〔実施例1〕
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
図2に、実施例1に係わる画像形成装置の一例を示す。図2に示す画像形成装置は、像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下「感光ドラム」)1を備えている。感光ドラム1は、駆動手段(不図示)によって図2中の時計回り方向(図中矢印A)に回転駆動される。回転駆動された感光ドラム1は、その表面が帯電装置(帯電手段)2によって均一に帯電された後、画像信号に応じたレーザー光が露光装置(静電像形成手段)3から照射されて静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器(現像手段)4によってトナー像として現像される。転写材Sはレジストローラ6により感光ドラム1上のトナー像とタイミングを合わせるようにして送られる。転写材Sは感光ドラム1の対向に配置された転写ローラ(接触転写部材)7と感光ドラム1の間で押圧される。感光ドラム1上のトナー像は、転写電源8によってトナー電荷と逆の極性をもつ転写バイアスが転写ローラ7に印加されることで、転写部Nにて、転写材Sに転写される。また、転写ローラ7は図中矢印C方向に回転する。トナー像転写後の感光ドラム1は、その表面に残った転写残トナーがクリーナ11によって除去され、次の画像形成に使用される。
一方、トナー像転写後の転写材Sは、未定着トナー像を担持した状態で、転写ローラ7の駆動により不図示の搬送ガイドを通って定着器5に搬送される。ここで定着器5が表面のトナー像を加熱溶融し、トナー像は転写材Sへ定着される。定着器5は、ヒータ(不図示)を内包する定着ローラ51と、定着ローラ51とニップ部を形成する加圧ローラ52に構成される。定着ローラ51の外周は165℃に保たれている。
ここで、転写材Sとして普通紙(坪量:160g/m^2以下)を使用する場合、レジストローラ6、転写ローラ7、感光ドラム1により、転写部Nにおいて搬送される搬送速度は、260mm/secである。また、転写部Nにおいて、転写材Sと、感光ドラム1の表面の移動速度は同じである。以降、搬送速度とは、転写部Nにおける、転写材S及び感光ドラム1の表面の移動速度を示すものとする。また、転写材Sとして、エンボス紙や厚紙(坪量:160g/m^2より大)などの特殊紙を使用する場合、搬送速度は130mm/secに減速される。
転写ローラ7は、外径8mmの金属製の芯金71と、その外周面に弾性層である導電性材料層72を形成したものであり、外径16mmに構成されている。この導電性材料層72はゴム、ウレタン等の高分子エラストマーや高分子フォーム材料を基材として用い、それにイオン性導電物質を混入することにより、導電性を1[MΩ]から100[MΩ]という中抵抗領域に調整したものである。上記導電性材料層72の基材として用いられるウレタンとしては、ポリヒドロキシル化合物として、一般の軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマー製造に用いられるポリオールが使用される。即ち、末端にポリヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及び両者の共重合物であるポリエーテルポリオールが挙げられる。さらに、ポリオール中でエチレン性不飽和単量体を重合させて得られる所謂ポリマーポリオール等の一般的なポリオールが使用できる。また、ポリイソシアネート化合物として、同様に一般的な軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマー製造に使用されるポリイソシアネートが使用される。即ち、トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI等である。また、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート及びこれらポリイソシアネートの混合物や変性物も使用される。例えば部分的にポリオール類と反応させて得られるプレポリマー等が用いられる。また、上記導電性材料層72の基材として用いられるゴムとしては、天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴムが使用される。更に、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ポリノルボルネンゴム等の通常のゴムが使用される。又はスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンの水添加物(SEBS)等の熱可塑性ゴムを使用することができる。またこれらのゴムに液状ポリイソプレンゴムを混合することもできる。
