとを切り替える切替部を備え、前記制御部は、前記検出モード時には、前記シャント回路に流れる電流レベルを、前記電圧制御モード時よりも小さい値に保持する。
本発明によれば、検出モード時にシャント回路に流れる電流レベルを、電圧制御モード時よりも小さくすることにより、シャント回路に流れる電流の影響を抑制でき、クリーニング部材に流れる電流の検出精度を、より向上させることができる。
第5の発明は、第4の発明の画像形成装置であって、前記切替部は、前記電圧制御モード時に、前記検出抵抗の端子電圧と基準レベルとを比較し、その比較結果に応じて前記検出モードに切り替えるかどうかを決定する。
本発明によれば、電圧制御モードの実行中に、検出抵抗の端子電圧と基準レベルとの比較結果に応じて、検出モードを実行する必要性があるかどうかを判定するため、検出モードに無闇に移行することを抑制できる。
第6の発明に係る画像形成装置は、被クリーニング体と、前記被クリーニング体の付着物をクリーニングするためのクリーニング部材と、前記クリーニング部材と基準電位ラインとの間に接続され、且つ、前記クリーニング部材との間で前記被クリーニング体を挟むバックアップ部材と、前記クリーニング部材に印加するクリーニング電圧を生成する電圧生成回路と、前記クリーニング電圧を検出するためのフィードバック抵抗と、前記フィードバック抵抗の端子電圧に基づき前記クリーニング電圧を制御する制御部と、前記バックアップ部材と前記基準電位ラインとの間に設けられる検出抵抗と、前記検出抵抗の抵抗値、及び、前記検出抵抗の端子電圧に基づき、前記クリーニング部材に流れる電流レベルを検出する検出部と、を備える。
本発明は、検出抵抗を、フィードバック抵抗に流れる電流の経路とは異なる電流経路に接続した。これにより、フィードバック抵抗に流れる電流による影響が抑制され、クリーニング部材に流れる電流レベルの検出精度を向上させることができる。
本発明によれば、クリーニング部材に流れる電流の検出精度を向上させることが可能である。
本発明の一実施形態を図1〜図4を参照しつつ説明する。
(プリンタの全体構成)
図1は、本実施形態のプリンタ1(本発明の「画像形成装置」の一例)の内部構成を表す概略断面図である。以下の説明では、各構成要素について、色毎に区別する場合は各部の符号にY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),B(ブラック)の添え字を付し、区別しない場合は添え字を省略する。
プリンタ1は、給紙部3と、画像形成部5と、搬送機構7と、定着部9と、高圧制御装置11、を備え、例えば外部から入力される画像データに応じた1または複数色(本実施形態ではイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色)のトナーTからなるトナー像を、シート材15(用紙、OHPシートなど)に形成する。更に、プリンタ1は、クリーニング機構13を備える。
給紙部3は、プリンタ1の最下部に設けられており、シート材15を収容するトレイ17と、ピックアップローラ19とを備える。トレイ17に収容されたシート材15は、ピックアップローラ19により1枚ずつ取り出され、搬送ローラ21,レジストレーションローラ23を介して搬送機構7に送られる。
搬送機構7は、シート材15を搬送するためのものである。この搬送機構7は、ベルト27が、駆動ローラ29と従動ローラ31との間に架け渡された構成になっている。駆動ローラ29が回動すると、ベルト27は、感光体39と対向する側の表面が、図1中の右方向から左方向へ移動する。これにより、レジストレーションローラ23から送られてきたシート材15が、画像形成部5下へと搬送される。また、搬送機構7は、4つの転写ローラ33を備える。
画像形成部5は、4個の現像ユニット37Y,37M,37C,37Bを有する。各現像ユニット37は、感光体39、帯電器41と、露光装置43と、ユニットケース45とを備える。
感光体39は、例えば、アルミニウム製の基材上に、正帯電性の感光層が形成されたものであり、このアルミニウム製の基材がプリンタ1のグランドラインに接地されている。帯電器41は、感光体39の表面を正極性(例えば+700V)に帯電させる。
