JP4972146B2 - 歯車変速機用ケース - Google Patents

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Description

本発明は、第一および第二の歯車軸に取り付けられる歯車対を有する歯車変速機のケースに関し、特に、歯車騒音の低減に関する。典型的には第一、第二の歯車軸は入出力軸である。
従来より、歯車騒音の低減を目的として、種々の歯車変速機用ケースが提案されている。一般的には、ケース全体に亘って肉厚を増大し、またはリブを加えることで高剛性化を図り、騒音に直接関係するケース表面の振動を低減、抑制している。
また特開昭58−124862号公報では、主歯車軸と副歯車軸との間に、軸受を有しており軸間ピッチを保持する連結部材が介在し、連結部材はケースから遊離して設けられる。振動伝達をなくすための3点支持が行われ、歯車軸の曲げ剛性が向上し、ギヤノイズの低減が図られる。
また特開昭50−125159号公報では、ケース表面の肉厚を中高(かまぼこ形、三角形など)に設定することにより、ケース内の騒音を透過しにくくする遮音壁を構成し、またケース表面自体の共振に対する振動低減を図っている。
また特開平6−101748号公報では、入出力軸の軸受部の側面に衝撃ダンパを設け、歯車のかみ合いによる振動を減衰させ、ケースへの振動伝達を防いでいる。また、ケースに伝播してしまった振動については、ケース側面に設けた衝撃ダンパにより振動低減が図られる。
特開昭58−124862号公報 特開昭50−125159号公報 特開平6−101748号公報
しかしながら、従来の一般的な騒音低減手法であるケース全体の肉厚増およびリブ追加には、ケース重量の増大を招くという不利がある。この重量増は、特に自動車などの移動する機械に用いる変速機にとって大きな不利である。
また上記の特開昭58−124862号公報では、2点で支持される軸系に、ケースから遊離して介在して軸間ピッチを保持する連結部材が設けられ、3点支持により曲げ剛性を向上するように図っている。したがって連結部材を用いて3点支持ができるように軸長を長く設定するか、専用のスペースを確保する必要が生じ、小型・軽量化には適さない。また軸が振動する場合は、かみ合い位置や振動モードによっては、ケースから遊離していない軸受への振動入力が大きくなり、ケースから遊離した連結部材の振動低減効果が現れにくくなる可能性がある。
また上記の特開昭50−125159号公報では、ケース中央部の面厚さを増大する方法が取られている。軸支持面は平面で形成されている。そのため、ケース内部で生じる騒音は有効に遮蔽できるが、軸支持面が振動しやすいため、軸支持面の振動によりケース表面振動が励起され、軸受からの振動入力の伝播を低減する効果は期待できない。
さらに、上記の特開平6−101748号公報では、箱の中に複数の鋼球を入れ、鋼球が壁および他の鋼球に衝突することで、振動エネルギを散逸させている。また鋼球に加えて箱の内部を液体で満たすことで、粘性減衰を高めることが提案されている。
しかしこの従来技術では、大きな振動入力に応じて鋼球が箱の内部で運動することが前提になるため、振動低減効果が期待できる条件が限られている。また逆に、比較的小さな振動入力に対して振動低減効果を発揮させようとすると、衝撃ダンパの面積を大きくするか、ダンパを取り付ける場所を多くすることが必要になる。これは、変速機ケースを設計するときの空間的制約の増大、ダンパの重量の増大、およびコストの増加を招く要因になる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、重量を大幅に増加することなく、低い製造コストにて、歯車軸からの振動入力をケース表面に伝えにくくして、効果的に歯車騒音を低減できる歯車変速機用ケースを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、第一の歯車軸と第二の歯車軸にそれぞれ取り付けられる少なくとも一対の歯車対を有する歯車変速機のケースであって、前記第一の歯車軸の軸受と前記第二の歯車軸の軸受との軸受組を支える軸支持部を有し、該軸支持部における両軸受周辺に限定的に、両軸受を囲む一体の高剛性化領域を設けたことを特徴とする。第一および第二の歯車軸は、例えば入力軸および出力軸である。前記高剛性化領域以外の軸支持部の一般肉厚は、前記二つの軸受の幅よりも薄く、前記高剛性化領域は、前記二つの軸受の幅よりも厚い肉厚を有する。軸支持部は、好ましくはケース表面から内部に向かって延びる板状部材(面部材)である。
