JP4972783B2 - 撮像ユニットおよび撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、撮像ユニットおよび撮像装置に関し、特に、撮像センサチップが撮像センサチップを移動させるためのアクチュエート部の上に搭載された撮像ユニットおよび撮像装置に関する。
近年、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話等の普及により、カメラモジュールの小型化と高性能化が進み、小型カメラモジュールであっても、AF、ズーム、手ぶれ補正といった高機能が必須となってきている。それに伴い、カメラモジュール内でレンズや撮像素子を移動させるための小型アクチュエータが求められている。さらに、DVD等の記録再生のための光ピックアップ用補正駆動等の用途においても、アクチュエータは小型化の一途を辿っている。
近年進歩の著しい小型アクチュエータとしては、例えば圧電素子を駆動源としたリニアアクチュエータ(SIDM:Smooth Impact Drive Mechanism)や、紐状の形状記憶合金(SMA:Shape Memory Alloys)、さらには、高分子アクチュエータといったものがあげられる。
中でも、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術と呼ばれる集積回路技術を応用した微細加工技術を用いた静電アクチュエータが注目されており、例えば、櫛歯型の静電アクチュエータを用いて撮像素子を移動させることで手振れを補正する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−133730号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、撮像センサチップはセンサパッケージ内に実装されており、センサパッケージをフレキシブル基板上に実装し、フレキシブル基板を櫛歯型の静電アクチュエータからなる手振れ補正機構上に搭載する、といった構造になっており、撮像センサチップ、センサパッケージ、フレキシブル基板および静電アクチュエータがそれぞれ別体で作製されているため、静電アクチュエータによって駆動される被駆動物は大きくて重いものとなり、力量を確保するために静電アクチュエータも必然的に大型化せざるをえず、小型カメラモジュールや光ピックアップに組み込むには不適切である。
また、静電アクチュエータのゴミ対策についても何も示されていないが、櫛歯型の静電アクチュエータにとってはゴミ対策は必須項目であり、静電アクチュエータ部全体を密閉する必要があり、手振れ補正装置がさらに大型化するという問題がある。
一般に、アクチュエータを小型化するためには、次の課題がある。
1)駆動負荷(被駆動体質量、機構の摩擦、電気配線、空気の対流等)の低減。
2)組立の簡略化。
3)ゴミの低減。
以下に、それぞれについて述べる。
1)アクチュエータは、一般的に、自身の体積が小さくなるにつれて発生力が小さくなる。例えば現在実現されている、撮像センサを移動させるタイプの手ぶれ補正機構においては、被駆動体である撮像センサユニットの質量は軽いものでも3g程度あり、それに機構の摩擦やばねによる負荷、また撮像センサからの電気信号を外部に伝達するためのフレキシブル基板の負荷等も合わせると0.1N程度の負荷になるのが一般的である。
そして、これらの負荷を駆動するためのアクチュエータの体積は、概ね300mm3とかなり大きなものである。小型カメラユニットや光ピックアップの撮像センサユニット駆動用のアクチュエータとしてはこの大きさは致命的であるため、これらを達成するためには撮像センサユニットの軽量化および低負荷化は必要不可欠である。
2)例えば現在実現されている、撮像センサを移動させるタイプの手ぶれ補正機構においては、アクチュエータや補正機構を構成する部品は20点程度あり、これらの部品を接合している部分も同程度存在する。小型カメラユニットや光ピックアップへの搭載を考えると、これらの接合を精度良くしかも短時間に実現することは従来技術の延長では非常に困難であり、改善が必要不可欠である。
3)上述したように、超小型のアクチュエータとして現在最も一般的に知られているのは静電アクチュエータであるが、例えば上述した櫛歯型の静電アクチュエータは、固定櫛歯と移動櫛歯の間隔が数μm程度と非常に狭いので、動作を保証するためにはミクロンオーダーのゴミの進入を防ぐ密閉構造が必要不可欠である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、小型カメラモジュールや光ピックアップ等への組み込みに適した、小型軽量で、組立が簡単で、ゴミの影響を受けない撮像ユニットおよび撮像装置を提供することを目的とする。