露光装置43は、感光体39の回転軸方向に沿って一列状に並んだ複数の発光素子(例えばLED)を有し、これらの複数の発光素子を、外部より入力される画像データの1色分に応じて発光制御することにより、感光体39の表面に静電潜像を形成する。
ユニットケース45は、各色のトナーT(本実施形態では、例えば正帯電性の非磁性1成分トナー)を収納するとともに、現像手段としての現像ローラ47を有する。現像ローラ47が、トナーTを「+」(正極性)に帯電させ、均一な薄層として感光体39上へ供給することにより上記静電潜像を現像してトナー象を形成する。
上記各転写ローラ33は、上記各感光体39との間でベルト27を挟む位置に配置されている。各転写ローラ33は、図示しない負電圧の電源により、感光体39との間にトナーTの帯電極性とは逆極性の転写電圧(例えば−10〜−15μA)が印加されて、感光体39上に形成された上記トナー像をシート材15に転写する。その後、当該シート材15は、搬送機構7により定着部9へと搬送され、この定着部9にてトナー像が熱定着され、プリンタ1の上面に排出される。
(クリーニング機構の構成)
図2は、クリーニング機構13の構成図である。クリーニング機構13は、搬送機構7の下方に設けられ、ベルト27(本発明の「被クリーニング体」の一例)上の付着物(ベルト27に残存したトナーTやシート材の破片(紙粉)など)をクリーニングする。以下、付着物としてトナーTを例に挙げて説明する。クリーニング機構13は、クリーニングローラ51(本発明の「第1クリーニング部材」の一例)、回収ローラ53(本発明の「第2クリーニング部材」の一例)、バックアップローラ55(本発明の「バックアップ部材」の一例)、クリーニングブレード57、貯留ボックス59を有する。
クリーニングローラ51は、ベルト27の幅方向に延びた軸部材51Aの周囲にシリコーンからなる発泡材が設けられた構成になっている。バックアップローラ55は、金属製であって、クリーニングローラ51との間でベルト27を挟んで対向するように配置されていると共に、グランドライン(本発明の「基準電位ライン」の一例)側に電気的に接続されている。
クリーニングローラ51は、ベルト27に接触しながら、その接触部分においてベルト27とは反対方向に移動するように回転駆動される。そして、クリーニングローラ51に与えられる第1クリーニング電圧V1(トナーTの極性とは逆極性の電圧)が、第1最終目標レベル(例えば−1200V)になると、ベルト27に付着したトナーTをクリーニングローラ51に電気的に吸引し、ベルト27表面をクリーニングすることができる。
また、回収ローラ53は、金属製(例えば、鉄材にNiメッキが施された構成、あるいはステンレス材からなる構成等)であって、クリーニングローラ51に接触している。回収ローラ53に与えられる第2クリーニング電圧V2(絶対値が上記第1クリーニング電圧V1よりも大きい)が、第2最終目標レベル(例えば−1600V)になると、クリーニングローラ51に付着したトナーTを回収ローラ53に電気的に吸引し、当該トナーTを回収することができる。
クリーニングブレード57は、例えばゴム製であって、回収ローラ53に当接しており、回収ローラ53に付着しているトナーTを掻き取る。掻き取られたトナーTは貯留ボックス59に貯留される。
(高圧制御装置の構成)
上記高圧制御装置11は、転写ローラ33、現像ローラ47、帯電器41、クリーニング機構13など、プリンタ1に備えられた各電気的負荷への印加電圧を生成する。
図3は、高圧制御装置11のうち、クリーニング機構13への印加電圧(第1クリーニング電圧V1,第2クリーニング電圧V2)を生成する構成部分が図示されている。高圧制御装置11は、印加回路63と、PWM(Pulse Width Modulation。パルス幅変調)制御回路65とを備える。なお、PWM制御回路65は、CPUを内蔵して構成されたものでも、特定用途向け集積回路(ASIC)として構成されたものでもよい。
印加回路63は、シャント方式を採用した2出力タイプであり、上述した第1クリーニング電圧V1と第2クリーニング電圧V2とを出力する。具体的には、印加回路63は、主として、電圧生成回路67とシャント回路69とを有する。