更に、これらのゴムやエピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとの共重合ゴム等を発泡させたものを用いることもできる。これらの基材中に添加されるイオン性導電物質としては、過塩素酸ナトリウム,過塩素酸カルシウム,塩化ナトリウム等の無機イオン性導電物質が使用できる。更に変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート,ステアリルアンモニウムアセテート,ラウリルアンモニウムアセテート,オクタデシルトリメチルアンモニウム過塩素酸塩等の有機イオン性導電物質が例示される。そして、一般的には過塩素酸ナトリウムが多用されている。
転写ローラ7を加熱する加熱部10の構成部材である金属ローラ10(加熱部材)aは円筒形状をしており転写ローラ7に対して、図中矢印B方向に従動回転する。その円筒の中からハロゲンランプヒータ10a1により金属ローラ10aは0〜45℃に加熱される。その金属ローラ10aは、両端部をPOM(ポリキシメチレン)等の絶縁性部材により支持される。また、金属ローラ10aは転写ローラ7の導電性材料層72と同じ長さに形成され、両端部のPOMの支持部材が当接手段(不図示)によって転写ローラ7に向けて付勢されている。
この際、転写ローラ7に対する当接圧がその長手方向で一様になるように、片側200gずつの荷重が行われている。金属ローラ10aは、転写ローラ7の回転に伴って、矢印B方向に従動回転する。上述のハロゲンランプヒータ10a1は加熱制御器10bに制御され、点灯と消灯を繰り返すことにより金属ローラ10aの温度を可変にしている。金属ローラ10aの材質はアルミニウムに限らず、熱伝導率の高い金属であれば他の任意の金属(例えば、銅)であってもよい。軸フランジについてもPOMだけでなく、ナイロンとガラスの混合材など絶縁性のものであればいずれのものでもよい。
転写電源8の出力検出部9は、電流検知器9aにより、転写部Nに転写材Sが存在しない状態で転写ローラ7にモニター電圧の+1Kvの電圧が印加されたときに、転写ローラ7を流れる電流を検知する。それを転写ローラ7の1回転の間に8回行い、演算装置9bにより8回の電流検知結果を平均する。そして、モニター電圧の電圧値を電流検知結果で除した値である、転写部NのインピーダンスIを、算出する。インピーダンスIが60〜100[MΩ]になるように、上述の加熱制御器10bでハロゲンランプヒータ10a1の点灯・消灯を制御し金属ローラ10aの温度を制御する。これは、普通紙の搬送速度を260mm/secにしても画像不良が発生しないためのインピーダンスIである。
転写電源8による転写バイアス(出力)は、23℃50%の温湿度環境でトナー像の転写されない普通紙が転写部Nを通過する時に流れる電流が40〜70μA流れるように定電圧制御されている。転写ローラ7を冷却する冷却部12の構成部材である金属ローラ12aは円筒形状をしており転写ローラ7対して、矢印D方向に従動回転する。その円筒の外部からペルチェ素子12c1とファン12c2を用いた空冷式冷却制部材12cなどにより金属ローラ12aは0〜10℃に冷却される。ここで、ペルチェ素子12c1の低温側は金属ローラ12(冷却部材)aに接触し、高温側はファン12c2から風を受けて冷却される。その金属ローラ12aは、両端部をPOM(ポリキシメチレン)等の絶縁性部材により支持される。また、金属ローラ12aは転写ローラ7の導電性材料層72と同じ長さに形成されており、両端部のPOMの支持部材が当接手段(不図示)によって転写ローラ7に向けて付勢されている。この際、転写ローラ7に対する当接圧がその長手方向で一様になるように、片側200gずつの荷重が行われている。金属ローラ12aは、転写ローラ7の回転に伴って矢印D方向に従動回転する。上述の冷却制御器12bへの入力信号によりペルチェ素子12c1とファン12c2のON/OFFを繰り返すことにより金属ローラ12aの温度を可変にしている。金属ローラ12aの材質はアルミニウムに限らず、熱伝導率の高い金属であれば他の任意の金属(例えば、銅)であってもよい。軸フランジについてもPOMだけでなく、ナイロンとガラスの混合材など絶縁性のものであればいずれのものでもよい。冷却部12及び加熱部10により、転写ローラ7の抵抗値を変更するために転写ローラ7を冷却加熱する、抵抗値変更手段が形成される。