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
本発明にかかる一態様では、撮像ユニットは、撮像センサチップと、固定基板と移動基板と前記移動基板を前記固定基板に対して平行に移動させるアクチュエータとを含むアクチュエート部と、当該撮像センサチップ及び当該アクチュエート部を収納するパッケージとを備えた撮像ユニットにおいて、前記撮像センサチップは、その裏面の少なくとも一部が、当該撮像センサチップと同一の主材料からなる前記移動基板に、直接接合技術により固定されており、前記撮像センサチップの表面に配置されたボンディングパッドと、当該パッケージの内部から外部へと延在するリードフレームとが、前記パッケージ内部においてボンディングワイヤにより接続され、前記ボンディングワイヤは、前記移動基板の移動に応じた前記撮像センサチップの移動を可能とする弛みを有して配設されていることを特徴とする。
また、上述の撮像ユニットにおいて、前記アクチュエート部は、前記撮像センサチップが固定されている前記移動基板を、前記固定基板に平行な1方向に移動させ、前記ボンディングワイヤは、前記撮像センサチップの移動方向と交差するように配設されていることを特徴とする。
また、上述の撮像ユニットにおいて、前記アクチュエータは、前記固定基板上に固定された固定櫛と、前記移動基板と一体に形成されて前記固定櫛と入れ子構成をなす移動櫛と、前記移動基板と一体に形成された梁と、前記梁の一部を前記固定基板に固定する梁固定部とから構成されており、前記固定櫛と前記移動櫛との間に電界が印加されることで、前記固定櫛と前記移動櫛との間に働く引力により前記移動基板が前記固定基板に対して移動されることを特徴とする。
また、上述の撮像ユニットにおいて、撮像面側の前記撮像センサチップの大きさと、前記移動基板の表面側の前記アクチュエート部の大きさとは略同一であり、前記撮像センサチップの裏面と前記アクチュエータの前記移動基板の表面側とを合わせるように、前記撮像センサチップと前記アクチュエート部とが積層されていることを特徴とする。
また、上述の撮像ユニットにおいて、前記アクチュエータは、前記移動基板と一体に形成された梁と、前記梁の一部を前記固定基板に固定する梁固定部と、前記梁に形成された圧電体とからなることを特徴とする。
また、上述の撮像ユニットにおいて、前記アクチュエータは、前記移動基板と一体に形成された梁と、前記梁の一部を前記固定基板に固定する梁固定部と、前記梁に形成された形状記憶合金とからなることを特徴とする。
また、上述の撮像ユニットにおいて、前記アクチュエータは、前記移動基板と一体に形成された梁と、前記梁の一部を前記固定基板に固定する梁固定部と、前記梁に形成された高分子アクチュエータとからなることを特徴とする。
また、上述の撮像ユニットにおいて、前記アクチュエータの構成要素の少なくとも一部が、前記撮像センサチップの裏面に配置されていることを特徴とする。
また、本発明にかかる一態様では、撮像装置は、撮像光学系と、1乃至8の何れかの撮像ユニットとを備えたことを特徴とする撮像装置。
本発明によれば、撮像センサチップを撮像センサチップを移動させるためのアクチュエート部の上に搭載することにより、小型カメラモジュールや光ピックアップ等への組み込みに適した、小型軽量で、組立が簡単で、ゴミの影響を受けない撮像ユニットおよび撮像装置を提供することができる。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。なお、図中、同一あるいは同等の部分には同一の番号を付与し、重複する説明は省略する。
まず、本発明における撮像装置の一例であるデジタルカメラについて、図1を用いて説明する。図1は、デジタルカメラおよび手振れ補正手段の構成と、手振れ補正の原理とを示す模式図である。
図1に示すように、手振れ補正手段10はデジタルカメラ1に搭載されて用いられる。デジタルカメラ1は、カメラ本体2と、撮影レンズ4等を含む光学系である鏡胴3とから構成される。手振れ補正手段10は、図2以降で詳述するように、CCDなどの撮像センサチップ16が内蔵され、鏡胴3の端に取りつけられる。
そして、撮影中にデジタルカメラ1が例えば上下にブレて、鏡胴3に入射する光軸Lが矢印5で示すように上下にずれた場合、ジャイロセンサ等の手振れセンサ20によってブレが検知され、手振れセンサ20の出力に従って、撮像センサチップ16を矢印6に示すように上下に移動させることで光軸Lのずれを補正する。水平方向のブレについても同様である。ここに、手振れ補正手段10は本発明における撮像ユニットとして機能する。
次に、手振れ補正手段10の要部であるアクチュエート部100の第1の実施の形態について、図2乃至図5を用いて説明する。まず、手振れ補正手段10の構成について説明する。図2は、手振れ補正手段10を光軸L側から見た模式図であり、図3は、手振れ補正手段10を図2のA−A’断面で切り取った断面模式図である。
