JP4972655B2 - 鑑賞植物の栽培容器 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には側面に貫通穴が形成された栽培容器が開示されている。特許文献1の栽培容器では、貫通穴を通じて水分や栄養分の流通が可能となっており、貫通穴を介して根を伸ばすことができるので、苗木を屋外の植木鉢や露地に容器ごと植え付けることができる。そして、植え替えの際には容器ごと植物を抜き取り、屋内用の植木鉢にそのまま植え付けできる。このようにすれば、植え替えに手間がかからず、また根付きの問題を起こす虞も少ない。
ところが、側面に形成された貫通穴から光が土壌に直接当たると、嫌光性植物では発芽や根の生育が阻害される虞があり、苗木を良好に生育できなくなる可能性が高い。苗木の生育には遮光性の容器を使用し、販売に貫通穴のある栽培容器を用いることもできるが、遮光性の容器から貫通穴のある容器への植え替えに手間がかかり、苗木の販売コストを高くする虞があるので好ましくない。このような点から、特許文献1の栽培容器に植え付けた状態で苗木を販売することは困難であった。
即ち、本発明の鑑賞植物の栽培容器は、有底筒状に形成されると共に側面に貫通穴が複数形成された容器本体と、当該複数の貫通穴の開口を閉鎖可能に形成されたカバー部材とを備え、前記カバー部材は、前記複数の貫通穴のすべてを覆うことができる面積を備えた板状に形成されると共に、前記容器本体の外周面にスライド自在に取り付けられており、前記カバー部材を前記貫通穴の開口を被覆する位置から離間方向に向かってスライドさせることで、前記貫通穴の開口がカバー部材によって閉鎖された閉鎖状態から、前記貫通穴が外側に向かって開口して容器本体の内部に栄養分を取り込むことが可能となる開放状態に切り替わるものであって、前記容器本体とカバー部材とは、当該容器本体よりも薄肉で折り曲げ自在な連結帯を介して互いに連結されており、同じ合成樹脂を用いて一体成形されていることを特徴とするものである。
上述の鑑賞植物の栽培容器としては、例えば前記カバー部材が前記容器本体に外嵌可能な有底筒状に形成されており、前記容器本体に外嵌されたカバー部材を当該容器本体から外すことで、前記貫通穴が閉鎖状態から開放状態に切り替わる構成を採用することができる。
また、鑑賞植物の栽培容器としては、例えば前記カバー部材が前記貫通穴の開口を被覆可能な板状に形成されると共に前記容器本体の外周面にスライド自在に取り付けられており、前記カバー部材を前記貫通穴の開口を被覆する位置から離間方向に向かってスライドさせることで、前記貫通穴が閉鎖状態から開放状態に切り替わる構成を採用することができる。また、例えば前記カバー部材が前記貫通穴の開口を被覆可能な板状に形成されると
共に前記容器本体の外周面にヒンジ部を介して揺動自在に取り付けられており、前記カバー部材を前記貫通穴の開口を被覆する位置から離間方向に向かって揺動させることで、前記貫通穴が閉鎖状態から開放状態に切り替わる構成を採用することもできる。
なお、前記容器本体とカバー部材とは、連結帯を介して互いに連結されており、同じ合成樹脂を用いて一体成形されていても良い。このようにすれば、合成樹脂を用いた一体成形法で容器本体とカバー部材とを一度に成形することができ、安価な製造コストで栽培容器を製造できるからである。
鑑賞植物Pとしては、植え替えが必要な植物であればどのような植物でも良いが、特に上述したポインセチア、シクラメン、クリスマスベゴニアなどのようにクリスマス前後の寒期に鑑賞に使われる植物、あるいはユッカやオーガスタなどのように耐寒性を備えた観葉植物が挙げられる。
カバー部材3は、カバー取付面6に対応した左右方向(周方向)の幅を備えた板部材であり、その両端が左右側の段差に形成された案内溝7に嵌り込んでおり、これらの案内溝7に沿って上下方向にスライド自在となっている。
それゆえ、図2(a)及び図2(b)に示されるように、カバー部材3を案内溝7に沿って上側にスライドさせたときには、カバー取付面6の上側に設けられたすべての貫通穴8がカバー部材3に覆われることになる。そして、複数の貫通穴8がカバー部材3により
すべてが閉鎖状態になり、植物の生育を阻害する光が容器内に射し込まなくなり、鑑賞植物Pを種播から苗木Sの生育までを行ったり販売の際に店頭に陳列したりしても生育が阻害されることはない。
図3(a)に示されるように、カバー部材3を上側にスライドさせて貫通穴8が閉鎖状態とされた栽培容器1に土壌Mを入れ、この土壌Mに鑑賞植物Pの種子を蒔き、貫通穴8を閉鎖状態としたまま種播から育苗までを行う。このように貫通穴8を閉鎖状態としておけば、植物の生育を阻害する光が容器内に射し込むことがなくなり、発芽や根の生育が阻害される虞はない。
図3(c)に示されるように、このようにして生育された苗木Sを屋外の植木鉢や露地に植え付ける際には、カバー部材3を下側にスライドさせて貫通穴8の開口を開放状態としたうえで植え付けを行う。このようにすれば、貫通穴8を通じて容器外から栄養分や水分が補給され、また根も伸ばすことができるので、苗木Sの良好な生育が可能となり、鑑賞植物Pを庭植え状態で秋季に鑑賞することが可能となる。