転写電源8の出力検出部9は、電流検知器9aにより転写材Sが転写部Nに存在しない状態で転写ローラ7にモニター電圧の+1Kvの電圧が印加されたときに、転写ローラ7を流れる電流を検知する。それを転写ローラ7の1回転の間に8回行い、演算装置9bにより8回の電流検知結果を平均する。そして、モニター電圧の電圧値を電流検知結果で除した値である、転写部NのインピーダンスIを、算出する。そのインピーダンスIが110〜220[MΩ]になるように、上述の冷却制御器12bでペルチェ素子12c1とファン12c2のON/OFFを制御し金属ローラ12aの温度を制御する。この値は、エンボス紙などの特殊紙を搬送速度130mm/secで搬送し続けたときに特殊紙先端・後端で画像不良が発生しないためのインピーダンスIである。
転写電源8による転写バイアス(出力)は、23℃50%の温湿度環境でトナー像が無い特殊紙が転写部Nを通過する時に流れる電流が15〜30μA流れるように定電圧制御されている。
ここで、本実施及び、以降に説明する実施例2〜5に使用する、2種類の転写ローラ7の温度−抵抗の関係を図7に示した。ローラAは、常温(25℃)にて、普通紙への転写に適した抵抗になっている。一方、ローラBは常温にて、特殊紙への転写に適した抵抗になっている。図8は転写ローラの抵抗測定の概略図である。転写ローラ7の抵抗値は温度依存性を有する。
ここで、転写ローラ7の両端部の芯金に500gfずつ荷重し、金属の円筒19を外周速度24mm/secで回転させることにより転写ローラ7を従動回転させる。
そして、転写ローラ7の芯金に高圧電源HVで+2000Vを印加し、電流計でそのとき流れる電流を測定して抵抗を測定する。抵抗値とは、印加された電圧を、測定した電流で除した値である。
以下に、本実施例の転写ローラ7の温調動作について説明する。本実施例では、図7bに示されるローラBを用いた。
以下に制御方法を述べる。図1に示すように、まず、普通紙優先モードの選択の要否を選択する(S111)。普通紙優先モードは、普通紙を特殊紙よりも頻繁に使用する場合に適したモードである。
まず、普通紙生産性優先モードが選択された場合のシーケンスについて説明する。
普通紙生産性優先モードが選択された場合は、画像形成開始信号を受ける前まで(画像形成装置の待機中)の画像形成装置立ち上げ回転中に、普通紙への画像形成に適するように転写ローラ7の抵抗は調整される。このとき、転写ローラ7の抵抗は5E+7Ωに調整される。
つまり、転写部NのインピーダンスIが普通紙に適した値に調整された状態で待機している。この調整は、加熱制御器10bが、金属ローラ10aによって転写ローラ7を加熱し、抵抗を下げることで行われる。そして、転写材Sが転写部Nに存在しない状態の転写部NのインピーダンスIを所望の値(本実施例では60〜100[MΩ]、搬送速度260mm/sec)にする。画像形成開始の信号を受けたら、ユーザが操作パネル(転写材種類入手手段)50から入力した紙種の情報に基づき、画像形成の工程が制御される。
普通紙が選択された場合、転写ローラ7は既に普通紙に適した抵抗になっているので、すぐに画像形成は開始される。
一方、特殊紙が選択された場合は、普通紙に適した転写ローラ7の抵抗を特殊紙に適する2E+8Ωへ変更してから、画像形成は開始される。冷却制御器12bは、金属ローラ12aが転写ローラ7を冷却するように制御し、転写部NのインピーダンスIが所望の値(本実施例では110〜220[MΩ]、搬送速度130mm/sec)にする。
普通紙生産性優先モードが選択された場合のフローを、図1のチャートに沿って説明する。転写ローラ7は加熱される(S112)。続いて、転写部のインピーダンスが測定される(S113)。転写部のインピーダンスが60〜100MΩの範囲でない場合には、再び、転写ローラ7は加熱される(S112)。転写部のインピーダンスが60〜100MΩの範囲である場合には、画像形成信号が出力される(S114)。
続いて、画像が形成される紙が普通紙であるか特殊紙であるかを判断する(S115)。特殊紙である場合、転写ローラ7は冷却される(S116)。そして、転写部のインピーダンスが測定される(S117)。転写部のインピーダンスが110〜220MΩの範囲でない場合には、再び、転写ローラ7は冷却される(S116)。転写部のインピーダンスが110〜220MΩの範囲である場合、画像形成は開始される(S117)。また、S15で紙が普通紙であると判断された場合、速やかに画像形成が開始される(S118)
次に、普通紙生産性優先モードが選択されなかった場合のシーケンスについて説明する。この場合、画像形成装置の待機中には、転写ローラ7の抵抗調整は行われない。常温では、転写ローラ7の抵抗は、特殊紙への転写に適した値である。画像形成開始の信号を受けたら、ユーザが入力した紙種の情報に基づき、画像形成の工程が制御される。特殊紙が選択された場合、転写ローラ7の抵抗は特殊紙に適した値であるため、すぐに画像形成を開始する。