図2および図3において、手振れ補正手段10は、撮像センサチップ16、アクチュエート部100、ダイフレーム205、リードフレーム201、パッケージ203および保護ガラス204等からなる。
本第1の実施の形態においては、アクチュエート部100は、固定基板101、移動基板102および櫛歯型のアクチュエータ110等からなり、アクチュエータ110は、固定基板101に固定された固定櫛104と、移動基板102と一体に形成された移動櫛105、梁103及び梁固定部106等からなり、例えばシリコン(Si)を主材料として上述したMEMS技術により作製される。
MEMS技術とは、集積回路技術を応用したマイクロマシニング技術を利用してμm単位のマイクロセンサやアクチュエータ及び電気機械的構造物を作製する分野を意味し、マイクロマシニング技術により作製された微細機械は、mm以下のサイズ及びμm以下の精密度を具現することができるとともに、図2に示したように、入れ子構成の櫛歯形状のような複雑な機構を一括した工程で同時に高精度で作製できるため、安価で組立や調整の工程も不要である。
本第1の実施の形態では、例えばシリコン(Si)からなる固定基板101上に犠牲層と呼ばれるシリコンの酸化膜(SiO2)を選択的に積み、その上に、不純物を高濃度にドープされて導電性を持つシリコン(Si)からなる構造層を積み上げ、構造層をエッチングして移動基板102、梁103、固定櫛104、移動櫛105および梁固定部106を同時に作製し、犠牲層エッチングで犠牲層を除去して移動基板102、梁103及び移動櫛105を固定基板101から浮いた状態に形成する。
つまり、移動基板102、梁103及び移動櫛105は固定基板101との間に隙間161を有して浮いた状態であり、梁103の中央部に形成された梁固定部106によって固定基板101に固定されている。固定基板101はダイフレーム205に接着剤等により固定されている。
なお、犠牲層エッチング技術については、例えば[(株)豊田中央研究所「MEMS用犠牲層ドライエッチング技術」http://www.tytlabs.co.jp/japanese/tech/sys_mems.pdf#search=’%E7%8A%A0%E7%89%B2%E5%B1%A4’(平成18年7月18日検索)]等に詳述されている。
固定櫛104と移動櫛105とは入れ子構成の櫛歯形状になっており、固定櫛104と移動櫛105との間に電界を印加することにより、固定櫛104と移動櫛105との間に発生する引力によって移動櫛105が図2の矢印6の方向に移動する。固定櫛104と移動櫛105とに電界を印加することによる動作については、図5で説明する。
撮像センサチップ16はシリコン(Si)を主材料として半導体製造プロセスで作製され、その表面に撮像面16aおよびボンディングパッド16bを備え、上述したMEMS技術により作製されたアクチュエート部100の移動基板102上に搭載され、撮像センサチップ16の撮像面16aの裏面と移動基板102の表面とが例えば直接接合技術により接合されている。
直接接合技術とは接着剤を用いない接合方法で、同種材料間の表面間引力を利用した接合方法であり、接合後の強度や歪や傾きの少なさ、接合の簡便性、省スペース等に優れている。本例においては、移動基板102も撮像センサチップ16もシリコンからできていることから、直接接合技術による接合が可能となり上述したメリットを得ることができる。なお、直接接合技術については、例えば[独立行政法人産業技術総合研究所「ウェハ直接接合技術」http://staff.aist.go.jp/takagi.hideki/waferbonding.html(平成18年7月18日検索)]等に詳述されている。
撮像センサチップ16のボンディングパッド16bとリードフレーム201との間には、撮像センサチップ16からの信号をリードフレーム201に伝えるためのボンディングワイヤ202が張られている。また、固定櫛104および移動櫛105とリードフレーム201との間にも、固定櫛104と移動櫛105との間に電界を印加するためにボンディングワイヤ202が張られている。
リードフレーム201は図示しない回路基板にはんだ付けされることで、撮像センサチップ16からの画像信号や固定櫛104及び移動櫛105への電界印加のための信号の送受信を可能にしている。
ボンディングワイヤ202には、直径数十μm(例えば、25μmあるいは15μm)の金(Au)またはアルミニウム(Al)のワイヤが用いられ、図2および図3に示したのは金(Au)のワイヤの例である。通常は、撮像センサチップ16のボンディングパッド16b側はボールボンドと呼ばれる、熱で溶かされてボール状になった金(Au)のワイヤをボンディングパッド16bに押しつけて接続する方法がとられ、リードフレーム201側はステッチボンドと呼ばれる、超音波をかけながら金(Au)のワイヤをリードフレーム201に擦りつけるようにして接続する方法がとられることが多い。