例えば、軸受周辺に高剛性領域を設けるために、軸受周囲に高剛性なリブを設けてもよい。またケースに取り付けられて軸受周辺を高剛性化するリテーナ部材を設けてもよい。
本発明によれば、軸受周囲に高剛性領域を設けるので、軸受周囲の固有振動数を、歯車軸系の最低次の固有振動数を上回るように設定し、あるいは通常の使用振動数の範囲外に設定することができ、これにより歯車軸からの振動入力をケース表面に伝えにくくして、騒音を低減することができる。限定的に高剛性化領域を設けているので重量、コストの大幅増加を避けられる。
本発明の実施形態1の歯車変速機用ケースを示す断面図である。 図1のケースの軸受周囲の高剛性領域部の構造を示す図である。 図1のケースの振動低減効果を示す図である。 図1のケースの振動低減効果を示す図である。 本発明に関連する歯車変速機用ケースを示す断面図である。 図5のケースの振動低減効果を示す図である。 図5のケースの変形例を示す図である。 本発明に関連する歯車変速機用ケースを示す断面図である。 図8のケースの振動低減効果を示す図である。 図8のケースの第一の変形例を示す図である。 図8のケースの第二の変形例を示す図である。 図8のケースの第三の変形例を示す図である。 図8のケースの第四の変形例を示す図である。 図8のケースの第五の変形例を示す図である。 図8のケースの第六の変形例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)について、図面を参照し説明する。
<実施形態1.>
図1(a)は、本実施形態の歯車変速機用ケースを備えた変速機を模式化して示す断面図であり、図1(b)は、図1(a)の変速機を歯車軸方向から見た断面図である。本実施形態では、一対のかみ合い歯車をもつ歯車軸系の軸受支持構造に本発明が適用される。
図1(a)を参照すると、アルミ等の円筒型のケース本体1(ケース表面)の内部に入力軸3および出力軸5が平行に設けられている。そして、入力軸3および出力軸5に取り付けた歯車7,9がかみ合っている。入力軸3の回転は、歯車対を介して出力軸5に伝達される。本実施形態でははすば歯車が設けられているが、代わりに他の形式の歯車、例えば平歯車が設けられてもよい。
入力軸3および出力軸5は、歯車対の右左両側にて、それぞれ軸受組11,21を介してケース軸支持面(壁部)13,23で支えられている。本明細書では、板状部材や壁部を適宜<面(肉厚をもった面)>と定義、表現する。また本実施形態では、右側に円筒ころ軸受、左側に玉軸受が配置されているが、軸受タイプはこれらに限定されない。
まず歯車対の右側の軸支持構造を見ると、歯車7,9から所定距離をあけて、右軸受組11が設けられている。右軸受組11は、入力軸3を支持する入力軸受15と、出力軸5を支持する出力軸受17とを含む。これらの軸受15,17は軸方向に同位置あるいは近傍にある。そして、軸受組11が、ケース本体1から内側に向かって延びる軸支持面13に支持されている。
本実施形態の特徴として、軸支持面13は、両軸受15,17の周辺に高剛性領域19を有している。図1(b)に示すように、高剛性領域19は、2つの軸受15,17の外輪をカバーする長円形を有する。そして図1(a)に示すように、高剛性領域19の肉厚は、軸支持面13の一般肉厚よりも大幅(3倍以上)に大きい(一般肉厚は軸受幅よりさらに薄く設定され、軽量化が図られている)。この肉厚増により、両軸受15,17の周囲を取り囲む高いリブ(軸方向に両側へ突出する円環形状、円筒形状、8の字形状、眼鏡形状のリブ)が形成されている。そして、両軸受15,17は、剛性の高い長円型一体構造により支持され、この一体構造が、より薄肉の壁部を介してケース本体1に支持されている。図2は、高剛性領域を斜めから見た形状を示している。