一方、普通紙が選択された場合は、加熱制御器10bは、金属ローラ10aが転写ローラ7を加熱するように制御する。そして、転写材Sが転写部Nに存在しない状態の転写部NのインピーダンスIが所望の値(本実施例では60〜100[MΩ]、搬送速度130mm/sec)にする。
次いで画像形成をスタートする。画像形成開始信号を受けると、画像形成スタート(前回転)、それから紙が出力されるまでがユーザの待ち時間になる。
普通紙生産性優先モードが選択されなかった場合のフローを、図1のチャートに沿って説明する。画像形成開始信号が出力される(S120)。続いて、画像が形成される紙が普通紙であるか特殊紙であるかを判断する(S121)。特殊紙と判断された場合、速やかに画像形成が行われる(S122)。普通紙と判断された場合、転写ローラ7は加熱される(S123)。転写部のインピーダンスが測定される(S124)。転写部のインピーダンスが60〜100MΩの範囲でない場合、再び、S123へ戻り、転写ローラ7は加熱される。転写部のインピーダンスが60〜100の範囲である場合、画像形成が速やかに開始される(S125)
上述のようにあらかじめ立ち上げ回転中に転写部NのインピーダンスIを普通紙用の値にしておくことで、前回転に要する時間を短縮でき、普通紙の生産性を向上することができる。
また、特殊紙の生産性を優先したければ、前回転中に転写部NのインピーダンスIを下げるような加熱を行わず(加熱をすると特殊紙の場合は冷却過程が必要でその分前回転時間が長くなる)、そのまま画像形成スタートすれば良い。
以上のようにして、転写材Sの種類と、転写部NのインピーダンスIの検知結果に応じて画像形成スタートタイミングを決定する。
〔実施例2〕
本実施例では、実施例1とは転写ローラ7の温調動作が異なる。なお、その他の構成は、実施例1と同じである。本実施例では、図7aに示される様に普通紙への転写に適した抵抗のローラAを用いた。
図3に示すように、画像形成開始信号を受けたら、ユーザが50パネルから入力した紙種の情報に基づき、画像形成工程が制御される。
普通紙が選択された場合は、転写ローラ7の抵抗値は常温では普通紙に適した6E+7Ωであるので、すぐに搬送速度260mm/secで画像形成を開始する。
一方、特殊紙が選択された場合は、冷却制御器12bは、金属ローラ12aが転写ローラ7を冷却するように制御し、転写ローラの抵抗を2E+8Ωに変更する。
そして、転写材Sが転写部Nに存在しない状態の転写部NのインピーダンスIを所望の値(本実施例では110〜220[MΩ]、搬送速度130mm/sec)にする。
次いで画像形成を開始する。画像形成が終了したら、加熱制御器10bは、金属ローラ10aが転写ローラ7を加熱し、転写ローラ7の抵抗を普通紙への転写に適する6E+7Ωへ戻す。そして、転写材Sが転写部Nに存在しない状態の転写部NのインピーダンスIを所望の値(本実施例では60〜100[MΩ]、搬送速度130mm/sec)になる。続いて、画像形成装置は、画像形成開始信号の待機状態になる。
本実施例のフローを図3のフローチャートに基づいて説明する。
画像形成信号が出力される(S211)。続いて、画像形成される紙種が判断される(S212)。画像形成される紙が普通紙であると判断された場合、速やかに画像形成される(S213)。画像形成される紙が特殊紙であると判断された場合、転写ローラ7は冷却される(S214)。続いて、転写部のインピーダンスが測定される(S215)。インピーダンスが60〜100MΩの範囲でない場合、S214へ戻り、転写ローラ7は再び冷却される。インピーダンスが110〜220MΩの範囲である場合、速やかに画像形成が開始される(S216)。画像形成が終了する(S217)と、転写ローラ7は再び加熱される(S218)。そして、転写部のインピーダンスが測定される(S219)。転写部のインピーダンスが60〜110MΩの範囲でない場合、S218に戻り、転写ローラ7を加熱する(S218)。転写部のインピーダンスが60〜110である場合、画像形成装置は待機状態になる。
以上のようにして、転写材Sの種類と、転写部NのインピーダンスIの検知結果に応じて画像形成スタートタイミングを決定する。
〔実施例3〕
本実施例においては、実施例1とは転写ローラ7の温調動作が異なる。なお、その他の構成は、実施例1と同じである。本実施例では、図7bに示されるローラBを用いた。