ボンディングワイヤ202は、デジタルカメラ1が図1に示した正立状態にある時に、手振れ補正手段10の上下方向、つまり図2の上下方向に引き出されている。これによって、ボンディングワイヤ202のばね性を利用して、撮像センサチップ16や移動基板102等の移動部分の質量による、撮像センサチップ16の撮像面16aの中心と光軸Lのズレ(所謂センタズレ)を低減することができる。
また、このように撮像センサチップ16の移動方向と垂直方向にボンディングワイヤ202を引き出すことで、撮像センサチップ16の移動方向と同じ方向にボンディングワイヤ202を引き出すよりも、撮像センサチップ16の移動によってボンディングワイヤ202が揺すられることによる歪みの蓄積や金属疲労を低減することができる。
さらに、撮像センサチップ16が移動した際にボンディングワイヤ202によって発生される負荷を等しくするために、ボンディングワイヤ202が圧縮される側と引張られる側のワイヤのばね性を等しくしている。ボンディングワイヤ202のばね性を等しくするためには、ボンディングワイヤ202の本数、長さ、太さ、引出し角度、あるいはそれらの合成力を等しくすればよい。
また、手振れ補正動作においては、もちろん撮影レンズ4の画角や撮像素子の画素サイズ等の条件により異なるが、撮像センサチップ16の移動量は幅で数十μmから数百μm程度である。本第1の実施の形態においては、手振れ補正動作に伴って撮像センサチップ16がリードフレーム201に対して矢印6の方向に移動するため、撮像センサチップ16が移動してもボンディングワイヤ202が断線したりボンディングが外れたりしないようにする必要がある。
そのため、ボンディングワイヤ202を撮像センサチップ16のボンディングパッド16bにボンディングした後、ワイヤの高さ方向のピークが撮像センサチップ16の近くに来るように(例えば図3に示したように、ピークの位置Yが撮像センサチップ16のボンディングパッド16bとリードフレーム201上のボンディング位置との距離Xの半分(X/2)よりも小さくなるように)し、撮像センサチップ16の移動量の最大幅の半分以上弛ませるようにして張ることが望ましい。
また、上述したように、撮像センサチップ16の移動を繰り返すことに伴って、ボンディングワイヤ202の疲労による断線やボンディングの外れが発生する可能性がある。特にリードフレーム201側のステッチボンドは、ボンディングパッド16b側のボールボンドに比べてボンディング時の応力による歪みが多く残留していると考えられるため、断線や外れが発生する可能性が高いと考えられる。それを回避するために、図2および図3に示したように、リードフレーム201側のボンディング部にはシリコン樹脂等によるポッティング151を施し、ボンディング部の補強を行うことが望ましい。
以上に述べた手振れ補正手段10の各構成要素、具体的にはアクチュエート部100、撮像センサチップ16、ダイフレーム205、リードフレーム201、ボンディングワイヤ202は、ダイフレーム205およびリードフレーム201の先端の一部分を除き、全てパッケージ203と保護ガラス204とによって作られる空間に密封されている。手振れ補正手段10の組立は、例えばクリーンルームあるいはクリーンベンチ等の中で行われ、パッケージ203と保護ガラス204とによって作られる空間へのゴミの進入はなく、密封によって、アクチュエート部100や撮像センサチップ16をゴミから保護することができる。
また、密封することで空気の対流もなくなるため、アクチュエート部100に対する空気の対流による負荷のばらつきを低減することもできる。
なお、本例では、図3に示すように、保護ガラス204によって撮像センサチップ16およびアクチュエート部100の密封を保っているが、図4に示すように、保護ガラス204の代わりに撮影レンズ4を構成する各レンズのうち最も撮像センサチップ16に近いレンズ41によって密封を保ってもよい。
次に、手振れ補正手段10の動作について説明する。図5は、本第1の実施の形態における静電アクチュエータの駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。
図2および図5において、矢印6の+側に位置している固定櫛104を+側固定櫛104p、矢印6の−側に位置している固定櫛104を−側固定櫛104mとする。梁固定部106はボンディングによりダイフレーム205と一体に形成されたリードフレーム201に接続され、パッケージ203の外部で接地される。