一方、歯車対の左側の軸支持構造も基本的に同様である。歯車7,9から所定距離をあけて、左軸受組21が設けられている。左軸受組21は、入力軸3を支持する入力軸受25と、出力軸5を支持する出力軸受27とを含む。これらの軸受25,27は軸方向に同位置あるいは近傍にある。そして、軸受組21が、ケース本体1から内側に向かって延びる軸支持面23に支持されている。
左側の支持構造においても、軸支持面23は、両軸受25,27の周辺に高剛性領域29を有している。高剛性領域29の形状は、上述の右側支持構造と同様である。軸受周囲にリブを設けた一体構造により高剛性が得られている。
ただし、右側支持構造との相違点として、左側支持構造では、軸支持面23が分割構造を有している。すなわち、高剛性領域29は、ケース側支持部と分割側支持部に分割される。そしてこの分割境界部分にて、はすば歯車のスラスト力を支持するための止め具(スナップリング)が軸受外輪の外側にはめられ、そして止め具が軸支持面23に固定されている。また軸受内周側には位置決め用ストッパーが設けられている。
以上に説明したように、本実施形態では、入出力軸を支持する軸受組の周囲に高剛性領域が設けられている。これにより、軸受周囲の固有振動数が、軸系の最低次の固有振動数を超えるように設定され、あるいは通常の使用振動数の範囲外に設定され、好適な振動低減効果が得られる。
ここで、入出力歯車のかみ合いに伴って働く軸受荷重の大きさは、伝達トルクに比例して、また歯車軸系の振動伝達特性に応じて変化する。この時、いずれも入力側と出力側の軸受荷重の向きはほぼ逆向きになる。この点に着目し、入力側と出力側の軸受周辺を剛性の高い一つの構造体(機能的に見て一体的な構造体であればよく、分割可能でもよい)で支えることで、ケースに作用する軸受荷重の相殺効果が生まれる。また、軸受周辺を高剛性体にすることで、軸受支持面全体としての変形および振動振幅を抑えることができる。
このような効果が得られる結果、ケースの負荷変形による歯車のアライメント誤差が小さくなり、かみ合い伝達誤差変動を減少させることができる上、軸受からの振動入力をその周辺で抑えられる。これによりケース表面まで伝達される振動が小さくなり、歯車騒音を低減することができる。限定的な高剛性化により効率よく振動低減効果を得ているので、重量の大幅増加を招くことなく、そして製造コストを大幅に増加することなく、振動、騒音を低減できる。
図3は、図1の構造の振動低減効果を示している。図示のように、軸受周囲の剛性を高めていない通常の構造と比べて、本実施形態の構造によれば、軸系が共振する1kHz近傍で、かみ合い点からケース表面までの振動伝達を低く抑えることができる。同様の例で、軸受支持面剛性がより低い構造の場合には、図4に示すように、軸系が共振する1.4kHz近傍に加えて、2kHz以上の支持面が共振する高振動数帯域においても、振動低減効果が得られている。
なお、図1に示したように軸受周囲のリブを高くして剛性を高める場合、リブの高さに応じて振動低減効果が現れる。図3および図4の例は、支持面厚さに対して3倍前後の高さのリブを設けた場合の振動レベルを示している。
また、基本的には軸受周囲構造単体において、歯車軸系の最低次の固有振動数を超えるように、あるいは通常の使用振動数の範囲外となるように固有振動数が設定されればよい。この固有振動数が得られる高剛性領域を形成できる他の構成が採用されてもよい。
例えば、支持面形状(肉厚)は通常のままであり、軸受を止めるリテーナ部品を用意し、リテーナ部品を軸受の片側または両側から軸支持面に固定してもよい。この場合、鉄のように弾性係数の大きい材料を用いてもよい。鋳鉄のように減衰が大きい材料を用いてもよい。また組となる軸受同士を側面から覆う構造のリテーナを設けてもよい。これらの形態により、さらに振動低減効果を増すことが可能である。
また重量の増加を極力抑えるためには、図1の構造におけるリブ幅を薄くするとともに、必要に応じて二重、三重にリブを形成することが好適である。また制振用のリテーナを設ける構成では、リテーナの固定部以外の領域に貫通孔を設けてもよく、またそのような領域の肉厚を薄くしてもよい。