また、植え付けや植え替えに便利な穴あき容器を用いると、鑑賞植物Pの苗木S、特に嫌光性の鑑賞植物Pの苗木Sは穴から容器内に射し込む光のために十分に生育させられないことが多く、少なくとも穴あき容器と穴なし容器との2種類の栽培容器が必要となる。しかし、本発明の栽培容器1を用いて上述のように生育すれば、このような嫌光性の鑑賞植物Pの苗木Sであっても良好に生育させることができ、栽培容器1を替えることなく植え付けや植え替えも行える。
図4及び図5に示されるように、第2実施形態の栽培容器1が第1実施形態と異なっている点は、カバー部材3が容器本体2の外周面にヒンジ部9を介して揺動自在に取り付けられており、カバー部材3を貫通穴8の開口を被覆する位置から離間方向に向かって揺動させることで、貫通穴8が閉鎖状態から開放状態に切り替わる構成とされている点である。
第2実施形態の栽培容器1を使用する際には、図5(a)に示されるように、カバー部材3をヒンジ部9を境に容器本体2の内側から外側に向かって揺動し、カバー部材3がカバー取付面6に重なるように折り返せば、カバー取付面6の貫通穴8にカバー部材3の突起部10が嵌入し、貫通穴8を閉鎖状態にすることができる。また、図5(b)に示されるように、カバー部材3をヒンジ部9を境に容器本体2の外側から内側に向かって揺動させれば、カバー部材3がカバー取付面6から離れて、カバー取付面6の貫通穴8からカバー部材3の突起部10が抜け出て、貫通穴8を開放状態にすることができる。
また、第2実施形態のカバー部材3は容器本体2に連結されているので、カバー部材3が容器本体2から外れる心配がなく、カバー部材3の紛失を防止することもできる。
次に第3実施形態の栽培容器1について説明する。
図6及び図7に示されるように、第3実施形態の栽培容器1が第1実施形態と異なっている点は、カバー部材3が容器本体2の外周面に薄肉の切り離し部11(連結帯)を介して一体に取り付けられており、カバー部材3を切り離し部11の所から切り離すことで、カバー部材3に覆われていた貫通穴8が閉鎖状態から開放状態に切り替わる点である。
6は、正面視で下側に向かって逆Uの字状に形成されており、その中央側にはカバー取付面6の外縁に沿って切り離し部11が線状に形成されている。そして、カバー取付面6における切り離し部11の内側にはカバー部材3が設けられている。
カバー部材3は、上側が平坦な板状に形成されると共に、下側が湾曲した曲面状に形成されている。このカバー部材3の下端は、容器本体2の底部から一定の距離をあけるように配備されており、容器本体2の底部から切り離せるようになっている。カバー部材3の下端に隣接した容器本体2の底部には、カバー部材3の下端に指先を引っ掛けやすいように上方に向かって凹んだ凹部12が形成されている。
第3実施形態の栽培容器1を使用する際には、図7(a)〜図7(b)に示されるように、例えば指先を凹部12に射し込み、指先をカバー部材3の下端に引っかけるようにして、カバー部材3に容器本体2に対して上方に揺動させる方向に力を加える。そうすると、カバー部材3から切り離し部11に力が加わって切り離し部11が切断され、カバー部材3を容器本体2から引き離すことができ、貫通穴が閉鎖状態から開放状態になる。
上記実施形態では、容器本体2に取り付けられたカバー部材3が容器本体2に対してスライドしたり、揺動したり、または切り離したりすることで、貫通穴8が閉鎖状態から開放状態に切り替わる栽培容器1を例に挙げて、本発明の栽培容器1を説明した。しかし、カバー部材3は容器本体2に取り付けられていなくても良い。例えば、カバー部材3を容器本体2より大きなサイズの相似形状に形成し、貫通穴8が外周面に形成された容器本体2の外側からこのカバー部材3を被せることができるように構成しても良い。このようなカバー部材3であれば、カバー部材3を容器本体2に対して外側から着脱するだけで貫通穴8を開放状態にしたり閉鎖状態にしたりすることができるし、既存の培養ポットを有効に利用して本発明の栽培容器1を得ることもできる。
培容器1を例示して、本発明の栽培容器1を説明した。しかし、例えばカバー部材3と容器本体2とを連結帯で連結すると共に同一の合成樹脂で形成すれば、1組の金型を用いるだけでカバー部材3と容器本体2とを一度に射出成形でき、製造の手間やコストを大幅に低減することが可能となるからである。
2 容器本体
3 カバー部材
4 つまみ部
5 脚部
6 カバー取付面
7 案内溝
8 貫通穴
9 ヒンジ部
10 突起部
11 切り離し部
12 凹部
M 土壌
P 鑑賞植物
S 苗木
Claims (1)
- 有底筒状に形成されると共に側面に貫通穴が複数形成された容器本体と、当該複数の貫通穴の開口を閉鎖可能に形成されたカバー部材とを備え、
前記カバー部材は、前記複数の貫通穴のすべてを覆うことができる面積を備えた板状に形成されると共に、前記容器本体の外周面にスライド自在に取り付けられており、
前記カバー部材を前記貫通穴の開口を被覆する位置から離間方向に向かってスライドさせることで、前記貫通穴の開口がカバー部材によって閉鎖された閉鎖状態から、前記貫通穴が外側に向かって開口して容器本体の内部に栄養分を取り込むことが可能となる開放状態に切り替わるものであって、
前記容器本体とカバー部材とは、当該容器本体よりも薄肉で折り曲げ自在な連結帯を介して互いに連結されており、同じ合成樹脂を用いて一体成形されていることを特徴とする鑑賞植物の栽培容器。
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