(1)電圧生成回路
電圧生成回路67は、回収ローラ53に印加する第2クリーニング電圧V2を生成する電源回路であり、PWM信号平滑回路71、トランスドライブ回路73、昇圧・平滑整流回路75を備えている。PWM信号平滑回路71は、PWM制御回路65のPWMポート65AからのPWM信号S1を受けて平滑しトランスドライブ回路73に与える。トランスドライブ回路73は、自励巻線73Aを有し、受けたPWM信号S1に基づき、昇圧・平滑整流回路75の1次側巻線77Aに発振電流を流すよう。
昇圧・平滑整流回路75は、トランス(変圧器)77、ダイオード79、平滑コンデンサ81などを備えている。トランス77は、1次側巻線77A,2次側巻線77Bを備えている。2次側巻線77Bの一端は、ダイオード79及び第2出力端子TB2を介して回収ローラ53のローラ軸に電気的に接続される。また、平滑コンデンサ81及び放電抵抗83がそれぞれ2次側巻線77Bに並列に接続されている。このような構成により、1次側巻線77Aの発振電圧が、昇圧・平滑整流回路75にて昇圧及び整流され、回収ローラ53のローラ軸に第2クリーニング電圧V2として印加される。
また、電圧生成回路67には、その第2クリーニング電圧V2を検出するためのフィードバック抵抗R1、R2が設けられており、この分圧電圧に応じた検出信号S2がPWM制御回路65のA/Dポート65Bに与えられる。PWM制御回路65は、この検出信号S2に基づき、第2クリーニング電圧V2が、設定された目標レベル(以下、「第2目標レベル」という)になるように上記PWM信号S1のデューティ比を適宜変更して、定電圧制御を実行する。なお、フィードバック抵抗R2は、グランドラインではなく正極性電位(本実施形態ではプラス5[V])ラインに電気的に接続されている。これにより、上記A/Dポート65Bに負極性電圧が与えられることを防止できる。
(2)シャント回路
シャント回路69は、クリーニングローラ51に印加する第1クリーニング電圧V1を、上記第2クリーニング電圧V2に基づき生成する。シャント回路69は、主として、電流制御回路91及びフォトカプラ93を備える。
電流制限回路91は、クリーニングローラ51に電気的に接続される第1出力端子TB1と上記第2出力端子TB2との間に接続された、電流調整素子としてのトランジスタ95を有する。より具体的には、トランジスタ95は、pnp型であり、コレクタが第2出力端子TB2側に接続され、エミッタがツエナーダイオード94を介して第1出力端子TB1側に接続され、ベースが入力抵抗97を介してフォトカプラ93に接続されている。これにより、フォトカプラ93がオフのときトランジスタ95はオンし、フォトカプラ93がオンするとトランジスタ95はオフする。
また、トランジスタ95のエミッタ側には、第1クリーニング電圧V1を検出するためのフィードバック抵抗R3,R4が設けられており、この分圧電圧に応じた検出信号S3がPWM制御回路65のA/Dポート65Dに与えられる。なお、フィードバック抵抗R4は、グランドラインではなく正極性電位(本実施形態ではプラス5[V])ラインに電気的に接続されている。これにより、上記A/Dポート65Dに負極性電圧が与えられることを防止できる。
電流制御回路91は、フォトカプラ93を介してPWM制御回路65のPWMポート65Cに接続されている。電流制御回路91は、このPWMポート65Cから出力されるPWM信号S4に応じてトランジスタ95のベース電位を変更することで、トランジスタ95に流れる電流(本発明の「シャント回路に流れる電流」の一例 以下、「シャント電流IR1」という)の電流レベル、換言すれば、トランジスタ95の抵抗値(シャント抵抗値)を調整する。PWM制御回路65は、上記検出信号S3に基づき、第1クリーニング電圧V1が、設定された目標レベル(以下、「第1目標レベル」という)になるように上記PWM信号S4のデューティ比を適宜変更して、定電圧制御を実行する。
(各電流経路と検出抵抗の位置について)