本実施例の温調動作では、普通紙生産性優先モード(搬送速度が260mm/sec)が選択されたときには、画像形成開始に先立ち、転写ローラ7を40℃にして、抵抗を5E+7Ωにした。普通紙生産性優先モードが選択されなかったときには(搬送速度が1300mm/sec)、画像形成に先立った転写ローラ7の抵抗調整は行わない。搬送方向に直交する方向の長さが最大サイズ(幅297mm)の転写材Sを使用する場合には、転写ローラ7を40℃にして、抵抗を5E+7Ωにした。最大サイズ以外の転写材Sを使用する時、例えば幅210mmのときには、転写ローラ7を10℃にして、抵抗を2E+8Ωにした。
詳細には、図4に示すように、まず普通紙生産性優先モードか、否か、を決定する。普通紙優先モードが使用される場合は、加熱制御器10bは、金属ローラ10aが転写ローラ7を加熱するように制御し、転写ローラ7の抵抗を下げる。そして、転写材Sが転写部Nに存在しない状態の転写部NのインピーダンスIを所望の値(本実施例では60〜100[MΩ]、搬送速度130mm/sec)にする。
画像形成開始の信号を受けたら、ユーザが操作パネル50から入力した紙サイズの情報に基づき、画像形成工程が制御される。
搬送方向に直交する方向の長さが長い転写材S(大サイズ)が使用される場合は、すぐに画像形成を開始する。
搬送方向に直交する方向の長さが短い転写材S(小サイズ)が使用される場合は、冷却制御器12bは、金属ローラ12aが転写ローラ7を冷却する様に制御し、転写ローラ7の抵抗を高くする。そして、転写材Sが転写部Nに存在しない状態の転写部NのインピーダンスIを所望の値(本実施例では110〜220[MΩ]、搬送速度130mm/sec)にする。
次いで画像形成をスタートする。
また、普通紙生産性優先モードでない場合は、画像形成開始の信号を受けたら、ユーザが入力した紙サイズの情報に基づき、画像形成工程は制御される。
搬送方向に直交する方向の長さが短い転写材(小サイズ)Sが使用される場合は、すぐに画像形成をスタートする。
一方、搬送方向に直交する方向の長さが長い転写材(大サイズ)Sが使用される場合は、加熱制御器10bは、金属ローラ10aが転写ローラ7を加熱する様に制御を行う。そして、転写材Sが転写部Nに存在しない場合の転写部NのインピーダンスIを所望の値(本実施例では60〜100[MΩ]、搬送速度130mm/sec)にする。
次いで画像形成をスタートする。
ここで、転写材の搬送方向に直交する方向の長さは、操作パネル50から入力する他に、ラインセンサーなどを用いる転写材サイズ検知手段(不図示)によって検知することもできる。
本実施例のフローを図4のフローチャートに基づいて説明する。
普通紙生産性モードの選択されるか否かの判断が行われる(S311)。普通紙生産性モードが選択された場合、転写ローラ7は加熱される(S312)。続いて、転写部のインピーダンスが測定される(S313)。転写部のインピーダンスが60〜100MΩの範囲でない場合、S312へ戻り、再び、転写ローラ7は加熱される。転写部のインピーダンスが60〜100MΩであるとき、画像形成開始信号が出力される(S314)。続いて、画像形成される紙のサイズが判断される(S315)。紙が大サイズの場合、画像形成は速やかに開始される(S316)。紙が小サイズの場合、転写ローラ7は冷却される(S317)。続いて、転写部のインピーダンスが測定される(S318)。転写部のインピーダンスが110〜220MΩの範囲でない場合、転写ローラ7は再び冷却される(S317)。転写部のインピーダンスが110〜220MΩの範囲である場合、画像形成が開始される(S319)。
S311で普通紙生産性優先モードが選択されなかった場合、画像形成開始信号が出力される(S320)。続いて、紙サイズが判断される(S321)。紙が小サイズであるとき、速やかに、画像形成が開始される(S322)。紙が大サイズであるとき、転写ローラ7は加熱される(S323)。続いて、転写部のインピーダンスが測定される(S324)。転写部のインピーダンスが60〜110MΩの範囲でないとき、S323に戻り、転写ローラ7は再び加熱される。転写部のインピーダンスが60〜110MΩの範囲である場合、画像形成が開始される(S325)。
以上のようにして、転写材サイズ、つまり、搬送方向に直交する方向における転写材の長さ、及び、転写部NのインピーダンスIの検知結果に応じて画像形成スタートタイミングを決定する。
〔実施例4〕
本実施例においては、実施例1とは転写ローラ7の温調動作が異なる。なお、その他の構成は、実施例1と同じである。本実施例では、図7aに示されるローラAを用いた。
本実施例の温調動作では、搬送方向に直交する方向における長さが最大の転写材(幅297mm)を使用する場合には、転写ローラを25℃にして、抵抗を6E+7Ωにした。
