JP4972699B2 - ムラサキの栽培方法 - Google Patents
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Description
より詳しくは、そのムラサキを種子から高率で発芽させ、生存率が高く、かつ順調に生育させることができる、大量生産に適した栽培方法に関する。
そのため、古き平安時代等には、採取量を規制して保護し、またその後の江戸末期までは栽培も行われていたようだ。東京郊外の武蔵野もその産地の一つであったようだが、化学染料の登場により、人力による栽培は衰退してしまったようである。
また、自生の方も、山林の植林、原野の農地開発等により激減し、絶滅危惧種に指定されるまでになってしまった。
このシコニンには、数種のアセチル誘導体が含まれているようで、これが金属イオンと結合して呈色し、繊維に固着することで染色に利用されるようであり、このシコニンの名は、女性理学博士の黒田チカさんが命名されたということである(非特許文献1参照)。
また、そのムラサキは、現在においても生薬及び染料として利用されており、その原料はもっぱら中国あるいは韓国産の野生(自生)品と言われている。
そのムラサキを種子から高率で発芽させ、生存率が高く、かつ順調に生育させることができる大量生産に適した栽培方法は、これまでのところないと言われており(非特許文献1及び4参照)、本出願人の知る限り、そのような方法は存在しない。
したがって、本発明は、種子から高率で発芽させ、生存率が高く、かつ順調に生育させることができる大量生産に適したムラサキの栽培方法を提供することを発明の解決すべき課題とするものである。
また、栽培1年目には、成長体を根ごと掘り起こすことなく越冬させ、翌年も開花させて種子を採取し、その後根ごと掘り起こして根を採取するのが好ましく、このようにすることにより、種子及び紫根の生産量をそれぞれ1年目もより増加させることができる。
そして、砂は山砂で、その粒径が2.5mm以下の範囲に80質量%以上、かつ0.3〜2.5mmの範囲に50%以上存在するものがよく、また有底筒状の育苗容器はプラスチック製の柔軟性を有する小型の発芽育苗用のものがよい。
その結果、本発明のムラサキの栽培方法は、生薬あるいは紫根染料等の多くの消費量に対応することができる大量生産に適した栽培方法である。
その結果、移植後は、苗を育苗容器から取り出す際に根を傷めていないので、地上部分及び根の部分のいずれも順調に生育させることができ、しかも、紫根染め染料あるいは生薬を抽出するのに適した細根をうることができる。
その際には、間違ってセイヨウムラサキを栽培している場合もあるので専門家に相談し、確認するのがよい。
また、その育苗容器は種子を順調に発芽育苗させるために使用するものであるから、少量の培地用の砂が容器の底から半分以上に達し、散水しても溢れることがない程度の位置までの範囲に到達する程度のサイズのものがよい。
また、大量に育苗することを配慮すると軽量のものがよく、繰り返し散水することを配慮すると散水により破壊し難い耐水性のものがよい。
そのような容器には、上端から底に行くに従って少しずつ径が狭くなっている円筒形タイプ、あるいは上端部から底まで一定形の4角筒タイプのものがあり、それらは一づつの容器が独立したものであるが、それ以外に4角筒形状のものを10個程度連結したタイプのものもあり、前記した要件を満たすものはいずれも使用可能である。
そのポット等の育苗容器に入れる培地の砂については、川砂、山砂のいずれでもよいが、保水性の点で山砂がよい。
また、その砂の使用量ついては、育苗容器のサイズが前記した通りであるから150〜250mLがよく、好ましくは180〜220mLがよい。
それには、その粒径が2.5mm以下の範囲に80質量%以上、かつ0.3〜2.5mmの範囲に50%以上存在するものがよく、好ましくは、2.5mm以下の範囲に90質量%以上、かつ0.3〜2.5mmの範囲に60%以上存在するものがよい
ムラサキの種子をこのような条件に曝す際には、その環境を人為的に作ってもよいが、我が国の冬季には寒冷地あるいは山間地では自然に得られる環境であるから、エネルギーコスト面からしても、それを利用するのがよい。
また、このような低温に曝した後に、徐々に温度上昇させる際には、低温期間が前記期間を著しく超える場合には、人為的な方法、あるいは寒冷地あるいは山間地から夜間温度が0〜−10℃の低温にならない地域に移動してもよいが、極端に低温が続く地域でない限り、季節の変化による温暖化を待つだけでよい。