図3には、印加回路63に流れる各電流の電流経路が示されている。上記シャント電流IR1は、クリーニングローラ51と回収ローラ53との間の経路を通ってシャント回路69に戻る。上記ベルト27に流れる電流(以下、「ベルト電流IR2」という)は、バックアップローラ55、ベルト27、クリーニングローラ51、回収ローラ53及びトランス77を通ってグランドラインに流れる。即ち、クリーニングローラ51と回収ローラ53との間の経路には、シャント電流IR1とベルト電流IR2とを合算した電流(本発明の「第1クリーニング部材あるいはクリーニング部材に流れる電流」の一例 以下、「合算電流IR」という)が流れる。
フィードバック抵抗R3、R4を流れるフィードバック電流IFB1は、トランス77を通ってグランドラインに流れる。また、フィードバック抵抗R1、R2に流れるフィードバック電流IFB2も、やはりトランス77を通ってグランドラインに流れる。そして、図2、図3に示すように、バックアップローラ55とグランドラインとの間に検出抵抗R5が設けられており、この端子電圧に応じた検出信号S5がPWM制御回路65のA/Dポート65Eに与えられる。後述するように、PWM制御回路65は、この検出抵抗R5によって上記合算電流IRを検出することができる。
(クリーニングローラの抵抗値検出について)
例えばクリーニングローラ51が劣化したり、損傷したりして当該クリーニングローラ51の抵抗値が小さくなると、ベルト電流IR2が増大する。ベルト27は、一定の電流以上の過電流(例えば100μA)が流れると、穴が開くなど、破損のおそれがあるため、上記クリーニングローラ51の抵抗値が所定の下限値を下回っているかどうかを判定する必要がある。
一方、例えばクリーニングローラ51に多量のトナーTが残存したりして当該クリーニングローラ51の抵抗値が大きくなると、クリーニングローラ51と回収ローラ53との間に過少な電流しか流れなくなる。そうすると、ベルト27上のトナーTを十分に除去できないなど、クリーニング不良が生じるおそれがあるため、上記クリーニングローラ51の抵抗値が所定の上限値を上回っているかどうかを判定する必要がある。
なお、回収ローラ53も、劣化、損傷、トナーTの残存などが生じることがあり、これに伴って抵抗値が変動し得る。しかし、本実施形態の場合、回収ローラ53は、金属製であるので、発泡材からなるクリーニングローラ51に比べて劣化や、トナーTの残存等が生じにくく、抵抗値の変動が小さい。このため、本実施形態では、クリーニングローラ51及び回収ローラ53の抵抗値が異常なレベルに変動した場合は、クリーニングローラ51に劣化等が生じたと判定する。また、クリーニングローラ51及び回収ローラ53の抵抗値は、厳密には、クリーニングローラ51の軸部材51Aと回収ローラ53との間の抵抗値であるが、これはクリーニングローラ51自身の抵抗値とほぼ同じであるとみなせる。従って、以下、この抵抗値を「クリーニングローラ51の抵抗値RC」ということがある。
クリーニングローラ51の抵抗値RCは、第1クリーニング電圧V1レベルと、第2クリーニング電圧V2レベルと、上記合算電流IRレベルとから求めることができる。PWM制御回路65は、シャント回路69からの上記検出信号S3に基づき第1クリーニング電圧V1レベルを取得し、電圧生成回路67からの上記検出信号S2に基づき第2クリーニング電圧V2を取得し、検出抵抗R5からの上記検出信号S5に基づき合算電流IRレベルを取得することができる。
(PWM制御回路の処理内容)
PWM制御回路65は、「電圧制御モード」と「検出モード」とを実行可能に構成されている。電圧制御モードでは、第1クリーニング電圧V1が第1目標レベル(第1初期目標レベル、第1最終目標レベル)に、第2クリーニング電圧V2が第2目標レベル(第2初期目標レベル、第2最終目標レベル)になるように、定電圧制御を実行する。一方、検出モードでは、クリーニングローラ51の抵抗値RCを検出して、当該クリーニングローラ51の劣化・損傷やクリーニング不良の有無を判定する。