関連技術1.>
図5(a)は、本発明に関連する歯車変速機用ケースを備えた変速機を示す断面図であり、図5(b)は、図5(a)の変速機を歯車軸方向から見た断面図である。この関連技術の歯車変速機用ケースの基本的構造は、図1のケースと同様である。そこで、以下、主として図1のケースとの相違部分を説明する。
まず、この関連技術では、図1のケースで見られる高剛性のリブ(軸受端面から突き出すような高いリブ)は設けられていない。左右の軸受組11,21の周囲には、軸受幅とほぼ同じ厚さのフランジ部39、49が設けられている。このフランジ部は、図5(b)に示すように、両軸受の外輪をカバーする長円形状を有し、軸受外輪を支持している。
この関連技術では、右軸受組11の支持構造に特徴がある。右軸受組11を支える軸支持面33は、ケース中央部に向かう方向に湾曲した曲面形状を有する。具体的には、軸支持面33は、軸受組11の周囲のフランジ部39からケース表面1に向けて、ケース外側に凸の曲面で構成されている。
なお、この関連技術では右側の軸支持面33にのみ曲面構成が設けられ、左側の軸支持面43は一般的な平面構成を有する。しかし、左側の軸支持面43の形状も曲面としてもよい。
この関連技術によれば、軸支持面とケース表面の一部とが曲面で構成され、この曲面は外側に凸であって、連続しており、大きな曲率を有する。軸受からの入力荷重を面内で支えることができ、騒音につながる変形や面外成分の振動振幅を小さくすることができ、軸支持面とケース表面の双方の剛性が向上する。これにより、ケースの負荷変形による歯車のアライメント誤差が小さくなり、かみ合い伝達誤差変動を減少させることができ、起振源での振動を抑えることができる。また軸支持面およびケース表面それぞれの固有振動モード数が減少するので、軸受からの振動入力が軸支持面やケース表面で増幅されにくくなり、振動伝達系としての振動抑制も図ることができる。
以上のようにして、この関連技術によれば、歯車軸からの振動入力をケース表面に伝えにくくして、歯車騒音を低減できる。この関連技術では、支持面を平面型から曲面型に変えることで上記の効果が得られている。したがって、大幅な重量増およびそれに伴うコスト増を招くことなく騒音を効果的に低減できる。
図6は、図5の構造の振動低減効果を示している。図示のように、平面で構成された通常の軸支持面の場合と比較して、この関連技術の曲面構成の軸支持面の場合は、主に2kHz以上の高い振動数帯域で振動低減効果が顕著に現れる。この理由は以下のように考えられる。すなわち、平面で構成される通常の軸支持面の場合には、軸支持面とケース表面の面外剛性が低いために、それぞれの領域で幾種類もの膜振動が発生する。一方、この関連技術の曲面構成の軸支持面の場合には、軸支持面とケース表面の双方が滑らかに連続してつながるために、入力荷重を面内と面外の両方で支持することができ、膜振動が現れにくくなり、図示の効果が得られる。
なお、図5の例では、ケース本体1が円筒形(円形断面)を有している。これに対して、長方形または半円筒形などの任意の断面形状を有するケースに対しても本発明を同様に適用できる。
また、支持面全体が曲面で構成されていなくともよく、すなわち支持面の一部が曲面で構成されてもよい。入力荷重の向きに応じて部分的に曲面構成の支持面を設けることが好適である。
また図5の例では、支持面における曲面の向きが「外側に凸」であった。しかし、これとは反対に「内側に凸」でもよい。他の部品との干渉等の設計スペース上の制約を考慮して形状を決めることが好適である。
また図5の例では、軸受外周フランジ部分からケース表面中央部に向かう方向に沿って湾曲する曲面が設けられている。さらなる剛性向上を図るために、図7に示すように、ケース周方向にも曲率をもたせた曲面構造を採用してもよい。この場合、図7に示すように、必要に応じてリブなどの高剛性部分を設けることで、さらに振動低減効果を増すことができる。