図5のタイミングT1に示すように、+側固定櫛104pに+Eの電界を印加すると、+側固定櫛104pと移動櫛105の間に静電力による引力が発生し、移動櫛105すなわち移動基板102が矢印6の+方向に移動する。この時、梁固定部106で固定基板101に中央部が固定された梁103が撓ることで、梁103が移動基板102の矢印6方向のみへの移動を担保する。つまり、移動基板102は矢印6の+方向に完全に平行移動し、矢印6に垂直な方向には移動しない。
タイミングT2のように+側固定櫛104pに印加される電界を+Eに保持すると、静電力による引力と梁103の撓りによる力とのバランスにより移動基板102は静止する。タイミングT3において、+側固定櫛104pへの電界の印加を停止すると、静電力による引力がなくなり、梁103の復元力により移動基板102は元の位置に復帰する。
次に、タイミングT4において、−側固定櫛104mに+Eの電界を印加すると、−側固定櫛104mと移動櫛105の間に静電力による引力が発生し、移動櫛105すなわち移動基板102が矢印6の−方向に移動する。この時も梁103が撓ることで、梁103が移動基板102の矢印6方向のみへの移動を担保する。
タイミングT5のように−側固定櫛104mに印加される電界を+Eに保持すると、静電力による引力と梁103の撓りによる力とのバランスにより移動基板102は静止する。タイミングT6において、−側固定櫛104mへの電界の印加を停止すると、静電力による引力がなくなり、梁103の復元力により移動基板102は元の位置に復帰する。
つまり、手振れ補正手段10は、移動基板102を移動させようとする方向の固定櫛に電界を印加することにより、手振れによる画像劣化を補正することができ、電界の印加を停止することで、梁103の復元力により移動基板102が最初の位置に復帰するようになる。
なお、本第1の実施の形態においては、説明を簡単にするために、移動基板102が矢印6方向(図2の左右方向)のみに移動可能な構成を例示したが、この構成と同等の構成が固定基板101とダイフレーム205との間に配設されることで、移動基板102は矢印6と直交する方向(図2の上下方向)にも移動可能となる。
また、本第1の実施の形態においては、移動基板102の撮像センサチップ16の裏面に対向する部分は、全面撮像センサチップ16と接合されているが、接合を部分的にし、撮像センサチップ16の裏面に対向する部分の一部に梁103、固定櫛104および移動櫛105の一部を作製することで、図2に示したよりもさらに光軸L側から見た投影面積を小さくすることが可能である。この考え方をさらに延長して、撮像センサチップ16の裏面にアクチュエート部100を全て作製する例を図6で後述する。
さらに、本第1の実施の形態においては、アクチュエート部100はシリコン(Si)を主材料としてMEMS技術により作製されるとしたが、これに限るものではなく、例えばプラスティックを微細精密成形したものに蒸着等により導電性加工を施したもの、あるいは導電性プラスティックを微細精密成形したもの等であってもよい。
以上のように構成された手振れ補正手段10は、デジタルカメラ1に設置された手振れセンサ20によって検出される使用者の手振れなどによるデジタルカメラ1の振動量と速度に応じて、固定櫛104と移動櫛105の間に印加される電界Eが制御されることで移動基板102上に搭載された撮像センサチップ16が移動され、光軸Lのずれが補正される。
上述したように、本第1の実施の形態によれば、MEMS技術でアクチュエート部を作製することで複雑なアクチュエート部を一括した工程で同時に高精度で作製でき、安価で組立や調整の工程も不要となる。また、撮像センサチップをアクチュエート部の上に搭載することにより、パッケージや実装基板等を介することなく撮像センサチップとアクチュエート部とを結合できるために、アクチュエート部を小型化することができ、小型カメラモジュールや光ピックアップ等への組み込みに適した、小型軽量で、組立が簡単で、ゴミの影響を受けない撮像ユニットおよび撮像装置を提供することができる。
さらに、撮像センサチップとアクチュエート部とを同一パッケージ内に密封することでゴミの影響を排除することができ、小型カメラモジュールや光ピックアップ等への組み込みに適した、小型軽量で、組立が簡単で、ゴミの影響を受けない撮像ユニットおよび撮像装置を提供することができる。また、アクチュエート部の駆動も電界を印加するだけと簡単であり、制御も容易である。
加えて、ボンディングワイヤの引き出し方向や、弛ませ方、さらにはボンディング部のポッティングによる補強等の工夫により、撮像センサチップをアクチュエート部の上に搭載し、撮像センサチップとアクチュエート部とを同一パッケージ内に密封して撮像センサチップを移動させることによるボンディングワイヤの断線を防止することができ、信頼性の向上に寄与する。