図4は、PWM制御回路65が実行する制御処理を示すフローチャートである。このとき、PWM制御回路65は「制御部、検出部、切替部」として機能する。プリンタ1に電源が投入されると、PWM制御回路65は、上記制御処理を実行する。まずS101では、第1目標レベルを第1初期目標レベル(−1000V)に設定し、第2目標レベルを第2初期目標レベル(−1400V)に設定し、電圧制御モードを開始する。第1初期目標レベルは、第1最終目標レベルよりも絶対値が小さい負極性レベルであり、第2初期目標レベルは、第2最終目標レベルよりも絶対値が小さい負極性レベルである。このように構成することにより、電源投入時に例えばクリーニングローラ51が劣化等していた場合でも、ベルト27に過大なベルト電流IR2が流れることを抑制することができる。
ここで、電圧制御モードの実行中は、図3から分かるように、クリーニングローラ51にはシャント電流IR1とベルト電流IR2とが流れるのに対し、検出抵抗R5にはベルト電流IR2しか流れない。このため、電圧制御モードの実行中に、検出抵抗R5の端子電圧(以下、「検出電圧VD」という)レベルに基づき、クリーニングローラ51に流れる電流(上記合算電流IR)、ひいてはクリーニングローラ51の抵抗値RCを正確に検出することはできない。しかし、クリーニングローラ51の抵抗値RCが変化すれば、検出電圧VDレベルも当然に変化する。従って、検出電圧VDレベルに基づき、クリーニングローラ51の劣化・損傷や、クリーニング不良が生じるおそれがあるかどうかを、大雑把に判定することが可能である。
そこで、S103では、電圧制御モードを続行しつつ、検出信号S5に基づき検出電圧VDレベルを取得する。そして、S105で、この検出電圧VDレベルが、第1基準範囲(下限値TH1min、上限値TH1max 本発明の「基準レベル」の一例)内にあるかどうかを判定する。なお、この第1基準範囲は、次のようにして求めることができる。クリーニングローラ51の劣化・損傷や、クリーニング不良が生じた状態で、第1初期目標レベル及び第2初期目標レベルで電圧制御モードを実行し、検出電圧VDレベルをサンプリングする実験を行い、その実験結果から、クリーニングローラ51の劣化・損傷や、クリーニング不良が生じないような範囲として上記第1基準範囲を求める。そして、求められた第1基準範囲が図示しないROM等の記憶装置に記憶され、PWM制御回路65がS105を実行する際に第1基準範囲が用いられる。
検出電圧VDレベルが第1基準範囲内であれば(S105:YES)、クリーニングローラ51の劣化・損傷や、クリーニング不良が生じる危険性は小さいとみなせる。このため、S107に進み、第1目標レベルを第1最終目標レベルに変更し、第2目標レベルを第2最終目標レベルに変更し、電圧制御モードを続行する。これによりクリーニング機構13はベルト27上のトナーTをクリーニング可能になる。そして、S109で画像形成処理を許可し、図4に示す制御処理を終了する。つまり、外部から画像データが入力されれば、当該画像データについて画像形成処理を実行する。
一方、検出電圧VDレベルが第1基準範囲外であれば(S105:NO)、クリーニングローラ51の抵抗値RCを正確に検出するために、電圧制御モードを停止し、検出モードに移行する。まず、S111でシャント回路69のトランジスタ95をオフにする。これにより、トランジスタ95の抵抗値(シャント抵抗値)が、電圧制御モード時よりも極めて大きくなり、その結果、クリーニングローラ51の抵抗値RCとトランジスタ95の抵抗値との合成抵抗値を、クリーニングローラ51の抵抗値RCとほぼ同じ値としてみることができるようになる。即ち、検出抵抗R5に流れる電流(ベルト電流IR2)とクリーニングローラ51に流れる合算電流IRが、ほぼ同レベルであるとみなすことができる。
そこで、PWM制御回路65は、S113で、検出電圧VDレベルを取得し、当該検出電圧VDレベル及び検出抵抗R5の抵抗値に基づき、クリーニングローラ51に流れる電流レベルを算出する。また、検出信号S2、S3に基づき、第1クリーニング電圧V1及び第2クリーニング電圧V2のレベルを取得する。そして、上記電流レベル(合算電流IR 本発明の「検出電流レベル」の一例)、第1クリーニング電圧V1及び第2クリーニング電圧V2のレベルに基づき、クリーニングローラ51の抵抗値RCを算出する。