一方、搬送方向に直交する方向における長さが最大ではない転写材、たとえば、幅210mm、を使用する場合には、転写ローラを10℃にして、抵抗を2E+8Ωにした。
詳細には、図5が示すように、画像形成開始信号を受けたら、ユーザが操作パネルから入力した紙サイズの情報に基づき、画像形成工程を制御する。
搬送方向に直交する方向の長さが長い転写材Sが使用される場合は、搬送速度260mm/secで、画像形成がすぐにスタートされる。
一方、搬送方向に直交する方向の長さが短い転写材Sが使用される場合は、冷却制御器12bは転写ローラ7を冷却する。そして、転写材Sが転写部Nに存在しない状態の転写部NのインピーダンスIを所望の値(本実施例では110〜220[MΩ]、搬送速度130mm/sec)にする。次いで画像形成をスタートする。
画像形成を終了したら、加熱制御器10bは、金属ローラ10aが転写ローラ7を加熱する様に制御しする。そして、転写材Sが転写部Nに存在しない状態の転写部NのインピーダンスIを所望の値(本実施例では60〜100[MΩ]、搬送速度130mm/sec)にする。そして、画像形成装置は、画像形成開始信号の待機状態になる。
本実施例のフローを図5のフローチャートに基づいて説明する。
画像形成信号が出力される(S411)。続いて、画像形成される紙のサイズが判断される(S412)。画像形成される紙が大サイズであると判断された場合、速やかに画像形成される(S413)。画像形成される紙が小サイズであると判断された場合、転写ローラ7は冷却される(S414)。続いて、転写部のインピーダンスが測定される(S415)。インピーダンスが60〜100MΩの範囲でない場合、S414へ戻り、転写ローラ7は再び冷却される。インピーダンスが110〜220MΩの範囲である場合、速やかに画像形成が開始される(S416)。画像形成が終了する(S417)と、転写ローラ7は再び加熱される(S418)。そして、転写部のインピーダンスが測定される(S419)。転写部のインピーダンスが60〜110MΩの範囲でない場合、S418に戻り、転写ローラ7を加熱する(S418)。転写部のインピーダンスが60〜110である場合、画像形成装置は待機状態になる。
以上のようにして、転写材サイズ、つまり、搬送方向に直交する方向における転写材の長さ、及び、転写部Nのインピーダンスの検知結果に応じて画像形成スタートタイミングを決定する。
〔実施例5〕
本実施例は、中間転写体14に一次転写されたトナー像を、2次転写ローラ13により、転写材Sへ2次転写する。本実施例は、上記実施例1〜4の転写ローラ7の温調動作を、2次転写ローラ13に適用したものである。
以下、本実施例を、図6を参照して、説明する。なお、上記実施例で説明した部材と同様の構成作用の部材は同じ符号を付し、説明を略す。
符号1は感光ドラム(感光体)であり、矢線A方向へ回転し、その表面は帯電装置2により一様に帯電される。符号3は画像情報に基づいて露光する露光装置(静電像形成手段)である。周知の電子写真プロセスによって画像情報に応じた静電潜像が感光ドラム1に形成される。
現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4kはそれぞれイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)とブラック(k)を内包する。前述の静電潜像はそれら現像装置4Y、4M、4C、4kにより現像され、感光ドラム1面上にトナー像が形成される。静電潜像の露光部にトナーを付着させて現像する反転現像方式が用いられる。
また、符号14は感光体ドラム1の表面に当接されるよう配設された中間転写ベルト(像担持体)であり、複数の張架ローラに張架されて矢印Xの方向へ回動するようになっている。本実施の形態では、張架ローラ15は中間転写ベルト14の張力を一定に制御するようにしたテンションローラ、張架ローラ16は中間転写ベルト14の駆動ローラ、張架ローラ17は二次転写用の対向ローラである。
そして、本実施の形態では、中間転写ベルト14として、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、塩化ビニル等の樹脂または各種ゴム等を用いることができる。更に帯電防止剤としてカーボンブラックを適当量含有させ、その体積抵抗率を1E+8〜1E+13[Ω・cm]、厚みを0.07〜0.5[mm]としたものを用いている。