次に、アクチュエート部100の第2の実施の形態について、図6を用いて説明する。図6は、アクチュエート部100の第2の実施の形態の構成を示す模式図で、図6(a)はアクチュエート部100を光軸L側から見た模式図、図6(b)は図6(a)および(c)に示したB−B’断面の模式図、図6(c)は図6(a)の裏面側から見た模式図である。本第2の実施の形態においては、アクチュエート部100は撮像センサチップ16の撮像面16aの裏面側に構成され、アクチュエータ110は、固定櫛504、移動櫛505、梁503および梁固定部506等からなる。
図6(a)、(b)および(c)において、例えばシリコン(Si)を主材料として半導体製造プロセスで作製された撮像センサチップ16の裏面上に犠牲層と呼ばれるシリコンの酸化膜(SiO2)を選択的に積み、その上にシリコン(Si)を主材料とする構造層を積み上げ、構造層をエッチングして移動基板502、梁503、固定櫛504、移動櫛505および梁固定部506を同時に作製し、犠牲層エッチングで犠牲層を除去して移動基板502、梁503及び移動櫛505を撮像センサチップ16の裏面から浮いた状態に形成する。
つまり、移動基板502、梁503及び移動櫛505は撮像センサチップ16の裏面との間に隙間561を有して浮いた状態であり、梁503の中央部に形成された梁固定部506によって撮像センサチップ16の裏面に固定されている。また、移動基板502は固定基板501に接着剤等により固着されている。
なお、図6(b)の断面図においては、図面を見やすくするために、移動基板502、固定櫛504および移動櫛505の断面部のみにハッチングを施してある。
動作は図5に示したと同様であり、図5の移動基板102を移動基板502に、固定櫛104pおよび104mを固定櫛504pおよび504mに読み替えて、固定櫛504pまたは504mと移動櫛505との間に電界Eが印加されることで固定櫛504pまたは504mと移動櫛505との間に静電力による引力が発生し、固定櫛504pまたは504mと移動櫛505とが引き合うことで、固定櫛504pおよび504mが固定されている撮像センサチップ16と移動櫛505が固定されている固定基板501との位置関係が相対的に移動する。
図6(c)に示した固定櫛504pまたは504mと移動櫛505の形態は、撮像センサチップ16を図1に示したデジタルカメラ1の上下方向(矢印6の方向)に移動させることを想定した例で、撮像センサチップ16およびアクチュエート部100の質量に抗して撮像センサチップ16を上方向に移動させるための固定櫛504pとそれに対向する移動櫛505の櫛歯の数を、撮像センサチップ16およびアクチュエート部100の質量の作用方向である下方向に撮像センサチップ16を移動させるための固定櫛504mとそれに対向する移動櫛505の櫛歯の数よりも多くしてある。
本第2の実施の形態の固定基板501を図2に示した第1の実施の形態の移動基板102上に搭載することで、本第2の実施の形態により図2の上下方向の移動を実現し、第1の実施の形態により図2の左右方向の移動を実現することで、撮像センサチップ16を2次元的に移動させることも可能である。
さらに、撮像センサチップ16上あるいは固定基板501上には、上述したアクチュエート部100のみならず、固定基板501に対する撮像センサチップ16の位置を検出する位置センサや、デジタルカメラ1の振れを検出する手振れセンサ20等のセンサ類など、半導体製造プロセスで形成可能な機能を一体的に構成することも可能である。
上述したように、本第2の実施の形態によれば、アクチュエート部を撮像センサチップの裏面上に作製することで、アクチュエート部を第1の実施の形態よりもさらに小型化することが可能であり、また、第1の実施の形態と組み合わせて、あるいは本第2の実施の形態を2階建てにすることで2次元のアクチュエート部を実現することも可能である。また、アクチュエート部の駆動も電界を印加するだけと簡単であり、制御も容易である。さらに、櫛歯の数を負荷に合わせて最適化することで、最適な移動性能を得ることができる。
次に、アクチュエート部100の第3の実施の形態について図7を用いて説明する。図7はアクチュエート部100の第3の実施の形態の構成を示す模式図で、図7(a)は撮像素子16の撮像面16a側から見た正面図で、図7(b)は図7(a)の矢印C側から見た側面図である。
上述した第1および第2の実施の形態では固定櫛104あるいは504と移動櫛105あるいは505との間に発生する静電力を利用したアクチュエート部を例示したが、アクチュエート部はこれに限るものではなく、MEMS技術で形成可能な他の駆動メカニズムでアクチュエート部100を構成してもよい。ここでは、圧電薄膜の圧電現象を利用したアクチュエート部を例示する。