次に、S115で、上記抵抗値RCが第2基準範囲(下限値TH2min、上限値TH2max)内にあるかどうかを判定する。なお、この第2基準範囲は、次のようにして求めることができる。クリーニングローラ51の劣化・損傷や、クリーニング不良が生じたときのクリーニングローラ51の抵抗値RCをサンプリングする実験を行い、その実験結果から、クリーニングローラ51の劣化・損傷や、クリーニング不良が生じないような範囲として上記第2基準範囲を求める。そして、求められた第2基準範囲が図示しないROM等の記憶装置に記憶され、PWM制御回路65がS115を実行する際に第2基準範囲が用いられる。なお、本実施形態では、正常時のクリーニングローラ51の抵抗値RCは約10〜20[MΩ]であり、このレベルに対して1ケタ以上異なるレベルを、第2基準範囲外としている。
抵抗値RCが第2基準範囲内であれば(S115:YES)、クリーニングローラ51の劣化・損傷や、クリーニング不良が生じていないとみなせる。このため、上記S105でYESの場合と同様、S107、S109へ進む。
一方、クリーニングローラ51の抵抗値RCが下限値TH2minを下回る場合には、クリーニングローラ51の劣化・損傷が生じているおそれがあるとみなせる。また、抵抗値RCが上限値TH2maxを上回る場合にはクリーニング不良が生じているおそれがあるとみなせる。そこで、このように抵抗値RCが第2基準範囲外の場合(S115:NO)は、S117で、例えばクリーニングローラ51の劣化・損傷やクリーニング不良が生じていることをユーザに警告する処理を行う。この警告は、例えば、プリンタ1に接続された、ユーザのコンピュータ(図示せず)に対してデータ通信により通知してもよいし、プリンタ1が有する表示装置や発音装置によってユーザに通知するようにしてもよい。
そして、S119で、印加回路63の電圧出力を停止し、画像形成処理を許可することなく、図4に示す制御処理を終了する。これにより、クリーニングローラ51の劣化・損傷によりベルト27に過電流が流れたり、クリーニング不良が生じたりすることを抑制できる。
(本実施形態の効果)
図3に示すように、トランス77の2次側巻線77Bとグランドラインとの間(図3の符号Xの位置)には、ベルト電流IR2だけでなく、フィードバック抵抗R1〜R4に流れるフィードバック電流IFB1,IFB2も流れ込む。一方、クリーニングローラ51には、フィードバック電流IFB1,IFB2は流れない。従って、仮に従来の電流検出機構と同様、検出抵抗R5を上記X位置に接続すると、クリーニングローラ51に流れる合算電流IRレベルを正確に検出できない。
これに対して、本実施形態では、検出抵抗R5を、バックアップローラ55とグランドラインとの間に接続した。即ち、検出抵抗R5を、フィードバック電流IFB1,IFB2が流れる電流経路とは異なる電流経路に接続した。これにより、フィードバック電流IFB1,IFB2による影響が抑制され、クリーニングローラ51に流れる合算電流IRレベル、ひいては抵抗値RCの検出精度を向上させることができる。
また、電圧制御モードの実行中に、検出電圧VDレベルと第1基準範囲とを比較し、その比較結果に応じて、クリーニングローラ51の劣化・損傷やクリーニング不良の危険度、即ち、検出モードを実行する必要性があるかどうかを判定できる。このため、検出モードに無闇に移行することなく、電圧制御モードを続行できると共に、PWM制御回路65の処理負担を軽減できる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。特に、各実施形態の構成要素のうち、最上位の発明の構成要素以外の構成要素は、付加的な要素なので適宜省略可能である。
(1)上記実施形態では、抵抗値RCが下限値TH2minを下回る場合に印加回路63の電圧出力を停止して(S119)、第1クリーニング電圧V1及び第2クリーニング電圧V2をゼロにしたが、本発明はこれに限られない。少なくとも第2クリーニング電圧V2を、その絶対値が小さくなるようにすれば、ベルト電流IR2が減少しベルト27の損傷を抑制或いは軽減できる。