図7の例では、ケース表面が4分割され、各分割領域に曲率が与えられ、これによりケース表面は円形でなくなっている。そして隣合う分割領域の境界に、ケース外側に向かって突出するリブが設けられている。
またこの関連技術においても、図1の構成と同様に軸受周囲にさらに高いリブまたはリテーナなどを設けて、高剛性化を行ってもよく、これにより振動低減を図ることができる。下記の関連技術においても同様である。
関連技術2.>
図8(a)は、本発明に関連する歯車変速機用ケースを備えた変速機を示す断面図であり、図8(b)は、図8(a)の変速機を歯車軸方向から見た断面図である。この関連技術の歯車変速機用ケースの基本的構造は、図1のケースと同様である。そこで、以下、主として図1のケースとの相違部分を説明する。
まず、この関連技術でも、図1のケースで見られる高剛性のリブは設けられていない。この点は図5のケースと同様である。左右の軸受組11,21の周囲には、軸受幅とほぼ同じ厚さのフランジ部39、49が設けられている。
この関連技術では、その特徴として、左右の軸支持面53,63が、屈曲した柔軟構造部54,64を有している。柔軟構造部54,64は、軸受組からケース表面に至る板状領域(面領域)の一部に設けられている。そして図8(b)を参照すると、柔軟構造部54,64は、軸受組の回りを取り囲む円を描くように、ケース内の全周に亘って設けられている。
この関連技術の場合、柔軟構造部54,64では、支持面53,63の一部を屈曲させることによりその柔軟性が得られている。そして屈曲部は略半円形状を有している。ただし、柔軟構造部54,64の断面形状は、十分な制振作用を与える柔軟性が得られる範囲で任意であり、製作コスト、強度および制振性能などを考慮して決定すればよい。
さらにこの関連技術では、柔軟構造部54からケース表面1にかけて、複数のリブ71が設けられている。リブ71は、軸支持面53と一体に、その両側に設けられている。複数のリブ71が、ケース内周に沿って適当な間隔をおいて配置されている。各リブ71は三角状の形態を有し、その2辺で支持面およびケース表面に連結されている。リブ71は、左側の軸支持面63にも設けられてもよい。
以上のように、この関連技術によれば、柔軟構造部を設けたことで歯車騒音の低減が図れる。入出力歯車のかみ合い進行にともなってギヤノイズが生じたり、トルク変動にともなって歯車のガタ打ち騒音が生じるときなどは、歯車で発生した起振力が軸系の振動特性で増幅され、軸受を介してケースの軸支持面へと入力される。ケース軸支持面への振動入力としては、平歯車であれば、ケース軸支持面の面内せん断力と面外曲げモーメントが作用する。はすば歯車であれば、スラスト力による、面外せん断力と面外曲げモーメントが加えて作用する。
これらのケース軸支持面への振動入力に対して、この関連技術の屈曲した柔軟構造部を用いれば、軸受から屈曲柔軟構造部までは振動する。しかし、面内と面外の両方の振動変位を屈曲した柔軟構造部で吸収・減衰させることができるので、屈曲柔軟構造部からケース表面に至る領域の振動を抑えることができ、これにより歯車騒音を低減できる。大幅な重量増、コスト増を招くことなく歯車騒音を効果的に低減できる点で有利である。
またこの関連技術では、柔軟構造部からケース表面に至る側の剛性が高められている。図8の例ではリブの設置により剛性が増加している。これにより、柔軟構造部の振動吸収作用がさらに促進される。柔軟構造部両端での相対振幅を大きくして減衰を高めることができる上、ケース表面の剛性が高まって、柔軟構造部で作用する力に対するケース表面の応答変位を小さく抑えることができ、これらによって歯車騒音を一層低減することができる。
図9は、図8の構造の振動低減効果を示している。図示のように、屈曲柔軟構造を設けていない通常の構成に比べ、この関連技術の構成によれば、軸系が共振する1kHz近傍および軸支持面が共振する1kHz以下の振動数帯域において、かみ合い点からケース表面までの振動伝達を低く抑えることができる。