図7(a)および(b)において、例えばシリコン(Si)を主材料として半導体製造プロセスで作製された撮像センサチップ16は、不純物を高濃度にドープされたシリコン(Si)を主材料とする移動基板302上に搭載され、直接接合技術あるいは接着等の方法により接合されている。移動基板302には2本の足状の梁303が設けられており、移動基板302および梁303は、固定基板301に対して微少な隙間361を隔てて、固定基板301上に梁固定部306で固定されている。
固定基板301は、シリコン(Si)やガラス等からなる。移動基板302の2本の梁303にはそれぞれ圧電薄膜304が形成されている。圧電薄膜を形成する方法に関してはスパッタリング法、CVD法、ゾルゲル法等がある。本第3の実施の形態においては、アクチュエータ110は、梁303、梁固定部306および圧電薄膜304等からなり、圧電薄膜304は、本発明における圧電体として機能する。また、圧電体は圧電薄膜に限るものではなく、通常の単層あるいは多層の圧電アクチュエータであってもよい。
図7に示したアクチュエート部100および撮像センサチップ16が、図2乃至図4に示したと同様に、パッケージ203内のダイフレーム205上に実装され、ワイヤボンディングされた後に、パッケージ203と保護ガラス204あるいはレンズ41とで形成される同一空間に密封される。
また、圧電薄膜304の表面には電極が形成されている。移動基板302は不純物を高濃度にドープされて導電性を持っており、梁固定部306で接地されている。梁303と圧電薄膜304の間には接着剤等の介在物がないので梁303は圧電薄膜304の共通電極の役割を果たしている。
今、図7の矢印6の+側に位置している圧電薄膜304を+側圧電薄膜304p、矢印6の−側に位置している圧電薄膜304を−側圧電薄膜304mとする。+側圧電薄膜304pの電極に負の電圧を印加すると、+側圧電薄膜304pは矢印6に直交する方向に縮むため梁303は図の右側に曲げられ、移動基板302は矢印6の+方向に移動される。この時、梁303が移動基板302の矢印6方向のみへの移動を担保する。+側圧電薄膜304pへの電圧の印加を停止すると、梁303の復元力により移動基板302は元の位置に復帰する。梁303の幅dは数μmから数十μm程度と非常に細いため、圧電薄膜304の駆動力でも十分駆動可能である。
次に、−側圧電薄膜304mに負の電圧を印加すると、−側圧電薄膜304mは矢印6に直交する方向に縮むため梁303は図の左側に曲げられ、移動基板302は矢印6の−方向に移動する。この時も梁303が移動基板302の矢印6方向のみへの移動を担保する。−側圧電薄膜304mへの電圧の印加を停止すると、梁303の復元力により移動基板302は元の位置に復帰する。
本第3の実施の形態においてはアクチュエート部に圧電薄膜を用いた例を説明したが、圧電薄膜の代わりに、前述した形状記憶合金(SMA)や高分子アクチュエータを用いることも可能である。その場合も、図7の圧電薄膜304の位置に形状記憶合金の薄膜や高分子の薄膜を形成し、電流の印加による加熱(形状記憶合金の場合)や電界の印加による変形(高分子アクチュエータの場合)を、電流あるいは電界を制御することによりアクチュエート部の動作を制御すればよい。
また、本第3の実施の形態においては、移動基板302、梁303および梁固定部306はシリコン(Si)を主材料としてMEMS技術により作製されるとしたが、これに限るものではなく、例えば金属板をエッチング等で加工することにより作製してもよい。
上述したように、本第3の実施の形態によれば、固定基板301上に梁303を備えた移動基板302を梁固定部306で固定し、梁303上に圧電薄膜304を形成するといった非常に単純な構成で小型のアクチュエート部100を実現でき、アクチュエート部100の駆動も圧電薄膜304に電圧を印加するだけと簡単で、制御もしやすい。
以上に述べたように、本発明によれば、撮像センサチップを撮像センサチップを移動させるためのアクチュエート部の上に搭載することにより、小型カメラモジュールや光ピックアップ等への組み込みに適した、小型軽量で、組立が簡単で、ゴミの影響を受けない撮像ユニットおよび撮像装置を提供することができる。
尚、本発明に係る撮像ユニットおよび撮像装置を構成する各構成の細部構成および細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
デジタルカメラおよび手振れ補正手段の構成と、手振れ補正の原理とを示す模式図である。 手振れ補正手段を光軸側から見た模式図である。 手振れ補正手段を図2のA−A’断面で切り取った断面模式図である。 手振れ補正手段を図2のA−A’断面で切り取った断面模式図の別の例である。 アクチュエート部の第1の実施の形態における静電アクチュエータの駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。 アクチュエート部の第2の実施の形態の構成を示す模式図である。 アクチュエート部の第3の実施の形態の構成を示す模式図である。