(2)また、上記実施形態では、抵抗値RCが上限値TH2maxを上回る場合にも印加回路63の電圧出力を停止(S119)したが、本発明はこれに限られない。例えば第1目標レベル及び第2目標レベルを、第1最終目標レベル及び第2最終目標レベルよりも絶対値が更に大きいレベルに設定しつつS107にて電圧制御モードに移行するようにしてもよい。これによりクリーニング不良が改善することが期待できる。
(3)上記実施形態では、クリーニングローラ51の抵抗値RCを算出したが、本発明はこれに限られない。例えば、クリーニングローラ51に流れる合算電流IRレベルを検出し、この検出電流レベルに基づきベルト27に過電流が流れるかどうかや、過少な電流しか流れていないか、を判定する構成であってもよい。
(4)上記実施形態では、検出モード時にシャント回路69のトランジスタ95をオフにしたが、本発明はこれに限られない。トランジスタ95をオフにしないようにしてもよい。この構成でも、検出抵抗R5の配置により従来の電流検出機構に比べて、クリーニングローラ51に流れる合算電流IRレベルの検出精度を向上させることができる。
(5)上記実施形態では、図4に示す制御処理を、プリンタ1の電源投入時に実行したが、本発明はこれに限られない。例えば、クリーニングローラ51の回転数が規定回数に達したことや、画像形成したシート材の枚数が規定枚数に達したことなど、所定の条件を満した場合に実行する構成であってもよい。
(6)上記実施形態では、フィードバック抵抗R1、R2を利用して第2クリーニング電圧V2をモニタする構成であったが、本発明はこれに限られない。例えばトランス77の一次側に補助巻線を設けて、この補助巻線の負担電圧や、2次巻線77Bとの巻数比に基づき第2クリーニング電圧V2をモニタする構成であってもよい。
(7)上記実施形態では、電圧生成回路67は、トランス77を備えて高電圧を出力する構成であったが、例えば、チャージポンプ回路を備える構成であってもよい。要するに、高電圧を出力できる電源回路であればよい。
(8)上記実施形態では、ベルト27をクリーニングするクリーニング機構13を例に挙げて説明したが、本発明は、例えば転写後、感光体39上に残存したトナーをクリーニングするクリーニング機構にも適用することができる。この場合、感光体39の表面部材が本発明の「被クリーニング体」の一例であり、感光体39の回転軸が本発明の「バックアップ部材」の一例となる。要するに、被クリーニング体上の付着物を電気的に吸引するクリーニング機構であれば、本発明を適用することができる。
(9)上記実施形態では、クリーニング機構13は、負極性のクリーニング電圧を利用する構成であったが、例えばトナーが負帯電性であれば、正極性のクリーニング電圧を利用する構成になる。このような構成でも本発明を適用することができる。
10)上記実施形態のプリンタ1は、複数色のトナーを有するカラープリンタであったが、1色のトナーのみを有する単色(例えばモノクロ)プリンタであってもよい。また、プリンタ1は、複数の発光素子を発光制御することにより感光体39を露光する露光装置43を備える構成であったが、例えばレーザ光によって露光するレーザプリンタであってもよい。要するに、電子写真方式の画像形成装置であればよい。
本発明の一実施形態に係るプリンタの概略断面図 クリーニング機構の構成図 クリーニング機構への印加電圧を生成する部分の構成図 PWM制御回路が実行する制御処理を示すフローチャート
1・・・プリンタ(画像形成装置)
27・・・ベルト(被クリーニング体)
51・・・クリーニングローラ(第1クリーニング部材)
53・・・回収ローラ(第2クリーニング部材)
55・・・バックアップローラ(バックアップ部材)
65・・・PWM制御回路(制御部、検出部、切替部)
67・・・電圧生成回路
69・・・シャント回路
IR・・・合算電流(クリーニング部材に流れる電流)
R3,R4・・・フィードバック抵抗
R5・・・検出抵抗
V1・・・第1クリーニング電圧
V2・・・第2クリーニング電圧

Claims (5)

  1. 被クリーニング体と、
    前記被クリーニング体の付着物をクリーニングするための第1クリーニング部材と、