感光ドラム1に対し無端のベルト状の中間転写ベルト14を配置する。そして、中間転写ベルト14の1回転毎に形成する感光ドラム1上の各色未定着トナー像を、1次転写ローラ(一次転写部材)18により中間転写ベルト14上に順次静電的に一次転写する。これらの工程を経て、中間転写ベルト上に4色の未定着トナー像が重ね合わされたフルカラー画像を得る。一方、1次転写後の感光ドラム1の一回転毎に感光ドラム1表面はクリーニング装置11Dで転写残トナーがクリーニングされる。そして、繰り返し作像工程がおこなわれる。前述の一次転写ローラ18は中間転写ベルト14の感光体ドラム1に対向する一次転写位置において、中間転写ベルト14の裏面側に配設されている。この一次転写ローラ18に、トナーの帯電極性と逆極性の正極性の一次転写バイアスを印加することで、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト14上に1次転写される。
また、転写材Sの搬送経路に面した中間転写ベルト14の二次転写位置には本実例では、中間転写ベルト14のトナー像担持面側に圧接配置される二次転写ローラ13が備えられる。そして、中間転写ベルト14の裏面側に配設されて二次転写ローラ17の対向電極をなし接地される張架ローラ17を備えている。中間転写ベルト14に接触する2次転写ローラ(接触転写部材、2次転写部材)13はトナーと逆極性のバイアスが印加される。そして、二次転写部N2において、中間転写ベルト14上のトナー像は転写材Sへ二次転写される。更に、二次転写位置の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト14上に残留したトナーを除去するベルトクリーナ11Bが設けられている。
また、本実施の形態において、レジストローラ6で一旦位置決め停止させた後、所定のタイミングで二次転写部N2へと転写材Sは、搬送される。
更に、二次転写後の転写材5を不図示の搬送部材により定着器5へ搬送し、転写材Sにトナーを溶融固着する。
2次転写ローラ13は、外径8mmの金属製の芯金131と、その外周面に弾性層である導電性材料層132を形成したものであり、外径16mmに構成されている。この導電性材料層132はゴム、ウレタン等の高分子エラストマーや高分子フォーム材料を基材として用いる。導電性材料層132にイオン性導電物質を混入することにより、導電性を1[MΩ]から100[MΩ]という中抵抗領域に調整したものである。
上記導電性材料層132の基材として用いられるウレタンとしては、ポリヒドロキシル化合物として、一般の軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマー製造に用いられるポリオールが使用される。
即ち、末端にポリヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、及び両者の共重合物であるポリエーテルポリオールが挙げられる。そのほか、ポリオール中でエチレン性不飽和単量体を重合させて得られる所謂ポリマーポリオール等の一般的なポリオールが使用できる。また、ポリイソシアネート化合物として、同様に一般的な軟質ポリウレタンフォームやウレタンエラストマー製造に使用されるポリイソシアネートが使用される。即ち、トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が使用される。さらに、粗製MDI、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネートが使用される。また、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート及びこれらポリイソシアネートの混合物や変性物、例えば部分的にポリオール類と反応させて得られるプレポリマー等が用いられる。また、上記導電性材料層の基材として用いられるゴムとしては、天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴムが使用できる。更に、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ポリノルボルネンゴム等の通常のゴムも使用できる。そして、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンの水添加物(SEBS)等の熱可塑性ゴムを使用することができる。また、これらのゴムに液状ポリイソプレンゴムを混合することもできる。更に、これらのゴムやエピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとの共重合ゴム等を発泡させたものを用いることもできる。これらの基材中に添加されるイオン性導電物質としては、過塩素酸ナトリウム,過塩素酸カルシウム,塩化ナトリウム等の無機イオン性導電物質が使用できる。更に、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート,ステアリルアンモニウムアセテート,ラウリルアンモニウムアセテート,オクタデシルトリメチルアンモニウム過塩素酸塩等の有機イオン性導電物質が例示される。一般的には過塩素酸ナトリウムが多用されている。