符号の説明
1 デジタルカメラ
2 カメラ本体
3 鏡胴
4 撮影レンズ
7 屈曲ミラー
10 手振れ補正手段
16 撮像センサチップ
16a 撮像面
16b ボンディングパッド
20 手振れセンサ
100 アクチュエート部
101 固定基板
102 移動基板
103 梁
104 固定櫛
105 移動櫛
106 梁固定部
110 アクチュエータ
151 ポッティング
201 リードフレーム
202 ボンディングワイヤ
203 パッケージ
204 保護ガラス
205 ダイフレーム
301 固定基板
302 移動基板
303 梁
304 圧電薄膜
306 梁固定部
501 固定基板
502 移動基板
503 梁
504 固定櫛
505 移動櫛
506 梁固定部

Claims (9)

  1. 撮像センサチップと、
    固定基板と移動基板と前記移動基板を前記固定基板に対して平行に移動させるアクチュエータとを含むアクチュエート部と
    当該撮像センサチップ及び当該アクチュエート部を収納するパッケージとを備えた撮像ユニットにおいて、
    前記撮像センサチップは、その裏面の少なくとも一部が、当該撮像センサチップと同一の主材料からなる前記移動基板に、直接接合技術により固定されており、
    前記撮像センサチップの表面に配置されたボンディングパッドと、当該パッケージの内部から外部へと延在するリードフレームとが、前記パッケージ内部においてボンディングワイヤにより接続され、
    前記ボンディングワイヤは、前記移動基板の移動に応じた前記撮像センサチップの移動を可能とする弛みを有して配設されている
    ことを特徴とする撮像ユニット。
  2. 前記アクチュエート部は、前記撮像センサチップが固定されている前記移動基板を、前記固定基板に平行な1方向に移動させ、
    前記ボンディングワイヤは、前記撮像センサチップの移動方向と交差するように配設されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の撮像ユニット。
  3. 前記アクチュエータは、前記固定基板上に固定された固定櫛と、前記移動基板と一体に形成されて前記固定櫛と入れ子構成をなす移動櫛と、前記移動基板と一体に形成された梁と、前記梁の一部を前記固定基板に固定する梁固定部とから構成されており、
    前記固定櫛と前記移動櫛との間に電界が印加されることで、前記固定櫛と前記移動櫛との間に働く引力により前記移動基板が前記固定基板に対して移動される
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像ユニット。
  4. 撮像面側の前記撮像センサチップの大きさと、前記移動基板の表面側の前記アクチュエート部の大きさとは略同一であり、前記撮像センサチップの裏面と前記アクチュエータの前記移動基板の表面側とを合わせるように、前記撮像センサチップと前記アクチュエート部とが積層されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の撮像ユニット。
  5. 前記アクチュエータは、前記移動基板と一体に形成された梁と、前記梁の一部を前記固定基板に固定する梁固定部と、前記梁に形成された圧電体とからなる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像ユニット。
  6. 前記アクチュエータは、前記移動基板と一体に形成された梁と、前記梁の一部を前記固定基板に固定する梁固定部と、前記梁に形成された形状記憶合金とからなる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像ユニット。
  7. 前記アクチュエータは、前記移動基板と一体に形成された梁と、前記梁の一部を前記固定基板に固定する梁固定部と、前記梁に形成された高分子アクチュエータとからなる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像ユニット。
  8. 前記アクチュエータの構成要素の少なくとも一部が、前記撮像センサチップの裏面に配置されている
    ことを特徴とする請求項乃至7の何れか1項に記載の撮像ユニット。
  9. 撮像光学系と、
    請求項1乃至8の何れか1項に記載の撮像ユニットと
    を備えたことを特徴とする撮像装置。
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