またこの関連技術では、高減衰機構を備えてさらに振動を低減することが可能である。すなわち、柔軟構造部が高減衰部材を含むように構成する。例えば、図10および図11に示すように、柔軟構造部の表面に高減衰部材を接合(貼付け)する。図10の例では、支持面の屈曲の外側に、粘弾性樹脂を介して薄い鋼板などが設置される。図11の例では、屈曲部分にフリクションプレートが配置されている。プレートと支持面柔軟構造部およびプレート同士で生じる摩擦や粘性により減衰効果が得られる。
このように、この関連技術では、柔軟構造部に高減衰材を備えることにより、さらなる振動低減が可能となる。広範囲、例えばケース全域に減衰材を貼り付けるような構成と比較すると、効率良く振動低減を図ることができ、コストも低減でき、本発明の効果が顕著に得られる。
また、図12に示すように、屈曲構造部をケース本体(ケース全体の一体構造)とは別部品としてもよい。この屈曲部品はボルトなどを用いて支持面に結合される。この構成では、屈曲構造部の形状などについての設計上の自由度が高まる。強度的に優れるΩ型のような形状を採用し、面厚を最適化し、高減衰材料を適用することが好適である。ここでは、屈曲構造部そのもの全体が高減衰部材で構成される。
さらなる変形例として、図13に示すように、屈曲構造は複数回重ねてもよい。図13の例では、3つの連続する半円により屈曲構造が形成され、柔軟性が高くなっている。
また図14に示すように、複数の支持面を合わせた構成を採用してもよい。図14の例では、1つの軸受組が、2枚の支持面により支持され、これら2枚の支持面が合わされている。ケース表面も分割されている(A,B)。各支持面は、それぞれ屈曲柔軟構造部A,Bを有している。そして各支持面とケース表面との結合部に三角状の形態をもつリブが設けられている。
また図15に示すように、支持面の中で局所的に柔軟構造部が配置されてもよい。すなわち、図8(b)に示した構造では支持面の全周に沿って屈曲構造が設けられていたが(円を描いていたが)、図15に示すように屈曲構造は局所的に設けられてもよい。この場合、軸受荷重の方向などを考慮して、効果的に振動を抑制できる領域に屈曲部を設けることが好適である。支持面の一部を屈曲させてもよく、また別体部品を支持面の開口部に組み付けてもよい。また図15の例では、柔軟構造部の局所配置に伴って、その外側のリブの数および配置も変更されている。すなわち、リブは柔軟構造部の外側にのみ設けられている(ただし、リブはケース全周に設けてもよい)。
1 ケース本体、3 入力軸、5 出力軸、7,9 歯車、11,21 軸受組、13,23,33,43,53,63 軸支持面、15,25 入力軸受、17,27 出力軸受、19,29 高剛性領域、39,49 フランジ部、54,64 柔軟構造部、71 リブ。

Claims (4)

  1. 第一の歯車軸と第二の歯車軸にそれぞれ取り付けられる少なくとも一対の歯車対を有する歯車変速機のケースであって、
    前記第一の歯車軸の軸受と前記第二の歯車軸の軸受との軸受組を支える軸支持部を有し、該軸支持部における両軸受周辺に、両軸受を囲む一体の高剛性化領域を設け、
    前記高剛性化領域以外の軸支持部の一般肉厚は、前記二つの軸受の幅よりも薄く、
    前記高剛性化領域は、前記二つの軸受の幅よりも厚い肉厚を有
    前記軸支持部は、当該軸支持部の、軸受を支持する軸支持面に固定されて軸受を止め、軸受周辺を高剛性化するリテーナ部品を含む、
    ことを特徴とする歯車変速機用ケース。
  2. 請求項1に記載の歯車変速機用ケースにおいて、前記高剛性化領域の肉厚は前記軸支持部の一般肉厚の3倍以上であることを特徴とする歯車変速機用ケース。
  3. 請求項1または2に記載の歯車変速機用ケースにおいて、前記高剛性化領域は、前記二つの軸受を囲む長円形状であることを特徴とする歯車変速機用ケース。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の歯車変速機用ケースにおいて、
    前記軸支持部は、歯車軸系の最低次の固有振動数を上回る固有振動数または通常の使用振動数の範囲外の固有振動数を有するように構成されることを特徴とする歯車変速機用ケース。
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