    前記第1クリーニング部材の付着物をクリーニングするための第2クリーニング部材と、
    前記第1クリーニング部材との間で前記被クリーニング体を挟むように配置され、且つ、前記第1クリーニング部材と基準電位ラインとの間に電気的に接続されるバックアップ部材と、
    前記第2クリーニング部材に印加する第2クリーニング電圧を生成する電圧生成回路と、
    前記電圧生成回路の出力側と前記第1クリーニング部材との間に電気的に接続される電流調整素子を有するシャント回路と、
    前記シャント回路から前記第1クリーニング部材に印加される第1クリーニング電圧を検出するためのフィードバック抵抗と、
    前記シャント回路に流れる電流レベルを、前記フィードバック抵抗の端子電圧に基づき変更することにより、前記第1クリーニング電圧を制御する制御部と、
    前記バックアップ部材と前記基準電位ラインとの間に電気的に接続される検出抵抗と、
    前記検出抵抗の抵抗値、及び、前記制御部により前記電流調整素子をオフして前記シャント回路に電流が流れていないときにおける前記検出抵抗の端子電圧に基づき、前記第1クリーニング部材に流れる電流レベルを検出する検出部と、を備える画像形成装置。
  2. 被クリーニング体と、
    前記被クリーニング体の付着物をクリーニングするための第1クリーニング部材と、
    前記第1クリーニング部材の付着物をクリーニングするための第2クリーニング部材と、
    前記第1クリーニング部材との間で前記被クリーニング体を挟むように配置され、且つ、前記第1クリーニング部材と基準電位ラインとの間に電気的に接続されるバックアップ部材と、
    前記第2クリーニング部材に印加する第2クリーニング電圧を生成する電圧生成回路と、
    前記電圧生成回路の出力側と前記第1クリーニング部材との間に電気的に接続されるシャント回路と、
    前記シャント回路から前記第1クリーニング部材に印加される第1クリーニング電圧を検出するためのフィードバック抵抗と、
    前記シャント回路に流れる電流レベルを、前記フィードバック抵抗の端子電圧に基づき変更することにより、前記第1クリーニング電圧を制御する制御部と、
    前記バックアップ部材と前記基準電位ラインとの間に電気的に接続される検出抵抗と、
    前記検出抵抗の抵抗値及び前記検出抵抗の端子電圧に基づき、前記検出抵抗に流れる電流レベルを、当該検出抵抗に流れる電流レベルと前記シャント回路に流れる電流レベルとの合算値である前記第1クリーニング部材に流れる電流レベルとして検出する検出部と、
    前記制御部による前記第1クリーニング電圧の制御を実行する電圧制御モードと、前記検出部による電流検出を実行する検出モードとを切り替える切替部を備え、
    前記制御部は、前記検出モード時には、前記シャント回路に流れる電流レベルを、前記電圧制御モード時よりも小さい値に保持する画像形成装置。
  3. 請求項2に記載の画像形成装置であって、
    前記切替部は、前記電圧制御モード時に、前記検出抵抗の端子電圧が基準範囲内にあるかどうかを判定し、前記基準範囲外であれば前記検出モードに切り替える、画像形成装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
    前記制御部は、前記検出部により検出された検出電流レベルと、前記第1クリーニング電圧と、前記第2クリーニング電圧とに基づき算出した前記第1クリーニング部材及び前記第2クリーニング部材の負荷抵抗値が下限値を下回る場合に、前記第2クリーニング電圧を減少させる、画像形成装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
    前記制御部は、前記検出部により検出された検出電流レベルと、前記第1クリーニング電圧と、前記第2クリーニング電圧とに基づき算出した前記第1クリーニング部材及び前記第2クリーニング部材の負荷抵抗値が上限値を上回る場合に、前記第2クリーニング電圧を増加させる、画像形成装置。
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