この散水は、0〜−10℃の低温に曝している期間中だけでなく、苗が育苗容器に入れられている間、すなわち育苗容器から苗を取り出して農地に移植するまでの間継続することが必要である。
この段階で、苗を育苗容器から取り出して、根に着いた砂を分離することになる。
この段階で、苗を育苗容器から取り出して、根に着いた砂を根が傷つかないように分離することになるが、本発明では培地として砂を使用しているので、砂の分離は比較的簡単に行えるのであり、この点は本発明の1つの特徴である。
また、その農地は夏場の温度が極端に高くない土地がよく、例えば関東地方では上越国境に近い山間部に位置する高地の畑がよい。
このような農地に苗を移植した後には、順調に成長し、7月には白い花が咲き始め、8月には、開花するものもあれば、種を付け始めるものも出てくる。
種子の採取は、まず成長したムラサキを地上部から刈り取り、それを数日天日で乾燥させることにより簡単に種子だけを分離することができる。
種子採取後は成長したムラサキを農地から根ごと掘り出し、根についた土を分離して根を収穫する。なお、この際には、シコニン溶出を避けるために根は水洗してはいけない。
この砂180mLを上端開口直径及び深さが9cmの底に行くに従って少しずつ細くなる市販の円筒状プラスチック製育苗容器に入れた。
なお、この播種は1月下旬に赤城山の麓にある出願人研究所の敷地内の屋外において行い、播種後はそのまま放置し、砂表面が乾いたら散水した。
この散水した水が凍結していることを確認する共に、かつ大気の温度を毎日測定し、出勤時である早朝には−5℃前後の温度が2月上旬から下旬まで続くことを温度計でも確認している。
その後も同様に散水を続けると4月下旬には発芽した苗が約5cm程度まで成長し、5月中旬には平均して約10cmに成長したことが確認できた。
なお、この発芽・育苗試験は育苗ポットを18,000個用意して行った。
その際には、農地に幅100cmの畝を多数形成し、その畝に直径1.5〜2.5cm、深さ6〜10cmの人差し指くらいの穴を20cm間隔で穴開け起具を使って開け、そこに移植した。
移植後は土壌が乾いたら散水したが、2週間後には苗が生き生きしてきたので、水の散布をその時点で止めた。
なお、7月上旬には、ムラサキが植えられている畝の両側に畝に沿って、高さ180cmで日除け用の銀色の寒冷紗を設置した。
その種子の採取の際には成長したムラサキの地上部を刈り取り、その後地上部を数日間天日で乾燥することで簡単に茎から種子を取り出すことができた。
その際には、取り出した根を水で洗浄することは、シコニンを溶出させ製品価値を低下させることになるので絶対に行わない。
また、ムラサキの紫根を染料又は生薬として利用する際には、中国あるいは韓国からの野生ものの輸入に頼っていたが、これを自給できるようになることも期待できる。
その結果、ムラサキの紫根の収穫量も増加して、それを用いる生薬あるいは紫根染料の生産量を増加させることができ、本発明の栽培方法で得られた紫根は生薬の製造あるいは愛好家等の染色に有功に活用することが可能となる。
Claims (5)
- 有底筒状の育苗容器に砂を入れ、その砂の上にムラサキの種子を数粒撒き、その後前記種子が見えなくなるまで、更にその種子上に砂を撒いて播種し、播種後0〜−10℃の低温に7〜30日間曝すと共に砂の表面が乾いたら散水し、その後は徐々に温度上昇させて発芽させ、発芽後背丈が7〜15cmになった時点で、育苗容器から取り出して根に付いた砂を分離して農地に移植し、その育苗容器から取り出すまでの間は引き続き砂の表面が乾いたら散水し、移植後は農地にて育成し開花させて種子を採取することを特徴とするムラサキの栽培方法。
- 種子の採取は、成長した地上部を刈り取り、その地上部を天日で乾燥した後に地上部から種子を分離することにより行う請求項1に記載のムラサキの栽培方法。
- 種子を採取した後に、根を掘り起こして根を採取する請求項1又は2に記載のムラサキの栽培方法。
- 砂は、山砂で、その粒径が2.5mm以下の範囲に80質量%以上、かつ0.3〜2.5mmの範囲に50質量%以上存在するものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のムラサキの栽培方法。
- 有底筒状の育苗容器がプラスチック製の柔軟性を有する小型の発芽育苗用のものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載のムラサキの栽培方法。
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