2次転写ローラ13を加熱する加熱器10の構成部材である金属ローラ10aは円筒形状をしており転写ローラ13対して、矢印B方向に従動回転する。
その円筒の中からハロゲンランプヒータ10a1により金属ローラ10aは0〜45℃に加熱される。その金属ローラ10aは、両端部をPOM(ポリキシメチレン)等の絶縁性部材により支持される。
また、金属ローラ10aは転写ローラ7の導電性材料層132と同じ長さに形成されている。そして、両端部のPOMの支持部材が当接手段(不図示)によって2次転写ローラ13に向けて付勢されている。この際、2次転写ローラ13に対する当接圧がその長手方向で一様になるように、片側200gずつの荷重が行われている。
金属ローラ10aは、2次転写ローラ13の回転に伴って、矢印B方向に従動回転する。上述のハロゲンランプヒータ10a1は加熱制御器10bにより点灯と消灯を繰り返すことにより金属ローラ10aの温度を可変にしている。金属ローラ10aの材質はアルミニウムに限らず、熱伝導率の高い金属であれば他の任意の金属(例えば、銅)であってもよい。また、軸フランジについてもPOMだけでなく、ナイロンとガラスの混合材など絶縁製のものであればいずれのものでもよい。
転写電源8の出力検出部9は、電流検知器9aにより転写材Sが搬送されていないときの電流を検知し、それを2次転写ローラ13の1回転の間に8回行い、演算装置9bにより8回の電流検知結果を平均し、次いで2次転写部N2のインピーダンスIを算出する。そのインピーダンスが60〜100[MΩ]になるように、加熱制御器10bでハロゲンランプヒータ10a1の点灯・消灯を制御し、金属ローラ10aの温度を制御する。これは、普通紙の搬送速度を260mm/secにしても画像不良が発生しないためのインピーダンスIである。
転写電源8による転写バイアス(出力)は、23℃50%の温湿度環境でトナー像が無い普通紙が2次転写部を通過する時に流れる電流が40〜70μA流れるように定電圧制御されている。
2次転写ローラ13を冷却する冷却部12の構成部材である金属ローラ12aは円筒形状をしており2次転写ローラ13に従動回転する。その円筒の外部からペルチェ素子12c1とファン12c2を用いた空冷式冷却制御部材12cにより金属ローラ12aは0〜10℃に冷却される。
その金属ローラ12aは、両端部をPOM(ポリキシメチレン)等の絶縁性部材により支持される。
また、金属ローラ12aは転写ローラ7の導電性材料層132と同じ長さに形成されており、両端部のPOMの支持部材が当接手段(不図示)によって転写ローラ7に向けて付勢されている。この際、2次転写ローラ13に対する当接圧がその長手方向で一様になるように、片側200gずつの荷重が行われている。
金属ローラ12aは、2次転写ローラ13の回転に伴って、矢印D方向に従動回転する。上述の冷却制御器12bへの入力信号によりペルチェ素子12c1とファン12c2のON/OFFを繰り返すことにより金属ローラ12aの温度を可変にしている。金属ローラ12aの材質はアルミニウムに限らず、熱伝導率の高い金属であれば他の任意の金属(例えば、銅)であってもよい。軸フランジについてもPOMだけでなく、ナイロンとガラスの混合材など絶縁製のものであればいずれのものでもよい。
転写電源8の出力検出部9は、電流検知器9aにより、転写材Sが搬送されていない状態で転写ローラ7にモニター電圧の+1Kvの電圧が印加されたときに、2次転写転写ローラ13を流れる電流を検知する。それを2次転写ローラ13の1回転の間に8回行い、演算装置9bにより8回の電流検知結果を平均する。そして、モニター電圧の電圧値を電流検知結果で除した値である、2次転写部N2のインピーダンスIを、算出する。
そして、インピーダンスIが110〜220[MΩ]になるように、冷却制御部材12cでペルチェ素子とファンのON/OFFを制御し、金属ローラ12aの温度を制御する。
これは、特殊紙を搬送速度130mm/secで搬送し続けたときに特殊紙先端・後端で画像不良が発生しないためのインピーダンスIである。
転写電源8による転写バイアス(出力)は、23℃50%の温湿度環境でトナー像が無い特殊紙が2次転写部N2を通過する時に流れる電流が15〜30μA流れるように定電圧制御されている。